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減災情報通信システムの持続的運用方式の検討

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Academic year: 2024

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総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成25年度)

テーマ4 小課題番号4.1

減災情報通信システムの持続的運用方式の検討

キーワード アドホックネットワーク,FWA 水野 修 淺谷 耕一

無線LAN シミュレーション 中里 秀則**

1.はじめに

都市部における災害 発生時 において,被災者や自 治体など情報が必要なユー ザに対して減災情報を流 通することが重要である. 本テーマでは,携帯電話 網など既存の通信インフラ に依らない減災情報通信 システム構築法を確立することを目的としている.

まず,これまでの検討状況 について 簡単に述べる.

2011 年 度 は , 基 本 検 討 と し て 新 宿 ~ 八 王 子 間 の 4.9GHz 帯および 2.4GHz 帯 の電波伝送特性など明ら かにした.これに基づき,2012 年度は減災情報ネッ トワークを設計・構築した .具体的構成については 2.で述べる.2013 年度は ,減災情報ネットワーク の特性を評価するとともに,テーマ 4.2 で検討して いる独立型太陽光発電シス テムから電源供給を受け ることにより,停電下でも 72 時間の連続運転が可能 であることを確認した.また,テーマ 5.3 で検討し ているリアルタイム広域情 報共有システムを接続し,

防災訓練を通じて運用上の課題を明らかにした.

今年度は,昨年度ま での検 討を踏まえ, 持続的な 通信を可能とする運用方式 について検討したので報 告する.

2.減災情報ネットワークの課題

図 1 に減災情報ネットワークを示す.これは,情 報収集配信システム,長距離無線 LAN システム,区 域間通信システムから構成される.

(1)情報収集配信システム

情報収集配信システムは, 各避難所や警察署や病 院などの公共施設や被災地 域内にあるビルにアドホ ックに AP(Access Point)を設置し,4.9GHz 無線 LAN 回線により,災害対策 本部~避難所や駅,病院 等の重要拠点との通信路を確保する.

(2) 長距離無線 LAN システム

災害対策本部が被災地域外 と減災情報をやり取り するために,比較的被災が 少ないと予想される多摩 地区に用意するバックアップ拠点を 4.9GHz 帯の無

図 1 減災情報ネットワークの概略 線 LAN 回線を用いて結ぶシステムである.

(3) 区域間通信システム

区域間通信システムは,災 害対策本 部が被災地域 にある避難所,自治体,企 業,団体や学校などの公 共施設間と減災情報をやり取りするために, 5.6GHz 帯無線 LAN 回線を用いて拠点ビル間を通信すること で減災情報を伝達するネッ トワークである.これに より,近隣地域における情 報収集や情報伝達を実現 する.

昨年までの検討で以下の課題が明らかになった.

(課題1)継続的な伝送品質の確保

リアルタイム広域情報共有システムや Web カメラ を用いた情報伝送を行うこ とを想定すると,ネット ワークのスループットは少なくとも 2Mbps 必要であ る.しかし,情報収集配信 システ ムでは,災害対策 本部と重要拠点間を1ホッ プで結ぶアドホックネッ トワークでは,目標である 2Mbps のスループットが 得られないことが実験で明 らかになっており ,中継 局を介するマルチホップ伝 送を構成する必要がある.

また,長距離無線 LAN システムにおいては,不定期 にスループットが低下する 現象が観察されている.

そのため,継続的に安定し た伝送品質を確保する方 策が必要である.

(課題2)継続的な運用方法の検討

* :工学院大学工学部情報通信工学学科,

**:早稲田大学大学院国際情報通信学研究所

(2)

総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成25 年度)

テーマ4 小課題番号4.1

防災訓練における演習を通 じて,システムの立ち 上げや運用状況の把握を容 易に行えるようにする必 要性が指摘されている.

これらのうち,本年度は( 課題1)の情報収集配 信システムの品質の確保を中心に検討を行った.

3.情報収集配信システムの品質の確保 3.1 シミュレーションによ る中継局の評価

2.で述べたように,情報 収集配信システムでマ ルチホップ伝送を実現する.マルチホップ伝送では,

複数の重要拠点に対し,最 も効果がある位置に中継 局 を 設 置 す る こ と が 望 ま し い . 将 来 的 な 拠 点 の 移 動・増設や周囲の環境変化 に対応するために,計算 機シミュレーションにより 中継局 の位置を決定する 方法を検討する.

シミュ レーシ ョン に用い た ノード 配置 モ デル を図 2に示す.図中①~④が中継局の候補である.

シミュレーションのパラメータとして,固定局(防 災拠点)~中継局~移動局 (重要拠点)の距離, ア ンテナの高さおよび利得, 送信電力, 遮蔽物減衰値 が必要である.これらのう ち,距離およびアンテナ 高は地図から,アンテナ利 得と送信電力は機器のカ タログから求めた.

遮蔽物減衰値は,自由電界強度と奥村-秦カーブを 用いて算出する1).奥村-秦 カーブは基地局と移動局 との間の電波伝搬特性を中 小都市や大都市等の各エ リアで実際に試験を行い, その集計データをもとに 伝搬特性近似式としたものである.

シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で 用 い た パ ラ メ ー タ を 表 1~3 に示す.表中の平地/高所は 固定局を工学院大学新宿 校舎1階と 22階に設置した場合を示している.

中継局 移動局 ビル

実際の西新宿の地図 ノード配置

100m

工学院 公園

警察署 病院

公園

病院 警察署

工学院

移動局・固定局 中継局①~④

図 2 ノード配置モデル

表1 アンテナ高,距離,利得,送信電力 端末 周波数帯(GHz) アンテナ高(m) マスター端末との各距離(m) アンテナ利得(dBi) 送信電力(dBm)

工学院 220.0

警察署 200.0

病院 100.0

公園 260.0

マスター 0.0 6

工学院 220.0 330.0

警察署 2.0 200.0

病院 2.0 100.0

公園 2.0 260.0

マスター 2.0 0.0 6

平地

4.9

2.0 18

12

高所 18

表 2 遮蔽物減衰値

平地 自由空間電界強度(dBm) 奥村‐秦カーブ(dBm) 遮蔽物減衰値(dBm)

工学院大学〜中継局 -44.1 -83.6 -39.6

中継局〜警察署 -40.8 -76.5 -35.7

中継局〜病院 -43.2 -81.9 -38.6

中継局〜公園 -46.8 -89.4 -42.6

高所 自由空間電界強度(dBm) 奥村‐秦カーブ(dBm) 遮蔽物減衰値(dBm)

工学院大学〜中継局 -45.2 -65.7 -20.5

中継局〜警察署 -40.8 -76.5 -35.7

中継局〜病院 -43.2 -81.9 -38.6

中継局〜公園 -46.8 -89.4 -42.6

表 3 シミュレーション環境 値 54[Mbps]

1000[s]

マスター端末 1[個]

スレーブ端末 4[個]

512[byte]

TCP 4.9[GHz]

10[回]

周波数帯 項目 伝送速度

範囲 ノード数

パケットサイズ 伝送方法 シミュレーション回数 3.2 実験による中継局の評 価

3.1 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 結 果 と 実 際 の 伝 搬 品 質 との対比を行うために,西 新宿地区で実測実験を行 った.実験構成を図3に,使用機器を表4に示す.

各重要拠点(移動局側)

中継局設置地点(中継局側)

:中継局・移動局

:パソコン

:バッテリー

指向性アンテナ 指向性アンテナ

無指向性アンテナ

工学院大学新宿校舎 (固定局側)

図 6 実験構成

(3)

総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成25 年度)

テーマ4 小課題番号4.1

表 3 実験機器

中継局側機材

機材 メーカー 型番

無線LAN装置固定局(4.9GHz) JRC日本無線 JRL-749AP2 無指向性アンテナ(利得6dBi) JRC日本無線 NZA-657

同軸ケーブル JRC日本無線 7ZCWN0005

バッテリー 日本トラストテクノロジー XP‐8000

パソコン Hewlett-Packard HP-PC 4230

機材 メーカー 型番

無線LAN装置陸上移動局(4.9GHz) JRC日本無線 JRL-749ST2 指向性アンテナ(利得18dBi) JRC日本無線 NZA-646

同軸ケーブル JRC日本無線 7ZCWN0005

バッテリー 日本トラストテクノロジー XP‐8000

パソコン Hewlett-Packard HP-PC 4230 固定局,移動局側機材

測定は ,無線 機に 内蔵さ れ る診断 ツール を利 用し てスループットを計測する .工学院大学〜中継局,

中継局〜各重要拠点に 1MByte のパケットを 5秒間 送出し,5 回分の,スルー プットの平均値と標準偏 差を算出する.

3.3 シミュレーションと測 定の結果

3.1 のシミュレーションと 3.2 の測定の結果を図 7

~10 に示す.なお,それぞれのデータは固定局を低 所に置いたケースである.

目標とするスループットを 2Mbps とすると,中継 地候補①と③がすべての地 点で上回っている.シミ ュレーションと測定結果に 値の違いは見られるが,

シミュレーションが実測値 を下回っており,シミュ レーション結果に基づき中 継局を設置しても,期待 できる値は得られることが明らかになった.

いくつか地点では,シミュ レーションと測定結果 に1Mbps 以上の差があることが確認された.この原 因としては,以下の 2 点が考えられる.

(1)無線機の出力電力が,パ ケット損出に呼応して 変動する仕様となっている ことを確認している.し かし,この仕様はシミュレ ーションに反映されてい ないため,差がでたものと考えられる.

(2)中 継 局 と 移 動 局 間 の 見 通 し が と れ て い る と こ ろが実測値のスループット が高くなる傾向がみられ る.例えば,東京医科歯科 病院と中継地は表1にし 示すように,他の拠点との 距離の半分ほどである.

また新宿中央公園寄りに中 継局を設置する③や新宿 警察署寄りに設置する④で はそれぞれの測定スルー プットが高くなっている. これは,見通しが得られ る範囲では,伝搬状況が良 好であり,シミュレーシ ョンで予測されるよりも減衰が小さい可能がある.

なお,図10で新宿中央公園 のデータが0であるが,

これはシミュレーションでもスループットが極めて

図 7 中継地候補①のシミュレーションと測定結果

図 8 中継地候補②のシミュレーションと測定結果

図 9 中継地候補③のシミュレーションと測定結果

図 10 中継地候補④のシミュレーションと測定結果

小さく,また実測でも通信ができなかったことを 示している.

(4)

総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成25 年度)

テーマ4 小課題番号4.1

4.長距離無線LANシステ ムの品質の確保 昨年度の検討で,長距離無線LANシステムのスル ー プ ッ ト 低 下 に 対 し , も う 1 回 線 別 の 長 距 離 無 線 LANを用いて ,アプリケー ション種別に応じて複数 の無線回線を割り当てることを提案した.

しかし,この方式では,各回 線に 余剰帯域が発生し,

帯域を効率的に利用できていない問題がある.

そこで,

・両回線の品質が良好であるときには,リンクア グ リ ゲ ー シ ョ ン に よ り ト ラ ヒ ッ ク を 分 割 し て 伝 送する.

・一方の回線の品質が劣化したときには,片方の 回線だけ用いる.

方式を検討した.

このような処理を実現するために,無線機につな がる通信機器の改造を避けるために,OpenFlow技術 2)を活用して実装を行って いる.

図 11 OpemFlow を用いた回線利用方式

5.継続的な運用方法の検討

継続的 な運用 のた めに, ど のよう な手順 で設 定す るか,不具合が発生したと きの対処方法な どは.現 状ではネットワークに精通 した有スキル者が 対応し ている.今後,常に有スキ ル者が対応できる保証は ないが,ツールなどを用い て運用の簡易化が図れれ ば,トラブル発生時にのみ に有スキル者が対応でき る.そこで,自動的に接続 状況を把握し,状況を表 示するツールを検討した.

通常ネットワークの接続状況は,機器の IP アドレ スに対し ping コマンドを使って行うが,減災情報ネ ットワークには多数の機器が接続されており,IP ア ドレスも 10 数個以上使わ れている.そこで, ping コマンドを定期的に送り, 状況を表示するツールを 開発した.その表示画面を図 12 に示す.これにより 機器の接続状況を一覧で表示できる.

図 12 機器の状態表示

6.おわりに

減災情 報ネッ トワ ークの 継 続的な 運用の ため の検 討状況について報告した.

次年度 は,今 年度 の検討 状 況を踏 まえ, 総合 的な 運用が可能な方式の確立を目指す.

謝 辞

本 研 究 の 遂行 に あた り ,ご 協 力を 頂 い て いる 早 稲田 大 学大 学 院 国 際 情報 通 信科 松 本充 司教 授 に 感 謝い た しま す .ま た , 防 災 訓 練 や 西 新 宿 地 区 で の 測 定 に ご 協 力 い た だ い た 関 係 各 位 に 感 謝い た しま す .

参 考 文 献

1) 奥 村 -秦 カ ーブ - サー キッ ト デ ザ イン

http://www.circuitdesign.jp/jp/technical/TechnicalT ool/tTool4.asp (2013-12-28 確 認 )

2) ]高 宮 安 仁 , 鈴木 一 哉 著 ,ク ラ ウ ド 時代 の ネッ ト ワー ク 技 術Openflow実 践 入 門 , 技 術 評 論 社, 東 京,2013

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