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吸藩ストリッピングボルタンメトリー

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Academic year: 2024

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吸藩ストリッピングボルタンメトリー

1. 緒 言

アノーディックストリッピング分析法は,

非 常 に 感 度 の 高 い 方 法 と し て 知 ら れ て い る

1).海水中の微量の金属イオンの定量等に用 いられているが,その適用範囲はアマルガム を作りやすい金属に限られてくる.

電極への吸着現象は,分析化学的には好ま しいものではなかったが,これを前濃縮にす る吸着ストリッピングボルタンメトリーが開 発 さ れ , 広 く 用 い ら れ る よ う に な っ て き た

2).金属イオンそのものは電極へ吸着しない ので,その錯体の吸着を用いる金属イオンの 吸着ストリッピングボルタンメトリーが種々 行われている.また有機物の吸着ストリッピ ングボルタンメトリーも可能である.著者は 吸着ストリッピングボルタンメトリーに関し ては,かなり古くから行っているので叫こ こに今までの種々の研究をまとめて報告した v

2. 実 験

吸着ストリッピングボルタンメトリーの研 究をするためには,まず対象になる物質が電 極へ吸着するかどうかを知る必要がある.吸 着の研究には電気毛管曲線を測定する方法,

インピーダンスプリッジによる微分容量の測 定等があるが,吸着ストリッピングボルタン メトリーのためには定量的なデ ータは必要な いので,交流ポーラログラフィ ーで十分であ る.著者は 主 として位相弁別式ポーラログラ フ(扶桑製作所製 332型, 3 3 2 A型)を用い た.

澤 本 博 道 *

吸着ストリッピングボルタンメトリーの実 験操作は通常のアノーデイックストリッピン グボルタンメトリーと同じで,マグネチック スターラーにより撹拌しながら, 一定の電位 で吸着濃縮を行い,休止期間の後に, 負 また は正に電位を掃引して,ストリッピングボル タモグラムを得る.ボルタモグラムの測定に は,主として微分パルスポーラログラフ(プ リ ン ス ト ン ア プ ラ イ ド リ サ ー チ 社 製1 7 4 A 型,扶桑製作所312型)を用いたが,方形波 ポーラログラフ(扶桑製作所製333型),試 作した第 二高調波交流ポーラログラフ4)等も 用いた.

用いた電極はすべて吊下水銀滴電極で,メ トローム社のE410型, E A 2 9 0型であった.

3. 結果と考察

3.  1  

の吸藩ストリッピングボルタンメトリー 2,2'ービピリジン (bpy) は水銀電極に強く 吸着し5),またそのFe2+,Zn2+,Ni2+の錯休は,

2,2'ービピリジンよりもさらに強く吸焙するこ とが明らかになっている列それらの中で,

Ni2+‑2,2'ービピリジン錯体 (Ni(bpy)/+) はNi2+

の還元に基づくピークが明瞭に現れるので,

吸着ストリッピングボルタンメトリーが可能 で あ る こ と が 明 か に な っ た 礼 吸 着 濃 縮 電 位,時間等の基礎検討の後に定量の基礎にな る検量線を作成した呪 しかしこのときは 直 流ポーラログラフを用いたために,検出限界 もl m M 程度であり,また吸着濃縮時間を吸 着平衡に達する時間にしたために検量線の直 線性もよくなかった.

*高知大学教育学部 本論文は、藤永太 一郎博士の叙勲を記念して御寄稿頂きました 。

Transactions of T h e  Research Institute of 

Oceanochemlヽtry Vol. 6, No. l, April, 1 9 9 3   (45) 

(2)

以上の研究結果を受けて,さらに詳細な基 礎検討を行い, N杓の分析法を確立したり 2,2'ービピリジンとNi(bpy¥2+の競争吸着 の検討

を行い,過剰の2,2'ービピリジンが妨害 しない こ と を 確 か め た . ま た 脱 着 過 程 の 研 究 も 行

い, Ni(bpy)]はかなり長時間脱着しないこと

が明らかになった.この脱着しにくい性質は 吸着濃縮に有利である.脱着過程の研究は方 法 と し て 確 立 し 別 さ ら に フ ロ ー イ ン ジ ェ ク ション法の導入10)へと続いている.吸着スト リッピング分析の基礎検討を行った結果,分 析の最適条件は,支持電解質を0 . 5 M K C I  +   O . I M  N H 3,添加する2,2'ービピリジンの濃度を O . l m M , 濃縮時間 3分,濃縮電位‑0.95V vs. 

S C Eであり,ボルタモグラムは微分パルスポ

ー ラ ロ グ ラ フ で 測 定 し た . 検 量 線 は0.5μ  M N杓 ま で 直 線 で , 検 出 限 界 は2 0 n Mであっ た. 0.2μ M N i 2+の相対標準偏差 は4.44%であ り, l m MのZn2+, Cd2+,  Pb2+,  Fe2+,  Cu2+は妨 害 し な か っ た 地 下 水 中 のNiを,ロータリー 工バポレイターを用いて水分を蒸発させて濃 縮し,定量したところ, 1 2 n Mという結果が 得られた. .

第二高調波交流ポーラログラフを試作し,

上記の方法で定量した結果,さらに検出限界

をI O n Mまであげることができた4).

河川水中のNやを前濃縮なしで定量するた めに,さらに基礎検討を行い,支持電解質を 0.05M K C I  +  O . O I M K O H ,   ‑0.75Vで10分間濃 縮すると, 5 n Mまで検出でき,この方法で直 接河川水中のNiを定量した11)0

2,2'ービピリジンを用いて,コバルトの定量 も可能である12).

3.  2  リノール酸を用いる金属イオンの吸

藩ストリッピングボルタンメトリー

2,2'ービピリジンのような錯体をつくる有機 試薬を用いる金属イオンの吸着ストリッピン グボルタンメトリーは種々行われている互 リノール酸は水銀電極へ吸着することが知ら れている. リノール酸は金属イオンと錯体を

(46) 

作るとは考えられないが,ある種の 金属 イオ ンはこのリノ ール酸の吸着層 に濃縮され,ま た還元反応も受ける.鉛イオンはそのような 挙 動 を す る の で , こ れ を 利 用 し た 吸着 スト リッピングボルタンメトリ ーの開発を試みた

13) 

. 

まず種々の基礎検討を行って,最適条件を 求めた.その場合鉛イオンの濃度は0.2μ M で あ っ た . 支 持 電 解 質 の 影 響 を 調 べ る と , KCI,  C H 3 C O O N H 4 ,   H E P E S ,   K O H等 では,

ほとんどピークが得られず, C H 3 C 0 0 N aでは 小さなピークが得られたが, N a H C 0 3がより

よいピークを与えた. N a H C 0 3の濃度の 影響 も検討し,支持電解質として0 . 0 1 5 M N a H C 0 3 を用いた.添加するリノール酸の濃度 は19.4 μM , 濃 縮 電 位 は‑0.25V, 濃 縮 時 間 は5分 で,微分パルスポーラログラフを用いて測定 した.検量線は0.4μ M P bまで 直線で,検出 限界は0 . 2 μMであった.

この吸着濃縮の機構は次のように考え られ る. リ ノ ー ル 酸 ( R ‑ C O O H ) の 大 部 分 は

N a H C O降液に溶かすと,リノ ール酸ナトリ

ウム (R‑COONa) になり, R ‑ C O O N aがRを 電極側に向けて吸着すると考えられる.鉛イ オンが加えられると,ナトリウムイオンを追 い出して, Pb(RCOO)2ができ,これも 電極 に 吸 消 し て い る た め に , 吸 着 濃 縮 が 可 能 で あ る.ストリッピングボルタンメトリ ーにおけ る前濃縮には,アマルガム生成, フィルム 生 成,錯体の吸着がよく用いられるが,今匝の 研究は新しい前濃縮のタイプーカチオ ン交換 吸着ーを示したものである.

リノール酸を用いる吸着ストリッピングボ ルタンメトリーは,カドミウム14),銅15) につ いても行い,良好な結果が得られた.

3.  3  有機物の吸蓋ストリッピングボルタ

ンメトリー

通常のアノ ーディックストリッピング ボル タンメトリ ーでは,アマルガムをつくり 易 い 金属イオンの高感度分析はできるものの, 有

海 洋 化 学 研 究 第6 巻第 1 号 平 成54

(3)

機物の分析にはまったく無力であ った.吸着 ストリ ッピ ングボルタンメトリ ーの登場によ り,非常に多くの有機物の 高感度分析が可能 となった .著者 は有機物の吸着ストリッピン グボルタンメトリーにも 早く から 着手 し16),

まずリボフラビンの分析法を確立 した17) .

リボフラビンはポ ーラログラフ的に古くか ら研究されており, リボフラビンもその還元 体であるロイコフラビンも電極に吸着するこ とが知ら れている18). サイクリックボルタン メトリ ーを測定すると,カソ ーディッ ク,ア ノーディックとも 二つのピ ーク が観察され,

その 一つは吸着に基づくものである.リボフ ラビンの吸着濃縮を用いるアノ ーデイックス トリ ッピングボ ルタンメトリ ー とロイコフラ ビンの吸着濃縮を用いるカソ ーデイック スト リッピングボルタンメトリーの 二つが可能で あることが明らかにな った .そ らぞれ濃縮電 位等の基礎検討の結果 ,検出限界はアノ ー ディックス トリ ッピングでは5 n M,カ ソ ー ディックス トリ ッピングで はl O n Mであっ た.さらに基礎検討を進め,方形波ポーラロ グラフを用いると,検出限界はl n Mになった

19). この方法により清涼飲料水中のリボフラ ビンを分析した .試料にはリボフラビンは多 く含まれているので,この方法の ような感度 は必要ないが,本法を用いるために試料を 10000倍に希釈したために ,妨害物質の影響 を受けない測定し易い方法となった.

ビタミンB 1 2はポーラロフラフ接触波を示

すので, よく研究されている20). この電極反 応機構は複雑であるが,ビタミンB 1 2の電極 への吸着が大きな役割を果たしている .ビタ

ミンB 12はごく徴量ではあるが, 天然水中 に 存在し,赤潮発生の原因の 一つであるという 説もある叫 その場合分析には微生物を利用 する定量法が用いられており,実験技術の困 難さに加えて長時 間を 要する .そこでビタミ

B l 2の吸着 ストリ ッピング分析法の開発 を

行った22).種々の基礎検討をした結果,検出 限界が2n Mにな る方法を確立した .さ らに検

Tran tiona of The即 匹 血hIntitute of 

Oceanochemiatry Vol. 6, No. 1, April, 1 9 9 3   (47) 

討を進めた結果,検出限界が0.5n Mとなった

23) 

チオクト酸2 4),メチルレ ッ ド25)の吸着スト リッピン グボルタンメトリーについても研究 した.

以上,安価な測定装置を用い,種々の 金属 および有機物の高感度分析法を確立するこ と ができた .

文献

1) F .  Vydra, K. Stulik,  E. Julakova: "Electro‑

chemical Stripping Analysis",  Halsted Press,  N e w  York, p.15 (1976). 

2) J.  Wang: "Stripping Analysis", V C H  Publish‑

ers,  Florida, p.61 (1985). 

3)澤本博道:日本分析化学会第22年会講演要 旨集, B238 (1973). 

4)澤本博道:日 化会誌, 1983, 1035. 

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6) 澤本博道 ,藤永太 一郎: 日化 会誌 ,1979, 607. 

7) H. Sawamoto:  J. Electroanal.  C h e m.  Interfa‑

cial.  Electrochem.  113, 301 (1980). , 8) H. Sawamoto:  J. Electroanal. Chem. Interfa‑

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Chem.  Interfacial.  Electrochem.,  283, 421  (1990). 

11)澤本博道:分化, 37, 312 (1988). 

12) 澤本博道: 高知大学教育 学 部 研 究 報 告 第 3部 第33号,9 (1981). 

13) H. Sawamoto, K .  G a m o h:  Anal. Sci.  775 , (1989). 

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15)澤本博道,蒲生啓司,佐々木千代:日本化

(4)

学会中国・四国・九朴

l

支部合同大会講演 要旨集, p.253 (1991). 

16)澤本博道日本化学会中 国四国支部大会講 演要旨集, p.27 (1983). 

17) H. Sawamoto: J.  Electroanal. Chem. Interfa‑

cial.  Electrochem., 186, 257 (1985). 

18) B. Breyer, H.H. Bauer: "Alternating Current  Polarography  and  Tensammetry", Inter‑

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19) 澤本博道,桂木浩文:日化会誌, 1989, 299. 

20) G. Dryhurst, K.M. Kadish, F.  Scheller,  R. 

Renne berg:  "Biological Electrochemistry",  Vol. I,  Academic Press, N e w  York, p.313  (1982). 

21) 西島敏隆:高知大学農学部紀要, 43, 1   (1985). 

22) H. Sawamoto: J. Electroanal. Chem. Interfa‑

cial.  Electrochem., 195, 395 (1985). 

23) H. Sawamoto:  International  Symposium on  N e w  Sensors and Methods for Environmental  Characterzation, S  1‑06 (1986).  

24)  澤本博道,川添美和: 分化, 37, 676  (1988).  

25)澤本博道:高知大学教育学部研究報告第 3部 第43号, I (1991). 

(48)  海 洋 化 学 研 究 第6巻第1号 平 成5年4月

Referensi

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