マグネシウム合金板の 冷間深絞り加工
温間プレス成形品
〇ダイカスト
薄肉化,高強度化 生産性向上
〇プレス成形
温間(200〜300℃):装置複雑
冷間 :成形性低冷間での成形性向上
パンチ しわ押え
ダイス 冷却水
ヒーター
1.マグネシウム合金板の機械的特性
2.冷間円筒深絞り加工 3.フランジ割れ発生の抑制 4.角筒深絞り加工
5.小さな底角半径を持つ容器の冷間2 段プレス成形法
市販材に対し,冷間において 円筒,角筒深絞り加工を行う
成形性の評価 成形性の向上 AZ31マグネシウム合金板, 0.5mm
0.20 〜 0.35 Mn 0.7 〜 1.3
Zn 2.5 〜 3.5
Al
(mass%)
展伸用材料
研究目的
パンチ しわ押え
ダイス
(a)焼きなまし無し (b)焼きなまし有り(500℃, 1h) 焼なまし処理による成形性の変化
(絞り比=1.32)
(a) 焼きなまし無し (b) 焼きなまし有り
50μm焼なまし処理による組織の変化
50 100 150 200 250 300
0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 ひずみ
応力/ MPa
焼なまし有り 焼なまし無し
0
応力−ひずみ線図
マグネシウム合金板の機械的性質
0.32 0.14
n 値
1.50 1.33
r値
55.5 61.6
ビッカース硬さ Hv
絞り比= 1.32
22.4 17.6
伸び / %
153 214
耐力 / MPa
247 焼なまし有り
500 ℃ , 1h 274
焼なまし無し
引張強さ / MPa
10mm
破断伸びおよび絞りと焼なまし温度の関係
300 350 400 450 500 550 600 0
5 10 15 20 25 30
0 5 10 15 20 25 30
焼なまし温度 /℃
破断伸び/% 絞り/%
破断伸び 絞り
未処理材の破断伸び 未処理材の絞り
0 5 10 15 20 25 30
結晶粒径および硬さと焼なまし温度の関係
結晶粒径 硬さ
300 350 400 450 500 550 600 0
5 10 15 20 25 30
0 10 20 30 40 50 60 70 80
硬さ/HV
未処理材の硬さ
結晶粒径 硬さ
結晶粒径/µm
焼なまし温度 /℃
1.マグネシウム合金板の機械的特性 2.冷間円筒深絞り加工
3.フランジ割れ発生の抑制 4.角筒深絞り加工
5.小さな底角半径を持つ容器の冷間2 段プレス成形法
パンチ
しわ押え ダイス しわ押えバネ
207
深絞り実験装置 冷間円筒深絞り加工条件
ブランク直径を1mmずつ変化 限界絞り比 パンチ肩半径Rp=2,5mm 板厚 t=0.5mm 潤滑剤:二硫化モリブデン Rp
φ20.0 R4 φ18.8
限界絞り比焼となまし温度の関係
300 350 400 450 500 550 600 1
1.2 1.4 1.6 1.8 2
限界絞り比
r=5mm r=2mm
焼なまし温度 /℃
パンチ速度/ mm・min-1 15 ダイス肩半径Rd / mm
クリアランス/ mm パンチ肩半径Rp / mm
ダイス直径Dd / mm パンチ直径Dp / mm
ブランク板厚/ mm 0.5
4 20 0.5,0.6,0.7
2,5 18.6,18.8,19.0
アルミニウム用油性潤滑剤 二硫化モリブデン テフロンシート(t=0.05mm)
テフロンスプレー 1
潤滑剤 しわ押え力/ kN ダイス
パンチ
冷間円筒深絞り加工条件
(a) 割れ無 (Rp=2mm,r=1.70)
(c) パンチ肩部での割れ (Rp=2mm,r=1.75)
10mm
(b) 割れ無 (Rp=5mm,r=1.70)(d) フランジ端部での割れ (Rp=5mm,r=1.75)
円筒容器外観写真 各パンチ形状での肉厚ひずみ分布(r=1.65)
-0.1 -0.05 0 0.05
0.1 0.15 0.2
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
中心からの距離(mm)肉厚ひずみ
Rp=5mm Rp=2mm
限界絞り比
アルミニウム用
油性潤滑剤 テフロン
シート 1.50
1.60 1.70 1.80
1.65 1.65
テフロン スプレー
二硫化 モリブデン 1.65
1.70
各潤滑剤での限界絞り比(C=0.6mm,R
p=2mm)
1 2 3 4 5
0 2 4 6 8 10 12 14 16
ストローク/mm
成形荷重/ kN
二硫化モリブデン Al用潤滑剤 テフロンシート テフロンスプレー
潤滑剤の違いによる成形荷重の変化
(C=0.6mm,R
p=2mm,r=1.65)
0.00 0.10 0.20
二硫化モリブデン Al用油性潤滑剤 テフロンスプレー テフロンシート
肉厚ひずみ
中心からの距離/ mm -0.10
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
肉厚ひずみ分布(C=0.6mm,R
p=2mm,r=1.65)
(a) R
p=2mm (b) R
p=5mm 成形容器の外観写真(C=0.6mm, r=1.70)
フランジ割れ
(r=1.75)
フランジ割れ
(r=1.77)
C=0.5mm C=0.6mm C=0.7mm
Rp=2mm
Rp=5mm 剥れ
(r=1.56)
肩割れ
(r=1.75) 肩割れ
(r=1.77)
剥れ
(r=1.56)
割れの形態
C=0.7mm Rp=2mm C=0.7mm
Rp=5mm C=0.6mm Rp=2mm C=0.6mm
Rp=5mm C=0.5mm Rp=2mm C=0.5mm
Rp=5mm
限界絞り比
1.7
1.6
1.5
1.4 1.8
1.67 1.72
1.70 1.70
1.47 1.47
各パンチ形状における限界絞り比
ストローク / mm 2
0 1 3 4 5
成形荷重/ kN
2 4 6 8 10 12 14 16
Rp=5mm C=0.6mm
C=0.7mm Rp=2mm
r=1.65,1.67における成形荷重
ストローク / mm 0
1 2 3 4 5
2 4 6 8 10 12 14 16
成形荷重/ kN
C=0.5mm
Rp=5mm Rp=2mm
C=0.5mm, r=1.47における成形荷重
-0.10 0.00 0.10 0.20 0.30
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
中心からの距離/mm
肉厚ひずみ
C=0.5mm
Rp=5mm Rp=2mm C=0.6mm C=0.7mm
C=0.5mm C=0.6mm C=0.7mm
各工具形状における肉厚ひずみ分布
容器断面
(a) C=0.5mm
(b) C=0.6mm (c) C=0.7mm 各クリアランスでの容器端部断面形状(R
p=2mm)
1 2 3 4 5 6
0 2 4 6 8
C=0.7mm C=0.6mm C=0.5mm
最大表面粗さRz/μm
容器底面からの高さ/mm
各クリアランスにおける容器表面粗さ( R
p=2mm )
1.5 1.55 1.6 1.65 1.7 1.75 1.8
15mm/min 60mm/min
限界絞り比
1.7 1.7
各成形速度における限界絞り比(C=0.6mm,R
p=2mm)
1 2 3 4 5 6
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
ストローク / mm
成形荷重/ kN
15mm/min
60mm/min
各成形速度における成形荷重 (C=0.6mm ,R
p=2mm,r=1.75)
r値 1.50
0.32 n値
421 F値 / MPa
ブランク
0.20 ブランク-パンチ間摩擦係数
0.05 ブランク-ダイス,しわ押え間摩擦係数
剛体 パンチ,ダイス,しわ押え
剛塑性体 ブランク
軸対称変形 解析条件
二硫化モリブデン 潤滑条件
0.5 板厚 / mm
31 直径 / mm
ブランク
4 肩半径 / mm
20 直径 / mm
ダイス
2 肩半径 / mm
18.8 直径 / mm
パンチ
有限要素シミュレーションの条件
(a) S=0mm (b) S=3.1mm (c) S=5.9mm
(d) S=8.5mm (e) S=10.7mm (f) S=12.7mm
有限要素シミュレーションにおける断面の格子の変形
-0.15 -0.1 -0.05 0 0.05
0.1 0.15 0.2
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
中心からの距離 / mm
肉厚ひずみ
計算値 実験値
肉厚ひずみ分布の比較(C=0.6mm,R
p=2mm,r=1.65)
1.マグネシウム合金板の機械的特性 2.冷間円筒深絞り加工
3.フランジ割れ発生の抑制
4.角筒深絞り加工
5.小さな底角半径を持つ容器の冷間2 段プレス成形法
10mm (a) 0kN (b) 0.25kN (c) 0.5kN (d) 0.75kN (e) 1kN
各しわ押え力による成形容器 (C=0.6mm,R
p=2mm,r=1.75)
しわ押え力 / kN 0
2 4 6 8
0.25 0.5 0.75 1
割れ発生までの限界ストローク/ mm
R
p=2mmにおける しわ押え力の影響(C=0.6mm,r=1.75) 割れ発生までの限界ストロークとしわ押え力の関係
(Rp=5mm,r=1.75,二硫化モリブデン)
しわ押え力 / kN
4
8 12
1 2 3 4 5
割れ発生までの限界ストローク/ mm
0 10
6
2
割れ抑制
ダイス肩部へのしわ押え
平坦なしわ押さえ ダイス しわ押え パンチ
割れ発生
肩部しわ押さえ フランジ部
拘束
肩部 しわ押え
ダイス パンチ
(a) 概観写真 (b) 寸法
3 R4.5
Φ18.8 Φ28.0
肩部しわ押え工具
4 肩半径/mm
20 直径/mm
ダイス
5 肩半径/mm
18.8 直径/mm
パンチ
二硫化モリブデン 潤滑条件
0.5 板厚/mm
33 直径/mm
ブランク
肩部しわ押え工具実験条件
1.5 1.6 1.7 1.8
平坦しわ押え 肩部しわ押え
限界絞り比
1.75 1.70
肩部しわ押えでの限界絞り比(C=0.6mm,R
p=5mm)
ストローク / mm 0
1 2 3 4 5
2 4 6 8 10 12 14 16 18
肩部しわ押え(r=1.75)
平坦しわ押え(r=1.65)
平坦しわ押え(r=1.70)
成形荷重/ kN
肩部しわ押えでの成形荷重(C=0.6mm,R
p=5mm)
-0.1 -0.05 0 0.05
0.1 0.15 0.2 0.25
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
中心からの距離 / mm
肉厚ひずみ
肩部しわ押え(r=1.75) 平坦しわ押え(r=1.65) 平坦しわ押え(r=1.70)
肩部しわ押えを用いた肉厚ひずみ分布(C=0.6mm,R
p=5mm)
肩部しわ押え力の影響(r=1.75)
(a)P=0.125kN (b)P=0.25kN (c)P=0.5kN
10mm
ダイス
しわ押え パンチ
面圧:大
P=0.25kN P=0.5kN
容器端部 内側剥れ
1.マグネシウム合金板の機械的特性 2.冷間円筒深絞り加工
3.フランジ割れ発生の抑制 4.角筒深絞り加工
5.小さな底角半径を持つ容器の冷間2 段プレス成形法
冷間角筒深絞り加工条件
潤滑剤:二硫化モリブデン
ブランク幅W変化 絞り深さ R4
R4 20.0 20.0
W
C
C=0.18W,0.24W,0.3W
ダイス R3.4
R4
18.8 18.8
しわ押え パンチ
(c) C=0.3W (a) C=0.18W (b) C=0.24W
W
0.24W 0.3W 0.18W
角筒深絞り加工におけるブランク形状
角筒容器外観
(c) C=0.3W 割れ無 (r=1.44)
(f) C=0.3W 割れ有 (r=1.50) (e) C=0.24W
割れ有
(r=1.50) (d) C=0.18W
割れ有 (r=1.44) (a) C=0.18W 割れ無(r=1.38)
(b) C=0.24W
割れ無(r=1.44)
1 1.125
1.25 1.375 1.5
C=0.3W C=0.24W
C=0.18W
限界絞 り比
1.44 1.44 1.38
各ブランク形状の限界絞り比
成形荷重/ kN
ストローク / mm 1.2
0 2 4 6 8 10 12
0.2 0.6 0.8
C=0.3W C=0.24W
C=0.18W
0.4 1.0
r=1.38における成形荷重
-0.02 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1
0 2 4 6 8 10 12 14 16
中心からの距離 / mm
肉厚ひずみ
C=0.3W C=0.24W C=0.18W
r=1.38における対辺方向の肉厚ひずみ分布
-0.08 -0.04 0 0.04 0.08 0.12 0.16
0 2 4 6 8 10 12 14 16
中心からの距離 / mm
肉厚ひずみ
C=0.3W
C=0.24W C=0.18W
r=1.38における対角方向の肉厚ひずみ分布
0 1 2 3 4 5 6
1.3 1.35 1.4 1.45 1.5 1.55 1.6 1.65
絞り比 r容器高さ/ mm
容器高さと絞り比の関係
C=0.3W
C=0.24W C=0.18W
C=0.24,0.3W 限界絞り比 C=0.18W
限界絞り比
1.マグネシウム合金板の機械的特性 2.冷間円筒深絞り加工
3.フランジ割れ発生の抑制 4.角筒深絞り加工
5.小さな底角半径を持つ容器の冷間2 段プレス成形法
(a)深絞り加工 (b)底角成形
コンテナ ダイ Φ20.0
Φ18.6 R5
Φ10.0 Φ18.8 Φ19.8 アウターパンチ:移動 パンチ
しわ押え
インナーパンチ:固定
小さな底角半径を持つ容器の冷間2段プレス成形法
底 角
(a) s=0mm (b) s=1mm (c) s=2.7mm 2段目成形の有限要素シミュレーション
(a) 1段目成形 (b) 2段目成形, s=2.6mm
割れ発生
(c) 2段目成形, s=2.8mm 2段成形された容器
割れ限界
0.5 1 1.5 2 2.5 3
2 4 6 8 10
0 1 2 3 4 5 6
0
アウターパンチストロークs /mm
側壁高さ/mm 底角半径/mm底角半径
側壁高さ
外側円周部割れ
S=2.8mm 外側円周部割れ
S=2.8mm
側壁高さ,底角半径とアウターパンチストローク量の関係
(a) 1 段目成形 (b) 2 段目成形
2段成形された容器の断面(s=2.6mm)
r=1.
7.2 1 Φ 18.9 Φ18.9
r=5.
9.4 0
肉厚/mm
2 4 6 8 10 12 14 16
0.2 0.4 0.6 0.8 1
0 20 40 60 80 100
0
中心からの距離 / mm
硬さ/HV
硬さ
肉厚
1段目成形 2段目成形
容器の肉厚と硬さ分布
(a) 1段目成形 (b) 2段目成形
2段角筒容器底角成形
まとめ
1. 市販AZ31マグネシウム合金板に対し,焼 なまし処理を行うことによって冷間深絞り 加工ができた.
2. しわ押え力の増加はフランジ部割れの抑 制に効果があり,ダイス肩部にしわ押え力 を負荷することで割れを防止できた.
3. 冷間において角筒容器を成形できた.
4. 2段プレス成形法によって小さな底角半径
を持つ容器が成形できた.