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日本文学作品に描かれた高齢者像の分析

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Academic year: 2023

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修士論文(要旨)

2012年7月

日本文学作品に描かれた高齢者像の分析

― 文学作品と社会の関わりを視点として―

指導 長田久雄 教授 老年学研究科

老年学専攻 210J6901

城戸 亜希子

(2)

序章 ... 1

1 高齢者が描かれた文学作品 ... 3

1節 先行研究 ... 3

2節 本研究の目的と意義 ... 4

3節 研究方法 ... 5

1 研究対象 ... 5

2 研究方法 ... 5

2 1940年代 理想と現実の高齢者像 ... 6

1節 理想の高齢者像 ... 6

1-1 婦人雑誌の役割 ... 6

12 獅子文六「おばあさん」 ... 6

13 理想の高齢者像と文学作品の教科書的役割 ... 9

2節 現実化された高齢者像 ... 10

2-1 丹羽文雄「厭がらせの年齢」 ... 10

2-2 疎外される高齢者 ... 13

3 1950年~1960年代 価値観の変化とサラリーマン社会 ... 15

1節 中高齢期の危機 ... 15

1-1 価値観の変化 ... 15

12 高齢者を取り巻く環境 ... 16

1-3 石川達三『四十八歳の抵抗』 ... 17

1-4 中年期の危機 ... 20

2節 世代間の断絶 ... 24

2-1 高齢者の受難期 ... 24

2-2 石川達三『愛の終わりの時』 ... 25

2-3 女性の生き方と時代の変化 ... 29

3節 定年退職とサラリーマン小説 ... 30

31 定年退職の問題 ... 30

3-2『停年退職』と『孤舟』 ... 32

3-3「日常的な非現実性」の原則 ... 36

4 1970年代 社会福祉時代の到来 ... 39

1節 道徳論から社会問題へ ... 39

2節 有吉佐和子『恍惚の人』 ... 39

3節『恍惚の人』が与えた社会的影響 ... 41

5 19801990年代 積極的な高齢者と美しい老い ... 44

1節 介護小説の登場 ... 44

2節 南木佳士『ダイヤモンドダスト』と吉目木晴彦『寂寥郊野』 ... 44

3節 介護社会と美しい老い ... 45

4節 佐江衆一『黄落』... 46

6 2000年以降 高齢者という年齢の枠を超えた存在へ ... 48

1節 老年期の性の解放... 48

2節 渡辺淳一『エ・アロール それがどうしたの』 ... 49

3節 青山七恵『ひとり日和』 ... 53

4節 川上弘美『センセイの鞄』 ... 55

5節 現代社会が求めているもの ... 57

終章 まとめ ... 59 参考文献

資料

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1. 本研究の目的と意義

有 吉 佐 和 子の 『 恍 惚 の人 』 は 大 ベス ト セ ラ ーと な り 、 それ ま で あ まり 知 ら れ てい な か っ た 高 齢者 の 介 護 問題 を 社 会 に問 題 提 起 し、 そ の 後 の高 齢 者 福 祉の 推 進 に 大き く貢 献 し た こ とで 知 ら れ てい る 。 こ のよ う に 文 学作 品 に は 作品 そ の も のが 芸 術 と して 高く 評 価 さ れ るだ け で は なく 、 広 く 読者 や 社 会 に影 響 を 与 える も の が ある 。 一 方 で、 文学 作 品 は 時 代と 社 会 、 読者 が 存 在 して 生 ま れ るも の で 、 その 時 代 の 社会 や 人 々 を反 映し て い る と も言 え る 。 文学 作 品 と 社会 は 互 い に影 響 を 与 え合 い な が ら、 変 化 を 遂げ てい るのである。

そ こ で 、 本研 究 で は 、高 齢 者 や 老い の 問 題 が描 か れ た 社会 性 の 高 いベ ス ト セ ラー 作 品 を 取 り 上げ 、 そ れ ぞれ の 作 品 に描 か れ た 高齢 者 像 を 文学 と 社 会 との 関 わ り を視 点と して分析し、文学作品が果たした役割や社会的機能を明らかにすることを目的とする。

文 学 作 品 は、 現 代 社 会に 内 在 す る高 齢 者 の 問題 領 域 や 今後 の 新 た な社 会 の 方 向性 、問 題解決の糸口を提供できると考える。

2. 研究対象および研究方法

1) 研 究 対 象 : 高 齢 化 問 題 や 老 い が 主 題 と な っ て い る 文 学 作 品 の 中 か ら 、 ベ ス ト セ ラ ー 作 品 を 中 心 と し て 、 特 に 社 会 的 影 響 力 が 大 き い と 考 え ら れ る 作 品 、 高 齢 者 に 関 す る 社 会 的 規 範 、 制 度 を 形 成 す る 上 で 重 要 な 役 割 を 果 た し た と 思 わ れ る 文 学 作 品 を抽出し研究対象とした。

2) 研 究 方 法 : 対 象 と し た 作 品 を 同 時 代 の 言 説 と 比 較 し な が ら 文 学 と 社 会 と の 関 わ り と い う 視 点 で 分 析 し 、 文 学 作 品 が 社 会 に お い て 果 た す 機 能 と 役 割 に つ い て 考 察 し た。

3. 結果 まとめ 1) 1940 年代

家 庭 小 説 は 、 戦 時 体 制 下 に お け る 国 策 小 説 に 姿 を 変 え 、 女 性 た ち を 戦 争 協 力 へ と 導 き 、 高 齢 者 を 理 想 の 人 物 像 に 仕 立 て 上 げ 、 高 齢 者 を 中 心 に 家 を 守 る こ と を 潜 在 的 に 意 識 づ け す る 教 科 書 的 役 割 を 果 た し た 。 敗 戦 に よ る 貧 困 は 小 説 の な か で 、 高 齢者を理想の人物から無用な化け物へと変化させた。

2) 1950 年代~1960 年代

寿 命 が 急 速 に 延 び 、 価 値 観 が 大 き く 変 化 し た 。 文 学 作 品 は 、 時 代 の 波 に 退 行 す る

「 老 い 」 の 訪 れ に 戸 惑 う 人 々 の 抵 抗 を 浮 き 彫 り に し 、 社 会 や 人 々 の 潜 在 的 な 願 望 である「自由」や「逃避」を文学の中で実現可能とした。

3) 1970 年代

『恍惚の人』は介護を中心とした高齢者の問題を大きな社会問題として浮上させ、

そ の 後 の 高 齢 者 福 祉 の 推 進 に 大 き く 貢 献 し た 。 若 い 世 代 に は 老 残 の 恐 怖 を 植 え 付 け、高齢者は社会的弱者として位置付けられた。

4) 1980 年代~1990 年代

介 護 社 会 と 介 護 文 学 は そ れ ま で の 「 い か に 生 き る か 」 と い う 考 え か ら 「 い か に 老 いるか」という問題を人々に投げかけ、「美しく老いたい」という人々や社会の願

1

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望を浮上させた。

5) 2000 年以降

高 齢 者 に は 不 要 、 無 縁 と 考 え さ せ ら れ て き た 「 性 」 や 「 恋 愛 」 へ の 欲 望 が 文 学 に よって解放され、高齢者を取り巻く環境や社会の大きな変化を文学作品が示した。

本 研 究 を 通し て 、 文 学作 品 は 、 社会 や 人 々 の思 考 や 行 動を 変 え る 原動 力 と な り得 る こ と 、 そ して 、 文 学 は時 代 を 越 えて 常 に 「 いか に 生 き るか 」 と い うこ と を 問 題提 起し てきたことが明らかになった。「老い」は「生」の延長上にある。急速に高齢化が進む 日本において、今後ますます「生」と「老い」は深刻な問題になると考えられる。様々 な 社 会 的 機能 を 果 た しな が ら 、 文学 作 品 は 、人 と 人 、 人と 社 会 と を結 び つ け る架 け橋 となり、今後も深く社会と関わり続けると考える。

本 研 究 は 文学 作 品 と 社会 と の 関 わり に つ い て、 大 局 的 な流 れ を つ かむ も の に 留ま っ た が 、 相 互の 影 響 等 、実 証 的 な 研究 方 法 の 確立 と 、 よ り詳 細 な 分 析、 海 外 文 学と の比 較等が今後の課題と考える。

以上

2

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文献

1) 朝日新聞 9.15 朝刊 社説 .(1972).

2) 樋口恵子 :老化とはなにか 文学にみる老人像 .老人問題 ,7(4): 47-50 (1982).

3) 朝日新聞 11.4 夕刊 ぽっくりさん . (1972).

4) 内閣府:高齢社会白書 .平成 23 年版.

http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2011/zenbun/pdf/1s1s_1.pdf 5) 袖井孝子 : 老年文学と老人の生活 . 群像, 45(10):278- 282,(1990).

6) 水田宗子 : 老いをめぐるブックガイド . 小説 tripper, 春季 (3):65-72(1998).

7) 斎藤美奈子:物語に読む「おばあさん」 . 小説 tripper, 春季(3):4-11(1998).

8) 上 野 千 鶴 子 : 上 野 千 鶴 子 が 文 学 を 社 会 学 す る . 65- 113,284- 285, 朝 日 新 聞 社 ,東 京

( 2000) .

9) 至文堂編 国文学 解釈と鑑賞 . 54(4) (1989).

10) 大鹿貴子 : 老いと文学 . 昭和文学研究 , 58(03):73- 77(2009).

11) 黒井千次:性の世界 謎の奥行き . 新潮, 93(4): 190-196(1996).

12) 赤尾利弘:『楢山節考』<深沢七郎> . 国文学解釈と鑑賞 ,54( 4): 69- 73 (1989).

13) 中島賢介:『楢山節考』と『蕨野行』に関する比較考察 . 北陸学院短期大学紀要 , 33:

29- 37(2002).

14) 水野裕美子:日本文学と老い . 新典社 , 東京( 1991) .

15) 加藤美枝他共著:煌きのサンセット 文学に「老い」を読む . 中央法規出版株式会社 , 東京( 1993) .

16) 米 村 み ゆ き ・ 佐 々 木 亜 紀 子 : < 介 護 小 説 > の 風 景 - 高 齢 社 会 と 文 学 . 森 話 社 , 東 京

( 2008).

17) 倉田容子:語る老女 語られる老女 -日本近現代文学にみる女の老い- . 學藝書林 , 東京( 2010).

18) 天野正子:老いへのまなざし:日本近代は何を見失ったか .17,平凡社 ,東京(2006).

19) 長 井苑 子・泉 孝英 :生き つづ けると いう こと- 文学 にみる 病い と老い - . メデ ィ カ ル レビュー社 , 東京(2004).

20) 四方由美:戦時下における性役割キャンペーンの変遷 -主婦之友の内容分析を中心に -.

マス・コミュニケーション研究 , 47:111- 126(1995).

21) 黒井千次:家族という主題 . 新潮 , 100( 1): 232- 240(2003).

22) 見 田宗 介:ベ スト セラー の戦 後史― 社会 心理史 の時 期区分 .新 版 現 代日 本の 精 神 構 造 .72-85, 弘文堂 ,東京( 1986) .

23) 山本武利:近代日本の新聞読者層 . 法政大学出版局 ,東京(1981).

24) 中田雅敏:四十八歳の抵抗.国文學解釈と鑑賞 70(4) ,123-127(2005).

25) 前田愛:大正後期通俗小説の展開(下)-婦人雑誌の読者層-.文學 36(7),62-76(1968) 26) 袖井孝子:社会老年学の理論と定年退職,社会老年学 (1),19-36(1975)

27) 見 田宗 介:ス クラ ップの 幸福 と悲惨 ―< 停年退 職> とサラ リー マン. 新版 現 代 日 本 の精神構造,弘文堂, 100- 113,東京( 1986).

28) 助川徳是:恍惚の人.国文学解釈と鑑賞 ,54(4): 118-122(1989).

Referensi

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