教育史
History of Education 岡田 洋司 教職 2 2年春
教育は、どの時代も同じかたちであったわけではありません。教育の中に込められている思想、またそれを実体化する 制度は時代とともに変遷しています。とりわけ明治維新から昭和前期にいたる日本の教育の流れは、現代の教育のあり 方を理解するための前提となっています。そこで、この講義では、日本の教育の歴史を、近代を中心に話します。また、
近代の教育は、学校教育中心になっていますが、できるかぎり社会教育・地域教育のあり方も見て行きます。
基本的には、講義のかたちをとりますが、知識・考え方 をより身近に感じていただくために、また社会人基礎力を 発揮させるために受講生の皆さんとの“対話”を重視しま す。また場合によっては、読みやすい資料によって、ディ スカッション等を行います。
高校教員にふさわしい教育史の知識を得ること。
概要に書いたように、現在の教育は、明治維新 昭和期に いたる教育を前提として、また批判として成立しています。し たがって高校の教壇に立つものとして、近代日本の教育史 についての知識を持つことは必須です。
主体性・働きかけ力・実行力 課題発見力・計画力・創造性 発信力・傾聴力・柔軟性 規律性
「学ぶ」ことに対する基本的な態度を求めたいと思います。
1) 講義がはじまる時には、学ぶための準備ができていること。
2) レジュメに頼らず、つねに黒板に書いてあることをノートすること。
3) 講義中にお願いする、「小レポート」をとおして文章を書くことになれること。
ありません。
他科目との関連:教職の全科目
本学部で取得できる資格との関連:教職
細かな年号・人名等の暗記は不要です。あくまで全体 の「流れ」=論理をとらえるようにしてください。
毎回、最初に前回の復習とその回に理解していただき たいことをお話ししますので、注意して聞いてください。
高校の教員になる意識を明確にもち、それに向かって努力 してください。また、それにふさわしい学習と受講態度をもと めます。授業で興味をもったことは、紹介する参考書等を読 んでより深く学んでください。
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基本的には、「記述式」の試験です。文章を書くことが大学生にふさわしい能 力を作ると考えているからです。ただし、いきなり試験をするのでなく、普段から 講義中に文章を書く練習をします。
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毎回、受講票の代わりに、あるテーマに対する簡単な文章、質問、感想等を書 いて、それを3点満点で点数化します。
授業で話したことの「流れ」を理解し、それを文章として的 確に表現できること。なお丁寧な字であれば、評価する材料 となります。細かな年号・人名等が書けることは求めません。
期末試験とその他の合計が80点以上です。
不十分な点、いくつかの誤りを含んでいるが、いち おう講義で話したことの「流れ」を理解し、それを文章 として大過なく書いていること。期末試験とその他の合 計が70点以上です。
はじめに―教育史の意義と 方法
90 ①④
⑤⑩
学制と国民皆学 明治維新後の学制の発 布にともなう教育の普及 の過程を説明します。福 沢諭吉『学問のすゝめ』
の冒頭を読んで簡単な ディスカッションを行いま す。
「学制」の背景になっ ている思想と福沢諭吉 の思想との関係を理 解していること。
予習:福沢諭吉『学問 のすゝめ』の一部を配布 しておくので、読んでお くこと。
復習:講義を踏まえて、
資料を読み直す。
90 ①④
⑦⑧
⑪
教育勅語の発布―理念の 変化
明治20年代の教育が国 家主義的な傾向をもって いったことを考えます。
内村鑑三の著作と教育 勅語を読んで簡単なディ スカッションを行います。
明治初期の国民教育 の理念と明治20年代 の国民教育の理念が 異なっていることを理 解すること。
予習:「教育勅語」を 配布しておくので読 んでおくこと。
復習:講義を踏まえ、
資料を読み直す。
90 ①④
⑦⑧
⑪
中等教育・高等教育の創始 明治中期以降、初等 教育につづき中等 教育・高等教育が普 及していきます。そ の過程と問題点を説 明します。
明治期における中等 教育・高等教育と現在 の中等教育・高等教 育の違いを理解するこ と。
予習:あらかじめレジュメ を配布するので読んでお く。
復習:一つのまとまりが終 わりましたので今までの レジュメ全体を読み直 す。
90 ①④
⑧⑪
地域教育の原型―明治中 期の民権結社と青年会
教育が行われたの は、学校だけではあ りません。地域でもさ まざまなかたちで“教 育”が行われました。
その実態を見ます。
教育は、学校教育だ けではなく、地域教育 等様々な形があること を理解すること。
予習:自由民権運動 についての概要を押 さえておくこと。
復習:「五日市憲法 草案」を読み直す。
90 ①④
⑧⑪
近代日本における「青年」の 自己形成(1)
岡田の論文(「テキスト及 び参考文献」欄)を読ん で、近代の青年の自己 形成の具体像を理解す る。1 2を読み、問題点 を理解する。一部、要旨 の発表を組み込みます。
簡単な論文が理解で き、自分の意見を持つ こと。明治期の「青年」
一般のおかれた状況 を理解する。
予習:あらかじめ論文 を配布するので1 2 を読んで、要旨をまと めておく。
復習:講義を聴いて、
要旨を書き直す。
①④
⑦⑧
⑪ 教育史がどのような学問
で、教育史を学ぶことが どのような意味があるの かを説明します。なぜ教 員になりたいかという小 レポートを書いていただ きます。
教育史を学ぶ理由を 理解すること。ただし、
教員を目指す以 上、C(可)程度で満足 しては困ります。
このシラバスを読ん でおいてください。
90
近代日本における「青年」の 自己形成(2)
岡田の論文を読んで、近 代の青年の自己形成の 具体像を理解する。3 4を読み、問題点を理解 する。一部、要旨の発表 を組み込みます。
簡単な論文が理解で き、自分の意見を持つ こと。明治期の「非エ リート青年」の自己形 成の特徴を理解する。
予習:3 4を読ん で、要旨をまとめて おく。
復習:講義を聴い て、要旨を書き直 す。
90 ①④
⑦⑧
⑪
近代日本における「青年」
の自己形成(3)
岡田の論文を読んで、
近代の青年の自己形成 の具体像を理解する。5 を読み、問題点を理解 する。一部、要旨の発表 を組み込みます。
簡単な論文が理解で き、自分の意見を持つ こと。近代日本におけ る青年の自己形成と ジェンダーとのかかわ りを理解する。
予習:5を読んで、要 旨をまとめておく。
復習:講義を聴い て、要旨を書き直 す。
90 ①④
⑦⑧
⑪
明治国家と女子教育 女子教育の理念と 普及の過程を見ま す。また本学の前 身である安城女子 裁縫学校の成立の 過程を見ます。
良妻賢母教育と国家 原理との関係を理解す る。
予習:あらかじめレジュメ を配布するので読んでお く。
復習:良妻賢母教育と国 家原理との関係は理解し にくいのでこの点を確認 する。
90 ①④
⑧⑪
日露戦後の教育と地方改良 運動
日露戦後において は、地域社会の再編 が行われ、小学校は その中心として位置 づけられます。その 意味を考えます。
小学校が地域再編の 中心として位置付けら れたことの意味を理解 する。
予習:日露戦争の概 要について調べてお く。
復習:国家と教育の 関わりという観点から レジュメを読み直す。
90 ①④
⑧⑪
大正自由教育の展開 大正期に入ると大正デモ クラシーの一環としてのあ たらしい教育があらわれま した。児童の村小学校の 理念を学び、その理念に そってのカリキュラムを作 成してみます。
大正デモクラシーと教 育との関係を理解す る。
予習:大正デモクラシー について調べておく。
復習:子どもの人格を尊 重するとはどういうことな のかという観点で講義を まとめ直す。
90 ①④
⑧⑪
自由大学運動の展開 1920年代に長野県でお きた自由大学は地域で 高等教育をもとめる運動 でした。その実態を説明 し、「知的好奇心」につ いての小レポートを書い ていただきます。
学校教育以外に、「教 育」というものが存在す ることを理解する。
予習:自由大学につい ての資料を配布してお くので、読んでおく。
復習:授業中書いた小 レポートを書き直す。
90 ①④
⑦⑧
⑪
恐慌下の教育 郷土教育・生活綴り 方運動・農本主義 教育等の恐慌下の 教育について話し ます。
恐慌が教育にあたえた 影響を理解する。
予習:昭和恐慌につい て概要を調べておく。
復習:平野婦美子『女 教師の記録』の一部を 読んで、感想をまとめ る。
90 ①④
⑧⑪
戦時下の教育 1931年の満州事変 以降の教育につい て述べ、戦後教育 への展望を、見通 します。
戦争が教育、とくに初 等教育にあたえた影 響を理解する。
予習:満州事変から アジア・太平洋戦争 までの歴史を調べて おく。
復習:講義を踏まえ、
資料を読み直す。
90 ①④
⑧⑪
あなた方自身によるまとめと 復習
いくつかのポイント を指摘し、皆さんに 今までのところを復 習していただきま す。
指摘するポイントに対 する自分なりの結論を 出す。
予習:今までのレジュ メを読み直しておく。
復習:指摘するポイ ントに対する結論を 確認する。
90 ①④
⑧⑪