Opinion from School
プロローグ
ど ん な 状 況 で も 夢 や 目 標 を持つことが重要
どの時代でも︑5年先を見通せる人物はそうはいないと思う︒ただ︑
10年先︑
100年先がこうであってほしいと夢や目標にあきらめずに向かうことは極めて重要だろう︒
世界中で新型コロナウィルスが猛威を振るっている今︑このような事態を数年前に誰が予測できたであろうか︒経済は大きく停滞し自粛生活が求められている︒そして︑いつ終息するか全く予想もできない︒ 本校では︑ネットワーク環境は整っていたが︑生徒全員の個人端末整備までには至っておらず︑4月入学の中高1年生からタブレットPCを一人一台配布する予定だった︒だが︑4月当初の休校で手配が遅れた︒ このような中︑若手教員がオンライン学習の可能性を模索し︑YouTube︑schoolTakt︑Zoomなどの研究を始めた︒すぐにICT活用のプロジェクトを組織し︑研究と教員研修を実施し実用化にこぎつけた︒その間わずか2週間︒5月からのオンライン学習が整った︒ この若手教員たちのスピード感︑そして情熱にとても驚いた︒そして経験豊富なベテラン教員は︑彼らを見守りながら条件整備をしていた姿は︑組織人としての在り方を示していた︒
人材活用計画
本校の年齢構成は︑
50歳代
と
20︑
30歳代の教員の層に分
かれている︒
10年後には︑経
験と技術と知恵を兼ね備えた層が退職︑現在の
20︑
30歳代
の教員が︑学校を支えることを示している︒そこで︑今後の人材活用は﹁若手教員の活用﹂﹁経験豊富な先生は継承に努めていただく﹂と6月に宣言し︑次年度の人事構想計画を示した︒
学校の方向性
学校が一つの方向に 向かって︑進んでいくことは重要である︒教育理念の周知徹底が一番に挙げられよう︒数多くの学校を経験し︑それが当たり前であると強く感じているが︑なかなか難しい︒ 今般︑全員の教員と面接する機会を2度設けた︒コロナ禍のストレスなどの確認はもちろんだが︑面接を通して︑本校の教育理念をさらに周知徹底していくよう啓蒙をしている︒エピローグ
将来を見据えた学校教育
教育界では︑新しい学習指導要領︑大学入試改革などが始まっている︒前述したが︑将来は不透明である︒しかし︑私たち教育者としての使命は変わらない︒その使命達成に重要なのは︑経営者や管理職が物事を俯瞰して考える力や先見性を持ち︑将来の変化をいち早くとらえ︑方向性を示すことであろう︒そして︑目標達成のための組織を学校の実態に合わせて作ることが︑どんな状況であっても大切なことであると思う︒ しかし︑多くの学校では﹁学びを止めるな!﹂を合言葉に︑教育活動を続けている︒
﹁学びを止めるな!﹂ 活 躍 し た 若 手 教 員 と そ れ を支えたベテラン教員
本校では︑校内ICTリテラシーの周知に若手教員が大きく活躍した︒学校や自治体によって︑ICT環境には差があり︑特に公立学校はオンライン授業などの実施は困難であったろう︒しかし︑本校を含め多くの私学はICT環境をすでに整備しているところが多かったようだ︒
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Monthly Shijyukukai 2020 September将 来 は 不 透 明︒ ど ん な 状 況 に も 耐 え ら れ る 組織作りが極めて大切!
私塾界
20209
下條 隆史(しもじょう・たかのぶ)
都立高校教員(数学科)、文京、駒場高 校副校長、東村山西、立川高校、明法中 高(私立)の校長を歴任し、2020年から 現職。
東京都高等学校情報教育研究会、全国 高等学校情報教育研究会会長、東京都 高等学校数学教育研究会会長、日本数 学教育学会副理事長を歴任。様々なタ イプの学校を経験した学校経営のプ ロフェッショナルである。
学力、進学実績の向上により保護者・
生徒の支持は高い。また、人を引きつ けるプレゼンテーションはリピー ターが訪れる。そのリーダーシップに 期待をし、入学を決意する生徒が後を 絶たない。
啓明学園中学校高等学校 校長
下條 隆史
第15回
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啓明学園の ウェブサイト 下條校長
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