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脂質を動かす酵母Oshタンパク質ファミリー - J-Stage

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212 化学と生物 Vol. 53, No. 4, 2015

脂質を動かす酵母 Osh タンパク質ファミリー

オルガネラ膜接触部位における Osh の役割

細胞膜やオルガネラはそれぞれ固有の脂質組成を有し ており,それらが正しく維持されて細胞は正常に機能す る.脂質組成の維持には,脂質が合成された場所から目 的の場所へ正確に運ばれる必要がある.脂質の輸送は小 胞輸送のほかに,輸送小胞を介さない特殊な装置によっ て厳密に制御されていると考えられる.近年,オキシス テロール結合タンパク質(oxysterol-binding protein; 

OSBP)の酵母ホモログ(Osh)が,ステロール以外に phosphatidylinositol-4-phosphate (PI4P),セ ラ ミ ド,

phosphatidylserine (PS) の 運び屋 として働いてい ることが見いだされた.本稿では,Oshの最新の知見を 紹介する.

OSBPお よ びORP(OSBP-related proteins) は ヒ ト から酵母まで高度に保存されたタンパク質である(1).異 なる分子種からなるファミリーを形成し,C末端に脂質 と結合するOSBP-related ligand-binding domain (ORD) 

を も つ.出 芽 酵 母 に は,

OSBPと 相 同 性 を 有 す る7つ の 分 子(Osh1-Osh7) を コードする遺伝子 - が存在する.7つすべて の遺伝子を破壊すると酵母は致死となることから,

は酵母にとって重要な働きをもつ遺伝子であると 言 え る.Osh1-Osh4はPI4Pと 結 合 す るPleckstrin ho- mology (PH) domainを有し,さらにOsh1とOsh2はC 末端側にタンパク質との相互作用に関連するankyrin  repeats(ANK) を,Osh3はGolgi dynamics (GOLD) 

domainをもつ(図1

Oshファミリーの中でもOsh4は最初に機能が明らか にされたタンパク質であり,最もよく研究が進んでい

る. 遺伝子を欠失した酵母を用いた解析から,

Osh4はゴルジ体からの輸送小胞の形成を負に制御する 因子であることが1996年に報告された(1)(図2;  ①) Osh4はそのORD内にある一つの結合ポケットでステ ロールとPI4Pの両方と結合する能力を有することから

(図2; ②),PI4Pと結合するOsh4の能力がゴルジ体にお ける負の制御に密接に関係していると予想されるが,い まだ詳細な分子機構は不明である.一方で,すべての 遺伝子を破壊し 変異遺伝子を形質転換した Δ 変異株では分泌障害が起こる(1).また,Osh4 はゴルジ体から出芽されてできた分泌小胞に局在するこ と, Δ 変異株では分泌小胞の異常蓄積が観察さ れていることから(2),Oshはポストゴルジにおいては小 胞輸送を正に制御するタンパク質であることが示唆され ている(図2; ③).おそらくOshは,分泌小胞とその標 的膜である細胞膜(plasma membrane; PM)との融合 を促進させる役割をもつ可能性がある.さらに,Oshは 細胞膜からのエンドサイトーシスを正に制御しているこ とも知られている(図2; ④).

それでは,ほかのオルガネラでは,Oshはどのような 役割を担っているのであろうか.Oshファミリーの多く は,小胞体(endoplasmic reticulum; ER)膜とPMある いはオルガネラ膜同士が接触している部位membrane  contact sites(MCS)に局在する(1).Osh1はER(核膜 外膜)と液胞との間のnucleus-vesicle junction(NVJ)

と 呼 ば れ るMCSに,Osh2, Osh3, Osh6, Osh7はERと PMと の 間 のMCSに 局 在 す る こ と が 知 ら れ て い る.

Osh1, Osh2, Osh3はORDのほかに,ER膜タンパク質

(vesicle-associated membrane protein-associated pro- tein; VAP)の酵母ホモログScs2およびScs22と結合す るFFAT (two phenylalanines (FF) in an acidic tract)

モチーフをもつ(図1).このモチーフを介してER膜に 結合するが,OshとScs2あるいはScs22との複合体の ERにおける役割は不明であった.筆者らは,Osh4に加 え,Osh2とOsh3がERからの輸送小胞の形成を負に制 御することを見いだした(3)(図2;  ⑤).また,それら OshのFFATモチーフと結合できない 変異体を用 いた解析から,Osh2, Osh3による制御はScs2との結合 図1酵母Oshタンパク質ファミリーの構造

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を介したものであることも示唆された.

一方, ,  ,  の三重破壊株では,輸送 小胞を介したERからゴルジ体へのセラミドの輸送に異 常が生じ,複合スフィンゴ脂質の合成が低下する(3).つ まり,Osh2, Osh3, Osh4はセラミドのERからの小胞輸 送を正に制御する役割を担う(図2; ⑥).積荷タンパク 質であるCPYやGas1のERからの輸送にはOshが必要 でないことから,セラミドはそれらのタンパク質が含ま れる小胞とは異なる輸送小胞を介してゴルジ体へ運ばれ ると考えられる.おそらく,OshはERにおけるタンパ ク質とセラミドの選別,あるいはセラミドに富む輸送小 胞とゴルジ体との特異的な結合に関与しているのであろ う.興味深いことに,Mousleyらは,ステロールとの結 合に欠陥をもつ 変異株でセラミドが蓄積すること,

さらに栄養状態に対する細胞応答の主要シグナル因子で あるTOR(Target of Rapamycin)複合体1(TORC1)

の活性が低下することを報告している(4).Oshによるス フィンゴ脂質の恒常性維持機構は,TORシグナル伝達 経路において重要な役割を果たしているかもしれない.

MCSの生理的意義はまだよくわかっていないが,脂 質やカルシウムなどの低分子のオルガネラ間移動や交換 を効率よく起こさせるために機能している領域であると

考えられている.ER-PM間のMCSの形成にはOshは必 要ではない.しかし,人工膜を用いた 系でOsh のORDが2つの膜を凝集させる能力を有すること,さ らにOsh4はステロールとPI4Pを引き抜く能力を有する ことから,Oshはオルガネラ間のMCSでステロールと PI4Pを交換する輸送タンパク質として機能していると いうモデルが提唱されている(1)(図2;  ⑦).しかし,こ れに反して,OshはER膜中でのステロールの側方移動 や組織化をコントロールする因子として機能している可 能性も指摘されている(5)(図2; ⑧).

近年,MCSに局在するOshには脂質を運ぶ以外の役 割 も あ る こ と が わ か っ て き た.Emrの グ ル ー プ は,

Osh2とOsh3がVAPとの結合を介して,ERに局在する PI4PホスファターゼSac1を活性化させることを報告し ている(6).このSac1の活性化はER膜に接しているPM 内のPI4PをPIへ代謝させると考えられる(図2;  ⑨). これと一致して,ER-PM間のMCSをなくすと,PIに対 するPI4Pの割合が増加することが認められている(7). さらに,ER-PM間のMCSにおいて,Osh3はホスファ チジルコリンの合成酵素Opi3の活性調節にも関与して いることが示唆されている(8).つまり,MCSは異なる 膜に存在する酵素と基質間での反応を仲介する働きを 図2酵母Oshタンパク質ファミリーの役 割

Cer, ceramide; CSL, complex sphingolipid; 

PI,  phosphatidylinositol;  PI4P,  phosphati- dylinositol-4-phosphate;  PS,  phosphatidyl- serine.

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担っており,そこに局在するOshによって脂質代謝が 制御されているようである.

先に述べたように,Osh6とOsh7はER-PM間のMCS に主に局在する.Osh6の局在はPSの代謝異常により著 しく変化することから,Osh6はPSの輸送タンパク質と して機能していると推察された.実際,Osh6とOsh7は PSに特異的に結合することが示された(9).また,人工 膜リポソームを用いたPS移行の と の解 析から,Osh6とOsh7はERとPM間でのPSの輸送に関 与するタンパク質であることが示唆された(図2; ⑩)(9). ER-PM間のMCSがPSの輸送に重要であるかどうかは 今後の研究を待たなければならないが,ヒトORP5と ORP10もPSと結合する能力を有していることから,

OshによるPSの輸送制御は進化的に保存された機構で あると考えられる.

このように,ここ数年,Oshの役割に関する興味深い 報告が続いている.Oshは脂質輸送タンパク質や脂質代 謝調節因子としての役割以外に,脂質を感知しその情報 を下流に伝えるセンサーとしての役割も指摘されてい る(1).また, - 遺伝子のそれぞれの単独およ び六重までの多重破壊では生育に影響を与えないが,7 つすべての遺伝子を破壊すると致死となることから,互 いに機能を相補しあうことのできる遺伝子ファミリーで あると考えられる.しかし,Osh間での機能ネットワー クについてはよくわかっていない.今後はそれらに関し ても研究が進展し,細胞の形成や維持におけるOsh ファミリーの重要な役割が明らかにされるものと期待さ れる.

  1)  V. M. Olkkonen & S. Li:  , 52, 529 (2013).

  2)  Y. Ling, S. Hayano & P. Novick:  , 25, 3389  (2014).

  3)  K. Kajiwara, A. Ikeda, A. Aguilera-Romero, G. A. Castil- lon, S. Kagiwada, K. Hanada, H. Riezman, M. Muñiz & K. 

Funato:  , 127, 376 (2014).

  4)  C. J. Mousley, P. Yuan, N. A. Gaur, K. D. Trettin, A. H. 

Nile, S. J. Deminoff, B. J. Dewar, M. Wolpert, J. M. Mac- donald, P. K. Herman  :  , 148, 702 (2012).

  5)  A. G. Georgiev, D. P. Sullivan, M. C. Kersting, J. S. Ditt- man, C. T. Beh & A. K. Menon:  , 12, 1341 (2011).

  6)  C. J. Stefan, A. G. Manford, D. Baird, J. Yamada-Hanff, Y. 

Mao & S. D. Emr:  , 144, 389 (2011).

  7)  A. G. Manford, C. J. Stefan, H. L. Yuan, J. A. Macgurn & 

S. D. Emr:  , 23, 1129 (2012).

  8)  S.  Tavassoli,  J.  T.  Chao,  B.  P.  Young,  R.  C.  Cox,  W.  A. 

Prinz,  A.  I.  de  Kroon  &  C.  J.  Loewen:  , 14,  434 (2013).

  9)  K. Maeda, K. Anand, A. Chiapparino, A. Kumar, M. Po- letto, M. Kaksonen & A. C. Gavin:  , 501, 257 (2013).

(池田敦子,船戸耕一,広島大学大学院生物圏科学研究 科)

プロフィル

池田 敦子(Atsuko IKEDA)

<略歴>2014年広島大学生物生産学部卒 業/同年同大学大学院生物圏科学研究科修 士課程入学・在学中<研究テーマと抱負>

酵母におけるセラミドの輸送に関する研究

<趣味>梅酒の飲みくらべをすること

船戸 耕一(Kouichi FUNATO)

<略 歴>1989年 徳 島 大 学 薬 学 部 卒 業/

1994年同大学大学院薬学研究科修了,薬 学博士取得,日本学術振興会海外特別研究 員(米国ワシントン大学医学部),理化学 研究所基礎科学特別研究員,スイスバーゼ ル大学生物研究所博士研究員,スイスジュ ネーブ大学理学部上級博士研究員を経て,

2004年広島大学大学院生物圏科学研究科 助教授/2007年同大学大学院生物圏科学 研究科准教授,現在に至る<研究テーマと 抱負>酵母における脂質の合成,輸送,機 能に関する研究<趣味>ビールをだらだら 飲むこと

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