社会調査法演習(質的)1
Social Research Practice (Qualitative) 1 堀田 裕子 資格 1 2年春
本講義の目的は、調査法の中で記述的調査(質的調査)のデータの収集方法と分析方法全般について学習することです。すな わち、記述的調査(質的調査)の中で調査対象によって、①事例調査、②集落調査、またデータの収集方法によって、③自由面 接または聞き取り調査、④調査票調査(半標準化調査)、⑤参与観察、⑥ドキュメント法、などについて、それぞれの概説とデータ の収集方法と分析方法を学習します。授業は項目によっては、先行文献から学んだり、ワークショップの手法で練習したりします。
併行して、実際の調査をグループ、または個人で一つのテーマを決めて実施します。報告書も実際に書きます。
①社会調査の方法(質的調査)を学びます。
②1年から学習してきた「社会調査入門」、「社会調査方 法論」を基礎に、質的調査の方法を具体的に学び、演習 します。
①自分の問題が社会のなかでどのような位置を占めている のか、客観的に考えることができるようになる。
②社会を見る目、社会の問題を批判する目を養う。
主体性・働きかけ力・実行力 課題発見力・計画力・創造力 発信力・傾聴力・柔軟性 情況把握力・規律性 ストレスコントロール力
・質的調査の方法について、網羅的に理解する。
・質的調査の企画から報告書作成までを実践的に理解する。
・調査の準備等、授業時間外の課題もこなす。
・とくに調査の際、学生らしい態度と身なりで臨む。
教科書:大谷信介他編著『社会調査へのアプローチ』(ミネルヴァ書房)
参考書:講義のなかで適宜指示します。
他科目との関連:「社会学」(1秋)、「現代家族論」(2秋)など。
本学部で取得できる資格との関連:社会調査士(選択必修)、ボランティア実務士(必修)
「社会調査入門」(1春)、「社会調査方法論」(1秋)を履修した学生が受講するようにしてください。「社会調査法演習
(量的)1」(2春)も同時期に開講しているので、履修してください。
社会で起こる事象について、興味や関心を持つことを 心がけましょう。また、つねに新聞を読んだりテレビなどで ニュースを見たりして、アンテナを張りめぐらしておきま しょう。
また、質的調査においては人との接し方も重要です。
①毎時間、新しい事項について説明や演習を進めるので、欠席をしな い。②作業が多く、授業時間外の宿題や課題が多くある。③調査は授業 時間以外に出かけるので、そのつもりで日程調整をする。④調査や課題 の整理を日常的にしたうえで、報告書を仕上げ、それらすべてを評価の 対象とする。⑤調査に出かける時は、学生らしい身だしなみと振る舞い をすること。
60 10 10 20
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10
①質的調査の方法を正しく理解し、ポイントをおさえているか。
②調査のプロセスを透明化できているか。
③調査内容を十分に記述的できているか。
④対象者のプライバシーに配慮してあるか。
⑤報告書を論理的に組み立てているか。
①発表のための準備を十分におこなったか。
②分かりやすく伝わりやすい発表を心がけたか。
③他の受講者の発表に対し、質問をしたり意見を述べたりすることができるか。
10
①遅刻・欠席をせず、出席しているか。
②質的調査の方法について、その特徴と限界を理解することができているか。
②ノートをしっかりとり、分からないところを教員に質問することができるか。
③実査までのプロセスをきちんとこなすことができるか。
20
①調査の目的について、対象者に明確に伝えることができるか。
②学生らしい態度と身なりで調査に臨んでいるか。
③「受け身」ではなく、能動的な態度で調査に臨んでいるか。
④アポイントメントやお礼など、事前と事後の対象者への挨拶を正しくおこなっ ているか。
レポート(報告書)・成果発表(口頭)・授業態度・その他(実 査)の合計得点が90点以上を「秀」、80点以上を「優」としま す。
「秀」「優」ともに、【評価方法】のすべてを満たしていること が目安となります。
レポート(報告書)・成果発表(口頭)・授業態度・そ の他(実査)の合計得点が70点以上を「良」とします。
「良」は、【評価方法】の7割程度を満たしていること が目安となります。
授業開始にあたって
授業の概要と調査の意義に ついて説明します。また、調 査のための日程調整なども おこないます。
講義 すでに「社会調査入
門」、「社会調査方法 論」でも学習済みの、
社会調査の意義を再 理解しましょう。
90 ④⑤
質的調査の方法
ききとり調査、参与観察、ド キュメント分析、ライフヒスト リー、会話分析といった質的 調査の方法論を学びます。
講義 それぞれの質的調査
の特徴と限界を、しっ かり理解しましょう。
予習として、「社会調 査入門」で学んだ、
質的調査の概要を 再学習してきてくだ さい。
90 ④⑧
調査の企画と設計(1)
いよいよ調査の第一歩です。どの ような調査方法を採用し、どのよう な調査をおこなうかについて、
ワークショップ形式で進めます。
講義
ワークショップ
自分の興味関心に 沿った対象と方法と を、適切に選ぶように しましょう。
予習として、前回の
「質的調査の方法」
を確認しておきましょ う。
90 ②⑦
⑨
調査の企画と設計(2)
調査対象を明確化し、プライバ シーの保護、明確な問題意識と 仮説、ラポール形成など、調査に おける留意点について学びま す。
講義
ワークショップ
とくに、プライバシーに 留意する具体的なやり 方と、ラポール問題に ついて理解しましょう。
予習として、「社会調 査入門」で学んだ、
プライバシー保護と ラポール問題につい て振り返っておきま しょう。
90 ②⑦
⑨
調査の企画と設計(3)
質的データの収集と整理の 仕方、調査依頼の仕方、調 査内容の検討を学びます。
講義
ワークショップ
実査の前にやるべきこ とを、正しく理解し、実 践するようにしましょ う。
復習として、ここまで の「調査前」の作業 について、整理して おきましょう。
90 ②⑦
⑨
調査実施(1)
選定した方法を活かし、調査から わかること、わからないこと。何を 書くのか。何を書いてはいけない のか。これらをよく理解しましょう。
調査 対象者の人権に留意
し、失礼のない調査を おこないましょう。
調査メモは、かなら ず調査をおこなった 当日に清書しましょ う。
①②
③④
⑤⑥
⑦⑧
⑨⑩
⑪⑫
講義 予習として、シラバス
を精読し、「社会調 査入門」および「社会 調査方法論」の内容 を見直してきてくださ い。
90
調査実施(2)
選定した方法を活かし、調査から わかること、わからないこと。何を 書くのか。何を書いてはいけない のか。これらをよく理解しましょう。
調査 対象者とどのようにし
てラポールを築くのか を考えながら、調査に 取り組みましょう。
調査メモは、かなら ず調査をおこなった 当日に清書しましょ う。
90 ①②
③④
⑤⑥
⑦⑧
⑨⑩
⑪⑫ 調査後の資料整理(1)
調査で得た資料をまとめま す。質的データ素材の整理 の仕方を学習します。
講義
ワークショップ
データの整理はもっと も重要な作業のひとつ です。面倒くさがらず、
丁寧におこないましょ う。
予習として、調査中 にとったメモと清書を 準備しておきましょ う。
90 ④⑩
調査後の資料整理(2)
いずれの調査法も万能ではありま せん。今回の調査で得られた質 的データから読み取れること/読 み取れないことを理解します。
講義
ワークショップ
今回の調査で得られ た質的データから、何 が読み取れる、何が読 み取れないかを自分 で探ってみましょう。
予習として、前回整 理したデータを概観 し、どんなことが読み 取れるのか(読み取 れないのか)、考えて みてください。
90 ④⑩
調査結果の分析(1)
調査結果の検討、議論、考 察、まとめなどをおこないま す。お互いに報告し合い、何 が得られたのかを議論する。
講義
ワークショップ
自分のおこなった調査 について、明確に説明 することが大切です。ま た、他のメンバーの発 表にたいしても積極的 に意見してください。
予習として、前回整 理したデータを再び 見て、そこからどんな
「考察」ができるかを 考えてきてください。
90 ②⑦
⑧
調査結果の分析(2)
調査結果から見える課題や 提言を考えます。
講義
ワークショップ
自分のおこなった調査 について、明確に説明 することが大切です。
また、他のメンバーの 発言に対しても積極的 に意見してください。
予習として、前回整 理したデータを再び 見て、そこからどんな
「考察」ができるかを 考えてきてください。
90 ②⑦
⑧
調査報告書の作成(1)
報告書の書き方について説 明し、実際に書き始めます。
書けること/書けないことを考 慮しながら進めます。
講義
ワークショップ
報告書のスタイルを しっかり理解しましょう。
報告書作成はおそら く授業時間内では終 わりませんので、各 自で進めてきてくだ さい。
90 ④⑥
⑦⑩
調査報告書の作成(2)
仮説の検証ができたか、課 題・提言・政策などが明らか になったのかを考え、次の調 査への課題を検討します。
講義
ワークショップ
自分のおこなった調査 が、「仮説検証型」なの か「事実発見型」なの かの区別ができるよう にしておきましょう。
報告書作成はおそら く授業時間内では終 わりませんので、各 自で進めてきてくだ さい。
90 ④⑥
⑦⑩
調査結果の発表
調査の結果を発表し、学生相 互に講評します。
発表 自分の発表をしっかり おこなうことと、メン バーの発表をしっかり きくことが重要です。
報告書作成および発 表準備はおそらく授 業時間内では終わり ませんので、各自で 進めてきてください。
90 ⑦⑧
⑫
発表報告に対する議論、検討
調査から見えた「社会」。何が見え たのかを議論します。また、見たい ものが見えたのか、選定した調査 方法でよかったのかも検討します。
発表 討議
自分の考えを、論理的 に述べるようにしましょ う。また、選定した調査 方法の利点と弱点とを 正しく理解しましょう。
予習として、前回の 全員の発表内容を 振り返っておいてく ださい。
90 ②⑦
⑧⑩