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大学間交流とロシア語教育 筑波大学の取り組みを事例として 1

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大学間交流とロシア語教育 ──筑波大学の取り組みを事例として──

1 臼山利信

1  目的

  現在,日本の大学では,少子化の急速な進展にともなう大学全入時代を目前に控え,大学過多とい う厳しい競争的環境の中で,国公立大学も私立大学も教育力や研究力はもとより,自己財務力,就職 先導力,地域社会貢献力,国際社会貢献力など,様々なパラメーターからその競争力が評価され,同 時に大学としての特色や独自性を打ち出すことが一層求められるようになっている。

  拙稿では,こうした時代背景を踏まえ,筑波大学自身が経験した国立大学法人化と大学院大学化と いう組織的・構造的変化において,今後目指していくべき筑波大学のロシア語教育の一つの方向性に ついて検討したい。具体的には,本学のロシア語教育の現状と課題を整理・分析し,その展望として 大学間交流をロシア語教育活性化の一つの柱とする教育戦略を展開していく方向性を示し,実際の取 り組みを紹介しながら,新たに生じた課題や問題点を浮き彫りにしたいと思う。

2  筑波大学におけるロシア語教育の現状  

表 1  筑波大学の教育・研究組織図  研究科(博士課程,修士課程)

人文社会科学 ビジネス科学 数理物質科学 システム情報

工学 生命環境科学 人間総合科学 図書館情報 メディア 専攻

思想・哲学 歴史・人類 文芸・言語 現代文化・公共政策 社会科学

国際政治経済学

専攻

経営システム科学 企業法学 企業科学 法曹

国際経営プロフェ ッショナル

専攻 数学 物理学 化学

物 質 創 成 先 端 科学 電子・物理工学 物性・分子工学 物質・材料工学

専攻 社 会 シ ス テ

ム・マネジ メント リスク工学 コンピュータ

サイエンス 知能機能シス

テム 構造エネルギ

ー工学

専攻 地球環境科学 地球進化科学 構造生物科学 情報生物科学 生命共存科学 国 際 地 縁 技 術

開発科学 生 物 圏 資 源 科

生物機能科学 生命産業科学 先 端 農 業 技 術

科学

専攻 教育学 学校教育学 心理学 心身障害学

ヒューマン・ケア科学 感性認知脳科学 スポーツ医学 体育科学 コーチング学 芸術学 世界文化遺産学 先端応用医学

分子情報・生体制御医学 病体制御医学

機能制御医学 社会環境医学 フロンティア医科学 看護科学

専攻 図 書 館 情 報 メディア

研究科(独立修士)

地域研究 教育 環境科学 医科学 体育 芸術

専攻 地域研究 専攻 障害児教育

スクールリーダーシップ開発 教科教育

カウンセリング

専攻 環境科学 専攻

医科学 専攻 スポーツ科学

スポーツ健康システム・

マネジメント

専攻 美術 デザイン 世界遺産 学群(学士)

第一学群 第二学群 第三学群 医学専門学群 体育専門学群 芸術専門学群 図書館情報専門学群 人文学類(120)

社会学類(80) 自然学類(200) 

比 較 文 化 学 類 (80)

日本語・日本文化 学類(40) 

社会工学類(120) 国際総合学類(80) 情報学類(80)

工学システム学類(130) 工学基礎学類(120) 

医学類(95) 看護・医療科学類 (107) 

(240) (100) (150)

( )は入学定員数を示している。

2006年度現在

1 2006 年 12 月 16 日に神奈川大学横浜キャンパスで開催されたスラヴィアーナ・シンポジウム《ロシア語教育の 現在と未来》(共催:スラヴィアーナ編集委員会・神奈川大学人文学研究所,後援:神奈川大学人文学会)におい て,口頭発表したものを若干修正・加筆し,研究報告の形にまとめたものである。

(2)

  本学は 2004 年 4 月に国立大学法人化したことに伴い,大学院大学となった(表1を参照)。教員は 授業担当の有無に関係なく,全員が研究科(博士課程)に所属する。 

  筑波大学のロシア語教育は,現在,基本的に,外国語センター,人文学類,比較文化学類,地域研 究研究科といった四つの教育・研究組織が行っている。ロシア語教育の中心は,学群・学類(学部・

学科に相当)学生が履修する共通科目と専門科目のロシア語である(表2を参照)。学群の総入学定員 数は 1,742 名であり,その全員にロシア語を選択する権利がある。履修者数の推移については,後述 する(2.6を参照)。 

表2  ロシア語教育担当組織とロシア語科目

  教育組織  ロシア語関連科目  科目類型 

①  外国語センター  ロシア語 I­1[1],ロシア語 I­2[1],ロシア語 I­3[1],ロシ ア語中級[1-4],ロシア語上級[1-4] 

全学共通科目 

②  人文学類(言語 学主専攻露語学 コース) 

露語学概論[1,2],ロシア語演習 I[1,2],ロシア語演習 II[2,3],

ロシア語演習 III[3,4],露語学演習 I[2,3],露語学演習 II[3,4],

露語文法論[2],ロシアの言語と文化[1,2],露語音声学・音 韻論[2,3],露語会話作文演習[3,4],露語学特講[2,3],ロシ ア言語文化特講[2,3], 

専門科目・専門基礎科目 

③  比較文化学類  第2専門外国語(露)I[3],第2専門外国語(露)II[3]  専門基礎科目 

④  地域研究研究科  ロシア語文献研究(1)[1,2],ロシア語文献研究(2)[1,2] 言語文化研究科目 

      [ ]内の数字は履修学年

 

2.1  外国語センターのロシア語教育 

表3  外国語センターのロシア語教育の目標と特長 目  標 教養としての語学

特  長  1音声重視の教育  ・「聞く」「話す」側面の重視 

・パターン学習 

・ネイティヴ教員のロシア語による授業 

  2独自教材による授業  ・『ビデオと LL によるロシア語コース』(1998): LL 教室での授業 

・『大学生のためのロシア語  習字ノート』(2001)):筆記体習得の重視

  3日本人教員とネイティヴ教員

との連携を密にした教育 

・「ロシア語 I­1」,「ロシア語 I­2」における同一教材によるリレー方式 の授業 

基礎的語学力育成 ための授業 

「ロシア語 I­1」,「ロシア語 I­2」 ・「聞く」「話す」といったコミュニケーション重視型    「ロシア語 I­3」  ・「読む」「書く」といった文法重視型 

基礎的語学力伸長 のための授業 

「ロシア語中級」,「ロシア語上 級」 

・ロシア社会や文化に関連したテキストを音読・精読し,その内容を味 わう,教養面重視型 

 

  外国語センターのロシア語教育は,教養としての語学を目指している。ゼロから始めるロシア語学 習が基本となるので,あくまでもロシア語の基礎的語学力の育成と伸長が語学教育の柱となる。 

  本学のロシア語教育の特長として挙げられるのは,音声重視の教育,独自教材による授業,日本人 教員とネイティヴ教員との連携を密にした教育,の三つである。 

  音声重視の教育とは,具体的には,「聞く」「話す」側面を重視した授業,パターン学習とネイティ ヴ教員のロシア語による協同の授業を積極的に展開していくものである。 

  独自教材による授業という点では,共通科目のロシア語履修クラス(「ロシア語 I­1」,「ロシア語 I­2」) で原則的に二つのオリジナル教材を使用している。一つは LL の授業で使う『ビデオと LL によるロシ ア語コース』(筑波大学外国語センター,狩野昊子他,1998),もう一つは筆記体学習で使う『大学生 のためのロシア語習字ノート』(筑波大学外国語センター,ボイツォフ・イヴァン他,2001)である。 

(3)

  日本人教員とネイティヴ教員との連携を密にした教育活動としては,「ロシア語 I­1」,「ロシア語 I

­2」という二つの授業における同一教材によるリレー方式の授業を実施し,日本人教員とネイティヴ 教員のそれぞれの特性を活かした授業を心がけている。

  全体としてセットになっている「ロシア語 I­1」,「ロシア語 I­2」,「ロシア語 I­3」は,ロシア語の 基礎的語学力の育成を念頭に置いている授業である。「ロシア語 I­1」と「ロシア語 I­2」は「聞く」

「話す」といったコミュニケーション重視型の授業で,「ロシア語 I­3」は「読む」「書く」といった 文法重視型の授業となっている。 

  「ロシア語中級」と「ロシア語上級」は,ロシア語の基礎的語学力の伸長という面に注意を払って いる授業で,具体的にはロシア社会や文化に関連したテキストを音読・精読し,その内容を味わうと いう教養面重視型の授業である。 

  クラスサイズは,5〜20名程度である。 

 

2.2  人文学類言語学主専攻露語学コースのロシア語教育 

  人文学類言語学主専攻露語学コースのロシア語教育の目標は,ロシア語を言語学の対象として学ぶ 作業を通じて,専門性,学際性,実用性といった三つを資質を高めることである。 

  当該露語学コースでは,専門性を磨き高める科目(「露語学概論」,「露語文法論」,「露語学演習」な ど),言語と文化という幅広い視野を養う学際性重視の科目(「ロシア語演習」,「ロシアの言語と文化」など), 運用能力の伸ばすための実用性を考慮した科目(「露語会話作文演習」など)という三つのタイプの授 業科目を掲げて,専門的能力を伸ばすのみならず,学際的な視野を広げ,ロシア語の運用能力全体を 向上させることに配慮している。

  このようなコース教育を通じて,①ロシア語の基本構造と機能を探究しつつ,言語そのものに対す る見方や知識を深化させ,学問研究に係る活動のプロセスをしっかりと身につける(スペシャリスト),

②ロシア語学に関する知的活動およびその他の学習活動などを通して,あらゆる分野に切り込んでい ける技術の一端を学び取る(ジェネラリスト),③スペシャリストとジェネラリストの双方の資質を高め,社会で 活躍できる力を養う(バランス感覚を持つ「人財」),ことを目指している。 

  当コースでは,毎年数名が専攻学生として学んでいる。 

 

2.3  比較文化学類のロシア語教育 

  比較文化学類のロシア語教育は,同学類の特色である学際的研究に資する基本的な外国語能力を身 につけさせるという目標の中で位置づけられている。 

  ロシア語は,「第2専門外国語」として,ドイツ語,フランス語,中国語,スペイン語,朝鮮語,サ ンスクリット語,古典ギリシャ語,古典ラテン語とともに開設されている。同学類の学生は,必修の 専門基礎科目として第2専門外国語を一つ選択し,学んでいる。「第1専門外国語」は,英語である。 

  クラスサイズは,数名〜10 名程度である。 

 

2.4  地域研究研究科(修士課程)のロシア語教育 

  地域研究研究科のロシア語教育は,ロシア・旧ソ連地域などに関するロシア語の第一次文献を読ん だり,フィールドワークを行うといった研究活動に直接的に役立つロシア語の言語能力を伸ばすこと を目標に置いている。 

(4)

  授業科目としては,「ロシア語文献研究(1)」と「ロシア語文献研究(2)」の二つが開設されている が,前者はロシア・旧ソ連地域などを研究対象として主体的にアプローチしていくための初歩的コミ ュニケーション能力を養うことを目指し,後者はロシア語の研究論文を精読する作業を通して当該地 域研究に必要な第一資料の読解に役立つ力を育成することを目指している。 

  毎年,各科目とも数名の院生が履修している。 

 

2.5  筑波大学のロシア語教育の目的の転換 

表4  筑波大学の従来の教育・研究組織のロシア語教育の目的

教育・研究組織 ロシア語教育の目的

外国語センター 教養教育のためのロシア語教育 人文学類露語学コース ロシア語研究のためのロシア語教育  比較文化学類  ロシア文学・文化研究のためのロシア語教育  地域研究研究科  ロシア・旧ソ連地域研究のためのロシア語教育 

  本学のロシア語教育に携わる各教育・研究組織のロシア語教育の目的は,一概に単純化できるもの ではないが,最も重要な目的を具体的に絞り,敢えてまとめると,表4のようになる。

  これまでは個々の教育機関がそれぞれの教育目標に合致させる形でロシア語科目を設置してきた。

それ故に,これらの組織間のロシア語教育上の有機的な結びつきというものは,相対的に稀薄であっ た(教育目標の個別化状態)。事実,大学法人化以前は,教員の所属も大学院ではなく「学系」2とい う研究組織にあったため,教育組織と研究組織の密接な連携という意識よりも明確な分離という意識 の方が強かった(教育と研究の分離)。

  しかし,筑波大学の大学院大学化が実現し,大学院教育(博士課程)を大学教育全体の柱とする教 育体制に移行にしたことにより(「教育と研究の分離」から「教育と研究の一体化」へのシフト),ロ シア語教育の目的という観点で言えば,大学院教育(博士課程)への接続・連携を目指したロシア語 教育という新しい理念,すなわち,「個々の教育組織の教育理念+大学院教育(博士課程)に資するロ シア語教育という共通の教育理念」が生まれてきたのである。

  その結果,これまでほとんど意識されてこなかった,教育組織間の理念的つながりが生まれ,それ ぞれの教育機関の特性を活かした,大学院教育支援型の授業が展開されていくという新しい形態が実 現され,筑波大学のロシア語教育全体の秩序化が図られることになる。つまり,大学院教育(博士課 程)に資するという共通の前提の下で,外国語センターは「一般教養」,人文学類及び比較文化学類は

「言語」,「文学・文化」,地域研究研究科3は「地域研究」という面に留意したロシア語教育を展開し ていくわけである(図1参照)。

  但し,地域研究研究科の授業はあくまでも修士課程の授業なので,もしも可能であるならば,学類 レベルで,例えば,比較文化学類や国際総合学類において,大学院教育(博士課程)を念頭に置いた

「地域研究」のためのロシア語教育を新たに実施する必要がある。さらに理想を言えば,人文社会系 のみならず,理数系,芸術系などの学生のためのロシア語教育が展開されていけば,学類段階におけ るロシア語教育の全学的な支援体制がほぼ整うことになるが,財政的問題や履修者数の少なさなどの 理由からその実現は非現実的である。

2「学系」は,大学院大学化にともない,事実上,実質的な機能をほぼ消失している。

3独立修士課程である地域研究研究科は,現在再編に向けた準備が進んでおり,2009 年度より大学院博士課程人 文社会科学研究科に組み込まれ,「国際地域研究専攻」(仮称)になる見込みである。 

(5)

図1  関係教育組織と大学院教育(博士課程)に資するロシア語教育の支援体制 

        大学院博士課程 

人文社会科学研究科 

地域研究研究科 

(地域研究)

進学する学生の流れ

外国語センター 

(教養) 

人文学類,比較文化学類 

(言語,文学・文化) 

例.比較文化学類,国際総合学類

(地域研究) 

ロシア語を履修する学生の流れ

全学群・学類 

2.6  筑波大学のロシア語履修者数の推移 

  表5は,筑波大学外国語センターのロシア語開設科目の履修者数の推移である。

  2003 年度から履修者数(延べ人数)が急激に増えているが,これは図書館情報大学との合併によっ て新たに誕生した図書館情報専門学群のロシア語履修者数の増加分がかなりの割合を占めていると推 測される。しかし,その増加分を差し引いても,ロシア語履修者数は,全体として相対的には微増傾 向で推移しているように思われる。

表5  筑波大学外国語センター開設科目におけるロシア語(第二外国語)履修者数 

  1998  1999  2000  2001  2002  2003  2004  2005  2006  履修者数(延べ人数)  113  213  166  125  145  221  195  279  217 

開講クラス数  25  22  22  23  22  24  25  25  25 

合併クラス数 

担当教員数  5(2)  5(2)  5(2)  6(2)  5(2)  6(2)  6(2)  6(2)  6(1)  ( )内の数字はネイティヴ教員数  

  2006 年度の履修者数(延べ人数)の総入学者数に占める割合は,12.5%である(217/1742)。実際 の比率は,一人の履修学生が2クラスないし3クラスで学ぶので,おそらく 5%未満だと推測される

(12.5/2.5)。第二外国語の人気度としては,ロシア語は低迷が続いている。ちなみに,阿部軍治筑波 大学名誉教授によれば,ペレストロイカ期の最盛時のロシア語履修者は約 110名で,延べ約 330名だ ったということなので,現在はその頃の3分の2の規模となっている。

  だが,明るい兆しがないわけでない。エネルギー資源の豊富なロシアでは,目下石油・天然ガス輸

(6)

出が非常に堅調であり,好調なロシア国内の経済成長を大きく後押ししている。こうした動きを反映 し,日ロ間貿易もここ数年特に大きく延びていることなどから,経済関係に敏感な学生たちの関心を 引く可能性もあり,今後のロシア語履修者の増加が期待されるところである。

2.7  筑波大学のロシア語教育に携わる教員の体制

  表6は,2006 年度の本学のロシア語担当教員とそのロシア語関連科目及びコマ数を示したものであ る。大学全体では,44 コマのロシア語関連科目が開設されている。外国語センターは 20 コマで担当 教員6名,人文学類は 9 コマで担当教員3名,比較文化学類は 3 コマで担当教員 3 名,地域研究研究 科は 2 コマで担当教員 2 名という体制である。

表6  2006 年度の筑波大学のロシア語担当教員とロシア語関連科目名・コマ数 

教育機関  担当教員  科目名  コマ数

外国語センター  臼山利信  ロシア語 I-1, ロシア語 I-2, ロシア語 I-3, ロシア語上級   トマルキン・ピョートル/ポポーヴァ・タチヤーナ  ロシア語 I-1, ロシア語 I-2, ロシア語 I-3 

  加藤百合  ロシア語 I-2, ロシア語中級 

  安達陽一(非)  ロシア語 I-2 

  小林潔(非)  ロシア語 I-1, ロシア語 I-3 

  アレクサンドロフ・ゲオルギー(非)/鳥山祐介(非) ロシア語 I-3 

      計 20

人文学類  臼山利信  露語学概論,  露語文法論,  露語学特講,  ロシア語演習 III, 露語学演習 I(第2専門外国語(露)II) 

  トマルキン・ピョートル/ポポーヴァ・タチヤーナ  ロシア語演習 II(第2専門外国語(露)IB), 露語会話

作文演習 

  加藤百合  ロシア語演習 I(第2専門外国語(露)IA),ロシア言語

文化特講義(ヨーロッパ文化論演習 I) 

      計 9 

比較文化学類  加藤百合  第2専門外国語(露)IA(ロシア語演習 II) 

  臼山利信  第2専門外国語(露)II(露語学演習 I) 

  トマルキン・ピョートル/ポポーヴァ・タチヤーナ  第2専門外国語(露)IB(ロシア語演習 I) 

      計 3 

地域研究研究科  臼山利信  ロシア語文献研究 I 

(修士課程)  加藤百合  ロシア語文献研究 II 

      計 2 

(  )内の科目は他の教育組織の科目と共通であることを示している。

  本学は3学期制を採用しているが,1 コマ 75 分授業で,基本的に,通年(1・2・3 学期)45 時間 3 単位という仕組みになっている。したがって,1 単位に相当する標準的な学習時間は 15 時間である。

ロシア語関連科目について具体的に言えば,地域研究研究科の科目(75 分授業,1・2 学期で 30 時間,

2 単位)と外国語センターの科目(75 分授業,通年で 45 時間,1.5 単位4)を除き,すべてのロシア 語教育関連科目及び他の担当専門科目は 75 分授業,通年で 45 時間 3 単位である。 

表7  平成 18 年度のロシア語担当教員と他の専門科目・コマ数

教育機関  担当教員  科目名  コマ数 

人文学類  臼山利信他  言語と文化(総合科目)  1(2 回のみ)

比較文化学類  加藤百合  総合文学入門演習,比較文学研究 

地域研究研究科(修士課程)  臼山利信  ヨーロッパ研究特講(6) 

人文社会科学研究科(博士課程)  臼山利信  一般言語学特講 

  加藤百合  比較文学研究,比較文学演習 

4但し,外国語センター開設の一般外国語科目はすべて通年 45 時間,1.5 単位である。

(7)

  また筆者と加藤百合准教授は,ロシア語関連科目以外の専門科目についてもいくつか担当している

(表7を参照)。

表8  ロシア語担当教員,所属研究・教育組織と専門分野 

研究者名  所属研究・教育組織  専門分野・研究テーマ 

臼山利信  人文社会科学研究科,地域研究研究科,人文学類,

外国語センター 

言語学,ロシア語学,外国語教育学,ロシア・旧ソ連 等の言語状況に関する研究他 

加藤百合  人文社会科学研究科,地域研究研究科,比較文化 学類 

比較文学,ロシア文学と翻訳,19 世紀イコンの日本招 来に関する研究他 

ポポーヴァ・タチヤーナ  人文社会科学研究科,外国語センター  ロシア語教育学,外国語としてのロシア語,テレビイ ンタビューの言語行動に関する語用論的研究他  安達陽一(非)  筑波大学外国語センター,慶應義塾大学他  ロシア文学,ロシア語教育他 

小林潔(非)  筑波大学外国語センター,東京外国語大学他  言語学,19 世紀ロシア標準語史,日露文化交流史,ロ シア語教育文法に関する研究他 

鳥山祐介(非)  筑波大学外国語センター  ロシア文学,18-19 前半のロシア文学と表象文化に関 する研究他 

 

  表8は,本学のロシア語担当教員とその所属及び専門分野を示しているが,ロシア語担当教員は基 本的にロシア語研究とロシア文学研究を専門分野にしていることがわかる。 

 

表9  筑波大学の他のロシア・旧ソ連に関する研究者,所属研究・教育組織と専門分野 

研究者名  所属研究・教育組織  専門分野・研究テーマ 

中村逸郎  人文社会科学研究科,国際総合学類  国際政治学,ロシアの住民自治他  ダダバエフ・ティムール  人文社会科学研究科,国際総合学類  国際関係学,中央アジア地域研究他 

小島弘道  人間総合科学研究科,人間学類  学校経営学,ロシアの学校管理運営・学校民営化に関する 研究他 

嶺井明子  人間総合科学研究科,日本語・日本文化学類  比較・国際教育学,ロシアの教育制度改革に関する研究他 五十殿利治  人間総合科学研究科,芸術専門学群  近代美術史,マレーヴィチのシュプレマティズム,ロシア

構成主義,極東のロシア未来派の研究他 

 

  表9は,本学のロシア語教育に携わっていない,専任教員のロシア・旧ソ連に関する研究者とその 所属組織及び専門分野を示したものである。本学の専任教員の総数が 1,780 人(2006 年 3 月 1 日現 在)であるという点から考えると,ロシア・旧ソ連に関する研究者の数が相対的に少ないという印象 を与える。尚,筆者の知る限りでは,ロシア・旧ソ連の法律,経済,歴史などを専門領域にしている 専任教員は不在である。 

 

3  筑波大学におけるロシア語教育の課題 

  上記のような本学のロシア語教育の現状等を踏まえ,現在抱えている,本学のロシア語教育の課題 を整理すると,大きく4つの課題が浮かび上がってくる。すなわち,①ロシア語教員のマンパワーの 慢性的な不足,②第二外国語としてのロシア語人気の低調,③現在外国語センターで採用している独 自のロシア語教材の改良,④無理なロシア語合併クラスの設置,である。中でも,①と②は本学のロ シア語教育を維持し,発展させていく上で障害となる最も深刻な課題である。 

  ①のロシア語教員のマンパワーの不足は,先に挙げた表6から明らかなことであるが,根本的には ロシア語教育に携わる専任教員がわずか3名という制度上の欠点がその最大の原因である。学内の厳 しい財政状況の中で近い将来にロシア語専任教員の増員は見込めないので,今のところは,専任教員 が可能な限り授業を多く担当することで凌いでいる。しかし,長期的には研究・教育に十分な時間を 割けなくなる事態が恒常的に続くことになるので,具体的な教育負担の軽減措置を取ることが急務と なっている。 

(8)

  ②のロシア語人気のなさに関しては,好調なロシア経済や日ロ間貿易の活発化という外的なプラス 要因が現在存在するものの,急激な好転を今後楽観視できるような状況にはないので,常に魅力ある 良質な授業の提供を少しでも心がけ,少数の履修学生を大事に育成し,目に見える形での実績(留学,

就職,進学など)を地道にかつ着実に積み重ねていくしかないと思われる。 

  ③のロシア語教材の改良は,教育現場で早急に取り組むべき非常に重要な課題である。現行の独自 教材は,その内容と教授法が一部すでに古くなっているので,その点などを考慮した上で,現行教材 のリニューアル版の形でソ連解体後の新しい時代に合ったロシア語教材を作成・刊行する必要がある。 

  ④の無理なロシア語合併クラスの設置については,本学の非常勤講師枠の縮小傾向という厳しい現 実の中では,合併クラスを簡単には回避できない状況にある。したがって,これまでの授業の枠組み を一部変える,具体的には,「ロシア語 I-1」と「ロシア語 I-2」を連動させたリレー方式による連携教 育を変更し,一部の合併クラスについてはこの二つの連動した授業を完全に切り離すなどの措置を取 らざるを得ないかもしれない。 

  表10は,本学のロシア語教育の四つの課題などを視覚的にわかりやすくまとめたものである。 

表10  筑波大学におけるロシア語教育の課題・現状・対策

  課題  現状  対策 

ロシア語教員のマンパワーの慢性的 な不足 

・専任教員の授業担当数が極めて多く(臼山 11 コマ,加藤 9 コマ,ポポーヴァ 8 コマ),かつ 学内業務も非常に多い(臼山 4 組織,加藤 3 組織,ポポーヴァ 2 組織)。したがって,大学 組織の再編や改革などにともなう学内業務の 急増や予算規模の縮小により,ロシア語教育の 改善・強化にかけられる時間・労力及び費用が 確実に減ってきている。 

・緊縮財政のため,非常勤講師枠の増加はまっ たく見込めない。 

・何らかの形で,授業と業務の合理化 を図るほかない。 

・ロシアなどの協定大学と協力・連携 して専門教育,基礎教育を行う。 

第二外国語としてのロシア語人気の 低調 

・外国語センターのロシア語履修者数が他の英 語以外の外国語と比べて少ない。 

・人文学類言語学主専攻露語学コースに進む学 生が極めて少ない(年間に 1 名程度)。 

・大学院に進学し,ロシア語学やロシア文学の 分野で研究を志す学生がほとんどいない。 

・魅力ある教育・学習環境づくりを戦 略的に進めていく。 

・ロシア語の学習活動に付加価値をつ けていく(大学間交流とロシア語学 習を有機的に結びつける)。 

現在外国語センターで採用している 独自のロシア語教材の改良 

・教材の内容と方法論が部分的にすで新しい時 代状況に合わなくなっている(教科書の持つ宿 命)。 

・従来の筑波大学のロシア語教育の伝 統を一定の程度維持しながら,新し い時代に合致した教材(レアリア,

遊び感覚,視覚情報)を作る(現在,

作成中)。 

・ロシア語担当教員が年に2回程度一 同に会して協議する機会を設け,教 育上の改善・向上に関する意見交換 をじっくりと行い,できる範囲で具 体的な措置を取る(教員間の共通認 識と協同作業)。 

無理な合併クラスの設置  ・授業科目数の削減による無理な合理化(合併 クラスの開設)がスムースな授業運営を困難に している。つまり,学類単位の固定時間割によ る制限があることから,統一的なクラス運営が 一部で崩れている。 

・リレー方式による連携教育を一部変 更する。 

・合併クラス間の進度の差を無理に補 うために,授業速度をあげたりせず,

進度の遅れているクラスに合わせ て,あせらず着実に進める(学生本 位に徹する姿勢)。 

4  筑波大学におけるロシア語教育の展望̶̶大学間交流という方向性̶̶ 

  本学のロシア語教育の今後の充実と発展の鍵を握るのは,ロシア語教員のマンパワーの慢性的な不 足,第二外国語としてのロシア語人気の低調,という二つの課題を少しでも解消することにあると考 えている。そこで,約5年前から本腰を入れて取り組んでいるのが,ロシア・旧ソ連地域,旧東欧地

(9)

域の大学との学術教育交流を通じたロシア語教育の連携,言わば,大学間交流による連携大学(院)

教育である。大学間交流協定に基づく交換留学制度を活用し,ロシア語教育の連携を図ることで,ロ シア語教育の現場の諸問題が改善され,教育活動そのものが活性化するのである。具体的には,①少 ないロシア語教員のマンパワーが強化される,②学生のロシア語学習の強い動機づけの契機となる,

③就職活動の大きな武器になる,④大学院進学への強力な刺激策となる,といった四つのプラスの効 果が生まれるのである。 

  ①については,留学先のロシア語担当教員の授業を本場のロシア語で受けられるので,協定大学で 履修した成績評価を筑波大学で正式に単位認定するという問題さえ克服できれば,卒業に必要な単位 数に加算できるので(連携大学教育の実現),結果的にロシア語担当教員の実質増の効果を生むことに なる。

  ②に関して言えば,通常,協定に基づく学生交流は授業料が免除され,学生寮にも優先的に入れる ケースが多いので,最低限の経費で留学が可能となる。こうしたメリットのある留学機会の提供は,

学生がロシア語学習に真剣に取り組むための大きな根拠づけとなる。 

  ③に関しては,一年間留学することで,多少の個人差があるにしても,留学した学生のロシア語運 用能力は相当高くなる。このロシア語の実用能力は,就職活動の際には即戦力としてのセールスポイ ントとなり,内定獲得への大きな手助けとなるはずである5。 

  ④はついて言及すると,一般論として留学生活を通じて研究することへの動機を生み,そのまま大 学院に進学するケースは,決して少なくない。一部の学生にとっては,他ならぬ留学が大学院進学の ための生きた刺激となり,進学の決断を後押しする原動力の役割を果たすわけである。

4.1  外国語センター(ロシア語セクション)とサンクトペテルブルグ大学文学部との連携    では,具体的な事例を見ていきたい。 

4.1.1 ロシア・サンクトペテルブルグ大学との学術交流協定締結の経緯 

表11  1988 年 4 月から現在までのネイティヴ専任教員(外国語センター所属)と就任期間 

  外国人教師  就任期間  就任年数 

ユルコフ E.          1988.4ー1991.7        3 年 3 ヶ月  ヴォズネセンスカヤ I.          1991.9ー1994.8        3 年  ジューコヴァ M.          1994.9ー1999.8        5 年  ボイツォフ I.          1999.9ー2002.8        3 年  ポポーヴァ T.          2002.9 ー2004.8        2 年  トマルキン P.          2004.9ー2006.8        2 年 

ポポーヴァ T.          2006.9ー現在  ー 

  筑波大学とサンクトペテルブルグ大学文学部との学術教育交流の出発点となったのは,狩野昊子先 生(筑波大学名誉教授,ロシア語学,1974年4月着任,2000年3月退官),阿部軍治先生(同名誉教授,

ロシア文学,1975年4月着任,2003年3月退官)が在職されていた時代のことで,1988年4月に外国 人教師として,ユルコフ Е.先生(現 МАПРЯЛ副会長,現РОПРЯЛ会長,サンクトペテルブルグ大学

52005 年度に一年間サンクトペテルブルグ大学に交換留学した人文学類史学専攻東洋史コースの学生は,即戦力 として期待され,松下電器産業(株)に就職した(2007 年 3 月卒業)。2006 年度に同様にサンクトペテルブルグ 大学に留学した国際総合学類国際政治学専攻の学生は三菱商事(株),人文学類言語学主専攻露語学コースの学生 は富士重工業(株)にそれぞれ内定している(2008 年 3 月卒業予定)。

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文学部外国語としてのロシア語・教授法学科長,同特別文学部長,ロシア語教育学,1988年4月 着任,1991年7月退官)を前身校であるソ連邦レニングラード国立大学から招聘したことである。

  本学外国語センターは,ユルコフ Е.先生以降,6名のロシア語ネイティヴ教員を招聘しているが,

表11に示されているように,その大半がレニングラード国立大学(現サンクトペテルブルグ国立大 学)の外国語としてのロシア語教授法の教育組織に勤務するロシア語教育の専門家である。このよう に筑波大学のロシア語教育の歴史の中で,ロシア語ネイティヴ教員に関しては,サンクトペテルブル グ大学関係者とのつながりが伝統的に強いことがわかる。 

  ちなみにユルコフ Е.先生以前の専任の外国人教師は,不在の時期もあったが,開学2年目の 1975 年以降,基本的には常時一名いた。ユルコフЕ.先生以前の歴代の外国人教師は,石井ナターリア先生,

エヴァ・レイルマン先生,ファニイ・モギレフスカヤ先生の3名である。

  狩野昊子先生と阿部軍治先生のご尽力により,1995 年から毎年本学外国語センターのロシア語履修 生が夏休みと春休みに,5〜10 名程度サンクトペテルブルグ大学文学部主催のロシア語短期語学コー スに参加するようになり,学生交流の深化に伴ってサンクトペテルブルグ大学文学部と筑波大学との 学術交流協定の締結の気運が生じたわけである。 

  そして,サンクトペテルブルグ大学での本学学生のロシア語語学研修を着実に継続していく中で,

阿部軍治外国語センター長の在任時に締結の機が熟し,阿部センター長(当時)が 2000 年 7 月にサ ンクトペテルブルグ大学文学部外国語としてのロシア語・教授法学科長(現在,特別文学部長兼任)

のユルコフ Е.先生と再度交渉し,合意を得,その後の準備・調整を経て,2002 年 2 月 18 日に 10 年 越しの悲願の交流協定締結(部局間協定)が実現した。筑波大学の対応組織は外国語センター,人文 学類,比較文化学類,地域研究研究科で,一方,サンクトペテルブルグ大学のそれは文学部,外国語 としてのロシア語・教授法学科である。 

  その後,学生に対する教育サービスの一環として,外国語センターは,2004 年度からサンクトペテ ルブルグ大学での夏期語学研修(3〜4 週間)を筑波大学の全学対象の(特設)自由科目(1 単位)と して正規に教育課程の中に位置づけ,夏期語学研修の単位化を実現した6。また毎年 5 月に参加希望学 生のための説明会を開催している。毎年 3〜5名程度のロシア語履修学生が同研修に行っている。 

  現在,2003 年 3 月にご退官された阿部軍治教授の後を引き継ぎ,筆者が連絡調整責任者として本学 とサンクトペテルブルグ大学との交流の実務を担っている。 

4.2  人文学類言語学主専攻露語学コース他とサンクトペテルブルグ大学文学部との連携教育    長年の懸案事項であった,ロシア語担当教員のマンパワーの慢性的な不足を補うために,サンクト ペテルブルグ大学文学部との学術教育交流協定を安定した教育活動の一つの基盤に据えて,交換留学 制度を活用した連携大学教育を 2002 年度から本格的に実施している。具体的には,交換留学制度と 単位互換制度を活用し,人文学類言語学主専攻露語学コースの学生が一年間留学しながら,四年間で 卒業できる体制を確立した。その結果,留学による卒業時の一年間の遅れがないというメリットから,

露語学コースを希望する学生が増えた。2005 年度にこの制度を利用した第 1 号の露語学コースの卒業 生が誕生した。 

  学術交流協定締結後,双方の交換留学も非常に活発に行われている。2006 年 12 月現在で,これま

6自由科目として認定される,外国語センター主催の夏期語学研修は,ロシア語だけでなく,中国語(湖南大学,

2 単位),ドイツ語(バイロイト大学,1 単位)についても実施されている。 

(11)

でにサンクトペテルブルグ大学から 4 名の留学生(文学部一般言語学専攻 2 名,文学研究科外国語と してのロシア語・教授法専攻 2 名)を受入れている。現在,大学院生 1 名が人文社会科学研究科文芸・

言語専攻に所属し,在籍中である。一方,筑波大学からの派遣留学生は 15 名(人文学類 7 名,比較文 化学類 2 名,国際総合学類 3 名,地域研究研究科 2 名,人文社会科学研究科 1 名)に上る。現在,交 換留学生として人文学類の学類生 2 名,人文社会科学研究科現代文化・公共政策専攻の院生 1 名が留 学中である。こうした交流状況は,当初から構想していた,連携大学教育に加えて連携大学院教育を 実質化するという戦略にかなったものとなっている。 

  学生の交流のみならず本学ロシア語担当教員も毎年のようにサンクトペテルブルグ大学を訪問し,

国際会議の参加や資料収集などの学術活動を積極的に行っている。 

 

4.3  人文学類言語学主専攻露語学コースと他の旧ソ連・東欧諸国の大学との連携教育 

  現在,本学は,ロシア連邦サンクトペテルブルグ国立大学の他に,旧ソ連・東欧諸国の 12 の大学と 学術交流協定を締結し(表12を参照),この学術交流ネットワークを活かした教育・研究活動をダイ ナミックに展開できる体制を組んでいる。例えば,人文学類言語学主専攻露語コースの学生ならば,

以下の筑波大学の協定校で 1 年間交換留学生として現地語とロシア語の語学系科目を併行して履修す れば,サンクトペテルブルグ大学の場合と同様に,単位互換制度を活用し,四年間で卒業することが できる。 

 

表 12  筑波大学のロシア語連携教育が可能である協定校一覧 

  国名  協定締結大学(所在地)  協定開始年月  履修科目等  連絡調整責任者  チェコ  カレル大学(プラハ)  2002 年 9 月  チェコ語,ロシア語等 村上正子准教授(人文社会科学研

究科社会科学専攻,民事訴訟法) 

ポーランド  ワルシャワ大学(ワルシャワ)  2003 年 1 月  ポーランド語,ロシア 語等 

臼山利信准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,一般言語学)

  ヤゲウォ大学(クラクフ)  2002 年 9 月  ポーランド語,ロシア 語等 

臼山利信准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,一般言語学)

    欧 

  ビャウィストク大学(ビャウィス トク) 

2002 年 8 月  ポーランド語,ロシア 語等 

村上正子准教授(人文社会科学研 究科社会科学専攻,民事訴訟法) 

エストニア  タリン国立大学(タリン)  2006 年 1 月  エストニア語,ロシア 語等 

加藤百合准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,総合文学) 

ラトヴィア  ラトヴィア国立大学(リガ)  2006 年 1 月  ラトヴィア語,ロシア 語等 

加藤百合准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,総合文学) 

  ト 

等  ウクライナ  キエフ国立大学(キエフ)  2006 年 9 月  ウクライナ語,ロシア 語等 

臼山利信准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,一般言語学)

ウズベキスタン 共和国 

タシケント国立東洋学大学(タシ ケント) 

2005 年 5 月  ウズベク語,ロシア語 等 

臼山利信准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,一般言語学)

  世界経済外交大学(タシケント) 2006 年 9 月  ウズベク語,ロシア語 等 

臼山利信准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,一般言語学)

  サマルカンド国立外国語大学(サ マルカンド) 

2006 年 9 月  ウズベク語,ロシア語 等 

臼山利信准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,一般言語学)

カザフスタン共 和国 

ユーラシア国立大学(アスタナ) 2006 年 8 月  カザフ語,ロシア語等 臼山利信准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,一般言語学)

    ア 

キルギス共和国  アラバエフ記念 

キルギス国立大学(ビシュケク)

2005 年 5 月  キルギス語,ロシア語 等 

臼山利信准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,一般言語学)

 

  2006 年 4 月に,上記大学(サンクトペテルブルグ大学も含む)の交換留学に関する説明会を初めて 実施し,情報の提供に努めた。その効果もあり,協定校への留学希望者が相対的に増え,双方向的な

(12)

学生交流を安定的に実施していけるという感触が得られた。今後,毎年定期的に交換留学説明会を開 催する予定である。 

  現在も引き続き,旧ソ連・東欧地域の大学との学術交流を一層充実させる方向で,努力している。

表13は,目下協定締結を準備している大学・研究機関の一覧表である。 

 

表 13  現在協定締結を準備している大学・研究機関一覧 

  国名  協定締結大学(所在地)  締結予定年月  履修科目等  連絡調整責任者(予定) 

ロシア  サハリン国立大学(サハリン)  未定   

ロシア語等  臼山利信准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,一般言語学)

等 

リトアニア  ビリニュス国立大学(ビリニュス) 2007 年 1 月7 リトアニア語,ロシア 語等 

加藤百合准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,総合文学)

カザフスタン共 和国 

アル・ファラビ記念 

カザフ国立大学(アルマトイ) 

2007 年 9 月  カザフ語,ロシア語等  臼山利信准教授(人文社会科学研 究科国際政治経済専攻,国際関係 学) 

  カザフ経済大学(アルマトイ)  2007 年 9 月  カザフ語,ロシア語等  ダダバエフ・ティムール准教授(人 文社会科学研究科国際政治経済専 攻,国際関係学) 

キルギス共和国  バラサギン記念 

キルギス民族大学(ビシュケク)

未定  キルギス語,ロシア語 等 

ダダバエフ・ティムール准教授(人 文社会科学研究科国際政治経済専 攻,国際関係学) 

  トルコ・マナス大学(ビシュケク) 未定  キルギス語,ロシア語 等 

ダダバエフ・ティムール准教授(人 文社会科学研究科国際政治経済専 攻,国際関係学) 

タジキスタン共 和国 

タジキスタン科学アカデミー(ド シャンベ) 

2007 年 9 月  タジク語,ロシア語等  ダダバエフ・ティムール准教授(人 文社会科学研究科国際政治経済専 攻,国際関係学) 

  タジク国立言語大学(ドシャンベ) 未定  タジク語,ロシア語等  臼山利信准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,一般言語学)

        ア 

  ロシア・タジク・スラヴ大学  2007 年 9 月  タジク語,ロシア語等  臼山利信准教授(人文社会科学研 究科文芸・言語専攻,一般言語学)

   

図2  筑波大生のための「国際ロシア語教育コンプレックス(複合体)」構想   

 

協定大学   

連携・協力        筑波大学    サンクトペテルブルグ国立大学 

キエフ国立大学 

タシケント国立東洋学大学  ユーラシア国立大学  キルギス国立大学  他   

 

交換留学(1 年間) 

夏期語学研修(3〜4 週間) 

共同研究 

外国語センター  人文学類  比較文化学類  地域研究研究科  人文社会科学研究科   

  進学・就職   

   

  このように大学院教育に連結した魅力ある教育・学習環境づくりの一環として,大学間交流と,ロ

7予定通り,リトアニア・ビリニュス国立大学と本学との学術交流協定が 2007 年 1 月に締結された。この協定を 加えると,旧ソ連・東欧地域の国々の大学間交流協定の数は,14 となる。 

(13)

シア語教育,学類教育,大学院教育,就職活動等を有機的に結びつけた連携教育体制を整備すること を目指している。換言すると,筑波大生のための「国際ロシア語教育コンプレックス(複合体)」の創 出を構想しているわけである(図2を参照)。2006 年度で,構想の基本的な枠組みがほぼ出来上がり,

第二段階として当該連携教育を軌道に乗せる努力を粘り強く続けている。 

  新しい課題としては,大学間交流が活発化・深化すればするほど,専任スタッフであるロシア語担 当教員の国際交流関連の業務がさらに増え,通常の教育活動とは質の異なる新たなマンパワーの確保 を内部的に行わなければならないというジレンマが現れ始めている。 

 

5  その他──課外活動を活かしたロシア語学習の動機付けの強化── 

  その他,課外活動を通したロシア語教育強化の取り組みについて紹介したい。

 

5.1  ロシア語サークル「カリンカ」 

  狩野昊子先生,阿部軍治先生の時代から30年以上にわたって連綿と続いている学生のロシア語学習 サークルの地道な活動が,部分的に,ロシア・旧ソ連地域の協定大学への交換留学の希望者を生み出 す揺籃の役目を果たしている。

  週一回,ロシア語ネイティヴ教員を囲んで,様々な催しを行っている。映画を見たり,歌を歌った り,ロシア料理をつくったり,ロシア語で討論したり,概して言えば,ロシア語サロンといった雰囲 気の活動である。秋の学園祭では,必ずロシア料理の模擬店を出店している。サークルには,文系,

理系を問わず,様々なバックグラウンドを持つ学生(学群生,院生)が入っている。2002 年度から臼 山が顧問をしているが,この二年間は「カリンカ」OGである加藤百合准教授が活動を指導し,現在,

ポポーヴァ・タチアナ准教授とともに学生の活動を支援している。2007 年度より顧問は,加藤百合准 教授に変わる予定である8。 

  本学の加藤百合准教授のほか,「カリンカ」のOB・OGとして現在学術の世界で活躍しているのは,

山形大学地域教育文化学部の山本広志助教授(電気工学),小樽商科大学の山田久就准教授(言語学,

ロシア語学),筑波大学外国語センターの嶋田(中田)敦子準研究員(ロシア語学)らである9。また 実業界では,「カリンカ」の草創のメンバーである岡田繁氏がロシアビジネスの老舗である大陸貿易

(株)専務取締役として活躍されている。

5.2  姉妹ゼミ交流 

  東京外国語大学外国語学部ロシア東欧課程(中澤英彦教授のロシア語学ゼミ:約 30 名)との姉妹ゼ ミ交流を行っている。2006 年度は,諸事情でできなかったが,3 年前から交流を始め,夏休み期間中 の7月に例年行われる中澤ゼミ合宿に参加し,卒論構想に関する研究発表をしたり,交友を深めるこ とで,ロシア語に対する学習意欲を高める機会をつくっている10。これまでに本学の延べ4,5名が学 生が参加した。このゼミをきっかけに,交換留学や夏期語学研修に参加する意思を固めた学生も複数 いる。 

 

8「カリンカ」の顧問は,予定通り,2007 年 4 月から筆者から加藤百合准教授に交代した。

9嶋田敦子氏は,2007 年 4 月より本学外国語センター非常勤講師としてロシア語科目を担当している。

102007 年度は,9 月 8〜10 日に山梨県富士河口湖町で中澤ゼミの合宿が行われることになっている。 

 

(14)

6  まとめ 

  以上,筑波大学のロシア語教育の現状・課題・展望等について詳述した。それらの諸点をごく簡潔 にまとめると以下のようになる。 

 

【現状】 

・国立大学法人化を契機とする筑波大学の大学院大学化により,「教育と研究の分離」から「教育と研 究の一体化」という組織構造に再編され,大学院教育(博士課程)を大学教育全体の柱とする教育体 制に移行した。その結果,大学院教育(博士課程)への接続・連携を目指したロシア語教育という理 念が出現した。 

・筑波大学のロシア語履修者数は,ペレストロイカ期以後,全学的に低調傾向が続いており,総入学 者数の 5%にも満たない水準にある。 

 

【課題】 

・筑波大学のロシア語教育の主要な課題は,①ロシア語担当教員のマンパワーの慢性的な不足,②第 二外国語としてのロシア語人気の低調,③現在外国語センターで採用している独自のロシア語教材の リニューアル,④無理な合併クラスの設置,の四つである。 

・大学間交流を充実させ,教育・研究の連携を図ることで,逆に質の異なる新たな業務がロシア語担 当教員にさらに課せられ,教育上の負担の軽減が相殺される状況となっている。 

 

【展望】 

・①と②の課題解決のための展望として,筑波大学のロシア語教育組織と学術交流協定校であるサン クトペテルブルグ大学などの教育組織との間の交換留学制度と単位互換制度を活用した連携大学教育,

連携大学院教育を行うことで,ロシア語担当教員の恒常的なマンパワーの不足を部分的に補い,本学 学生にとってより魅力ある学習環境(一年留学しても四年間で卒業可能,交換留学先の幅広い選択肢 など)が整いつつあり,その成果が出始めている。 

・③と④の課題解決に当たっては,新しい教材づくりの準備や無理のない授業速度の維持など,具体 的な改善策を取り,努力し始めている。 

 

【その他】 

・サークル,姉妹ゼミ交流などの課外活動が,学生のロシア語学習意欲の促進剤,ロシア(語)に対 する知的刺激剤として一定の程度有効に機能している。 

 

  最後に,スラヴィアーナ・シンポジウム《ロシア語教育の現在と未来》への参加の機会を与えて下 さった神奈川大学教授の堤正典氏に対し,心から御礼・感謝を申し上げます。 

 

※ 当該報告の内容は,平成 18 年度科学研究費補助金・基盤研究(B)(研究代表者:中澤英彦,研究課題:日露新時代の社会的・

言語的現状に対応したロシア語教育文法構築に関する総合的研究)及び平成 18 年度筑波大学大学院人文社会科学研究科学内プ ロジェクト研究(研究代表者:臼山利信,研究課題:中央アジア諸国のロシア語運用の現状に関する社会言語学的研究)による 研究成果の一部である。 

 

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