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関東国際高校でのロシア語教育

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関東国際高校でのロシア語教育

関東国際高校教諭 竹内 敦子

1.関東国際高校での外国語教育について

本校では、近隣諸国の言葉の習得と文化理解を、これからの社会を担う若者にとって重要なスキル の一つであると考え、1986年に中国語コースを開設した。それ以来一貫して高等学校における「英語

+近隣語教育」の可能性を追求し、1991年にロシア語コース、2000年に韓国語コースを開設し、2007 年度よりタイ語・インドネシア語・ベトナム語コースを新設することとなった。本校の外国語教育は、

基礎外国語の英語を含め7つの外国語を「専科」として扱う、国内唯一の高等学校となる。

本日は、1991年(ソ連崩壊時)にロシア語コースを設立してから16年間取り組んできたロシア語 教育について報告し、ロシア語教育に携わる方々に広く本校のことを知っていただきたいと思う。

<設立>

1982年 英語コース 1986年 中国語コース 1991年 ロシア語コース 2000年 韓国語コース

2007年 タイ・インドネシア・ベトナム語コース

<カリキュラム>

本校の近隣語コースでは、1~3年次に週6コマずつ専攻言語の授業を行っている。基礎外国語で ある英語と同数の時間数を確保しており、さらに3年次には、英語か近隣語のどちらかを3コマ選択 することができる。大学進学後も継続して近隣語の学習を希望する学生のほとんどが、3年次に専攻 言語を選択している。

1年 2年 3年

近隣語(専攻言語) 6コマ 6コマ 6コマ (+3コマ)

英語 6コマ 6コマ 6コマ (+3コマ)

* 英語と近隣語とも同単位履修[ダブルメジャー]

* 2年次に5~8週間の短期留学プログラム

2.ロシア語の学習目的

① ロシア語の初級文法をマスターする

② 日常の様々なテーマについて自由に話すことができる

③ ロシアの生活の異なる側面について知る

④ 大学で継続してロシア語を学び、将来の職業に活かしていきたいという確固とした意欲を育 てること

* 具体的な目標として2年次にロシア語能力検定4級、3年次に3級を取得することに定めている。

(2)

ロシア語コースでは週6コマの授業のうち、ロシア人ネイティブ教員が4コマ、日本人教員が2コ マを担当している。

ネイティブ教員は独自の教材を作成し、日常のさまざまな場面における会話練習や詩の朗読を通し て、ロシア語の音やリズム、イントネーションを身につけることに重点を置いている。文法にはあま りこだわらず、何度も繰り返し発音させ、対話のやりとりをすることで自然と基本的なフレーズが身 に付くように指導している。

日本人教員の授業では一通りの初級文法を体系的に学習し、ロシア語のしくみを理解すること、さ らに読解力、理解力、表現力を養うことに重点を置いている。また、聴解力を向上させるために、1 年次に聴覚トレーニングを行っている。聴覚トレーニングについては、あとの2004年度の実施報告を ご覧いただきたい。

3.ロシア短期留学について

2年次に5週間、ウラジオストクの極東国立総合大学へ留学

午前:文法・会話・音楽などの授業を1週間に10コマ(1コマ90分)

午後:特別コース(パソコン、民族楽器、ロシア料理など)、プロジェクトワーク

週末:ホームステイ(3 泊4 日×2)、ロシア人との交流会、市内見学、美術館・展覧会の見学、

演劇や映画鑑賞など

国内旅行:イルクーツク・バイカル湖(3泊4日)

* 午後のプロジェクトワークでは「ロシアの日常生活と文化」というテーマのもとで、校外に出て町 を歩き、学習した表現を実際に使用し、身につけるためにさまざまな活動を行う。

4.卒業後の進路先について

本校で3年間ロシア語を学んだ生徒たちのうち 1/3 程度が、進学先にロシア語やロシア関連の学部 を選んでいる。上智大学、京都産業大学、札幌大学などでロシア語を専攻するもの、法政大学、神奈 川大学、亜細亜大学、拓殖大学などで国際関係を専攻するもの、あるいはロシア語とは全く関係ない 経済学部や法学部などへ進むものなどさまざまで、大学在学中にロシアへ留学し、卒業後もロシア関 連の会社に就職する卒業生も多い。

(3)

5.ロシア語 聴覚トレーニング(トマティスメソッド)実施について

2004年に聴覚トレーニングを導入し、今年で3年目となる。本日は2004年に実施した聴覚トレー ニングの報告をご覧いただき、本校特有のロシア語教育についてご理解いただきたい。

<トマティスメソッドによる聴覚トレーニング実施報告>

対 象:2004年度 ロシア語コース 第2学年 12名 実施期間:2004年5月~8月(1回90分・週2回) 計45時間

< 研究開発の内容と評価>

ロシア語コース2年生に対する、トマティスメソッドによる聴覚トレーニングの実践と改善度の測定 フランスの聴覚心理音声学者A・トマティス(1920-2001)の研究によれば、各言語にはその民族が 優先的に使用するパスバンド(音域)があり、それぞれ異なるという(下図参照)。本研究はその理論 に基づく。聴覚トレーニングにより、日本語音に含まれない高周波音に耳を慣らし、可聴域を拡張し てネイティブ教員(NRT)と日本人教員(JRT)の授業内容の吸収率を高める一助とする。

トレーニングをロシア語音声習得の基 礎固めとして位置づけ、ロシア語コー ス2年生を対象に、短期留学出発前の 3ヶ月間(5月~8月)に1回90分・

週2回・10週、夏休みに1日180分・

5回、集中して実施した。トレーニン グは専門教育を受けた有資格者の本校 教員が担当し、トレーニング前後に専 門家による聴覚テストを実施し、聴力 測定と音声分析も依頼した。音読録音 テープにより、トレーニング前後の変 化をNRTにより評価した。また、ロシ ア短期留学おける変化を検証したり、

アンケートにより聞き取り理解度や学習意欲の変化を調査したりした。

12,000 4,000 3,000 2,000 1,500 1,000 500 250

125 Hz

英語 米語 仏語 独語 日本語 露語 伊語 西語

パスバンド(各言語の優先的に使われる周波数帯)

<使用したトマティスメソッドのトレーニング器材>

①エレクトロニック・イヤー(電子耳装置)―聴き取り方を訓練し、大脳を活性化する耳の機能をア ップさせるために、フランスの聴覚心理音声学者A.トマティスにより開発された機器。学習者 は電子耳により再現されたロシア語耳でロシア語を聴き取り、発声を体得する。

②電子耳専用ヘッドフォン

③音響ソフト

音楽/聴覚リラクセーションテープ(モーツアルトとグレゴリアン聖歌):語学/ロシア語、発音 演習、単語・短文リピートテープ、童謡、民謡

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<トレーニング内容>

ステップ トレーニング内容 目標 結果・成果

トレーニング 前検査

①第1回聴覚テスト

項目―耳の感度(低/中/高周波 の音域)・音の選別力(音の高低 認識)・方向知覚

②音読録音(初見の文)

③音素知覚テスト

・ トレーニングプログラムを組む 傾向

・左右の聴力がアンバランス

・子音の聴き取りが不得手

・リズム・イントネーションが不正

前期

トレーニング

ロシア語の通常音から徐々に低 周波音をカットし高周波音に慣らす

・低・中・高周波音域の聴力 のバランスを整える

・音の選別力、分析力のブラッ シュアップ

〃 2 ロシア語の高周波音(4000Hz) 馴れる

高周波音への耳の感度を上げる

・ロシア語でのコミュニケーション意 欲を作る

・ロシア語のリズム、イントネーション の習得

〃 3 高周波音から徐々に通常音にも どす

・ロシア語に反応する聴覚を つくる

・正しい聴き取りの姿勢、発 声指導

後期

トレーニング

・ ロシア語のパスバンド(音域)

に聴覚を合わせ、ネイティブの発 音模倣

・ 30音の子音および母音の聴き 分け練習

・右利き耳の強化

(言語情報処理を優位にす るため)

・正しい姿勢で呼吸を深くす

・語、音節をはっきりと発音 する

・ ロシア語のパスバンドに聴覚 を合わせ単語、テキストのリピート

・ ロシア語テキストのリスニ ングおよびリピート

・ 聴 き 取 り と 発 声 を 連 動 させる

・ ロシア語のリズム、イントネーシ ョンの確立

〃 6 発音練習

ここまで視覚提示なし

ト レ ー ニ ン ク ゙ 終了

ここより初めて視覚提示

・ ダイアログ会話文での1単語~1 文レベルのディクテーション

・ リスニング力のアップ

・ 発音改善・会話に積極的 になる

トレーニンク直後 聴覚テスト

①第2回聴覚テスト

項目 ・耳の感度(低/中/高周 波の音域)・音の選別力(音の高 低認識)

・方向知覚

・耳の利き側

②音読録音(トレーニング前と同じ文)

③音素知覚テスト

④ロシア語学習に関するアンケート調

・ リスニングの上達/発声の変化 の自覚

・ トレーニングの成果をみる

・ 聴 覚 ト レ ー ニ ン グ 効 果 を実感・自覚する

・ 聴力の改善(表1)

・ 音読評価での改善

(表4)

・ 聴 力 と 聴 解 力 の 連 動 し た向上

・ 発 話 の 流 暢 さ と リ ー デ ィ ン グ 評 価 の 連 動 し た 向上

トレーニング終了後、授業内で音声・

発声を意識させる。

・右利き耳の定着をはかる ・聞き耳の右耳への移行

(5)

聴覚テスト総合評価

測定機器は、病院で使用するオーディオメーターと同じ機能を持っているが、「聞こえる」「聞こえ ない」の聴覚レベルだけではない聴き取りの資質を調査する機能を搭載したものであり、主に 125Hz

から8000Hzの範囲につき次の5項目を検査した。1)空気伝導テスト2)骨導テスト3)方向聴4)

選別力テスト5)利き耳テストである。t検定を行なった結果、表1のようになった。トレーニング前

後には1500Hz以上の高周波音域(ロシア語音)において左耳0.000の有意差がみられ、表2に示す

ように生徒の聴力の拡散度も狭まりトレーニングによる聴覚改善が認められた。副次的な効果として 日本語の音域(125Hz~1500Hz)でも左耳0.012の有意差がみられた。また、左耳において、高周波音 域の2000Hzで0.026, 3000Hzで0.007, 4000Hzで0.006の有意差がみられ、聴覚の改善が顕著であ る。ただ、6000Hz, 8000Hzでは有意差はみられなかった。6000Hz, 8000Hzのトレーニングを行って いないことやウォークマンなどの過度の使用などが要因として考えられるが、その原因は不明である。

表1 平成16年度 聴覚トレーニングデータ

平均 9.4 7.9 9.1 8.7 9.4 9.2 9.2 8.8 9 9.7 8.1 8.3 8 8.5 7.8 8 7.3 7.7 5.2 7.2 7.9 8.5 9 8.8 8.2 8.4

標準偏差 0.8 1.8 1 1.5 0.6 0.6 0.9 1 0.9 0.5 1.2 1.1 0.8 0.5 1.2 0.8 1.2 1.1 2.3 2.6 1.5 2.6 1 1.3 1.6 1.6 ttest

平均 9.2 8.9 8.3 9.1 8.6 9.3 7.9 8.9 7.9 8.6 8.1 8.1 6.7 8.4 6.9 7.9 6.3 7.7 5.3 7.7 7.7 8.9 8.3 8.8 7.5 8.5

標準偏差 0.9 1.1 1.1 0.8 1 0.7 1.9 0.8 1.2 1 0.9 1.8 2.1 0.8 0.9 0.7 0.7 1.2 2.9 2.9 1.5 1.1 1.3 1.1 1.8 1.4 ttest

125 250 500 750 1000 1500 2000 3000 4000 6000 8000 日本語音域露語音域

0.024 0.402 0.611 0.410 0.005 0.612 0.013 0.721 0.132 0.023 0.398 0.164 0.189

0.589 0.036 0.026 0.130 0.026 1.000 0.026 0.007 0.006 0.077 0.086 0.012 0.000 有意差の見られる項目(信頼区間95%)

表2 高周波音域(2000Hz以上)における聴力の推移

露語音域 右耳

トレーニン グ前

トレーニン グ後 5.0

5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0

Hz 露語音域 左耳

トレーニン グ前

トレーニン グ後 5.0

5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 Hz

表3 左右の耳の聴力バランス

右耳

4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0

125 250 500 750 1000 1500 2000 3000 4000 6000 8000 Hz 数値

トレーニング前 トレーニング後

左耳

4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0

125 250 500 750 1000 1500 2000 3000 4000 6000 8000 Hz 数値

トレーニング前 トレーニング後

(6)

音読テープ評価

今回の聴覚トレーニングの目的は、ネイティブが母語を学習するのと同じ経路を取り、ロシア語の聴 覚の発達をやり直すことにあった。特徴は、言語学習の開始時期を耳の発達が始まる段階(胎児)ま で遡り、胎内で母親の声のリズムやアクセント、イントネーションを聞きながら聴覚を形成し、新し いロシア語の言語神経回路をつくる行程をたどることにある。そこで、音声の変化をみるためにトレ ーニング前後に録音された同一のパッセージの音読をNRTが聞き、流暢さ、発音、イントネーション の3点にポイントを置き評価した。流暢さにおける伸びが顕著である。(表4 参照)

朗読文

На Невском проспекте есть большой гастроном, который находится

недалеко от Садовой улицы. Это хороший магазин. Мы уже несколько раз ходили туда. Я покупал там яблоки, груши, апельсины и другие фрукты.

Вчера я и мой друг Сергей были там. Мы купили торт, печенье и шоколад.

Ещё мы купили колбасу и сосиски.

表4 音読速度変化および発音ミスの数

結果

初見の文章でアクセントをつけてある文章を読ま せたが、知らない単語もいくつか含まれている。また ロシア語はアクセントのあるなしによる発音の変化、

有声子音―無声子音の交替がある。そのことを忘れて いたか知らないためにミスをしているものも数人い た。

表4に見られるように、0.0001 の有意差で明らか に朗読のスピードが速くなっており、発音ミスも

0.0056 の有意差で改善されている。朗読のスピード

が速くなったのは、トレーニング前には単語ひとつひ とつをぽつぽつと読んでいたものが、トレーニング後 には語と語をつなげてなめらかに読めるようになっているからだと思われる。また、朗読するときの 声に少し自信が表れているように感じられた。NRTからはアクセント、イントネーションなどは大き な変化はなく、前後での判断が難しいとのこと。

before after 差 before after 差

1 109 89 20 13 11 2

2 103 78 25 15 6 9

3 86 77 9 15 11 4

4 99 72 27 22 16

5 85 90 -5 10 4

6 105 78 27 9 6 3

7 53 36 17 7 6

8 110 91 19 9 10 -1

9 100 72 28 8 7 1

10 105 84 21 5 4 1

11 131 95 36 9 7 2

平均 98.7 78.4 20.4 11.1 8.0 3.1 分散 18.6 15.4 10.4 4.6 3.5 2.8 ttest

時間 発音ミス

0.0001 0.0056 6 6 1

ロシア短期留学における変化について

・ 授業初日、ロシア人の先生が話すロシア語をしっかり理解していた。昨年(2003)の生徒は初日の先 生の話を理解することができず戸惑っている姿が見られた。また、授業内においても、昨年は英語 での説明の助けを必要としていたが、今年の生徒はオールロシア語での授業展開が可能であった

・ 昨年と同じ先生が担当してくださっており、昨年と今年の生徒を比較していただいたところ、今年 の生徒のほうが発音、聴き取り力、理解度が高いとのコメントを数名の先生からいただいた。

(7)

アンケート結果

ロシア短期留学帰国後(10月半ば)に聴覚トレーニングに関するアンケートを10名に実施した。

結果は以下のようになった。

質問1「ロシア短期留学で、ロシア語はどのくらい理解できましたか」

① 0-20%(0人)②21-40%(1人)③41-60%(2人)④61-80%(7人)⑤81-100%(0人)

→おおむね聞き取れたという印象があったと思われる。

質問2「ネイティブの授業は出発前と比べてどの程度理解できるようになったか」

・ 出発前と比べて聞き取れるようになった。単語がわからなくても意味が理解できるようになった。

・ 出発前とは比べものにならないくらいわかるようになった。ロシア語のみでも大丈夫。

・ だいたい理解できていると思う。

・ 以前よりも理解できるようになった。

・ 出発前は45%くらいだったが、今は95%はわかると思う。

・ 出発前よりもかなりわかるようになった。

・ 80%理解している。

・ 完全ではないが、80%くらい先生の言っていることがわかるようになった。

・ かなりパッとわかるようになったと感じる。

質問3「トレーニングを受けて良かったか、どのような点が良かったか」

①非常に良かった(4人)②良かった(5人)③普通(1人)④あまり良くなかった(0人)⑤良く なかった(0人)

またその理由として、「ロシア語が良く聞き取れるようになったので」と答えているものが7人いた。

結果

日本でのNRTの授業は、ロシア短期留学前までは4時間のうち1時間を「ロシア語のみで」展開し ていたが、留学後は4時間すべてを「ロシア語のみで」行っている。質問2からもわかるように、ト レーニングおよび短期留学を経て、ロシアにおいても日本のネイティブの授業においても聞き取り力、

理解力がアップしたと生徒自身が実感している。

NRTからのコメントとしては、すべての授業をロシア語で行うことができている。聞き取り力、理 解力がついてきているとのこと。知らない単語があってもだいたいの意味をとらえることができるよ うになっている。ただ、細かなニュアンスまで理解させるのは難しいとのこと。細かいニュアンスの 理解に到達するには、語いを増やすことが不可欠だろう。

(以上、2004年度 聴覚トレーニング研究結果報告より抜粋)

(8)

今回のシンポジウムでは、2005年度(2005.5~2006.2)に聴覚トレーニングを受けた生徒の朗読テ ープを、前後で聞き比べていただいた。トレーニングを受けた9名の生徒の音読速度は、平均して23 秒速くなり、ミスの数も若干ではあるが少なくなった。

実際に聞いていただいた生徒の朗読では、音読速度はトレーニング前後で「72秒→48秒」へと変化 し、発音ミスの数も「6→2」へと減少しており、語と語をつなげてスムーズに発音できているのが ご理解いただけたことと思う。トレーニングを受けた生徒は「以前より聞き取れるようになった」「単 語がわからなくても全体の意味がつかめるようになった」「語と語の区切れがわかるようになり、意味 を理解することが以前より楽になった」という実感を持っている。

2005年度にトレーニングを実施した生徒たちは2006年4~5月にロシア短期留学に参加したが、「わ からない単語があっても、相手の話している内容が理解できた」「聴き取りに関してはまったく苦労し なかった」との実感を持っており、「聞いて理解する能力」が飛躍的に向上していることがわかる。

2006年度は1年生を対象に6月から聴覚トレーニングを行っているが、徐々に耳が鍛えられ、ロシ ア語の音を正確にキャッチし、忠実にリピートする力がついてきていると思われる。

6.まとめ

・ 本校のロシア語教育の主な問題点は、①高校生向けの教材(特に会話の授業)がないこと、②ロシ ア語文法の複雑さ、難解さをいかに単純化して教えるか、③限られた授業単位数の中で、どこに重 点をおいて指導するのが一番効果的か、④ロシア語コースの生徒数が増えないこと、である。

・ ①に関しては、ネイティブ教員と協力して独自の教材を作成し、生徒の反応を見ながら改良を加え たり、新しい教材作りを検討したりしている。②に関しては、極力例外を取り除いた形で生徒たち に提示し、混乱を招かないように努力しているが、よりよい指導法を模索し続けている。ロシア語 を教えている他の高校の先生方からも話をうかがい、連携をとっていきたい。

・ ③に関して、聴き取り能力を重視するあまり、発信型の指導が十分に行き届いていない現状がある。

「聞いて理解する力」「聞いた音をリピートする力」はアップするが、「自分の気持ちを伝える力」

が十分についていかない。発信型の能力を向上させるにはやはり文法の指導が不可欠で、限られた 時間内でどのスキルを重点的に指導していけばいいのか模索している。

・ ④に関しては、ロシアの社会情勢などが大きく影響するが、普遍的なロシア語の魅力、おもしろさ を見いだし、ロシア語学習のメリットを伝え、ロシアへの興味・関心を持ってもらえるように努力 していきたい。

Referensi

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