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Shushin koyosei : saiko : nyuraru nettowaku ni yoru zaimu gyoseki no kensho

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(1)Title Sub Title Author Publisher Publication year Jtitle Abstract. Notes Genre URL. Powered by TCPDF (www.tcpdf.org). 終身雇用制 : 再考 : ニューラルネットワークによる財務業績の検証 岡本, 大輔(Okamoto, Daisuke) 慶應義塾大学出版会 2010 三田商学研究 (Mita business review). Vol.53, No.3 (2010. 8) ,p.13- 32 終身雇用制は終焉・崩壊したと言われているが,実際には終身雇用を続ける企業 ,長期雇用で正社員雇用を重視する企業も多い。本論文では終身雇用について再 考し,メリット・デメリットを確認し,終身雇用を維持する企業はそれにこだわ らない企業に比べて,高成長・高収益を達成している事実を各種データから示し ,さらに非線型関係を扱えるニューラルネットワークを用いた多面的な検証を行 なう。 The Japanese lifetime employment system believed to be ended and collapsed; however, there are many companies which attach importance to long-term and regular employment. Also these companies have achieved high growth and profitability. In this paper, these facts will be shown and the Japanese lifetime emplyment system will be revisited by an artifical neural networks model, which can deal with a non-linear relationship, using questionnaire survey data and financial data. 論文 Journal Article http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=AN0023 4698-20100800-0013.

(2) 終身雇用制:再考-ニューラルネットワークによる財務業績の検証― Revising Japanese Lifetime Employment System: Financial Performance Analysis using Artificial Neural Networks 岡本 大輔(Daisuke Okamoto) 終身雇用制は終焉・崩壊したと言われているが、実際には終身雇用を続ける企業、長期雇 用で正社員雇用を重視する企業も多い。本論文では終身雇用について再考し、メリット・ デメリットを確認し、終身雇用を維持する企業はそれにこだわらない企業に比べて、高成 長・高収益を達成している事実を各種データから示し、さらに非線型関係を扱えるニュー ラルネットワークを用いた多面的な検証を行なう。 The Japanese lifetime employment system is believed to be ended and collapsed; however, there are many companies which attach importance to long-term and regular employment. Also these companies have achieved high growth and profitability. In this paper, these facts will be shown and the Japanese lifetime employment system will be revisited by an artificial neural networks model, which can deal with a non-linear relationship, using questionnaire survey data and financial data..

(3) 2010年 7 月 3 日掲載承認. 三田商学研究 第53巻第 3 号 2010 年 8 月. 終身雇用制:再考 ─ニューラルネットワークによる財務業績の検証─. 岡 <要. 本. 大. 輔. 約>. 終身雇用制は終焉・崩壊したと言われているが,実際には終身雇用を続ける企業,長期雇用で 正社員雇用を重視する企業も多い。本論文では終身雇用について再考し,メリット・デメリット を確認し,終身雇用を維持する企業はそれにこだわらない企業に比べて,高成長・高収益を達成 している事実を各種データから示し,さらに非線型関係を扱えるニューラルネットワークを用い た多面的な検証を行なう。 <キーワード> 終身雇用制,社会性,日本的経営,非線型関係,ニューラルネットワーク. 1.はじめに 2007年の米国サブプライムローン問題,2008年のリーマン・ショックは,当初,海の向こうの 金融危機であり,日本の実体経済に与える影響はそれほど大きくないと思われた。しかし米国内 での買い控えは自動車ローン販売に大きな影響を与え,急速に自動車の在庫を積み上げ,過剰生 産能力を抱えた日本の自動車各社の固定費負担を増大させた。そして自動車産業の海外販売に大 きく依存する日本経済のモノカルチャーに大きな打撃を与えてしまった。一方,日本経済自体も 2002年2月から好景気を継続させ,2006年11月には「いざなぎ景気」の57 ヶ月を抜いて戦後最 長の景気拡大期間となったが,感覚的には低空飛行という印象を否めず,それも2007年10月に 1). 69 ヶ月で終了し,それ以降は下降を続けて2009年11月にはついにデフレ宣言となった。 このような情勢の中,雇用状況も悪化の一途をたどっており,2008年秋以降,大量の派遣雇い 1) 景気動向指数研究会 http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/090129hiduke.html(2010年6月) 。.

(4) 三. 田. 商. 学. 研. 究. 止め,派遣切りが発生し,社会不安・雇用不安は増大した。2010年4月の完全失業率(季節調整値) は5.1%という高水準になっている。過去最悪を記録した2009年7月の5.7%から幾分回復したと 2). はいえ,非常に厳しい状況と言える。かつて日本的経営三種の神器の1つと言われた終身雇用制 も,最早過去のものである,と一般には信じられている。しかし,日本経済を牽引する原動力で ある日本企業の強みを考えるに,長期雇用の生み出す組織としての力,人材の重要性をここで再 確認する必要があるのではないだろうか。環境が変われば,企業戦略は変化しなければならない。 しかし,すべてを変えてしまってよいのであろうか。伊丹は,制度=環境×原理という式を提示 3). し,経営が変わっても原理を変えるべきではない,と主張する。例えば従来の環境×人本主義と いう式が終身雇用という制度を生み出したが,環境が変わったからといって人本主義の原理まで 変えてはならない,という。確かに,従来のままの終身雇用をそのまま維持することには無理が ある。しかし終身雇用すべてに問題があり,変えてしまうべきだ,ということにもならないので はないか。本論文では終身雇用・長期雇用について再考し,その現状・問題点に関して考察する。 さらに終身雇用・長期雇用が実際にはどのような効果を生むのかということに関して,時系列の アンケートデータ及び財務データでの検証を行なう。. 2.終身雇用制の崩壊 CSR が重視される現在,雇用維持は企業に最も近いステークホルダーである従業員に対する 4). 社会的責任であり,企業経営に重要な社会性の1つと考えられ,「経営者の最大の務め」と考え る社長も多い。例えば,日本電産の永守社長は「雇用の維持が大前提,絶対に人を切らん,雇用 5). が最大の社会貢献,雇用は天守閣」と述べており,キヤノンの御手洗会長は「雇用安定を最重要 6). の課題と考える」と経団連と連合の会合で述べている。かつて日本的経営三種の神器の1つと言 われた終身雇用制度は崩壊し,終焉した,と多くの報道がなされている。しかし歴史を振り返っ てみると,過去に何度も終身雇用崩壊が叫ばれている。古くは1973年と1979年のオイルショック, 1985年の円高,そして1991年のバブル崩壊後に,終身雇用終焉と言われたが,それぞれの段階で 終身雇用制度は終焉していなかったとも言える。それでは今回はどうなのであろうか? いくつ 7). かの統計データで確認してみよう。長期雇用者の割合が図1に示されている。バブル絶頂期の 1990年から2004年の間,男性40代正社員に占める勤続15年以上の人の割合は減少しているが,そ の減少幅はわずか3.6ポイント(66.3% → 62.7%)である。同時期の男性50代正社員に占める勤 2) 5.7%は総務省の1953年統計開始以来,最悪。2010年1月の季節調整値改定後の記録では5.6%だが,これ も最悪。 3) 伊丹敬之[1987]p. 20。 4) 岡本大輔・梅津光弘[2006]pp. 18−21。 5)『日経ビジネス』2009年10月26日号,2010年5月17日号。 6)『日本経済新聞』2010年1月27日。 7) 使用する統計データ源には,樋口美雄[2004] ,大久保幸夫[2007] ,玄田有史[2007] ,海老原嗣生[2009] の議論を参考にした。.

(5) 終身雇用制:再考 図1. (%) 80 70. 66.3. 64.6. 60 50. 長期雇用者の割合. 50.2. 26.2. 29.4. 7.7. 9.3. 20 10 0. 62.7. 52.7. 51.2. 43.0. 40 30. 63.0. 1990 91. 92. 93. 94. 95. 33.5. 33.5. 13.5. 13.4. 男性40∼49歳 (15年以上勤続) 男性50∼59歳 (25年以上勤続) 女性40∼49歳 (15年以上勤続) 女性50∼59歳 (25年以上勤続). 96. 97. 98. 99 2000 01. 02. 03. 04 (年). 内閣府『平成18年版国民生活白書 』p. 18. のデータより筆者作成. 続25年以上の人の割合,女性40代正社員に占める勤続15年以上の人の割合,女性50代正社員に占 める勤続25年以上の人の割合はすべて増加しており,長期雇用者の割合は増加していると言える。 また図2の平均勤続年数を見ると1980年から2007年の間,男性で+2.5年,女性で+2.6年,全体 で+2.5年となっており,全般的に増加傾向である。さらに図3でバブル期の1990年から2009年 までの転職率を見ると,確かに上昇はしているが,男性で+1.2ポイント,女性でも+1.8ポイン トであり,転職が当たり前,という社会ではなく,転職しない人が大部分である。このように, 終身雇用であるか否かは別として,長期雇用という日本的雇用慣行は終焉・崩壊という状態では ないことが判る。 では,終身雇用自体はどうなのであろうか。労働政策研究・研修機構が行なったアンケート調. 8). 査によれば「原則,これからも終身雇用を維持していく」という回答が最も多く,しかも2005年 9). 10). から2007年にかけて増加傾向が見られた(図4)。筆者らの調査でも,同様の傾向が見られる。 これは, 貴社では,終身雇用制についてどのようにお考えですか。 「1 と「6. あくまでも維持するつもり」. 維持することに全くこだわらない」を両端とする考え方のうち,貴社に最も近いと. 思われる番号1つに○印を付けてください。 あくまでも維持するつもり. 1−2−3−4−5−6. 維持することに全くこだわらない. 8) 設問: 「貴社では今後の終身雇用のあり方についてどうお考えですか。最もあてはまるもの1つに○をつ けて下さい」労働政策研究・研修機構[2009]。 9) 通商産業省[1997],経済産業省[2002] ,岡本大輔ほか[2001,2005,2006,2008,2009] 。 10) Kato[2001], 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング[2008]などでも同様の調査結果が報告されている。.

(6) 三. 田 図2. 商. 研. 究. 平均勤続年数 全体. (年) 14 13 12. 10.8. 11. 12.0. 8.7. 8.7. 7.9. 7.4. 6.8. 7. 11.8. 8.8. 8. 13.3. 12.0. 9.3. 9. 女性. 11.3. 10.9. 10.3. 男性. 13.4. 13.3. 12.9. 12.5. 11.9. 10. 学. 6.1. 6 5. 1980. 1985. 1990. 2000. 1995. 2005. 2007 (年). 厚生労働省『平成18年版厚生労働白書』p. 45. 及び(独)労働政策研究・研修機構の労働統計データ検索システム (http://stat.jil.go.jp/)より筆者作成. 図3. (%) 9. 転職率(過去1年以内の転職者数/雇用者数). 8 7 6. 6.6 5.4. 6.4 6.3. 6.0. 6.3. 6.7. 4 3 2. 4.3 3.6. 1990 91. 4.0. 4.0. 93. 94. 92. 4.2. 95. 7.4 7.2. 4.3. 4.7. 7.6. 7.5. 7.8. 7.9. 5.2 5.2. 5.2. 7.4 7.2. 7.6. 7.3 7.2. 女性. 6.1. 5 4.7. 7.4. 4.8 4.7. 4.8. 5.1 5.1 5.0. 5.3 5.2. 4.8. 男性. 96. 97 98. 99 2000 01. 02. 03. 04. 05 06. 07. 08 09(年). 海老原[2009]p. 18. のデータ及び総務省 労働力調査(http://www.stat.go.jp/data/roudou/)より筆者作成. 図4 2005 年 (n=450). 57.3. ① ② ③. 26.4 ①. 2007 年 (n=298) 0. 今後の終身雇用のあり方. 64.1 10. 20. 30. 22.1 40. 50. 原則,これからも終身雇用を維持していく 部分的な修正はやむを得ない 基本的な見直しが必要である. 労働政策研究・研修機構[2009]. 6.2. ②. 60 ④ ⑤. 70. 80. 6.4 3.6. ③. ④. ⑤. 3.7. 7.7. 2.3. 90. 100(%). 現在も終身雇用にはなっていない 無回答.

(7) 終身雇用制:再考 図5. 終身雇用に対する考え方の変遷 上場製造業. MITI1995. 5.8. 27.6. 33.2. MITI1998. 6.6. 28.4. 32.2. JCGF2000. 6.4. 27.2. KEIO2004. 7.1. KEIO2005. 7.5. KEIO2008 0. 通産省. 16.7. 26.0 24.5 40. 2. 15.2. 19.2. 34.3. 1. あくまでも維持. 14.1. 19.2. 26.7. 20. 3. 60 4. 10.2. 22.3. 37.8. 12.8. 6.2 2.2. 19.9. 27.8. 25.8. 11.0. KEIO2007. 24.9. 26.1. 23.2. のべ 1,949 社. 5. 20.5 18.6 80. 2.6 3.9 7.6 4.2 3.9 1.0 1.0. 4.9 4.9 100(%). 6. 全くこだわらない. 総合経営力指標,日本コーポレートガバナンスフォーラム,慶應 COE 調査,G − COE 調査より筆者作成. というアンケートで,1995年−2008年の7時点の比較である(図5)。調査主体は,通産省,経 産省,日本コーポレートガバナンスフォーラム,慶應義塾と変化しているが,すべて筆者が直接 参画し,上記の同じアンケートを使っているので比較可能なデータとなっている。まず,1995年 以前のデータはないが,もし終身雇用が当たり前の時代に実施していれば1の「あくまでも維持 するつもり」,その次の2あたりにかなり集中したのではないだろうか。1995年時点で図5のよ うに1∼6にばらついているので,既に日本企業の終身雇用が当たり前ではなくなっていたこと を確認できる。そして2004年あたりまで,6の「維持することに全くこだわらない」やその次の 5の企業がどんどん増え,終身雇用の終焉,という雰囲気も出てきている。しかし近年ではその 傾向に歯止めがかかり,最新の2008年では,1−3で70%を超え(71.6%),4−6の30%弱を大 きく上回っているのである。終身雇用は終焉とか崩壊などと言われるマスコミ報道とは大きく違 うことがよく判る。. 3.終身雇用制とは 前章では各種統計データ,アンケートデータを検証し,終身雇用制が一般に言われているほど, 終焉・崩壊という事態には至っていないことを確認した。とはいうものの,雇用環境が大きく変 わってきていることも事実であり,かつてのように終身雇用が当たり前,という時代ではない。 本章では終身雇用制とはどのような制度なのか,そのメリット・デメリットにはどのようなもの が考えられるのか,といった議論を振り返り,再考の材料を検討することとする。 通常,終身雇用制,と言われるが,実は制度ではない,という考え方が一般的である。例えば,.

(8) 三. 田. 商. 学. 研. 究. 日本生産性本部では終身雇用の定義として「企業が正規従業員を新卒採用した場合,特別の事情 がない限り定年年齢に到達するまで安定的に長期継続して雇用していこうとする“慣行” 」とし 11). ている。つまり,終身雇用制度と言われるが,制度ではなく雇用慣行であり,法律ではなく,文 書化された制度でもない。 12). 終身雇用という言葉は,アベグレンの『日本の経営』(原題 The Japanese Factory)に出てくる, permanent employment system, lifetime commitment, lasting commitment などの“概念”を監訳 者占部と訳者森が終身雇用と訳したことを起源とする。同訳書第2章のタイトルが“決定的な相 違 点 − 終 身 関 係 ” と な っ て お り, そ の 原 文 が,THE CRITICAL DIFFERENCE: A LIFETIME COMMITMENT である。この章の中で“終身”という翻訳は14回出てくるが,原文に対応させ てみると表1のように,ほとんどすべて異なる表現が用いられている。英文特有の,同じ表現を 繰り返さない,という特徴を勘案するにしても,アベグレンには終身雇用という言葉自体をアピー ルする意図はなかったのではないかと考えられる。氏が主張したのは終身の関係という“概念” であった。当時,日本の学者たちも日本企業における長期雇用に気付いていたが,中小企業にお 13). いては見られないなどの理由で,それに関するアピールをあまりしなかったという。氏が見たの はほんの一部の大企業の環境であり,臨時工や関係会社・従属会社の短期雇用を緩衝器として終 身雇用が成り立っていることも同書では指摘されている。また不況時には“ドラスチックな合理 14). 15). 16). 化”が行なわれたことも指摘されている。しかし神武景気,岩戸景気により戦後の人員整理は過 去の問題となり,深刻だった石炭産業の雇用問題は構造的斜陽産業の特殊要因と考えられ,ブルー カラーの労働移動率は高かったが,正社員のみが“立派”であり,“立派でない人”が終身雇用 でないことに問題は無い,という当時の価値観などがあり,日本には終身雇用を受け入れる条件 17). がそろっていた。その結果,表1の訳では1回しか登場しない終身雇用という言葉が大きく注目 されて広まり,さらにその言葉が独り歩きしたのである。実際には終身雇用とは大企業の男性社 18). 員のみに適用される雇用慣行であり,しかも20代での転職は結構存在したという指摘も多い。つ まり「企業と従業員の長期に安定した雇用関係とそれが生み出す従業員のパフォーマンス」が終 身雇用という“概念”の本質であり,加護野も「彼が強調したのは,雇用期間が長いか短いかで 19). はなく,企業と従業員の終身における「心理的契約」であった」と述べている。このように考え ると現在の日本企業の状況においても終身雇用という“概念”は多く見られ,終焉・崩壊という. 11) 日本生産性本部生産性研究所[1994]p. 3。 12) Abegglen[1958] 。 13) 野村正實[2007]p. 97,p. 134。 14) アベグレン[1958]pp. 29−34。 15) 1954年12月−1957年6月。 16) 1958年7月−1961年12月。 17) 野村正實[2007]pp. 104−105。 18) 例えば,小池和男[1994]p. 3。 19)『プレジデント』2009年4月13日号。.

(9) 終身雇用制:再考 表1. 終身という日本語訳の原文. 訳書頁 日本語訳 (アベグレン[1958]) p. 17. 終身関係 p. 17. 終身的関係 p. 19. 「終身的」ないし「恒久的」従業員 p. 20. 終身的関係 p. 21. 終身的関係 p. 24. 終身的雇用 p. 25. 終身的な雇用関係 p. 26. 終身的な雇用関係 p. 32. 「終身的」ないし「正規の」従業員 p. 32. 終身的関係 p. 33. 終身従業員 p. 33. 従業員と会社との終身的関係 p. 35. 終身雇用制度 p. 36. 雇主と被雇用者との間の終身的関係. 原著頁 p. 11. p. 11. p. 13. p. 14. p. 14. p. 16. p. 17. p. 17. p. 22. p. 22. p. 22. p. 23. p. 24. p. 24.. 原文 (Abegglen[1958] ) a lifetime commitment the permanent relationship permanent or“eternal”employees the lifetime relationship the lasting commitment permanent employment the permanent employer-employee relationship this permanent kind of job relationship employees referred to as“permanent”or“regular” the relationship previously described permanent employees the worker-firm relationship this permanent employment system this kind of commitment between employee and employer. ほど大きな変化は起きていないと言える。 この終身雇用という“概念”は十分,再考の余地のある考え方である。実際,トヨタ,キヤノ ンなどは終身雇用維持の旗を降ろしていない。東芝,シャープ,花王,ダイキン,ヤマト運輸, 伊那食品工業,日本電産,アイリスオーヤマ,ファーストリテイリングなど,長期雇用・正社員 の雇用維持を明言し重視する企業は枚挙に暇がない。その理由は如何なるものなのであろうか。 終身雇用のメリット・デメリットに関してはすでに多くの研究があり,終身雇用という“概念” 20). の再考の手がかりとして簡単に振り返れば以下のようになる。 終身雇用のメリット. 終身雇用のデメリット. ・高いモラールとコミットメント. ・固定費としての人件費. ・長期的キャリアデザイン. ・勤続年数≠経験による能力向上. ・企業特殊ノウハウ・知識の蓄積. ・知識の陳腐化. ・良好な労使関係. ・中高年ポスト不足. ・配置転換と多能工化. ・若者へのしわ寄せ. ・安定社会. ・転職コスト増大. まずメリットとして挙げられるのは,安定雇用による従業員の会社と仕事に対する高いコミッ. 20) 安藤喜久雄ほか[1980] ,占部都美[1984] ,伊丹敬之[1987],吉田和男[1993] ,小池和男[1994],日 本生産性本部[1994] ,荒井一博[1996],永野仁[1996] ,八代尚宏[1997, 2007],清水龍瑩[1998],守島 基博[2001, 2008] ,河野豊弘ほか[2002],沼上幹[2004],尹淑鉉[2004] ,馬塲杉夫[2005],小越洋之助 [2006] ,大久保幸夫[2007],野村正實[2007] ,労働政策研究・研修機構[2007],横山正博[2008],内田 恭彦[2009] ,粟沢尚志[2009],中野雅至[2009] ,柳川範之[2009]など。.

(10) 三. 田. 商. 学. 研. 究. トメントである。従業員と企業の目標が一致し,その結果,企業に対する忠誠心が向上し,モラ ールが向上し,生産性も向上する。従業員の確保が安定化すれば従業員の教育・キャリアデザイ ンを長期的・計画的な観点から行なえるようになり,それは企業内教育・技術開発のインセンテ ィブともなる。そして企業特殊的なノウハウ・知識の蓄積と組織としての学習が促進され,さら に企業内での教育・訓練の成果・研究開発・製造技術の習熟などが外部にリークしないというメ リットにもなる。よく知っている人間同士では協調・チームワークの醸成が容易となる。また, 良好な労使関係の構築が可能となり,配置転換と仕事の割り当てが柔軟で,多能工育成も可能に なる。社会的に見ても失業の緊張が少なく安定した社会を実現できるなど,多くのメリットがあ る。 一方,デメリットとしては,人件費が固定化してしまい調整できないという点が挙げられる。 特に業務が縮小する時,人員過剰になってしまう。また,勤続年数に応じて昇給してしまうが, 勤続年数=経験による能力向上,という図式が当てはまらなくなってきている現代においては, これも大きな弱点と言える。蓄積された経験が役立たなくなるケースも増え,技術革新により知 識が陳腐化するケースもある。さらに中高年役職予定者のポスト不足が生じ,採用抑制で若者に マイナスのしわ寄せがいってしまう。ある企業において能力を十分に発揮できなくても,転職し にくい,転職コストが増大するという労働移動の問題,それが新しい産業の発展可能性を阻害し てしまう,社会的には衰退すべき不要な産業に労働力が固定化されてしまう,というデメリット も指摘される。 終身雇用にはメリットもデメリットも存在し,一概に終身雇用継続が良いとも悪いとも言えな いことは事実である。しかし筆者は高いモラールとコミットメントという安定雇用によるメリッ トは非常に大きく,またそのメリットは終身雇用,少なくとも長期雇用でなければ得られないメ リットである点に注目している。日本企業の強みの1つとして,すべての従業員が創造性を発揮 できる組織としての能力,つまり一部のトップの能力の高さではなく一般従業員の能力の高さが 挙げられる。これらに関しては前述のごとく,多くの研究があり,さらに経営学・戦略論の大き な流れの1つであるリソース・ベースト・ビューも長期雇用のメリットの理論的な基盤を提供し 21). ている。また,それを可能にする組織は,長期雇用を前提とする日本型の「柔軟貸借モデル」で 22). あると大藪は主張する。これはアングロサクソン型の“権限と責任が明確で個人責任の曖昧領域 の無い” 「公式承認モデル」に対して, “個人の職務があいまいで,責任のハッキリしないスキマ 領域が残る”組織モデルである。この「柔軟貸借モデル」では何か問題が起きた時に現場での判 断を重視することで的確でモレのない組織的行動を可能にする。管理者は課題や業務方針などの 基本的な職務のあり方を示すが,それを受けて個人や現場が具体的にどのように職務行動をする 21) 守島基博[2001]p. 41., バーニー[2003基本編]pp. 231−298.,労働政策研究・研修機構[2007]p. 37., 沼上幹[2009]p. 90。 22) 大藪毅[2009]pp. 45−62。.

(11) 終身雇用制:再考. かは当事者任せという,現場での自主性を公式マネジメントの効率性よりも高く評価する。この ような現場の高い組織労働の能力を可能とするのが日本型の長期雇用なのである。すなわち,日 本企業が誇る高い組織力と人材力の前提として長期雇用が不可欠であり,1つの組織に長期にわ たって勤めることによって形成される人間関係をベースとした職場のチームワーク,転職や引き 抜きなど企業外部労働市場を通じた人材調達・短期的雇用では実現できない人材育成や活用が, 23). 日本企業の人的競争力の源泉と言える。これらが日本企業の強さを作ってきたことを考えると, 環境が変わったからといって安易に終身雇用・長期雇用を放棄してしまってよいものだろうか, という疑問が残る。 さらに重要なことは,前述のようにメリットは終身雇用,少なくとも長期雇用でなければ得ら れないメリットであることに対し,デメリットと指摘されるものの中には,勤続年数・年功によ る評価の妥当性,中高年のポスト不足など,終身雇用・長期雇用においても調整可能なデメリッ トも存在するという点である。特に年功制に関しては,雇用の問題とは切り離して議論すべき, という意見も多い。例えば『終身雇用制度の将来予測調査報告書』によれば終身雇用見直しに伴 って最優先する人事政策として「能力主義管理の徹底」, 「賃金体系全体の見直し」, 「早期退職優 24). 遇制度(選択定年制)の実施」などが挙げられている。従って,昔ながらの年功序列と組み合わ された終身雇用には問題があるとはいえ,例えば人事評価制度を変え,従来の終身雇用自体のメ リットを活かす形での終身雇用・長期雇用には大きな可能性がある。 実際の企業を見ても,終身雇用・長期雇用は維持しながらも年功序列をやめている企業が多数 存在するという報告がある。例えば,労働政策研究・研修機構のアンケート調査では,「長期雇 用を続けるか否か」 「成果主義を導入するか否か」という2つの2分類から次の4分類を考えて 25). いる。 J 型(30.0%):従来の日本的経営を志向する企業群(長期雇用 + 成果主義未導入) A 型(18.2%):従来のアメリカ型への変化を志向する企業群(長期雇用放棄 + 成果主義) NJ 型(39.7%):日本企業の新たな(New)方向の企業群(長期雇用 + 成果主義) DJ 型(12.2%) :NJ 型の変革を放棄(Declined)する企業群(長期雇用放棄 + 成果主義未導入) このように,終身雇用・長期雇用は維持しながらも年功序列をやめている企業も実際には数多く. 23) 大藪毅[2009]p. 2。なお, ほとんど同様な考え方として, 日本型トップの意思決定の「カシ・カリの論理」, アングロサクソン型組織の「マニュアルシステム」 , 日本型組織の「よろしくシステム」という言葉もある。 清水龍瑩[1999]p. 13, p. 40。 24) 日本生産性本部[1994]p. 70。その他, 占部都美[1984]p. 47.などにも同様の指摘がある。ただし逆に, 相互の補完性・バランスを主張する論者も多い。 25) 労働政策研究・研修機構[2007]pp. 78−95。.

(12) 三. 田. 商. 学. 研. 究. 26). 存在していることが判る。そしてこの4分類を用いて5年間売上変化率及び5年間営業利益変化 率を被説明変数とする2本の回帰モデルを分析したところ,売上変化率についてのみ有意な結果 27). が得られ,NJ 型と A 型の企業パフォーマンスは J 型に対して高い,という結果を得ている。こ れは本論文で再考を提唱する終身雇用・長期雇用とその成果を実証的に検証した,数少ない貴重 な研究と言えるが,残念ながら調整済み決定係数がわずかに0.005でモデルの説明力不足は否め 28). ない。その他の実証分析としては川田の研究がある。そこでは人材マネジメントに関するアンケ ート調査から,「業績悪化でも人材削減をしない」「会社が責任を持ってキャリア開発支援を行 なう」「複線型のキャリアを持つ」など,従業員に配慮した人事ポリシー・施策が,「残ってほ しい人材が辞めることはない」という結果を生み,長期的な視点で人材を尊重する企業の高業績 が報告されている。これも貴重な実証研究と言えるが,残念ながら終身雇用・長期雇用という要 因を直接は扱っておらず,しかも株価の年平均成長率との単年度相関分析にとどまっている。更 なる分析が必要であり,終身雇用には,再考の余地がまだまだ残っていると言える。. 4.終身雇用制と企業業績の関係 4.1. 終身雇用を重視する企業と高業績. 前章で述べたように,終身雇用・長期雇用とそのメリット・デメリットに関する研究は数多く 発表されているが,その具体的な効果として実際の財務データでの収益性・成長性といった財務 業績との関係を分析した研究は数少なく,まだまだ不足の状態と言える。そこで本章では,前章 29). までの考え方を複数年度の財務データで検証する。ここで検証されるのは「長期雇用は,終身雇 用という“概念”が併せ持つ,高い従業員のパフォーマンスの発揮を促し,高財務業績につなが る」という仮説である。前述の筆者らのアンケート調査を用い,財務データとの関連を見るが, アンケートでは,終身雇用を維持するか否かの意思を尋ねているだけであり,その際には結果変 数としての高い従業員のパフォーマンスの発揮をも含む,終身雇用の“概念”は説明されていな い。従って,単に終身雇用制維持という意思決定,つまり長期雇用という意思決定が収益性・成 長性といった財務業績に対してどのような影響を及ぼすのか,を検証することになる。また,前 述したような年功主義との関係も勘案し,能力主義的な評価方法との組み合わせが,財務業績に どのような影響を及ぼすのか,という関係をも検証する。用いられる手法は QAQF(定性要因の 30). 定量分析法)である。. 26) 財務省財務総合政策研究所[2003]6−3−1.にも同様の調査がある。 27) 説明変数は A・NJ・DJ(ダミー変数) ,規模・業種(統制変数) 。NJ がプラスで10%有意,A がプラスで 5%有意。調整済み R2=0.005。 28) 川田弓子[2008] 29)使用したソフトウェアは,PC − QAQF ver. 1.0.0.7.(慶應義塾経営力評価グループ) ,Keio Neural Network Analysis ver. 5.1(慶應義塾経営力評価グループ) ,SPSS ver. 17.0(SPSS Inc.) ,ハードウェアは,SONY VAIO type TZ(Windows VISTA Business, Core 2 Duo(1.2G) , M2GB, 32GBSSD, 160GHDD) ,SONY VAIO Z (Windows7 Professional 64bit, Core 2 Duo(2.8G), M6GB, 128GBSSD)。.

(13) 終身雇用制:再考 図6. 終身雇用維持2007と財務業績2009. 4.000. 4.500. ( ) 終身雇用維持(1). 5.000. 5.500. 6.000. *. 5.873. (2) ( ). 5.101. (3) ( ). 4.917. こだわらない(456) ( ). 4.788. アンダーラインは最大値を,*は有意水準5%で統計的に有意な差があることを示している。. 表2. 終身雇用維持(1) (2) (3) こだわらない(456) 終身雇用維持(1) (2) (3) こだわらない(456). 2000 全企業 5.056 5.222 5.023 4.779. 終身雇用維持と財務業績2009 2004 全企業 5.211 5.129 4.788 4.903. 2005 全企業 * 5.063 5.052 4.487 4.752. 2007 全企業 * 5.873 5.101 4.917 4.788. 2008 全企業 5.043 4.803 5.020 5.374. 能力主義 5.502 5.061 4.466 4.913. 能力主義 5.581 5.787 4.740 4.358. 能力主義 5.603 5.219 5.141 5.036. 能力主義 5.444 4.890 5.216 5.112. アンダーラインは最大値を,*は有意水準5%で統計的に有意な差があることを示している。. 図6は,2007年の終身雇用アンケートデータと2009年の財務業績の関係を示している。アンケ ートデータでは前章で示したように6段階の選択肢であったが,サンプル数の関係で4グループ 31). (1,2,3,4+5+6)に分け,それぞれのグループ内で,財務業績の平均値を計算し比較し. たものである。2007年に「終身雇用維持」と回答した企業の2009年における財務業績平均値が最 も高く,その差は有意水準5%で統計的に有意である。すなわち終身雇用維持という意思決定が 2年後の自社の財務業績に対して有意にプラスに貢献していることが判る。表2の上段には, 2000,2004,2005,2007,2008の終身雇用アンケートデータと2009年の財務業績の関係が示され 32). ている。5調査のうち3調査(2004,2005,2007)で最も強く「終身雇用維持」を掲げる企業の 2009年財務業績が最高となっている。さらに図6の2007に加えて2005も統計的に有意である。. 30) 終身雇用維持/能力主義的評価といった数字では表せない定性的要因を定量的に分析する手法であり,通 商産業省の企業経営力委員会で四半世紀以上にわたって用いられたほか,多くの調査で利用されている。詳 しくは岡本大輔[1996]pp. 5−6.,安藤英義ほか[2007]pp. 162−163。 31) 財務業績の定義は次の通りである。収益性[売上高経常利益率を0−5に基準化],成長性[4年間移動 平均売上高伸率を0−5に基準化] ,財務業績[収益性 + 成長性]。 32) 1995年,1998年は旧通産省が調査主体であったため,原データは利用不能であった。.

(14) 三. 田. 商. 学. 研. 究. 2000年調査でも全体的には「終身雇用維持」が財務業績のプラスに貢献している。また,2008年 調査では「こだわらない」企業の業績が最大になっているものの,統計的には有意ではなく, 「終 身雇用維持」企業の業績もそれに次いで2番目に高くなっている。表2の下段は,能力主義的評 33). 価を強調する企業に限っての検証結果である。サンプル数が少なくなってしまうため,有意な差 は出ていないが,データのとれる4調査のうち3調査(2004,2007,2008)で,最も強く終身雇 用維持を掲げる企業の2009年財務業績が最高となっており,2005年調査でも僅差で2番目に高い 財務業績となっている。 4.2. 非線型モデルによる終身雇用制の高業績貢献度. 前節までの QAQF 分析により,終身雇用制維持という意思決定が自社の将来の収益性・成長 性といった財務業績を向上させる傾向にあることが判った。またその際,年功的要素を排除し, 能力主義的な評価を行なうことも,財務業績向上に結びつく傾向を確認した。しかしながら,観 測時点によっては統計的に有意な結果が得られないケース,また年功評価か能力評価かという点 に関してはサンプル数の関係もあるが全く統計的有意性は観測されず,全体として明快な結論と は言い難い状況も併せて確認された。そこで本節ではこの研究結果の更なる確認という意味で, 終身雇用と能力評価を説明変数,将来の収益性・成長性を被説明変数とするモデルを構築し,こ れらの関係の検証を続ける。その際に使用するモデルは,非線型性の関係を扱うことのできるニ ューラルネットワークモデル,そしてその比較対象として線型の判別関数モデルである。 4.2.1. モデル設計. ニューラルネットワークモデルとは,人間の脳の情報処理網である神経回路をコンピューター 上で実現するという,エンジニアリング分野で開発された手法である。このモデルの最大の特徴 は,重回帰分析・多群判別関数分析など多変量解析法のように,一定の数式モデルを仮定してそ の係数を推定する,という方法をとらず,モデル自身が変数間の関係を学習していき,自らモデ ルを構築する,という点にある。従って,従来の多くの手法が持つ「変数間の線型関係を所与の ものとして一定の数式モデルを仮定する」というステップが無いため,非線型関係をも取り扱え 34). る,という大きなメリットを持っている。本論文で検証したい終身雇用と財務業績などの関係に 関する数式を明示した理論やその数式の構造に関する根拠を示した研究は皆無であり,ましてや 線型の関係性も不明なので,このような分析に際しては自らモデルを構築し,その際に非線型関 係も扱えるというニューラルネットワーク分析は最適な手法と言える。また比較のため,従来の 33) 同じアンケート内の次の質問において,4−6と回答した企業のみを集計。 「貴社の組織を全体としてみ たときに,同業他社と比べてどの様な組織的な特徴(組織文化)が存在しますか。以下の各項目について, 左右のキーワードを両端とするそれぞれの特徴のうち,貴社に最も近いと思われる番号1つに○印を付けて ください。」 年功主義的 1−2−3−4−5−6 能力主義的 34) ニューラルネットワークモデルに関しては,岡本大輔[2004]pp. 93−144.,岡本大輔・梅津光弘[2006] pp. 107−109. 参照。.

(15) 終身雇用制:再考. 研究で多く用いられてきた線型関係のみを扱う,多群判別関数の分析も併せて行なう。ニューラ ルネットワークモデル自体は色々な分析のできる手法であるが,本論文では判別関数分析との比 較ができるように, 「非線型関係が扱える」という特徴だけを残し,判別関数分析と全く同じ分 析を行なうニューラルネットワークモデルのみを考えることにする。 ここでは終身雇用に対する考え方と能力主義に関する考え方を説明変数/入力変数,その後の 35). 収益性と成長性を被説明変数/出力変数とするモデルを構築する。その際,終身雇用と能力主義 の考え方のみで将来の財務業績が決まるはずはないので,入力変数と同じ時期の収益性と成長性 も,いわば統制変数として,入力変数に加える。具体的には次のような2つのモデルを検証する。 モデル1 ・入力変数 終身雇用2007,能力主義2007,収益性2007,成長性2007 ・出力変数 収益性2009,成長性2009 ニューラルネットワークモデル及び判別関数モデルで分類されるグループは,出力変数を外的 基準とした「低収益/低成長」 「低収益/高成長」「高収益/低成長」 「高収益/高成長」である。 従って,入力される4変数により,4グループを分類/判別するモデルとなる。 モデル2 ・入力変数 終身雇用2007,能力主義2007,業績2007 ・出力変数 業績2009 このモデル2はモデル1における,収益性と成長性を合計したものを業績と定義し,入力変数, 36). 出力変数ともに1変数減らしたモデルである。分類されるグループは「低業績」 「高業績」であり, 入力される3変数により,2グループを分類/判別するモデルとなる。. 35) ニューラルネットワークモデルにおいては,重回帰分析や判別関数分析の説明変数に相当する変数を入力 変数,被説明変数に相当する変数を出力変数と呼ぶ。以降では混乱を避けるため,判別関数分析においても ニューラルネットワークモデルに合わせて入力変数,出力変数,という用語を用いる。 36) これは,モデル1の4つの入力変数において収益性と成長性の相関が最も高いので,入力変数間の高相関 が生み出す(線型モデルにおける) 多重共線性のような弊害を抑制するためのモデルである。Okamoto [2009] p. 126. 参照。.

(16) 三. 田. 商. 学. 研. 究. 収益性・成長性・業績の高低の基準は,それぞれのサンプルにおける上位下位1/3とした。 すなわち業績上位1/3が“高業績企業” ,業績下位1/3が“低業績企業”であり,中位1/3 37). は分析サンプルから取り除かれた。 4.2.2. モデル1. これは入力変数が終身雇用2007,能力主義2007,収益性2007,成長性2007,の4変数で,これ らにより収益性2009および成長性2009を説明しようというモデルである。まず判別関数モデルに よる分類表(表3)において,行の「実際のデータ」が2009年の収益性及び成長性による4分類 であり,列の「判別関数による分類」が判別関数分析による4分類を示している。故に網かけ部 38). 分の対角線上のサンプルが正しい分類であり,判別力は50.9%となった。次にニューラルネット ワークモデルによる分類表(表4)を見ると,判別力は64.6%であり,非線型性を考慮すること 39). により約14ポイントもの判別力向上が確認できる。さらに,多群判別関数の場合,複数の判別関 数を用いた分類が行なわれるため,それぞれの入力変数の貢献度を明確に示すことはできないが, 40). ニューラルネットワークモデルの場合はそれが可能である。表5の貢献度の符号を見ると,終身 雇用がマイナスであり,終身雇用2007の変数と収益性2009・成長性2009の変数の間にはマイナス の相関があるということになる。終身雇用アンケート原票は前章の通り,選択肢の数字が小さい ほど終身雇用維持を表すので,終身雇用維持 → 高収益・高成長,という前節の QAQF 分析の 41). 結果と一致している。その貢献度の割合は,4変数の中で1割強(11.1%)ということが判る。 能力主義2007の貢献度はプラスであり,ここでも能力主義 → 高収益・高成長という前節の結果. 37) 基準を1/3とせず,1/4や1/2とすることも考えられる。しかし1/4にした場合は,サンプルに 入らない中位企業が多くなってしまい,サンプル数が極端に減ってしまう。1/2にした場合には2分割な ので,逆にそれらの中位企業がすべてサンプルに入ってしまい,ここで検討したい変数間の関係が曖昧にな ってしまう。そこで本論文では1/3という基準のみを採用した。この操作により,モデル2のサンプル数 は72となった。モデル1においても同様なサンプル抽出を行なうが,その際,収益性と成長性の両方が1/ 3基準を満たしたもののみを抽出するため,サンプル数はさらに減り,53となった。またニューラルネット ワークモデルの入力変数には0−1変数が用いられるため,入力変数にはそれぞれ, (各変数−最小値)/(最 大値−最小値)という変換が施された。 38) 対角線上のサンプルが正しい分類なので, 判別力Ⅰは, (11+5+5+6) / 53=50.9%という計算になる。 判別力Ⅱは次のように計算される。例えば実際のデータで低収益低成長であった19サンプルについて,8サ ンプルは誤分類となったが,低収益高成長または高収益低成長などのように,半分は正解というサンプルも 存在する。そこでそれらを0.5ポイントとする。すなわち, { (11+5+5+6) +0.5×(1+2+2+1+4+3 +2) } / 53=65.1%。 39) ニューラルネットワーク分析では,乱数を用いるため,その影響を考慮し,5分割クロスバリデーション を行なっている。そのため,サンプル数は212(53×4/ 5×5)になっている。判別関数分析においても 使用したソフトウェアには交差妥当化というオプションはあるが,5分割ではない。ソフトウェアやオプシ ョンが異なるため厳密な比較はできないが,それでもニューラルネットワークモデルの判別力優位は明らか である。 40) 岡本大輔[2004]pp. 124−127。 41) ニューラルネットワークモデルにおいては分析の際の初期値として乱数が用いられるので分析結果の細 かい数値にそれほどの意味は無い。ここでは“何%”ではなく, “何割”程度,という捉え方をしている。 詳しくは,岡本大輔[2004]p. 126。.

(17) 終身雇用制:再考 表3. 実際のデータ. 低収益低成長 低収益高成長 高収益低成長 高収益高成長. モデル1[判別関数モデル]による分類表 低収益低成長 11 2 1 6. 判別関数による分類 低収益高成長 高収益低成長 1 2 5 0 0 5 3 2. 高収益高成長 5 0 4 6. 19 7 10 17. ニューラルネットワークによる分類 低収益高成長 高収益低成長 高収益高成長 1 15 11 20 0 3 0 29 9 8 15 39. 76 28 40 68. 判別力Ⅰ 50.9% 判別力Ⅱ 65.1% SPSS ver. 17.0(SPSS Inc.). 表4. 実際のデータ. モデル1[ニューラルネットワークモデル]による分類表. 低収益低成長 低収益高成長 高収益低成長 高収益高成長. 低収益低成長 49 5 2 6. 判別力Ⅰ 64.6% 判別力Ⅱ 78.3% KNNA ver. 5.1(慶應義塾経営力評価グループ) 5分割クロスバリデーション,学習回数20,000回. 表5 終身雇用に こだわらない 能力主義 収益性 成長性. モデル1の入力変数貢献度 ニューラルネットワークモデル −0.130. 11.1%. 0.013 0.841 0.191. 1.1% 71.6% 16.3%. が確認されている。ただしその貢献度の割合は非常に小さい(1.1%)。因みに収益性2007と成長 性2007は当然,収益性2009・成長性2009とプラスの関係にあり,それぞれの貢献度の割合は7割 (71.6%)と2割弱(16.3%)であった。. 4.2.3. モデル2. これは入力変数が終身雇用2007,能力主義2007,業績2007の3変数で,これらにより,業績 2009を説明しようというモデルである。モデル1同様,比較のための判別関数分析結果(表6) から見ると,判別力は66.7%であった。一方ニューラルネットワークモデルの判別力(表7)は 77.4%であり,ここでも非線型性考慮による約11ポイントの判別力向上が見られた。表8の貢献 度の符号はモデル1同様,終身雇用でマイナスになっていて,終身雇用維持 → 高業績の関係が ここでも確認できる。その貢献度の割合は,判別関数モデルとニューラルネットワークモデルに 42). おいて多少の相違はあるが,判別力の高さを鑑み,非線型性を考慮するニューラルネットワーク.

(18) 三 表6. 実際のデータ. 田. 商. 学. 研. 究. モデル2[判別関数モデル]による分類表 判別関数による分類 低業績 高業績 25 11 13 23. 低業績 高業績. 36 36. 判別力Ⅰ 66.7% SPSS ver. 17.0(SPSS Inc.). 表7. モデル2[ニューラルネットワークモデル]による分類表. 実際のデータ. 低業績 高業績. ニューラルネットワークによる分類 低業績 高業績 99 45 144 20 124 144. 判別力Ⅰ 77.4% KNNA ver. 5.1(慶應義塾経営力評価グループ) 5分割クロスバリデーション,学習回数50,000回. 表8 終身雇用に こだわらない 能力主義 業績. モデル2の入力変数貢献度. 標準化された正準判別関数係数. ニューラルネットワークモデル. −0.421. 28.5%. −0.157. 11.5%. 0.169 0.885. 11.5% 60.0%. 0.013 1.188. 0.9% 87.5%. モデルの貢献度を優先的に取り扱えば,モデル1同様1割強(11.5%)である。能力主義の貢献 度の符号はプラスであるが,やはり非常に小さい割合(0.9%)となっている。そして業績の貢献 度がプラスで最大の9割弱(87.5%)という点もモデル1同様である。 以上の分析により,終身雇用という意思決定が自社の将来の財務業績にプラスの貢献をするこ とが確認され,さらに非線型モデルを用いることにより,その貢献度も明らかにすることができ た。. 5.考察と結論 筆者は企業評価の基準として,収益性・成長性に社会性を第3の条件として加えることを常々 主張してきた。かつては自らが儲かって伸びているという経済的条件を満たすことが資本主義企 業の社会的責任であり,それ以外のことを行なう必要はない,という議論もあったが,近年では CSR 議論の高まりもあり,さすがに社会性に関する反対意見はなくなってきた。しかし実際に 42) ここでは2群判別なので,標準化された正準判別関数係数も併せて示されている。.

(19) 終身雇用制:再考. 社会性を企業目標として捉え,戦略的に社会性を高める経営を行なうとどのような成果が得られ 43). るのか,に関しては実証研究が不足している。筆者はそれに対していくつかの CSP-CFP 関係の 研究を行なってきたが,本論文では一般には既に過去のものになったと信じられている終身雇用 制度を取り上げた。なぜならば雇用維持は,企業に最も近いステークホルダーである従業員に対 する“企業の社会性”の重要な要素であり,また日本企業の強さの源泉である終身雇用制度を再 考し,それを実行することがどのような成果につながるか,といった実証研究も不足していると 考えられるからであった。 終身雇用・長期雇用・雇用維持などの社会性や CSR の重要性は,理屈上は明らかであり,現 場の経営者の意見を聞いても,できれば雇用は維持したい,と言う人が圧倒的に多い。また,景 気が回復した時に勢いよく飛び出せるよう,正社員の雇用はできるだけ守りたいと考える経営者 も多い。しかしながら短期的にはコスト増になってしまうと考えれば,なかなか実行できないこ とも多い。経済同友会の報告書でも「現実に CSR がどのように企業の業績に結び付くかについて, その因果関係を実証するのは,なかなか難しい。よく「ニワトリか卵か」と言われるように,業 績が良いから CSR を積極的に推進できるのか,あるいは CSR を積極的に推進しているから業績 が良いのかを判断するには,未だ材料が十分に揃っていないのが現状である。 」 「CSR が「良い」 ことは誰もが認識していることであるが,具体的な利益に結び付くというインセンティブがなけ 44). れば,その取り組みはなかなか進展していかない。」としている。本論文では CSP − CFP 関係の 具体例としての終身雇用と CFP 関係を分析した。その結果,今まではっきりしなかった関係を, 線型だけでなく,非線型関係を取り扱うことにより,その関係がプラスであることを明示でき, しかもどのくらいプラスなのか,という貢献度を目で見える形にして示すことができた。 これらの分析に対して,上記の経済同友会の報告書のように,「因果関係の方向が逆で,原因 と結果は逆ではないか」という反論も考えられる。すなわち,終身雇用だから業績が良いのでは なく,業績が良いから終身雇用が維持できたのではないか,という反論である。確かにそのよう な因果関係も存在するであろうが,ある時,終身雇用が高業績の結果だとしても,そこから終身 雇用のメリットが機能すれば,将来の業績を向上させることは十分に考えられ,終身雇用は結果 であると共に原因としても考えられる。高業績が終身雇用を維持させ,それがまた高業績を生む という好循環である。逆に言えば,低業績になり,終身雇用を維持できなくなれば,それが従業 員のモラールを低下させ,更なる低業績を生むという悪循環も考えられる。正にニワトリと卵の 関係と言える。しかしながら長い目で見れば財務業績は明らかに結果だが,終身雇用は操作可能 な意思決定要因である,という点を考えると,長期的には原因といっても差し支えないと言える。 そして本論文においては終身雇用データを財務業績データより前の時点に設定することも行ない, 43) corporate social performance vs. corporate financial performance,岡本大輔[1994,1996],岡本大輔ほか [2006] ,Okamoto[2009]参照。 44) 経済同友会[2003]p. 38。.

(20) 三. 田. 商. 学. 研. 究. この因果関係の問題に対処した。 本論文では終身雇用を再考し,現状を統計データ・アンケートデータにより分析し,さらに業 績との関係を QAQF 分析,判別関数分析,ニューラルネットワーク分析により明らかにしてきた。 残念ながらサンプル数の制約もあり,限られた範囲の分析であったことは本論文の限界として意 識しておきたい。例えば,今回はアンケート調査をもとにした分析のみであったが,実際の勤続 年数と財務データとの関係など,今後の課題は多く,それらに関しては他日を期したい。しかし ながら,少なくとも今回は,終身雇用の将来業績へのプラスの貢献を示すことができた。終身雇 用のメリットは日本企業の強みと深く関連しており,不況になったからといって安易に放棄して よいものではなく,終身雇用再考の意義は大きい,と筆者は考えている。. REFERENCES アベグレン『新・日本の経営』山岡洋一訳,日本経済新聞社,2004年。 荒井一博『雇用制度の経済学』中央経済社,1996年。 粟沢尚志「日本型経営と日本型福祉 ─心理会計モデルを用いた分析─」 『千葉経済論叢』40,2009,pp. 91− 102。 安藤喜久雄・石川晃弘編『日本的経営の転機』有斐閣,1980年。 安藤英義・新田忠誓・伊藤邦雄・廣本敏郎編『会計学大辞典』第五版,中央経済社,2007年。 伊丹敬之『人本主義企業 変わる経営 変わらぬ原理』筑摩書房,1987年。 岩井千尋「日本的コーポレート・ガバナンスと企業効率性 : ヒト・モノ・カネ3市場アプローチと実証」『近畿 大学 商経学叢』51−3,2005,pp. 497−529。 内田恭彦「日本型人材マネジメント再検証 企業の利益の源泉はいかに形成されるか(VOL. 01)終身雇用」 『Works』97,2009,pp. 44−47。 占部都美『日本的経営は進化する』中央経済社,1984年。 海老原嗣生『雇用の常識「本当に見えるウソ」』プレジデント社,2009年。 大久保幸夫「転職の常識は本当か」 『一橋ビジネスレビュー』特集 日本の雇用−新しい現実,55−3,2007,pp. 34− 46。 大藪毅『長期雇用制組織の研究』中央経済社,2009年。 小越洋之助『終身雇用と年功賃金の転換』ミネルヴァ書房,2006年。 岡本大輔「企業目的としての“社会性” ─企業評価の観点から─」 『組織科学』Vol. 28,No.1,1994,pp. 59− 73。 岡本大輔『企業評価の視点と手法』中央経済社,1996年。 岡本大輔『AI による企業評価 人工知能を活かした知識モデルの試み』中央経済社,2004年。 岡本大輔・梅津光弘『企業評価+企業倫理 CSR へのアプローチ』慶應義塾大学出版会,2006年。 岡本大輔・古川靖洋・大柳康司・安國煥・関口了祐・陶臻彦「コーポレートガバナンスと企業業績」 『三田商学 研究』44−4,2001,pp. 223−254。 岡本大輔・古川靖洋・佐藤和・梅津光弘・山田敏之・大柳康司「続・総合経営力指標 ─コーポレートガバナ ンス・マネジメント全般と企業業績2004─(1)&(2) 」 『三田商学研究』47−6,2005,pp. 99−120,& 48−2, 2005,pp. 157−175。 岡本大輔・古川靖洋・佐藤和・梅津光弘・安國煥・山田敏之・大柳康司「続・総合経営力指標 ─コーポレー トガバナンス・マネジメント全般と企業業績2005─(1)&(2)」 『三田商学研究』49−1,2006,pp. 121− 144,& 49−3,2006,pp. 99−114。 岡本大輔・古川靖洋・佐藤和・梅津光弘・安國煥・山田敏之・大柳康司「続・総合経営力指標 ─コーポレー トガバナンス・マネジメント全般と企業業績2007─」 『三田商学研究』51−3,2008,pp. 91−121。.

(21) 終身雇用制:再考 岡本大輔・古川靖洋・佐藤和・安國煥・山田敏之「続・総合経営力指標 ─コーポレートガバナンス・マネジ メント全般と企業業績2008─」『三田商学研究』52−4,2009,pp. 77−98。 神谷拓平「年功賃金・終身雇用は終わるのか」『日本労働社会学会年報』20,2009,pp. 29−57。 川田弓子「日本企業 持続的成長の条件」 『Works』87,2008,pp. 40−44。 経済産業省経済産業政策局産業人材政策室『総合経営力指標 平成12年度版 定性要因の定量的評価の試み(製 造業編) (小売業編) 』財務省印刷局,2002年。 経済同友会『 「市場の進化」と社会的責任経営 ─企業の信頼構築と持続的な価値創造に向けて─第15回企 業白書』経済同友会,2003年。 玄田有史『仕事の中の曖昧な不安』中央公論新社,2001年。 玄田有史「若年雇用の新たな「内部化」 」 『一橋ビジネスレビュー』特集 日本の雇用−新しい現実,55−3,2007, pp. 20−33。 小池和男『日本の雇用システム』東洋経済新報社,1994年。 河野豊弘 , スチュワート・クレグ『日本的経営の変革』有斐閣,2002年。 財務省財務総合政策研究所『 「進展するコーポレート・ガバナンス改革と日本企業の再生」報告書』2003。 佐藤博樹・小泉静子『不安定雇用という虚像』勁草書房,2007年。 清水龍瑩『実証研究30年 日本型経営者と日本型経営』千倉書房,1998年。 清水龍瑩『社長のための経営学』千倉書房,1999年。 清家篤「ラジアー「定年はなぜあるのか?」 」 『日本労働研究雑誌』513,2003,pp. 12−15。 通商産業省産業政策局企業行動課『総合経営力指標 定性要因の定量的評価の試み(製造業編)(小売業編)』大 蔵省印刷局,1997年。 中野雅至『雇用危機をどう乗り越えるか』ソフトバンク新書,2009年。 永野仁『日本企業の賃金と雇用』中央経済社,1996年。 日本生産性本部生産性研究所『終身雇用制度の将来予測調査報告書』日本生産性本部,1994年。 沼上幹「長期雇用の維持を軸とした日本的経営の再構築」 『国際商業』8,2004,pp. 12−15。 沼上幹『経営戦略の思考法』日本経済新聞出版社,2009年。 野村正實『日本的雇用慣行』ミネルヴァ書房,2007年。 バーニー『企業戦略論』岡田正大訳,基本編・事業戦略編・全社戦略編,ダイヤモンド社,2003年。 馬塲杉夫『個の主体性尊重のマネジメント』白桃書房,2005年。 樋口美雄「長期雇用システムは崩壊したのか」 『日本労働研究雑誌』525,2004,pp. 2−5。 許棟翰「雇用慣行の変化,賃金制度の変化」 『九州国際大学経営経済論集』14−2/3,2008,pp. 47−74。 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング「企業の人事戦略の傾向 根強い「終身雇用重視」処遇は「成果・貢献 度重視」へ」 『労働と経済』1463,2008,pp. 57−59。 宮島理『雇用大崩壊』中経出版,2009年。 守島基博「内部労働市場論に基づく21世紀型人材マネジメントモデルの概要」 『組織科学』34−4,2001,pp. 39− 52。 守島基博「長期雇用を前提としたコア人材育成モデルの再構築」 『企業と人材』41,2008,pp. 4−9。 八代尚宏『日本的雇用慣行の経済学』日本経済新聞社,1997年。 八代尚宏「日本の労働市場改革の方向性」 『一橋ビジネスレビュー』特集 日本の雇用−新しい現実,55−3,2007, pp. 6−19。 谷内篤博『日本的雇用システムの特質と変容』泉文堂,2008年。 柳川範之『終身雇用という幻想を捨てよ』総合研究開発機構,2009年。 山田久『雇用再生』日本経済新聞出版社,2009年。 尹淑鉉「日本における雇用流動化の諸問題:終身雇用制の擁護の視点から」 『福井県立大学論集』23,2004,pp. 91− 106。 横山正博「経営戦略における長期雇用の役割と従業員の創造性」 『星城大学経営学部研究紀要』5,2008,pp. 109− 127。 吉田和男『日本型経営システムの功罪』東洋経済新報社,1993年。 ラジアー『人事と組織の経済学』樋口美雄・清家篤訳,日本経済新聞社,1998年。 労働政策研究・研修機構『現代日本企業の人材マネジメント』2006年。 労働政策研究・研修機構『日本の企業と雇用 長期雇用と成果主義のゆくえ』2007年。 労働政策研究・研修機構『雇用システムと人事戦略に関する調査(2007年調査)』2009年。.

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