平成22年度
事業計画書及び収支予算書
財団法人 日本国際問題研究所
平成22年度事業計画書
今年度より、外交政策分野におけるシンクタンクの活動に対する競争的補助金の制 度が導入されることとなった。これを踏まえ、当研究所としては、外務省が民間シンクタ ンクに求める活動内容に十分且つ適切に応えるような事業を展開するとともに、競争 性が導入されることとなった背景・趣旨に合致した実施体制の充実に向け、組織改革 にも取り組んでいく所存である。
なお、外務省が去る4月に公示した上記競争的補助金交付に係る公募・企画競争 に対し、当研究所は申請書類を提出した。外務省からは、6月中旬に至り、調査研究 機関間対話・交流促進事業費等補助金(231,283,000 円)並びに国際問題調査研究・
提言事業費補助金(「日米関係の今後の展開と日本の外交」(9,985,468 円)、「アジア 太平洋地域における各種統合の長期的な展望と日本の外交」(9,978,348 円)及び「将 来の国際情勢と日本の外交」(9,958,784 円))の交付決定の通知があったところであ る。
1.調査研究機関間の対話及び交流促進
(1)総括
外国調査研究機関との対話および交流促進は、国際世論形成及び情報収集にお いて、極めて重要な意義を有する。当研究所としては、日本の国益の維持・増進を図 るため、オールジャパンの観点から、引き続き積極的に国際的な知的交流を行ってい く。当研究所によるそうした対外発信を通じて、国際社会における日本の存在感や影 響力が一層高まり、また、日本にとって望ましい国際世論形成が促進されるものと確信 している。交流の結果得られた情報に関しては、日本国内の各層に効果的に還元し、
更なる外交政策立案・決定プロセスに繋げて行くことを目指す。
その際、当研究所は、「開かれた研究所」として、日本にある大学やシンクタンク等 他の研究機関との間でこれまで培ってきたネットワークを大いに活用するとともに、更 なるネットワークを新規に開拓・発展させていく考えである。すなわち、本件事業にお いては、当研究所が擁する研究員が枢要な役割を占めつつ、一方において日本の外 交政策シンクタンク全般の機能と役割を強化するために、他の研究機関等とも連携し て幅広い層から有為な人材を登用・活用する。このように本件事業の実施の過程で、
当研究所が各分野に精通する諸機関や諸専門家を結びつける役割を果たすことによ り、日本のシンクタンク全体の底上げが図られることとなる。
(2)国際会議・シンポジウム等の開催
今年度は、新企画としてロシア大統領が今秋主催予定の首脳級国際協議に向けて の準備会合を外務省と協力の上開催するとともに、従来より力点を置いて取り組んで きているアジア太平洋地域のアーキテクチャー、核軍縮・不拡散・原子力の平和利用、
中東和平等の重要テーマに関して、それぞれシンポジウム等を主催する。日本として これら分野において国際社会でリーダーシップを発揮すべく行うものである。また、次 世代育成の観点から、外国の若手研究者の招聘も視野に入れる。
なお、国際シンポジウム・国際会議開催については、その都度時宜に適った題材 を取り上げるとともに、複数年度に亘って共通主題を掘り下げていく等、中長期的視野 に立って戦略的に行うこととする。
(3)共同研究・協議
これまで実施してきている米国、英国、ドイツ、フランス、ロシア、ポーランド、カナダ、
中国、韓国、インド、ベトナム、豪州、NZ、エジプト、サウディアラビア、イスラエル、トル コ等の各シンクタンクとの交流を一層深めることに加えて、「1 カ国・1 シンクタンク」の関 係に留まらず、各国における新しいパートナーを開拓することにより、付加価値の増大 を目指す。たとえば、日本にとって外交的に極めて重要なアジア太平洋地域の中国、
韓国、インド、豪州、ロシア等については、従来より特定シンクタンクと定期的に交流し てきているところ、これらを継続するとともに、別途のシンクタンクとの共同事業を新しく 実施する。なお、米国、英国、フランス等に関しては、既に複数シンクタンクと共同研 究を行ってきており、更なる深化・拡大を目指す。
これら事業は基本的にすべて複数年度に亘るものであり、そのほとんどは期限を 定めておらず、今後とも恒常的に1年乃至2年に(少なくとも)1回実施することで相手 方と合意している。
(4)講演会事業
内外有識者による講演会(JIIAフォーラム)を引き続き積極的に開催し、その要旨を 迅速にホームページに掲載することにより、広く国内における政策論議を推進する。
演題としては、日本外交にとって主要課題である、日米同盟、アジア太平洋地域のア ーキテクチャー、核軍縮・不拡散・原子力の平和利用、テロやPKOを含む非伝統的安 全保障等に関し、国内議論を活発化する観点から、多く取り上げることとする。
(5)発信事業
電子版ジャーナル『国際問題』及び『AJISSコメンタリー』(海外の有識者を対象に、
国際問題に関する日本人の見解を英文で発信する、平成19年4月から世界平和研 究所及び平和・安全保障研究所等と共同で開始した事業)を引き続き積極的に展開
する。これまで同様、前者は年間 10 回、後者は同 24 本、を予定している。
上述の国際シンポジウム・国際会議、共同研究・協議事業、講演会事業との相互連 携をうまく図り、事業全体の効用の最大化に向けて意を用いる。なお、AJISSコメンタリ ーでは、日本外交の主要分野をさまざまな角度から取り上げると同時に、必ずしも主 要分野ではないが外国読者に日本を理解させる上で重要と思われる分野についても、
随時光を当てて行く。
2.調査研究・提言
現時点で優先的に取り組むべき課題・分野について、政府への政策提言や世論へ の研究成果の還元を行うことを念頭に、各分野に造詣の深い研究者、専門家、実務 担当者等を結集し、研究活動・提言策定作業に積極的に取り組む。具体的には本年 度は以下のテーマを中心に取り上げる。
(1)日米同盟
(2)アジア太平洋地域における各種統合
(3)将来の国際情勢と日本外交(20年程度未来のシナリオプランニング)
(4)ロシアの経済・エネルギー・環境・近代化政策
(5)中国の領域別外交政策
(6)新しい核の秩序構想
(7)中東和平
(8)危機に打たれ強い経済社会基盤構築(SR)
3. 創立50周年記念事業
日本国際問題研究所は本年9月に創立50周年を迎えるが、その中核的記念事業とし て、過去の「国際問題」誌に掲載された論文の中から、とくに優れた論文をまとめた記 念論文撰集の発刊準備を進める。
4.アジア太平洋地域協力
1)アジア太平洋安全保障会議(CSCAP)
アジア太平洋問題に関する関係各国の民間研究組織の集まりである CSCAP の日本 事務局として、安全保障問題についての域内研究協力を推進する。
2)太平洋経済協力会議(PECC)
アジア太平洋地域における経済面の国際協力を進める「産・官・学」3者構成の国 際組織の日本委員会事務局として、社会保障政策問題等につき政策提言等を行う。
本年度はアジア経済協力会議(APEC)が日本で開催されることから、PECC国際 総会の同時開催も視野に入れ、所要の検討、準備を進める。
5.軍縮・不拡散促進センター
日本国際問題研究所の一部として運営する軍縮・不拡散促進センターは、外務省 からの委託により包括的核実験禁止条約(CTBT)に関する国内措置の一環として、国 内データセンター(NDC)が置かれる独立行政法人 日本原子力研究開発機構
(JAEA)及び一般財団法人 日本気象協会(JWA)とともに、CTBT 国内運用体制の整 備を進めている。
平成 21 年度には、これまで整備された核実験探知の係わる監視システムの暫定運 用試験を開始し、観測結果の解析・分析を行い、システムの改善を進めた。
22 年度においても暫定運用試験を継続し、その問題点の解明と改善を進めて、核 爆発を探知するに十分な機能を備えたシステムの完成を目指す。それとともに、CTBT 国内運用体制事務局として、NDC の指導・監督を行う。更に、ウイーンの CTBTO 準備 委員会における条約遵守検証体制の整備に係わる国際的検討に引き続き参画する。
また、21 年度は日米軍備管理・軍縮・不拡散・検証委員会トラックⅡ会合、日豪両 政府が推進する核不拡散・核軍縮国際委員会(ICNND)の諮問に応えて助言活動等 を行った。22 年度は、軍縮・不拡散の主要課題に関する研究、軍縮・不拡散問題講座 等の事業とともに、ICNND のフォローアップ、国内外の有識者やシンクタンクなどとの 交流、ホームページを通じた軍縮・不拡散関係情報の提供等を行う。
(単位: 千円)
科 目 予算額 前年度予算額 増減 備考
Ⅰ 事業活動収支の部
1、 事業活動収入
① 基本財産運用収入
基本財産利息収入 300 200 100
② 会費収入
法人会費収入 54,000 57,800 △ 3,800
個人会費収入 8,000 9,000 △ 1,000
図書館会員会費収入 2,000 2,000 0
④ 事業収入
出版事業収入 2,000 4,000 △ 2,000
③ 補助金等収入
国庫補助金収入 398,843 422,080 △ 23,237
受託収入 86,822 91,537 △ 4,715
PECC受託収入 14,700 15,000 △ 300
CTBT受託収入 212,455 238,939 △ 26,484
助成金収入 48,000 10,000 38,000
③ 寄付金収入
寄付金収入 2,000 5,000 △ 3,000
④ 雑収入
雑収入 3,500 2,000 1,500
事業活動収入計 832,620 857,556 △ 24,936
2、 事業活動支出
① 事業費支出 調査研究・提言 /対話・交流促進
事業見合借料 123,640 131,340 △ 7,700
受託調査研究費 45,000 58,500 △ 13,500
PECC受託研究費 12,150 13,500 △ 1,350
助成研究費 45,000 10,000 35,000
出版費 1,200 3,000 △ 1,800
外交懇談会 800 800 0
CTBT国内運用体制事業
NDC-1整備運営 79,049 89,270 △ 10,221 NDC-2整備運営 46,316 51,462 △ 5,146 国内事務局整備運営 13,469 20,145 △ 6,676 委託費見合管理経費 73,621 78,062 △ 4,441
軍縮不拡散調査研究 0
軍縮政策実施体制 7,421 11,537 △ 4,116 核セキュリティ・プロジェクト 14,401 0 14,401
② 管理費支出
補助金管理人件費 0 36,705 △ 36,705
自己資金人件費 31,076 49,022 △ 17,946
事務所借料 25,824 27,498 △ 1,674
管理事務費 28,950 19,580 9,370
その他 2,000 2,000 0
事業活動支出計 825,120 856,456 △ 31,336
事業活動収支差額 7,500 1,100 6,400
(1ー1)
収 支 予 算 書
平成22年4月1日から平成23年3月31日まで
275,203 254,035 21,168
(単位: 千円)
科 目 予算額 前年度予算額 増減 備考
投資活動収支の部 1、 投資活動収入
① 特定資産取崩収入
退職給付引当資産取崩収入 3,400 3,800 △ 400
投資活動収入計 3,400 3,800 △ 400
2、 投資活動支出
① 特定資産取得支出
退職給付引当資産取得支出 5,400 4,900 500
リース料引当資産取得支出 1,138 0 1,138
投資活動支出計 6,538 4,900 1,638
投資活動収支差額 △ 3,138 △ 1,100 △ 2,038 財務活動収支の部
1、 財務活動収入
① 借入金収入 0 0 0
財務活動収入計 0 0 0
2、 財務活動支出
① 借入金返済支出 0 0 0
財務活動支出計 0 0 0
財務活動収支差額 0 0 0
予備費支出
当期収支差額 4,362 0 4,362
前期繰越収支差額 5,000 5,000 0
次期繰越収支差額 9,362 5,000 4,362
(1ー2)
(注) 1 借入金限度額 50,000千円 2 債務負担額 無
収 支 予 算 書
平成22年4月1日から平成23年3月31日まで
(単位: 千円)
科 目 一般会計 軍縮特別会計 内部取引消去 合計
Ⅰ 事業活動収支の部 1、 事業活動収入
① 基本財産運用収入
基本財産利息収入 300 300
② 会費収入
法人会費収入 54,000 54,000
個人会費収入 8,000 8,000
図書館会員会費収入 2,000 2,000
④ 事業収入
出版事業収入 2,000 2,000
③ 補助金等収入
国庫補助金収入 398,843 398,843
受託収入 50,000 36,822 86,822
PECC受託収入 14,700 14,700
CTBT受託収入 212,455 212,455
助成金収入 48,000 48,000
③ 寄付金収入
寄付金収入 2,000 2,000
④ 雑収入
雑収入 2,500 1,000 3,500
事業活動収入計 582,343 250,277 832,620
2、 事業活動支出
① 事業費支出 調査研究・提言 /対話・交流促進
事業見合借料 123,640 123,640
受託調査研究費 45,000 45,000
PECC受託研究費 12,150 12,150
助成研究費 45,000 45,000
出版費 1,200 1,200
外交懇談会 800 800
CTBT国内運用体制事業
NDC-1整備運営 79,049 79,049
NDC-2整備運営 46,316 46,316
国内事務局整備運営 13,469 13,469
委託費見合管理経費 73,621 73,621
軍縮不拡散調査研究
軍縮政策実施体制 7,421 7,421
核セキュリティ・プロジェクト 14,401 14,401
② 管理費支出
自己資金人件費 28,676 2,400 31,076
事務所借料 22,224 3,600 25,824
管理事務費 19,950 9,000 28,950
その他 1,000 1,000 2,000
事業活動支出計 574,843 250,277 825,120
事業活動収支差額 7,500 0 7,500
(2ー1)
収支予算書総括表
平成22年4月1日から平成23年3月31日まで
275,203 275,203
(単位: 千円)
科 目 一般会計 軍縮特別会計 内部取引消去 合計
Ⅱ 投資活動収支の部 1、 投資活動収入
① 特定資産取崩収入
退職給付引当資産取崩収入 1,500 1,900 3,400
投資活動収入計 1,500 1,900 3,400
2、 投資活動支出
① 特定資産取得支出
退職給付引当資産取得支出 3,500 1,900 5,400
リース料引当資産取得支出 0 1,138 1,138
投資活動支出計 3,500 3,038 6,538
投資活動収支差額 △ 2,000 △ 1,138 △ 3,138
Ⅲ 財務活動収支の部 1、 財務活動収入
① 借入金収入 0 0 0
財務活動収入計 0 0 0
2、 財務活動支出
① 借入金返済支出 0 0 0
財務活動支出計 0 0 0
財務活動収支差額 0 0 0
Ⅳ 予備費支出
当期収支差額 5,500 △ 1,138 4,362
前期繰越収支差額 0 5,000 5,000
次期繰越収支差額 5,500 3,862 9,362
(2ー2)
収支予算書総括表
平成22年4月1日から平成23年3月31日まで
(軍縮特別会計) (単位: 千円)
科 目 予算額 前年度予算額 増減 備考
Ⅰ 事業活動収支の部 1、 事業活動収入
④ 受託収入
受託収入 36,822 26,537 10,285
CTBT受託収入 212,455 238,939 △ 26,484
助成金収入 0 0 0
0
⑥ 雑収入
雑収入 1,000 1,000 0
事業活動収入計 250,277 266,476 △ 16,199 2、 事業活動支出
① 事業費支出
CTBT国内運用体制整備事業
NDC-1整備運営 79,049 89,270 △ 10,221 NDC-2整備運営 46,316 51,462 △ 5,146 国内事務局整備運営 13,469 20,145 △ 6,676 委託費見合管理経費 73,621 78,062 △ 4,441 軍縮不拡散調査研究
軍縮政策実施体制 7,421 11,537 △ 4,116 核セキュリティ・プロジェクト 14,401 0 14,401
助成研究費 0 0 0
② 管理費支出
自己資金人件費 2,400 2,170 230
事務所借料 3,600 3,830 △ 230
管理事務費 9,000 9,000 0
その他 1,000 1,000 0
事業活動支出計 250,277 266,476 △ 16,199
事業活動収支差額 0 0 0
5
収支予算書
平成22年4月1日から平成23年3月31日まで
(軍縮特別会計) (単位: 千円)
科 目 予算額 前年度予算額 増減 備考
Ⅱ 投資活動収支の部 1、 投資活動収入
① 特定資産取崩収入
退職給付引当資産取崩収入 1,900 1,300 600
投資活動収入計 1,900 1,300 600
2、 投資活動支出
① 特定資産取得支出
退職給付引当資産取得支出 1,900 1,300 600
リース料引当資産取得支出 1,138 0 1,138
投資活動支出計 3,038 1,300 1,738
投資活動収支差額 △ 1,138 0 △ 1,138
Ⅲ 財務活動収支の部 1、 財務活動収入
① 借入金収入
財務活動収入計 0 0 0
2、 財務活動支出
① 借入金返済支出
財務活動支出計 0 0 0
財務活動収支差額 0 0 0
Ⅳ 予備費支出 0 0 0
当期収支差額 △ 1,138 0 △ 1,138
前期繰越収支差額 5,000 5,000 0
次期繰越収支差額 3,862 5,000 △ 1,138
6
収支予算書
平成22年4月1日から平成23年3月31日まで