応用分子昆虫学 第7回
ー脱皮・変態・休眠とその制御ー
脱皮・変態
ふ化
生 活 環
脱皮・
変態
休眠
脱皮:表皮を脱ぎ捨て
より大きな表皮を作る
1、真皮細胞が成長して大きくなり、古い表皮から剥がれる2、真皮が次の齢や 蛹などに固有の 表皮合成を始める
3、真皮は、新表皮を分泌 するとともに、脱皮液を 新旧表皮間に分泌。
プロテアーゼ キチナーゼ
主に、内原表皮を消化吸収
キチン+タンパク質
4、消化されない部分が脱皮殻 として残る
5、新しく分泌された表皮タンパク質が 硬化し新しい皮膚が完成
脱皮・変態の制御
動物の体内で、鳥の睾丸(分泌腺)から物質が血液中に放出され、
これが雄性(動物の形態変化)化に機能していることを発見
(ベルト
―
ルド、19C
半ば)ホルモン:体内の特定の器官(内分泌器官)で作られ、血液によって作用部位に運ばれて、
強い生理活性作用を示す物質
変態がホルモンにより制御されることを 最初に見出したのはポーランドのカペッチ
(
Kapec),20C
前半昆虫におけるホルモンの発見
結紮実験
アラタ体
結紮実験の代わりに、アラタ体(頭部)と前胸腺(前胸部)の移植実験 さらに、脳の機能解析
JH: Juvenile hormon Ecd: Ecdyson
脳
アラタ体 前胸腺
前胸腺刺激ホルモン(
PTTH)
アラタ体刺激ホルモンアラタ体抑制ホルモン
Allatotropin
Allatostatin
側心体脳ホルモンの貯蔵
エクダイソン
幼若ホルモン
これまで話したように
PTTH
前胸腺ホルモン ○高
○低
羽化 蛹化 脱皮 脳
前胸腺刺激ホルモン
前胸腺
諸器官
アラタ体
JH
エグダイソン
諸器官 諸器官
アラトトロピン:AT ○+
アラトスタチン:AS ○-
DH:休眠ホルモン
diapose hormone
食道下神経節
EH:羽化ホルモン
ETH:脱皮刺激ホルモン
クラシカルスキームとも呼ばれる 変態・脱皮のメカニズム
クラシカルスキームとも呼ばれる
変態・脱皮のホルモンによる制御メカニズム
脱皮行動
前胸腺ホルモン 脱皮ホルモン
幼若ホルモン
( )
( )
(
Ecd)
休眠
休眠は、卵、幼虫、蛹、成虫のどの発育時期でも起ころが、
1つの種は、
1
つの時期に限られている。卵休眠: カイコ、バッタ など
幼虫休眠: ニカメイチュウ(ニカメイガ) など 蛹休眠: モンシロチョウ、アゲハチョウ など 成虫休眠: コロラドハムシ など
休眠の生理的特徴
* 呼吸活性低下
* 特異タンパク質・多価アルコール(グリセロール・
(ソルビトール)の合成
休眠の意義
*発育に不都合な環境を生き延びる(環境適応)
*種の維持(熱帯の昆虫も休眠)
カイコの卵休眠は母親の卵(胚期)が経験した環境 条件によって決定される世代を超えた
polyphenismを示し、母親の食道下神経節で作ら れる休眠ホルモンが卵巣に作用することで卵の休眠 性が決定される。
・ 25 ℃ 以上、 1 日 16 時間以上明るい
・ 15 ℃ 以下、 1 日 12 時間以上暗い
休眠 非休眠
カイコの胚期温度センサー分子: BmTRPA1 日長センサー分子: 不明
受容された情報は蛹期まで保存され、休眠ホルモン系 に統合されて休眠が制御される
休眠の制御についてカイコでの解析が進んでいる
日長と温度
休眠ホルモン: DMKDESDRGAHSERGALWFGPRL-NH2 24aa
カイコの卵休眠は親世代が経験した環境条件によって決定される 世代を超えたpolyphenismで、母親の食道下神経節で作られる 休眠ホルモンが卵巣に作用することで卵の休眠性が決定されます。
側心体 アラタ体
BmTRPA1
:温度センサー分子 光センサー分子不明エクダイソン 幼若ホルモン
休眠ホルモン
これまで話したように
PTTH
前胸腺ホルモン ○高
○低
羽化 蛹化 脱皮 脳
前胸腺刺激ホルモン
前胸腺
諸器官
アラタ体
JH
エグダイソン
諸器官 諸器官
アラトトロピン:AT ○+
アラトスタチン:AS ○-
DH:休眠ホルモン
diapose hormone
食道下神経節
EH:羽化ホルモン
ETH:脱皮刺激ホルモン
クラシカルスキームとも呼ばれる 変態・脱皮のメカニズム
脱皮行動
前胸腺ホルモン 脱皮ホルモン
幼若ホルモン
( )
( )
(
Ecd)
食道下神経節側心体(貯蔵)
変態・脱皮・休眠(カイコ)のホルモンによる制御
卵巣 休眠ホルモン