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「英語が使える日本人」のグローバルキャリア構築 - 早稲田大学

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平畑奈美, “「英語が使える日本人」のグローバルキャリア構築:「英語学習」から「日本語教育」へのライフヒストリ,”

言語学習と教育言語学 2016 年度版, pp. 47-64, 日本英語教育学会・日本教育言語学会合同編集委員会編, 早稲田大学情報教育研究所発行, 2017年3月31日.

「英語が使える日本人」のグローバルキャリア構築

-「英語学習」から「日本語教育」へのライフヒストリー-

平畑 奈美

滋賀大学国際センター 〒522-8522 滋賀県彦根市馬場1-1-1 E-mail: hina_tkbm@yahoo.co.jp

あらまし 2002 年、文部科学省は「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」を策定、以来「英語が使 えて」「グローバルな場で活躍できる」日本人の育成が、教育機関に強く求められるようになっている。しかし、そ うした日本人とは具体的にはどのような人物なのか、実際の教育現場で、どのような教育目標を設定し、学習者を どう動機づければいいのか、といった点は曖昧なままである。本稿では、この課題を考えるための参考例として、

大学在学中に高い英語力を身につけた後、日本語教師に転向して青年海外協力隊に参加、そこを足がかりにグロー バルキャリアを構築していった日本人4人のライフヒストリーを提示する。彼らに共通するのは、「人に必要とされ たい」、「自分の好きなことがしたい」という動因を持っていたこと、そして日本語教師隊員を経たことで、日本へ の貢献を意識するようになったというところである。ここから、英語の運用能力向上のみに着目するのではなく、

英語を使って国際社会の中で何ができるのか、また個人の幸福感や自己肯定感につながるようなグローバルキャリ アとはどのようなものなのか、若者たちに示していく必要があると主張する。

キーワード グローバル人材育成、グローバルキャリア、英語が使える日本人、ライフヒストリー、青年海外協 力隊日本語教師隊員

Global Careers of Japanese with English Proficiency:

Life histories of English learners turned into Japanese teachers

Nami HIRAHATA

Shiga University International 1-1-1 Banba, Hikone-shi, Shiga, 522-8522 JAPAN E-mail: hina_tkbm@yahoo.co.jp

Abstract “Cultivation of Japanese with English Proficiency” and “Global Human Resource Development” has have been the two major issues of Japanese Ministry of Japanese Ministry of Education, Culture, and Sports and Technology (MEXT) in this century but what these terms mean is are vague and ill-defined. In this paper, we will focus on several life histories and life stories of Japanese, who first got equipped with high English proficiency while in college, then participated in the Japan Overseas Cooperation Volunteers as Japanese language teachers and later established global vocational careers. What we find in those stories and histories in common is are strong aspiration “to be needed” and “to do what they want” and revelations toward “contribution to Japan” through experiences as Japanese language teachers. This suggests that in order to achieve

“Global Human Resource Development” we should not narrowly focus on improvements on language knowledge and four skills and proficiency but rather show young Japanese how they can achieve happiness and self-fulfillment in global careers by working in an international society using English.

Keywords: Global Human Resource Development, global careers, cultivation of Japanese with English proficiency, life

(2)

history, Japan Overseas Cooperation Volunteers as Japanese language teachers

1. 主 旨

近 年 、「(仕 事 で)英 語 が 使 え る 日 本 人 」 や 、「 グ ロ ー バ ル 人 材 」 な い し 「 グ ロ ー バ ル な 場 で 活 躍 で き る 日 本 人 」 等 の 育 成 が 、 国 の 教 育 の 喫 緊 の 課 題 と さ れ 、 こ の 方 針 に 沿 う こ と が 教 育 機 関 に 強 く 求 め ら れ て い る 。

し か し 、「(仕 事 で)英 語 が 使 え る 」 と は 、 具 体 的 に ど の よ う な 状 態 に な る こ と を 指 す の か 、「 グ ロ ー バ ル な 場 で 活 躍 」 す る と い う こ と は 、 具 体 的 に ど の よ う な キ ャ リ ア を 指 し て い る の か 明 確 で は な い 。 教 育 す る 側 と し て は 、 と り あ え ず 基 本 的 な 英 語 の 運 用 力 を 高 め 、 海 外 で 働 く 経 験 を 若 者 に 推 奨 す る と い う 対 応 し か 考 え ら れ な い だ ろ う 。 し か し 疑 問 は 残 る 。 動 機 づ け は ど う す る の だ ろ う か 。 ま た 、 グ ロ ー バ ル な 場 で の 活 躍 す る 若 者 た ち に 求 め る の は 、 英 語 力 向 上 の み で い い の だ ろ う か 。 そ も そ も 、 こ れ は 何 の た め に 行 う の か 。 日 本 の 、 ま た は 日 本 の 若 者 た ち の 幸 福 に つ な が る も の な の か 。 こ う し た 疑 問 に つ い て の 明 確 な 回 答 は 、 少 な く と も 国 の 指 針 の 中 に は 見 出 す こ と は で き な い 。

無 論 、 こ れ ら の 疑 問 は 教 育 の 本 質 と も か か わ る も の で あ り 、 一 つ の 研 究 知 見 を も っ て 安 直 な 回 答 を 出 す こ と の で き な い も の で あ る 。 そ う し た 限 界 の 存 在 を 認 め た 上 で 、 本 稿 で は 、 上 記 の 疑 問 を 考 え る 上 で 参 考 と な る 事 例 を 提 出 し た い 。具 体 的 に は 、「 英 語 が 使 え る 」よ う に な り 、「 グ ロ ー バ ル な 場 で 活 躍 す る 」 こ と を 願 い 、 日 本 語 教 育 に 転 向 し て 青 年 海 外 協 力 隊 に 参 加 、 そ こ を 出 発 点 と し て 、 そ れ ぞ れ の グ ロ ー バ ル キ ャ リ ア を 築 い た4人 の 日 本 人 の ラ イ フ ヒ ス ト リ ー で あ る 。そ の 上 で 、 特 に 国 内 の 大 学 で の 教 育 に か か わ る 人 々 に 対 し 、1.日 本 の 若 者 を グ ロ ー バ ル な 場 へ と 導 く た め に は 、 英 語 能 力 も さ り な が ら 、 日 本 語 教 育 の 能 力 を つ け さ せ る と い う こ と も 有 効 で あ る 、 2.日 本 の 若 者 が 英 語 が で き る よ う に な り 海 外 で 就 職 す る よ う に な っ た と し て も 、 そ れ だ け で あ れ ば 日 本 社 会 が 得 る も の は 多 く は な い 。 よ り 重 要 な の は 、 彼 ら の 中 に 、 グ ロ ー バ ル な 活 動 を 通 し て 社 会 に 貢 献 し 、 自 己 実 現 し て い こ う と す る 自 発 的 意 欲 を 育 て る こ と で あ り 、 そ れ が 育 つ よ う な 機 会 を 提 供 す る 必 要 が あ る 、 と い う こ と を 訴 え た い 。

な お 、 本 稿 は 、 日 本 の 人 材 育 成 に お け る 英 語 教 育 の あ り 方 や 意 義 を 問 う も の で は な い 。 わ ず か 4人 の 語 り を 扱 う 小 論 に お い て 、そ の よ う な 議 論 を 展 開 す る の は 、 無 理 が あ る 。 本 論 は あ く ま で も 、 グ ロ ー バ ル 化 に 対 応 し た 人 材 の 育 成 に お い て 、 英 語(外 国 語)を 学 び 、 日 本 語(母 語)を 教 え る と い う こ と を 、 学 び の 両 輪 と し て 並 行 さ せ る こ と に よ っ て 開 け る 可 能 性 を 検 討 す る も の で あ る 。 そ し て 、 グ ロ ー バ ル な 場 で の 活 動 を 、 人 生 の 意 義 を 深 め る も の と し て 若 者 に 提 示 す る た め に は 、 身 に

つ け た 言 語 の 力 に よ っ て 、 国 際 社 会 に お い て 他 者 に 必 要 と さ れ る 経 験 や 、 厳 し い 現 実 に 直 面 し 葛 藤 す る 経 験 を 持 た せ る こ と が 望 ま し い と い う こ と を 、 関 係 者 と 共 有 す る こ と が 狙 い で あ る 。

2. 背 景

2.1. 英 語 教 育 改 革 の動 き

今 日 の 日 本 の 教 育 に お い て 、英 語 が い か に 重 視 さ れ る よ う に な っ て い る か 。 関 係 者 に と っ て こ れ は 既 知 の 情 報 で あ る た め 、 概 要 の み を 記 す 。

英 語 教 育 は 、 戦 後 一 貫 し て 重 視 さ れ 続 け て き た が 、 日 本 の 国 際 産 業 力 の 低 下 が 明 白 に な っ た 前 世 紀 末 か ら 、

「 国 際 化 」、「 英 語 教 育 の 強 化 」 を 叫 ぶ 声 は 著 し く 大 き く な っ た 。 文 部 科 学 省 は 2002年7月 に 「『 英 語 が 使 え る 日 本 人 』 の 育 成 の た め の 戦 略 構 想 : 英 語 力 ・ 国 語 力 増 進 プ ラ ン 」1を 発 表 、「 国 際 社 会 に 活 躍 す る 人 材 等 に 求 め ら れ る 英 語 力 」に つ い て 、「 各 大 学 が 、仕 事 で 英 語 が 使 え る 人 材 を 育 成 す る 観 点 か ら 、 達 成 目 標 を 設 定 」 す る こ と が 求 め ら れ る と し た 。翌 2003年3月 に 発 表 さ れ た「『 英 語 が 使 え る 日 本 人 』の 育 成 の た め の 行 動 計 画 」

2で は 、「 日 本 人 に 求 め ら れ る 英 語 力 」 の 目 標 が 整 理 さ れ 、「 専 門 分 野 に 必 要 な 英 語 力 や 国 際 社 会 に 活 躍 す る 人 材 等 に 求 め ら れ る 英 語 力 」に つ い て 、「 大 学 を 卒 業 し た ら 仕 事 で 英 語 が 使 え る 」と の 文 言 が 加 え ら れ た 。た だ 、 こ こ で 言 う 「 仕 事 」 と は ど の よ う な も の な の か は 明 確 に さ れ て お ら ず 、「 各 大 学 が 達 成 目 標 を 設 定 」と い う 一 文 を 再 掲 す る に と ど ま っ て い る 。

2011年 6 月 に は 、「 国 際 共 通 語 と し て の 英 語 力 向 上 の た め の 五 つ の 提 言 と 具 体 的 施 策 」3、2014 年 9 月 に は 「 今 後 の 英 語 教 育 の 改 善 ・ 充 実 方 策 に つ い て 報 告

~ グ ロ ー バ ル 化 に 対 応 し た 英 語 教 育 改 革 の 五 つ の 提 言

~ 」4、と い っ た 一 連 の 方 針・施 策 が 発 表 さ れ 、英 語 強 化 の 動 き は 加 速 し 、 小 学 校 英 語 教 育 の 必 修 化 も 決 定 し た 。「 今 後 の 英 語 教 育 の 改 善・充 実 方 策 に つ い て 報 告

~ グ ロ ー バ ル 化 に 対 応 し た 英 語 教 育 改 革 の 五 つ の 提 言

~ 」 に は 、 以 下 の よ う な 記 述 が あ る 。

1 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/

020/sesaku/020702.htm

2 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/015/

siryo/04042301/011.htm

3 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/ 082/

houkoku/1308375.htm

4 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/ 102/

houkoku/attach/1352464.htm

(3)

社 会 の 急 速 な グ ロ ー バ ル 化 の 進 展 の 中 で 、英 語 力 の 一 層 の 充 実 は 我 が 国 に と っ て 極 め て 重 要 な 問 題 。こ れ か ら は 、国 民 一 人 一 人 に と っ て 、異 文 化 理 解 や 異 文 化 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン は ま す ま す 重 要 に な る 。そ の 際 に 、国 際 共 通 語 で あ る 英 語 力 の 向 上 は 日 本 の 将 来 に と っ て 不 可 欠 で あ り 、ア ジ ア の 中 で ト ッ プ ク ラ ス の 英 語 力 を 目 指 す べ き で あ る 。(中 略)東 京 オ リ ン ピ ッ ク・パ ラ リ ン ピ ッ ク を 迎 え る 2020(平 成 32)年 は も と よ り 、 現 在 、 学 校 で 学 ぶ 児 童 生 徒 が 卒 業 後 に 社 会 で 活 躍 す る で あ ろ う2050(平 成 62)年 頃 に は 、我 が 国 は 、多 文 化・

多 言 語・多 民 族 の 人 た ち が 、協 調 と 競 争 す る 国 際 的 な 環 境 の 中 に あ る こ と が 予 想 さ れ 、そ う し た 中 で 、国 民 一 人 一 人 が 、様 々 な 社 会 的・職 業 的 な 場 面 に お い て 、外 国 語 を 用 い た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 行 う 機 会 が 格 段 に 増 え る こ と が 想 定 さ れ る 。

こ の 記 述 に つ い て は 、 グ ロ ー バ ル 化 が 進 展 に よ っ て 国 民 一 人 一 人 が 、 英 語 に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 行 う よ う に な る の か 、 そ う だ と し て も ア ジ ア ト ッ プ ク ラ ス の 英 語 力 を 目 指 す 必 要 が あ る の か 、多 文 化・多 言 語・

多 民 族 の 人 た ち が 日 本 で 生 活 す る よ う に な っ た 時 に 、 日 本 人 が 彼 ら と 「 協 調 と 競 争 す る 」 上 で 必 要 な 外 国 語 は 英 語 な の か 等 、 よ り 議 論 を 深 め る べ き 点 が あ る よ う に 思 わ れ る 。

な お 、 同 文 書 に は 、 こ の 主 旨 を 達 成 す る た め に 、 国 が 示 す 教 育 目 標 ・ 内 容 の 改 革 の 第 一 案 と し て 、

学 習 指 導 要 領 で は 、小・中・高 等 学 校 を 通 し て1.

各 学 校 段 階 の 学 び を 円 滑 に 接 続 さ せ る 、2.「 英 語 を 使 っ て 何 が で き る よ う に な る か 」と い う 観 点 か ら 一 貫 し た 教 育 目 標(4 技 能 に 係 る 具 体 的 な 指 標 の 形 式 の 目 標 を 含 む)を 示 す 。

と い う 文 言 が 記 さ れ て い る 。 こ こ で い う 「 何 が で き る よ う に な る か 」 と は 、 あ く ま で も 言 語 の 4技 能 に か か わ る も の を さ す 。 好 き な 職 に 就 け る 、 多 く の 友 人 に 恵 ま れ る 等 、 児 童 生 徒 に 「 英 語 を 勉 強 し て 、 で き る よ う に な る こ と は 何 か 」 と 尋 ね た ら 答 え る で あ ろ う 、 個 人 の 人 生 の 豊 か さ に か か わ る 目 標 で は な い 。同 文 書 で は 、

「 学 習 の 動 機 付 け 」 と い う 言 葉 も 計8回 使 用 さ れ て い る が 、そ の 具 体 例 と し て は 、英 語 の 使 用 機 会 を 増 や す 、 資 格 ・ 検 定 試 験 を 活 用 す る と い っ た こ と が 書 か れ て い る の み で 、 英 語 が で き る よ う に な る こ と と 個 人 の 幸 福 の 間 の 関 係 に つ い て は や は り 言 及 さ れ て い な い 。 森 住 (2012:144)は 、 こ れ ら の 施 策 に つ い て 「 理 念 の 欠 落 、 つ ま り 、『 何 の た め に ど の よ う な 英 語 力 を つ け る べ き な の か 』 が 欠 落 し て い る 」 と し て い る 。

英 語 教 育 の 強 化 拡 充 が 求 め ら れ て い る の は 初 中 等 教 育 機 関 の み で は な い 。 英 語 能 力 の 強 化 は 、 む し ろ 、 職 業 能 力 の 育 成 が 期 待 さ れ る 、高 等 教 育 機 関 に 、「 グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 」 と 抱 き 合 わ せ る 形 で 、 よ り 強 く 求 め ら れ て い る 。

2005年 に 発 表 さ れ た「 文 部 科 学 省 に お け る 国 際 戦 略 (提 言)」5に は 、第1節 と し て「 国 家 の 根 幹 た る 人 材 戦 略 」 が 掲 げ ら れ 、 項 目 の 1に 「 国 際 社 会 で 活 躍 す る 人 材 を 義 務 教 育 レ ベ ル か ら 育 成 」、2 に 「『 知 』 の 拠 点 た る 大 学 及 び 研 究 機 関 の 国 際 競 争 力 の 強 化 」 が あ げ ら れ て い る 。 リ ー マ ン シ ョ ッ ク を 経 た 2010年 に は 、「 新 成 長 戦 略『 元 気 な 日 本 』復 活 の シ ナ リ オ 」6が 閣 議 決 定 さ れ た 。「『 強 い 経 済 』『 強 い 財 政 』『 強 い 社 会 保 障 』 の 実 現 」に 向 け た プ ラ ン を ま と め た こ の 文 書 の 中 に 、「 グ ロ ー バ ル 人 材 の 育 成 」と い う 項 目 が あ り 、「 我 が 国 の 教 育 機 関 ・ 企 業 を 、 国 内 の グ ロ ー バ ル 化 に 対 応 す る 人 材 を 生 み 出 す 場 と す る 」 と い う 一 文 が 記 さ れ て い る 。 こ れ 以 降 、「 グ ロ ー バ ル 人 材 」と い う 言 葉 は 時 代 の キ ー ワ ー ド と な っ て い く 。

2011年5月 に は 、内 閣 官 房 長 官 を 議 長 と し 、経 済 産 業 省 大 臣 、 文 部 科 学 大 臣 ら を 構 成 員 と す る 「 グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 推 進 会 議 」が 設 置 さ れ 、2014年 に は 文 部 科 学 省 が 「 ス ー パ ー グ ロ ー バ ル 大 学 の 創 成 支 援 」、「 経 済 社 会 の 発 展 を 牽 引 す る グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 支 援 」 を 含 む 、「 ス ー パ ー グ ロ ー バ ル 大 学 等 事 業 」7事 業 を 開 始 し た 。 こ の 「 ス ー パ ー グ ロ ー バ ル 大 学 」 に 求 め ら れ る 成 果 の 指 標 と し て 、「 外 国 語 に よ る 授 業 科 目 の 割 合 」が あ る が 、 こ の 「 外 国 語 」 と は 実 質 的 に 英 語 で あ る こ と か ら 、「 大 学 の 授 業 を 英 語 で 行 う 」こ と の 是 非 が 、巷 間 の 議 論 の 的 と な っ て い く 。

英 語 教 育 改 革 の 動 き は 入 試 制 度 に も 影 響 を 及 ぼ し た 。2013 年 に 自 民 党 教 育 再 生 実 行 本 部 が 大 学 入 試 へ の TOEFL 導 入 を 提 言8、2014年 に は 文 部 科 学 省 が「 高 大 接 続 」 と 「 大 学 入 試 改 革 」 に 先 行 し て 4技 能 英 語 外 部 試 験 を 活 用 す る こ と を 大 学 に 求 め9、大 学 で の 英 語 教 育 に お い て 、「 資 格 取 得 」や「 数 値 化 」が 重 視 さ れ る よ う に な っ て い く 。

5 http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ senryaku/

teigen/05092901.htm

6 http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2010/

sinseichou01.pdf

7 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/

sekaitenkai/1319596.htm

8 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/dai6/

siryou5.pdf

9 http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/

toushin/__icsFiles/afieldfile/2014/08/20/1351000_01 .pdf

(4)

2.2. 英 語 教 育 改 革 の動 きに対 する批 判

五 十 嵐(2015)は 、 グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 と は 英 語 の 流 暢 な 人 材 の 育 成 に 還 元 で き る こ と が 多 い と し 、「『 世 界 で 勝 つ 』 人 材 育 成 と い っ た よ う な 教 育 の 文 脈 で 使 わ れ て い る が 、 そ こ に 不 可 避 的 に 伴 わ れ る 競 争 へ の 動 員 と い う ニ ュ ア ン ス や 、過 度 に 手 垢 の つ い た『 グ ロ ー バ ル 』 と い う 語 感 か ら 、 ど う し て も あ る 種 の 胡 散 く さ さ が つ き ま と う 」(同:15)と 記 し て い る 。

確 か に 、グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 や 、英 語 強 化 の 政 策 は 、

「 競 争 」、「 ト ッ プ ク ラ ス 」、「 経 済 社 会 の 牽 引 」 と い っ た 文 言 が 各 所 に ち り ば め ら れ て い る こ と か ら も 明 ら か な よ う に 、 経 済 界 の 一 部 か ら の 要 請 を 反 映 し た も の で あ り 、 教 育 界 か ら は 、 大 津(2009)を は じ め 、 こ れ に 反 発 す る 声 も 大 き い 。

こ こ で そ の す べ て を 網 羅 す る こ と は 控 え る が 、 英 語 強 化 反 対 派 の 論 拠 の 一 つ と し て 、「 英 語 よ り 日 本 語(日 本 人 の マ ジ ョ リ テ ィ に と っ て の 母 語)」と い う 主 張 が あ る こ と に は 触 れ て お き た い 。 こ の 議 論 は 、 い わ ゆ る 学 術 論 文 と さ れ る も の よ り も 、 人 口 に 膾 炙 す る 書 籍 や 新 聞 等 で 行 わ れ て い る も の が 目 立 つ 。 お そ ら く 最 も 有 名 な も の は 、 幼 少 期 を 米 国 で 過 ご し た 作 家 ・ 日 本 文 学 者 の 水 村 美 苗 の 著 書 で 、2009年 の 小 林 秀 雄 賞 を 受 賞 し た

『 日 本 語 が 亡 び る と き - 英 語 の 世 紀 の 中 で 』(2008) だ ろ う 。こ こ で 水 村 は 、「 日 本 人 は 何 よ り も ま ず 日 本 語 が. . . . . . . . . . . . . . で き る よ う に な る. . . . . . . .

べ き. .

で あ る と い う 前 提 を は っ き り と 打 ち 立 て る 」、「 < 国 語 > と し て の 日 本 語 を 護 る. . . . . . . . . . . . .

こ と を 私 た ち 日 本 人 の も っ と も 大 い な る 教 育 理 念 と し て 掲 げ る 」(水 村 2008:290、傍 点 原 文 の ま ま)等 と 記 し て い る 。 よ り 挑 戦 的 な 議 論 と し て は 、 鈴 木 孝 夫 や 津 田 幸 男 等 、 英 語 研 究 に 従 事 し て き た 言 語 学 者 の 一 連 の 著 作 が あ げ ら れ よ う 。 例 え ば 津 田(2011:104)は 「 日 本 の 隅 々 ま で 英 語 が は び こ り 、英 語 が『 上 位 言 語 』、日 本 語 が『 下 位 言 語 』に な っ て い る 現 実 」を 糾 弾 し 、「 英 語 を は じ め と し た 諸 外 国 の 影 響 を は ね の け る の が 日 本 語 で す 」(同 : 4)と 激 し い 論 調 で 述 べ て い る 。 そ の 他 関 連 分 野 で は 、 政 治 学 者 の 施 光 恒 が 、2015年 に『 英 語 化 は 愚 民 化 - 日 本 の 国 力 が 地 に 落 ち る 』(集 英 社 新 書)を 著 し 、 当 代 の 論 客 の 「 絶 賛 」 を 浴 び た10と さ れ る 。 施 と 、 同 じ く 政 治 学 者 の 白 井 聡 は 、 季 刊 誌 『KOTOBA』2015 年 秋 号11で の 対 談「 負 け 続 け る 日 本 を 作 る『 英 語 化 』政 策 の 大 罪 」 (pp.166-171)に お い て 、「 英 語 化 推 進 は 大 学 に と っ て 自 殺 行 為 以 外 の 何 も の で も な い 」(白 井)、「 日 本 語 で は な く 、 英 語 で 授 業 が 行 わ れ る よ う に な る 。 こ れ で は 、 日 本 独 自 の 学 問 研 究 な ど 発 展 す る わ け が あ り ま せ ん 」

10 集 英 社 の ウ ェ ブ サ イ ト(http://shinsho.shueisha.co.jp/se /)に は 、佐 伯 啓 思 、水 野 和 夫 等 の 推 薦 文 が 記 載 さ れ て い る 。

1 1KOTOBA』 第21(2015秋 号) 集 英 社

(施)と い っ た や り と り を 行 い 、 英 語 化 政 策 を 対 米 追 従 と い う 視 点 か ら と ら え 、 批 判 し て い る 。

一 部 の 有 識 者 か ら 日 本 語 軽 視 と 激 し く 攻 撃 さ れ る 英 語 強 化 政 策 で あ る が 、 前 述 の グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 会 議 が 2012年 に 発 表 し た「 グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 推 進 会 議 審 議 ま と め 」12に は 、 グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 の 課 題 と し て 、1 に 「 英 語 教 育 の 強 化 、 高 校 留 学 の 促 進 等 の 初 等 中 等 教 育 の 諸 課 題 」、2に「 大 学 教 育 の 諸 課 題 」、3に「 採 用 活 動 の 改 善 等 の 経 済 社 会 の 諸 課 題 」、そ し て 4の「 そ の 他 の 課 題 」の 中 に 、「 職 業 教 育・職 業 訓 練 等 の 充 実 」、

「 国 際 的 な ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 の 促 進 」、「 日 本 語 ・ 日 本 文 化 の 世 界 的 な 普 及・展 開 」と い う 文 言 も 並 ん で お り 、 日 本 の 国 際 化 や グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 が 、 英 語 強 化 一 辺 倒 で 片 付 け ら れ て い る わ け で は な い こ と は 見 て と れ る 。 ま た 、こ の 審 議 ま と め の 本 文 に は 、若 者 が 留 学 を 避 け 、

「 内 向 き 化 」 し て い る こ と の 理 由 に つ い て 、

保 護 者 が 、進 学 率 の ま だ そ れ ほ ど 高 く な か っ た 20

~30 年 前 の 自 ら の 経 験 に 基 づ く イ メ ー ジ で 、 経 済 ・ 雇 用 情 勢 が 全 く 異 な る 現 在 の 若 い 世 代 を「 良 い 」 学 校 → 「 良 い 」 大 学 → 「 一 流 」 企 業 → 幸 せ な 人 生 、と い う 単 線 型 の 人 生 設 計 に 駆 り 立 て る 傾 向 も 根 強 く あ っ た の で は な い か 。(p5)

と い う 一 文 も あ り 、 教 育 す る 側 が 固 定 観 念 に よ っ て 若 者 を 追 い 込 む 弊 害 に つ い て も 、 目 配 り は さ れ て い る こ と も わ か る 。と は い え 、「 単 線 型 の 人 生 設 計 」の 対 極 が 、

「 留 学 す る 人 生 」 と は 言 え な い と い う こ と に も 思 い 至 る べ き で あ ろ う 。 留 学 の 推 奨 は 、 雇 用 状 況 に 不 安 が 増 す 中 、 保 護 者 や 教 育 機 関 が 、 漠 然 と し た 国 際 化 へ の 期 待 か ら 、「 良 い 」大 学 →「 英 語 力 向 上 の た め の 」留 学 → 幸 せ な 人 生 、 と い う 新 た な 単 線 型 の 人 生 設 計 に 、 若 者 た ち を 追 い 込 も う と す る 動 き だ と も 考 え ら れ る か ら で あ る 。

2.3. 国 際 ボランティアと日 本 語 普 及 促 進

こ こ で 、「 グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 推 進 会 議 審 議 ま と め 」 の 4「 そ の 他 関 連 す る 重 要 課 題 」に 記 さ れ た 、「 国 際 的 な ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 の 促 進 」、「 日 本 語 ・ 日 本 文 化 の 世 界 的 な 普 及 ・ 展 開 」 に つ い て 補 足 し て お き た い 。 同 文 書 に は 、 こ の 二 項 目 に つ い て 以 下 の よ う に 記 さ れ て い る 。

(2) 国 際 的 な ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 の 促 進

☆ 青 年 海 外 協 力 隊 を 中 核 と す る 、JICA に よ る ボ

1 2 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/global/1206011 matome.pdf

(5)

ラ ン テ ィ ア 派 遣 を 推 進 す る 。【 外 】

☆ 青 年 海 外 協 力 隊 を 中 核 と す る 、JICA に よ る ボ ラ ン テ ィ ア へ の 参 加 を 促 進 す る 観 点 か ら 、そ の 経 験 を 帰 国 後 に お け る 社 会 の 様 々 な 分 野 で の (特 に 女 性 の)活 躍 に 有 効 に つ な げ る た め の 方 策 を 、NGO・ 経 済 界 等 各 方 面 の 参 画 を 得 て 推 進 す る 。【 外 、 文 、 経 】

(3) 日 本 語 ・ 日 本 文 化 の 世 界 的 な 普 及 ・ 展 開

☆ 日 本 語 ・ 日 本 文 化 の 世 界 的 な 普 及 ・ 展 開 を 図 る た め 、国 内 外 の 広 報 ・ 文 化 交 流 等 を 有 機 的 に 結 び つ け る た め の 取 組 を 行 う 。 【 外 】

☆ 日 本 文 化 理 解 の 入 り 口 と な る 日 本 語 の 普 及 の た め 、 海 外 で の 日 本 語 講 座 、 日 本 語 能 力 試 験 、 日 本 語 教 師 派 遣 等 、 海 外 で の 日 本 語 教 育 を 充 実 ・ 強 化 す る 。【 外 】

☆ 開 発 途 上 国 の 初 等 中 等 教 育 機 関 や 観 光 系 専 門 学 校 等 で の 日 本 語 指 導 を 支 援 す る ボ ラ ン テ ィ ア を 派 遣 す る 。ま た 、特 に 中 南 米 で の 日 系 社 会 の 次 世 代 人 材 を 育 成 ・ 確 保 す る 観 点 か ら 、日 系 子 弟 の 継 承 語 ・ 継 承 文 化 と し て の 日 本 語 ・ 日 本 文 化 の 日 本 語 学 校 で の 学 習 を 支 援 す る ボ ラ ン テ ィ ア を 派 遣 す る 。【 外 】(pp.24-25、以 下 省 略)

カ ッ コ 内 、 外 、 文 、 経 の 文 字 は 、 そ れ ぞ れ 外 務 省 、 文 部 科 学 省 、 経 済 産 業 省 を 指 す 。 英 語 教 育 や 大 学 教 育 の 諸 課 題 に い て は【 文 】の 文 字 が 並 ん で い た の に 対 し 、 上 の 項 目 は 、 多 く が 外 務 省 管 轄 の 業 務 で あ る こ と が わ か る 。「 青 年 海 外 協 力 隊 を 中 核 と す る 国 際 ボ ラ ン テ ィ ア の 派 遣 」 や 「 日 本 語 ・ 日 本 文 化 の 世 界 的 な 普 及 ・ 展 開 の た め の 日 本 語 教 師 の 派 遣 」 に つ い て は 、 外 務 省 の み が 担 当 で 、 こ の 課 題 に 取 り 組 む た め に 、 日 本 の 教 育 機 関 が 何 を す る の か は 書 か れ て い な い 。 文 部 科 学 省 、 経 済 産 業 省 が 主 に 管 轄 す る 、1 の 「 英 語 教 育 の 強 化 、 高 校 留 学 の 促 進 等 の 初 等 中 等 教 育 の 諸 課 題 」、2の「 大 学 教 育 の 諸 課 題 」、3の「 採 用 活 動 の 改 善 等 の 経 済 社 会 の 諸 課 題 」 と は 異 質 な 、 ま さ し く 「 そ の 他 」 の 扱 い と な っ て い る 。「 グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 」構 想 が 、日 本 国 内 の 教 育 課 題 で あ る こ と を 考 え れ ば 、 外 務 省 所 轄 事 業 が 、 そ の 中 に 含 ま れ て い る こ と の ほ う が 、 不 自 然 と い う べ き な の か も し れ な い 。 だ が 、 周 辺 的 位 置 づ け で は あ っ て も 、 こ れ ら の 項 目 が 国 の 教 育 課 題 に 含 ま れ て い る こ と の 背 景 に は 、JICAボ ラ ン テ ィ ア 志 望 者 の 激 減 問 題 へ の 配 慮 が あ る の か も し れ な い 。

上 記(2)に お い て 、JICA ボ ラ ン テ ィ ア の 中 核 と さ れ た 青 年 海 外 協 力 隊 (Japan Overseas Cooperation Volunteers, 通 称 JOCV)は 、 ア メ リ カ の 平 和 部 隊 を 参 考 に1965年 に 創 設 さ れ た 国 際 ボ ラ ン テ ィ ア で 、半 世 紀 に わ た り 日 本 の ODAの 一 環 と し て 運 営 さ れ て き た 。 こ

の プ ロ グ ラ ム は 、「 現 地 の 開 発 へ の 協 力 、日 本 の 青 年 育 成 、 現 地 と 日 本 と の 友 好 親 善 促 進 」 を 目 的 に 、 日 本 の 20 歳 か ら39歳 ま で の 青 年 を 、「 青 年 海 外 協 力 隊 員 」と し て 、 発 展 途 上 国 に 2年 か ら 3年 間 派 遣 す る 。 選 抜 さ れ た 協 力 隊 員 は 、 担 当 す る 技 術 分 野 と 、 現 地 語 、 国 際 協 力 等 に つ い て の 派 遣 前 研 修 を 受 け 、 国 費 の 支 援 を 受 け て 送 り 出 さ れ る 。 こ れ ま で 世 界 88 ヵ 国 に 、 累 計 42,105 人13の 青 年 た ち を 送 り 出 し て き た こ の 国 家 的 事 業 へ の 応 募 者 は 、近 年 減 少 を 続 け 、2015年 度 に は 、12 年 前 の ピ ー ク と 比 し て 73% 減 と な っ た 。青 年 海 外 協 力 隊 員 に は 、 日 本 語 教 育 に 従 事 す る 日 本 語 教 師 隊 員14も い る が 、 日 本 語 教 師 隊 員 へ の 応 募 者 の 減 少 ぶ り は 、 殊 に 顕 著 で あ り 、2015年 度 に は12年 前 と 比 し て 実 に93%

減 少 し て い る(平 畑2017:76)。

JICA は 、 協 力 隊 応 募 者 数 減 少 の 理 由 と し て 、「 帰 国 後 の 就 職 難 」や「 若 者 の 内 向 き 志 向 」等 を 挙 げ て い る 。 ま た 、JICAボ ラ ン テ ィ ア の 活 動 の 場 で あ る 発 展 途 上 国 に つ い て 否 定 的 な イ メ ー ジ を 持 つ 人 が 多 い こ と や 、 JICAボ ラ ン テ ィ ア に 参 加 し た く て も 、外 国 語 が で き な い こ と を 障 害 と し て 感 じ る 人 が 多 い と い う 報 告 も あ る (清 水 2011:20)。 い ず れ に せ よ 青 年 海 外 協 力 隊 の 応 募 者 減 少 は 、 日 本 に と っ て 好 ま し い も の で は な い 。 公 的 に 派 遣 さ れ た 日 本 の 青 年 が 、 発 展 途 上 国 で 技 術 協 力 を 行 う こ と は 、 草 の 根 外 交 推 進 の 観 点 か ら 見 て 効 果 的 だ か ら で あ る 。 海 外 で の 日 本 語 教 育 推 進 も ま た 、 親 日 家 を 増 や し 、 日 本 の 存 在 感 を 示 す た め に 重 要 で あ る 。 こ れ ら を 「 グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 」 政 策 の 課 題 の 一 つ に 位 置 づ け 、 国 内 に 印 象 づ け ら れ る こ と が で き れ ば 、 志 望 者 減 少 に 歯 止 め が か か る と い う 関 係 者 の 期 待 も 、 あ る い は あ っ た の で は な い か 。 だ が 、 国 際 ボ ラ ン テ ィ ア の 促 進 も 、 日 本 語 ・ 日 本 文 化 の 世 界 的 な 普 及 推 進 も 、 日 本 国 内 の 教 育 課 題 と 有 機 的 に 結 び つ け ら れ て は い な い 。 佐 久 間(2014)は 、 日 本 の グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 に は 「 オ ー ル ジ ャ パ ン で 」 と い う 姿 勢 が 欠 け て お り 、 日 本 の 省 庁 間 の セ ク シ ョ ナ リ ズ ム が 強 い こ と が 、 青 年 海 外 協 力 隊 を 日 本 の グ ロ ー バ ル 人 材 と し て 位 置 づ け る 上 で の 弊 害 に な っ て い る と 指 摘 し て い る 。

3. 疑 問 点

以 上 、 グ ロ ー バ ル 育 成 人 材 政 策 、 英 語 教 育 改 革 政 策 を 見 て き た が 、 や は り 、 そ の 実 体 や 意 義 が 見 え に く い と い う こ と が 、 ま ず 問 題 だ と 思 わ れ る 。 五 十 嵐(2015) の 指 摘 通 り 、「 グ ロ ー バ ル 人 材 」と い う 言 葉 に は「 胡 散

1 3 https://www.jica.go.jp/volunteer/outline/publication/

results/jocv.html

1 4 JICAの 公 表 に よ る と 、 日 本 語 教 師 隊 員 の 累 積 派 遣 者 数 は 20161231日 現 在1,909人 で 、全 青 年 海 外 協 力 隊 員 の 約5% に 相 当 す る 。な お 、日 本 語 教 師 隊 員 の 約80% が 女 性 で あ る 。

(6)

臭 さ 」 が あ る と し て も 、 日 本 の 未 来 を 担 う 若 者 た ち の 目 を 国 際 社 会 に 向 け さ せ る こ と 、 異 文 化 環 境 で 異 文 化 を 持 つ 人 々 と 働 く 、 グ ロ ー バ ル キ ャ リ ア へ の 展 望 を 与 え る こ と は 、 教 育 上 必 要 で あ る は ず だ 。 し か し 、 本 稿 で 扱 っ た 材 料 の み を 見 て も 、以 下 の よ う な 疑 問 が 残 る 。

(1)英 語 力 向 上 だ け で よ い の か:英 語 の 国 際 共 通 語 と し て の 有 用 性 は 明 ら か で あ り 、「 日 本 語 を 護 る た め 」 と い っ た 理 由 で 、 こ れ を 教 育 の 中 か ら 排 除 し よ う と い う の は 極 論 で あ ろ う 。 と は い え 最 近 の 日 本 を め ぐ る 状 況 に つ い て 言 え ば 、 国 際 化 す な わ ち ア ジ ア 化 に な っ て い る (平 畑 2014:174-176)。 日 本 と の 関 係 が ま す ま す 緊 密 に な っ て い く ア ジ ア 諸 地 域 の 人 々 と の 交 流 を 進 め る 上 で は 、 英 語 は そ れ ほ ど 有 力 な ツ ー ル で は な い 。(独)国 際 交 流 基 金 の 2015年 度 の 調 査15 に よ る と 、 海 外 に は 、 少 な く と も 3,651,715 人 の 日 本 語 学 習 者 が お り 、そ の 79% が ア ジ ア に 存 在 す る 。 日 本 の 若 者 に は 、 ア ジ ア の 言 語 、 あ る い は 平 易 な 日 本 語 を 駆 使 し て 、 外 国 人 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン す る た め の 訓 練 も 必 要 で は な い か 。 特 に 後 者 に 関 し て は 、 日 本 語 教 育 の 知 見 が 役 立 つ の で は な い か 。

(2)ど の よ う な キ ャ リ ア を 目 指 さ せ る の か:若 者 の 英 語 力 向 上 や グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 を 、 国 の 課 題 と ま で 位 置 づ け る の で あ れ ば 、 児 童 生 徒 や 若 者 た ち に 「 英 語 を 使 っ て 何 が で き る よ う に な る べ き な の か 」、「 グ ロ ー バ ル 人 材 と い う の は ど の よ う な 人 な の か 」 に つ い て 、 教 育 す る 側 が 期 待 す る 目 標 を 提 示 す る 必 要 が あ ろ う 。4 技 能 の ス テ ー ト メ ン ト や TOEIC の 点 数 、 就 業 可 能 職 種 を 示 す だ け で は 不 十 分 で あ る 。 小 關 ・ 田 中(2015:102)は 、 若 者 を グ ロ ー バ ル キ ャ リ ア へ 誘 導 す る た め に は 、 ロ ー ル モ デ ル 確 立 が 課 題 で あ る と 述 べ て い る 。 ま だ 将 来 と い う も の が そ れ ほ ど 具 体 的 に は 考 え ら れ な い 若 者 た ち に 、 英 語 を 学 び 、 海 外 に 出 る こ と で 、 各 個 人 の 人 生 に ど の よ う な 展 開 が も た ら さ れ る の か を 示 す モ デ ル が 必 要 な の で は な い か 。 (3)ど の よ う に 動 機 づ け る の か : 加 藤(2016)は 、「 グ ロ

ー バ ル 人 材 言 説 」 を 、 国 家 主 義 ・ 企 業 中 心 主 義 ・ 階 層 主 義 と い う キ ー ワ ー ド か ら 読 み 込 ん で い る 。 つ ま り 、 今 日 の グ ロ ー バ ル 人 材 育 成 政 策 が 育 て よ う と し て い る の は 、「 日 本 企 業 の 海 外 駐 在 員 と な れ る エ リ ー ト(基 本 的 に 男 性)」(同:182)で あ る と 見 て い る 。 逼 迫 し た 国 庫 を 抱 え る 政 策 の 立 案 側 が 、 経 済 効 果 を 考 慮 し て 人 材 育 成 計 画 を 立 て る こ と 自 体 は 責 め ら れ る べ き も の で は な い 。 し か し 、 教 育 機 関 が 「 グ ロ ー バ ル 人 材 」 と い う も の を 、 そ の よ う な 限 定 さ れ た 性 質 の も の と し て 提 示 し て し ま っ て は 、 海 外 と い う 場 の 含 む 豊 か な 可 能 性 の 一 部 し か 、 若 者 た ち に 示 せ

1 5 https://www.jpf.go.jp/j/about/press/2016/dl/2016 -057-2.pdf

な く な っ て し ま う 懸 念 も あ る 。

2016年 度 の(独)日 本 学 生 支 援 機 構 の 調 査 で は 、海 外 留 学 日 本 人 学 生 の 過 半 数 が 女 子 学 生 で あ る16。 平 畑(2017)は 、 そ の 8割 が 女 性 で あ る 青 年 海 外 協 力 隊 日 本 語 教 師 隊 員 116名 へ の ア ン ケ ー ト 調 査 か ら 、 彼 /彼 女 ら は 経 済 的 な 成 功 へ の 執 着 が 非 常 に 薄 く 、 社 会 的 承 認 や 自 己 実 現 へ の 希 望 が 強 い こ と を 確 認 し て い る 。 よ り 幅 広 い 層 の 若 者 た ち を グ ロ ー バ ル キ ャ リ ア に 誘 導 す る た め に は 、 海 外 で 働 く と い う こ と の 中 に 見 出 し う る 個 人 の 幸 福 感 や 生 き が い と い っ た 、 若 者 の 感 情 に 訴 え る 価 値 を 、 提 示 す る 必 要 も あ る の で は な い か 。

4. 事 例 報 告

4.1. 調 査 の位 置 づけ

こ う し た 問 題 を 考 え る 参 考 例 と し て 、 以 下 、「 英 語 が 使 え る 日 本 人 」4 人 の 、 グ ロ ー バ ル キ ャ リ ア 構 築 の ラ イ フ ヒ ス ト リ ー を 紹 介 し た い 。

田 中(2013:66-67)は 、「 グ ロ ー バ ル キ ャ リ ア は 、『 国 境 を 越 え た 地 理 的 な 移 動 』 を 伴 う 点 で 、 他 の キ ャ リ ア 研 究 と 特 質 が 異 な る 」、「 当 事 者 の ラ イ フ ヒ ス ト リ ー と キ ャ リ ア ト ラ ン ジ ッ シ ョ ン を 相 互 に 連 関 さ せ な が ら 内 的 に 分 析 さ れ る こ と が 望 ま し い 」 と し 、 当 事 者 の ラ イ フ ヒ ス ト リ ー の 聴 き 取 り に お い て 、 グ ロ ー バ ル に 働 く こ と の 個 人 的 な 経 験 の 内 実 、 グ ロ ー バ ル で 働 く 人 の 志 向 性 、 ま た 、 グ ロ ー バ ル に 働 く よ う に な っ た き っ か け に 注 目 す る 必 要 が あ る と し て い る 。

今 回 、 そ の ラ イ フ ヒ ス ト リ ー を 紹 介 す る イ ン タ ビ ュ イ ー4人 は 、元 青 年 海 外 協 力 隊 日 本 語 教 師 隊 員 で あ る17。 全 員 、 協 力 隊 に 参 加 す る 前 に 、 本 格 的 な 英 語 学 習 の 経 験 が あ り 、 も と も と は 英 語 を 使 っ た 仕 事 に 就 く こ と を 計 画 し て い た 。 し か し 、 そ れ ぞ れ の 事 情 に よ っ て 、 日 本 語 教 師 と な り 、 青 年 海 外 協 力 隊 に 参 加 、 途 上 国 で の 日 本 語 教 育 に 従 事 し た 。 そ こ を グ ロ ー バ ル キ ャ リ ア の 出 発 点 と し 、 彼 ら は そ れ ぞ れ の ス タ イ ル で 「 国 際 社 会 で 活 躍 」 す る よ う に な っ て い く 。

4人 の イ ン タ ビ ュ イ ー へ の 調 査 は 、 2013年 か ら2015 年 に 行 っ た 。調 査 者 自 身 が 対 面 で 半 構 造 化 面 接 を 行 い 、 音 声 を 文 字 化 し 、 分 析 し た 。 分 析 方 法 と し て は 、 文 字 化 し た 資 料 を 切 片 化 し 、 キ ャ リ ア 選 択 の き っ か け 、 志 向 、 仕 事 に 感 じ て い る 意 義 等 に 注 目 し て 、 ラ ベ リ ン グ を 行 い 、 そ こ か ら キ ー コ ン セ プ ト を 抽 出 し て い っ た 。

1 6 http://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_s/

2015/__icsFiles/afieldfile/2016/03/25/short_term14.pdf

1 7 本 調 査 は 、青 年 海 外 協 力 隊 日 本 語 教 師 隊 員 を 対 象 と す る 、 よ り 規 模 の 大 き い 調 査 の 一 部 で あ る 。他 の 調 査 事 例 は 、平 畑(2014, 2017)等 に ま と め ら れ て い る 。

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4.2. インタビュイーのプロフィール

プ ロ フ ィ ー ル の 数 字(年 齢 等)は イ ン タ ビ ュ ー 時 点 で の も の で あ る 。 個 人 が 特 定 さ れ る 恐 れ の あ る 部 分 に つ い て は 、 情 報 を 曖 昧 に し て い る

・Aさ ん(女 性 、40代 前 半 、協 力 隊 任 期 終 了 後 約 10年) 外 国 語 大 学 卒 業 。 英 語 教 員 免 許 取 得 後 、 地 元 の 高 校 で 英 語 教 師 と し て 数 年 間 勤 務 し た 後 、 退 職 。 日 本 語 教 育 に 興 味 を 持 ち 、 青 年 海 外 協 力 隊 を 受 験 し て 合 格 。 日 本 語 教 育 学 に つ い て は 主 に 協 力 隊 の 研 修 で 学 ぶ 。 東 南 ア ジ ア の A国 の 中 等 教 育 機 関 に 派 遣 さ れ 、 帰 国 後 、 国 内 の 大 学 院 に 進 学 し 、 日 本 語 教 育 学 の 修 士 号 を 取 得 。 様 々 な 教 育 機 関 で 日 本 語 教 師 と し て 働 い た 後 、A 国 の 日 系 日 本 語 学 校 の 専 任 教 員 と し て 採 用 さ れ 、 再 渡 航 。

・Bさ ん(女 性 、30代 前 半 、 協 力 隊 業 務 終 了 後 1年) 日 本 の 高 校 卒 業 後 、 ア メ リ カ の 大 学 に 進 学 。 自 然 保 護 に つ い て 学 ぶ 。 帰 国 後 、 日 本 の 観 光 施 設 に 勤 務 す る が 、 職 場 の 人 間 関 係 等 に 悩 み 、 再 渡 米 の 手 段 と し て 日 本 語 教 師 に 注 目 、 資 格 取 得 の た め に 学 ぶ 。 そ の 後 青 年 海 外 協 力 隊 に 応 募 し て 南 ア ジ ア のB国 の 大 学 に 派 遣 さ れ る 。 現 地 で は 児 童 養 護 施 設 や 農 村 で の ボ ラ ン テ ィ ア も 自 主 的 に 行 う 。 日 本 に 帰 国 後 、 ア メ リ カ 人 男 性 と 結 婚 し 、 再 渡 米 。 現 地 の 貿 易 会 社 で 働 き な が ら 、 南 ア ジ ア の 児 童 福 祉 の た め のNPOを 立 ち 上 げ る 。

・Cさ ん(女 性 、20代 後 半 、 協 力 隊 業 務 終 了 後 2年) 大 学 で 英 語 学 を 専 攻 。 在 学 中 ア メ リ カ へ の 長 期 留 学 を 経 験 。 英 語 話 者 の 日 本 語 学 習 へ の 興 味 か ら 日 本 語 教 育 学 も 並 行 し て 学 ぶ 。 英 語 学 の 大 学 院 に 合 格 す る も 、 辞 退 し て 青 年 海 外 協 力 隊 に 参 加 。 英 語 と フ ラ ン ス 語 が 公 用 語 と さ れ て い る 南 太 平 洋 の C国 に 派 遣 さ れ 、 離 島 の 中 等 教 育 機 関 で 日 本 語 教 育 に 従 事 。 帰 国 後 、 地 球 環 境 測 定 機 器 を 扱 う 企 業 に 正 社 員 と し て 採 用 さ れ た 。

・Dさ ん(男 性 、40代 前 半 、協 力 隊 業 務 終 了 後 約 20年) 少 年 期 か ら 英 語 教 師 に 憧 れ 、 大 学 で 英 語 教 員 免 許 を 取 得 。 在 学 中 に 日 本 語 教 育 に 関 心 を 持 ち 、 独 学 で の 勉 強 を 開 始 。 卒 業 後 フ リ ー タ ー を し な が ら 青 年 海 外 協 力 隊 を 受 験 、 東 欧 D国 の 中 等 教 育 機 関 に 派 遣 さ れ る 。 現 地 で ロ マ の 子 ど も の 問 題 を 知 り 衝 撃 を 受 け 、 開 発 教 育 に 関 心 を 持 つ 。 協 力 隊 任 期 終 了 後 イ ギ リ ス の 大 学 院 に 進 学 、 修 士 号 取 得 後 帰 国 。 日 本 の 政 府 機 関 を 受 験 す る が 失 敗 、様 々 な 仕 事 を し な が ら 国 連JPOに 応 募 し 合 格 、 ア フ リ カ に 派 遣 さ れ る 。 そ の 後 ア フ リ カ 各 国 で ユ ニ セ フ の P3、P418の ポ ス ト を 歴 任 し た 後 ユ ニ セ フ 本 部 に 移

18 国 連 諸 機 関 で は 、P1 か らP3の 職 位 は 「 エ ン ト リ ー レ ベ ル 」、P4-P5は 「 ミ ド ル レ ベ ル 」 す な わ ち 中 間 管 理 職 と な

動 。 イ ギ リ ス の 大 学 院 の 博 士 課 程 に も 在 籍 し 、 現 在 博 士 論 文 執 筆 中 。

4.3. 協 力 隊 参 加 以 前 のライフヒストリー 4.3.1.本 格 的 な英 語 学 習 のきっかけ

4 人 の 語 り に 共 通 し て い る の は 、 も と も と 、 い わ ゆ る 上 昇 志 向 の よ う な も の は 持 っ て お ら ず 、 ど ち ら か と い う と 将 来 展 望 に 関 し て 無 欲 で あ っ た こ と で あ る 。 と は い え 全 員 、い わ ゆ る 中 堅 以 上 の 大 学 に 進 学 し て お り 、 十 分 な 教 育 は 受 け て い る 。 英 語 に つ い て は 中 学 高 校 か ら 積 極 的 に 学 ん で い た 。 英 語 学 習 の 動 因 は 、 海 外 へ の 興 味 、 英 語 が 好 き だ っ た こ と 、 英 語 教 師 へ の 憧 れ 、 あ る い は 日 本 か ら の 逃 避 等 で あ る 。 本 稿 で は 以 下 、 イ ン タ ビ ュ イ ー の 語 り の 中 で キ ー ワ ー ド と な る 語(ラ ベ ル) を 下 線 で 表 示 す る 。 そ し て そ こ か ら 抽 出 さ れ る キ ー コ ン セ プ ト を 、 末 部 カ ッ コ 内 に 表 示 す る 。

も と も と 英 語 は 好 き で 、 得 意 だ っ た ん で す 。 で 、 外 大 に 。英 語 の 教 員 免 許 は 一 応 取 っ て 。将 来 の 夢 と し て 、 先 生 に な る っ て い う の も あ り ま し た が 、 海 外 と つ な が り の あ る 仕 事 を 何 か で き れ ば 、ぐ ら い の 気 持 ち で し た 。あ ま り 何 も 考 え て い な か っ た と 思 い ま す 。卒 業 後 高 校 教 師 に な っ て 、そ の 頃 は 英 語 の 先 生 を ず っ と や る つ も り で し た 。(A さ ん)

日 本 の 高 校 を 卒 業 し て 、そ の ま ま ア メ リ カ の 大 学 へ 行 き ま し た 。日 本 の 大 学 受 験 を し た く な か っ た ん で す 。 中 学 受 験 、 高 校 受 験 で 失 敗 し て 、 も う い い か な と 。 思 い っ き り 逃 避 で す よ 。 英 語 は 、 好 き は 好 き で し た け れ ど 。た ま た ま 、高 校 1年 の 時 に ア メ リ カ に 行 っ て 。そ れ で け っ こ う 好 き に な っ て し ま っ て 。(Bさ ん)

子 ど も の 時 か ら 海 外 に 興 味 が あ っ て 、英 語 を や っ た ら い ろ ん な 国 の 人 と 話 せ る っ て 思 っ た ん で す 。 高 校 生 の 時 留 学 し て 、初 め て 自 分 の 英 語 を ツ ー ル と し て 、自 分 の 力 で 、違 う 国 の 人 と 話 せ た っ て い う 衝 撃 が 強 か っ た ん で す 。そ れ で 大 学 で 英 語 を 専 門 に し て 。卒 業 す る 時 は 、 英 語 を 使 っ て 何 か 仕 事 を し た い 、い や そ の 前 に 大 学 院 に も 行 き た い っ て 気 持 ち も あ っ て 。(C さ ん)

中 学 校 の こ ろ 、高 校 の 英 語 教 師 を し た か っ た ん で す 。ド ラ マ の 影 響 で す か ね 。学 校 の 先 生 っ て い う

る 。 国 連 職 員 の 昇 進 は 極 め て 困 難 で 、 特 にP3以 上 の ポ ス ト は 全 世 界 の 候 補 者 と の 激 し い 競 合 と な る 。2015年 時 点 で 国 連 職 員 と し て 勤 務 す る 日 本 人 は 全 レ ベ ル あ わ せ81人 と さ れ る 。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/unp_a/page22_001263.html

(8)

の に 、す ご く 憧 れ て 。で 、英 語 が 好 き だ っ た の で 、 そ の ま ま 大 学 の 文 学 部 に 。教 職 取 っ て 。卒 業 し た ら 中 学 か 高 校 で 英 語 教 え よ う と 。で も 海 外 と か 別 に 行 っ た こ と も な か っ た し 。海 外 で 働 き た い と か 、 ま っ た く な か っ た で す ね 。(Dさ ん)

【 英 語 好 き 、 海 外 志 向 、 教 育(教 職)・ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン へ の 関 心 、 曖 昧 な キ ャ リ ア プ ラ ン 】

4.3.2.「英 語 学 習 者 」から「日 本 語 教 師 」へ

全 員 、 大 学 卒 業 の 段 階 で 「 仕 事 で 使 え る レ ベ ル 」 と 見 な し う る 英 語 力19 を 身 に つ け て お り 、英 語 を 使 っ て の 日 本 で の キ ャ リ ア 形 成 が 可 能 な 状 態 に あ っ た 。 し か し 偶 発 的 な で き ご と や 、 心 境 の 変 化 に よ り 、 コ ー ス 変 更 を 迫 ら れ る 。 英 語 が で き た 彼 ら は 、 海 外 で 働 く 道 を 希 望 し 、 日 本 人 が 海 外 で 働 く た め の ツ ー ル と し て 「 日 本 語 教 育 」を 発 見 し 、さ ら に そ こ に「 青 年 海 外 協 力 隊 」 と い う 選 択 肢 が 出 現 す る 。

英 語 教 師 の 仕 事 は 楽 し か っ た ん で す 。で も 、あ の 頃 、英 語 を が っ つ り 教 え た い と い う 気 持 ち が あ っ た と 思 い ま す が 、 そ う い う わ け に も い か な く て 。 英 語 を 教 え る っ て い う こ と は 半 分 ぐ ら い で 。あ と の 半 分 は 生 徒 指 導 と か 、そ う い う こ と で 。し ば ら く し て 家 の 事 情 が あ っ て 、英 語 教 師 を 辞 め ざ る を え な く な っ て 。自 分 の 環 境 を 変 え た い っ て い う 気 持 ち が あ っ て 。 外 大 出 身 で す か ら 、海 外 に 興 味 が あ っ た 。何 か 海 外 で で き る こ と は な い か な っ て 思 い 始 め て 、本 を 見 た ら 、ワ ー キ ン グ ホ リ デ ー と か い ろ い ろ あ っ て 、そ の 中 に 青 年 海 外 協 力 隊 の 宣 伝 が あ り 、日 本 語 教 師 っ て い う の が あ り ま し た 。そ れ ま で 私 の 頭 の 中 に は 、自 分 が 外 国 語 を 勉 強 す る っ て い う の は あ っ た ん で す け ど 、 自 分 の 母 語 を 、

「 日 本 語 を 教 え る 」 っ て 発 想 は ま っ た く な く て 。

「 は っ 」と 思 い ま し た 。 そ の 時 か ら 、 英 語 は ど こ か に 行 っ て し ま い 、日 本 語 教 師 に な る に は 勉 強 し な い と い け な い ん だ と わ か っ て 勉 強 を 始 め ま し た 。で 、協 力 隊 経 験 者 の 話 を 聞 く 会 と か に 行 く と 、 隊 員 が 、感 動 的 な 話 を い っ ぱ い な さ る ん で す 。途 上 国 に 行 っ て 協 力 す る っ て 、普 通 の 人 に で き な い こ と 、特 殊 能 力 の あ る 人 が や る ん だ っ て 、思 っ て た ん で す 。で も 実 際 に 話 を 聞 い た ら 、 す ご い 人 ば か り が 行 く ん じ ゃ な い 、自 分 で も で き る ん じ ゃ な い か っ て 。(Aさ ん)

19 イ ン タ ビ ュ イ ー の 個 人 毎 の 英 語 能 力 試 験 の 点 数 を 記 載 す る こ と は 避 け る が「 英 語 が 使 え る 日 本 人 の た め の 育 成 計 画 」 に お い て 、仕 事 で 使 え る 英 語 力 、英 語 教 員 の 望 ま し い 英 語 力 の 基 準 と さ れ た 、TOEIC730点 程 度 を 十 分 上 回 る レ ベ ル に は 、 全 員 到 達 し て い た 。

大 学 で の 専 攻 は 自 然 保 護 で し た 。で も 、パ ー ク レ ン ジ ャ ー と か に 憧 れ て も 、ア メ リ カ 人 じ ゃ な い と で き な い ん で す 。で 、 ア メ リ カ で 働 く の は 難 し い し 、な ん と な く 自 分 で も 自 信 が な か っ た の で 、日 本 に 帰 り ま し た 。そ れ か ら 、英 語 が ち ょ っ と で き る と い う こ と で ・・・観 光 関 係 の 施 設 で 働 き ま し た 。 で も 、 勤 め 先 に よ っ て は ・・・ 人 間 関 係 が 。 私 が 自 分 の TOEIC の 点 と か 書 い て 出 し た ら 、「 あ ら 英 語 が で き る の ね え 」み た い な こ と 言 わ れ て … 妬 み じ ゃ な い で し ょ う け れ ど ・・・そ れ で 辞 め て 。 体 調 崩 し た り と か し て 。そ れ で 、何 が し た い の か っ て 振 り 返 っ た 時 、ア メ リ カ の 生 活 は 楽 し か っ た 、ア メ リ カ に ま た 戻 り た い 、仕 事 も し た い っ て 。そ れ で な ん と な く つ な が っ た の が 、日 本 語 教 師 だ っ た ん で す 。自 分 が ア メ リ カ で で き る も の は 、ほ か に な い 、こ れ し か な い と 思 っ て 。そ れ か ら 養 成 講 座 に 通 い ま し た 。そ う し た ら 意 外 に は ま っ て し ま っ て 。 楽 し く て 。す ぐ に ア メ リ カ に は 行 き ま せ ん で し た 。 そ の う ち 青 年 海 外 協 力 隊 の 話 を 聞 い て 。(Bさ ん)

学 部 生 の 時 に も 、ア メ リ カ に 1年 留 学 を し た ん で す け ど 、今 後 は 日 本 語 も 学 ん で 、自 分 の 言 葉 の 幅 を 広 げ よ う っ て 思 っ て 。日 本 語 教 育 の 専 門 学 校 に 行 っ た ん で す 。で 、 言 葉 の 世 界 っ て な ん て お も し ろ い ん だ ろ う っ て 思 っ て い ま し た 。そ う し た ら 教 授 に 呼 ば れ て 、大 学 の 留 学 生 セ ン タ ー に 日 本 語 教 師 の 空 き が あ る か ら 経 験 積 ん で み て は ど う か っ て 言 わ れ ま し た 。学 習 者 は 英 語 圏 の 人 ば っ か り で 。 あ あ 、 お も し ろ そ う 、 や っ て み よ う か な っ て 。 楽 し か っ た で す 。英 語 と 日 本 語 の 違 い と か も 学 べ て 、 た い へ ん い い 経 験 に な り ま し た 。将 来 、英 語 の 先 生 に な る か 、日 本 語 の 先 生 に な る か 、迷 い ま し た 。 英 語 の 大 学 院 を 受 け て 、そ れ か ら 協 力 隊 も 受 け て 、 両 方 受 か っ て 迷 い ま し た が 、英 語 学 の 教 授 が 、 英 語 を 勉 強 し て 日 本 語 も 勉 強 す る っ て こ と は 、あ ま り で き る こ と で は な い ん じ ゃ な い か と 。必 要 と し て く れ て い る 人 が そ こ に い る の で あ れ ば 、そ こ に 行 っ て も い い ん じ ゃ な い か と 。 (Cさ ん)

大 学 時 代 っ て 、い ろ い ろ 迷 う じ ゃ な い で す か 。 英 語 に 、ど こ か 自 信 が な か っ た ん で す 。大 学 3年 の 時 、日 本 語 教 師 っ て 仕 事 に つ い て 、た ま た ま 友 達 が 教 え て く れ た ん で す 。そ の 時 に 、 自 分 の 母 語 で あ る 日 本 語 を 外 国 語 と し て 外 国 人 に 教 え る ほ う が い い ん じ ゃ な い か と 。外 国 語 と し て 勉 強 し て き た 英 語 を 、外 国 語 と し て 日 本 人 の 子 ど も に 教 え る っ て い う 仕 事 よ り も 楽 し そ う だ と 。 世 界 中 の 、い

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ろ ん な 国 で 、い ろ ん な 生 活 を し て き た 人 に 教 え る こ と が で き る か も し れ な い っ て 。突 然 ぱ あ っ と 道 が 開 け た み た い に 思 っ て 。言 葉 は 変 わ っ て も 、 外 国 語 を 教 え る っ て と こ ろ が 自 分 の や っ て き た こ と と 同 じ で 、し か も 自 分 に と っ て 未 知 の も の っ て こ と で 、す ご く エ キ サ イ ト し ま し た よ 。そ れ で 慌 て て 日 本 語 教 師 の 勉 強 を 始 め ま し た 。就 職 活 動 も せ ず に 。そ の 頃 、協 力 隊 で 日 本 語 教 師 や っ て き た っ て 人 の 講 演 を 聞 い た ん で す 。協 力 隊 っ て 、日 本 語 と い う も の を 外 国 人 に 教 え る と い う の を 越 え て 、開 発 途 上 国 と い う コ ン テ ク ス ト の 中 に 、自 分 が 行 っ て 、い ろ ん な 経 験 を し て 苦 労 を し て 、な お か つ 、教 え る 仕 事 も さ せ て も ら え る っ て 、一 石 数 鳥 に な る か な っ て 。英 語 の 教 師 に な ろ う と 思 っ て い た と い う こ と は 、も と も と 頭 の 中 に 海 外 へ の 興 味 は あ っ た ん だ と は 思 い ま す が 、た だ 、当 時 行 っ た こ と が あ る 外 国 と い え ば ア メ リ カ と 、あ と 東 南 ア ジ ア に5日 間 ぐ ら い で し た 。(D さ ん)

彼 ら は 、 そ れ ま で に 獲 得 し て き た 能 力 ・ 資 本 を 生 か せ 、 か つ 、 そ の 当 時 の 問 題 を 回 避 で き る 道 と し て 、 日 本 語 教 育 に た ど り 着 き 、「 道 が 開 け た よ う だ 」、「 な ん て お も し ろ い 」 と 前 向 き に 受 け 止 め て い る 。 そ し て そ の 道 を 歩 み は じ め た こ ろ 、 海 外 で の 日 本 語 教 育 の 実 践 と 学 び が 両 方 可 能 な 場 と し て の 青 年 海 外 協 力 隊 に 関 心 を 持 つ よ う に な っ た 。

【 日 本 で の 生 き づ ら さ 、 変 化 へ の 期 待 、 規 定 コ ー ス か ら の 変 更 、 グ ロ ー バ ル キ ャ リ ア へ の 足 が か り と し て の 日 本 語 教 師 、「 自 分 に も 何 か で き る か も し れ な い 」と い う 希 望 、 言 葉 へ の 理 解 を 深 め る お も し ろ さ 】

4.4. 青 年 海 外 協 力 隊 活 動 中 の気 づきと衝 撃

青 年 海 外 協 力 隊 員 は 赴 任 地 や 赴 任 機 関 を 選 ぶ こ と が で き な い 。 協 力 隊 受 験 ま で 、 彼 ら の ラ イ フ ヒ ス ト リ ー に は 比 較 的 共 通 項 も あ っ た が 、 着 任 後 は そ の 赴 任 地 の 状 況 に よ っ て 、 経 験 に 大 き な 違 い が 生 じ る た め 、 協 力 隊 活 動 中 の ラ イ フ ヒ ス ト リ ー は イ ン タ ビ ュ イ ー 毎 に ひ も と い て い き た い 。

4.4.1. Aさん

Aさ ん の 着 任 し た A国 は 日 系 企 業 の 進 出 が 進 み 、日 本 語 学 習 者 は 就 職 が 非 常 に 有 利 に な る と い う 状 況 が あ っ た 。 日 本 語 教 育 の 価 値 は 明 ら か で あ り 、 教 育 機 関 も 日 本 語 教 育 に 協 力 的 だ っ た 。Aさ ん は 、 日 本 人 が 海 外 で 日 本 語 教 師 の 仕 事 を す る こ と の メ リ ッ ト 、 人 に 必 要 と さ れ 、 自 己 肯 定 感 が 持 て る 喜 び を 実 感 す る よ う に な る 。

私 は 、国 際 協 力 と か を 考 え て い た わ け で は あ り ま せ ん 。 自 分 を 変 え た か っ た だ け 。 た だ 、 自 分 が 何 か を し た い 、そ れ で 誰 か が 喜 ん で く れ 、必 要 と し て く れ た ら 、そ こ に 役 に 立 て た ら な っ て い う 気 持 ち は あ っ た で し ょ う 。

で も 、赴 任 地 に 送 り 出 さ れ る 時 、研 修 の 先 生 が お っ し ゃ っ た ん で す 。 隊 員 み ん な に 向 か っ て 。「 あ な た の 存 在 は す ご く 大 き い も の だ か ら 、そ れ を ぜ ひ 海 外 で 生 か し て く だ さ い 」、「 自 信 を 持 っ て や っ て く だ さ い 」っ て 。 自 分 の 存 在 が 大 き い ん だ っ て こ と を … す ご く … 自 己 肯 定 感 み た い な も の 、そ う い う 気 持 ち を い た だ い た と 思 い ま す 。自 分 に も 何 か が で き る ん だ っ て 気 持 ち を 。私 、自 分 に 自 信 が 持 て な い と い う か 、い つ も 、こ れ で い い の か な っ て 思 う タ イ プ だ っ た の で 。こ ん な ふ う に 肯 定 さ れ る 、こ ん な こ と っ て も う な い だ ろ う な っ て い う く ら い 。今 は も う 、自 分 の 存 在 は 大 き い な ん て 思 っ て な い で す よ 。 た だ 、 あ の 頃 は 、 そ う や っ て 励 ま さ れ た こ と が 嬉 し か っ た ん で す 。

赴 任 地 で 、私 が 、先 生 に 言 わ れ た よ う な 大 き い 存 在 だ っ た か … 。実 際 、そ う 感 じ た こ と も あ り ま し た 。職 種 の せ い も あ る と 思 い ま す 。日 本 語 教 師 っ て 、協 力 隊 の 中 で も 特 殊 な 職 種 だ と 思 い ま す 。ほ か の 職 種 っ て 、別 に 日 本 人 じ ゃ な く て も い い っ て と こ ろ が あ っ て 。 で 、 現 地 で 、 や る こ と な い で す よ っ て 言 わ れ た り す る 人 も い る ん で す よ 。 で も 、 日 本 語 教 師 隊 員 の 場 合 、日 本 人 が 日 本 語 を 教 え る っ て い う こ と で 、そ れ だ け で 一 つ プ ラ イ オ リ テ ィ を 持 っ て い ま す し 。私 は た ま た ま で す が 、恵 ま れ た 環 境 で 。だ か ら 、自 分 は 何 し に 来 た ん だ ろ う と か 思 う こ と は ま っ た く な か っ た で す 。

【 自 分 を 変 え た か っ た 、 自 信 が な か っ た 、 日 本 人 が 日 本 語 を 教 え る プ ラ イ オ リ テ ィ へ の 注 目 、 必 要 と さ れ る 喜 び 、 自 己 肯 定 感 ・ 自 己 効 力 感 を 得 た 】

4.4.2. Bさん

青 年 海 外 協 力 隊 は 、 開 発 途 上 国 か ら の 要 請 に よ り 、

「 必 要 と さ れ る 人 材 」 と し て 送 ら れ る も の で あ る が 、 日 本 と 相 手 国 の 政 治 的 事 情 に よ っ て 、 必 ず し も そ う な ら な い こ と も あ る 。 こ の 問 題 は 一 般 に 「 要 請 の ミ ス マ ッ チ 」 と 呼 ば れ 、 協 力 隊 員 を 苦 し め る 問 題 の 一 つ と し て 和 喜 多(2011)等 、 各 所 で 取 り 上 げ ら れ て い る 。

英 米 と の 結 び つ き が 強 い 南 ア ジ アB国 の 大 学 に 派 遣 さ れ た Bさ ん も 、 当 初 は 日 本 語 教 師 と し て の 自 分 の 存 在 価 値 に 疑 問 を 感 じ て い た 。 現 地 で は 日 本 語 学 習 の 必 要 性 が あ る わ け で も な く 、 ま た す で に 現 地 大 学 に は 、

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十 分 な 数 の 現 地 人 日 本 語 教 師 が い た 。し か し Bさ ん は 、 対 人 サ ー ビ ス に 長 け た 自 分 の 特 性 と 語 学 力 を 駆 使 し 、 現 地 と 日 本 の 二 つ の 組 織 の 調 整 者 と し て の 活 動 に 、 自 分 の 居 場 所 を 見 出 す よ う に な る 。 ま た 、 現 地 の 児 童 養 護 施 設 で の 住 み 込 み ボ ラ ン テ ィ ア 等 、 自 分 の 任 務 以 外 の 活 動 に も 自 主 的 に 、 献 身 的 に 取 り 組 む 。

送 り 出 さ れ る 時 に 、研 修 の 先 生 に 、「B国 で は 、日 本 語 教 師 は 要 ら な い よ 」 っ て 言 わ れ ま し た 。「 え ー 」 っ て 思 い ま し た 。 来 て み た ら … 確 か に 、 こ こ の 日 本 語 教 育 は 、協 力 隊 員 が い な く て も ま わ り ま す 。で も 、協 力 隊 員 が い る 意 味 は あ る と 思 い ま し た 。 こ こ の 大 学 の 機 関 と 、 日 本 の 機 関 の 間 の 、 互 い の 誤 解 を 解 く と か 、そ う い う こ と が で き た ら い い な っ て 思 っ て い ま し た 。

以 前 は 、日 本 政 府 も 、こ こ の 日 本 語 教 育 を ど ん ど ん サ ポ ー ト し ま す っ て 雰 囲 気 で し た が 、最 近 変 わ っ て し ま っ て 。B国 は 日 本 か ら 見 て ア ウ ェ イ で す 。 B国 独 自 の 文 化 も ち ゃ ん と あ り ま す 。で は 、な ぜ 、 こ こ の 人 が 日 本 語 を 勉 強 し て る の か 、こ こ の 大 学 で 日 本 語 を 教 え て い る の か っ て 、考 え た 時 … 私 だ っ た ら「 あ り が と う 」っ て い う 気 持 ち に な る と 思 う ん で す け れ ど 。 日 本 の 、 政 府 の 人 に は 、 そ う い う 気 持 ち は 、あ ん ま り な い よ う な 気 が し て … そ れ が 自 分 の 中 で … い や で 。「 日 本 語 を や っ て く だ さ っ て い る 」っ て 、気 持 ち が 自 分 の 中 で 強 い ん で す 。 ほ か の 言 語 が あ る 中 で 、 日 本 語 を 好 き に な っ て 、 日 本 語 を 選 ん で く だ さ っ て 。 も う 40 年 以 上 も 、 日 本 語 学 習 者 を 毎 年 生 み 出 し て い る の に … そ う い う の を サ ポ ー ト し な い な ん て 言 っ て し ま う の は 、 な ん だ か 失 礼 な よ う な 気 が し て 。

こ こ の 先 生 方 は 、日 本 研 究 し た い と か 、日 本 に 行 き た い と か 思 わ れ た 時 、や っ ぱ り 経 済 的 に は 、日 本 の 組 織 や 大 使 館 に 頼 る し か な い ん で す 。 で も 、 お 願 い し に く い と こ ろ も あ っ て 。 だ か ら 、 私 が 、 橋 渡 し に な り た か っ た ん で す 。け れ ど す ご く 難 し く て 、 う ま く で き な く て 。

そ の 児 童 養 護 施 設 で は 、 も と も と は 短 期 の JICA ボ ラ ン テ ィ ア が 活 動 し て い た ん で す が 、帰 国 し て し ま っ て 誰 も い な く な っ た の で 、私 が 夏 休 み を 使 っ て 、2 か 月 い た ん で す 。 な ん で 日 本 語 教 師 隊 員 な の に 、そ う い う こ と も し て い た の か と い う と … 。 私 、 け ち な の か も し れ ま せ ん ね 、 性 格 が 。 来 た か ら に は 何 で も し よ う っ て 。行 く の な ら 最 大 限 っ て 。 や る ん だ っ た ら す べ て 使 い 切 る 、 っ て 。(Bさ ん)

【 日 本 人 日 本 語 教 師 が 必 要 と さ れ な い 環 境 、 日 本 語 学

習 者 へ の 感 謝 、 現 地 機 関 と 日 本 の 組 織 の 橋 渡 し に な り た い と い う 願 い 、 調 整 役 と し て の 役 割 の 認 識 、 自 分 の す べ て を 使 い 切 り た い と い う 願 い 】

4.4.3. Cさん

南 太 平 洋 の 小 さ な 島 の 中 等 教 育 機 関 に 派 遣 さ れ た C さ ん の 場 合 、 さ ら に 深 刻 な 「 必 要 と さ れ な い 」 苦 痛 を 経 験 す る こ と に な る 。 現 地 の 生 徒 た ち は 過 酷 な 環 境 の 中 で 生 き て お り 、 生 活 の 役 に 立 た な い 外 国 語 を 学 ぶ 余 裕 は な い と い う 雰 囲 気 が 漂 っ て い る 。 そ も そ も 、 そ の 学 校 で は 、 政 府 間 の や り と り に よ り 、 生 徒 は 日 本 語 を 学 ぶ よ う に と 決 め ら れ た だ け で 、 生 徒 に は 日 本 語 学 習 へ の 自 発 的 希 望 は な か っ た 、 と い う 状 況 に 気 が つ い た 経 緯 が ま ず 語 ら れ る 。

今 ま で 生 き て き て 、い ろ い ろ な 苦 難 も あ っ た と 思 う ん で す け ど 、自 分 に と っ て は 、協 力 隊 の 2年 が 、 い ち ば ん の 大 き な 苦 難 だ っ た と 思 い ま す 。協 力 隊 に 日 本 語 教 師 と し て 合 格 し た 時 の 気 持 ち で は 、

「 必 要 と さ れ て い る か ら 行 く ん だ 」っ て 気 持 ち が 、 も の す ご く 強 か っ た と 思 い ま す し 、実 際 、そ う い う 印 象 も あ り ま し た 。で も 蓋 を 開 け る と 、現 実 は そ ん な 甘 い も の で は あ り ま せ ん で し た 。日 本 語 教 師 が ま っ た く 必 要 と さ れ て い な い 中 で 、ど う す る の か っ て い う の が 、 本 当 に 課 題 で し た 。

着 任 し た 時 に は 、も う 日 本 語 の 人 気 も な く て 、生 徒 の 興 味 も 薄 れ て い て 。な ん で 日 本 語 勉 強 す る ん だ ろ う っ て 雰 囲 気 。仕 事 に 使 う あ て は ま っ た く な い で す し 、そ ん な も の 覚 え な く て も 生 き て い け る 環 境 な の に 。

だ け ど 、自 分 が 行 く 前 に 立 て た あ の 目 標 、あ そ こ ま で 行 か な き ゃ だ め だ っ て 。シ ラ バ ス と か 、授 業 を 全 部 見 直 し て 。2 年 目 は 、 ま っ さ ら な 状 態 で 1 か ら 始 め た ん で す 。 生 徒 た ち は 生 活 が 不 安 定 で 。 例 え ば 両 親 が 離 婚 し た と か 亡 く な っ た と か 、家 庭 で 落 ち 着 い て 勉 強 で き な い 子 ど も 、お 金 が な く て 勉 強 で き な い 子 ど も と か も 多 く て 、不 安 そ う な ん で す 。 で す か ら 、 日 本 語 の ク ラ ス は 、 そ う い う も や も や し た 気 持 ち を 吹 き 飛 ば す ぐ ら い 楽 し い 授 業 に し よ う っ て 。そ う 私 が 思 っ て か ら は 、み ん な よ く な り ま し た 。成 績 も 上 が り ま し た し 。最 後 に 、 生 徒 た ち が 、サ プ ラ イ ズ の パ ー テ ィ と か 開 い て く れ て 、「 な ん で 日 本 語 を 勉 強 す る ん だ っ て 最 初 は 思 っ て た け ど 、 自 分 で 考 え る こ と の 大 切 さ と か 、 生 き る 知 恵 が 身 に つ き ま し た っ て 」言 っ て く れ て 。 こ の 時 間 は 、何 に も 替 え ら れ な い す て き な 時 間 で し た っ て 言 っ て く れ て 。

一 人 の 外 国 人 と し て も 、学 ぶ こ と が た い へ ん 多 か

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