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2019年
3月 今回の訪問で受けました。 切さを知り、横浜の旧居留地とはまた違った印象を るでしょう。自ら赴いたからこそ味わえる体験の大 を受けたのも、神戸にある旧居留地の雰囲気にもよ な街といった印象を受けました。そして、この印象 神戸の街は初めてで、とてもコンパクトでおしゃれ り、私は神戸の旧居留地を担当しました。本格的な きました。四人それぞれ記事担当分野が異なってお の記事作成のために神戸の街を取材がてら散策して の翌日に控えていたので、私たちは『PLUSi』 バー三人とともに神戸へ向かいました。交流会はそ 催の神戸学院大学交流会のために、同じ学科のメン 17日、私は神奈川大学人文学会主
私たちの神戸訪問初日の日程はまず最初に人と防災未来センターに行き、次に元町駅にある南京町へ赴き、最後にその隣に位置する旧居留地に向かいました。南京町から東へ向かい、栄町通1丁目の信号を渡り、三菱UFJ信託銀行が見える横道を右に曲がれば旧居留地エリアです。最初に目に入ったのは
手入れされていて大切に保存されていました。 古びた印象の外観はしておらず、とてもよく丁寧に 19世紀ヨーロッパ風の大きなレンガ屋敷でした。 地 街中を散策していくなか目に留まったのが旧居留
帝国酸素が使用していました。現在は北側と西側に 上記のドイツ系会社二社ともに退去し、二階三階も 日本エアリキード)が入居していました。その後、 (現・バイエル薬品)、三階は帝国酸素株式会社(現・ 逸染料合名会社とフリードリヒ・バイエル合名会社 は旧ナショナルシティバンク神戸支店、二階は独 神戸支店用に1929年に建設されました。一階店舗としてこの洋館を利用しています。 建物ですが、居留地時代はナショナルシティバンクて、エルメスとギャルソンといった高級ブランドが 38番館でした。現在は大丸百貨店が所有しているいますが、表側の一部では店舗として利用されてい 隣接している大丸神戸支店の倉庫として利用されて
次に私たちが向かったのは
が商館として入れ替わり利用されたあと、1966 として利用されてきました。その後いくつかの企業 に建設されたこの白い洋館は翌年にアメリカ領事館 ニア式の石柱が保存されています。1880年ごろ 文化財にも指定されており、当時のレンガ塀やイオ 15番館です。国の重要
神戸の旧居留地
● 神戸の旧居留地
外国語学部 中国語学科
4年
大徳 弘志
神戸旧居留地38番館
旧居留地15番館
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第1部 学生たちが見た世界 ●
年に株式会社ノザワが所有することとなり事務所として使用されました。阪神淡路大震災では全壊してしまいましたが、倒壊前の部材
として建物が使用されています。 初の姿に戻りました。現在はおしゃれなレストラン かった免震工法も採用され、1998年に建設当 用して修復し、また新たに文化財修理では見られな 70パーセントも使 最後に私たちが向かったのは十五番館の道路を挟んで向かい側にある神戸市立博物館です。1935年に横浜正金銀行(現・三菱東京UFJ銀行)神戸支店として建てられ、戦後は東京銀行神戸支店として利用されてきました。その後、神戸支店の移転にともない神戸市が所有することとなり現在の神戸市立博物館へと転用されました。博物館には国宝
21点、重要文化財
を描いた礼拝画もここに収蔵されています。しか ろうあの著名な宣教師のフランシスコ・ザビエル す。現在の日本史の教科書に必ず載っているであ 多くの貴重な館蔵品が展示・保管されてありま 76点、その他数 し、残念ながら本博物館は2019年
館することができませんでした。 リニューアル工事のため全館休館になっており入 11月までの
まとめ
今回の神戸訪問で私は当時ここに住んでいた人々の生きるための知恵と気持ちを感じ取ることができました。日本に黒船がやってきたとき、見たこともないものや人で日本人はさぞかし驚いた以上に不安だったでしょう。今まで普段通りに過ごしてきた生活がこれから急激な変化をもたらすからだと思います。しかし、彼らは自国の門をいつまでも閉ざそうとはしませんでした。外国からのプレッシャーもあったと思います。しかし、彼らは自分たちの意思で門を異国の客人のために開いてくれたのです。異国のモノが入って来るうちに戸惑いや誤解もたくさん起こりました。ひどいときは血が流れた事件も起こりました。彼らは異国人たちを拒まず、お互いを受け入れ、尊重し合い、深く交流したからこそ居留地文化は形成され、近代日本は成長することができたのです。
今、私たちが何一つ不自由なく生活できているおかげは、当時彼らが異国人たちと築き上げてきた時代があったからだと思います。私たちが踏みしめている足元には、あのとき彼らと異国人たちが流した血と汗がしみ込んでいることを、旧居留地訪問を通じて思い出してほしいものです。
聖フランシスコ・ザビエル像
http://w w w.city.kobe.lg.jp/culture/
culture/institution/museum/meihin_
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