25
4 学校法人会計の特徴と企業会計との違い
学校会計はなぜ必要なのでしょうか。一般企業会計では処理できないのかと いう点では、学校を経営している学校法人は利益の獲得を目的としているの ではないため、損益計算を目的としている商業簿記による企業の会計処理で は、学校の経営状態を把握することは難しくなります。そこで、営利を目的 としない学校の経営状況を把握するための会計情報作成を目的とする「学校 会計」が必要となります。
学校法人は一般の企業に比べ極めて公共性が高く、学生の教育の場として安 定した経営を維持していく必要があります。学校法人が企業のように利益を 追求すれば、学生に提供する教育サービスの質を維持することができなくな ります。逆に収入を無視した教育サービスを提供し続ければ、学校を維持存 続することが不可能となります。
企業会計との基本的体系の違いとして、学校法人会計には企業会計にはな い「資金収支計算書」の存在と、教育という公共性の高い事業を行う法人の ため、その永続性を重視したことから基本金という概念が導入されています。
国や地 方公共団体から補助金を交付される学校法人は「学校法人会計基準」
に従ってこれらを表示する計算書類を作成し、所轄庁に届け出ることが義務 付けられています。
計算書類は下記の通りです。
(1)資金収支計算書
1)当該会計年度に行った教育研究等の諸活動に関する全ての資金の収入 及び支出の内容を明らかにする。
2)諸活動の対応関係に関わらず、現実に収納し、また支払った資金の収 入及び支出について、その顛末を明らかにする。
(2)消費収支計算書
1)当該会計年度の消費収支の内容を明らかにする。
消費収入とは、法人に帰属する負債にならない収入であり、学校法人 を継続的に運営していくための教育に必要な資産を保持するための 金額である基本金を除いた収入である。
消費支出とは、資産・借入金の返済・積立金など資本的支出にあてる ものを除いた支出である。
2)消費収支の均衡状態が保たれているかを表示し、学校法人の経営状態 を表す。
(3)貸借対照表
当該年度末における資産・負債・基本金・消費収支差額の内容及び在り 方を示し、学校法人の財政状況の健全性を表すものである。