• Tidak ada hasil yang ditemukan

観光産業発展への「道の駅」の可能性

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2023

Membagikan "観光産業発展への「道の駅」の可能性"

Copied!
8
0
0

Teks penuh

(1)

― ノート ―

観光産業発展への「道の駅」の可能性

― 全国道の駅調査結果を踏まえて ― 中 川 伸 子

Japan‒Wide Research into the Potential for “Michi‒no‒Eki”

to Contribute to Tourism Development

Nobuko NAKAGAWA

地方創生の核として整備されつつある道の駅への調査を基に,道の駅が将来観光拠 点としての機能を担うかどうかの可能性を問う。全国道の駅調査結果からは,観光拠 点としての方向性をもちながらも,その事業に現在正面から取り組めているところは 少ないことが判明した。本稿では,それらの課題を明らかにし,一方で地方創生を担 うために,今求められている人材像を示したい。

キーワード:.観光総合窓口

.インバウンド観光

.地域振興

.経営母体

はじめに

拙論「地域限定旅行業の展望―地方創生と学生のキャリア支援に向けて―」1)において,残 された課題の一つに「道の駅への期待」がある。全国に千件余り2)ある道の駅には,政府観光 庁からも地方創生の核として,大きな期待が寄せられている。

そこで,筆者は,観光及び地域振興,学生の人材育成という観点から,2016年月〜月に かけて,「全国道の駅調査」を行った。本稿では,その調査結果をもとに,近い将来,道の駅 が地域観光の拠点として,さらには観光業として機能できるかどうかを探り,地域振興を担う 人材像をも明らかにしたい。

ઃ.「全国道の駅調査」について 1-1 調査の目的

将来,道の駅が地域の観光拠点として機能するという期待は,既に国土交通省よりの提言

「道の駅による地方創生拠点の形成」(2014.8),観光立国推進閣僚会議よりの施策「観光立国 に向けたアクション・プログラム2015」(2015.6)に示されている。

前者は,道の駅が単なる地域の特産物の販売所としてではなく,将来地域観光の拠点となる

(2)

ための方向性を示し,後者には,訪日外国人ツーリズムの地方浸透,外国人観光客に訴求する サービス・商品についての「地域ブランド」の認定,質の高い日本文化体験プログラムへの参 加促進等が具体的な取組として盛り込まれている。そして,優れた取組を行う道の駅を全国モ デル道の駅,重点道の駅として選定し,各省庁の施策を総動員して,観光拠点となるための支 援をするとしている。3)

そのような状況下で,道の駅が「地域限定旅行業」の登録を含め,地域の観光拠点として動 き出しているかどうか,また「国内旅行業務取扱管理者」の雇用への計画,地域活性化を担う 人材の要望等を調査する目的で,全国道の駅調査を実施した。

1-2 調査の方法

全国道の駅調査の方法は,次のとおりである。

⑴2015年10月〜2016年月 近畿の道の駅21件への訪問調査(調査紙持参,返送依頼)

⑵2016年月〜2016年月 郵送にて280件の全国各所の道の駅へ質問紙を発送

以上,調査対象は合計301件

1-3 調査項目

調査項目は,次のとおりである。

⑴設立年 ①1990年以前 ②1990〜1995年 ③1996〜2000年 ④2001〜2005年

⑤2006〜2010年 ⑥2011〜2016年 ⑦これから設立(予定年記載)

⑵経営母体 ①県 ②市長村 ③第セクター ④農業組合・協会 ⑤株式会社

⑥その他(経営母体記載)

⑶道の駅に立ち寄る人々の主な目的

①トイレ・休憩 ②土産や特産物の購入 ③食事・デザートの飲食

④給油 ⑤知的好奇心(史実・文化など) ⑥その他(目的記載)

⑷今後の方向性

①産業振興(地域の特産物を活かす等) ②地域福祉(住民サービス等)

③交通結節点(地域住民への交通サービス等) ④防災(災害時の防災機能等)

⑤観光総合窓口(地域の観光促進等)

⑥インバウンド観光(外国人客へのサービス等) ⑦その他

(⑷今後の方向性の質問項目については,国土交通省「地方創生の核となる道の駅の優れた 取組」(2015.1.27)から抜粋して,作成した。)

⑸将来「地域限定旅行業」に登録するかどうかについて

①是非登録したい ②できれば登録したい ③登録しない

⑹「地域限定旅行業」に登録する場合の「国内旅行業務取扱管理者」の雇用について

①新卒も含めて雇用 ②兼任制度あれば雇用 ③雇用しない

⑺活性化のために希望する人材(ある場合のみ選択)

①イベント立ち上げを含む総合戦略プランナー

(3)

②ホームページを更新できる人材

③地域の住民と盛んに交流できる,ホスピタリティ豊かな人材

④語学力のある人材[英語,中国語,韓国語,その他(言語記載)]

1-4 調査の結果

調査対象は,全国のモデル・重点道の駅の層化抽出法で60件,他の241件は無作為に計301件 のサンプルを選んだ。そのうち,201件から調査紙が返送された。別に未着返送されたものが 件あった。201件についての集計,解析結果は次のとおりである。(N はすべて有効回答数)

⑴道の駅の設立年

3

29

50 40 27

45 3

1990ᖺ௨๓ 1991㹼1995ᖺ 1996㹼2000ᖺ 2001㹼2005ᖺ 2006㹼2010ᖺ 2011㹼2016ᖺ ࡇࢀ࠿ࡽタ❧

㸦௳㸧

図表ઃ 設立年(N=197)

道の駅の設立年を見ると,1996〜2000年に地域活性化の一つの波があり,次は2011年以降現 在への地方創生のうねりであると考えることができる。

⑵道の駅の経営母体

図表઄ 経営母体(N=190)

➨㸱ࢭ ࢡࢱ࣮

40%

ᕷ⏫ᮧ

ᰴᘧ఍♫ 20%

19%

㎰༠࣭༠఍

12%

┴ 1%

ࡑࡢ௚

8%

36 株式会社

市町村

農協・協会

その他

第セクター 76

2

15 23 38 件数 経営母体

道の駅の経営母体は,県や市町村の自治体と民間が共同で事業を行う第三セクターが最も多 い。市町村の経営する道の駅も20%あるが,農業協同組合等の経営は,農産物直売が中心の道 の駅としては意外に少ない数値であった。なお,訪問調査当初は⑵経営母体,及び⑸⑹の質問

(4)

項目がなかったため,当該設問での母数は少ない。

⑶道の駅に立ち寄る人々の主な目的

0.2%

パーセント

95.5%

31.6%

合 計

図表અ 立ち寄る目的(N=197)

目的 25.7% 77.6%

②土産・特産物

①トイレ・休憩

0.5%

ケースの パーセント

94.5%

31.3%

15.9%

5.3%

302.5%

100.2%

6.1% 18.4%

⑥その他

⑤知的好奇心

④給油

③食事

応答数 N

192 190 156 1 37 32 608

道の駅に立ち寄る人々の目的を問う質問は複数回答である。多重回答による分析を見ると,

ほとんどの目的が,①トイレ・休憩,②土産や特産物の購入であることが判明した。給油はほ とんどなかったが,その他の項目に電気自動車の充電と書かれた回答が件あった。

⑷道の駅の今後の方向性

11.7%

今後の方向性 4.8%

図表આ 今後の方向性(N=197)

合 計

34.4% 84.3%

パーセント

12.0%

64.5%

26.3%

100.0% 245.2%

15.5% 38.1%

7.0% 17.3%

ケースの パーセント

29.4%

①産業振興

②地域福祉

483 75 127 58 23 34 166 N

応答数

③交通結節点

④防災

⑤観光総合窓口

⑥インバウンド

今後の方向性を問う質問も複数回答である。現在の業務として地域の特産物(主に野菜)の 販売が最も多いこともあり,産業振興が166件と高い。位は観光総合窓口127件,位はイン バウンド観光75件となっている。

観光という視点から,観光総合窓口に関して経営母体との t 検定を行った。

有意確率=0.76>有意水準0.05

したがって,平均値の差の検定結果は等分散を仮定する t 検定結果を採用することにする。

有意確率=0.385>有意水準0.05

以上の結果,母平均に差があるとはいえない。すなわち,観光総合窓口への経営母体による 方向性に差があるとはいえない。

(5)

上限 下限 188

自由度 有意確率 t 値 (両側)

.385 経営 .871

母体

図表ઇ 「観光総合窓口」独立サンプルの検定

つの母平均の差の検定 平均値

の差 .166

.166

差の標準 誤差

差の95% 信頼区間

156.220 等分散を仮定

しない。

等分散を仮定 する。

.369 .900

有意確率

.076

.185 -.199 .532 .191 -.211 .544 等分散性のため

の Levene の検定 F 値

3.182

⑸将来「地域限定旅行業」に登録するかどうかについて

地域限定旅行業への登録については,有効回答数188件のうち,「登録しない」が88件,「で きれば登録したい」が85件,「是非登録したい」が15件であった。

⑹「地域限定旅行業」に登録した時点の「国内旅行業務取扱管理者」の雇用について

2 11

合 計

図表ઈ 地域限定旅行業に登録するときの雇用について(N=184)

できれば登録したい 資格保持者雇用

登録しない

83 23

87 77

国内旅行業務取扱管理者 42 1

雇用無し 兼任者雇用

是非登録したい 6 7 1 15

国内旅行業務取扱管理者の雇用については,「是非登録したい」と「できれば登録したい」

と回答した道の駅のうち,資格保持者を雇用するのは17件,兼任者を雇用すると答えたのは49 件であった。⑸の回答者のすべてが回答してはいない。

⑺地域活性化のために希望する人材

図表ઉ 地域活性化のための人材(N=158)

合 計 地域活性化のために 希望する人材の能力

28.6% 44.3%

パーセント

37.3%

24.1%

100.1% 155.1%

34.3% 53.2%

13.1% 20.3%

ケースの パーセント

①総合戦略プランナー

② HP 更新

245 84 59 32 70 N

応答数

③ホスピタリティ

④語学力

複数回答であるこの設問では,希望する人材としては,語学力のある人がトップで84件,そ の次にイベント等を立ち上げる総合戦略プランナー70件と続く。

(6)

઄.調査結果の考察

⑵の経営母体を調査した結果(図表),最も多いのは第三セクターであったが,その他の 15件には県や市町村の指定管理者という記載がほとんどであった。指定管理者は,多くが年 間等の期限付きのため,雇用促進ができないとも書かれていた。しかし一方で,株式会社の経 営も増加してきている。指定管理者の多くは NPO 法人や株式会社である。訪問した道の駅に 限られるが,株式会社が経営している道の駅の対応は大変良く,客に対するサービスの良さ,

将来への経営戦略の明確さを感じた。訪問した道の駅21件すべてにあてはまることは,地域の 農産物直売所という形態であった。

ところが,⑷今後の方向性(図表)を見ると,好調な農産物や特産物の販売を含む産業振 興へのマークは当然ながら,⑤の観光総合窓口(地域の観光促進等)をマークしている道の駅 が圧倒的に多く,次に⑥インバウンド観光(外国人客へのサービス等)と続く。⑸「地域限定 旅行業」への登録については,結果を見れば必ずしも関心は高くない。さらに,⑹「国内旅行 業務取扱管理者」の雇用については,先述の指定管理者をはじめ雇用する余裕がないという記 述が多い。少数であるが「現職員が受験する」,「既に第三種旅行業を営み,名の資格保持者 を雇用している」,「観光協会が事務所を設置して職員が対応している」等の記述もあった。

また,地域活性化のために,今後どのような人材が必要かという観点から,⑺の回答(図表

)を見れば,語学力を身に付けた人材に,半数以上がマークしている。外国語の種類は英語 が最も多く,中国語,韓国語と続く。他に,タイ語,スペイン語,ポルトガル語が必要との記 載もあった。語学力を必要とする道の駅の分布は,都市近郊に集まることなく地方にも分布し ていて,インバウンド観光が,全国的に広がっていることが分かった。例えば,瀬戸大橋記念 公園の道の駅からの調査紙には,近隣の空港から外国人旅行者が増大しているので,何とか取 り込みたいという期待が書かれている。希望する人材の能力として,次に体験イベント等を立 ち上げる総合戦略プランナーが求められている。道の駅の経営担当者が高齢になっているた め,後を担う人材を求めている記述もあったので,今後はこうした人材の育成も急務である。

さらに,続くのはホスピタリティマインドを身に付けた人材育成である。地域の方々との豊か なコミュニケーションのとれる人材の育成が必要である。

以上のように,道の駅の多くが観光総合窓口,インバウンド観光の活性化への方向を示して いるにもかかわらず,雇用への余裕がないことが判明している。その理由としては,経営母体 に公的な部分(資金・人材)を含むため,地域の野菜や食料品,特産物販売を中心とする産業 振興が日々の重要業務となり多忙を極めることがある。ところが,そうした日常業務をこなす 中で,観光や土産品を購入する外国人が急増している道の駅が多く見られ,何とか対応してさ らなる経済効果を考慮しなければならないのである。このような状況から,外国人観光客の対 応のためには,語学力を身に付けた人材配置が急務であることも理解できる。

紙面の関係で,多くに触れることはできないが,平成28年度の『観光白書』では,日本の観 光系大学における教育内容の不十分さや大手旅行会社が採用時に観光系学部生を意識しない理 由を鑑み,今後の高等教育機関への観光に焦点を当てた体系的カリキュラムの構築が必要とさ れている。4)

(7)

અ.観光に関する新たな政策

「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」は,2016年月30日に,「世界が訪れたくなる 日本へ」という副題を付けて,「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定した。そのつの 柱を,①「観光資源の魅力を極め,地方創生の柱に」②「観光産業を革新し,国際競争力を高 め,我が国の基幹産業に」③「すべての旅行者が,ストレスなく快適に観光を満喫できる環境 に」とし,旅行者の滞在日数を伸ばし,消費額を増大させるとともに,旅行者の満足度を高め,

リピーターを増やすための施策としている。5)さらに,今後さまざまな規制緩和が実施される ことも決定している。2017年度には,ホテル・旅館が地域を周遊する旅行ツアーを販売しやす くする等の大幅な規制緩和,大型クルーズ船が寄港できるインフラ整備,ロシアを含む諸外国 へのこれまでよりもさらなるビザ緩和等が予定されている。6)

一方で,政府は観光地域づくりの中心となる組織・機能として,「日本版 DMO」(Destination Management/Marketing Organization:自治体住民が一体となって地域の観光振興に取り組 むため,関係者の合意形成,マーケティング戦略の策定を行う法人)の登録制度を実施し,普 及を図っている。7)

また,通訳案内士制度の見直しが行われ,2015年月の「構造改革特別区域法」の一部改正 により,地方公共団体が実施する研修を修了し「地域限定特例通訳案内士」に登録された人は,

特区内で有償での外国人の通訳案内が可能となっている。この制度は,さらに拡大される見込 みである。さらに,2017年には一定の質の確保を前提に,無資格者でも有償通訳ガイドができ るようになる。8)

અ.観光産業としての「道の駅」の展望

多くの課題を抱える道の駅の観光産業としての可能性については,次のように考察する。

⑴ 道の駅が,今後前項の「日本版 DMO」として,登録できれば,観光産業としての機能を 果たすことが大いに可能である。

⑵ 多くの道の駅が抱えていた外国人旅行者への対応としての「語学力」は,政府の施策の一 つである「地域限定特例通訳案内士」の活用ができると観光産業としての方向性がかなり 現実的になるだろう。

⑶ 観光庁と連携する株式会社地域経済活性化機構が組織されているが,これらの観光活性化 ファンド利用を拡大し,道の駅にも活用できれば,観光産業としての可能性はさらに高ま ると考える。9)

おわりに

道の駅に関する調査は,日本ビジネス実務学会近畿ブロック研究助成対象の研究「旅行・観 光ビジネスにおける地域限定旅行業の現状と将来性」に端を発している。

訪日外国人旅行者が急増する中で,政府はさらに訪日外国人旅行者数を2020年に4000万人,

2030年には6000万人という新たな目標をたてた。政府の施策が全国に行き届くのを見極める中 で,今後も道の駅の動向を見ていきたいと考えている。

(8)

参考文献

)中川伸子「地域限定旅行業の展望―地方創生と学生のキャリア支援に向けて―」神戸女子短期大学『論 攷』61巻 pp. 35-42(2016.3)

)国土交通省によれば,道の駅は1993年に創設され,2016年10月日時点で,1107駅の登録がある。

http://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_000754.html(2016.10.9取得)

)観光立国推進閣僚会議「観光立国に向けたアクション・プログラム2015」(2015.6)p. 12, p. 21

)国土交通省観光庁『平成28年版観光白書』(2016.8.24)pp. 70-71

)国土交通省観光庁『平成28年版観光白書』(2016.8.24)p. 58

)日本経済新聞「訪日客増へ観光競争力」(2016.9.18)

)国土交通省観光庁『平成28年版観光白書』(2016.8.24)p. 83

)同上 pp. 120-121

)同上 p. 122

* A Michi‒no‒Eki is a roadside rest area for those driving across Japan. Michi‒no‒Eki are located along national highways and provide free parking spaces, restrooms, and regional and tourist information for road travelers. There are currently over 1, 000 locations throughout Japan.(http://www.michi‒no‒eki.jp/en/?language=1)2016.10/9

Referensi

Dokumen terkait

3, 2012 158 今日の話題 新規エナンチオ選択的イミン還元酵素の探索と発見 光学活性アミンの酵素合成への展開とその可能性 光学活性アミンは,医薬品やアルカロイドのような生 物活性化合物の構成分子として有用な物質であり,効率 的な合成法が検討されている.近年,化学合成では,有 機溶媒中でイミンあるいはエナミンの触媒的不斉還元に