• Tidak ada hasil yang ditemukan

「福岡教育大学ブランド」を可視化する評価項目の開発と試行

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2023

Membagikan "「福岡教育大学ブランド」を可視化する評価項目の開発と試行"

Copied!
4
0
0

Teks penuh

(1)

【重点・融合領域研究部門】

「福岡教育大学ブランド」を可視化する評価項目の開発と試行

研究代表者 堺 正 之(学校教育講座)

研究分担者 池 田 隆(教職実践講座)

研究分担者 小 林 万里子(学校教育講座)

Development of evaluation model for teacher training program Masayuki SAKAI

1)

Takashi IKEDA

2)

Mariko KOBAYASHI

1)

1) Department of School Education, Fukuoka University of Education

2) Department of Professional Practice in Education, Fukuoka University of Education

キーワード:教員養成スタンダード,教職ポートフォリオ,ルーブリック

Key words:Teacher Training Standards, Portfolio for Teacher Training, Rubric

Ⅰ.はじめに

本プロジェクトの目的は、平成24年度特別経費 事業(確かな教育実践力を養成する「福教大ブラ ンド」の構築)として着手した研修プログラムを 通して、本学の教員養成課程で学ぶ学生が「学び 続ける教師」として育ち、また、その意義が社会 的にも適切に評価されるための条件を明らかにす る こ と で あ っ た 。 具 体 的 な 取 組 と し て は 、 平 成

24・25年度に実施された「福教大ブランド育成講

座」(3年生対象)のための評価指標(スタンダー ド)を開発するとともに、教職ポートフォリオ・

システムの効果的な運用方法について検討するこ ととした。

Ⅱ.スタンダードの策定 1.達成目標の検討

福岡教育大学スタンダードに示された「教育実 習」および「教職実践演習」の達成目標をつなぐ かたちで「福教大ブランド育成講座」の達成目標 を以下の7点にまとめた。なお、【 】内は福岡教 育大学スタンダードの大項目を示している。

① 自分や他 者が行 った授業 について、 子ども の学習する姿を通して評価し、改善策を明ら かにするとともに、各教科等の本質をふまえ

た学習指導を構 想すること ができる。【学 習 活動組織力/観察・評価力】

② 現 代 の 教 員 に 求 め ら れ る 資 質 能 力 を 理 解 し、責任感や使命感をもって教育実践に関わ ろうとする姿勢 をもってい る。【教員とし て の倫理観・責任感・使命感】

③ 指導や助 言を真 摯に受け とめて、自 分およ び 自 ら が 属 す る 集 団 の 向 上 に 努 め る と と も に、目標達成に向けて建設的な議論を展開す ることができる。【 周囲と の適切なコミュ ニ ケーション】

④ 現代の子 どもを とりまく 状況を理解 し、教 員 と し て 取 り 組 む べ き 課 題 と そ の 解 決 方 策 について展望を もっている 。【課題の明確 化 と総合的理解】

⑤ 授業研究 をはじ めとする 教育実践研 究に積 極的に取り組み、自らの実践的指導力を向上 させようとする 姿勢をもっ ている。【実践 の 省察と改善に向けた取り組み】

⑥ 自らの専 門性を 高めたり 得意分野を 広げた りしようとする 姿勢をもっ ている。【専門 性 の向上】

⑦ 自らの理想とする教員像を実現するために 必要なことを明確にし、計画的・継続的に成

(2)

長していこうとする意欲をもっている。【人 間的成長の志向】

このスタンダード(達成目標)と平成24年度の プログラムに参加した学生26名のレポート等とを 照らし合わせることにより、各プログラムの重点 項目を抽出した。平成25年度のプログラムとスタ ンダードとの対応は以下のとおりである。プログ ラムごとに重点項目を設定することで、学生自身 だけでなく、育成講座に関わるすべての人にとっ て受講生の力の伸びが可視化されるとともに、教 員養成課程上の意義と位置づけが明確化されるこ とを意図した。

開講式・・・・・・・・・②,④,⑦ 模擬研修・・・・・・・・②,④,⑥ 先進校見学・・・・・・・⑤,⑥ 実践報告会・・・・・・・①,③,⑤ 学習会、成果報告会・・・⑦

2.ルーブリックの作成

平成25年度「福教大ブランド育成講座」受講生 25名には、上記スタンダードに基づいた自己評価 として、各プログラムの参加前に自身の課題を設 定し、事後には学びの成果を確認させることとし た。具体的には「印象に残ったこと、学んだこと は何か」「自分がこれまでに体験し学んできたこと と、どのように関連しているか」「これから自分は どうしていきたいか(具体的なプラン)」のスリー ステップで各自の学習体験を意味づけてレポート を作成するよう指示した。加えて、プログラムの 内容およびスタンダードの重点項目に対応させた ルーブリック(A~Cの3段階)を作成した。

A 学んだことをふまえて、自分がこれからど うしたいかについて、具体的に述べることが できる。

B 学んだことについて、自分自身と関連づけ て考えることができる。

C 学んだことについて、説明することができ る。

一例を挙げると、先進校見学のときには、「あな たの専門(教科)や得意分野の観点から、見学校 の教育実践の特徴を具体的に説明してください。」

「授業研究(授業および協議会)での先生方の姿 を通して、あなたは何を学びましたか。また、そ のことを今後、どのように活かしていくことがで きると考えますか。」というレポート課題とととも に、表1のようなルーブリックを提示した。見学 の観点をあらかじめ設定し、自身の教育実習での 体験と関連づけながら考察するとともに、実践報 告会(先進校見学・レポート作成の直後に実施)

に向けてのモチベーションを高める契機とした。

3.レーダーチャート化の意義

半年間にわたる「福教大ブランド育成講座」の まとめをおこなう学習会では、教育実習やふくお か教員養成セミナー参加を含めて、3 年後期を総 括的にふりかえることとした。その結果、学生た ちにとって実感を伴って「身に付いた」「大切だと 思う」ポイントは、より平易で焦点を絞った表現 で示した方が分かりやすいことが判明した。学習 会でのディスカッションをふまえて挙げられたポ イントは次の5点であった。

表1 レポート評価の観点(先進校見学)

A B C

重点項目⑤ 見 学 校 の 先 生 方 の 姿 か ら 学 んだことをもとに、これから 授 業 研 究 を 行 う 際 に 取 り 組 みたいことや、実践報告会を ど の よ う に 進 め て い き た い かについて説明できる。

授 業 研 究 に 取 り 組 む と き に 求められる姿勢について、見 学 校 の 先 生 方 の 姿 か ら 明 ら かにし、その実現のために必 要 な こ と を 説 明 す る こ と が できる。

授 業 研 究 に 取 り 組 む と き に 求 め ら れ る 事 柄 に つ い て 説 明することができる。

重点項目⑥ 見 学 校 の 教 育 実 践 か ら 学 ん だことを生かして、自らの専 門 性 や 得 意 分 野 を さ ら に 発 展 さ せ て い く た め に 取 り 組 み た い こ と に つ い て 説 明 で きる。

見学校の教育実践について、

自 ら の 専 門 性 や 得 意 分 野 か らとらえて、学んだことにつ いて説明することができる。

自 ら の 専 門 性 や 得 意 分 野 を 基点として、見学校の教育実 践 の 特 徴 を 説 明 す る こ と が できる。

(3)

〇 目的を明確にしながら 授業研究(教育実践 研究)に取り組む。

〇 子どもの学びや成長に 寄り添う。

〇 指導やアドバイスを謙 虚に受けとめる。

〇 チ ー ム の 一 員 と し て 仲 間 と と も に 努 力 す る。

〇 チ ャ レ ン ジ し よ う と す る 気 持 ち を 持 ち 続 ける。

この5点については、成果報告会における受講生 たちのプレゼンテーション の柱とした。また、最 終的な自己評価の指標とし ても活用し、レーダー チ ャ ー ト 化 し て 各 自 の 個 性 を と ら え ら れ る よ う にすることとした。

以 上 の 取 組 か ら 、 ス タ ン ダ ー ド を 策 定 し て 、 個々の教育(学習)活動の達成目標を明示するこ とは有意義であるが、それ をより実質的なものに するために、以下の2つの課題が明らかとなった。

第一に、教育(学習)活動とスタンダードとは 一対一対応で設定されると は限らないし、実際に は一対一対応でないことが ほとんどである。スタ ン ダ ー ド を 基 軸 と し て 各 教 育 活 動 の 意 義 や 特 徴 を明らかにするとともに、実施にあたっては、ス タ ン ダ ー ド を 意 識 し た 活 動 内 容 の 見 直 し や 重 点 化が必要となる。また、学 生、教職員の双方がス タンダードを常に意識する ことも求められる。

第二に、一人ひとりの学 生の教育(学習)活動 の達成度を可視化するため には、評価基準の段階 的な設定が有効である。ル ーブリックやレーダー チャートなどを活用すると 、根拠を明らかにしな がら自身の成果と課題をと らえやすくなる。学生 が実感をもって自らの成長 をとらえ、教職へのキ ャリア・プランニングを主体的に進めていくため のシステム構築が必要であ る。もちろん、すべて を学生の自主性に委ねるの ではなく、学びの体験 をふりかえらせ、意義づけ させるファシリテータ ー と し て の 教 職 員 の 存 在 が 不 可 欠 で あ る こ と は 言うまでもない。

Ⅲ.教職ポートフォリオ・システムの 運用状況に関する調査・検討

スタンダードを起点として教育内容を充実させ、

本学に学ぶ学生の資質向上を図り、ひいては「福 岡教育大学ブランド」の確立につなげるには、授 業の履修、教育実習、ボランティアその他の活動 を通して学生にどのような資質能力が育っていく のか、4 年間にわたって学生と教員の双方で確認 する必要がある。そのために各大学において導入 されているのがポートフォリオ・システムである。

本学においても平成 24 年度にその仕様の策定と ソフトウェアの導入がなされ、平成 25 年度入学 生から学年進行にてその活用が試みられつつある。

そこで、本学におけるポートフォリオ・システム の本格実施に備え、全学的な取り組みが円滑に行 われるための諸条件について検討するため、先進 校である兵庫教育大学を訪問し、聞き取り調査を おこなった。

日 時:平成26年2月17日(月)

13時~15時

場 所:兵庫教育大学キャリアセンター 出席者:本学より堺正之(学校教育講座教授)、

小林 万里 子( 学校 教育 講座 准教 授)、

小菜 辰郎 (教 育支 援課 主査 )。兵 庫教 育大学側は、渡邊隆信(教授・養成ス タンダード開発室長)、野中陽一朗(特 命助教)、田中真秀(特命助教)、藤原 賢二(キャリア支援課課長)である。

1.ポートフォリオ・システムの概要

兵庫教育大学では、ポートフォリオ・システム により学生の力を伸ばし、教員採用試験にパスで きるようにするという思いを込めて「CanPassノ ート」の名称をつけている。平成 23 年度入学生 から本格実施しているこのシステムは、学生の学 習や体験およびその成果物を記録するとともに、

これを教員養成スタンダードに基づいて自己評価 するための資料とするものである。すなわち、本 システムは、①学生にとって評価の規準となる「教 職スタンダード」(小学校版 50 項目)、②学生の 目標設定から自己評価までの記録となる「ポート フォリオ・システム」、そして、③一連の作業を促 し動機づけるために定期的に実施される「教職員 による指導と評価」を一体的に機能させるものと なっている。なお、兵庫教育大学のポートフォリ オ・システムには、「履修カルテ」の機能も統合さ れている。

本学においても、①「スタンダード」は策定さ れており、②「ポートフォリオ・システム」も基 本的な仕様は兵庫教育大学と同じである。今後は、

①と②を③へと結びつけ、「教職員による指導と評 価」が 4 年間にわたって「学生の学びへの支援」

として継続するよう、本学の規模と実態に合った 仕組みを作り上げることが必要である(兵庫教育 大学の学部生は1学年100名、本学は630名)。

2.ポートフォリオ・システム活用の工夫 兵庫教育大学のポートフォリオ・システム活用

(4)

のための工夫点は以下のとおりである。

・クラスミーティングにおいて CanPass ノート への入力状況を確認する。これは、授業外の履修 指導としても意義がある。

・リフレクションウィークを設定し、毎年次の自 己評価、TSS 評価(※)、クラスミーティングを 行う。【※ 教員養 成ス タン ダードに 基づく スコア

(Teachers’ Standard-based Score)の略語。学 年毎に各スタンダード項目に関係する授業科目の 成績が平均化されたもの。3 年次以降は、スタン ダードの 5 本柱「学び続ける教師」「教師として の基本的素養」「子ども理解に基づく学級経営・生 徒指導」「教科等の指導」「連携・協働」を軸とす るレーダーチャートでの表示が加わる。】

・新入生合宿研修において自己理解とリフレクシ ョンをおこなう。

・1 年次科目「情報処理基礎演習Ⅰ」および「情 報処理基礎演習Ⅱ」において、CanPassノートの 利用方法を説明する。「利用案内」は学生用と教員 用が作成されている。

・スタンダードの各項目について、「自己評価のた めの具体例」が2つずつ、行動例の形で示されて いる。特に「・・・・する姿勢を持っている」といっ た抽象的な項目については、行動例を示すことで 学生の自己評価が容易になる。

・特にすぐれた振り返りをおこなった学生に対す る表彰制度も設けられている。

これらのきめ細かな指導により、学生の高い利 用率(95%)が確保され、様々な学修の成果を一 元的に蓄積、評価することが可能となっている。

課題としては、以下の点がある。

・学生相互に閲覧しコメントできるのがメリット であるが、なかには組織等への勧誘を行う書き込 みも見受けられる。SNSにおける不適切な書き込 みへの対応と同様の配慮が必要である。ただし、

これには専任のスタッフが必要である。

・授業を通じて CanPass ノートを活用すること が重要である。現在、28科目で協力が得られてお り、これが増えるよう努力している。

3.カリキュラム・マップの作成

スタンダードを意識し、ポートフォリオ・シス テムを有効に活用する上で、カリキュラム・マッ プの意義は大きいと考えられる。兵庫教育大学の カリキュラム・マップには、「学生の皆さんが、① 各授業科目を履修することで、教員養成スタンダ ードのどの資質能力を身につけることができるの か、②各スタンダード項目を身につけるためには、

どの授業科目を履修すれば良いのか、を示したも のです。」と説明されている。その内容は、開設す る全科目について、教職スタンダード 50 項目と の対応を○で示したものである。○の数は科目に よって異なっている。複数の柱にわたって○のつ く授業が多く、その場合、履修した科目の成績は ポートフォリオ・システムのレーダーチャートで も複数の軸へと反映されるようになっている。

本学では、平成 25 年度からスタンダードを意 識した「授業で身につけるべき資質能力」をシラ バスに記載しており、この点は評価すべきである。

しかし、学生にとっては、スタンダード全体との つながりがまだ見えづらい。ポートフォリオ・シ ステムの本格的活用に合わせて、カリキュラム・

マップの公表も重要な課題である。

4.「教職実践演習」の実施状況

兵庫教育大学 における「 教 職実践演習」 は、4 年次の11月から12月にかけて、集中的に行われ る。具体的には、土曜日に3コマを確保して実施 している。全体の流れは、①:オリエンテーショ ン、②~⑦:模擬授業、⑧~⑬:仮想状況に基づ く事例研究、⑭、⑮:まとめ、となっている。

特徴的なのは、模擬授業については学生を「専 門以外の教科」に振り分けている点である。これ は、学生が自己にとって何が課題であるのかを自 覚し、必要に応じて不足している知識や技能等を 補いその定着を図るという、「教職実践演習」の設 置趣旨を踏まえたものと思われる。また、現職教 員の院生との交流を通した指導を受けやすいとい う、兵庫教育大学の特色を生かした内容構成とな っている。本学の「教職実践演習」では、前半 6 回 の ク ラ ス 指 定 部 分 の 運 営 に 関 し て 教 職 大 学 院

(教職実践講座)所属教員の協力を得ている。本 学においても、今後、教職大学院の比重が高まれ ば、院生による支援を位置づけることで学部教育 のさらなる充実につながる可能性もある。

Ⅳ.おわりに

大学における教育は、細分化された目標をただ 達成するだけのものではない。その意味で、「福教 大ブランド」も本学の教育理念に共鳴する学生と 教員双方の研鑽により磨き続けられるべきもので ある。そのためにも、スタンダードの意義が全学 に理解されるとともに、教職課程の全期間を通じ てポートフォリオ・システムが積極的に活用され ることを期待する。

Referensi

Dokumen terkait

も の づ く り 創 造 卒業研修 (必修 4 単位) 2年前後期 ものづくり創造工学科教員 授業テーマ・内容 ものづくり創造工学科における学修の締めくくりとして、研究・研修グループに所属し、指導教員の指導のもとで特定のテーマについ

(入学前の既修得単位の認定) 第 23 条 本大学院は、教育上有益と認めるときは、学生が本大学院に入学する前に他の大学院(外国の大学院を含む。) において履修した授業科目について修得した単位を、本大学院に入学した後の本大学院における授業科目の履修によ り修得したものとみなすことができる。 2