導入資料と活用
◎導入ページ全体のねらい
親しみやすい漫画形式の資料によって導入を図る ことにより,抽象概念を多く扱う学習単元への抵抗感 を弱め,特に章の冒頭部分から生徒が学習に入りやす くなるようねらっている。
ここでは,「日本国憲法」について,すでに小学校の
社会科(小学社会6年)などで獲得している知識や概念
(既習事項)を振り返り,確認させたい。そして,既 習事項の根底にある重要な概念(高次の概念)の存在 に気付かせるとともに,これから深化していく学習に 生徒が思いをはせることができるよう読ませることと したい。
◆導入漫画の使い方◆
〇特に奇をてらわず,初めから生徒とともに読み進め ていきたい。
〇読む前に,漫画の内容と関連する発問をし,学習の 構えができてから,生徒とともに読み進めたい。
※発問例
・「日本国憲法について覚えていることは?」
・「三つの基本原理の具体的な内容は?」
・「この三つの原則は『〇〇を大切にする』ということを 前提にしている。それは何?」
↓
生徒の発言を教師が板書
→「では,漫画で確認してみよう。」
第2章 個人を尊重する日本国憲法 《導入資料解説》
第2章の学習のはじめに
「日本国憲法の最も大切な考え方とはなんだろう」
教科書 p.38-39 サンプルサンプル
◆導入文 「日本国憲法と個人の尊重」◆
〇歴史的分野とのつながりを確認させ,「個人の尊重」
の概念を軸に憲法の学習を進めていく意義を理解 させる。
〇導入漫画を活用した学習の補足説明をしながら,
p.39下の「学習の見通し」につながる重要語句を生 徒に想起させる。
導入資料への問いと回答例
◎問いのねらい
「現代社会の見方・考え方」を働かせた「思考力,
判断力,表現力等」の育成を意識し,各時間の詳細な 学習に入る前のこの時点で,生徒に一定考えを整理さ せておきたい。
まずは,逆説的に「個人が尊重されない社会」につ いて考えさせることで,「個人の尊重」の重要性を意識 させたい。そして,「個人が尊重されない社会」で起こ る問題の具体例を出し合い,全体で確認することで,
今日の社会が何を前提として成り立っているのかを想 像させたい。
◆問いを用いた学習の流れの例◆
(1)①の問いを提示し,個人で考えさせる。
(2)グループで考えさせる(②)。
(3)全体で共有させる(③)。
(4)各自で感想を書かせ,その問題を防ぐための ルールや仕組みを考え,発表させる。
・(2)の「グループで考えさせる」では,4~6人
でグループをつくって話し合い,グループの意見 を決め,それをホワイトボード等に書かせる。
・(3)の「全体で共有させる」では,全体にホワイ
トボード等を見せながら,各グループの代表者が 意見(起こる問題+起こる理由)を発表する。
・(4)では,各自で感想を書かせたあと,時間があれ
ば,問題を防ぐためのルールや仕組みなどを挙げ させて共有したい。
・最後に教師が学習活動を整理しながら,第2章全 体の「学習の見通し」につなげていく。
◆予想される回答(「起こる問題」の例)◆
・「歴史で習った戦争のように,臨んでなくても戦地に行 かなければならない。」
・「自由に進学先を選べない。」
・「自由に結婚相手を選べない。」
・「自由に職業を選べない。」
・「女性だからといって差別される。」
・「少数派の意見がすべて無視される。」
・「障がいのある人や病気の人,高齢者などを助けな い。」 など
第2章の学習の見通し
〇適宜,p.2の「もくじ」を見せながら,学習単元の全 体像(構成,節立て)を俯瞰させ,始まりから終わ りまでの見通しをもたせたい。
〇p.38 の導入漫画を活用した学習内容を振り返りな がら,「章を貫く問い」(ここでは「なぜ,“個人を尊 重する”ことが大切にされるようになったのだろう か」)を示し,第2章全体の学習の大きなテーマを意 識させる。
〇第2章で特に扱う「現代社会の見方・考え方」(「個人 の尊重」,「法の支配」)を確認し,今後の学習で「思 考力・判断力・表現力等」を働かせる際の軸となる 視点を理解させる。
※活用の仕方
・p.39上の学習活動を受けて,生徒とともに読み進 めて全体の理解を図りたい。
・導入漫画からここまでで,1単位時間として収ま るよう進めたい。