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COVID−19 禍におけるスポーツ活動の段階的研究

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COVID−19 禍におけるスポーツ活動の段階的研究

−習慣的にスポーツを行っている子どもを持つ保護者に着目して−

学籍番号 1955003 氏 名 田中宏明

指導教員(主) 田畑 亨 (副) 福ヶ迫 善彦 キーワード:COVID-19,外出自粛,子どものスポーツ活動,総合型地域スポーツクラブ

【研究の背景・問題の所在】

現在、世界全体でCOVID-19の感染が拡大 しており、混乱を招いている。我が国では、政

府が COVID-19 の感染拡大防止のため、

2020 年 4月 7 日に1都6府県に緊急事態 宣言を発出し、16日には全国規模に拡大し た。その影響を受け、各都道府県で外出自粛 要請が発出され、休校になる学校や職種別に 休業要請がなされ、人々の外出する機会が減 少していたり、経済的に厳しい企業や家庭が 出ていたりすることが考えられる。また、J リー グやプロ野球などの開幕が延期になったり、小 学生や中学生などの体育大会が中止になっ たり、これら以外にもプロ、アマチュアを問わず、

スポーツの世界にも様々な影響が出ている。

政府が国民に対し外出を自粛するように要請 している状況下で、スポーツ庁は2020年4月 27 日、「新型ウイルス感染対策 スポーツ・運 動の留意点と運動事例について」1)において、

身体的及び精神的な健康を維持するために、

感染拡大防止策を十分に講じた上で、スポー ツをすることを推奨する旨の文章を掲載してい る。しかし、先述した休業を余儀なくされている 職場の中には民間スポーツクラブやスポーツ ジム、総合型地域スポーツクラブなどのスポー ツの機会を提供している施設や団体も含まれ ていることや、経済的に厳しく、スポーツにお 金をかけることが困難な家庭が増えていること

から、人々のスポーツ機会が減少していると考 えられ、習慣的にスポーツを行っている人でも スポーツ活動を維持することが困難であること が考えられる。また、学校が休校になったこと により、体育の授業や部活動の時間がなくなり、

特に子どもたちのスポーツ活動に影響が出て いることも考えられる。

これまで子どものスポーツ活動に関する 研究は数多く行われている。小倉ら(2017)

は、親が子どものスポーツサークルの活動 に対して期待することについて、「親の期待 の傾向としては、子どもが技術的に上手に なることよりも社会性を育むこと、人間的 に成長することへの期待が高いことが明ら かになった。」としている2)。また、渡辺ら

(2014)は「青少年アスリートの活躍によ り、子どものスポーツ参加に投資する親が 増えてきている。」と述べている3)

これらの先行研究から、保護者のスポーツ 関心度によって子どものスポーツクラブへ の加入に大きく寄与する事が明らかになっ ている。このことから、子どものスポーツ活 動の影響は保護者が非常に大きいものであ ると示唆できる。しかしながら、親のスポー ツへの理解によって子どもをスポーツクラ ブへ加入させるという行動変容がなされる もので、スポーツする場があるからこのよ うな行動が可能になってくるといえる。し

(2)

2 かし、緊急事態宣言の発令によってスポー ツクラブの活動が中止になった際、スポー ツ活動に理解を示す保護者がどのような手 段で子どもたちのスポーツ活動機会を創出 したのか、調査研究を行なっている実態は 把握できていない。

【目的】

本研究では、スポーツに関心があり、日頃か ら習慣的にスポーツに取り組んでいる子どもた ちに焦点を当て、外出自粛要請前、外出自粛 要請中、外出自粛要請解除後のそれぞれの 時期でのスポーツ活動に関する調査を行い、

それぞれの状況下での活動量の推移や、活 動を維持するためにどのような工夫を凝らして いるのかを明らかにすることを目的とする。

【方法】

本研究では、流通経済大学大学院スポーツ 健康科学研究科研究倫理審査員会の承認を 得て、龍ケ崎市を拠点に活動している総合型 地域スポーツクラブである、NPO 法人クラブ・

ドラゴンズ(以下、ドラゴンズとする。)の未就学 児・小学生・中学生の会員の保護者を対象に アンケート調査を2回実施した。

①外出自粛下におけるスポーツ活動に関する 調査

このアンケートは令和2年5月13日から5 月31日に実施した。

②外出自粛要請解除後におけるスポーツ活 動に関する調査

このアンケートは①の追跡調査として、令和2 年7月1日から7月31日に実施した。

事前にドラゴンズのクラブマネージャーに許 可を取り、1回目、2 回目共に陸上教室、新体 操教室、体操教室、子どものパーソナルトレー ニングに参加している未就学児、小学生、中

学生の会員の保護者(208名)に対し、文書で 実施方法を説明した上で調査への参加に同 意を得た者にアンケート調査を行った。期間内 に回答のあったものは1回目が70件、2回目 が 52 件であり、回収率はそれぞれ 33.7%、

25.0%であった。なお、アンケートの配布、回 答および回収については COVID-19 感染拡 大防止のため、Googleフォームを活用しWeb 上で行った。アンケート調査は全て無記名で 行い個人を特定する情報は得なかった。以上 のアンケート調査で得られたデータの統計処 理は、IBM SPSS Statistics. Version23を使 用した。

【結果と考察】

会員の自粛前と自粛中の1週間スポーツ 活動頻度の平均値を比較した結果、有意差 が認められなかった(表1)。当初、緊急事 態宣言発令に伴って、1週間のスポーツ活 動頻度について減少すると考えていたが、

このことから、緊急事態宣言発令は、会員の スポーツ活動頻度には大きな影響がなかっ た事がわかる。これは、表2で示している

「外出自粛要請発出中の子どものスポーツ 活動を維持するための留意事項」が影響し ていることが考えられる。この集計結果に おいて、「自宅でできる運動を調べている」

は19.7%、「自宅で使用できる運動用具を購

入している」は 19.0%であり、これらの人 は外出しなくても自宅で運動できる環境を 整備しようとしていることが考えられる。

また、「屋外で運動する際は十分な感染防止 対策を講じるよう指導している」は23.1%、

「規則正しい生活リズムになるよう指導し ている」は32.0%、「その他」の具体的な回 答の一部に「栄養バランスの良い食事を作 る」という意見があり、COVID-19 をはじ

(3)

3 めとする様々な感染症の感染防止のために、

我が子が健康的な生活を送ることができる よう留意していることも考えられる。

しかし、図1で示している通り、1週間 のスポーツ活動頻度別にみた場合、自粛前 では「週1〜2日程度」と回答していた層に おいて、自粛中になると活動頻度が減少し、

「ほとんどしていない」と回答した層の割 合が増えている事がわかる。一方、「週3〜

4日程度」と回答した層においては、大きな 変化がみられない事から、「週1〜2日程度」

と回答した層において自粛中の運動頻度に 大きな影響を与えたことがわかる。また、こ の層は、スポーツクラブへの参加はドラゴ ンズのみと考えられ、ドラゴンズが休業し たことによって、活動を維持することがで きなくなったことが考えられる。

次に、会員の自粛前と自粛中の1回あた

りの運動時間の平均値の比較を行った結果 を見てみると、有意差が認められた(表3)。 これは、外出自粛要請発出中に小・中学校の 休校やドラゴンズが休業していたことによ り、普段からあった運動の機会がなくなり、

運動時間が減少した人が全体的に多くなっ たことが影響していると考えられる。

以上のことに合わせて、表2の回答に注目 すると、多くの家庭では子どものスポーツ 活動の機会確保に対して様々なことに配慮 しながら、少しでも我が子のスポーツ活動 時間を確保し、維持しようとしていたとい える。スポーツ活動の機会確保に努める一 方、活動時間が減少した事は、親が確保でき るスポーツ活動時間にも限度がある事がわ かった。このような事から、子どものスポー ツ活動時間を増やす為には、スポーツクラ ブの影響が非常に大きいと言える。

最後に、1週間の運動頻度並びに運動時間 については、自粛解除後には、自粛前の水準 に戻った事がわかった。このように、外出自 粛が及ぼす運動への影響は、大きかったこ とがわかった。

【まとめ】

本研究では、日頃から習慣的にスポーツを

表1 中学生までの会員の自粛前と自粛中の1週間スポーツ活動頻度の平均値の比較

項目 n 平均値 SD p

1週間の運動頻度 自粛前 70 3.04 1.055 0.074

自粛中 70 3.30 1.355

p<0.05

表2 外出自粛要請発出中の子どものスポーツ活動維持に関する留意事項

項目 人数 n

子どものスポーツ活動の維 持のために保護者が心掛け ていること

自宅でできる運動について調べている 自宅で使用できる用具を購入している

運動する際は十分な感染防止対策を講じるよう指導している 規則正しい生活リズムになるよう指導している 特に心がけていることはない その他

29 28 34 47 4 5

19.7 19.0 23.1 32.0 2.7 3.4

147

図1 自粛前、自粛中、自粛解除後それぞれの1週間のスポーツ活動頻度の比較

11.4 17.1

28.6 41.4

0 0 1.4

15.7

8.6 30.0

21.4 24.3

0 0

15.4 17.3

23.1 38.5

3.8 1.9

0 0

5 10 15 20 25 30 35 40 45

毎⽇

週5

6⽇

週3

4⽇

週1

2⽇

ほとんどしていない 全くしていない

無回答

⾃粛前 ⾃粛中 ⾃粛解除後

表3 中学生までの会員の自粛前と自粛中の1回あたりのスポーツ活動時間の平均値の比較

項目 n 平均値 SD p

1回あたりの運動時間 自粛前 70 3.01 1.097 0.000

自粛中 70 1.96 0.924

p<0.01

図2 自粛前、自粛中、自粛解除後それぞれの1回あたりのスポーツ活動時間の比較

2.9 35.7

31.4

18.6

10.0

1.4 31.4

50.0

12.9

4.3

0 1.4

3.8 32.7

17.3 32.7

9.6 3.8

0 10 20 30 40 50 60

30分以下 31〜60分 61〜90分 91〜120分 121分以上 無回答

⾃粛前 ⾃粛中 ⾃粛解除後

(4)

4 実施している子どもが、外出自粛要請が発 出されている中でのその前後のスポーツ活 動の量の推移や、スポーツ活動を維持して いくためにどのような工夫を凝らしている のかに着目し、アンケート調査を2回実施 した。まず1回目に外出自粛要請発出前、外 出自粛要請発出中のスポーツ活動に関する 調査を行い、その追跡調査として2回目に 外出自粛要請解除後のスポーツ活動に関す る調査を行った。調査の結果から、外出自粛 要請、休業要請を受け、スポーツをする機会 が減少している中で、短時間でもスポーツ 活動を実施し、自粛前のスポーツ活動を維 持している人がいることが明らかになった。

その中で、ほとんどの家庭ではスポーツ活 動を維持するために留意していることがあ ったことから、日頃からスポーツを習慣的 に行っている子どもたちの保護者は、活動 を促し、外出自粛下においてもスポーツ活 動を維持させていたことが考えられる。こ のことから、外出に制限をかけられている 状況下で子どもたちがスポーツをする機会 を確保するためには、保護者のスポーツに 対する理解と支援が重要であるといえる。

しかし、先述したようにドラゴンズの教室 のみでしかスポーツ活動を確保していない 層がいることも考えられる。これらの層を 減少させるためにも、クラブ側は自宅でで きるトレーニングメニューを考案し、会員 に発信することを精力的に行うことが求め られる。また、クラブの教室だけに依存せず 自立的にスポーツ活動を確保できるように するためにも、子どもの体力向上方策とし て 2000 年に文部科学省が策定したスポー ツ振興基本計画4)や、同省が2012 年に策 定したスポーツ基本計画5)に記載されてい

たように、保護者に子どもの体力の重要性 について正しい認識を持たせるような取組 を推進していかなければならないと考える。

【参考文献】

1)スポーツ庁:新型コロナウイルス感染対 策 スポーツ・運動の留意点と運動事例 について」

〈 ス ポ ー ツ 庁 ホ ー ム ペ ー ジ : https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/

sports/mcatetop05/jsa_00010.html 2020-4-27掲載,2020-11-14更新〉

(最終閲覧日:2021年1月18日)

2)小倉晃布、早田剛、長谷川晃一:子どもの スポーツ活動への親の意識に関する研究

〈環太平洋大学教職教育研究第1巻.pp69- 74:2017-11-1〉

3)渡辺泰弘、松本耕二、高橋季絵:

児童のスポーツ習慣形成に関する親の影 響

〈笹川スポーツ財団 SSF スポーツ政策研 究第3巻1号.pp335-342:2014-4〉

4)「文部科学省:スポーツ振興基本計画 2スポーツ振興施策の展開方策 1 スポーツの振興を通じた子どもの体 力の向上方策A」

〈文部科学省ホームページ:

https://www.mext.go.jp/a_menu/spo rts/plan/06031014/002.htm 2000-9〉

(最終閲覧日:2021年2月17日)

5)「文部科学省:第1期スポーツ基本計画」

〈文部科学省ホームページ:

https://www.mext.go.jp/component/a_

menu/sports/detail/__icsFiles/afieldfi le/2012/04/02/1319359_3_1.pdf 2012-3-30〉

(最終閲覧日:2021年2月17日)

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