二〇二二(令和四)年度 東北学院高等学校入学試験問題
〈一般
国 語 B 日程〉
注意事項
一.受験番号・氏名を解答用紙にはっきり記入しなさい。
二.解答は、すべて解答用紙に記入しなさい。
三.解答用紙だけを提出しなさい。
二〇二二(令和四)年二月三日 (木) 九時~九時五〇分(五〇分間)
著作権に関する注意
本校の入試問題は著作権の対象となっており,著作権法で保護されています。
「私的使用のための複製」や「引用」など著作権法上認められた場合を除き,無断で複製・転用することはできません。
お 断 り
本校の入試問題中で引用した文章・文献等について,著作物保護の観点から一部掲載を控えた箇所があります。ご了承ください。
― 1 ―
― 2 ―
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。(設問の都合上、一部本文を改めたところがあります。)
もう少し、AIと共存していく社会について、考えてみましょう。AIは何らかの答えを出してくれますが、その答えが正しいかどうかの
検証をヒトがするのが難しいというところが、まず問題です。大切なことは、何をAIに頼って、何をヒトが決めるのかを、しっかり区別することでしょう。《A》
データをコンピュータに学習させて、それを基に分析を行う機械学習のようなAIは、過去の事例からの条件にあった最適な答えを導き出
すので、その学習データの質で答えが変わってきます。画像診断のように「答えを知っている」医師の判断を、見落としなどがないように助ける道具としては十分に役立ちます。ただ、例えば過去の事例にないケースの判断は難しいです。
でヒトの強力な相談相手になることが期待されています。こちらは使い方を間違うと、かなり危険だと思っています。 機械学習型ではなく、SF映画に登場するヒトのように考える汎用型人工知能はどうでしょうか?まだ開発途中ですが、さまざまな局面 はんよう
Ⅰ の逆転」が起こってしまいます。《B》 る理由、つまり「考える」ということが激減する可能性があるからです。一度考えることをやめた人類は、それこそAIに頼り続け、「主体 、ヒトが人であ ではそうならないようにするには、どうすればいいのでしょうか。私の意見としては、決して「ヒトの手助け」以上にAIを頼ってはいけ ないと思います。あくまでAIはツール(道具)で、それを使う主体はリアルなヒトであるべきです。《C》「いや、AIのほうが賢明な判断をしてくれるよ」とおっしゃる方もおられるでしょう。しかし、それは時と場合によります。いつも正しい答えが得られるという状況は、ヒトの考える能力を低下させます。ヒトは( )、つまり間違えることから学ぶことを成長と捉え、それを「楽しんで」きたのです。喜劇のコントの基本は間違えて笑いを誘い、最後はその間違いに気づくことが面白いのです。逆に「悲劇」は、取り返しがつかない運命に永遠に縛られることに、恐怖と悲しみを覚えるのではないでしょうか。《D》
AIは、
人を楽しませる面白い「ゲーム」を提供するかもしれません。
Ⅱ があります。そして何よりも私が問題だと考えるのは、AIは死なないということです。 0000000 、リアルな世界では、AIはヒトを悲劇の方向に導く可能性 私たちは、たくさん勉強しても、死んでゼロになります。文化や文明を継承するために教育に時間をかけ、次世代を育てます。一世代ごと
にリセットされるわけです。死なないAIにはそれもなく、無限にバージョンアップを繰り返します。《E》
私は1963年の生まれで、大学生の時(1984年)にアップル社からマッキントッシュ(Mac)のコンピュータが発売され、その後
ウィンドウズが誕生したのを体験してきました。ゲームも、フロッピーディスクに入った「テトリス」を8インチの白黒画面でハイスコアを 一
※
※※
※
※※※
10 20
― 1 ―
― 2 ―
競ったものです。その後のパソコン、ゲーム機、スマホなどの急速な進歩は、本当に驚きです。
私はコンピュータの急成長も可能性も
脆 ぜいじゃくせい弱性も知っている「生みの親」世代です。そしてコンピュータが「生みの親」より賢くなっていくのを体感しています。だからこそAIの危険性、つまりこのままいったら絶対にやばい 00000000000000と直感的にわかるのかもしれません。
そんな私でも自分の子供の世代には警鐘を鳴らせますが、孫の世代はどうでしょうか。孫たちにとってはヒト(親)の能力をはるかに
凌 りょうが駕したコンピュータが生まれながらにして存在するのです。タブレットで読み・書き・計算を教わり、私情が入らないようにと先生代わりのAIが成績をつけるという時代にならないとも限りません。そんな孫の世代にとっては、AIの危険性より信頼感のほうが大きくなるのは当然です。
死なないAIは、私たち人間と違って世代を超えて、進歩していきます。一方、私たちの寿命と能力では、もはや複雑すぎるAIの仕組み
を理解することも難しくなるかもしれませんね。人類は1つの能力が変化するのに何万年もかかります。その人類が自分たちでコントロールすることができないものを、作り出してしまったのでしょうか。
進歩したAIは、もはや機械ではありません。ヒトが人格を与えた「エイリアン」のようなものです。しかも死にません。どんどん私たち
が理解できない存在になっていく可能性があります。
死なない人格と共存することは難しいです。
Ⅲ
、身近に死なないヒトがいたら、と想像してみてください。その人とは、価値観も人生の悲哀も共有できないと思います。非常に進歩したAIとはそのような存在になるのかもしれません。
多くの知識を
溜 ため込み、いつも合理的な答えを出してくれるAIに対して、人間が従属的な関係になってしまう可能性があります。私たちがちょうど自分たちより寿命の短い昆虫などの生き物に抱くような、ある種の「優越感」と逆の感情を持つのかもしれません。「AIは偉大だな」というような。
(小林武彦『生物はなぜ死ぬのか』より) き物は全て有限な命を持っているからこそ、「生きる価値」を共有することができるのです。 れからもそうあることで、存在し続けていけるのです。AIが、逆に人という存在を見つめ直すいい機会を与えてくれるかもしれません。生 ヒトには寿命があり、いずれ死にます。そして、世代を経てゆっくりと変化していく――それをいつも主体的に繰り返してきましたし、こ ※
※
30 40
― 1 ―
― 2 ―
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。(設問の都合上、一部本文を改めたところがあります。)
もう少し、AIと共存していく社会について、考えてみましょう。AIは何らかの答えを出してくれますが、その答えが正しいかどうかの
検証をヒトがするのが難しいというところが、まず問題です。大切なことは、何をAIに頼って、何をヒトが決めるのかを、しっかり区別することでしょう。《A》
データをコンピュータに学習させて、それを基に分析を行う機械学習のようなAIは、過去の事例からの条件にあった最適な答えを導き出
すので、その学習データの質で答えが変わってきます。画像診断のように「答えを知っている」医師の判断を、見落としなどがないように助ける道具としては十分に役立ちます。ただ、例えば過去の事例にないケースの判断は難しいです。
でヒトの強力な相談相手になることが期待されています。こちらは使い方を間違うと、かなり危険だと思っています。 機械学習型ではなく、SF映画に登場するヒトのように考える汎用型人工知能はどうでしょうか?まだ開発途中ですが、さまざまな局面 はんよう
Ⅰ の逆転」が起こってしまいます。《B》 る理由、つまり「考える」ということが激減する可能性があるからです。一度考えることをやめた人類は、それこそAIに頼り続け、「主体 、ヒトが人であ ではそうならないようにするには、どうすればいいのでしょうか。私の意見としては、決して「ヒトの手助け」以上にAIを頼ってはいけ ないと思います。あくまでAIはツール(道具)で、それを使う主体はリアルなヒトであるべきです。《C》「いや、AIのほうが賢明な判断をしてくれるよ」とおっしゃる方もおられるでしょう。しかし、それは時と場合によります。いつも正しい答えが得られるという状況は、ヒトの考える能力を低下させます。ヒトは( )、つまり間違えることから学ぶことを成長と捉え、それを「楽しんで」きたのです。喜劇のコントの基本は間違えて笑いを誘い、最後はその間違いに気づくことが面白いのです。逆に「悲劇」は、取り返しがつかない運命に永遠に縛られることに、恐怖と悲しみを覚えるのではないでしょうか。《D》
AIは、
人を楽しませる面白い「ゲーム」を提供するかもしれません。
Ⅱ があります。そして何よりも私が問題だと考えるのは、AIは死なないということです。 0000000 、リアルな世界では、AIはヒトを悲劇の方向に導く可能性 私たちは、たくさん勉強しても、死んでゼロになります。文化や文明を継承するために教育に時間をかけ、次世代を育てます。一世代ごと
にリセットされるわけです。死なないAIにはそれもなく、無限にバージョンアップを繰り返します。《E》
私は1963年の生まれで、大学生の時(1984年)にアップル社からマッキントッシュ(Mac)のコンピュータが発売され、その後
ウィンドウズが誕生したのを体験してきました。ゲームも、フロッピーディスクに入った「テトリス」を8インチの白黒画面でハイスコアを 一
※
※※
※
※※※
10 20
著作物保護のため掲載を控えます
― 1 ―
― 2 ―
競ったものです。その後のパソコン、ゲーム機、スマホなどの急速な進歩は、本当に驚きです。
私はコンピュータの急成長も可能性も
脆 ぜいじゃくせい弱性も知っている「生みの親」世代です。そしてコンピュータが「生みの親」より賢くなっていくのを体感しています。だからこそAIの危険性、つまりこのままいったら絶対にやばい 00000000000000と直感的にわかるのかもしれません。
そんな私でも自分の子供の世代には警鐘を鳴らせますが、孫の世代はどうでしょうか。孫たちにとってはヒト(親)の能力をはるかに
凌 りょうが駕したコンピュータが生まれながらにして存在するのです。タブレットで読み・書き・計算を教わり、私情が入らないようにと先生代わりのAIが成績をつけるという時代にならないとも限りません。そんな孫の世代にとっては、AIの危険性より信頼感のほうが大きくなるのは当然です。
死なないAIは、私たち人間と違って世代を超えて、進歩していきます。一方、私たちの寿命と能力では、もはや複雑すぎるAIの仕組み
を理解することも難しくなるかもしれませんね。人類は1つの能力が変化するのに何万年もかかります。その人類が自分たちでコントロールすることができないものを、作り出してしまったのでしょうか。
進歩したAIは、もはや機械ではありません。ヒトが人格を与えた「エイリアン」のようなものです。しかも死にません。どんどん私たち
が理解できない存在になっていく可能性があります。
死なない人格と共存することは難しいです。
Ⅲ
、身近に死なないヒトがいたら、と想像してみてください。その人とは、価値観も人生の悲哀も共有できないと思います。非常に進歩したAIとはそのような存在になるのかもしれません。
多くの知識を
溜 ため込み、いつも合理的な答えを出してくれるAIに対して、人間が従属的な関係になってしまう可能性があります。私たちがちょうど自分たちより寿命の短い昆虫などの生き物に抱くような、ある種の「優越感」と逆の感情を持つのかもしれません。「AIは偉大だな」というような。
(小林武彦『生物はなぜ死ぬのか』より) き物は全て有限な命を持っているからこそ、「生きる価値」を共有することができるのです。 れからもそうあることで、存在し続けていけるのです。AIが、逆に人という存在を見つめ直すいい機会を与えてくれるかもしれません。生 ヒトには寿命があり、いずれ死にます。そして、世代を経てゆっくりと変化していく――それをいつも主体的に繰り返してきましたし、こ ※
※
30 40
著作物保護のため掲載を控えます
― 3 ―
― 4 ―
※ AI……人工知能。
※ SF……科学的仮想に基づいて描かれた創作物。
※ 汎用型人工知能……特定の課題にのみ対応するのではなく、さまざまな課題を処理することができる人工知能。
※ マッキントッシュ(Mac)、ウィンドウズ……コンピュータの製品のシリーズ名。
※ フロッピーディスク……USBメモリ、CD、DVDなどが普及する以前のコンピュータの主要な記録メディア。
※ テトリス……コンピュータのゲームシリーズの総称。
※ 脆弱性……もろくよわい性質。
※ 凌駕……他のものを越えてその上に出ること。
問一
次の一文は、本文中の
《A》~《E》のうちいずれかの箇所に入ります。どこに入るのがふさわしいか、一箇所選んで記号で答えなさい。
ヒトのために作ったはずのAIに、ヒトが従属してしまうのです。
問二
Ⅰ
~
Ⅲ を補うのにふさわしい語を次の中からそれぞれ選び、記号で答えなさい。
ア
しかし
イ
例えば
ウ
だから
エ
なぜなら
オ
さて
問三 ( )を補うのにふさわしい語句を次の中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア
臨機応変
イ
一生懸命
ウ
試行錯誤
エ
威風堂々
オ
東奔西走
問一
Ⅰ
~
Ⅲ にあてはまる語を次の中からそれぞれ選び、記号で答えなさい。
ア
すなわち
イ
だから
ウ
たとえば
エ
さらに
オ
しかし
カ
ところで
問二
説明しなさい。なお、句読点や記号も一字とし、以下の問いでも同様の扱いとします。 部敢「なぜ、言葉については『たくみ』であることが信じられないか」について、筆者が考える理由を五十字以上六十字以内で
問三
語句を本文中より抜き出して答えなさい。 部 柑「独白社会」について本文で筆者が説明している内容を、次の図のようにまとめました。ア・イのにふさわしい
問四
そうでないものには×を、それぞれ解答欄に書きなさい。 次 にあげる各文を、部桓「独白のコミュニケーション」にあてはまるものとそうでないものに分類し、あてはまるものには◯を、
ア
スポーツニュースを一人で見ていて、報じられる試合結果に思わず文句をつぶやいていた。
イ
店の予約がインターネットでできるようになり、営業時間を気にせず連絡が可能になった。
ウ
通学の途中で知り合いにあいさつをしたが、声が届かなかったようで返事をされなかった。
― 3 ―
― 4 ―
問四 部「エイリアン」について、なぜこのような言葉でAIを表現しているのですか。その説明としてふさわしいものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア
自分たちがもはや理解できないという点で、AIは排除すべき存在であるという主張を際立たせるため。
イ
人間よりも多くの知識を溜め込み、いつも合理的な答えを出してくれるAIに対する尊敬の念を表すため。
ウ
AIが人間を支配し始めたように、地球もいずれ地球外生命体に支配されてしまう危険性があることを示すため。
エ
AIは人間が作り出したものであるにも関わらず、人間の理解を越えた存在になりつつあることを警告するため。
オ
自分たちの寿命や能力を超えるAIを生み出した人間が、AIよりも優れた存在であることを強調するため。
問五
次の文は、AIと人間の違いについてまとめたものです。
に当てはまる内容を、本文中の語句を用いて具体的に書きなさい。
死なないAIは世代を超えて進歩するのに対し、死んでしまう人間は ことで変化する。
― 3 ―
― 4 ―
※ AI……人工知能。 ※ SF……科学的仮想に基づいて描かれた創作物。 ※ 汎用型人工知能……特定の課題にのみ対応するのではなく、さまざまな課題を処理することができる人工知能。 ※ マッキントッシュ(Mac)、ウィンドウズ……コンピュータの製品のシリーズ名。 ※ フロッピーディスク……USBメモリ、CD、DVDなどが普及する以前のコンピュータの主要な記録メディア。 ※ テトリス……コンピュータのゲームシリーズの総称。 ※ 脆弱性……もろくよわい性質。 ※ 凌駕……他のものを越えてその上に出ること。
問一
次の一文は、本文中の
《A》~《E》のうちいずれかの箇所に入ります。どこに入るのがふさわしいか、一箇所選んで記号で答えなさい。
ヒトのために作ったはずのAIに、ヒトが従属してしまうのです。 問二
Ⅰ
~
Ⅲ を補うのにふさわしい語を次の中からそれぞれ選び、記号で答えなさい。
ア
しかし
イ
例えば
ウ
だから
エ
なぜなら
オ
さて
問三 ( )を補うのにふさわしい語句を次の中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア
臨機応変
イ
一生懸命
ウ
試行錯誤
エ
威風堂々
オ
東奔西走
問一
Ⅰ
~
Ⅲ にあてはまる語を次の中からそれぞれ選び、記号で答えなさい。
ア
すなわち
イ
だから
ウ
たとえば
エ
さらに
オ
しかし
カ
ところで
問二
説明しなさい。なお、句読点や記号も一字とし、以下の問いでも同様の扱いとします。 部敢「なぜ、言葉については『たくみ』であることが信じられないか」について、筆者が考える理由を五十字以上六十字以内で
問三
語句を本文中より抜き出して答えなさい。 部 柑「独白社会」について本文で筆者が説明している内容を、次の図のようにまとめました。ア・イのにふさわしい
問四
そうでないものには×を、それぞれ解答欄に書きなさい。 次 にあげる各文を、部桓「独白のコミュニケーション」にあてはまるものとそうでないものに分類し、あてはまるものには◯を、
ア
スポーツニュースを一人で見ていて、報じられる試合結果に思わず文句をつぶやいていた。
イ
店の予約がインターネットでできるようになり、営業時間を気にせず連絡が可能になった。
ウ
通学の途中で知り合いにあいさつをしたが、声が届かなかったようで返事をされなかった。
― 3 ―
― 4 ―
問四 部「エイリアン」について、なぜこのような言葉でAIを表現しているのですか。その説明としてふさわしいものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア
自分たちがもはや理解できないという点で、AIは排除すべき存在であるという主張を際立たせるため。
イ
人間よりも多くの知識を溜め込み、いつも合理的な答えを出してくれるAIに対する尊敬の念を表すため。
ウ
AIが人間を支配し始めたように、地球もいずれ地球外生命体に支配されてしまう危険性があることを示すため。
エ
AIは人間が作り出したものであるにも関わらず、人間の理解を越えた存在になりつつあることを警告するため。
オ
自分たちの寿命や能力を超えるAIを生み出した人間が、AIよりも優れた存在であることを強調するため。
問五
次の文は、AIと人間の違いについてまとめたものです。
に当てはまる内容を、本文中の語句を用いて具体的に書きなさい。
死なないAIは世代を超えて進歩するのに対し、死んでしまう人間は ことで変化する。
― 5 ―
― 6 ―
問六
次のやりとりは、AIについての生徒同士の会話です。筆者の考え方と近いのはどの生徒ですか。次の中から一人選び、
ア~オの記号で答えなさい。
ア
生徒A
―
AIって本当に便利だよね。私たちの暮らしが格別に快適になっているし、生活のあらゆる面で最優先に取り入れて、どんどん活用したいね。イ
生徒B
―
AIがいくら優秀でも、人間の知恵の蓄積にはかなわないでしょう。改良されていったとしても、毎回何らかの不具合は見つかるわけだし。ウ
生徒C
―
AIを作ったのは人間なのだから、主導権を握るのはこれからも人間に決まっているよ。AIは未知のものには対応できないんだから。エ
しっかり合わせたうえで。 生徒D
―
そうかな?AIの方が常にデータに基づいた賢明な判断をしてくれるよ。もちろん、AIを生み出した人間の価値観にオ
生徒E
―
私は失敗しながらでも成長できる方がいいな。AIについて考えていると、人間って何なのかな、なんて考えこんでしまうことがあるよ。― 5 ―
― 6 ―
二 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。(設問の都合上、一部本文を改めたところがあります。)
「で、話を戻すけど」
脊尾が言った。
「練習でやってないことをやるなって言ったけど、オレはそれ、逆だと思う。試合でやらないことを、おまえが練習してたんだよ」
俺は数秒ぼんやりしてから、目を白黒させた。
「は?」 なに言ってんだ、こいつ。
「バトン、全力で〝もらう〟つもりだったって言うんだろ?加速できなくてもいいから、とにかくもらうことに全力を尽くすつもりだった、って」
脊尾は、言い返そうとした俺の
機先を制する。「けど、おまえの背中はちゃんと走ろうとしてた。オレがいけって言う前に、攻め気に走り出してた。その後ブレーキ踏みそうだったから叫んじまったけど」
俺がぐっと言葉に詰まったのは、それが事実だと自覚しているからだ。
空 たか斗 とさんなら……と考えた瞬間、足が勝手に動き出していた。「逆に訊 きくけど、なんでブレーキ踏もうとしたんだよ」
俺は脊尾を
睨 にらみつける。
わかるだろ?
おまえも三年なら。「だって嫌だろ!これが最後の年なんだぞ!最後のチャンスなんだ。バトンミス一つで終わるなんて……」
口にすると、それは思っていた以上に格好の悪い理屈だった。だけど本音だ。きっと、日本中の高校三年生が、陸上に限らず、スポーツに が予選のビデオを見て、第三走者の「脊尾」と話をしている場面である。 4×100メートルリレーに挑むことになった。次の文章は、都大会予選でなんとか決勝に残ったその夜、第四走者の「俺」(朝月渡) あさつきわたり 離島・大島にある渚台高等学校陸上部は、人数不足に悩んでいたが、転校生の「脊尾」が入部したことで四人の男子部員がそろい、 なぎさだいせお
ⓐ
敢 ※
10
― 5 ―
― 6 ―
問六
次のやりとりは、AIについての生徒同士の会話です。筆者の考え方と近いのはどの生徒ですか。次の中から一人選び、
ア~オの記号で答えなさい。
ア
生徒A
―
AIって本当に便利だよね。私たちの暮らしが格別に快適になっているし、生活のあらゆる面で最優先に取り入れて、どんどん活用したいね。イ
生徒B
―
AIがいくら優秀でも、人間の知恵の蓄積にはかなわないでしょう。改良されていったとしても、毎回何らかの不具合は見つかるわけだし。ウ
生徒C
―
AIを作ったのは人間なのだから、主導権を握るのはこれからも人間に決まっているよ。AIは未知のものには対応できないんだから。エ
しっかり合わせたうえで。 生徒D
―
そうかな?AIの方が常にデータに基づいた賢明な判断をしてくれるよ。もちろん、AIを生み出した人間の価値観にオ
生徒E
―
私は失敗しながらでも成長できる方がいいな。AIについて考えていると、人間って何なのかな、なんて考えこんでしまうことがあるよ。― 5 ―
― 6 ―
二 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。(設問の都合上、一部本文を改めたところがあります。)
「で、話を戻すけど」
脊尾が言った。
「練習でやってないことをやるなって言ったけど、オレはそれ、逆だと思う。試合でやらないことを、おまえが練習してたんだよ」
俺は数秒ぼんやりしてから、目を白黒させた。
「は?」 なに言ってんだ、こいつ。
「バトン、全力で〝もらう〟つもりだったって言うんだろ?加速できなくてもいいから、とにかくもらうことに全力を尽くすつもりだった、って」
脊尾は、言い返そうとした俺の
機先を制する。「けど、おまえの背中はちゃんと走ろうとしてた。オレがいけって言う前に、攻め気に走り出してた。その後ブレーキ踏みそうだったから叫んじまったけど」
俺がぐっと言葉に詰まったのは、それが事実だと自覚しているからだ。
空 たか斗 とさんなら……と考えた瞬間、足が勝手に動き出していた。「逆に訊 きくけど、なんでブレーキ踏もうとしたんだよ」
俺は脊尾を
睨 にらみつける。
わかるだろ?
おまえも三年なら。「だって嫌だろ!これが最後の年なんだぞ!最後のチャンスなんだ。バトンミス一つで終わるなんて……」
口にすると、それは思っていた以上に格好の悪い理屈だった。だけど本音だ。きっと、日本中の高校三年生が、陸上に限らず、スポーツに が予選のビデオを見て、第三走者の「脊尾」と話をしている場面である。 4×100メートルリレーに挑むことになった。次の文章は、都大会予選でなんとか決勝に残ったその夜、第四走者の「俺」(朝月渡) あさつきわたり 離島・大島にある渚台高等学校陸上部は、人数不足に悩んでいたが、転校生の「脊尾」が入部したことで四人の男子部員がそろい、 なぎさだいせお
ⓐ
敢 ※
10
著作物保護のため掲載を控えます
― 7 ―
― 8 ―
限らず、感じている恐怖だ。今年で最後。一走、一跳、一泳、一球、一投、一打、一奏、一描、一書、その他すべての部活動におけるありとあらゆる動作に、きっとたくさんの三年生が魂を込めている。高校一年、高校二年のときには感じなかった。だけど高校三年は……最後だと思った瞬間、急に怖くなって必死に練習しだしたりして……俺はそれを否定しない。だって俺もそうだから。「だったら詰まってでも、確実にもらう方が絶対いい」
俺は
自分のつま先に向かって、吐き捨てるようにつぶやく。脊尾の顔なんか見られない。「そんなふうに守って、明日の決勝勝てると思うか?」
脊尾が静かに訊いた。
「勝てないかもな」
それは今日思った。
「でもタイムが届かなくて負けるより、バトンを落として負ける方が、俺は後悔する」
そうだろう?
そうだろう?
誰だって、そうだろう?
「なに言ってんの、おまえ」 終わりがお粗末なバトンミスだなんて、一生悪夢に見る。冗談じゃない。 て思うさ。けど終わるまでは、それに縋ったっていいだろう?俺たちは、三年間を費やしてきた。決して短くない時間を捧げてきた。その 盛すがささ 大なミスをして終わるより、それなりで終わりたいだろう?終わりよければすべてよし、なんて言葉、終わった瞬間にはくそくらえっ 顔をつかまれて、上を向かされた、ような気がした。脊尾は依然はす向かいに座っている。少し身を乗り出して、俺をじっと睨んでいる。
「ふざけんな。どっちだって後悔するに決まってんだろ、そんな二択。なんでそもそもこの二択なんだ」
なんで、おまえが、怒ってんだよ。
「バトンも成功して、タイムも最高を出す。そうだろ?それをやるべきだろ?なんで最初からそれを目指さない?」
バトンパスの理想は、前走者が十のスピードのまま、十のスピードで走る次走者にバトンを渡すことだ。そんなの、わかってるさ。
「できねぇんだよ!」
俺は
喚 わめいた。 柑
20 30
40
― 7 ―
― 8 ―
「できるわけ、ねぇだろそんなの。俺とおまえの間に、そんな信頼関係なんかねぇよ」
そうだ。遅過ぎたんだ。俺とおまえは、わかり合うのがあまりに遅過ぎた。もっと早くに、お互いを知ることができていれば……バトンパ
スだって、きっと、もっと――。「おまえさァ……弱音吐くタイミングじゃねぇだろ。泣いても喚いても、決勝は明日なんだぜ。明日走らなきゃなんないんだ。今の全力で、今できることをやるしかないんだ。できねぇ、ってなんだよ?違うだろ、やりたくないんだろ!失敗が怖いから!」
俺は言い返そうと口を開く。でも言い返す言葉は見つからなかった。だって、脊尾の言っていることは正しい。失敗が怖いと、俺は今さっ
き、言い返そうとしているまさにこの口で、脊尾に言っちまった。「なあ、おまえ関東行きたくないの?言ってただろ、空斗さんに。関東行きたいんだって。憧れだったんだって。あれがおまえの本音だと思ったよ。練習も、すげぇ必死にやってたし。違うのか?」
ゴールデンウィーク後半の練習日、連休で帰省していた空斗さんが練習に顔を出してくれたことがあった。確かに空斗さんに対して、絶対 関東行きたいんだと言った覚えはある。あの人の手前、気概を見せないわけにもいかなかった……もちろん、見 み栄 えだけじゃないけど。行きたいとは思っている。関東大会。かつて憧れたリレー。走れるのなら、走りたい。だけどあんなふうに、空斗さんたちみたいに走れるかといわれたら、それはノーだ。無理だ。無理だって、今日思った。「なにごちゃごちゃ考えてるのか知らないけどさ、そんな難しいこと訊いてないだろ」
脊尾ががしがしと頭をかきながら言った
。「向いてるかどうかとか、できるかどうかとか、訊いてねぇよ。おまえがどうしたいか訊いてんだよ」
俺がどうしたいか?
「どうしたいんだよ、朝月は」
脊尾にきちんと名前を呼ばれたのは、初めてだったかもしれない。
0朝月渡 000がどうしたいのか。そんなことは、訊かれるまでもなく、ずっと同じだ。「……勝ちたい」
本音。きちんと本音。できるかどうかじゃない。向いてるかどうかじゃない。シンプルに、俺が成し遂げたいこと。
「勝ちたい!」
このチームで、明日の決勝、勝ちたい。優勝は無理でも、負けたくない。関東、行きたい。
ⓑ
桓 50
60
著作物保護のため掲載を控えます
― 7 ―
― 8 ―
限らず、感じている恐怖だ。今年で最後。一走、一跳、一泳、一球、一投、一打、一奏、一描、一書、その他すべての部活動におけるありとあらゆる動作に、きっとたくさんの三年生が魂を込めている。高校一年、高校二年のときには感じなかった。だけど高校三年は……最後だと思った瞬間、急に怖くなって必死に練習しだしたりして……俺はそれを否定しない。だって俺もそうだから。「だったら詰まってでも、確実にもらう方が絶対いい」
俺は
自分のつま先に向かって、吐き捨てるようにつぶやく。脊尾の顔なんか見られない。「そんなふうに守って、明日の決勝勝てると思うか?」
脊尾が静かに訊いた。
「勝てないかもな」
それは今日思った。
「でもタイムが届かなくて負けるより、バトンを落として負ける方が、俺は後悔する」
そうだろう?
そうだろう?
誰だって、そうだろう?
「なに言ってんの、おまえ」 終わりがお粗末なバトンミスだなんて、一生悪夢に見る。冗談じゃない。 て思うさ。けど終わるまでは、それに縋ったっていいだろう?俺たちは、三年間を費やしてきた。決して短くない時間を捧げてきた。その 盛すがささ 大なミスをして終わるより、それなりで終わりたいだろう?終わりよければすべてよし、なんて言葉、終わった瞬間にはくそくらえっ 顔をつかまれて、上を向かされた、ような気がした。脊尾は依然はす向かいに座っている。少し身を乗り出して、俺をじっと睨んでいる。
「ふざけんな。どっちだって後悔するに決まってんだろ、そんな二択。なんでそもそもこの二択なんだ」
なんで、おまえが、怒ってんだよ。
「バトンも成功して、タイムも最高を出す。そうだろ?それをやるべきだろ?なんで最初からそれを目指さない?」
バトンパスの理想は、前走者が十のスピードのまま、十のスピードで走る次走者にバトンを渡すことだ。そんなの、わかってるさ。
「できねぇんだよ!」
俺は
喚 わめいた。 柑
20 30
40
― 7 ―
― 8 ―
「できるわけ、ねぇだろそんなの。俺とおまえの間に、そんな信頼関係なんかねぇよ」
そうだ。遅過ぎたんだ。俺とおまえは、わかり合うのがあまりに遅過ぎた。もっと早くに、お互いを知ることができていれば……バトンパ
スだって、きっと、もっと――。「おまえさァ……弱音吐くタイミングじゃねぇだろ。泣いても喚いても、決勝は明日なんだぜ。明日走らなきゃなんないんだ。今の全力で、今できることをやるしかないんだ。できねぇ、ってなんだよ?違うだろ、やりたくないんだろ!失敗が怖いから!」
俺は言い返そうと口を開く。でも言い返す言葉は見つからなかった。だって、脊尾の言っていることは正しい。失敗が怖いと、俺は今さっ
き、言い返そうとしているまさにこの口で、脊尾に言っちまった。「なあ、おまえ関東行きたくないの?言ってただろ、空斗さんに。関東行きたいんだって。憧れだったんだって。あれがおまえの本音だと思ったよ。練習も、すげぇ必死にやってたし。違うのか?」
ゴールデンウィーク後半の練習日、連休で帰省していた空斗さんが練習に顔を出してくれたことがあった。確かに空斗さんに対して、絶対 関東行きたいんだと言った覚えはある。あの人の手前、気概を見せないわけにもいかなかった……もちろん、見 み栄 えだけじゃないけど。行きたいとは思っている。関東大会。かつて憧れたリレー。走れるのなら、走りたい。だけどあんなふうに、空斗さんたちみたいに走れるかといわれたら、それはノーだ。無理だ。無理だって、今日思った。「なにごちゃごちゃ考えてるのか知らないけどさ、そんな難しいこと訊いてないだろ」
脊尾ががしがしと頭をかきながら言った
。「向いてるかどうかとか、できるかどうかとか、訊いてねぇよ。おまえがどうしたいか訊いてんだよ」
俺がどうしたいか?
「どうしたいんだよ、朝月は」
脊尾にきちんと名前を呼ばれたのは、初めてだったかもしれない。
0朝月渡 000がどうしたいのか。そんなことは、訊かれるまでもなく、ずっと同じだ。「……勝ちたい」
本音。きちんと本音。できるかどうかじゃない。向いてるかどうかじゃない。シンプルに、俺が成し遂げたいこと。
「勝ちたい!」
このチームで、明日の決勝、勝ちたい。優勝は無理でも、負けたくない。関東、行きたい。
ⓑ
桓 50
60
著作物保護のため掲載を控えます
― 9 ―
― 10 ―
脊尾がゆっくりうなずいた。
「だったら、もっとオレを信頼しろ。できなくてもしろ。そんでもっと引っ張れ。ちゃんと渡すから」
(天沢夏月『ヨンケイ いつ……。 見知ったはずの三走は、力強い目で俺を見ていた。ギラギラとした目。夏の太陽みたいな眼差しだ。最初からこんな目してたっけな?こ まなざ
‼』より)
※ 空斗さん……渚台高校陸上部の卒業生。「俺」の憧れの先輩で、リレーで関東大会出場を果たしている。
問一 部ⓐ「機先を制する」、ⓑ「気概」の本文中の意味としてふさわしいものを次の中からそれぞれ一つずつ選び、記号で答えなさい。
ア
相手の行動を後から批判し、妨害する
ⓐ「機先を制する」 イ
相手より前に事を始め、自分を有利に導く ウ
相手の言い分を論破し、自分の正しさを証明する
エ
相手から遅れを取らないよう、必死についてゆく
問二
次の中から選び、記号で答えなさい。 部敢「なんでブレーキ踏もうとしたんだよ」について、その理由を「俺」の立場から説明したものとして最もふさわしいものを
ア
スタート時に全力疾走してしまったことを後悔し、ペース配分を計算して最後まで確実に走り抜こうと考えたから。
イ
攻め気味に走り出したことで脊尾との距離が開きすぎてしまい、脊尾の実力では自分に追いつけないと考えたから。
ウ
タイムには余裕があったこともあり、翌日の決勝で必ず勝つことを考えて余力を残しておきたいと考えたから。
エ
関東大会まで勝ち進むことだけを考え、バトンパスにのみ集中した結果、思うように加速できなかったから。
オ
高校最後の大会をバトンミスで終わらせるよりも、ミスをせず無事に走り終えることを優先させたかったから。
ア
困難に負けない強い気持ち
ⓑ「気概」 イ
その場の状況で変わる気分
ウ
柔軟で豊かな発想や思いつき
エ
決して消えることのない野心
棺
― 9 ―
― 10 ―
問三
考えられますか。その理由の説明として最もふさわしいものを次の中から選び、記号で答えなさい。 部柑「自分のつま先に向かって、吐き捨てるようにつぶやく」について、「俺」はなぜこのような話し方をしてしまっていると
ア
勝ちたいと思ってはいるものの、自分の実力が信じられないから。
イ
本番になってやっと本気を出すような脊尾を、軽蔑しているから。
ウ
信頼関係を築けていた脊尾と正面から対立し、戸惑っているから。
エ
決勝に残ったのは偶然に過ぎず、良い結果は期待していないから。
オ
自分の後ろ向きな考えが、脊尾とは合わないとわかっているから。
問四
「俺」が「脊尾」の言動に影響され、次第に変化しつつあることが読み取れる一文を本文中から探し、最初の五字を書きなさい。ただ
し、探す範囲は
22行目から
40行目の間とします。なお、句読点や記号があればそれも一字とし、以下の問いでも同様とします。
問五
以上五十字以内で説明しなさい。 部桓「脊尾ががしがしと頭をかきながら言った」について、ここからは「脊尾」のどのような気持ちが読み取れますか。四十字
問六
を次の中から選び、記号で答えなさい。 部棺「最初からこんな目してたっけな?こいつ……」について、この時の「俺」の心境を表した語として最もふさわしいもの
ア
敬意
イ
反感
ウ
発見
エ
失望
オ
安心
著作物保護のため掲載を控えます
― 9 ―
― 10 ―
脊尾がゆっくりうなずいた。
「だったら、もっとオレを信頼しろ。できなくてもしろ。そんでもっと引っ張れ。ちゃんと渡すから」
(天沢夏月『ヨンケイ いつ……。 見知ったはずの三走は、力強い目で俺を見ていた。ギラギラとした目。夏の太陽みたいな眼差しだ。最初からこんな目してたっけな?こ まなざ
‼』より) ※ 空斗さん……渚台高校陸上部の卒業生。「俺」の憧れの先輩で、リレーで関東大会出場を果たしている。
問一 部ⓐ「機先を制する」、ⓑ「気概」の本文中の意味としてふさわしいものを次の中からそれぞれ一つずつ選び、記号で答えなさい。
ア
相手の行動を後から批判し、妨害する
ⓐ「機先を制する」 イ
相手より前に事を始め、自分を有利に導く ウ
相手の言い分を論破し、自分の正しさを証明する
エ
相手から遅れを取らないよう、必死についてゆく
問二
次の中から選び、記号で答えなさい。 部敢「なんでブレーキ踏もうとしたんだよ」について、その理由を「俺」の立場から説明したものとして最もふさわしいものを
ア
スタート時に全力疾走してしまったことを後悔し、ペース配分を計算して最後まで確実に走り抜こうと考えたから。
イ
攻め気味に走り出したことで脊尾との距離が開きすぎてしまい、脊尾の実力では自分に追いつけないと考えたから。
ウ
タイムには余裕があったこともあり、翌日の決勝で必ず勝つことを考えて余力を残しておきたいと考えたから。
エ
関東大会まで勝ち進むことだけを考え、バトンパスにのみ集中した結果、思うように加速できなかったから。
オ
高校最後の大会をバトンミスで終わらせるよりも、ミスをせず無事に走り終えることを優先させたかったから。
ア
困難に負けない強い気持ち
ⓑ「気概」 イ
その場の状況で変わる気分
ウ
柔軟で豊かな発想や思いつき
エ
決して消えることのない野心
棺
― 9 ―
― 10 ―
問三
考えられますか。その理由の説明として最もふさわしいものを次の中から選び、記号で答えなさい。 部柑「自分のつま先に向かって、吐き捨てるようにつぶやく」について、「俺」はなぜこのような話し方をしてしまっていると
ア
勝ちたいと思ってはいるものの、自分の実力が信じられないから。
イ
本番になってやっと本気を出すような脊尾を、軽蔑しているから。
ウ
信頼関係を築けていた脊尾と正面から対立し、戸惑っているから。
エ
決勝に残ったのは偶然に過ぎず、良い結果は期待していないから。
オ
自分の後ろ向きな考えが、脊尾とは合わないとわかっているから。
問四
「俺」が「脊尾」の言動に影響され、次第に変化しつつあることが読み取れる一文を本文中から探し、最初の五字を書きなさい。ただ
し、探す範囲は
22行目から
40行目の間とします。なお、句読点や記号があればそれも一字とし、以下の問いでも同様とします。
問五
以上五十字以内で説明しなさい。 部桓「脊尾ががしがしと頭をかきながら言った」について、ここからは「脊尾」のどのような気持ちが読み取れますか。四十字
問六
を次の中から選び、記号で答えなさい。 部棺「最初からこんな目してたっけな?こいつ……」について、この時の「俺」の心境を表した語として最もふさわしいもの
ア
敬意
イ
反感
ウ
発見
エ
失望
オ
安心
― 11 ―
― 12 ―
問四
この文章の内容に合っている説明を次の中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア
蝉の鳴き声は夏の風物詩なので、夏の盛りに聞くことが最も喜ばしい。
イ
蝉が蝶や蛙と同じように「初◯◯」と呼ばれるのは、誇らしいことだ。
ウ
蝉はその生命の短さのためか、俳句の素材として採用された例はない。
エ
日ぐらしという蝉は、数が多くいてもうるさくは感じないものである。
― 11 ―
― 12 ―
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。(設問の都合上、一部本文を改めたところがあります。)
蝉 せみ
はただ五月晴に聞きそめたるほどがよきなり。やや日ざかりに啼 なきさかる頃は、人の汗しぼる心地す。されば初蝶 てふとも初蛙 かはづともいふ事をきかず。此 このもの物ばかり初蝉といはるるこそ大きなる手がら
Ⅰ 。「やがて死ぬけしきは見えず」と、此物のうへは、翁の一句に尽きたりといふべし。 日 ぐらしは多きもやかましからず。暑さは昼の梢に過ぎて、夕べは草に露置くころならん。つくつくほうしという蝉は、 こずゑ
Ⅱ ともいふなり。筑紫人の旅に死して此物に成りたりと、世の諺 ことわざにいへりけり。(横井也有『鶉 うずらごろも衣』より)
※ 日ざかり……暑さのきびしい頃。 ※ やがて死ぬけしきは見えず……「やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」という俳句の一部。 ※ 翁……ここでは、俳人・松尾芭蕉のこと。 ※ 筑紫……現在の福岡県の古称。
問一
部「
五月」の読み方を、ひらがなで書きなさい。
問二
Ⅰ を補うのにふさわしいものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア
な らイ
な りウ
な るエ
なれ
問三
Ⅱ 記号で答えなさい。 には、「つくつくほうし」の別名が入ります。前後の表現を参考にしながら、補うのにふさわしいものを次の中から一つ選び、
ア
つ くし広しイ
つ くし恋しウ
琵 び
琶 わほうし エ
山ほうし 三
※
※※
※
― 11 ―
― 12 ―
問四
この文章の内容に合っている説明を次の中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア
蝉の鳴き声は夏の風物詩なので、夏の盛りに聞くことが最も喜ばしい。
イ
蝉が蝶や蛙と同じように「初◯◯」と呼ばれるのは、誇らしいことだ。
ウ
蝉はその生命の短さのためか、俳句の素材として採用された例はない。
エ
日ぐらしという蝉は、数が多くいてもうるさくは感じないものである。
― 11 ―
― 12 ―
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。(設問の都合上、一部本文を改めたところがあります。)
蝉 せみ
はただ五月晴に聞きそめたるほどがよきなり。やや日ざかりに啼 なきさかる頃は、人の汗しぼる心地す。されば初蝶 てふとも初蛙 かはづともいふ事をきかず。此 このもの物ばかり初蝉といはるるこそ大きなる手がら
Ⅰ 。「やがて死ぬけしきは見えず」と、此物のうへは、翁の一句に尽きたりといふべし。 日 ぐらしは多きもやかましからず。暑さは昼の梢に過ぎて、夕べは草に露置くころならん。つくつくほうしという蝉は、 こずゑ
Ⅱ ともいふなり。筑紫人の旅に死して此物に成りたりと、世の諺 ことわざにいへりけり。(横井也有『鶉 うずらごろも衣』より) ※ 日ざかり……暑さのきびしい頃。
※ やがて死ぬけしきは見えず……「やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」という俳句の一部。 ※ 翁……ここでは、俳人・松尾芭蕉のこと。 ※ 筑紫……現在の福岡県の古称。
問一
部「
五月」の読み方を、ひらがなで書きなさい。
問二
Ⅰ を補うのにふさわしいものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア
な らイ
な りウ
な るエ
なれ
問三
Ⅱ 記号で答えなさい。 には、「つくつくほうし」の別名が入ります。前後の表現を参考にしながら、補うのにふさわしいものを次の中から一つ選び、
ア
つ くし広しイ
つ くし恋しウ
琵 び
琶 わほうし エ
山ほうし 三
※
※※
※
― 13 ―
①~⑤の 部のカタカナを漢字に直し、⑥~⑩の 部の漢字の読みをひらがなで書きなさい。
①
ヘイオン
な暮らし。 ⑥
緊密
に連絡を取る。
②
キミョウ
な出来事。 ⑦
慎重
に判断をする。
③
幕府を タオす。 ⑧
むやみに
抵抗する。
④
ケイタイ
電話を使う。 ⑨
夜ふかしを
戒める。
⑤
桜が散るのを
オしむ。 ⑩
寒さが
緩む。 四
― 13 ―
― 13 ―
①~⑤の 部のカタカナを漢字に直し、⑥~⑩の 部の漢字の読みをひらがなで書きなさい。
①
ヘイオン
な暮らし。 ⑥
緊密
に連絡を取る。
②
キミョウ
な出来事。 ⑦
慎重
に判断をする。
③
幕府を タオす。 ⑧
むやみに
抵抗する。
④
ケイタイ
電話を使う。 ⑨
夜ふかしを
戒める。
⑤
桜が散るのを
オしむ。 ⑩
寒さが
緩む。 四
― 13 ―