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物理チャレンジ 2008 第2チャレンジ理論問題講評と解説

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Academic year: 2025

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物理チャレンジ 2008 第2チャレンジ理論問題講評と解説

物理チャレンジ・オリンピック日本委員会

物理チャレンジ2008第2チャレンジ理論問題は、下記の様な4問からなり、第1問と第3問 が大問、第2問AとBが中問であった。

第1問 ;相対性理論の基礎とカ-ナビ問題;設問数16問。

第2問A;月探査機かぐやの運動;設問数6問。

第2問B;電流の磁石に及ぼす力;設問数7問。

第3問 ;星の進化の物理学;設問数14問。

委員会では内容が高度でも、

1)高校生、中学生の興味を引く記述をする。

2)難しい内容や物理用語には解説をつける。

3)問題への抵抗感をなくす。

等のコンセプトで作問した。(問題及び解答は別ファイル参照)

各問の講評と解説

第 1 問:アインシュタインが提唱した相対性理論の基本原理を、解り易い例として音波を使って 考察した。音波は空気を媒質にして伝わる波動である。問題文中の図1は、台車が静止する空 気中を走りながら、音を出す。次に図2は、音を伝える空気が台車と一緒に移動する中での音 の伝搬である。問1及び問2はこのこと違い気付けば、時間と距離の関係がすぐに導ける。ま た、問1は、台車の速さvと音波の速さVを使った解答式を与えて証明問題にし、導入のバリ アを低くした。

次に光波について同様な考察を進めるのであるが、光は媒質を必要としないことに気が付け ば、一気に問7まで進むであろう。問 8 に入ると、台車上の時計と物差し、及び、地上の時計 と物差し、を区別して考察し、ついに、問 11 でロ-レンツ変換式が成り立つことの証明が要 求される。

そして、応用問題として、カ-ナビの位置に関する相対論補正の問題を取り上げた。第1問 を証明問題にして、導入バリアを低くした効果があったのか、採点してみると、全16設問中、

初めの 7設問の正解率は非常に高く、そこで、30-40 点を獲得し、平均点は100 点満点で50 点を越える好成績であった。

第2問A:昨年9月、日本が打ち上げた月探査機「かぐや」の運動に関する問題であった。前半 は、「かぐや」の地球の周りを周回する楕円軌道上での速度を求める問題、後半は、月の回りの 円運動の問題であった。楕円運動を極座標で記述するため、問題文中の図1、及び図2を使っ て極座標の定義から導入し、速度や角速度に微分記号を使って、オ-ソドックスな導入をした。

力学的エネルギ-保存式を極座標表示で与え、問1で、図3の楕円軌道の動径rと楕円の長半 径と短半径の関係を問うた。長い数学的導入や微分記号が参加者たちには敬遠された感があり、

出題側としては、前半は、力学的エネルギ-保存式を与え、後半は月周回の円運動なので、常 識的問題として、高得点を期待したが、白紙が多く、50点満点で平均点17点であり、100点 満点に換算して平均34点であった。

1

(2)

第2問B:「電流の磁石に及ぼす力」の問題は、フランスのビオとザバ-ル2人の科学者による、

問題文中の図1の様に「電流が磁石に及ぼす力」を表す法則を導くプロセスを、歴史的事実に 沿った流れの中で解き明かす設問である。やや難しいと思われたが、問1の次元解析問題は各 次元に指数a,b,cを付けて、指数の連立方程式を解く形式にして、取り組みやすくした。また、

問4以後の設問は、積分計算の結果の(1)式を与えて解き易くした。それらの甲斐あってか、参 加者達は、むしろ興味をもって果敢に挑戦していて、第2問Aより高い平均点を示したことが 印象的であった。

第3問:宇宙に於ける「星の進化」の物理学である。「不思議な星-白色矮星の発見」に始まり、

「微視的世界の粒子の運動」の基本法則「ハイゼンベルグの不確定性原理」を天体の進化に適 用し、微粒子の運動を扱う量子力学と相対性理論を組み合わせて、星の進化を考える、と言う、

大変興味深い問題であった。恒星は、太陽と同じように、水素からヘリウムへの核融合反応で 光る。水素が燃え尽きてヘリウムだけになると核融合が止まり、星は収縮し始める。そして、

星の重力が星の中のヘリウム原子を圧縮し、電子を最低のエネルギ-準位に押し込めて、超高 密度の星-白色矮星をつくる。星の質量(大きさ)が更に大きいと、全ての電子が陽子に吸収 されて中性子になり、中性子星が生まれる。白色矮星になるか、中性子星になるかの境目の星 の質量、チャンドラセカ-ル質量を導き、更に星が大きい(質量が大きい)とついにはブラッ クホ-ルになるという星の進化がテ-マで、人類の認識もついにここまで来たかと思わせる内 容であった。

第1設問は、1次元実空間での電子の運動を、新しい概念の2次元位相空間で考え、縮退状 態の電子の運動量と電子の個数及び面積の関係を与えて証明問題にして、導入のバリアを下げ た。しかし、3 次元実空間問題が6次元位相空間問題になり、位置と速度の力学が、運動量と 運動エネルギ-が主役に躍り出た量子力学になり、更に縮退、縮退圧など次々に出てくる新しい 物理概念、そして、相対論と非相対論の比較などなど、参加者達は戸惑ったようで、問6以後 は計算の簡略化のために係数kを導入したが、解答を見て判るように、計算式は大変複雑な係 数が付き、やはり、平均点は30点程度であった。

採点結果

参加者106名の得点について、各問題及び総合の平均点と最高得点と最低得点を表 1に示す。

表 1 平均点と最高点、最低点 第1問

(100点)

第2問A

(50点)

第2問B

(50点)

第3問 (100点)

総合

(300点)

最高点 97 50 50 98 293

最低点 32 0 0 0 43

平均点 52 17 25 31 126

2

(3)

各問、100 点満点にして、第1問、及び第2問Bが、ほぼ平均点 50 点、第2問Aと第3問が ほぼ30点という結果である。

総合の最高点は、300点満点で293点、平均点は126点であった。

得点分布を図4に示す。参加者達はさすがに、第1チャレンジを乗り越えてきた強者で、5時 間のコンテストに落伍することなく「完走」し、一見難しい問題にあえて果敢にチャレンジして いる様子が窺えた。彼らのチャレンジ精神を心から讃賞したい。また、例年のことであるが、上 位4位は2008年(ハノイ)オリンピック選手が占めた。

全体講評

今年の第2チャレンジ理論問題と採点は以上見てきた様な結果であったが、出題者として、第 2チャレンジ理論問題の基準のようなものを改めて考えてみると、ひとつは「国際物理オリンピ ックのシラバス」であろう。また、それに、我が国の高校教育に科せられた「指導要領」がある。

それらを勘案した作問が、今回の問題である。しかし、結局は、「参加者達が、問題の内容に興味 を感じ、進んで挑戦し、そのなかで、物理を考え、楽しむことができる様な問題」。得点平均が 50点になるような問題が一つの目安になるのではなかろうか。本理論コンテスト中に「運動量と は何ですか」の質問が寄せられたことが印象的であった。

図4 得点分布 (平均点 126点)

点数分布

0 5 10 15 20 25 30

1 -3 0

31 - 60

61 - 9 0

91 - 12 0

12 1 - 15 0 15 1 -1

80 18 1 -2

10

21 1 - 24 0 24 1 -2

70 27 1 -3

00

人数

平均点:

以上

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Referensi

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