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実時間による敬語意識の経年変化と社会的要因 -岡崎 ... - 国際文献社

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実時間による敬語意識の経年変化と社会的要因

-岡崎敬語調査から-

李丹(専修大学大学院生) 引田梨菜(専修大学大学院生)

1. はじめに

敬語調査で代表的なものに,国立国語研究所が行った岡崎敬語調査がある.国立国語研究所が公開している

「岡崎敬語調査データベース ver. 1.0」によると,岡崎敬語調査では被調査者情報,基礎項目,敬語行動(反 応文),敬語意識,社会生活意識が調査項目となっている.今まで基礎項目と敬語行動の関係性について述べて いる論文には柳村(2014)がある.敬語意識の研究には横山・朝日・真田(2008)がある.そこから,調査次・

生年が身内に対する敬語意識の変化に影響を与えていることがわかった.しかし,横山ほか(2008)は身内に対 する敬語意識であり,基礎項目と身内以外の敬語意識の関係性についても研究を行わなければならない.

社会的要因は敬語意識に影響を与えると思われるが,その影響の強さは時代とともにどのように変化するの か.本研究では,横山ほか(2008)で触れた調査次・生年以外の基礎項目(以下,社会的要因とする)も検討に 入れ,その影響力の変化を明らかにする.

2. 先行研究

岡崎敬語調査の研究には,敬語行動に焦点を当てているものが多い.まず,敬語行動に関する先行研究をまと める.井上(2017)では,岡崎敬語における 3 回の調査結果から,敬語の成人後採用が観察されたと述べている.

つまり,実時間による敬語行動は成長とともに丁寧になるということである.また,「道教え」場面から,聞き手 に対して配慮表現の増加が見られた.これは,聞き手と対面コミュニケーションが重視されているという方向に 変化している.それと同時に敬語の成人後採用の丁寧さが認められた.

敬語意識に関する先行研究には横山・朝日・真田(2008)がある.岡崎敬語調査の第一次調査と第二次調査の 結果から,身内に対する敬語意識のデータをロジスティック回帰分析に投入して,岡崎敬語調査第三次の結果 を予測した.その結果,身内に対する敬語意識の変化は生年と調査年を独立した変数として,S 字カーブになっ たことから,敬語意識に変化があることがわかった.しかし,敬語意識に与える影響が時代とともにどのように 変化するのかについて述べている先行研究は管見の限りない.

3. データ概要

国立国語研究所が公開している「岡崎敬語調査データベース ver. 1.0」を用いた.そこから,ランダムサンプ ルのみを抽出している.本稿で扱っているデータは無回答・回答不明瞭等を除いたサンプリングである.サンプ ルサイズは一次調査 186 名,二次調査 226 名,三次調査 187 名,計 599 名である.

本研究で扱うデータは岡崎敬語調査の質問番号 201 である.敬語があるかどうかを尋ね,敬語がある場合はそ れがどの部分かを教えてもらう.質問項目は次の通りである.

(1)あの人は駅に行かれた (2)一つお持ちください

- 202 -

(2)

(3)今日はお野菜が安い (4)ここにあります

(5)これはいただいたものだ (6)知事のお車はもう駅を出発した

以下では,6 種類の敬語は「行かれた」,「お持ちください」,「お野菜」,「あります」,「いただいた」,「お車」

のみ表記する.岡崎敬語調査では 6 種類の敬語に 0~2 点の点数を与えて分析を行った (2 点:正解(下線また は二重下線),1 点:部分正解,0 点:不正解) .本研究は敬語の有無の判断について焦点を当てるため,敬語あ りが 1 点敬語なしが 0 点として分析している.さらに,本研究では,6 種類の敬語意識に影響を与える社会的要 因として,調査次,生年,性別,出生地,居住歴,学歴(種別),学歴(卒業の有無),役員経験,職務内容の 9 つを検討した.

4. 分析方法

身内に対する敬語意識の変化予測のために,横山ほか(前掲)ではロジスティック回帰分析を用いた.ま た,越智(2010)によると,ロジスティック回帰分析は「2 値の反応 Y に対して,可能な要因候補としての説 明変数 X が関係するか否か,関係するとすればどのようにその関係を捉えればよいかについて考えるものとす る」としている.本研究では,越智(前掲)の観点を踏襲し,社会的要因が敬語意識に与える影響の強さの変 化を明らかにする.本研究では 6 種類の敬語意識の有無を目的変数とし,9 つの社会的要因を説明変数としてい る.ロジスティック回帰分析において,目的変数と説明変数の関係式は次のようになる.

𝑦 =

1+𝑒−(𝑎1∙𝑥1+𝑎2∙𝑥2+𝑎0)1 .

本研究は 3 回の調査を通して,敬語意識に対する社会的な要因の影響力の変化を明確にするため,オッズ比 (𝑒𝑎1

, 𝑒

𝑎2)を求めて,解釈していく.

5. 結果

ここでは,調査結果について述べていく.6 種類の敬語意識に影響を与える 9 つの社会的要因をロジスティッ ク回帰分析によって解析し,結果を整理する.最初にオッズ比(Exp(B))95 パーセントの信頼区間で,調査次ごと に 6 種類の敬語意識に対する社会的要因の影響力の強さを表にまとめた(表 1 から表 6).表では,敬語意識に 対する影響力の強さ(順位)を数字で表している.最も影響の強い社会的要因は 1 と示し,最も影響の弱い社会 的要因は 8 と示している.影響のないものは――と表記している.また,偏回帰係数(B)で敬語意識に対して,正 の方向に影響を与える社会的要因には(+),一方,負の方向に影響を与える社会的要因が(-)を付けた.

表 1 「行かれた」の要因の影響力(順位)

学歴 (種)

学歴

(卒) 生年 性別 出生地 居住歴 役員 経験

職務

内容 調査次 第一次 1(+) 7(+) 6(+) 5(-) 4(+) 3(-) 2(-) 8(+) ――

第二次 7(+) 1(+) 8(+) 6(+) 2(+) 5(-) 4(-) 3(-) ――

第三次 2(+) 1(+) 8(+) 6(+) 5(-) 3(-) 4(-) 7(-) ――

表 2 「お持ちください」の要因の影響力(順位) 学歴

(種)

学歴

(卒) 生年 性別 出生地 居住歴 役員 経験

職務

内容 調査次 第一次 5(-) 4(-) 8(+) 3(+) 2(+) 6(-) 1(+) 7(-) ――

第二次 2(+) 1(+) 6(+) 5(+) 8(-) 3(-) 4(+) 7(+) ――

第三次 5(+) 1(+) 8(-) 6(+) 4(+) 3(-) 2(-) 7(-) ――

- 203 -

(3)

表 3 「お野菜」の要因の影響力(順位) 学歴

(種)

学歴

(卒) 生年 性別 出生地 居住歴 役員 経験

職務

内容 調査次 第一次 3(-) 1(+) 6(+) 2(+) 8(+) 4(-) 5(+) 7(-) ――

第二次 1(-) 3(+) 8(-) 5(+) 6(+) 2(+) 4(-) 7(-) ――

第三次 1(-) 3(+) 8(+) 5(-) 7(+) 2(+) 6(+) 4(+) ――

表 4 「あります」の要因の影響力(順位) 学歴

(種)

学歴

(卒) 生年 性別 出生地 居住歴 役員 経験

職務

内容 調査次 第一次 2(-) 7(+) 8(+) 3(-) 5(+) 4(-) 1(+) 6(+) ――

第二次 6(-) 7(-) 8(+) 5(-) 2(+) 1(-) 4(-) 3(+) ――

第三次 2(-) 1(+) 8(+) 6(-) 3(+) 5(-) 4(+) 7(+) ――

表 5 「いただいた」の要因の影響力(順位) 学歴

(種)

学歴

(卒) 生年 性別 出生地 居住歴 役員 経験

職務

内容 調査次 第一次 3(+) 1(+) 7(-) 5(-) 4(+) 2(-) 6(+) 8(+) ――

第二次 3(+) 5(+) 8(+) 1(+) 6(+) 2(-) 4(-) 7(+) ――

第三次 2(+) 3(+) 8(+) 1(+) 4(-) 6(-) 7(-) 5(+) ――

表 6 「お車」の要因の影響力(順位) 学歴

(種)

学歴

(卒) 生年 性別 出生地 居住歴 役員 経験

職務

内容 調査次 第一次 2(-) 4(-) 7(-) 6(+) 5(-) 1(-) 3(-) 8(+) ――

第二次 1(+) 2(+) 7(-) 5(-) 3(+) 4(+) 8(-) 6(-) ――

第三次 3(-) 1(+) 8(-) 2(-) 6(-) 4(+) 5(+) 7(-) ――

以下では,上記の表から,各敬語意識に対して,社会的要因が与えた影響の強弱について総括する.ここでは,

各調査次で,4 つ以上社会的要因の影響力の順位が上昇したものを影響力が強くなったと判断している.それに 対して,4 つ以上社会的要因の影響力の順位が下降したものを影響力が弱くなったと判断している.

<a>「行かれた」の敬語意識に対し,影響力が強くなった社会的要因は学歴(種別)(三次調査)・学歴(卒業の 有無)(二次調査)・職務内容(二次調査)である.影響力が弱くなった社会的要因は学歴(種別)(二次調 査)・職務内容(三次調査)である.

学歴(種別)・学歴(卒業の有無)・職務内容などの社会的要因の変化が激しい.そのうち,学歴(種別)・学 歴(卒業の有無)は「行かれた」の敬語意識に対して,正の方向に影響を与える.一方,3 回の調査を通し て,職務内容は順位が変わり,正の方向から負の方向に変わった.

<b>「お持ちください」の敬語意識に対し,影響力が強くなった社会的要因は出生地(三次調査),弱くなった 社会的要因は出生地(二次調査)である.つまり,影響力の強弱が大きく変化した社会的要因は出生地で ある.出生地は調査次によって,影響力の強弱が変わるだけでなく,影響を与える正負の方向も異なる.

<c>「お野菜」の敬語意識に対し,社会的要因の影響力の順位は 3 つ以上変化するものがないことから,敬語 意識に対する社会的要因の影響力は大きく変化していない.また,影響力の変化が少ないことから,影響 の正負には言及しない.

<d>「あります」の敬語意識に対し,影響力が強くなった社会的要因は学歴(種別)(三次調査)・学歴(卒業の 有無)(三次調査)である.影響力が弱くなった社会的要因は学歴(種別)(二次調査)・居住歴(三次調査)・ 職務内容(三次調査)である. つまり,影響力が大きく変化した社会的要因は学歴(種別)・学歴(卒業の

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(4)

有無)・居住歴・職務内容である.

また,学歴(種別)・居住歴は影響力の強弱が変化するが,一貫して負の方向に影響を与える.逆に職務内 容は影響力が下がっているが,正の方向に影響を及ぼす.居住歴の影響力は調査次によって異なるが,一 貫して負の方向に影響を与える.

<e>「いただいた」の敬語意識に対し,影響力が強くなった社会的要因は性別(二次調査)である.影響力が弱 くなった社会的要因は学歴(卒業)(二次調査)・居住歴(三次調査)である.そのうち,性別・学歴(卒業 の有無)は正の方向に変化し,居住歴は負の方向に影響を与える.

<f>「お車」の敬語意識に対し,影響力が弱くなった社会的要因は役員経験(二次調査)である.役員経験は調 査次によって,影響力が異なり,また負の方向から正の方向に影響を及ぼす.

ここまでで,3 回の調査を通した各敬語意識に対する社会的要因の影響力の強弱の変化と併せて,影響の正負 の変化を見た.以下では,本研究で明らかになったことをまとめ,今後の展望を述べる.

6. おわりに

本研究は岡崎敬語調査のデータベースをロジスティック回帰分析に投入して,社会的要因が敬語意識に与え る影響の強さの変化について,以下の 3 点を明らかにした.(1)敬語意識に対して影響を与える社会的要因は調 査次以外が全て変化した.さらに,1 種類の敬語意識に対する社会的要因の影響力は調査次によって異なって いる.(2)学歴(種別・卒業の有無)は「あります」以外の敬語意識に強い影響力がある.これは国立国語研究所

(1983)と同様の結果である.(3)社会的要因のうち,生年と調査次は先行研究の横山ほか(前掲)と異なり,

敬語意識に対する影響力が弱い.それは,横山ほか(前掲)では身内に対する敬語意識を調査対象としている が,本研究では 6 種類の敬語に対する意識を対象としているためと考えられる.同じように敬語意識を調査対 象としていても調査内容が変わると,社会的要因が与える影響力が異なることがわかった.以上の結果から,

敬語意識に対する社会的要因は時代とともに,変化していくことがわかった.

今後も,敬語意識に対する社会的要因の影響力は時代とともに変化する可能性が大いに考えられるため,本 研究と同様に実時間の観点から,敬語意識とそれに関わる社会的要因の変化をまとめる必要がある.加えて,

敬語意識に対する社会的要因の影響をさらに明らかにするために,個人を追跡したパネル調査のデータ(「岡 崎敬語調査データベース ver. 1.0」)を利用して論じる必要がある.また,今回は敬語意識に対して,9 つの社 会的要因で分析を行ったが,これからは他の社会的要因(階級等)も含めて分析したい.

参考文献

井上史雄(編)(2017).敬語は変わる―大規模調査からわかる百年の動き 大修館書店

越智義道(2007).ロジスティックモデル 杉山髙一他(編) 統計データ科学辞典,114-115 朝倉書店 国立国語研究所(1983).敬語と敬語意識―岡崎における 20 年前との比較― (報告 77) 秀英出版

国立国語研究所(2010).敬語と敬語意識-愛知県岡崎市における第三次調査- 科学研究費補助金 研究成果 報告書 第 2 分冊 阿部貴人(編)【経年調査 基礎データ編】 国立国語研究所

鑓水兼貴・井上史雄(2017).岡崎敬語調査の理論的成果―岡崎で何が分かったか 井上史雄(編) 敬語は変わ る―大規模調査からわかる百年の動き 大修館書店

柳村裕(2014) ことばの丁寧さの経年変化と社会的要因:岡崎敬語調査から 国立国語研究所論集 8, 177-196.

横山詔一・朝日祥之・真田治子(2008).記憶モデルによる敬語意識の変化予測 社会言語科学,11(1),64- 75.

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