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コロナ禍で TIME を読む―完全オンライン授業の試みと課題

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Academic year: 2023

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東矢 光代, “コロナ禍でTIMEを読む―完全オンライン授業の試みと課題―”, 言語学習と教育言語学 2021年度版, pp. 29-46,

コロナ禍で TIME を読む

-完全オンライン授業の試みと課題-

東矢 光代

琉球大学国際地域創造学部 〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町字千原

1 E-mail: [email protected]

あらまし

本論文は、TIMEの記事を活用した英語4技能育成のための授業の試みを分析し、発見した課題につ いて報告する。本科目は2020年4月の緊急事態宣言を受け、一度も受講生と直接対面することなしに、5月~8月 にかけて15週間の講義をすべてオンラインで実施した。実践においてはWebclass、Google Forms、Flipgrid、Teams、

MS Streamを用い、基本的に対面授業を平行移動する形でタスクをデザインしたが、オンライン化により、想定し

ていた対面授業との違いが見られた。なおCOVID-19の影響下で、TIMEの記事もコロナ一色となった。それでも、

TIME Onlineという教材は、日本語では知り得ない新しい知見を得るのに有効であり、オンラインのタスクにより

英語を使うという実感を受講生に与えることができた。受講生アンケートの結果も踏まえ、本実践の効果とオーセ ンティック教材を使った教授デザインのメリットを検証する。

キーワード

オンライン授業,英語

4

技能,オーセンティック教材,

Flipgrid

Google forms

Reading the TIME Articles under the COVID-19 Pandemic

- An Attempt of the First Online Teaching - Mitsuyo T

OYA

Faculty of Global and Regional Studies, University of the Ryukyus 1 Senbaru, Nishihara-cho, Nakagami-gun, Okinawa, 903-0213 Japan

E-mail: [email protected]

Abstract This paper aims at reporting the author’s first attempt of teaching an online course for Japanese college learners

of English. The class objective was to enhance their English communication skills in the four areas, i.e., listening, speaking, reading, and writing using the real-time TIME online articles. Although the syllabus had been determined based on the national teaching licensing curriculum in 2017, the first implementation in Spring 2020 fell into the forced online teaching due to the coronavirus pandemic. The class utilized multiple online platforms such as

Webclass, Google Forms, Flipgrid, Teams, MS Stream with the course designed as close as possible to the original face-to-face classroom. The author reflects and examines this online teaching and reports the advantages of authentic materials in the classroom during the COVID-19 pandemic.

Keywords Online course, English 4 skills, Authentic materials, Flipgrid, Google forms

1. は じ め に

ダ イ ヤ モ ン ド プ リ ン セ ス 号 の コ ロ ナ 集 団 感 染 (2020 年2月 )、緊 急 事 態 に お け る 突 然 の 学 校 一 斉 休 校(2020 年 3月 ) か ら 1 年 半 以 上 の 時 が 経 っ た 。1 年 遅 れ の 東 京 オ リ ン ピ ッ ク 、 パ ラ リ ン ピ ッ ク は 無 観 客 の 中 、 か ろ う じ て 開 催 さ れ た が 、2021年 度 も 前 期 は 大 学 で の 多 く の 授 業 が オ ン ラ イ ン 対 応 の ま ま で あ っ た 。 本 稿 執 筆 中 の2021年 度 後 期 も 、筆 者 の 所 属 大 学 で は 多 く が 遠 隔 授 業 で あ り 、第 5波 が 収 束 し た11月 か ら は 感 染 予 防 策 を

講 じ た 対 面 授 業 が 認 め ら れ た が 、 再 度 の 感 染 者 数 増 加 に 関 し て は 予 断 を 許 さ な い 。

コ ロ ナ の 影 響 に よ り 、 教 育 現 場 に お け る 突 然 の オ ン ラ イ ン 化 は 世 界 中 の 至 る 所 で 見 ら れ た 光 景 だ が[1]、パ ン デ ミ ッ ク へ と 急 速 に 突 入 し た 2020 年 度 前 期 は こ の 感 染 症 の 解 明 も 進 ん で お ら ず 、 と に か く 人 と の 接 触 、 密 集 を 避 け る た め に 、 外 出 の 面 で も 生 活 が 制 限 さ れ 、 多 く の 大 学 が 突 然 の 授 業 オ ン ラ イ ン 化 に 迫 ら れ た 。 2020年4月 の 段 階 で の 筆 者 はSkypeも Zoomも 使 っ た こ と が な く 、 リ ア ル タ イ ム 配 信 経 験 は ゼ ロ で あ っ た 。

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し か し 、5 月 の 連 休 明 け か ら 完 全 オ ン ラ イ ン で 講 義 を 開 始 せ ざ る を 得 ず 、初 め てTeams で の 講 義 や 、作 成 し た ス ラ イ ド 資 料 を 動 画 化 し て 配 信 す る な ど 、 必 死 で 対 応 を 行 っ た 。 当 時 の 状 況 は 強 制 的 な ス キ ル の 取 り 込 み

(uptake skills)を 迫 ら れ た 結 果 で あ り 、教 師 の 適 応 性

(adaptability) が な せ る 業 だ っ た と 言 え る[1, 2]。

本 稿 はCOVID-19の 影 響 を 最 も 強 く 受 け た2020年 度 前 期 の オ ン ラ イ ン 授 業 実 践 、 特 に そ の 非 常 事 態 下 で の TIME Onlineを 教 材 と し た 英 語 4技 能 統 合 型 の 授 業 に つ い て 、 そ の デ ザ イ ン と 教 員 ・ 学 生 間 の 相 互 作 用 に つ い て 検 証 す る 。 所 属 学 部 の2018年 度 学 部 改 組 を 受 け 、 筆 者 は 英 語 科 教 員 養 成 課 程 の コ ア カ リ キ ュ ラ ム に 基 づ い た 新 し い 科 目 を 担 当 し て い く 中 で 、 特 に 4技 能5領 域 の 育 成 と ア ク テ ィ ブ ラ ー ニ ン グ を 探 求 し て き た[3, 4]。 コ ロ ナ の 影 響 に よ る オ ン ラ イ ン 授 業 へ の 移 行 は 、 新 学 部 課 程 の3年 目 に あ た り 、 認 定 済 み で あ っ た 当 該 授 業 の シ ラ バ ス は 、 内 容 を 大 き く 変 え ず に 実 施 す る 必 要 が あ っ た 。 そ の た め 真 正 性 (authenticity) を 意 図 し たTIME onlineの 記 事 を そ の ま ま 教 材 と し た が 、 奇 し く も コ ロ ナ 禍 の 中 で 海 外 で の 状 況 に つ い て の 英 語 記 事 を 読 ん で い く こ と に な り 、 さ ら に 対 面 で の ア ク テ ィ ブ ラ ー ニ ン グ は 完 全 オ ン ラ イ ン 化 へ の 対 応 を 迫 ら れ た 。 本 稿 で は 、 当 時 の 実 践 を 紐 解 き な が ら 、 イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ 、 独 自 の タ ス ク 設 計 に よ り 実 施 し た 「 上 級 英 語 演 習 」 の オ ン ラ イ ン 授 業 が 、 教 員 と 受 講 生 に ど の よ う な 影 響 を 与 え た か に つ い て 検 証 す る 。

2. 先 行 研 究 ・ 背 景

2.1. オーセンティック教 材 の効果 と活 用

第 二 言 語 ・ 外 国 語 と し て の 英 語 教 育 に お い て 、 ど の よ う な 教 材 や テ キ ス ト を 用 い て 教 え る か は 重 要 で あ る 。 そ の 中 で も 、 教 材 を 学 習 者 用 に 作 成 、 あ る い は 加 工 し た も の に す る の か 、 そ れ と も オ ー セ ン テ ィ ッ ク

(authentic) な も の に す る の か は 、 意 見 が 分 か れ る と こ ろ で あ る 。学 習 者 用 の 教 材・テ キ ス ト(pedagogically modified materials) は 学 習 者 の レ ベ ル や 習 熟 度 と 、 授 業 の 目 的 に 応 じ た 形 で 作 成 ・ 編 成 さ れ て お り 、 段 階 を 踏 ん で の 配 列 も 可 能 で あ る[5]。一 方 、オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 の 定 義 に つ い て は 、 先 行 研 究 に お い て 複 数 の 研 究 者 が 細 か な 点 で の ず れ を 指 摘 し て い る こ と を 踏 ま え つ つ 、Valvona & Yoneda (2019)が 以 下 の よ う に 提 示 し て い る: “[T]here appears to be general agreement that authentic materials are those that were originally prepared for communicative, social, non-pedagogic purposes, and they are often (though not exclusively) prepared by native-speakers for native-speakers.” (6, p.3) つ ま り オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 は 言 語 学 習 用 と し て 存 在 す る も の で

は な く 、 そ の 言 語 を 母 語 あ る い は 第 一 言 語 と す る コ ミ ュ ニ テ ィ に お け る 社 会 活 動 の た め の 媒 介 メ デ ィ ア だ と 捉 え る こ と が で き 、具 体 的 に は 英 語 圏 の ラ ジ オ 放 送 や 、 ス ー パ ー の 売 り 出 し チ ラ シ 、 取 引 用 の 法 的 書 類 、 イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の ニ ュ ー ス や Youtube 動 画 ま で 多 岐 に わ た る 。ス マ ー ト フ ォ ン な ど ICTの 発 達 に よ り 、ク ラ ス の 中 で も 外 で も 学 べ る よ う に な っ た 今 日 、 学 習 者 用 教 材 で あ る コ ー ス ブ ッ ク に 加 え 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ る こ と は 重 要 で あ る と 言 え る[7]。

Rao (2019)は 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 授 業 に 取 り 入 れ る こ と で 、生 徒 を 現 実 の 生 活(real-life)と 教 室 外 の 文 脈(out-of-class contexts)に さ ら す(expose)こ と が で き る と 述 べ て い る 。 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 の 持 つ こ の 特 性 は 、 学 習 者 の ク リ テ ィ カ ル シ ン キ ン グ を 向 上 さ せ る と い う 。 さ ら に オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 は 、 使 わ れ る 言 語 と 場 面 の 多 様 性 に よ り 、 学 習 者 の 英 語 の ス キ ル を 向 上 さ せ 、 達 成 感 を 持 た せ る こ と が で き る 。 背 景 知 識 の 弱 い 学 習 者 に は 特 に 有 益 で 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ た 授 業 は 、 身 に 着 け た 英 語 能 力 を 教 室 外 で 試 す 機 会 を 提 供 す る 意 義 も あ る と い う[7]。

Berado (2006)も 実 際 の 文 脈 で 実 際 に 使 わ れ る 言 語 に 生 徒 を 触 れ さ せ る こ と が で き る 点 を 評 価 し て い る 。 生 徒 に と っ て は 安 全 で 統 制 さ れ た 教 室 環 境 か ら 踏 み 出 し た 挑 戦 (challenging) で あ る が 、 動 機 づ け を 高 め る 効 果 が あ り 、 イ ン タ ー ネ ッ ト の ア ク セ ス に よ り 、 多 様 な 文 章 に 触 れ る こ と が 可 能 で 、 様 々 な ス キ ル を 伸 ば す の に 活 用 で き る と し て い る[8]。Kozhevnikova (2014)は 、 ロ シ ア で ITと ツ ー リ ズ ム を 専 攻 す る20名 の2ク ラ ス を 対 象 に 、「Friends」の 動 画(50エ ピ ソ ー ド )と「Take a break」の 雑 誌 記 事(25編 )を 授 業 内 外 の 学 習 活 動 に 1 学 期 間 取 り 入 れ た 。 半 構 造 イ ン タ ビ ュ ー の 結 果 、 学 習 者 の 95% が オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 は 面 白 く 、「 本 物 」 の 英 語 を 理 解 で き た と 感 じ 、 達 成 感 と 動 機 づ け に つ な が る と 回 答 し た 。 同 じ く 95% が 語 い 力 の 向 上 を 感 じ 、 特 に イ デ ィ オ ム の 理 解 に 向 上 が 見 ら れ た こ と を 報 告 し て い る[9]。 イ ラ ク の 大 学 3年 生 85 名 と 教 員 6名 に ア ン ケ ー ト を 行 っ た AbdulHussein (2014)で も 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク な 英 語 リ ー デ ィ ン グ 教 材 を 用 い た 授 業 に つ い て 生 徒 の 肯 定 的 な 意 見 を 男 女 別 に 述 べ て い る 。 男 子 学 生 (N=29) は 、「 ク ラ ス の 外 で の 英 語 の 題 材 を 読 め る よ う に す る 効 果 が あ る 」、「 生 徒 の 読 解 力 を 高 め る 」、「 授 業 の 価 値 を 高 め る 」 と 捉 え て お り 、 女 子 学 生 (N=56)

は 、「 授 業 に 満 足 し て い る 」、「 現 実 世 界 で 言 語 が ど の よ う に 使 わ れ て い る か を 紹 介 す る も の で あ る 」 と 感 じ て い た こ と が わ か っ た[10]。

先 のKozhevnikova (2014)は 、オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 使 っ た 効 果 と し て 、 英 語 の 文 化 的 ・ 言 語 的 理 解 促 進 に 有 効 で あ る こ と 、 特 に ド ラ マ 教 材 が 文 化 や 慣 習 の 理

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解 と 、 場 面 ・ 状 況 に 適 し た 言 語 使 用 の 理 解 に つ な が っ た と 述 べ て い る[9]。 こ れ に 似 た Beresova (2015)で は 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 は 学 習 教 材 に は な い 、 自 然 な 外 国 語 習 得 と 異 文 化 理 解 を 促 進 す る 効 果 が あ る 、 と の 仮 説 に 基 づ き 、 英 字 新 聞 を 取 り 入 れ る 効 果 を 検 証 し た 。 大 学 生 を 対 象 に 、 語 い 、 コ ロ ケ ー シ ョ ン 、 文 法 構 造 、 役 に 立 ち そ う な 表 現 を 書 き 出 し た り 、 文 化 で 気 づ い た 点 を メ モ し た り す る ワ ー ク シ ー ト を 用 い て 、The Guardian Weekly の 記 事 リ ス ト か ら 興 味 の あ る 記 事 を 読 ん で も ら っ た 結 果 、 記 事 に 特 徴 的 な タ イ ト ル や 文 法 構 造 の ル ー ル や 適 切 に 学 ん で い た こ と が 明 ら か に な っ た 。 ま た 文 化 的 側 面 に 関 し て も 、 ス ト ー ン ヘ ン ジ や 、 朝 起 き が 苦 手 な 人 の た め の フ ァ ー ス ト フ ォ ー ド チ ェ ー ン 店 、 ア メ リ カ 社 会 の 肥 満 の 問 題 な ど 最 新 の 情 報 を 載 せ た 英 字 新 聞 が 、 多 様 な 見 方 を 拡 大 す る の に 役 立 つ こ と が わ か っ た[5]。

教 師 か ら 見 た オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 の 効 果 と し て 、 Akbari & Razavi (2016)は 、教 職 経 験 9年 か ら29 年 の イ ラ ン の 英 語 教 師57人 に ア ン ケ ー ト を 行 い 、リ ス ニ ン グ と リ ー デ ィ ン グ に オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ る べ き か と 尋 ね た 。 そ の 結 果 、 回 答 者 全 員 が 「 取 り 入 れ る べ き 」 と 回 答 し 、 そ の 理 由 と し て 「Exposure to real language(97.3%)」、「Motivate the students(58% )」、

「Improve the students’ skills(100%)」が 選 ば れ て い た 。 ま た 授 業 を 行 う た め に 必 要 な 教 師 側 の ト レ ー ニ ン グ と し て 、「Designing the activities(99%)」と「Selecting the materials(55%)」 を 挙 げ て い た [11]。 一 方 、 リ ー デ ィ ン グ ク ラ ス で の 実 践 に つ い て の AbdulHussein (2014) の 教 員 回 答 で は 、「 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 は 生 徒 の 文 化 理 解 を 促 進 す る 」、「 実 際 の 場 面 で の 語 い 知 識 を 向 上 さ せ る 」 が 高 か っ た 。 そ し て 、 取 り 入 れ る の に 適 し た レ ベ ル は 上 級 (advanced level) の 回 答 が 最 も 高 く 、教 材 の 選 択 に 際 し て は 言 語 レ ベ ル 、 新 出 語 い の 割 合 を 考 慮 す る こ と が わ か っ た[10]。

オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 の 選 択 基 準 に つ い て 、Akbari

& Razavi (2016)で は 「Language level(92.3% )」 と

「Course objectives(84.2% )」が 上 位 を 占 め て い た [11]。

Berardo(2006)は 、Nuttall(1996)が 提 案 し た オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 選 択 す る と き の3つ の 観 点 ( 内 容 の 適 切 さ 、 発 展 性 、 読 み や す さ ) に 加 え 、 教 材 の 提 示 方 法 を 提 唱 し 、 見 た 目 が オ ー セ ン テ ィ ッ ク で あ り 、 読 み 手 の 興 味 を 引 き そ う か ど う か も 重 要 だ と 述 べ て い る 。 一 方 で 学 習 者 の ニ ー ズ に 合 わ な い 、 あ る い は 文 法 や 語 い が 難 し す ぎ る オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 は 逆 効 果 で あ り 、 必 ず 教 育 目 標 と 合 致 さ せ 、 必 要 な 支 援 と 効 果 的 な タ ス ク ・ 活 動 と セ ッ ト で 導 入 す る 必 要 が あ る[8]。

オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 の 効 果 と し て 、 言 語 的 利 点 と そ の 他 ( 動 機 づ け と 文 化 理 解 ) を 挙 げ た Azri &

Al-Rashdi (2014)も 、オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 活 用 の 課 題 と し て 、 教 師 の 負 担 に つ い て 言 及 し て い る[12]。 つ ま り 、 す で に タ ス ク ま で 設 計 さ れ て い る 学 習 者 用 の 教 材

( コ ー ス ブ ッ ク ) と 異 な り 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ る 場 合 は 、 学 習 者 の レ ベ ル と 興 味 に 合 っ て 、 言 語 習 得 を 促 進 す る 、 カ リ キ ュ ラ ム や 授 業 の 目 標 に 沿 っ た 教 材 を 教 師 が 選 択 し な け れ ば な ら ず([9]も 参 照 )、

そ の よ う な 題 材 を 選 ん だ う え で さ ら に 、 独 自 に タ ス ク 等 を 設 定 す る 必 要 が あ る 。

静 岡 文 化 芸 術 大 学 の ジ ャ ッ ク ・ ラ イ ア ン 氏[13]は 、 自 ら の 英 語 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 授 業 に オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ る こ と で 、 グ ロ ー バ ル で 多 様 な 、 最 新 の 視 点 を 学 習 者 が 学 ぶ 機 会 を 確 保 し よ う と し た 。 Berardo (2006)の 観 点 に 基 づ き 、 学 生 ニ ー ズ に 応 じ て 、 ナ シ ョ ナ ル ジ オ グ ラ フ ィ ッ ク の ト ラ ベ ル サ イ ト か ら 3

~5 分 の 短 い ビ デ オ ク リ ッ プ を 教 材 候 補 と し て 複 数 選 択 し 、 独 自 の タ ス ク を 設 計 し た が 、 注 目 す べ き は タ ス ク デ ザ イ ン に お け る 「partial understanding を 目 指 す 」 と い う ガ イ ド ラ イ ン で あ る 。 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ る 際 、学 習 者 の レ ベ ル と い う 観 点 は 必 要 だ が 、 一 般 的 に オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 は 学 習 者 に と っ て 難 し い(challenging)レ ベ ル に な り が ち で あ る[8]こ と か ら 、 100% の 理 解 を 求 め な い 、と い う 点 は 重 要 で あ る 。こ の タ ス ク デ ザ イ ン に お い て は 、 一 度 に す べ て を 理 解 す る こ と を 求 め ず 、 タ ス ク の 難 易 度 を 少 し ず つ 難 し く す る こ と で 理 解 が 深 ま る よ う に 設 計 し て い た 。

ま た 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ た 授 業 に お け る 教 師 の 役 割 と し て Berardo (2006)は 、実 際 に 言 語 が 使 わ れ て い る 環 境 に 生 徒 が 対 応 で き る よ う 、 必 要 な ス キ ル や 認 識 を 与 え 、 準 備 さ せ る こ と で あ る と 述 べ て い る 。 例 え ば 、 読 解 に お け る 背 景 知 識 ( ス キ ー マ ) の 重 要 性 に 触 れ 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク な 文 章 で は 書 き 手 が 読 み 手 に 期 待 す る ス キ ー マ が 必 ず し も 確 保 さ れ て い る わ け で は な く 、 そ の ず れ が 読 解 に お け る 問 題 に つ な が り う る 点 を 指 摘 し て い る[8]。

AbdulHussein (2014)の 女 子 学 生 の 回 答 結 果 で も 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 は 「 学 習 用 教 材 よ り も 読 解 力 を 付 け る の に 役 立 つ 」、「 授 業 の 価 値 を 高 め る 」 と し な が ら も 、「 フ ラ ス ト レ ー シ ョ ン を 引 き 起 こ す 」の 平 均 値 も 高 か っ た こ と は 留 意 す べ き 点 で あ る 。 こ の 調 査 で は 教 員 の 意 見 の ま と め と し て 、 多 様 な テ キ ス ト タ イ プ と 最 新 の 話 題 や ト ピ ッ ク を 取 り 入 れ る こ と 、 読 む オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 の 選 択 権 を 学 習 者 に 与 え る こ と も 推 奨 さ れ て い た[10]。

2.2. 21世 紀 型 スキルとアクティブラーニング

オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 英 語 授 業 に 取 り 入 れ る メ リ ッ ト と し て 、 教 室 外 に 実 存 す る 英 語 リ ソ ー ス へ の 対 応 や ス キ ル の 育 成 が 挙 げ ら れ て い る こ と を 述 べ た が 、

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学 校 教 育 で の 学 び が 社 会 に 出 た と き に い か に 役 立 つ か 、 と い う 視 点 が 近 年 注 目 を 浴 び て き た 。例 え ば2009年 に 立 ち 上 げ ら れ た「21世 紀 型 ス キ ル の 学 び と 評 価 プ ロ ジ ェ ク ト (ATCS21)」 に お い て は 、 産 業 基 盤 社 会 か ら 情 報 基 盤 社 会 へ の 変 化 に 沿 っ た 教 育 制 度 に お け る 重 要 な 2領 域 と し て 、「 デ ジ タ ル ネ ッ ト ワ ー ク を 使 っ た 学 習 」 と 「 協 調 的 問 題 解 決 」 が 挙 げ ら れ て い る 。 こ の プ ロ ジ ェ ク ト で は 、 こ の2つ の 包 括 ス キ ル 領 域 下 で 設 定 す る 21 世 紀 型 ス キ ル と し て 、 思 考 の 方 法 (1~3)、 働 く 方 法(4, 5)、 働 く た め の ツ ー ル(6, 7)、 世 界 の 中 で 生 き る (8~10) の4つ の カ テ ゴ リ ー で 、 以 下 の10 の ス キ ル を 提 唱 し て い る (14, pp.22-23)。 こ れ ら は 評 価 の 枠 組 み と し て も 設 定 さ れ て い る 。

1 . 創 造 性 と イ ノ ベ ー シ ョ ン

2 . 批 判 的 思 考 、 問 題 解 決 、 意 思 決 定 3 . 学 び の 方 法 、 メ タ 認 知

4 . コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

5 . コ ラ ボ レ ー シ ョ ン ( チ ー ム ワ ー ク ) 6 . 情 報 リ テ ラ シ ー

7 . ICTリ テ ラ シ ー

8 . 地 域 と グ ロ ー バ ル の よ い 市 民 で あ る こ と( シ チ ズ ン シ ッ プ )

9 . 人 生 と キ ャ リ ア 発 達

1 0 .個 人 の 責 任 と 社 会 的 責 任( 異 文 化 理 解 と 異 文 化 適 応 能 力 を 含 む )

こ の 21 世 紀 型 ス キ ル は 社 会 の 一 部 の エ リ ー ト だ け で な く 、 す べ て の 人 に 求 め ら れ る 。 さ ら に 特 筆 す べ き は 、「 協 調 的 問 題 解 決 」と「 デ ジ タ ル ネ ッ ト ワ ー ク を 使 っ た 学 習 」 と い う2つ の 領 域 が 、 学 習 形 態 と 学 び の ゴ ー ル を 規 定 す る と い う 視 点 で あ る 。つ ま り10の ス キ ル は 、ICT を 使 い 協 調 的 に 多 様 な 問 題 に 取 り 組 む 学 習 を 行 う こ と で 身 に つ く( 目 標 が 達 成 さ れ る )、と い う 構 造 に な っ て い る[14]。

同 じ く 21 世 紀 の 学 習 者 に 対 す る 教 育 と 評 価 の 枠 組 み 作 り に 取 り 組 ん で い る カ リ キ ュ ラ ム ・ リ デ ザ イ ン ・ セ ン タ ー (CCR) は 、OECD のEducation 2030 プ ロ ジ ェ ク ト と 協 働 で 、 世 界 の 枠 組 み 間 の 共 通 点 を 洗 い 出 し た 。CCR は 「 知 識 」「 ス キ ル 」「 人 間 性 」「 メ タ 学 習 」 の4つ の 次 元 を 志 向 し て い る 。 彼 ら の 「 ス キ ル 」 に は 創 造 性 、 批 判 的 思 考 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 、 協 働 が 含 ま れ 、 メ タ 学 習 ( 省 察 と 適 応 ) は 先 の3つ を 包 括 す る 関 係 性 に あ る が 、こ れ ら は2020年 に 全 面 実 施 と な っ た 新 学 習 指 導 要 領 に も 影 響 を 与 え て い る 。[15]

2019年3月 の 新 学 習 指 導 要 領 の 告 示 で は 、そ れ ま で の 議 論 の 中 心 で あ っ た ア ク テ ィ ブ ラ ー ニ ン グ と い う 用 語 そ の も の は 使 わ れ ず 、「 主 体 的 、 対 話 的 で 深 い 学 び 」 と い う 表 現 に 落 ち 着 い た[16]。 こ れ は 変 化 の 激 し い 社 会 の 中 で 、 知 識 よ り も 学 び 続 け る 力 や 主 体 性 を 重 視 し

た 中 で 醸 成 さ れ た も の で あ り 、 コ ロ ナ の 影 響 が 出 始 め た 2020年2月 以 前 ま で 、小 中 高 等 学 校 の 現 場 で も 、そ の よ う な 教 授 ・ 学 習 ス タ イ ル が 取 り 入 れ ら れ る よ う に な っ て い た 。 外 国 語 ・ 英 語 科 に 関 す る 学 習 指 導 要 領 改 訂 の 変 化 と し て 大 き い の は 、「 話 す(Speaking)」が「 や り と り 」 と 「 発 表 」 に 分 化 し 、4 技 能 5領 域 と い う 表 現 に 変 わ っ た こ と で あ る 。 特 に 発 信 型 ス キ ル す な わ ち Speaking と Writing に つ い て は 、 パ フ ォ ー マ ン ス テ ス ト の 実 施 も 含 め て 、 強 化 が 進 め ら れ て い る 。 同 じ 延 長 線 上 で 、4 技 能 統 合 型 の 授 業 を 重 視 す る 方 向 性 も 示 さ れ て い る 。

本 実 践 で は 読 む こ と を 中 心 と し 、4 技 能 の 向 上 に 資 す る 活 動 を 取 り 入 れ る こ と と し た 。前 項 で 見 た よ う に 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ た 授 業 で は 、 教 育 目 標 に 合 致 す る 必 要 は あ る が 、 教 材 の 選 択 並 び に タ ス ク 設 定 ・ 授 業 設 計 が 、 原 則 と し て 教 員 に 任 さ れ て い る 。 読 む 題 材 と し て TIMEと い う オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ る こ と で 、 教 室 外 の 世 界 と の つ な が り[7, 8]

や 最 新 の 情 報 を 得 る こ と[13]を 意 識 し た 。 そ の 上 で 、 ア ク テ ィ ブ ラ ー ニ ン グ を 志 向 し た タ ス ク デ ザ イ ン が 必 要 で あ る 。

オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 用 い て 、 グ ル ー プ に よ る 協 働 学 習 で 自 律 性 を 高 め る 試 み を 、Hart (2002)は 行 っ て い る 。3ク ラ ス94名 の 国 内 大 学 女 子 学 生 に 対 し 、オ ー ス ト ラ リ ア の 中 学 生 用 に 開 発 さ れ た 協 働 学 習 の た め の テ キ ス ト を 用 い 、 各 ク ラ ス 6グ ル ー プ ( 固 定 ) で リ サ ー チ や 発 表 の プ ロ ジ ェ ク ト を 実 施 し た 。 調 べ る ト ピ ッ ク は グ ル ー プ で 決 め る こ と が で き 、 学 生 た ち は イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の 英 語 リ ソ ー ス を 用 い て ポ ス タ ー 発 表 な ど を 行 っ た が 、 教 員 か ら 活 動 を 進 め る に あ た っ て の 学 習 ス ト ラ テ ジ ー 提 示 の 支 援 も あ っ た 。[17]

先 述 の Berardo (2006)は オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ た 自 ら の 実 践 で 、タ ス ク 中 心 の 活 動 を 取 り 入 れ 、 ペ ア や グ ル ー プ ワ ー ク を 多 用 し つ つ 、 生 徒 が 授 業 の 外 で 教 材 を 自 主 的 に 活 用 す る こ と を 視 野 に 入 れ 、 教 師 の 介 入 は 極 力 控 え て い た と 報 告 し て い る[8]。 ま た Hart (2002)は 日 本 人 大 学 生 を 対 象 に オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ た 英 語 授 業 を 行 っ た 際 に 、 グ ル ー プ に よ る 協 働 学 習 で の 自 律 性 の 向 上 を 観 察 し て お り 、 実 際 に 英 語 を 使 う 経 験 の 重 要 性 と 学 生 た ち の 好 ま し い 変 化 を 報 告 し て い る 。[17]

溝 上 (2014) は 、 ア ク テ ィ ブ ラ ー ニ ン グ 型 授 業 に お け る 学 生 の 学 習 活 動 を 、 教 室 内 ・ 教 室 外 を 横 軸 、 個 人 の 活 動 ・ 集 団 で の 活 動 を 縦 軸 に 取 り 整 理 し て い る[18, 図 3-1, p.73]。例 え ば 講 義 は 知 識 を 習 得 す る た め の 個 人 で 行 う 教 室 内 活 動 で あ り 、 課 題 ・ レ ポ ー ト は 個 人 が 教 室 外 で 行 う 活 動 で あ る 。 集 団 で の 活 動 で あ る グ ル ー プ 学 習 は 、 教 室 内 で 時 間 を 取 っ て 行 う こ と も で き る が 、

(5)

教 室 外 で 行 う こ と も 可 能 で あ る 。 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 基 に 、 こ の よ う な 学 習 活 動 を 多 様 に 取 り 入 れ る こ と で 、4技 能5領 域 の 英 語 ス キ ル だ け で な く 、10の ス キ ル の 中 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン や コ ラ ボ レ ー シ ョ ン 、 批 判 的 思 考 や 異 文 化 理 解 の 向 上 に も 資 す る と 考 え た 。

3. 研 究 の 目 的 と リ サ ー チク エ ス チ ョ ン

本 研 究 で 取 り 上 げ る 「 上 級 英 語 演 習 」 は 英 語 科 教 員 1 種 免 許 ( 中 高 ) の 教 職 課 程 に お け る 教 科 に 関 す る 科 目( コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 領 域 )と し て2016年 に シ ラ バ ス を 設 計 し た 。 当 時 は も ち ろ ん 対 面 を 前 提 と し た 課 題・活 動 の 設 計 を 行 っ て い た 。TIMEに つ い て は 、2007 年 ご ろ に 雑 誌 体 を 複 数 教 室 に 持 ち 込 み 、 記 事 を 選 ん で 読 ま せ て ポ ス タ ー 発 表 を 行 う 授 業 を 展 開 し た 経 験 、 ま た2012年 ご ろ に TIME/Newsweekと Readers’ Digestの オ ン ラ イ ン 記 事 を 選 ん で パ ワ ー ポ イ ン ト を 用 い た 発 表 を 取 り 入 れ た 授 業 を 実 施 し た 経 験 が あ り 、 教 え よ う と す る 学 生 に 対 し て や や 難 し い が 、 教 員 の タ ス ク デ ザ イ ン と 支 援 に よ り 習 得 可 能 と い う (8, 13参 照 )、 教 材 と し て 適 切 な 英 語 レ ベ ル で あ る と 判 断 し た 。 特 に 、 コ ロ ナ 禍 で TIMEの 英 文 記 事 を 読 ん で い く こ と は 、 英 語 力 を 育 成 す る と い う 意 義 だ け で は な く 、 一 番 の 関 心 事 に つ い て 最 新 の 情 報 を 得 る[5, 13]こ と も 意 味 し て い た た め 、 学 習 者 の 動 機 づ け や 達 成 感 に つ な が る[7, 8, 9, 12]

と 評 価 し た 。こ れ ら はBerardo (2006)が 提 案 し た 教 材 選 択 の 観 点 と も 合 致 し て い る[8]。

完 全 オ ン ラ イ ン 化 を 迫 ら れ た 本 授 業 で は 、 教 材 が オ ン ラ イ ン 記 事 で あ る こ と は メ リ ッ ト で も あ っ た が 、 対 面 で の グ ル ー プ ワ ー ク を 想 定 し た ア ク テ ィ ブ ラ ー ニ ン グ 型 授 業 を 、 ど う オ ン ラ イ ン 化 す る か を 考 え る の は 、 容 易 な こ と で は な か っ た 。Sharma (2021)は 、 パ ン デ ミ ッ ク の 影 響 で オ ン ラ イ ン 化 さ れ た 授 業 が 、 そ れ ま で の 社 会 構 成 主 義 を 取 り 入 れ に く く 、 教 師 中 心 の レ ク チ ャ ー に 傾 き が ち だ っ た と 指 摘 し て い る[1]。そ れ で も 本 授 業 で は 可 能 な 限 り 、 当 初 設 計 し た 対 面 授 業 を 投 影 す る 形 で 、 タ ス ク を 細 か く 設 定 し 、 学 生 の4技 能 を 含 む 活 動 を 保 証 し よ う と し た 。 授 業 者 の オ ン ラ イ ン 授 業 経 験 不 足 か ら 多 様 な プ ラ ッ ト フ ォ ー ム を 使 わ ざ る を 得 な い 状 況 と な っ た が 、 で き る 限 り 学 習 者 が 主 体 的 に 英 語 で 何 か を 行 う 活 動 を 取 り 入 れ る こ と を 試 み た 。

オ ン ラ イ ン 授 業 に よ り 、 授 業 資 料 の 精 緻 化 、 事 前 事 後 課 題 の 徹 底 が 図 ら れ 、 結 果 と し て 例 年 に な い 量 の 教 授 資 料・学 修 成 果 が 記 録 と し て 残 さ れ た 。本 研 究 で は 、 こ れ ら の デ ー タ を 分 析 す る こ と で 、 オ ン ラ イ ン へ の 適 応 を 試 み な が ら 、 受 講 生 の 反 応 と の 相 互 作 用 に よ り 、 教 員 が ど の よ う に 授 業 を 進 め て い っ た か に 焦 点 を 当 て る 。 具 体 的 に は 、 オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 取 り 入 れ た 英 語4技 能 習 得 を 目 指 し た 、 オ ン ラ イ ン の ア ク テ ィ ブ

ラ ー ニ ン グ 型 授 業 の 効 果 と し て 、 以 下 の 4つ の リ サ ー チ ク エ ス チ ョ ン(RQ)に つ い て 明 ら か に し よ う と す る 。 RQ1. オ ー セ ン テ ィ ッ ク 教 材 を 用 い た 完 全 オ ン ラ イ ン 授 業 に よ り 、 ど の よ う な 情 報 が 事 前 課 題 か ら 得 ら れ 、 そ れ が ど の よ う に 教 員 の レ ク チ ャ ー に 反 映 さ れ 、 変 化 や 気 づ き を も た ら し た か 。

RQ2. 指 定 さ れ た 4 つ の ト ピ ッ ク カ テ ゴ リ ー に 対 し 、 学 生 は ど の よ う な TIME記 事 を 発 表 に 選 択 し て い た か 。 RQ3. 課 題 記 事 の 理 解 に 基 づ い た 受 講 生 のReviewは コ ロ ナ 禍 の 学 生 の 生 活 を ど の よ う に 映 し 出 し 、 教 員 は ど の よ う に そ れ に 反 応 し た か 。

RQ4. 受 講 生 は オ ン ラ イ ン の 課 題 に ど の よ う な 印 象 を 持 ち 、4 技 能 育 成 へ の 効 果 を 実 感 し た か 。 オ ン ラ イ ン の メ リ ッ ト ・ デ メ リ ッ ト を ど の よ う に 感 じ た か 。

4. 研 究 方 法

4.1. 参 加 者

本 科 目 の 受 講 生 は 日 本 国 内 の 国 立 系 大 学 で 英 語 を 専 攻 す る 3・4年 次 生24名 で あ っ た 。当 該 学 部 は 2018 年 に 学 部 が 改 組 さ れ た た め 、 こ の う ち 12名 は 旧 学 部 、 12 名 は 新 学 部 の 所 属 で あ っ た 。本 稿 で は 、受 講 生 の う ち 提 出 物 等 を 学 術 的 分 析 に 使 用 す る こ と を 同 意 し た 20 名 の デ ー タ を 分 析 に 用 い た 。参 加 者 の 中 間 省 察 に お け る 「Have you ever tried reading TIME magazine BEFORE taki ng this class?」 の 結 果 で は 、Yesが3 名

(15% )、Maybeが 3名 (15% )、Noが 14名 (70% ) で あ っ た 。

4.2. 科 目 概 要 と活 動・ 課 題の設 計

先 述 の よ う に 、「 上 級 英 語 演 習 」 は 新 学 部 の 教 職 課 程 認 定 科 目 ( コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 分 野 ) と し て 、 以 下 の よ う に 目 標 を 設 定 し て い た 。

本 授 業 で は 、TIME Online の 記 事 を 読 ん で 理 解 し 、 そ れ を 基 に し た デ ィ ス カ ッ シ ョ ン 、 グ ル ー プ プ ロ ジ ェ ク ト を 行 う こ と に よ っ て 、 以 下 の 英 語 ス キ ル を 身 に 付 け る こ と を 目 的 と す る 。

(1) 科 学 、 社 会 分 野 等 に お け る 最 新 の 知 見 を 英 語 で 理 解 し 、 内 容 を 簡 潔 に ま と め る 。

(2) テ ー マ に 基 づ い た 資 料 に つ い て 意 見 を 述 べ る 。 (3) TIMEの テ ー マ 記 事 を 核 と し て 検 索 を 行 い 、関 連 記 事 を 探 し 、 概 要 と 推 薦 理 由 を 述 べ た Review を 英 文 で 書 く 。

こ の 目 標 を 達 成 す る た め の 授 業 方 法 と し て 、 想 定 し て い た 内 容 は 以 下 の 通 り で あ る :「TIME Online の 分 野

(Health, Science & Innovation, Food and Drink, Ideas)

別 記 事 を 1 つ ず つ 取 り 上 げ 、 教 員 の 説 明 を 基 に 内 容 を 理 解 し 、 概 要 と リ ア ク シ ョ ン を Review と し て 英 文 で

(6)

ま と め る 。 次 の 授 業 ま で に 同 じ 分 野 の 別 の 記 事 を 検 索 し て 読 み 、 そ の 内 容 を グ ル ー プ で 紹 介 し 合 い 、 デ ィ ス カ ッ シ ョ ン を 行 う 。 さ ら に 次 の 授 業 で は 、 グ ル ー プ で 1 つ 選 ん だ 記 事 に つ い て 、 ク ラ ス 発 表 を 行 う 。 最 終 的 に 、 自 分 で TIME の 記 事 を 選 ん で 読 み 、 概 要 と 推 薦 理 由 を 含 め た Reviewを 英 文 で 書 く 。」

授 業 方 法 を 読 む と ReadingとWriting、発 表 が 強 調 さ れ て い る 印 象 が あ る が 、All Englishを 前 提 と し た 対 面 で の 授 業 活 動 に 、Listening、Speaking も 含 め て い た 。1 つ の ト ピ ッ ク カ テ ゴ リ ー に 対 し 、1 回 目 の 講 義 で は 教 員 が 指 定 し た 課 題 記 事 を 教 員 の 解 説 を 基 に ク ラ ス 全 員 で 読 ん で 理 解 す る 。 そ れ を Review に ま と め た 後 、 同 じ カ テ ゴ リ ー の 記 事 を 検 索 し て 読 み 、 グ ル ー プ ご と に メ ン バ ー へ の 内 容 紹 介 ( 第2回 ) と 、 グ ル ー プ デ ィ ス カ ッ シ ョ ン の 結 果 を ク ラ ス で 発 表 す る( 第3回 )。こ の 3回 を1ク ー ル と し て 、ト ピ ッ ク ご と に4回 繰 り 返 す 。 最 終 的 に 、 育 成 さ れ た 英 語 の ス キ ル を 示 す 期 末 課 題 に 取 り 組 む 。 共 通 の 課 題 記 事 を 用 い た 第1回 の 講 義 を 設 け た の は 、TIME の 記 事 は 言 語 的 に も 文 化 的 に も 、 読 ん で 理 解 す る の に 教 員 のscaffolding [19]が 必 要 と 感 じ た か ら で あ る 。 ま た 第2回 、 第3回 の 講 義 で は 、 学 生 に 読 み た い 記 事 を 選 択 さ せ る こ と で 学 習 の 動 機 づ け を 高 め[10]、 自 分 の 読 ん だ 内 容 を そ れ を 知 ら な い 人 に 伝 え るinformation gapを 用 い た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 活 動 [19] を 取 り 入 れ よ う と し て い た 。グ ル ー プ で の 記 事 の 紹 介 と デ ィ ス カ ッ シ ョ ン 、 ク ラ ス へ の 発 表 は 、 ニ ア ピ ア ロ ー ル モ デ ル (Murphey & Arao, 2001)[20] に よ る 動 機 づ け を 狙 っ た も の で あ っ た 。

4.3. コロナ対 応によるオンライン化の変 更 点

こ の よ う に 授 業 設 計 し て い た も の の 、2020年 前 期 に 初 め て 開 講 さ れ た 本 科 目 は 、 開 始 直 前 に 完 全 オ ン ラ イ ン 化 が 決 定 し 、4月 の 準 備 期 間 を 経 て 、5月 の 連 休 明 け に 第1回 講 義 開 始 と い う ス ケ ジ ュ ー ル で 実 施 さ れ た 。 2020年4 月 26日 に は 緊 急 事 態 宣 言 が 出 さ れ 、 大 学 も 入 構 禁 止 の 中 、 自 宅 で の 準 備 、5 月 連 休 明 け か ら の 授 業 開 始 と な っ た 。学 内 に 導 入 さ れ て い るTeams を 使 う こ と は 決 め た も の の 、 リ ア ル タ イ ム 配 信 の 授 業 経 験 は 皆 無 だ っ た こ と か ら 、 回 線 が う ま く つ な が る の か 、 学 生 が オ ン ラ イ ン 授 業 に つ い て こ ら れ る の か 、 手 探 り 状 態 で ス タ ー ト せ ざ る を 得 な か っ た 。

リ ア ル タ イ ム 授 業 へ の 不 安 か ら 、 実 際 に 学 生 と 同 期 で 会 う の は 各 ク ー ル1回 目 の 教 員 に よ る レ ク チ ャ ー 回

( 学 期 中4回 ) だ け と し た 。 第2回 、 第3回 に 計 画 し て い た グ ル ー プ ワ ー ク の 発 表 ・ や り 取 り に つ い て は 、 非 同 期 のFlipgridとWebclassを 活 用 す る こ と に 決 め た 。 Webclassは そ れ ま で の 授 業 で 活 用 し て い た た め 比 較 的 取 り 入 れ や す く 、Flipgridに つ い て は 、4月 の 段 階 で 学 内FDに よ り 、使 い 方 を 学 ぶ こ と が で き た た め で あ る 。

対 面 で あ れ ば 、 ク ラ ス で グ ル ー プ に 分 か れ て 、 選 ん で 読 ん で き た 記 事 の 内 容 発 表 、Q&Aを 行 う 予 定 だ っ た 部 分 を 、 上 記 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム の 使 用 に よ り 、 ス ケ ジ ュ ー ル に 沿 っ た オ ン デ マ ン ド 型 に 組 み 替 え た 。

学 生 の 課 題 、 使 用 し た プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と 評 価 の 詳 細 を 以 下 に 示 す 。 ト ピ ッ ク カ テ ゴ リ ー ご と の 各 ク ー ル に お け る 、 教 員 の 選 ん だ 課 題 記 事 を 中 心 と し た 一 連 の 活 動 を Phase 1、 受 講 生 が 選 ん だ 記 事 に よ る 活 動 を Phase 2 と し 、 そ れ ぞ れ 表1、表 2に ま と め た 。 な お 対 面 で は Phase 2 で 4名 程 度 の グ ル ー プ を 予 定 し 、 教 室 で 話 し 合 い に よ り グ ル ー プ に な っ て も ら う つ も り で あ っ た 。 し か し 、 お 互 い に 外 出 も 制 限 さ れ て い た 当 時 の 状 況 か ら 、 連 絡 を 取 る 人 数 が1人 で 済 む ペ ア に 変 更 し た 。 さ ら に 、 そ れ ま で 担 当 し た 経 験 の あ る 受 講 生 た ち の 学 年 や ク ラ ス で の 状 況 を 勘 案 し て 、 教 員 が ペ ア の 案 を あ ら か じ め 提 示 し 、 了 承 を 得 る こ と に し た 。 希 望 に よ り 変 更 も 可 能 と し た が 、 希 望 の 申 し 出 は な く 、 教 員 が 組 ん だ ペ ア に よ り 、 活 動 を 行 う こ と に な っ た 。

表1 Phase 1: 課 題 記 事 の 読 解 を 中 心 と し た 活 動 活 動 ス テ

ッ プ

受 講 生 が や る こ と

使 う シ ス テ ム

評 価

Pre-reading questions

Pre-reading questions に 答 え る

Google Forms

2 points (x 4) Comment

on Google Doc( 後 に Webclass 掲 示 板 に 変 更 )

指 定 さ れ た 記 事 を 読 み 、 コ メ ン ト や 質 問 を 書 き 込 む

TIME Online, Google Doc

3 points (x 4)

Lecture Listening

教 員 に よ る 説 明 を オ ン ラ イ ン で 聞 く

Teams (Real time) Stream (Recorded)

参 加 or 動 画 視 聴 す る Oral

Comment

記 事 に つ い て 口 頭 で コ メ ン ト す る

( 英 語:1分 )

Flipgrid 2 points (x 4)

Review 提 出

記 事 の 概 要

( サ マ リ ー ) とReactionを 300~400 wordsで 書 く

Webclass の 提 出 箱

3 points (x 4)

(7)

* 上 記 を4つ の ト ピ ッ ク に つ い て 繰 り 返 す . 全 部 で 成 績 評 価 の 40% .

表2 Phase 2: 受 講 生 が 選 ん だ 記 事 に よ る ペ ア 活 動 活 動 ス テ

ッ プ

受 講 生 が や る こ と

使 う シ ス テ ム

評 価

Select &

Share

読 む 記 事 を ペ ア で 決 め て 、そ の 記 事 リ ン ク を Webclass の 掲 示 板 に 載 せ る

TIME Online Webclass の 掲 示 板

2 points (x 2)

Oral Presentati on

ペ ア の 内1名 の 担 当 者 が 、選 ん で 読 ん だ 記 事 の 内 容 と 感 想 を 口 頭 で 録 画 し 、ア ッ プ ロ ー ド す る ( 英 語 : 5分 )

Flipgrid 4 points (x 2)

Instructor Q&A

Oral

Presentation を 担 当 し な か っ た ペ ア の メ ン バ ー は 、選 ん だ 記 事 に 対 す る 教 員 の 質 問

(Webclass掲 示 板 の 記 事 リ ン ク に 返 信 )に 答 え る

Webclass の 掲 示 板

4 points (x 2)

Class Comment

他 の ペ ア の 発 表 動 画 に コ メ ン ト を 英 語 で 3 つ 付 け る

Flipgrid 3 points (x 4)

*4 つ の ト ピ ッ ク に つ い て 、 ペ ア で 半 分 ず つ 分 担 . 全 部 で 成 績 評 価 の32% .

Phase 1、Phase 2の 他 に 、 以 下 の Phase 3とPhase 4 を 設 け 、 す べ て の 課 題 と 評 価 内 容 を 「Overview」 と い う パ ワ ー ポ イ ン ト 資 料 に ま と め 、 授 業 開 始 時 に 受 講 生 に 配 布 し た 。

[Phase 3: 学 習 の ふ り 返 り と 教 員 へ の フ ィ ー ド バ ッ ク] 中 間 と 期 末 の 省 察 を Google Forms で 回 答 (7% x 2

=14%)

[Phase 4: 学 期 末 の 集 大 成 課 題] 期 末 課 題 :Review 5(14%)

学 期 の 最 後 に TIME Onlineの 記 事 ( ク ラ ス で 扱 っ た 記 事 は 除 く ) を 1 つ 選 ん で 読 み 、 概 要 を 英 語 で ま と め 、 Reactionを 付 け た 発 表 を 、Flipgridに 動 画 提 出 、ま た は WebclassにReviewと し て 提 出

当 時 、 初 め て 非 対 面 授 業 に 移 行 と い う 状 況 の 中 、 学 び の 質 保 証 、 す な わ ち 対 面 で あ れ ば 90 分 の15週 授 業 と 授 業 前 ・ 後 の 学 習 時 間 に 相 当 す る 授 業 内 容 ・ 設 計 を 行 う こ と を 意 識 す る こ と が 求 め ら れ て い た 。 そ の た め 、 課 題 は で き る だ け 細 か く 設 定 し 、 ス テ ッ プ バ イ ス テ ッ プ で 取 り 組 ん で い け る よ う に タ ス ク を デ ザ イ ン し た 。 図1は こ れ ら の 課 題 に 取 り 組 ん で い く 流 れ を 図 式 化 し た も の で 、 学 生 へ の 説 明 用 に 作 成 し た も の で あ る 。 作 成 し て 気 づ い た の は 、 実 際 こ れ ら は 、 対 面 授 業 の 際 の 授 業 外 で の 学 生 の 復 習 と 予 習 行 動 ま で を 図 式 化 し た も の に 過 ぎ な い 、 と い う こ と で あ る 。 そ れ で も 、 学 生 に 期 待 す る 授 業 外 の 行 動 を す べ て 書 き 出 し て 図 式 化 す る こ と で 、先 に Overview資 料 で 示 し た 細 か な 課 題 内 容 を 時 系 列 で 示 す そ う と 意 図 し た 。 し か し 、 実 際 に リ ア ル タ イ ム レ ク チ ャ ー で も 、 こ の 図 を 説 明 し て 伝 え る の は か な り 難 し か っ た 。

図1 課 題 の サ イ ク ル を 説 明 す る ス ラ イ ド

講 義 の オ ン ラ イ ン 化 が 決 ま っ た4月 か ら 連 休 明 け の 第 1回 目 の レ ク チ ャ ー ま で に 、 ま ず パ ワ ー ポ イ ン ト 資 料 の 作 成 と オ ン デ マ ン ド 動 画 の 作 成 、配 信 に 着 手 し た 。 通 常 で あ れ ば 1回 目 の 講 義 は オ リ エ ン テ ー シ ョ ン を 行 い 、 ク ラ ス 内 の ラ ポ ー ト 醸 成 を 行 う の だ が 、 一 度 も 受 講 生 と 対 面 し な い ま ま の オ ン ラ イ ン 講 義 と な る た め 、 Teams で の 顔 合 わ せ ま で に で き る こ と を 考 え 実 行 し た 。

(8)

最 初 の オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 回 に つ い て は 、TIME の 記 事 の 探 し 方 を パ ソ コ ン 室 で 演 習 す る 予 定 だ っ た 。 こ れ に 代 わ る も の と し て 、記 事 の 探 し 方 を 説 明 す る 動 画(17 分 )を 作 成 し 、Microsoft Streamの グ ル ー プ を 作 り 、あ ら か じ め 視 聴 で き る よ う に し た 。 こ の 時 点 で は 、 動 画 は 英 語 で 説 明 し て い た ( 図 2参 照 )。

図2 「TIME Online記 事 の 探 し 方 」 動 画 の 一 部

こ れ に 加 え 、 授 業 の 進 め 方 や 評 価 な ど の 情 報 を ス ラ イ ド 資 料 と し て 作 成 し 、事 前 にWebclassで 配 布 す る と 同 時 に 、 第1回 の 講 義 で 説 明 し た 。 そ の 時 の 資 料 に は 、 当 時 の 不 安 な 状 況 を 鑑 み 、 以 下 の よ う な 目 標 メ ッ セ ー ジ も 含 め て い た 。

TIME onlineを 読 む 意 義 ( 最 初 の リ ア ル タ イ ム 講 義 ) a. ク ラ ス 全 員 で 読 む →Assigned article

b. ク ラ ス で 紹 介 し 情 報 共 有 す る →Pairwork article こ の よ う な 状 況 の 中 で ・ ・ ・

1. 今 現 在 の 情 報 を 英 語 で 読 ん で 理 解 し よ う

2. 同 じ 記 事 に つ い て ク ラ ス 全 体 で 理 解 を 深 め 、意 見 を 共 有 し よ う

3. Pairworkに よ り 、自 分 で 記 事 を 探 し て 読 み 、人 に 伝 え る 力 を 養 い つ つ 、 他 の 記 事 に も 意 見 を 述 べ よ う

同 じ 記 事 を ク ラ ス 全 体 で 読 ん で き て 教 員 が 解 説 す る レ ク チ ャ ー 回 で は 、 受 講 生 の 反 応 を 確 認 す る こ と が 難 し い と 判 断 し 、全 面 的 に 反 転 授 業 [21] を 意 識 し た 。 リ ア ル タ イ ム 配 信 の 授 業 日 前 日 ま で に 課 題 記 事 を 読 み 、 記 事 に 関 連 し た 質 問(Pre-reading Questions)にGoogle Formsで 回 答 す る と と も に 、Google Document形 式 の 課 題 記 事 に コ メ ン ト と 質 問 を 書 き 込 む よ う 、 受 講 生 に 指 示 し た( 表 1、図1参 照 )。し か し 開 始 し て み る と 、誤 っ てGoogle Documentの 記 事 の 一 部 を 削 除 し た り 、 先 に 書 き 込 ま れ て い た ク ラ ス メ ー ト の コ メ ン ト を 削 除 し

て し ま う ケ ー ス が 続 出 し た 。 幾 度 と な く 注 意 喚 起 し た の だ が 、 学 生 た ち は ス マ ー ト フ ォ ン の 画 面 で 書 き 込 も う と し て い た ら し く 、 記 事 や コ メ ン ト の 全 容 が わ か ら な い ま ま の 操 作 に よ り 改 善 が 見 ら れ な か っ た 。 学 生 た ち と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 限 定 さ れ て い る 中 で プ ラ ッ ト フ ォ ー ム を 途 中 変 更 す る こ と に は 大 き な 不 安 が あ っ た が 、3回 目 の レ ク チ ャ ー 記 事 か ら Webclassの 掲 示 板 投 稿 に 切 り 替 え 、 結 果 と し て 問 題 な く 進 め ら れ た 。 さ ら に Flipgridの 使 用 方 法 に つ い て も 、 図 3の よ う な ス ラ イ ド 資 料 を 準 備 し 、Webclassに ア ッ プ ロ ー ド す る こ と で 、 授 業 に よ る 説 明 の 代 替 と し た 。

図3 「Flipgridの 使 い 方 」 ス ラ イ ド 資 料 ( 抜 粋 )

学 期 中 間 で の 省 察 ア ン ケ ー ト に お い て は 、「 英 語 を 上 手 に 話 す コ ツ を 知 り た い 」、「 良 い Review を 書 く に は ど う し た ら よ い か 」 と い う フ ィ ー ド バ ッ ク を 得 た 。 こ れ ら に 対 応 し 、「How to Speak Fluently」、「How to Write a Good Review」と い う 内 容 の 動 画( 各 20分 程 度 ) を 作 成 し 、MS Streamに ア ッ プ ロ ー ド す る と 同 時 に 、 リ ン ク を Webclassで 周 知 し た 。非 常 事 態 に 緊 急 対 応 し よ う と し た こ と か ら 、 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム も 多 岐 に わ た っ て い た が 、受 講 生 に は 、「 わ か ら な く な っ た ら 、入 り 口 は ( 学 生 た ち に 最 も な じ み が あ る )Webclassに あ る の で 、 そ こ に 立 ち 返 る こ と 」 と 繰 り 返 し 伝 え 、 学 生 が 迷 子 に な る こ と を 可 能 な 限 り 防 ご う と し た 。

コ ロ ナ 禍 で 当 初 の 予 定 か ら 変 更 せ ざ る を 得 な か っ た 点 の 1つ に 、記 事 の ト ピ ッ ク カ テ ゴ リ ー が あ る 。2016 年 に シ ラ バ ス を 作 成 し た 時 点 で は 、Health, Science &

Innovation, Food and Drink, Ideasの4つ の ト ピ ッ ク カ テ ゴ リ ー か ら 記 事 を 選 ぶ こ と を 意 図 し て い た が 、2020年 4 月 か ら 8 月 の 時 期 で は 、 ほ と ん ど の 記 事 が コ ロ ナ 関 連 と な っ て し ま っ て い た 。最 初 の ト ピ ッ ク Healthは 奇 し く も 最 も タ イ ム リ ー な 話 題 と な り 、 記 事 も 豊 富 に あ っ た が 、Food and Drinkは カ テ ゴ リ ー そ の も の が 消 え

QR Class c ode

(9)

て し ま っ た 。 そ の た め 、Entertainmentの カ テ ゴ リ ー か ら 記 事 を 選 ぶ こ と に し た 。 ど の カ テ ゴ リ ー に お い て も Pandemic と 無 関 係 の 記 事 を 探 す こ と は 至 難 の 業 で あ っ た 。 レ ク チ ャ ー で 取 り 上 げ た 課 題 記 事 の タ イ ト ル に つ い て は 、 結 果 と 考 察 の 項 に 記 載 す る 。

4.4. データ及 び分 析

本 実 践 の 分 析 に お い て は 、 筆 者 が 教 員 と し て 使 用 し た 教 授 資 料 、 並 び に オ ン ラ イ ン 上 の プ ラ ッ ト フ ォ ー ム に 残 さ れ た 提 出 課 題 や や り 取 り 等 に つ い て 、 教 育 研 究 目 的 の デ ー タ 使 用 に 同 意 し た 20 名 分 を 分 析 に 使 用 す る 。 ま た 、 中 間 と 期 末 に 授 業 課 題 の 一 環 と し て 省 察 を 兼 ね た ア ン ケ ー ト を Google formsで 実 施 し て お り 、そ の 結 果 も 20名 分 を 分 析 に 使 用 す る 。

5. 結 果 と 考 察

5.1. 課 題 記 事 を用 いた反 転 授 業 における教 員 レクチャーの 変 化

TIME の 記 事 は 語 彙 レ ベ ル も 高 く 、 話 題 性 の 高 い テ ー マ を 取 り 上 げ て い る こ と か ら 、 受 講 学 生 が 自 力 で 100% 理 解 す る の は 易 し く な い だ ろ う と の 想 定 に よ り 、 対 面 授 業 で あ っ て も 教 師 側 の 解 説 は 行 う つ も り で あ っ た 。 た だ し 、 あ く ま で 主 体 は 読 み 手 で あ り 、 受 講 生 が 読 ん で 難 し い と 感 じ た 部 分 の 支 援 を 行 い た い と 考 え て い た 。 講 義 の オ ン ラ イ ン 化 に よ り 、 読 み 手 の ス キ ー マ を 活 性 化 さ せ るPre-reading questions と 、教 員 の 説 明 を 効 果 的 に 行 う た め の コ メ ン ト と 質 問 を レ ク チ ャ ー 前 の 事 前 課 題 と し 、 反 転 授 業 を 行 っ た 。 難 し い 語 句 は 、 受 講 生 が 辞 書 で 調 べ る こ と が で き る 。 課 題 記 事 ご と に 1 回(90分 の み )設 定 し た レ ク チ ャ ー で は 、い か に 記 事 の 内 容 を よ り 立 体 的 に 、 受 講 生 が 自 分 事 と し て 取 り 入 れ ら れ る よ う に で き る か に 腐 心 し た 。

学 期 が 進 む 中 、 課 題 記 事 は 刻 々 と 変 わ る TIME の 記 事 を 検 索 し 、 そ の 時 点 で 最 も 学 生 の 知 的 好 奇 心 に 訴 え る と 判 断 し た 記 事 を 選 び 、 そ の 記 事 に 対 す る Pre-reading Questionsを 掲 載 し た Google Formsを 準 備 し た 。 以 下 、 記 事 の タ イ ト ル と Questions を 紹 介 し な が ら 、 事 前 質 問 と そ れ を 使 っ た レ ク チ ャ ー の 質 的 な 変 化 を 見 て い く 。

最 初 の ト ピ ッ ク (Health) に お い て は 、 コ ロ ナ の 影 響 に よ る 自 分 自 身 の 生 活 の 変 化(Question 1, 以 下Q1)、

記 事 の 理 解 で 重 要 な social distancing に つ い て の 知 識

(Q2)、接 触 制 限 に よ っ て 感 じ る ス ト レ ス の 理 由(Q3)

に つ い て 尋 ね て お り 、 す べ て 記 事 の 理 解 に 直 結 す る 質 問 と な っ て い た 。

[Health課 題 記 事]

T h e C o ro n av i r us O u t bre ak K e e p s H u m a ns fro m To u c h in g . H e re ' s W h y T h a t 's S o S tre ss f ul

(Pre-reading Questions)

1. How did your behavior change in avoiding coronavirus infection?

2. What is “social distancing”? How far do you think is safe as a distance to others? Specify the situations if necessary.

3. What do you think is the reason of stress caused by touch restrictions?

次 の Science に お い て も 、 記 事 に 出 て く る 主 要 概 念 で あ る wildlife habitat と 自 分 自 身 の 関 わ り (Q1)、

COVID-19の 起 源 に つ い て の 知 識(Q2)、記 事 の 理 解 に 不 可 欠 な biodiversity に つ い て の 意 見 (Q3) を 尋 ね る 質 問 と な っ て お り 、 記 事 本 文 の 意 味 を 正 確 に 理 解 さ せ る 読 解 に 資 す る よ う な 設 問 を 心 が け て い た こ と が わ か る 。

[Science課 題 記 事]

Want to Stop the Next Pandemic? Start Protecting Wildlife Habitats

(Pre-reading Questions)

1. Do you feel close to wildlife habitats? Why or why not?

2. What brought the COVID-19 to the world-wide pandemic? How did it start to your knowledge?

3. Do you think that keeping "biodiversity" in the wildlife habits is important? Why or why not?

し か し 、 こ の ScienceのQ1で ほ ぼ 全 て の 受 講 生 が No と 答 え る だ ろ う と の 想 定 が 覆 さ れ た こ と か ら 、 教 員 の 記 事 の 扱 い ・ レ ク チ ャ ー に 変 化 が 訪 れ る 。 回 答 し た 受 講 生 22名 中9名 の 学 生 が Q1にYesと 答 え 、そ う 感 じ る 理 由 と し て 、 地 元 の サ ト ウ キ ビ 畑 や よ く 見 か け る 野 良 猫 、 幼 い こ ろ に よ く 行 っ て い た 野 外 キ ャ ン プ な ど を 挙 げ た 。「 学 生 は そ う 捉 え る の か 」と 正 に 目 か ら う ろ こ の 気 分 で も あ っ た が 、 こ の Pre-reading Question 1の 結 果 は Wildlife habitatの 解 釈 に 幅 が あ る こ と も 一 因 だ と 感 じ 、 レ ク チ ャ ー の ス ラ イ ド で は 、 日 本 語 に す る と 概 念 が 似 通 っ て い る と 思 っ た Wildlife habitat, Nature, Wild animals に つ い て 、Google imageの 検 索 結 果 を 紹 介 す る こ と で 、視 覚 的 な イ メ ー ジ を 補 足 し た ( 図 4, 5, 6参 照 )。 こ れ も オ ン ラ イ ン な ら で は の 試 み で あ っ た 。 ま た 、 生 物 多 様 性 (biodiversity) に つ い て イ ン タ ー ネ ッ ト で 検 索 し た と こ ろ 、 環 境 省 の ホ ー ム ペ ー ジ に そ の 紹 介 や 、 多 様 性 の 維 持 の た め に で き る こ と (My行 動 宣 言 ) の 掲 載 が あ る こ と を 知 っ た た め 、 そ の 情 報 も レ ク チ ャ ー 内 で 紹 介 し た 。

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図4 Wildlife habitatのGoogle Imageス ラ イ ド

図 5 NatureのGoogle Image ス ラ イ ド

図 6 Wildlife animalsのGoogle Imageス ラ イ ド

Scienceの 課 題 記 事 で の 読 み 手( 受 講 生 )に よ る 解 釈 の 多 様 性 や 、 記 事 の キ ー ワ ー ド を 基 に し た 発 展 性 へ の 気 づ き は 、次 のEntertainment課 題 記 事 の 選 択 と 、コ ロ

ナ を よ り 自 分 事 と し て 捉 え 、 そ れ を 世 界 と 共 有 す る た め の Pre-reading Questionsの 設 定 へ と 発 展 し た 。 課 題 記 事 は ア フ タ ー コ ロ ナ へ の 希 望 を 歌 っ た When Life Is Good Again と い う 曲 を リ リ ー ス し たDolly Partonと い う 歌 手 へ の イ ン タ ビ ュ ー 記 事 で 、 曲 も Youtubeで 聞 く こ と が で き た 。 教 員 自 身 も Dolly Partonに つ い て は 何 も 知 ら ず 、TIME記 事 に よ り 、 初 め て そ の 存 在 を 知 っ た 。Pre-reading Questionsの Google Formsに は Youtube の 動 画 も 埋 め 込 み 、Q1、Q2に 対 応 し た 。こ の 頃 に は 、 受 講 生 が 提 出 し て い た Reviewの 内 容 か ら 、 い か に 学 生 た ち が コ ロ ナ の 影 響 で 今 ま で の 夢 を あ き ら め ざ る を え な か っ た り 、 生 活 が 急 激 に 制 限 さ れ た り な ど 、 様 々 な 形 で コ ロ ナ に よ っ て 傷 つ い て い る 様 子 も 理 解 し て い た 。 そ の た め 、 歌 を 取 り 上 げ た 課 題 記 事 に 寄 せ て 、 よ り 学 生 自 身 が 励 ま し を 共 有 で き る よ う に と の 思 い で 、 Q3、Q4を 設 定 し た 。Q5はWhen Life Is Good Again の 歌 詞 と 課 題 記 事 の 内 容 か ら 、 コ ロ ナ に よ っ て 自 分 が ど う 変 わ る ( 変 わ り た い ) と 思 う か に つ い て 尋 ね た 。

[Entertainment課 題 記 事]

'Everything Has to Pass. ' Why Dolly Parton Is Optimistic About Life After Coronavirus

(Pre-reading Questions)

1. Do you know a singer called Dolly Parton ?

2. Have you ever listened to her song titled "When Life Is Good Again"?

3. What song do you recommend to the classmates in this difficult time with the COVID-19 pandemic? Answer like "Song title" by "Singer's/Band's name". You can recommend more than one if you like. (It doesn't have to be an English song.)

4. Did your preference of songs and/or music change before and after the coronavirus outbreak?

5. What kind of person do you want to be after the COVID-19 pandemic?

Entertainment課 題 記 事 のPre-reading Questions結 果 を 取 り ま と め た 際 、Q1に 1名 だ け Yesと 答 え た 学 生 が お り 、 ま た こ の 学 生 が Dolly Partonに つ い て 自 ら 検 索 し た こ と を 知 っ た 。 そ の た め 教 員 側 も 、Dolly Parton の 活 動 に つ い て 掘 り 下 げ て 検 索 し 、 基 金 を 作 っ て 子 ど も や 家 庭 に 無 償 で 本 を 届 け た り 、 読 み 聞 か せ す る 活 動 を 行 っ て い た り す る こ と を 、 情 報 が 掲 載 さ れ て い る ホ ー ム ペ ー ジ と と も に 紹 介 し た 。 ま た Q3に つ い て 自 分 の 好 き な 曲 を 紹 介 す る と 同 時 に 、 受 講 生 の 回 答 を 一 覧 に し て ス ラ イ ド で 示 し た が 、 加 え て 回 答 に あ っ た We Are the Worldな ど が オ ン ラ イ ン 上 で リ モ ー ト 演 奏 さ れ て い る 動 画 の リ ン ク を 示 す こ と で 、 直 接 集 ま れ な い 状 況 下 で も 世 界 中 で そ れ を 乗 り 切 ろ う と し て い る 現 実 を 情 報 共 有 で き た 。

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最 後 の 課 題 記 事 は Ideasの カ テ ゴ リ ー だ っ た が 、 こ こ で は 、 パ ン デ ミ ッ ク が あ ぶ り 出 し た 社 会 的 差 別 と し て ア メ リ カ の 人 種 問 題 を 取 り 上 げ た 。 折 し も ジ ョ ー ジ ・ フ ロ イ ド 氏 の 殺 害 事 件 か らBlack Lives Matter

(BLM)の デ モ が 日 本 の メ デ ィ ア で も 報 じ ら れ て い た こ と か ら 、 背 景 知 識 と 結 び 付 け て 理 解 で き る だ ろ う と 判 断 し た 。 ま た 後 述 す る よ う に 、 こ の 時 点 ま で に 学 生 た ち が 選 ん で 発 表 し た 記 事 の 中 に 、BLMの 活 動 を 取 り 上 げ た も の が あ り 、 受 講 生 の 関 心 が 向 く で あ ろ う こ と も 容 易 に 想 像 で き た 。

[Ideas課 題 記 事]

The COVID-19 Pandemic Shows Why We Must —And How We Can—End Racial Injustice in Health

(Pre-reading Questions)

1. What do you know about the Black-Lives-Matter movement in the US?

2. How often do you see a doctor for your own treatment (before the pandemic)?

3. How much in a month do you spend on your

healthcare (medicine, go to a doctor, etc.) on average?

4. Do you know anything about Martin Luther King (and his famous speech)?

Pre-reading Questionsで は 、記 事 の 理 解 を 助 け る 背 景 知 識 の 活 性 化 に 資 す る 質 問 (Q1, Q4) に 加 え 、 日 本 と 米 国 の 医 療 保 険 制 度 の 違 い に 気 づ か せ る 目 的 で Q2、Q3 を 設 定 し た 。 レ ク チ ャ ー に お い て は 、Q2~4に 関 し て 回 答 数 の 割 合 を 円 グ ラ フ で 示 し 、 ク ラ ス の 状 況 を 共 有 し た 。 特 にQ4の 受 講 生 回 答 に よ り 、 こ の 課 題 記 事 の 理 解 に 不 可 欠 な キ ン グ 牧 師 に つ い て の 知 識 を 、 ほ と ん ど の 学 生 が 持 ち 合 わ せ て い な か っ た こ と は 、 大 き な 衝 撃 だ っ た 。 そ の た め レ ク チ ャ ー に お い て は 、 キ ン グ 牧 師 の 動 画 ス ピ ー チ の リ ン ク を 示 し 、 一 部 を 流 し つ つ 、 補 足 説 明 を 行 っ た 。

以 上 の よ う に 、Pre-reading Questionsの 回 答 か ら 得 ら れ た 情 報 に よ り 、 よ り 深 い 読 解 を 促 す 資 料 と 説 明 の 準 備 を 行 う こ と が で き た 。 さ ら に 事 前 課 題 で は 、 受 講 生 が 課 題 記 事 に コ メ ン ト と 質 問 を 書 き 込 む こ と に な っ て お り 、 レ ク チ ャ ー で は そ の 質 問 に 答 え る 形 で 、 特 に 意 味 を 正 確 に 捉 え ら れ る よ う に 補 足 説 明 を 行 っ た 。 そ の 中 で 、 教 員 側 が 大 き な 気 付 き を 得 た 箇 所 に つ い て 分 析 す る 。1つ 目 はEntertainment 記 事 で のfeministと い う 語 に つ い て の 質 問 で 、 本 文 中 で は Dolly Partonに 対 す る イ ン タ ビ ュ ー で 「 あ な た は feministと 評 価 さ れ 、 女 性 の ロ ー ル モ デ ル だ と 言 わ れ る こ と が あ る が 、 自 分 で は ど の よ う に 考 え る か 」 と い う 質 問 が な さ れ 、 そ れ に 対 す るDolly Partonの 答 え が 述 べ ら れ て い た 。 こ の 個 所 に は 最 も 多 い5名 の 受 講 生 か ら 質 問 が あ っ た が 、 関 心 が 集 ま る こ と は 想 定 し て い な か っ た 。feminist( 辞 書

的 意 味 で は 男 女 同 権 論 者 ) と い う 言 葉 は 、 女 性 が 社 会 的 に 弱 い 立 場 に あ る こ と が 前 提 で あ り 、 そ の 前 提 の 理 解 が あ っ て 初 め て 、 歌 手 と し て 成 功 を お さ め 、 極 め て 積 極 的 に 社 会 貢 献 活 動 を し て い る Dolly Partonが 、 男 性 と 同 等 に 活 躍 し て い る 女 性 の ア イ コ ン と し て 、 他 の 女 性 の ロ ー ル モ デ ル と 見 な さ れ て い る と い う 文 脈 が 理 解 で き る 。し か し 、社 会 に 出 る 前 の 大 学 生 に と っ て は 、 同 権 を 主 張 し な け れ ば な ら な い ほ ど 、 女 性 の 社 会 的 地 位 は 低 い の だ と い う 意 識 が 希 薄 で あ る よ う に 感 じ た 。 Ideasの 課 題 記 事 の「COVID-19の よ う な 病 気 は 差 別 な く 誰 に で も 感 染 す る は ず な の に 、 社 会 的 に 差 別 さ れ て い る 層 に よ り 速 く 広 が っ て し ま う 」 と い う メ ッ セ ー ジ に つ い て も 、 日 本 の 皆 保 険 制 度 と 異 な る ア メ リ カ の 医 療 保 険 制 度 の 理 解(Pre-reading Questions の Q3, Q4)

に 加 え 、 人 種 差 別 の 歴 史 を 反 映 し た ア メ リ カ の 社 会 構 造 の 知 識 が 必 要 で あ ろ う こ と は 認 識 し て い た ( 同 Q1, Q4)。し か し そ れ 以 外 の 予 想 外 の 反 応 と し て 、white( 白 人 )に 対 す る people of color( 有 色 人 種 )と い う 表 現 に 、 ア ジ ア 系 で あ る 自 分 た ち も 入 る の だ 、 と い う シ ョ ッ ク に も 似 た 認 識 が 受 講 生 の 中 に あ っ た 。 記 事 の 解 説 を 行 っ て い く 中 で の こ れ ら の 反 応 は 、 受 講 生 の 「 差 別 さ れ る 側 に 立 っ た 経 験 の 希 薄 さ 」を 示 し て い る 。BLM運 動 に 関 心 を 持 ち 、 そ の ト ピ ッ ク に つ い て 調 べ 、 よ り 深 く 知 る こ と に つ な が っ た と し て も 、お そ ら く そ れ は「( 自 分 で は な い ) 黒 人 に 対 す る 差 別 」 と し て し か 、 受 講 生 の 目 に は 映 っ て い な か っ た の で は な い か 。 記 事 を 一 緒 に 読 ん で い く と き に は 、 事 実 が 述 べ ら れ て い る こ と は 理 解 で き て も 、 自 分 事 と し て 捉 え る 気 付 き を 与 え る 重 要 性 を 改 め て 認 識 し た 。

中 間 省 察 の Google formsに よ る ア ン ケ ー ト で 、こ の Teams レ ク チ ャ ー を 有 益 だ と 思 う か を4段 階 ( と て も 有 益 =4点 、有 益 =3点 、あ ま り 有 益 で な い =2点 、有 益 で な い =1点 ) で 評 価 し て も ら っ た と こ ろ 、 平 均 値 3.50、標 準 偏 差 0.61(N=20)と 高 い 値 で あ っ た 。ま た 、 期 末 省 察 で の「 授 業 で 読 ん だ 4 つ の 課 題 記 事 の 中 で 最 も 自 分 に イ ン パ ク ト を 与 え た も の( あ る い は 面 白 か っ た も の ) を 1 つ 選 ん で く だ さ い 」 の 問 い に お い て は 、 Health が4名 (20% )、Science が8名 (40% )、

Entertainmentが 2名(10% )、Ideasが6名(30% )と い う 結 果 に な り 、教 員 の レ ク チ ャ ー 準 備 の 思 い 入 れ と は 一 致 し て い な か っ た 。

5.2. 記 事 の選 択とプレゼン(Flipgrid

Pair 活 動 で は 、 ペ ア に な っ た 学 生 が 発 表 の た め に 当 該 テ ー マ の 記 事 を 1 つ 選 択 し 、 ペ ア の う ち 1 名 が Flipgrid で の 内 容 と コ メ ン ト の プ レ ゼ ン 、 も う 1 名 が Webclass掲 示 版 で 記 事 に 対 す る 教 員 か ら の 質 問(3問 ) に 英 語 で 解 答 す る 形 式 を と っ た 。 選 ん だ 記 事 は Webclass の 掲 示 板 で タ イ ト ル と URL を 報 告 し て も ら

Referensi

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- 33 - 1.はじめに―本稿の目的 「早く日本語を勉強して早く日本語を上達した い。夢はそのときは,日本人のように日本語を話 したい。ぱっと見て,外国人とわからないくらい の日本語を話したい。」 流暢な日本語でこう語ったKさんは,学部時 代から日本語を学んできた中国語母語話者の20 代の女性である。Kさんは大学卒業後に来日,大