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住宅における窓開放行動と温熱環境に関する研究

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Academic year: 2025

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Investigation of the window opening behaviour and thermal environment in the houses HOSOKAWA Yohei, RIJAL H.B.

住宅における窓開放行動と温熱環境に関する研究

準会員 ○細川陽平

*

正会員

H.B.

リジャル

**

住宅 リビング 窓開閉

自然換気 気温 ロジスティック回帰

1. はじめに

近年、住宅でも冷房の普及によって窓開放による自然換気 が減少していると思われる。また、窓開放が冷房使用による 環境負荷低減に有効的であると思われる。よって、夏季及び 中間期に窓開放によりいかに自然通風を取り入れ、冷房期間 をできるだけ短くすることが重要であると考える。

窓開放に関する国内の既往研究は大学キャンパス 1)、オフ ィスビル 2)、戸建て住宅 3)などでみられる。また、海外でも 同様に集合住宅 4)やオフィスビルの研究がみられる 5)。しか しながら、国内外の住宅における研究例が少ないため、居住 者の窓開放による環境調節行動について明らかではない。

住宅ではオフィスビルに比べて、窓開放の制約が少ないた め、居住者が積極的に窓を開放して室内環境を調節すると思 われる。このように、オフィスビルと住宅では窓開放の行動 が異なるため、住宅でも窓開放に関する研究を行う必要があ る。

本研究では、関東地方の住宅を対象に夏と秋の温熱環境実 測と住居の窓開放の調査を行い、窓開放と気温の関係につい て明らかする。また、居住者の窓開数と気流感の関係を分析 した結果を報告する。

2. 調査方法

調査は関東地方の住宅を対象と し、実測調査は

2010

年夏から秋

(7~10 月中旬)にかけて行った。

室温と相対湿度は小型温湿度計を 用いて

10

分ごとに測定した。外気 温は最も近い気象台のデータを利 用した。測定高さは床上約

110cm

である。窓開放の調査はリビングに おいて居住者に対して

1

日に何回か バイナリ形式(0=窓閉鎖、1=窓開放)

に記録した。気流感申告は

7

段階尺度で行った(表

1

3. 分析方法

既往研究では、窓開閉と室温や外気温度の関係を分析する ために、ロジスティック回帰を用いている5)6)。本研究でも同 じ方法を用いて分析する。ロジスティクス回帰は下記に示す。

(1)

1 2

p:窓開閉の割合、b:回帰係数、T:気温(℃)、c:定数、

e:指数関数である。

4. 結果と考察 4.1 窓の開放行動

居住者の窓開閉の状況を把握するために、世帯ごとの窓開 放の平均値を比較する。また冷房使用の有無で窓開閉に違い があるかを明らかにするために

NV

モード(自然換気)と

AC

冷房モード(冷房使用)に分類し、両者の差を分析する。

1

に各世帯の窓開放の平均値と

95

%の信頼区間を示す。

B

邸ではほとんど窓を開放していないが、

F

邸では常に窓を開 放して室内環境を調節していることがわかる(図

1

)。特に

A

邸、

D

邸、

F

邸は窓開放の割合が高く、共通しているのはリ ビングに冷房がない事である。リビングに冷房がないため、

窓開放によって温熱環境を調節していると想像できる。

窓開放の平均値は

NV

モードで

0.70

AC

モードで

0.01

で ある。イギリスのオフィスビルにおける研究でも

NV

モード

0.70、AC

モードの窓開放の平均は

0.04

で非常に小さく、

既往研究と類似している 5)。よって、

AC

モードではほと んど窓開放されていないことから、本研究では

NV

モード

の み を 分 析 す る 。

4.2 窓開閉と気温 の関係

窓 開 放 に 影 響 す る 要 因 と し て 、 気 温 と 窓 開 放 の 関 係 を 分 析 す る 。 表

2

NV

モード に お け る 窓 開 放 と 室 温 や 外 気 温 の 相 関 関 係 を 示 す。窓開放と室温 の相関係数は

0.42

であり、外気温と の相関係数より高 い。室温と外気温 の相関係数は

0.83

と非常に高い。パ

1 各世帯の窓開放の割合

1

気流感の尺度

尺度 項目

7 とても風が強い

6 風が強い

5 やや風が強い 4 ちょうどよい 3 やや風が弱い

2 風が弱い

1 とても風が弱い 今、扇風機・自然の風をど のように感じていますか?

2 NV

モードの相関係数

項目 窓:Ti 窓:To

Ti:To

相関係数 0.42 0.37 0.83

サンプル数

1307 1306 1306

有意確率(p) p<0.001 p<0.001 p<0.001

Ti:室温(℃)、To:外気温(℃)

(2)

*東京都市大学 環境情報学科 学部生

**東京都市大学 環境情報学科 講師・博士(工学)

* Undergraduate student, Tokyo City University

** Lecturer, Tokyo City University, Dr. Eng.

キスタンでも窓開閉と室温の相関係数は

0.43、外気温との相

関係数は

0.41

であり、本研究の結果と類似している6)。これ らのことから、居住者は室温・外気温の変化に伴い窓開閉を 行っているといえる。

4.3. 窓開放の予測

窓開放の割合を予測するために窓開閉と室温や外気温のロ ジスティック回帰分析を行う。図

2

にロジスティック回帰分 析で得られた窓開と室温の関係を、図

3

に窓開と外気温の関 係を示す。各図のプロットは

1℃刻みに平均した値であり、5

以下のサンプル数は表示していない。窓開閉と室温や外気温 の間で下記の式が得られた。

logit(p)=0.353Ti

9.032

n=1,307、R2

=0.165

p<0.001) (

3

logit(p)=0.20To

4.315

n=1,306、R2

=0.131

p<0.001) (

4

Ti

:

室温(℃)、To

:

外気温(℃)、n

:

サンプル数、R2

:Cox and

Snell

の決定係数、p:有意水準である。図中の曲線は回帰式か

ら書いたものである。予測値と実測値を比べると比較的一致 しているが、室温や外気温が

20

25

℃では実測値と予測値に 差がみられる。よりも少しずれている傾向にある。窓開放と 気温の相関関係と同様に、おそらくこれらの温度は窓開閉の 必要性がない温度であり、気温以外の他の要素(空気を入れ 替えたい、習慣的に開けている等)と関係しているためと思 われる。よって、窓開放に温熱環境以外の要素も影響してい ると考えられる。窓開放の割合と室温の回帰係数は

0.353

決定係数

0.165

となっており、外気温より両者とも大きい。

これは居住者が外気温よりも室温に対して反応し、窓を開放 しているためと思われる。パキスタンのオフィスビルでも室 温の回帰係数は

0.140

、決定係数は

0.19

で外気温よりも室温 の方が大きくなっている 6)。京都市の住宅では外気温の回帰

係数は

0.395

、決定係数は

0.38

であり本研究より高い7)

4.4.窓と気流感の関係

窓開放と気流感の関係を明らかにするために、図

4

に窓開 数と平均気流感の関係を示す。窓開数が

4

個以上の場合はサ ンプル数が少ない(

n

11

)。窓開放数

0

個の場合を見るとリ ビングの窓が閉じている時の平均気流感は

2.70

と「

3.

やや風 が弱い」より低い。一方、窓数が

3

個開いている時の平均気 流感は

3.75

と「

4.

ちょうどよい」に近くなっている。このよ うに、両者の申告に差があるのが、窓開放数が増えることに

よって、風速が増加し 風通しがよくなってい るためと思われる。窓 開放数が多くなると、

居住者が気流感をちょ うど良いと感じており、

窓開放数が快適性の実 現に重要である。北イ ンドとイラクでも室内 の熱的快適感調査は気 流によって最大

4℃の

温度減少に相当する結 果が得られており、快適性に効果がある8

5. まとめ

本研究では、関東地域の住宅を対象に夏と秋のリビングに おける温熱環境と居住者の窓開放の調査を行い、下記の結果 が得られた。

1. AC

モードでは窓開放はほとんど行われていないが、

NV

モードの平均窓開放率は

0.70

である。

2.

窓開閉と室温の相関係数は

0.42、外気温との相関関係

0.37

であり、窓開放と室温の相関関係の方が高い。

3.

ロジスティック回帰分析を行った結果、室温や外気温 が高くなるにつれて、窓開放の割合も高くなる。

4.

窓開数が多くなるほど、居住者の気流感がほぼ「

4.

ち ょうどよい」と感じる。一般的には屋外の風速は室内 の風速よりも高いため、窓開放は室内の気流感を調節 するために効果的である。

参考文献

1. 鈴木玉美、梅宮典子、吉田治典:夏季から秋季にかけての窓 開閉行為の要因に関する研究、日本建築学会計画論文集vol、

pp. 91-98、2010.6.

2. 金政秀、川口友真、田辺新一:執務者による自然換気窓の開 閉行動に関する研究、日本建築学会環境系論文集 vol、pp.

1075-1082、2009.9.

3. 管原正則、小松田綾子、林基哉:戸建住宅における窓開閉行 為時の内外気象条件、日本建築学会東北支部 vol、pp. 99-102、

2008.6.

4. 久保田徹:ジョホールバール市の集合住宅団地における冷房 の使用状況と窓の開閉状況に関する実態調査、日本建築学会 環境系論文集vol、pp. 83-89、2007.6.

5. Rijal H.B., Humphreys M.A., Nicol J.F.: Understanding occupant behavior the use of controls in mixed-mode office buildings, Building Research & Information 37(4), pp. 381-396, 2009.

6. Rijal H.B., Tuohy P., Humphreys M.A., Nicol J.F., Samuel A., Rija I.A.: Development of Adaptive Algorithms for the Operation of Windows,Fans,and Door to Predict Thermal Comfort and Energy Use in Pakistani Buildings, ASHRAE Transationsvol, pp.555-573, 2008.

7. 真嶋一博、梅宮典子、吉田治典、H.B.リジャル:都市内街区 における路地の熱的快適性評価-京都西陣地区における調査

-、日本建築学会環境系論文集vol、pp. 41-48、2007.12.

8. Nicol J.F.: An analysis of some observations of thermal comfort in Rooekee, India and Baghdad, Iraq. Annals of Human Biology 1 (4), pp.411-426, 1974.

9. 細川陽平、H.B.リジャル:夏及び秋における住宅の窓開閉に 関する研究、2010 年度日本建築学会関東支部研究報告書、

pp133~136、2011.1

4

各窓開数における平均

気流感と

95%の信頼区間

0.0  0.1  0.2  0.3  0.4  0.5  0.6  0.7  0.8  0.9  1.0 

16 18 20 22 24 26 28 30 32 34

窓開放の割合

外気温(℃) Mode:NV

0.0  0.1  0.2  0.3  0.4  0.5  0.6  0.7  0.8  0.9  1.0 

20 22 24 26 28 30 32 34

窓開放の割合

室温(℃) Mode:NV

2 窓開閉と室温の関係

3

窓開閉と外気温の関係

Referensi

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