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私的年金保険の市場規律に関する一考察 関西大学 徳常泰之 1

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Academic year: 2023

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【平成25年度大会】 

第Iセッション  報告要旨:久保・楠田

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長期の負債を有する生命保険会社の最適資産ポートフォリオの提案

滋賀大学  久保  英也 滋賀大学  楠田  浩二

  生命保険会社の一般勘定は、複数の商品を束ねて合同運用すると共に超長期の負債を有 することから、資産選択の最適化は理論的にも、実際の運営面の制約からも難しいとされ てきた。理論的には、平均・分散アプローチと最適ポートフォリオの選択などが存在する が、負債に適合しやすい超長期の国債などを債券市場で調達することは市場の流動性が乏 しいことから、現実の保険会社がこの理論を資産運用に完全に実践することは困難である。 

また、そもそも収益・分散アプローチは、過去データから作成リスクは相対的に安定し ているが、期間概念を入れた期待収益の想定が難しい。従って、保険会社の一部の資産群 にのみこの考え方を適用するなど限定的な利用となったり、それゆえ資産運用者の当面の 相場観などが強く織り込まれた、長期・短期折衷的な資産運用スタイルに変容することも 多い。 

一方、2008 年のリーマンショックや 2010 年の欧州債務危機など、各市場の流動性が急速 にしぼみ、過去のリスクでは評価しきれない大きな資産価格の下落に短期間に複数回見舞 われている。このような事態は確率的に把握できる「リスク」ではなく、確率的に把握で きないナイトの「不確実性」に相当する。そこで、リスクに加えナイトの不確実性を明示 的に織り込んだ理論モデルができないかを検討した。 

本研究では、新たな理論フレームとして、生命保険をある種の「証券」と見立て、生命 保険の負債を生命保険証券の空売り投資とみなし、株式と債券の 2 資産モデル(株式指数 と全満期国債を投資対象とする 2 ファクター・アフィン・モデル)により資産の理論ポー トフォリオを導き出すことを企図している。 

また、欧州では新たな健全性基準であるソルベンシーⅡが 2015 年にも始動すると言われ ている。同基準においては、負債は経済価値ベース(時価)で評価さ 

 

れることから、資産と負債を統合管理し、リスクをイミュナイズする資産運用が重要度を 増す。今後この枠組みの中で資産運用は見直されることとなるが、この動きも資産選択に 勘案する必要がある。 

提案するモデルは複雑な理論構造を持つが、高度な近似法を用いて、実証分析が可能な レベルまで簡素化することに目途を付けている。 

  報告が挑戦的な内容を多く含むことから、今回の学会では本研究の途中経過報告として、

次のような構成で報告させていただきたいと考えている。 

① 日本の生命保険会社の資産運用状況の長期推移 

② 伝統的な平均・分散アプローチによる最適ポートフォリオ 

③ 今回提案する理論モデルの構造の概要 

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第Iセッション  報告要旨:久保・楠田

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④ 日本の生命保険業を対象に当該理論モデルを用いた実証分析 

⑤ その結果のインディケーションと今後の研究課題。 

 

日本の年金資産の増加など生命保険業の重要性は今後も更に増大する。長期の負債を有 する生命保険会社の資産運用は、日本のみならず、成長著しい中国などアジアの生命保険 会社にとっても大きな問題である。本研究が、生命保険会社の資産運用のフレームワーク にある種の示唆を与えることができれば幸いである。 

 

私的年金保険の市場規律に関する一考察

関西大学  徳常泰之

1. はじめに

個人年金保険とは、個人が保険会社と任意に契約を締結し、保険料を払い込み、将来の 必要なときに年金の形態で受け取る保険である。個人年金保険は私的年金に区分され、公 的年金などでは充足できない部分を補完するために利用されている。2002 年 10 月、銀行 窓口での個人年金保険の販売が解禁され個人年金保険市場は急成長した。しかし、2008年 9 月のリーマン・ショック以降、個人年金保険の新規契約の募集を停止し、個人年金保険市 場から撤退する会社が出現した。

以下、本研究報告では個人年金保険を販売している生命保険会社の財務基盤の状態が個 人年金保険の保有契約数、新規契約数、解約率などに与える影響について考察する。

2. 先行研究

保険会社の外部評価を容易にしたことについて検証した家森・浅井(2004)、保険会社のデ ィスクローズが拡充されてきたことにより、市場規律が機能する前提条件が整いつつある ことについて検証した浅井(2006) 、ディスクローズに進展はあるが、情報格差は解消され ていないことについて検証した植村(2001)などを本研究報告の出発点としている。

松浦・白石(2004)では、生保危機下における市場規律について検証し、ソルベンシーマー ジン比率が機能していることについて検証している。永田(2011)では、契約者は保険会社の リスクに反応しているということについて、さらに永田(2012)では、平常時と危機時に区分 し、危機時にはリスクに強く反応することについて検証している。

また、Epermanis and Harrington(2006)では、保険会社の格付の変化が収入保険料に影 響を与えるという視点から、Zanjani(2002)では、保険会社の格付の低下が解約の増加につ ながるという視点から、Cummins and Danzon(1997)では、保険会社のデフォルトリスク と保険価格の関連という視点から、Sommer(1996)では、自己資本比率の変化がポートフォ リオリスクを変化させ、保険価格に影響を与えるという視点から保険市場における市場規

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第Iセッション  報告要旨:久保・楠田

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律について検証している。他方、Carson, Doran and Dumm(2011)では、個人年金保険市 場において、まったく性質が異なる市場規律が存在するということを検証している。さら

にPark and Tokutsune(2012)では、日本の生命保険業界に焦点を当て、格付とソルベンシ

ーマージン比率による市場規律の存在について検証した。

3. 実証分析

  本研究報告では、保険会社の財務状態に関する指標(ソルベンシーマージン比率、格付) が変化することによって、個人年金保険の契約に関する指標(保有契約数、新規契約数、解 約率など)がどのように変化するのかについて分析する。

必要なデータは生命保険会社発行のアニュアルレポート(年次報告書)から入手し、一部の 格付情報は生命保険会社より直接入手している。そこから個人年金保険の販売している保 険会社を抽出し、 格付取得の有無により区分し、格付やソルベンシーマージン比率の変化 が、保有契約数、新規契約数、解約率などにどのようや影響を与えるのかについて検証す る。

また、保険会社が格付会社から取得している格付の数や個人年金保険を販売している保 険会社の会社組織形態が相互会社かどうか、同じく外資系の保険会社かどうかが契約に何 らかの影響を与えているのかどうかについても分析する。

4. 本研究報告における仮説

本研究報告において、「保険会社のソルベンシーマージン比率が良化すれば、保有契約数、

新規契約数が上昇し、解約率が減少する。他方、ソルベンシーマージン比率が悪化すれば、

保有契約数、新規契約数が減少し、解約率が上昇する」という仮説を立て、検証を行う。

5. 分析結果

分析結果については、後日作成するレジュメにて報告予定。

6. おわりに

・今後の研究の展開の方向性について

他の保険種目(生命保険、損害保険)での分析を通じた市場規律の存在の検証

Referensi

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