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二 〇 一 七 年 度 大 学 入 試 セ ン タ ー 試 験 解 説 ︿ 古 典 ﹀

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(1)

︿

﹄は

戸時 中 期の 女性 歌人 であ る

︵?

~一 七八 八︶ によ って 書か れた 長編 の 古物 ︵ 平安 時代 の物 語を 模し て書 かれ た物 語︶ で

・作 品と もに 知名 度は 高く なく

、受 験生 が文 学史 的に 知っ てお かな けれ ばな らな い作 家・ 作品 とい うわ けで はな い。 擬古 物語 と言 えば

般的 代成 の 作品 が多 いが

、こ れま でに 東進 の﹁ セン ター 試験 本番 レベ ル模 試﹂ でも 出題 され てき たよ うに

の﹃ 手

﹄、

の諸 時代 の国 学者 や歌 人の 手に よる 作品 もい くつ かあ る。 宮部 万は

、高 崎藩

︵現 在の 群馬 県高 崎地 方︶ の藩 士浅 井直 方の 娘で

、同 藩士 で 学者 で 義正 に嫁 した

。義 正が 幕府 の和 学所

﹇= 国学 研究 所﹈ に仕 える こと とな り︵ 将軍 家師 範と なる

︶、 万は 江戸 に同 行、 江戸 にて

、公

で 堂上

︵昇 てい るこ と︶ 歌壇 の中 心人 物で あっ た冷

︵冷 泉家 中興 の歌 人。 門人 に

など がい る︶ や、 同じ く公

で

、幕 府で 国史 の進 講︵ 貴人 義︶ を務 めて いた 烏

など に和 歌や 学問 を学 ぶよ うに なる

。歌 集に

﹃万 女詠 草﹄

、夫 義正 との 共詠 家集 に﹃ 相生 乃言 葉﹄ など があ り、 和歌 源氏 物語

﹄の 葵の 巻を 書き 写す など して いる

。 され たの は、 貴公 菊君

美し い女 若い を垣 間見 て恋 に落 ちる とい う場 面で ある が、 これ は古 典文 学で は典 型的 と言 える 恋の 始ま ある

が送 った 手紙

が相 手の 女や 女の 代理 人に よっ て一 度は 拒否 され と いう のも 一つ のパ ター ンで ある

。こ のよ うな 擬古 物語 に見

﹂の 大も とは

﹃源 氏物 語﹄ であ ると 言え

、一 方、 作中 人物 が詠 んで いる 和歌

︵実 際に は作 者が 詠ん でい る︶ に不 自然 さが ない こと など を見 ると

、 は、 国学 や和 歌を 学び

、﹃ 源氏 物語

﹄を 書写 した 人で ある から こそ 書け た著 作で ある と言 えよ う。 ンタ ー試 験本 試験 の古 文の 問題 は、 昨年 度︵ 二〇 一六 年︶ の﹃ 今昔 物語 集﹄

︵説 話集

︶の よう な例 外も ある が、 多く は、 平安 時代 の ・ 鎌倉 物語

・江 戸時 代の 仮名 草子 など 物語

︵小 説︶ 類か らの 出題 であ り、 その 点で は今 年も その 傾向 から はず れな かっ たと 言え る。 なの

で、 主﹇

=蔵 人﹈ は﹁ 十分 なお もて なし もで きず

、畏 れ多 い︵ 菊君 の︶ お出 まし であ るよ

﹂と

、︵ こゆ るぎ の磯 の﹁ いそ

﹂で はな いが

︶急

(2)

いで

、酒 のさ かな を求 めて

、御 供の 人々 も︵ 菊君 を︶ もて なそ うと 騒ぐ が、 菊君 は﹁ 涼し いほ うに

﹂と 言っ て部 屋の 端近 くに 寄っ て横 にな り、 くつ ろい で いら っし ゃる

。そ の御 様子 は、 場所 がら もあ り、

︵普 段に も︶ まし てま たと ない ほど に素 晴ら しく 見え なさ る。 隣︵ の家

︶と 言っ ても たい そう 近く

、ち ょっ とし た透 垣な どを 設け 渡し てあ るの だが

、夕 顔の 花が 所狭 しと 咲い てい るの が、 見慣 れな さら ない けれ ども

、 美し いと 思っ て︵ 菊君 は︶ 御覧 にな る。 だん だん と日 が暮 れは じめ

︵夕 日の 明か りを たた えた 夕顔 の上 の︶ 露の 光︵ の輝 き︶ が︵ 夕闇 に︶ まぎ れる 様子 も ない ので

、︵ 菊君 は庭 に︶ 下り 立っ てこ の︵ 夕顔 の︶ 花を 一房 折り 取り なさ った が、 その 時に

、透 垣の 少し

︵隙 間が

︶空 いた とこ ろか ら︵ 隣を

︶覗 きな さ る。 する と、 尼の 住ま いと 思わ れて

、閼 伽棚 にち ょっ とし た草 の花 など を摘 んで 散ら して あっ たが

、五 十歳 くら いの 尼が 出て 来て

、水 で清 めた りし てい る。 花皿 に数 珠が 押し やら れて

、さ らさ らと 鳴っ てい るの もた いそ うし みじ みと する が、 また 奥の ほう から うっ すら とい ざり 出て 来る 人が いる

︵の が見 えた

︶。 年の ころ は、 二十 歳く らい と思 われ て、 たい そう 色白 で小 柄で ある が、 髪の 端が

、座 って いる

︵そ の人 の︶ 腰の あた りく らい にふ さふ さと 広が って いる の は、 これ も尼 であ ろう か、 たそ がれ 時で ぼん やり とし か見 えず

、は っき りと はお わか りに なら ない

。片 手に お経 を持 って いる が、 何で あろ うか

、こ ちら に いる 老い た尼 にさ さや いて 微笑 んで いる のも

、こ のよ うな 葎の 中﹇

=質 素な 住み か﹈ には 不釣 り合 いな ほど

、高 貴で かわ いら しい 様子 であ る。 たい そう 若 いの に、 どれ ほど の発 心を して この よう に俗 世を 捨て て出 家し てし まっ てい るの だろ うと

、︵ 菊君 は︶ つま らな いこ とに 御心 がと まる 癖が ある ので

、︵ この 若い 尼の こと を︶ たい そう しみ じみ と見 過ご しが たく お思 いに なる

。 主は

、御 果物 など を︵ 菊君 に差 し上 げる のに

︶ふ さわ しい 様子 にし て持 って 出て

、﹁ せめ てこ れを

﹂と

、準 備し て騒 ぐが

、︵ 菊君 はお 部屋 に︶ お入 りに なっ ても

︵果 物に は︶ 見向 きも なさ らな い。

︵菊 君は

︶﹁ たい そう しみ じみ と心 ひか れる 人を 見て しま った もの だよ

、︵ 俗人 と交 渉を 断っ てい る尼 であ るか ら無 理や り押 しか けて

$

う こと もで きな いが

︶尼 でな かっ たら

$

わず にす ます こと はで きそ うに ない

﹂と いう お気 持ち がし て、

︵周 囲に

︶人 がい ない す きに 御前 にお 仕え する 少年 にお 尋ね にな る。

﹁こ の家 の隣 に住 む人 はど のよ うな 人か

。知 って いる か﹂ と︵ 菊君 が︶ おっ しゃ ると

、︵ 少年 は︶

﹁主 のき ょう だい であ る尼 と申 しま す者 が、 数カ 月来 山里 に住 んで おり まし たが

、近 頃突 然こ ちら へ出 て来 て︵ おり まし て︶

、菊 君様 がこ のよ うに 急に おい でに なっ た 時に

、折 の悪 いこ とだ と、 主は たい そう わず らわ しい こと に思 って おり ます

﹂と 申し 上げ る。

﹁そ の尼 は、 歳は いく つぐ らい であ ろう か﹂ と、 さら に︵ 菊 君が

︶お 尋ね にな ると

、︵ 少年 は︶

﹁︵ その 人は

︶五 十歳 過ぎ にも なる でし ょう か。 娘で たい そう 若い 人も

、︵ 母親 と︶ 同様 に俗 世を 捨て て出 家し て、 とう か がい まし たの は、 本当 でし ょう か。 その 身の 上の わり には いや しげ なと ころ はな くて

、︵ 仏道 に対 して

︶こ の上 なく 気位 が高 い人 であ るた めに

、ほ とん ど この 世を 嫌に 思っ て︵ 出家 して

︶し まっ たと か言 うこ とで す。 本当 に仏 に仕 える 気位 の高 さは たい そう なも ので す﹂ と言 って 笑う

。﹁ しみ じみ とす るこ と であ るよ

。そ れほ ど悟 った とい う人 に、 無常 なこ の世 につ いて の話 も申 し上 げた い気 持ち がす るが

、突 然の とり とめ ない 話も 罪深 いけ れど

、︵ 彼女 は︶ ど のよ うに 言う だろ うか

、試 しに 手紙 を渡 して くれ ない か﹂ とお っし ゃっ て、 御畳 紙に

︵書 いた 和歌 は︶

﹁露 かか る…

(

涙の よう な︶ 露が 降り かか る心 もは かな くと りと めな い。 たそ がれ 時に ほの かに 見た 家に 咲く 花で ある 夕顔

︵の よう な美 しい あな

(3)

た︶ よ﹂ 年は

︵菊 君の 真意 が︶ よく わか らず

、何 かわ けが ある のだ ろう と思 って

、︵ 手紙 を︶ 懐に 入れ て︵ 隣の 家へ

︶出 かけ た。

︵菊 君は

︶そ の後 もぼ んや りと 物思 いに ふけ って いら っし ゃる が、 人々 が、 御前 に参 上し

、主 も﹁ 退屈 でい らっ しゃ いま しょ う﹂ と言 って

、い ろい ろと 話な どを 申し 上げ るう ちに

、夜 もた いそ う更 けて いく ので

、菊 君は 例の

︵手 紙の

︶御 返事 がた いそ う見 たい が、 あい にく な人 の多 さを つら くお 思い にな ので

、眠 たそ うに 振る 舞い なさ って 部屋 の端 に寄 って 横に おな りに なる と、 人々 は、

︵菊 君の

︶御 前で

﹃さ あ、 早く お休 みく ださ い﹄ と言 って

、主 も部 の奥 へす べる よう にさ っと 入っ た。 やっ と︵ 隣へ 使い に行 った

︶少 年が 帰っ て参 りま した ので

、︵ 菊君 が︶

﹁ど うだ った か﹂ とお 尋ね にな ると

、︵ 少年 は︶

﹁﹃

︵こ こに は︶ まっ たく この よう な 手紙 をい ただ くは ずの 人も おり ませ ん。 場所 間違 えで はな いで しょ うか

﹄と

、あ の老 尼は

、思 いが けな いこ との よう に申 しま した

﹂と 言っ て、

︵さ らに

﹁﹃ 世を そむ く…

(

我が 家は

︶俗 世を 捨て て︵ 出家 した 者が 住ん で︶ いる 葎の 生い 茂っ た家 で粗 末な 家で ある のに

、ど のよ うな 夕顔 の花 を見 たと い うの です か。

︵あ なた が見 たと いう 女性 など ここ には おり ませ ん。

︶ のよ うに 申し 上げ てく ださ い﹄ と言 って

、︵ 老尼 が︶ 不審 がり まし たの で、 帰っ て参 りま した

﹂と 申し 上げ ると

、甲 斐の ない こと では ある けれ ども

、︵ 突 の手 紙で は︶ もっ とも なこ とだ とも

︵菊 君は

︶思 い返 しな さる が、 寝る こと がお でき にな らな い。 不思 議な こと に、

︵隣 家の 若い 尼の

︶か わい らし かっ 姿が

、夢 では ない

︵現 実と して

︶御 枕元 にじ っと 寄り 添っ てい るお 気持 ちが して

、﹁ 間近 けれ ども

﹇= 人知 れず 想い を寄 せる 人が 間近 にい るの に

$

う手 ても ない

﹈﹂ と︵ 菊君 は︶ 一人 つぶ やき なさ る。

説﹈ 解釈 の問 重要 単語

・重 要文 法を 確認 し、 前書 きな どや 前後 の文 意も 踏ま えて 解答 した い。

&

標準

﹁に げな きま で﹂ の解 釈と して 最も 適当 なも のを 選べ

﹁に げな き/ まで

﹂と 単語 分け され る。

﹁ま で﹂ につ いて は、 すべ ての 選択 肢が

﹁ほ ど﹂ で共 通し てい る。

げな ﹂ は、

﹁釣 り合 わな い・ ふさ わし

(4)

くな い・ 似合 わな い﹂ など と訳 す形 容詞

﹁に げな し︵ 似げ なし

︶﹂ の連 体形 であ る。 よっ て、 正解 は3

﹁釣 り合 わな いほ ど﹂ しか ない

。 単純 な単 語の 意味 の問 題だ が、

﹁に げな し﹂ はや や難 しい レベ ルと 言え るか も知 れな い。 しか し、 直前 の﹁ かか る葎 の中 には

︵= この よう な質 素な 住み かに は︶

﹂と

、直 後の

﹁あ てに らう たげ なり

︵= 高貴 でか わい らし い様 子で ある

︶﹂ との つな がり 具合 から 考え ても

、最 もス ムー ズに 意味 が通 るの は3

であ る。

'

基礎

﹁聞 こえ まほ しき

﹂の 解釈 とし て最 も適 当な もの を選 べ。

﹁聞 こえ

/ま ほし き﹂ と単 語分 けさ れる

。﹁ まほ しき

﹂は

、希 望︵

~し たい

・~ して ほし い︶ の助 動詞

﹁ま ほし

﹂の 連体 形だ が、 これ に関 して はい ず れの 選択 肢に も誤 りは なく これ も単 純な 単語 一語 の意 味の 問題 であ る。

こえ

﹂は

、ヤ 行下 二段 活用 動詞

﹁聞 こゆ

﹂の 未然 形。

﹁聞 こゆ

﹂は

、一 般動 詞と して

﹁聞 こえ る・ Ûさ れる

・︵ 聞い て︶ わか る﹂

、謙 譲の 本動 詞と して

﹁申 し上 げる

﹂、 謙譲 の補 助動 詞と して

﹁お

~申 し上 げる

・お

~す る﹂ と訳 す動 詞。 これ だけ でも 正し いの は3

のみ であ る。

﹁聞 こゆ

﹂に は、

﹁聞 く﹂

︵2

︶や

﹁う かが う﹂

︵1

・﹃ 聞く

﹄の 謙譲 表現

︶や

﹁話 し合 う﹂

︵5

︶の 意 はな く、

﹁話 す﹂

︵4

︶な ら動 作的 には 間違 いは ない が謙 譲の 意が ない

。 よっ て、 正解 は3

であ る。

(

標準

﹁あ やし う﹂ の解 釈と して 最も 適当 なも のを 選べ

やし ﹂ は、 形容 詞﹁ あや し﹂ の連 用形

﹁あ やし く﹂ の語 尾が ウ音 便化 した 状態

。﹁ あや し﹂ は、

﹁怪

︵奇

・異

︶し

﹂で あれ ば、 現代 語の

﹁あ や しい

﹂と 同様 に、

﹁不 思議 だ﹂

﹁疑 わし い・ 不審 だ﹂ とか

、﹁ 異常 だ・ 並々 でな い﹂

﹁け しか らぬ

・ふ つご うだ

﹂の 意味 も示 すが

、﹁ 賤し

﹂で あれ ば、

﹁み すぼ らし い・ 粗末 だ﹂

︵主 に物 に対 して 使う 場合

︶・

﹁身 分が 低い

・卑 しい

﹂︵ 主に 人物 に対 して 使う 場合

︶と いう 意味 も示 す形 容詞 であ る。 単語 の意 味 から 見る と5

以外 は大 きな 誤り がな く、 文意 に当 ては まる 訳を 考え なく ては なら ない こと にな る。 直後 を見 ると

うた かり し面 影の

なら ぬ御 枕上 につ と添 ひた る御 心地 して

﹂と 書か れて いる

。﹁ あや しう

﹂が 直後 の﹁ らう たか りし

︵か わい らし かっ た︶

﹂に 係っ てい ると 見る と、 が4

﹁不 思 議な ほ)) に﹂ とな って いれ ば意 味が 通る がそ うは なっ てお らず

、選 択肢 の中 に意 味が 通る もの はな い。

﹁あ やし う﹂ は﹁ 夢な らぬ 御枕 上に つと 添ひ た

(5)

る御 心地 して

﹂に 係っ てい るの であ る。 そう 見る と、 意味 が通 るの は4

の﹁ 不思 議な こと に﹂ しか ない

。こ の部 分は

﹁︵ 隣家 の若 い尼 の︶ かわ いら し かっ た姿 が、 夢で はな い︵ 現実 とし て︶ 御枕 元に じっ と寄 り添 って いる お気 持ち がし て﹂ とい う意 味で ある から

、そ のよ うな こと があ るは ずも ない の にま ざま ざと その よう に思 われ るの が﹁ あや ︵ 不思 議だ

︶﹂ と言 って いる ので ある

。 よっ て、 正解 は4

であ る。 基礎 的単 語に 関す る問 題だ が、 前後 の文 意を 見て 判断 する 必要 があ る問 題で ある

。 正解

&

3

'

3

(

4

21

22

23

文法

動詞 の意 の問 基礎 波線 部

の助 動詞 を、 意味 によ って 三つ に分 ける と、 どの よう にな るか

。そ の組 合せ とし て最 も適 当な もの を選 べ。 波線

のう ち、

﹁ぬ

﹂、

﹁ね

﹂で ある が、 助動 詞で これ らの かた ちに なる のは 次の 通り

未然 形+ ぬ= 打消 の助 動詞

﹁ず

﹂の 連体 形 連用 形+ ぬ= 完了

︵強 意︶ の助 動詞

﹁ぬ

﹂の 終止 形

未然 形+ ね= 打消 の助 動詞

﹁ず

﹂の 已然 形 連用 形+ ね= 完了

︵強 意︶ の助 動詞

﹁ぬ

﹂の 命令 形

、直 前の

﹁給 は﹂ が四 段活 用動 詞﹁ 給ふ

﹂の 未))) であ るか ら、

打消 の助 動詞

﹁ず

﹂の 連体 形で ある

、直 前の

﹁そ むき

﹂が 四段 活用 動詞

﹁そ むく

︵背 く︶

﹂の 連))) であ るか ら、 完了 の助 動詞

﹁ぬ

﹂の 終止 形で ある

。下 に﹁ らむ

﹂が ある ので 強 意と 考え ても よい

、直 前の

﹁給 ひ﹂ が四 段活 用動 詞﹁ 給ふ

﹂の 連))) であ るか ら、

完了 の助 動詞

﹁ぬ

﹂の 命令 形で ある

、直 前の

﹁な ら﹂ が断 定の 助動 詞﹁ なり

﹂の 未))) であ るか ら、

打消 の助 動詞

﹁ず

﹂の 連体 形で ある

(6)

波線 部

は﹁ に﹂ であ るが

、助 動詞 で﹁ に﹂ にな るの は次 の通 り。

﹁に

﹂↓

*

完 了の 助動 詞﹁ ぬ﹂ の連 用形

用形 に接 続す

※﹁

~に

~に けり

にた

~に けむ

﹂の 形で 使わ れて いる こと が多 い。

*

断 定の 助動 詞﹁ なり

﹂の 連用 形。

言や 連体 形に 接続 する

※ほ ぼ次 の二 つの パタ ーン でし か使 われ ない

+

︶ 後方 に﹁ あり

・侍 り・ おは す﹂ 等、 物や 人の 存在 を表 す動 詞を 伴い

、﹁ に﹂ 自体 が﹁ と訳 せる 場合

。 例 そは

、わ が兄 にや あ)) む。

︵そ れは

、私 の兄 で) あろ うか

。︶

,

︶﹁ にて

して

﹂の 状態 で使 われ てい て、 その 部分 が﹁ であ って

訳せ 場 合。 例 そは 我が 兄に))

、太 郎と いふ 者な り。

︵そ れは 私の 兄で))))

、太 郎と いう 者で ある

。︶

、体)) に接 続し てお り、 存在 を示 す動 詞﹁ あ))

﹂を 伴い

、﹁ 尼に) やあ らむ

﹂は

﹁尼 で) あろ うか

﹂と 訳せ るの で、 断定 の助 動詞

﹁な り﹂ の連 用形 であ る。 以上

から

は打 消、

は 断定

は完 了で ある

。 よっ て、 正解 は5

であ る。 正解

5

24

(7)

内容 説明 の問 基礎 傍線 部

﹁御 心地

﹂と ある が、 その 説明 とし て最 も適 当な もの を選 べ。 傍線

の直 前に ある

と/ あは れな る/ 人/ を/ 見/ つる

/か 尼/ なら

/ず

/は

見/ で/ は/ え/ やむ

/ま じき

﹂は

、﹁ たい そう しみ じみ とす る人 を見 てし まっ たも のだ よ、 尼で なか った ら、

$

わ ずに すま すこ とは でき そう にな い﹂ とい う意 味で ある

。﹁ つる

﹂は

、完 了の 助動 詞﹁ つ﹂ の連 体形

。﹁ かな

﹂は

、詠 嘆の 終助 詞。

﹂ は、 断定 の助 動詞

﹁な り﹂ の未 然形

。﹁ ずは

﹂は

、打 消の 仮定 条件

︵も し~ ない なら ば︶ を表 す表 現。

﹂は

、﹁

~し ない で・

~し なく て﹂ と訳 す打 消の 接続 助詞

。﹁ ﹂ は、 打消 表現

︵こ こで は﹁ まじ き﹂

︶と 呼応 して 不可 能︵

~で きな い︶ を表 す呼 応 の副 詞。

止む

︶﹂ は、 現在 でも

﹁雨 がや む・ 痛み がや む﹂ など と使 う動 詞だ が、 古文 では

﹁そ のま まに する

・そ れき りに なる

﹂の 意で 使わ れる こと が多 い動 詞。

じき

﹂は

、打 消推 量︵

~な いだ ろう

・~ しそ うに ない

︶の 助動 詞﹁ まじ

﹂の 連体 形で ある

。 ここ で言 って いる

とあ はれ なる ﹂ とは

つる

﹂の 対象 であ り、

なら ずは

﹂と いう 仮定 で述 べら れて いる 人で ある から

、実 際に は﹁ 尼﹂ であ る人

、つ まり

、菊 君が 透垣 越し に覗 き見 た、

﹁年 のほ ど、 二十 ばか りと 見え

﹂て

、﹁ これ も尼 にや あら む﹂ と見 た﹁ あて にら うた げ﹂ な若 い尼 であ る。 菊君 は、 この 若い 尼を

﹁い とあ はれ なる 人﹂ と思 い、

﹁見 では えや むま じき

︵=

$

わ ずに すま すこ とは でき そう にな い︶

﹂と 思っ てい るの であ るか ら、 この 若い 尼に 心ひ かれ

、俗 人と 交渉 を断 って いる 尼で ある から 無理 やり 押し かけ て

$

うこ とも でき ない が、 尼で なか った ら、

$

わず にす ます こ とは でき そう にな い﹂ と思 って いる ので ある

。つ まり

、傍 線部

﹁ 御心 地﹂ は、 菊君 の、 若い 尼に 対す る恋 心を 言っ てい るの であ る。 よっ て、 正解 は2

であ る。 そも そも

、﹁ 御心 地﹂ の﹁ ﹂ は、 基本 的に 尊敬 の意 を示 す接 頭語 であ るが

、本 文冒 頭か ら 意が 払わ れて いる のは 菊君 だけ であ る。 つま り、

﹁御 心 地﹂ は菊 君の 心な ので ある

。蔵 人の 心と して 説明 して いる

・3

や4

、老 尼の 心と して 説明 して いる は5

、そ れだ けで 誤り であ る。 また

公子 が美 しい 女性 を垣 間見 ると いう のは

語の 世界 では 典型 的な 恋の 発端 であ 。 第二 段落 で菊 君が 隣の 若い 尼を 覗き 見た 時点 で、 この 尼に 対す る恋 心が 菊 君に 芽生 えた のだ と見 るべ きで ある

。恋 心以 外の 単な る好 奇心

︵1

︶で 見て いた ので はな い。 菊)))) であ り、 恋)) であ るの だか ら、

﹁菊 君の 恋心

﹂ と説 明し てい る2

が正 解で ある こと は、 傍線 部直 前の 意味 をと るま でも なく 明ら かで ある

。 正解

2

25

(8)

内容 説明 の問 標準 傍線 部

﹁眠 たげ にも てな い給 うて

﹂と ある が、 その 説明 とし て最 も適 当な もの を選 べ。

﹁眠 たげ に/ もて ない

/給 う/ て﹂ その もの は、

﹁眠 たそ うに 振る まい なさ って

﹂で ある が、 直前 部、

/は

/か の/ 御返 し/ の/ いと

/ゆ かし

/に

あや にく なる

/人 しげ さ/ を/ わび しう

/思 せ/

﹂は

、﹁ 菊君 は例 の︵ 手紙 の︶ 御返 事が たい そう 見た いが

、あ いに くな 人の 多さ をつ らく お思 いに なる ので

﹂と いう 意味 で、 ここ が﹁

~の で﹂ と、 傍線 部

の理 由説 明に なっ てい る。 そし て、 続く 次の 段落 冒頭 の﹁ から うじ て/ 童/ の/ り/ 参り

/た れ/

いか に/

/と

/問 ひ/ 給ふ

/に

﹂に

、﹁ やっ と︵ 隣へ 使い に行 った

︶少 年が 帰っ て参 りま した ので

、︵ 菊君 が︶

﹃ど う だっ たか

﹄と お尋 ねに なる と﹂ とあ る。

かし ﹂ は、

﹁~ した い・ 心ひ かれ る﹂ の意 の形 容詞

﹁ゆ かし

﹂の 連体 形。

やに くな ﹂ は、

﹁あ いに くだ

・折 が悪 い・ 意地 が悪 い﹂ など と訳 す形 容動 詞﹁ あや にく なり

﹂の 連体 形。

しげ ﹂ は、 名詞

﹂に

、﹁ 多い

・絶 え間 ない

・茂 って いる

﹂な どの 意の 形容 詞﹁ しげ し︵ 繁し

・茂 し︶

﹂ が名 詞化 した

﹁し げさ

﹂が 付い た語 で、

﹁人 の多 さ﹂ の意

。﹁ わび しう

﹂は

、﹁ つら い・ 苦し い・ 寂し い・ 興ざ めだ

﹂な どの 意の 形容 詞﹁ わび し﹂ の連 用形

﹁わ びし く﹂ の語 尾が ウ音 便化 した 状態

。﹁ 思せ

﹂は

、﹁ お思 いに なる

﹂の 意の 尊敬 語﹁ 思す

﹂の 已然 形。

てな ﹂ は、

﹁扱 う・ 振る 舞う

﹂の 意 の四 段活 用動 詞﹁ もて なす

﹂の 連用 形﹁ もて なし

﹂の 語尾 がイ 音便 化し た状 態。

らは

︶﹂ は、 一般 に﹁ 子供

﹂の こと だが

、﹁ 召し 使い であ る子 供﹂ の意 であ るこ とも 多く

、こ こで もそ の意 であ る。 ちな みに

、年 齢に 関係 なく

﹁︵ 身分 の低 い︶ 召し 使い

﹂の 意で 使わ れる こと もあ る。 つま り、 菊君 は少 年に 命じ て隣 の家 に持 って 行か せ、 少年 が返 事を もら って くる のを 待っ てお り、 もら って きた らす ぐに でも 手紙 の返 事を 見た いの であ るが

、あ まり に周 りに 人が 多く ては ばか られ たの で、 人々 を去 らせ よう とし て、

﹁眠 たげ に﹂ して 見せ たの であ る。 よっ て、 正解 は2

であ る。 の1

﹁蔵 人た ちが そう した 菊君 の行 動を 警戒 して

﹂、 の3

﹁こ っそ り蔵 人の 屋敷 を抜 け出 して 娘の もと に忍 び込 もう と考 えた

﹂、 の4

﹁突 然や って 来た 自分 を接 待す るた めに 一所 懸命 なの だろ うと 察し

、早 く解 放し てあ げよ うと 気を 利か せて

﹂、 の5

﹁慣 れな い他 人の 家に いる こと で気 疲れ をし て いた

﹂・

﹁早 く眠 りに つき たい とい うこ とを 伝え よう とし た﹂ は、 いず れも 本文 にこ れら に相 当す る箇 所が ない

。 正解

2

26

(9)

和歌 の内 容説 明の 問題 標準

の 和歌 に関 する 説明 とし て最 も適 当な もの を選 べ。

和歌

/か かる

/心

/も

/は かな

/た そか れ/ に/ ほの 見/ し/ 宿/ の/ 花/ の/ 夕顔

﹂は

、﹁

︵涙 のよ うな

︶露 が降 りか かる 心も はか なく と りと めな い。 たそ がれ 時に ほの かに 見た 家に 咲く 花で ある 夕顔

︵の よう な美 しい あな た︶ よ﹂ とい う意 味で ある

。﹁ ﹂ は、

﹁命

・人 生﹂ など はか ない もの を象 徴す るこ とが 多い が、 涙の たと えと して 用い られ るこ とも ある

。﹁ はか ﹂ は、 形容 詞﹁ はか なし

﹂の 語幹

。語 幹だ けを 用い て強 調す る用 法 であ る。

そか ﹂ は、

﹁夕 暮れ 時﹂ のこ と。

の見

﹂は

、﹁ ほの かに 見る

・ち らっ と見 る﹂ の意 の﹁ ほの 見る

﹂の 連用 形。

﹂は

、過 去の 助動 詞

﹁き

﹂の 連体 形。

宿

﹂は

、﹁ 家﹂ のこ とで ある

。 菊君 が﹁ たそ かれ にほ の見

﹂た のは 実際 には 若い 尼で ある から

、﹁ 夕顔

﹂の 花は 若い 尼の たと えで ある と考 える べき であ る。 とす れば

、﹁ 露か かる 心﹂ は、 はか なく 感じ られ る恋 心を 抱い て涙 がち であ る菊 君の 心を 言っ てい るこ とが わか るだ ろう

。 よっ て、

の 和歌 に関 する 説明 では 大き な誤 りが ある 選択 肢は ない こと にな る。

の 和歌

/を

/そ むく

/葎

/の

/宿

/の

/あ やし き/ に/ 見/ し/ や/ いか なる

/花

/の

/夕 ﹂ は、

﹁︵ 我が 家は

︶俗 世を 捨て て︵ 出家 した 者 が住 んで

︶い る葎 の生 い茂 った 家で 粗末 な家 であ るの にど のよ うな 夕顔 の花 を見 たと いう ので すか

﹂と いう 意味 であ る。

をそ むく

を背

﹂は

﹁俗 世を 捨て て出 家す る﹂ の意

。﹁ 世を 捨つ

を逃 世を 厭う

とう

︶・ 世を 出づ

﹂な ども 同意 であ るの で覚 えて おき たい

。﹁ むぐ

﹂は

︵注

︶に ある とお り、 つる 草の 一種 で、 隣家 がつ る草 が生 い茂 るよ うな 質素 な住 まい であ るこ とを 表し てい る。

やし ﹂ は、

(

で も見 たよ うに

、 物に 対し て使 う時 には

﹁み すぼ らし い・ 粗末 だ﹂ 人物 に対 して 使う 時に は﹁ 身分 が低 い・ 卑し い﹂

、気 分や 様子 に対 して 使う 時に は﹁ 不思 議だ

﹂と 訳 す形 容詞

﹁あ やし

﹂の 連体 形だ が、 ここ は﹁ 宿

︵家

︶に つい て言 って いる ので ある から

﹁み すぼ らし い・ 粗末 だ﹂ の意

。﹁ ﹂ は、 過去 の助 動詞

﹁き

﹂の 連体 形。

﹂は

、疑 問の 係助 詞で ある

。﹁ 見し やい かな る花 の夕 顔﹂ は、

﹁見 たか どん な花 の夕 顔を

﹂と 直訳 され る箇 所で ある が、 目的 語と 述 語の 倒置 を戻 すと

﹁ど んな 夕顔 の花 を見 たの か﹂ と言 って いる こと にな る。 要は

、﹁ 粗末 な家 なの にあ なた はど んな 夕顔 の花 を見 たの か、 そん な華 や かな 花は どこ にも ない

﹂と 言っ てい るの であ り、

﹁夕 顔﹂ が若 い尼 のた とえ であ るこ とを 考え ると

、﹁ あな たが 見た とい う女 性な どこ こに はい ない

﹂と 言っ てい るこ とに なる

。 よっ て、

の 和歌 に関 する 説明 が正 しい のは で4

ある

。4

以外 の選 択肢 の

の和 歌に 関す る説 明は 和歌 の表 現に 照ら し合 わせ て見 ると 合致 しな い もの ばか りで ある

。5

の﹁ いっ たい 誰の こと を指 して いる のか 分か らな い﹂ は誤 りで はな いが

、5

は﹁ この 家に は若 い女 性は 何人 かい る﹂ が和 歌の

(10)

内容 に合 致し ない

。 以上 から

は で4

ある

。 正解

4

27

登場 人物 に関 する 説明 問題 標準 この 文章 の登 場人 物に 関す る説 明と して 最も 適当 なも のを 選べ

﹁登 場人 物に 関す る説 明﹂ とい う設 問は 新形 式で ある が、 実質 的に は例 年の 同様

、本 文全 体を 見渡 す合 致問 題で ある

。 正解 であ る1

は、 傍線 部

の直 後﹁ 人な きひ まに 御前 にさ ぶら ふ童 に問 ひ給 ﹂ から

の和 歌の 次の 行に ある

は心 も得 ある やう あら と思 ひて

に入 れて 行き ﹂ に相 当し てい て誤 りが ない

。選 択肢 の﹁ きょ うだ い﹂ は本 文中 の﹁ はら から

﹂︵

ペー ジ 行目

︶、

﹁気 位が 高い

﹂は 30 13

ひ上 がり たる

﹂︵ 同 行目

︶、

﹁真 意を はか りか ねた

﹂は

も得

︵ ペー ジ

-

行目

︶、

﹁何 かわ け﹂ は﹁ ある やう

﹂︵ 同

-

行目

︶に 相当 する

。 16

31 は2

、後 半の

﹁出 家し た女 性を 恋い 慕う こと に対 して 罪の 意識 を強 く感 じた

~そ れも 許さ れる だろ うと 考え て﹂ が本 文に ない

。 は3

、﹁ 連絡 もな くや って 来た こと には 不満 を感 じて いた

﹂と

﹁食 事に 手も 付け ない 菊君 の態 度を 目に して ます ます 不快 に思 った

~菊 君を あわ れだ と思 った

﹂が 本文 にな い。

ペー ジ 行目 で召 し使 いの 少年 が﹁ 君の かく には かに 渡ら せ給 ひた 折悪 しと 主は いみ じう むつ かり 侍る

﹂と 言っ 30 14 てい るが

、こ れは

﹁菊 君様 がこ のよ うに 急に おい でに なっ た時 に、

︵老 尼親 子が やっ て来 てい るこ とは

︶折 の悪 いこ とだ と、 主は たい そう わず らわ し いこ とに 思っ てお りま す﹂ とい う意 味で あり

、蔵 人が 菊君 の訪 問を 不快 に思 って いる とい うこ とで はな い。 蔵人 は菊 君の 訪問 をひ たす ら﹁ かた じけ き御 ︵ 畏れ 多い お出 まし

︶﹂

︵ ペー ジ

+

行目

︶と 思い

、従 者た ちと とも に懸 命に 菊君 をも てな そう とし てい るの であ る。 30 は4

、最 後の

﹁菊 君に 娘の 姿を 見ら れて しま った ので

、蔵 人に 間の 悪さ を責 めら れた

﹂が 誤り

。本 文に は、 で3

も見 たと おり

のか くに はか 渡ら せ給 ひた 折悪 しと 主は いみ じう むつ かり 侍る

﹂︵

ペー ジ 行目

︶と ある だけ であ る。 娘を 見ら れた 後に

、蔵 人が 老尼 を責 めた とは 書か 30 14 れて いな い。 は5

、ま ず﹁ 落ち ぶれ たこ とに よっ て﹂ が本 文に ない

。ま た、

﹁蔵 人の 屋敷 で﹂ は本 文と 合致 しな い。 老尼 と娘 がい るの は蔵 人の 家の 隣の 家で ある

。 さら に、

﹁老 尼の 娘﹂ が﹁ 歌を 贈ら れた こと で心 を乱 し、 眠れ なく なっ た﹂ も誤 り。 菊君 の

の和 歌を 見た 老尼 が

の和 歌で

﹁こ こに はあ なた の思 う

(11)

女性 はい ない

﹂と 返歌 して いる ので あり

、菊 君の 歌は 娘に は届 いて いな いの であ る。 また

、﹁ 寝ら れ給 はず

﹂︵

ペー ジ

~ 行目

︶と はあ るが

、こ の 31

12 13 主体 は菊 君で あっ て老 尼の 娘で はな い。 正解

1

28

(12)

書き 下し 文﹈

を 百 の外

に聴 けば

、盆

を鼓 する がご とく

、江 を千

の間

に望

めば

、帯

ふが ごと きは

、其 の相 ひ去 るの 遠

きを 以

てな り。 故

に千

の下

に居 りて 之

を千

の上

に求 むる に、 相 ひ去 るの 遠

きを 以

て其 の変

るを 知 らざ れば

、 則 ち猶 ほ舟

に刻

みて 剣

を求

むる がご とし

。今

の求

むる 所 は、 往

の 失 ふ 所 に非 ざる も、 其 の刻

みし は此

に在 り、 是 れ従 りて 堕 つる 所 なり と謂

へり

。豈 に惑

ひな らず や。 今

れ江 は、 世 の 称 する 所 の名

、 冠

の集

まる 所

、舟

の湊 まる 所 にし て、 実

に天

の大

たる なり

。而

れど も其 の地 の名 たる

、之 を 古

ぬる も、 未

だ之

を聞 かず

。豈 に古

ひ去 るこ と日

に遠

く、 事

の変

も亦 た其 の間

に在 るに 非

ずや

。蓋

し知 る、 後

の今

に於 ける も、 世 の相 ひ去 る こと

¤

く、 事

の相 ひ変

ずる こと

¤

く、 其 の聞 かん と欲

する 所 を求

むる も得 べか らざ るこ と、 亦 た猶 ほ今

の 古

ける がご とき を。 吾

に焉

に感

ずる 有 り。

﹃遺

﹄の 書

、由 りて 作

る所

なり

釈﹈ 雷鳴 も百 里も 離れ たと ころ で聞 くと

、盆 を叩 いて いる くら い︵ の小 さな 音︶ に聞 こえ

、︵ 長江 や黄 河の よう な︶ 大き な川 も千 里も 隔て たと ころ で眺 める と、 身に まと って いる 帯く らい

︵の 長さ や幅

︶に 見え るの は、 遠く 離れ たと ころ から 見聞 きし てい るか らで ある

。そ れゆ え︵ それ は距 離だ けで なく 時間 に つい ても 同様 で︶

、現 在の 時点 から 遠い 過去 のこ とを 知ろ うと して も、 長い 時間 がた って いる ため に︵ その 間に 事物 が︶ 変化 して いる こと を知 らな いと

、 あた かも

﹁舟 に刻 みて 剣を 求む

﹂︵ とい う故 事︶ のよ うな こと にな る。 今︵ 剣を

︶探 して いる とこ ろは

、︵ 舟は すで に動 いて いる のだ から

︶先 刻︵ 剣を

︶な くし たと ころ では ない のに

、舟 べり に刻 んだ 目 はこ こな のだ から

、こ こが

︵剣 が︶ 落ち たと ころ だと 思っ てい る。

︵そ れと 同じ で、 現在 から 過去 を知 ろ うと して も、 長い 時間 の隔 たり の中 で、 わか らな くな って いる こと が多 い。 それ に気 づか ない のは

︶な んと 愚か なこ とで はな いだ ろう か。 今、 そも そも 江戸 は、 世に 称

える とこ ろの 有名 な大 きな 都市 で、 身分 の高 い人 々が 集ま ると ころ で、 水陸 の交 通の 要衝 であ って

、ま こと に天 下の 大都 会 であ る。 しか し、

︵今 はこ れだ けの 大都 市も

︶そ の︵ 江戸 とい う︶ 土地 の名 を、 古い 記録 や書 物の 中に 探し ても

、見 つか らな い。

︵つ まり

、江 戸は 昔か ら繁 華だ った わけ では ない ので あっ て、 それ は︶ なん と昔 から 今に 至る まで に長 い時 間が 流れ

、そ の間 にま た事 物も

︵大 きく

︶変 化し てい ると いう こと では な かろ うか

。そ う考 える と、 未来 と現 在に つい ても

︵同 じこ とが 言え るで あろ うか ら︶

、時 間は いっ そう 遠く 隔た り、

︵そ の間 の︶ 事物 の変 化も いっ そう 多く なっ て、

︵未 来か らふ り返 って 現在 のこ とを

︶知 りた いと 思う こと をさ ぐっ ても わか らな くな って いる であ ろう こと は、 ちょ うど 現在 と過 去︵ つま り、 今、 昔の こと がわ から なく なっ てい るの

︶と 同じ であ ろう

(13)

私は 内心 この こと に感 ずる とこ ろが あっ て、

︵後 世の 人々 のた めに

、今 の江 戸の 姿を 記し とど めて おき たい と思 い︶ この

﹃江 関遺 聞﹄ の書 を作 った ので る。

説﹈ 語の 読み の問

&

基礎

'

基礎 波線 部

&

﹁蓋

﹂、

'

¤﹂ のこ こで の読 み方 とし て最 も適 当な もの を、 それ ぞれ 一つ ずつ 選べ

読み の問

、二

〇一 五年 度に

、﹁ 将﹂ と同 じ読 み方 をす る﹁ 且﹂

、﹁ 自﹂ と同 じ読 み方 をす る﹁ 従﹂ を選 ぶと いう 形で 出て いる が、 二カ 所の 読み 方 をそ れぞ れの 選択 肢か ら選 ぶと いう 形は

、二

〇〇 八年 度以 来、 久し ぶり の出 題で ある

&

﹂は

、﹁ けだ ﹂ で、

﹁思 うに

~。 考え るに

~﹂ の意 であ る。

1

の﹁

︵再 読文 字﹁ なん ぞ… ざる

﹂︶ と間 違い やす いの で注 意し たい

﹁1

なん ﹂ は、

﹂も そう であ るが

、ふ つう に疑 問詞 なら ば、

﹂な ど。

﹁2

はた して

﹂は

、﹁

﹁3

まさ ﹂ は、

﹂。 ある いは

、再 読文 字﹁ 将・ 且・ 当・ 応﹂ の一 度め の読 み。

﹁4

すな はち

﹂は

、﹁ 便

。例 は少 ない が﹁ ﹂ など も﹁ すな はち

﹂と 読む こと があ る。

'

þ﹂ は、

よい ﹂ で、

﹁い っそ う。 ます ます

﹂の 意。

﹂も 同じ であ る。

﹁1

しば しば

﹂は

、﹁

。﹁ いよ いよ

﹂や

﹁し ばし ば﹂ のよ うな 読み 方を する 語を

﹂と いい

、﹁ おの おの

︶﹂

すま

﹂も そ うで ある が、

また

﹂﹁ そも そも

︶﹂

もご

﹂な どは 覚え てお きた い。

﹁3

かへ つて

﹂は

、﹁

﹁4

はな はだ

﹂は

、﹁

﹁5

すこ ぶる

﹂は

、﹁

。 正解

&

5

'

2

29

30

(14)

語句 の意 味の 問題

標準

標準 傍線 部

﹁千 載 之 上﹂

﹁舟 車 之 所

湊﹂ のこ こで の意 味と して 最も 適当 なも のを

、そ れぞ れ一 つず つ選 べ。

﹂ は、

﹂ が﹁ 遠い 年月

﹂の こと を表 す語 であ ると いう 知識 があ れば

、2

の﹁ 遠い 過去

﹂か

、5

の﹁ はる かな 未来

﹂、 つま り、 時間 を表 して いる 選択 肢に 絞る こと がで きる

。そ うで なく ても

、1

﹁地 位﹂

、3

﹁積 み荷

﹂、

﹁4

書籍

﹂の よう な語 でな いこ とは

、文 脈上 わか るで あ ろう

﹁千)))) に居 りて

、之 を千)))) に求 むる に﹂ とい う が ある

。﹁ 上・ 下﹂ が何 を言 って いる のか であ るが

、﹁ 下に 居)))

﹂と 言う 以上

、﹁ 千載 の 下)

﹂は

、遠 い年 月が 上か ら下 へ流 れつ いて

、今

﹁い る﹂ 所、 つま り﹁ 現在

﹂を 言っ てい るで あろ う。 とす ると

、﹁ 千載 の上)

﹂は

い年 月を さか ぼっ 過去

﹂の こと であ る。 この あと の﹁ 舟に 刻み て剣 を求 む﹂ の故 事が

、﹁ 往者

︵過 去︶

﹂に 落と した 剣を

、す でに 舟が 進ん でし まっ た﹁ 今﹂ 求め てい ると いう 話で ある こと から も、

﹁現 在﹂ の時 点か ら﹁ 過去

﹂の こと を…

…と 見な けれ ばな らな い。

﹂ も、

﹂ が﹁ 水陸 の交 通機 ﹂ であ ると いう 知識 があ れば

、あ るい は類 推が でき れば

、そ れが

﹁湊

まる 所﹂ なの であ るか ら、 の3

陸の 交通 の要

﹂に たど りつ ける であ ろう

。 これ も、

﹁1

軍勢

﹂、

﹁2

港﹂

︵﹁ 湊﹂ は﹁ みな と﹂ とも 読む が、 ここ では 動詞

﹁あ つま る﹂ であ る︶

、4

﹁事 故﹂

﹁難 所﹂

、5

﹁居 住区

﹂な どを 不適 切な 選択 肢と して 消去 する こと は容 易で ある

。 正解

2

3

31

32

傍線 部の 内容 説明 の問 標準 傍線 部

﹇聴

雷 霆 於 百 里 之 外

者、 如

盆、 望

江 河 於 千 里 之 間

者、 如

帯、 以

其 相 去 之 遠

也﹂ とあ るが

、そ れは どう い うこ とか

。そ の説 明と して 最も 適当 なも のを 一つ 選べ

。 内容 説明 であ るか ら、 まず は、 傍線 部そ のも のの 解釈 がで きる こと が大 切で ある

を百 里の 外に 聴け

を鼓 する がご とく

﹂ 雷鳴

︶ のよ うに 大き くと どろ くよ うな 音で も、 百里 も遠 く離 れた とこ ろで 聞く と、 盆︵

…酒 など を入 れる 容器

…円 形で 浅い 瓦器

…日 本で

Referensi

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【読み上げ文の訳】 女性「あなたは本当に海外旅行が好きなのね」 男性「うん,息子が旅行代理店をやってるから,機会がたくさんあるんだ」 【選択肢】 ①「あら,あなたが危険を冒すのが好きだとは知らなかった」 ②「あら,あなたの息子さんがパイロットだとは知らなかった」 ③「それはいいわね。じゃ,あなたはどのくらいそこで働いているの?」

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