The Japanese Association of Management Accounting
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The Japanese Assooiation of Management Aooounting
冂 本 管 理会副』学会 誌
管理会liド1÷2000 年 舜 8巻 第1・2 合併 号
総 合 報告
業 績 指 標 と 株 価
一
キ
ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー,
EVATM
,お よ び Ohlson
モデ
ル ー ※八
重 倉 孝
*〈論 文 要 旨〉
近 来, 企 業の業 績 評 価の メ ル クマ ール とし て株主利 益の最 大 化が注 月さ れて い る.本 稿で は , 配当 割 引モ デ ル を基礎 とする
3
種の企 業 評 価モ デ ル (キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー割 引モ デ ル ,
EVA
モ デ ル,Ohlson
モ デ ル )を取 り上 げ,それぞれの モ デ ル に基づ く業 績 評 価 指 標 (キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー,EVA
,残 余 利 益 )の い ずれ か が株主価 値 最 大 化に最 も貢 献し得る か を検討し た。本 稿で は,会 計 利 益 と 比較 し た場 合の キ ャ ッシュ ・フロ ー 情 報の 有 用 性を批 判 的に検 討し,その 限 界を明ら か にした .その 上 で ,会 計 利 益ベ ース の 業 績 指 標が 「株主 重視 」経 営によ り適合 的で あ るこ とを示 す.
本 稿の結 論は,次の 二点に要 約さ れる.
(1)キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー
割引モ デ ル の企業 評価 モ デル と して の実用 性 ・キャ ッ シュ ・フ
ロ ーの 業 績 評 価 指 標と して の 実用性 はそれ ぞ れ会 計 利 益ベ ース の 企業 評 価モ デル ・業 績 評 価 指 標に比 し て 低い .
(2 )残 余 利益が 理論 的に株主利 益 最 大 化に最も直 結 する業 績 評 価 指 標で あ る が ,運 用 に か か るコ ス ト ・ベ ネフ ィ ッ トを勘案す る とEVA も業績指 標と して有用 た りう る.
〈 キ ーワー ド〉
企業 評 価,業 績 評価,EVA ,残 余 利 益,キ ャ ッシこい フロ ー,
Ohlson
モ デ ル1999 年 8 )]受 付’
1999 年 9 弓’受∫里
’EVA
はStem Stewart 社の 昏録商 慓である.
’丁
国「祭ノ丶与:ノ丶弓≒1:完 ]」F崇経’営 ヴ・百汗究 科・1冓 自巾
157
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管 理会 計学2000 年 第8巻第1・2 含 併 号
1
. は じめ に近 来,企業の 業績 評価の メル クマ ール と して株主利益の最 大化が注 目さ れ て い る.本 稿で は, 配 当 割 引 モ デ ル を 基 礎 とす る
3
種の 企 業 評 価 モ デ ルCl) (キ ャ ッ シ ュ ・フロ ー割 引モ デ ル,
EVA
モ デ ル ,
Ohlson
モ デ ル) を取 り上 げ ,それ ぞ れ の モ デ ル に基づ く業 績評価 指 標 (キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー,
EVA
,残 余利益)の い ず れ か が株主価 値最 大 化に最 も貢 献し得る か を検討する. 最 近の 我が 国 にお ける会計 ・経営 ・財務 各界にお い て , キ ャ ッ シュ ・フm 一重 視が 叫ばれ てい るの は周 知の事 実で ある. 本 稿で は, 会 甜利 益と比 較した場 合の キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー情 報の 有 用性 を批 判的に検討し, そ の限界を 明 ら か にす る .その 上で, 会計利益ベ ース の 業 績 指 標 が
「株 主 重視」経 営 に よ り適 合 的で ある こ とを 示 す. 本 稿の 結論は, 次の 二 点に要約 され る.
(
1
)キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー割 引モ デ ル の 企業 評価モ デ ル とし て の 実用 性 ・キ ャ ッ シュ ・フロ ーの 業 績 評 価 指 標 と して の 実 用 性 はそ れ ぞれ 会 計 利 益ベ ース の企 業 評 価 モ デ ル ・業績評価 指 標 に比し て低い .
(
2
)残 余利 益が 理論的に株主利益最 大化に最も直結 する業 績評価指 標である が , 運用に かか るコ ス ト ・ベ ネフ ィ ッ トを勘案する とEVA も業績 指標 とし て有用 た りうる.
本 稿の 構成は次の 通 りで ある. まず第
2
章で は各種の 企業評価モ デル に つ い て概 観する.第3
章で は各モデ ル 間の 異 同に つ い て主 に企業 評 価の 観 点か ら考察 する .第4
章で は 企 業評 価モデ ル の 業績 評 価へ の応用に つ い て , 先行研 究の 結 果を踏 ま えて検討 する .第5 章はまと めで あ る .
2
.企 業評 価
モ デル2
.1
配 当割 引モデ ル配当割引モ デル は全 ての企業評価モ デル の基礎とな るモ デル であり,下記の 通 り表さ れ る.
oa
P
。一Σ
ρ一rE
[
d
.]T=1
こ こ で,
Po
=企業の (株主) 価 値 , ρ=1
+ 自 己資本コ ス ト,
E
[・]= ・の期 待値を表 すパ ラ メ ータ ー,
dr
= τ期の配 当,を表す.(
1
)式 (1)は, 企 業の価 値が 「将 来の 配 当の 期 待 値の現在価値の 総 和」 に よっ て 決定 さ れ る こ
と を表 してい る.こ こで 企業の 価値が 過 去 ま た は現 在の 配当に全 く依存 しない こ とに注 目 さ れ た い .配 当割引モ デ ル に よっ て企業価値 を算出する た め に は配当の予 測 が 不 可 欠で あ るが,配 当 予測の 困難 さ が 配当 割引モ デル の実用 性の 低さ を も た ら し てい る. し か しなが ら, 配当割 引
モ デ ルが 全て の企 業 評 価モ デ ル の 基 礎 で ある こと は異論 を 待 た ない であろ う.次 節以 下の 企業
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業績 指 標と株価 キャ ッ シコ.・フ ロ ー..,EVATM ,およびOhlson モ デ ル ー
評価モ デル は (一定a)条件下で)配当割 引モ デ ル と 同値である こ とをその 理 論 的 基 礎と し てい る.
ま た,一般に業績 評 価の 指 標 として の 配 当の 有 用 性 は極 めて 低い .特に我 が 国の ように配 当 が 実 質 的に定 額 となっ て い る状況で は, 配 当の 業 績 指 標 と して の価値は ほ とん どゼ ロ に近い .
さ ら に ,部 門業 績の 評 価に際し て配当が全 く意味 を持た な い こ と は明 らか で ある .これ らの理 由に よ り,本稿に おい て は,管理 会計の 文脈では 配当割引モ デ ル を検討の対象としない .
2
.2
キ ャ ッ シュ ・ フロ ー割 引モデルキ ャ ッ シ ュ ・フ u 一割引モ デ ル は フ ァ イナ ン スでの い わ ば 「定 番」の 企業評価モ デ ル で ある .
こ の モ デ ル は次の よ うに表さ れ る.
P
。=・Σ [
ρ調 [CF
广 α ・]]
−TL
。τ=1 (
2
)た だ し、 ρw =
1
+WACC
(加 重平均 資 本 コ ス ト)、CF
−=営 業キ ャ ッ シュ CI =投 資 キ ャ ッ シュTL =負債総 額, その他 の記 号は前 出.
・フ ロ ー
,
・フ ロ ー
,
営業 キャ ッ シ ュ ・フ ロ ーと投 資キャ ッ シ ュ ・フロ ーの 差額がフ リー ・キ ャッ シ ュ ・フロ ーで ある.フ リー ・キ ャ ッ シ ュ ・フロ ーは負 債の 出 し手 (債 権者 )と自己資本の 出し手 (株 宅)に 帰 属す る キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ーで あ り,従 っ て式 (
2
)は,企 業の 価値は 「将 来の フ リー ・キ ャッ シュ ・フ ロ ーの期待値の 現在価 値の 総 和 」 か ら負債 総額 を差 し引い た もの に等しい こと を示 し てい る.
一
般に 「フ リー ・キ ャ ッ シ ュ ・フロ ーの増 大 が 株 主 価 値の 増 大 を も た らす」 と言 わ れる こ と が多い が, 厳密に は 「加 重 平均 資本 コ ス トが 一定で ある」と い う (か な り 強い )仮 定の 下で の
み , フ リー ・キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ーの
増 大 が 常 に株 主 価 値 を 増 大 さ せる こ と に なる こ とに注 意 が 払わ れ てい な い こ とが 多い . 資 本構成の 変 化に よ る加重 平均 資 本コ ス トの 上昇 に よっ て,ブ リ ー ・キ ャ ッ シュ ・フロ ーの増 大 が 必 ず し も株 主 価値の増 大につ な が ら ない 可能 性がある こ とに 注意が 必 要 である.
2
.3
EVA
モデルEVA は
Stern
Stewart
社 が 提 唱 す る業績評 価 指標で ある.EVA
はNOPAT
(税 引後 営業 利益) か ら 資 本コ ス ト を 減 じ た もの と定 義 され る.EVA
を 用い た 企 業 評 価モ デル は 次 の通 り表 さ れる(Stewart 1991 )〔2).
oo
P
。−TA
。+Σ [
、・コi.・E
[IV
・OPAT
・一(,・、、−1
)TA
.一,]]
−TL
。…(
3
)τ=1
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管 理 会諄[学2000 舟 弟8 讐第1・2 合 併 号
こ こ で,
TA
= 資 産総額 (= 負 債総 額+ 自己資 本総 額)NOPAT
= 税 引後 営業 利益 その他 の記 号は前 出.(
3
)式で ,期 待値を表すパ ラ メ ータE
[]に 囲 まれ た部 分がEVA
で ある.フ リー ・キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー
同様 に
EVA
も負 債の 出 し手 (債 権 者) と自己資 本の 出 し 手 (株主 )に帰 属 す る「利益 」で ある の で, 株主価 値 算出の た めに右 辺 第
3
項で負 債 総 額 を差 し引い て い る.こ こ で も, フ リー ・キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ーの 場 合 と同 様 に, 資本 構成 と加重 平均 資 本コ ス ト次 第で は
EVA
の 増大が必 ずし も株主価 値の 増大 につ なが らない 可 能 性が あ る こ と を指摘 して お きたい .2
.4 0hlson
モデル( 残 余利
益 モデル)
Ohlson
モ デ ル(4)は, 会計数 値に よ る企 業 評 価 モ デ ル と して近年学 界 ・実務界 の 双方か ら脚光 を 浴び てい る .このモ デル は, 企業価 値を (1 >純 資産 簿価 , と (2
) 将 来の 残余 利益の 現 在 価 値の 総 和,の 和 と して表す.
P
。 −BVe
+Σ [
ρ一’E
[NJ
。一(ρ一
1
)BV
.一、]]
(・・τ=・1
(
4
)こ こ で ,
BV
;純 資産簿価NI
==税 引後 当期 利益 その 他の記 号は前 出 .(4 ) 式中, 期 待値を表すパ ラメ ータ
E
[]に 囲 まれ た部分 が残余利益 で ある .(3
)式 と (4
)式の相違点 は,負債に か か る借入 金利 息の 取 り扱い に ある . (
4
) 式で は 税引 後利益 を用 い るた め ,借入 金利息はすで に織 り込み 済み である.従 っ て残余利益 は 全て株主 に帰属 する こ と にな る . 一方, (3
)式 で は, 税 引 後 営 業 利 益 を 用い る た め, そこか ら借 入 金 利息を (加 重 平 均資本コ ス トの形で )差 し引 い て 株主に とっ て の 企 業価 値を求め る必要がある.また,資 本コ ス トの 算出ベ ースが
, (4 ) 式で は 純資産 (= 自己資本 )で ある の に 対 して , (3)式 では総資産 (一 他
人資本+ 自己資 本) とな る.
残 余利 益 は 株 主の み に帰属 す る利益 (利息費用はすで に控 除 され て い る)で ある か ら, 残 余 利益の増 加 は株 主の富を増加さ せ る. 従っ て , 「株主 利益 最 大 化」の 目的に は, 第 2 章で概 観 した 四 種の 業 績 指 標の う ち 残 余 利益が 最 も妥当 な 業績 指 標で ある こ と が 容易に推察で きる .以 下 , 第 3 章と第 4 章で こ の予 想を 支持する先行研究の 結 果を示す .
3
. 企 業評
価モ デル の 比較
3
.1
企 業 評価
モデル の評価
パ フ ォ ーマ ンス本 節で は, 第2 章で取 り上 げた う ち,
EVA
を除 く3
種の 企 業評価モ デ ル の企業評価 に お ける 有用性 を比較検 討す る.こ こで, (1 )〜(4 )式 に お ける総和 記号 (Σ)の と る期 間 が 無 限 大であThe Japanese Association of Management Accounting
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業績 指 標と株価 一キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー,EVATM ,お よ びOhlson モ デ ル .
る こ と に注意 さ れ た い . 第 2 章 で そ れ ぞ れ の 評 価 モ デ ル は 配当割引モ デ ル と同 値で ある と述べ た が , こ れ は一定の 前提 の下で の み 正確な表現で ある.特 に, 期 間 無 限 大 を前提 と してい る こ
とが,現実の ア プ リ ケーシ ョ ンに おい て 各モ デ ル間の 同値 性を損 ない うる結果 を もた らす .16)
い い か えれ ば, 期 間 が 有 限の場 合, 各評 価 モ デ ル に よ る企 業 評 価 の 結 果は一般に異 なる た め, 各モ デ ル間の 評価パ フ ォーマ ン ス に優 劣が存 在する.こ の こ と を米国の データ を使 っ て 実 証 し た のが
Penman
andSougiannis
(1998 )で ある .彼 らは, 過 去の データ (実績値 )を (1
),(
2
), (4
) 式に当て は め , どの企 業.評価モ デル が 実際の株価 に最 も近い 結果 を与え る か を調べ た.その結 果の 要約が表
1
で ある.表1 :評 価モ デル毎の評 価 誤 差
T =2 T =6 T =10
DDM 0。845 0 .478 0.069
DCFM 1.868 1.670 1.450
RIM 0.176 0.
038
一〇ユ20注) Penman and Sougiannis(1998)Table 1より抜 粋. Tは丁年 度 分のデータを使 用したことを表 す.
DDM
:配 当 割 引モデルDCFM :フリー・キャッシュ ・フ ロー割 引モ デル RIM :Ohlsonモ デル (残 余 利益モ デ ル)
評 価誤差一(実 際の株 価一モデル による評 価 結 果 )
f
(実 際の株 価 )表
1
か ら わ か るように,Ohlson
モ デル によ れ は 約6
年分の データ に よ り評価誤差 が ほ ぼ0
に な っ た の に 対し,配 当 割 引モ デ ル で は約10
年か か っ た. ま た ,フ リー ・キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー 割 引モ デル で は10
年 分の デ ータ で も評価誤差が 1 を 越 えた (=モ デル に よ る評 価結果が 負で あっ た〉. ま た, 表 は省 略 し た が, 実 務で よ く用 い ら れ る よう な 終 末 価 値 (
Terminal
Value
)の 推 定値を追 加 した場合で もフ リー ・キ ャ ッ シ ュ ・フロ ー割引モデ ル の評価誤差 は他の モ デル に 比 し て極め て大きか っ たこ とが 明ら か に さ れ た、 彼 らの 発 見は フ リー ・キ ャ ッ シュ ・フ ロ ーの(有限 期 間にお ける)企 業 評 価 ツ ール と しての 問 題 点 を 明 ら かに し た もの である.の
こ れ は,フ ァ イ ナ ン スの 世界で 「定 番」で ある フ リー ・キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー割 引モ デ ル の実 務に お ける 有 用性に対 して 疑念を抱か せ る結 果で あ り, 昨今見 受けら れる キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー 偏重の動 きに警鐘 を鳴ら して い る〔8)・{9).
3
。2
会 計 利 益 とキャ ッ シュ ・フ ロ ー(フ リー ・)キ ャ ッ シュ ・フロ ーを業績 指 標とし て 用い る にあたっ て は,も う一つ 重大な難 点が存 在する.それは キャ ッ シ ュ ・フ ロ ーの (会 計利益に比 して の )散 ら ば りが大 きい ことで ある. こ の こ と は , 会計利益が キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ーを
期 間 配 分 した もの で ある こ とを考え れば
161
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管理会 言1学2000 年 第8巻 第1・2 合 併 号
容 易に理 解 で きよ う.なぜ な ら, キャ ッ シュ フ ロ ーの 「凸 凹 」 を 均 す もの が 会 計 にお ける経 過 計 算に他な ら ない か らで ある .
Fellingham
et aL (1995
)は , モ デル 分 析 ・実 証 分析 ・シ ミ ュ レーショ ン の 三 種 類 の手 法 を 用 い て (
1
)図 1 か ら観 察 さ れ る ように, 時 系 列に お ける会 計利 益 の 散ら ば りは キ ャ ッ シュ ・フ ロ ーの 時系列 に お け る 散 らば りよ り も小 さい, (
2
)会計利 益の散 ら ば り は経済的利益の それ よ り小 さ く, か つ 会計 利益の期 待 値 は経 済 的 利益の 期 待 値 に等 しい , の 二点 を示 した.特 に, (2
)が 簿価 と時価 が 大 き く異 な る場合 に も 成 立 する事が示 さ れ たの は,フ ロ ー指標 と しての 会計利益の 有 用 性が 高い こ と を意味 して い る.彼 らの結 論 は, 会 計 利益が 株 主の 富の 増 減
(経 済的 利益 に他 な らない )を 示す 有 力な指 標で ある こ と を 示唆してい る.
1400 1200 1000 800 600 400 200 0 一200
韈 灘 1 離 谿 1 難 蟻 :難 : … 羅 : 1
織 瓢 羅 轟 … 灘 驚
,: 醜 蠶
謬 羅畿 誰 織 轟 … 羅 懈 轤 撫 … 撫 讒 飜 鯉 量 1 : 難
懸 盤 … 1 : 蜜 窟 灘 ll 鞣 瓢 鞴 雛 1
鷺 騰 欝 1 猷 1 羈 羅 難 鰐 … 藷 鑵 嶷 灘 警嵩 1 … 1 ;
・1 腿 ・輪 : 韃 鞴 : 灘
雛 藤 … 籔 麟
、齢 離 孅 驫鰄
+ 経 営 利益
…・纓・… 営 業
CF
注) Fellingham et al .(1995)FigUre 1.よ り抜 粋 図
1K
・Mart
社の経 常利 益 と 営 業 キャ ッ シュ ・フ ローまた,
Dechow
et al. (1998 )は,将 来の (会計 利益で はな く)キ ャ ッ シュ ・フ ロ ーの予 測 を行 うにあ た っ て , 当 期の キ ャ ッ シュ ・フ U 一よ り も当期の 会 計 利 益 の方 が よ り良い 予測値で あるこ と をモ デル 分 析 と実 証 分 析 の双 方 か ら 示 し た.こ の 事 実は ,将 来の キ ャ ッ シュ ・フ ロ ー を 企 業 価値の 源泉 と考える とし て も,当期の会計 利 益の 方が 当期の キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ーよ り も企 業価値を よ り正確 に反映してい る事 を示 して い る.
そ れぞ れの 研 究は , 会 計利益ベ ース の 業績 指標 と キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ーベ ース の
業 績 指 標 を比 較 し た場合, 前 者の 数値の方が よ り安定してお り, か つ (お そ ら く理 想の 業 績指標で あ る)経 済的利益に近 似 してい る事 を示し たもの である .前 者が 後者よ り も 業 績 評 価 指 標 と して の ぞ ま
しい性 質を備えて い るこ と に なる .
前 節 と当 節で 示 し た 二 点は (フ リー ・) キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ーを 業 績 評 価 に用い る こ とに
つ い て 問 題 が多い こ と を 明確 に示 し てい る(1°〉. 会 計 利 益ベ ース の
業績 指 標 の 方 が キ ヤ ッ シ