中国 の貿 易 自由化 と環 境 負 荷 の関係1
-1995年
版-吉 岡 完 治2 和 気 洋 子3 竹 中 直 子4 鄭 雨 宗5 December 2003 KEO Discussion Paper No.891本 稿 は 、 「貿 易 自由 化 の 環 境 影 響 評 価 に関 す る検 討 会 」 に よ る 「貿 易 自由 化 の 環 境 影 響 評 価 に関 す る調 査 報 告 書 」 に 参 考 資 料 と して 掲 載(http://www.env.go.jp/earth/report/h14-04/)さ れ て い る も のの 一 部 で あ る。 ま た 、 本稿 は 慶 應 義 塾 大 学 商 学研 究 科 大 学 院 高 度 化 推 進 プ ロ ジ ェ ク ト平 成13年 度 「環 境 の経 済 ・経 営 ・商 業 ・会 計 の視 点 に よ る 多 面 的研 究 』 の助 成 を 受 け た もの で あ り、竹 中(2002)の 加 筆 修 正 版 で あ る。 ま た 、本 稿 の分 析 手法 はす べ て 篠 崎 他(1997a)(1997b)に 順 じて お り、 記 して 謝 意 を表 した い。 2慶 應 義 塾 大学 産 業研 究 所 教 授 3慶 應 義 塾 大 学 商学 部 教 授 4慶 應 義 塾 大 学 大 学院 商 学 研 究 科 博 士 課 程 5 慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 商 学 研 究 科 博 士課程
中 国 の 貿 易 自 由 化 と環;境負 荷 の 関係1
-1995年
版 一
吉 岡 完 治2、 和 気 洋 子3、 竹 中 直子4、 鄭 雨 宗5
概要
今 日、 資 源 の 有 限 性 が 顕 在 化 す る 中 で 、 貿 易 の 拡 大 は 環 境 及 び 環 境:政策 に も さま ざま な 関 わ り を 持 つ よ うに な り、 貿 易 拡 大 とそ れ に 伴 う経 済 発 展 が 環 境 に悪 影 響 を及 ぼ す との 懸 念 が 生 じ る 一 方 、 各 国 の 環 境 政 策 が 一 部 で 貿 易 に 歪 み を 与 え て い る と の 指 摘 も な され て い る。 貿 易 を 通 じ て 各 国 経 済 の 相 互 依 存 関 係 が 強 ま る と 同 時 に 地 球 環 境:問題 へ の 対 処 が 国 際 社 会 の 重 要 課 題 とな っ て い る とい う状 況 に お い て 、 「貿 易 と環 境 」の 問 題 は 環 境 保 全 と 自 由 貿 易 の 推 進 と を い か に 両 立 させ て い くの か とい う問 題 に 関 心 が 向 け られ て い る の で あ る。 そ こ で 、 本 稿 で は 、 中 国 の 貿 易 自 由 化 が 中 国 と 日本 の 経 済 、 環 境 へ もた らす 影 響 を 定 量 的 に 分 析 した 。 そ の 結 果 、1995年 時 点 で 中 国 の貿 易 自 由化 が 行 わ れ た 場 合 、 中 国 の 生 産 額 は 増 加 す る と と も に 日本 で も 増加 す る。 一 方 、CO2やSO2発 生 は 中 国 で は 減 少 、 日本 で は 増 加 とな る 。 ま た 、 中 国 と 日本 の 合 計 を み る と、 生 産 は0.06%の 増 加 、CO2発 生 は1.00%、 SO2発 生 は0.99%の 減 少 と な る。 よ っ て 、 中 国 の貿 易 自 由化 は 、 両 国 に 生 産 拡 大 効 果 を もた らす 一 方 、 環 境 を 削 減 す る 方 向 に 寄 与 す る と い え る。 そ れ は 、SO2発 生 量 に 関 す る 「1985 年 版 分 析 」 と 「1995年 版 分 析 」 の2時 点 比 較 に お い て も同 様 な 結 果 で あ り、 中 国 の 貿 易 自 由 化 は 両 国 に 生 産 拡 大 効 果 を も た ら し、 一 方 で 、 環 境 負 荷 軽 減 の 方 向 に 寄 与 す る傾 向 が 両 年 と も に 共 通 して み られ る とい え る。. キ ー ワ ー ド:貿 易 と 環 壌 、 貿 易 自 由 化 、SO2発 生 量 、 CO2発 生 量 、 環 壌 保 全 1本 稿 は、 「貿 易 自由 化 の 環 境 影 響 評 価 に 関す る検 討 会 」 に よ る 「貿 易 自 由化 の環 境 影 響 評価 に 関 す る調 査 報 告 書 亅 に参 考 資 料 と して 掲 載(http:〃www.CilV.go.jp/earth/report/h 14-04/)さ れ て い る もの の 一 部 で あ る。 ま た 、本 稿 は慶 應 義 塾 大 学 商 学 研 究 科 大 学 院 高度 化 推 進 プ ロ ジ ェ ク ト平 成13年 度 『環 境 の経 済 ・経 営 ・商 業 ・会 計 の 視 点 に よ る 多 面 的研 究』 の 助 成 を 受 けた もの で あ り、竹 中(2002)の 加 筆 修 正版 で あ る。 ま た 、本 稿 の 分 析 手 法 はす べ て篠 崎 他(1997aXl997b)に 順 じて お り、 記 して 謝 意 を 表 した い。 2慶 應 義 塾 大 学 産 業 研 究 所 教 授 3慶 應 義 塾 大 学 商 学 部 教 授 4慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 商 学 研 究 科 博 士課 程 s慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 商 学 研 究 科 博 士課 程1.は じ め に 今 日、 加 速 す る貿 易 の 自 由 化 の 動 き が 経 済 規 模 の 拡 大 や 国 際 的 相 互 依 存 関係 の 深 化 と 相 ま っ て 自 国 だ け で は な く そ の 他 の 国 の 環 境 を 悪 化 させ る一 因 に な っ て い る とい う懸 念 の 声 が あ が っ て い る。 確 か に 、1980年 代 以 降 、 国 際 連 合 やGATT等 の 様 々 な 機 関 に お い て 、 「貿 易 と環 境 」 を め ぐ る 論 争 が 表 面 化 して き た 。 そ の 背 景 に は 、 自 由 貿 易 と環 境 保 全 を め ぐ る 対 立 が あ り、 自 由 貿 易 が 環 境 保 全 と対 立 す る 関係 に あ る と 、 主 に 環 境 保 護 論 者 は 主 張 して い る一 方 、 自 由 貿 易 に よ り経 済 水 準 が 向 上 し、 環 境 改 善 が 進 む とい う経 済 面 に お け る 楽 観 論 も あ る 。 果 た して 、 環 境 保 全 とい う道 を 考 え て 行 く上 で 、 貿 易 の 自 由 化 は 障 害 とな る も の で あ ろ うか 、 そ れ と も 、 各 国 が 比 較 優 位 に 特 化 した 結 果 、 効 率 的 な 資 源 配 分 を 達 成 し、 環 境 負 荷 軽 減 の 方 向 ヘ シ フ トす る の で は な い か とい う よ うな 自 由 貿 易 と環 境 保 全 の 関 係 を め ぐ る 問 題 に 関 心 が 集 ま っ て い る。 そ こ で 、 本 稿 で は 、 近 年 著 しい 成 長 を遂 げ て い る 中 国 を 対 象 に 、 中 国 の 貿 易 自 由 化 が 中 国 と 日本 の 経 済 ・環 境 に も た らす 影 響 を 定 量 的 に 明 らか に す る 分 析 を 行 う。 ま ず 、2章 で は 「貿 易 と環 境 」を め ぐ る議 論 に つ い て 論 じ る こ とで 、貿 易 と環 境 の 関 係 を考 察 す る。3章 で は 、.分 析 の概 要 とモデ ル 設 定につ い て説 明す る。 そ して 、4章 で は 、 中 国 の 貿 易 自由 化 が 両 国 の 経 済 と環 境 へ 与 え る 影 響 を 定 量 的 に 明 ら か に す る。最 後 の5 章 で は 、 中 国 の 貿 易 自 由 化 が もた らす 環 境 へ の 影 響 に つ い て 考 察 を行 う。 2.「 貿 易 と 環 境 」 の 関 係 本 節 で は 、r貿 易 と環 境 」 を め ぐ る 関 係 の 論 点 を整 理 す る 。 「貿 易 と環 境 」 に つ い て 考 え る 際 、 主 体 を ど ち ら に 置 くか に よ っ て 、 「貿 易 が 環 覓 に 与 え る 影 響 」 と 「環 境 が 貿 易 に 与 え る 影 響 」 の2方 向 か ら捉 え る こ とが 可 能 で あ る。 そ こで 、 まず 、 「貿 易 が 環 境 に 与 え る 影 響 」 の 論 点 を 整 理 し、 続 い て 、 「環 境 が 貿 易 に 与 え る影 響 」 を 明 ら か に す る こ と で 、 「貿 易 と環 Jの 関 係 を把 握 す る こ とに す る。
2.1貿
易が環境 に与える影響
「
貿易 と環境」をめ ぐる議論は様々であるが、多 くの人々の素朴な関心は、貿易 自由化
の潮流が地球環境保全 とい う目的 に対 してはた して相 互支持 的であるか、あるいは対立関
係 にあるか といった論点 にあろ う。 「
貿易 と環境」をめぐる思想的相克や 実質的 な政策交渉
は 、 複 雑 に 錯 綜 す る 利 害 関 係 者 の 存 在 に よ っ て 、 ま す ま す 重 層 的 な 構 造 と な り、 ひ とつ の 定 義 や 最 適 解 を合 理 的 に 見 出 す こ とな ど到 底 で き な い6。さ ま ざ ま な ア プ ロ...,チに よ っ て 「貿 易 と環 境 」の 関 係 に つ い て 論 じ る こ と も意 義 は あ る が 、 こ こで は 、 貿 易 が 環 境 に 与 え る影 響 に つ い て 論 じる こ とで 相 互 の 関係 を 明 確 に した い 。 ま ず 、貿 易 は 、環 境:にマ イ ナ ス の 面(環 境 破 壊)と プ ラ ス の 面(環 境 保 全)の 両 方 の 効 果 を も た らす と考 え られ る。 【図2・1】 は 、 貿 易 が 環 境 に 与 え る影 響 を 図 示 した も の で あ る 。 【図2-1】 貿 易 が 環 境 に 与 え る 影 響 の 概 念 図 出 所)筆 者 に よ り作 図 。 ま ず 、 貿 易 が 環 境 に 与 え る 影 響 を み る と、 貿 易 の 拡 大 は 、 結 果 と して 、 当 事 国 の み な らず 、生 産 波 及 の 恩 恵 を 受 け 、当 事 国 以 外 の 国 々 に も経 済 の 拡 大 効 果 を も た らす 。 よ っ て 、 こ の 生 産 の 拡 大 に よ り、 天 然 資 源 の枯 渇 や 自然 資 源 の 略 奪 等 が 頻 雑 に 行 わ れ る よ う に な り、 特 に 途 上 国 に お い て 環 境 破 壊 が 進 む 可 能 性 が あ る。ま た 、国 際 相 互 依 存 関 係 の 深 化 に よ り、 公 害 の ス ピル オ,...バー と言 わ れ る よ うな 、 廃 棄 物 や 大 気 汚 染 が 国 境 を越 え 、 他 の 国 々 の 環 境 に 悪 影 響 を も た らす こ と が 予 想 され る 。 さ らに 、 有 害 物 質 の 越 境 移 動 等 を原 因 に 生 態 系 6和 気 洋 子(2002)p .96。
の 破 壊 とい う生 命 の 根 源 に 関 わ る 問 題 が 生 じ る 可 能 性 も あ る 。 一 方 で 、 貿 易 自体 が 環 境 問 題 を 引 き 起 こす 直 接 的 な 原 因 と な る の で は な く 、 そ の 国 自 体 に あ らか じめ 存 在 す る 、 市 場 の 失 敗 、 政 策 の 失 敗 な ど制 度 的 メ カ ニ ズ ム の 欠 陥 に そ の原 因 が あ る と も い わ れ る7。 そ の 一 方 、 貿 易 に と も な う経 済 成 長 に よ り環 境 保 全 が 促 進 さ れ る と い うプ ラ ス の 面 も 考 え られ る 。 貿 易 に よ り、 環 境 に や さ しい 技 術 が 伝 播 し、 これ に よ り、 環 境 へ の 影 響 が 少 な い 低 負 荷 品 の 生 産 が 可 能 と な り、 環 境 改 善 が 進 展 す る 点 も予 想 さ れ る 。 さ ら に 、 貿 易 に よ る 経 済 成 長 、 そ して 個 々 人 の 所 得 が 上 昇 す る こ と で 、 環 境 保 全 の た め の 資 金 的 余 裕 が 出 来 る と 同 時 に 、国 民 の 環 境 に 対 す る 意 識 に変 化 が 見 られ 、環 境 対 策 イ ンセ ン テ ィ ブ が 働 き 、 環 境 改 善 効 果 が あ る点 も考 え られ る。 2.2 環 境 が 貿 易 に 与 え る影 響 一 方 、 環 境 が 貿 易 に 与 え る影 響 、 つ ま り、 環 境 が 貿 易 摩 擦 を 引 き 起 こ す 由 来 と な る 問 題 と して 、 各 国 が 自国 の 環 境 を 守 る た め の 環 境 政 策 が 、 結 果 と して 貿 易 問 題 に 障 害 を も た らす 点 が あ げ られ る 。・これ は 主 に 、 輸 入 国 が 一 方 的 に と る 自 国 内 政 策 へ の 輸 出 国 か らの 苦 情 とい う構 図 で あ る が 、 一 方 で 、 貿 易 論 上 で 重 要 な 国 際 論 議 とな る 問 題 で も あ る。 環 境 政 策 が 自 国 の 状 況 に 合 致 す る よ う策 定 され て い る 場 合 で も 、 結 果 と し て 輸 入 制 限 的 な 措 置 と な り、 国 内 産 業 保 護 の 措 置 で あ る と して 国 外 に 非 難 され る 可 能 性 が あ る8(【 図2-2】)。 そ も そ も 、 これ は 国 に よ っ て 環 境 基 準 、 規 制 の 内 容 が 相 違 す る こ とに 多 くは 由 来 す る9。 も と も と、 環 境 基 準 や 規 制 内 容 の 相 違 は 、 特 にEC域 内10で の 顕 著 な 問 題 で あ っ た が 、 経 済 の グ ロ ー バ ル 化 進 展 の 中 で 先 進 国 と途 上 国 の 貿 易 障 壁 問 題 と して 近 年 で は 認 知 され る よ うに な っ て き た11。環 境 保 全 を 理 由 とす る 貿 易 政 策 や 貿 易 に影 響 を及 ぼ す 環 境 政 策 の 妥 当 性 を め ぐ る 7チ ャー ル ズ ・ピ ア ソン は 、 「国 内 の 環 境 政 策 が 良好 で あれ ば 、貿 易 が 環 境 に 悪 影 響 を与 え る こ と を示 す の は 非 常 に難 し く、一 方 、国 内 の 環 境 政 策 が 不 充 分 な 国 につ い て 、貿 易 が環 境 破 壌 の原 因 だ と主 彊 す るの は簡 単 で あ る亅 と述 べ て い る。 (1999年 日米 環 境 フ ォ・一 ラム 基 調 講 演 内容 よ り)。 8環 境 保 全 の た め め 輸 出 入 制 限 や 環境 基 準 を満 た さ な い産 品 の使 用 ・販 売 の規 制、 あ る い は 企 業 の 公 害 防 止 活 動 に対 す る各 種 の 補 助 の 付 与 等 々 の 「環 境 保 全 」政 策 は 、 た とえ そ れ が 真 に 環 境 の保 全 を 目的 とす る もの で あ っ た と して も、 結 果 的 に は 国 内 の 産 業 に保 護 を与 え る こ とに な る 伽 藤 峰 夫(1994)p29;)。 結 果 と して 、事 実 上 、 そ の 国 の 市 場 へ の ア クセ ス が 困 難 とな る た め 、 「貿 易 障 壁Jと 同 様 の も の とみ な され る。 一 方 で 、環 境 政 策 自体 が 自国 の 当咳 産 業 の 国 際 競 争 力 を 弱 め る とい う面 と 、 逆 に 、 環境 政 策 に も とつ く特 定 産 業 あ る い は 企 業 へ の 補助 金 や 援 助 が 、 そ の 国 内 の 産 業 の 競 争 力 を 保護 し強 化 す る 「不 公 正 亅 補 助 とな り待 る 問題 も注 目 され て い る 伽 藤 峰 夫(1993)p.725)。 9富 士 総 合 研 究所 は、 国 に よ っ て 異 な る 環 境 政 策 が 必 要 と な る例 と して 、① 自然 環 境 、② 環 境:政策 の 有 効 性 、③ 産 業 化 の 程 度 、④ 環 境 保 護 の 必 要 性 に 対 す る意 識 が 相 違 す る場 合 をあ げ て い る(近 藤 佳 太(1999p .13)。 そ れ 以 外 に も、 ライ フ ス タイ ル ・文 化 的 特 徴 の相 違 な どが 考 え られ る。 且o国内 環 境 を保 全 す る た め の 環 境 政 策 が 結果 と して 貿 易 に 障 害 に な る と してEC域 内 で争 わ れ た も の と して 後 述 の デ ン マ ー クの 飲 料 容 器 回 収 を 巡 る事 例 が あ る。 ま た 、 同様 の 問題 と して 「環 境 ラベ ル 問 凰 が あ げ られ る。 u詳 細 は 山 口光 恒(1992)参 考 。
紛 争 と して 、 デ ン マ ー ク飲 料 容 器 を め ぐる 紛 争 、 イ ル カ 保 護 を理 由 とす る ア メ リカ の マ グ ロ輸 入 規 制 等 が 過 去 の 事 例 と して あ る。 前 者 は 、 デ ン マ ー ク 政 府 の とっ た 再 使 用 が 可 能 で は な い 容 器 の 使 用 に 関 して 国 内 外 を 問 わ ず 製 造 ・販 売 業 者 に 一 律 に 禁 止 す る措 置 は 、 欧 州 裁 判 所 に 環 境 保 護 の た め の 妥 当 な 範 囲 を超 え て い る と判 断 され た 。 後 者 は 、 海 洋 哺 乳 類 保 護 法 に お け る イ ル カ 保 護 の た め の 混 獲 基 準 を超 え る マ グ ロ 漁 を 行 っ て い る メ キ シ コ か ら の マ グ ロ ・マ グ ロ加 工 品 の 輸 入 品 を 禁 止 した ア メ リカ の 禁 輸 措 置 はGATTの 禁 じ る数 量 制 限 に 違 反 す る と判 定 を 下 され た12。 しか し、 こ の 事 例 は 、環 境 政 策 の 相 違 を 理 由 に 、 輸 入 国 の 環 境 基 準 に 基 づ き輸 出 国 に 対 して 輸 入 を 制 限 す る も の で あ り、GATTの 原 則13に 反 す る。 よ っ て 、 こ の よ う な 手 段 が 真 の 環 境 保 全 の た め だ け を意 図 す る の で は な く、 国 内 産 業 保 護 の た め の 手 段 と して 今 後 も多 く濫 用 され る危 険 性 が あ り、 「貿 易 と環 境 」 を 考 え る 際 の 事 例 と して 多 く登 場 す る の で あ る。 【図2-2】 環 境 が 貿 易 に 与 え る影 響 の 概 念 図 自 国 環境政策
團
環填ラベ ル間■ 他国 熱 . 需 畆皆
国 内 産 業 保 護1欝 賜 鱒
環境政 策匡i璽
國
環 境ラベル問題 出所)筆 者 に よ り作 図 。「
貿易 と環境」 をめ ぐる問題 は、背後に国際的な相互依存 関係 が絡み、 当事国、 さら
には 当事 国 以外 の第3国
にお いて も非常 に敏感 な問題 で あ るが ゆえ に、 なか な か解 決 の糸
口がみつ か らない ものである。 また、貿易による経済成長ばか りに視点が向 き、派生的に
もた らされる環境負荷 とい う負の側面には関心がいかないのが現状である。 「
貿易」 と 「
環
境」の各 々の立場 を尊重 しつつ両者が共存可能な道筋を見つ け、持続可能 な発展 を 目指す
12詳 細 は加 藤 峰 夫(1994)p .30。 11GArT第20条 で は 、(b)人 、動 物 の 生命 ま た は 兼 行 の保 護 に 必要 な措 置 、(g>有限 天 然 資 源 の 保 存 に関 す る 措 置。 た だ し、 そ の措 置 が 国 内 の 生 産 また は消 費 に対 す る 制限 と関 連 して実 施 され る場 合 、 環 境 保 護 に関 連 して 貿 易 措 置 が 認 め ら れ て い る。こ とが 極 め て 重 要 な 課 題 で あ る。
3.分 析 概 要 ・方 法
3.1分 析 の 枠 組
本分析 では、 中国の貿易 自由化は環境負荷 を下げる方 向に寄与す るのではないか とい
う仮 説 を1995年EDEN Data Base14を 用 い て 検 証 す る こ と を 目 的 と す る 。 ま ず 、 「1985年 版分 析15」 の 分 析 概 念 を継 承 し、 世 界 に は 中 国 とROW(そ の 他 国)の 代 表 と して 日本 の2国 しか 存 在 しな い と仮 定 し、 中 国 の 貿 易 自 由化 が 中 国 と 日本 のCO2、 SO2発 生 量 に 与 え る影 響 を 探 る こ と に す る16(【 図3-1】)。 ま た 、 「1985年 版 分 析 」 と 同 様 に 、 本 分 析 で も 、 中 国 の 貿 易 自 由化 に よ り、 中 国 に お い て 相 対 的 に安 価 な財 、 つ ま り、 労 働 集 約 財 の 輸 出 が 増 加 し、 逆 に 、 相 対 的 に 高 価 な 財 、 つ ま り労 働 節 約 財 の 輸 入 が 増 え る も の とす る。 これ は 、 リカ ー
ドモデル の標準的な設 定のもと得 られ る主要な結果で ある 「
自由貿易下においては、両国
はそれぞれ比較優位 を持つ商品を生産する17」と、どの資源 が相対的に豊富に存在す るかに
よ っ て 比 較 優 位 を 説 明 す る 、 ヘ ク シ ャー ・オ リー ン定 理 の 「労 働(資 本)が 相 対 的 に 豊 富 な 国 は 、 労 働(資 本)集 約 的 な財 を輸 出す る18」 を も と に した 考 え で あ る 。 そ こ で 、本 分 析において、 「
価格 の高低」 により中国における労働集約財 と労働節約財 を判断す るこ とにす
る。そ の 際 、「1985年 版 分 析 」に 従 い 、1985年 の 購 買 力 平 価 指 数 を判 定 基 準 と して 用 い る19。 以 上 よ り、1995年 に お い て 労 働 集 約 財 、つ ま り、中 国 の 輸 出 を増 加 させ る部 門20と して 、「食14EDEN Data Base詳 細 に 関 して は付 録1参 照 。
15本 分 析 の 先 行 研 究 は 篠 崎 他(1997aX 1997b)で あ る。 分 析 概 念 ・方 法 は す べ て 先 行研 究 に 従 って い る。 先 行 研 究 は 、 中 国 の 「1987年 基 本 表 」 と 日本 の 「1985年 基本 表 亅 を も と に作 成 され た 日中環 境 分 析 用 産 業 連 関 表(慶 應 義 塾 大 学 産 業 研 究 所 推 計)を 用 い た 分 析(本 分 析 で は 「1985年 版 分 析 亅 と呼 ぷ)で あ り、本 分 析 は1995EDEN Data Baseを 用 い た 、 「1995 年 版 分 析 亅で あ る.「ins年 版 分 析 亅 は 「1985年 版 分 析 」 と比 較 可 能 な よ うに あ らか じめ部 門 分 類 を 行 っ て い る。 ま た 、
「1985年 版 分 析 亅 はSO=排 出 量 を対 象 汚染 物 質 と して い る が 、 「1995年 版 分 析 」 で は 、 部 門 ご との詳 細 な 脱 硫 率 が 現 時 点 で は 明 確 で は な い た め 、SOz発 生 量 を対 象 と して い る。 よ っ て 、 「1985年 版 分 析 」 の排 出 量 を、脱 硫 率 を用 い て発 生 量 に換 算 し直 した上 で 、 両分 析 の 比較 を 行 っ て い る。 以 上 の 点 を十 分 考 慮 した 上 で 、両 分析 を 比 較 す る必 要 が あ る。 「1985 年 版 分 析 」 と 「1995年 版 分 析 亅 の 相 違 点 に関 して は、 付 録2に 掲 載 した。 なお 、EDEN Data Baseで は 、 SO,の 発 生 そ の もの を 「S(h発生 量=generation」、脱 硫 を 行 った 結 果 の もの を 「SOz排出 量旨emission」 と表 記 し、 両 者 を 明 確 に 区別 して い る。 16中 国 のWTO加 盟 が 実 現 し 、貿 易 自 由化 が進 展 す る と、最 恵 国待 遇 等 の 様 々 な特 権 義 務 に よ り、2国 間 で は な く多 国 間 とい う枠 組 み で よ り グ ロー バ ル に貿 易 政 策 を 考 え て行 くこ とが 必 要 で あ る。 しか し、 本 分 析 で は 、 世 界 に は 中国 と 日本 の2国 しか 存 在 しな い と設 定 した。 n木 村 福 成(2㎜)第2章 参 照 。 u木 村 福 成(2000)第3章 参 照。 19こ れ は産 業連 関 表 の 実 質 化 を 可能 に す る た め に推 計 され た もの で 、 部 門 別 に1985年 の 日本 価 格 を1と す る と1987年 の 中 国 にお け る 同 商 品 の 価 格 は い く らに な るか を 指数 で表 記 した もの で あ る。 詳 細 は 篠 崎 他(1994)参 照 。 た だ し、 本 分 析 にお い て 李(2001)の1995年 の 財 別 購 買 力 平 価 指 数 を参 照 した が 、1985年 と1995年 にお い て 安 価 ・高 価 な財 名 に 大 き な 変 化 は な い と断 定 し、 「1985年 版 分 析 亅 に お い て 選 択 した 部 門 を そ の ま ま 本 分 析 で も用 い る こ と とす る。 20部 門 コ ン バ ー タは 付 録9に 掲 載』
料 品 」 「繊 維 工 業 」 「縫 製 品 ・皮 革 」 「航 空 輸 送 」 「飲 食 業 」 の5部 門 を 、一・方 、 労 働 節 約 財 、 つ ま り輸 入 を 増 加 させ る 部 門 と して 、 「紙 パ ル プ ・同 製 品 」 「鉄 鋼 業 」 「非 鉄 金 属 」 「輸 送 用 機 械 機 器 」 「電 気 機 械 」 「電 子 ・通 信 機 器 」 の6部 門 を選 択 した(【 表3-1】)。 【図3・1】 分 析 の フ ロ ー チ ャ ー ト ・概 念 図 購 買力 平価 指数 安 価な財 高価 な財 中 国 の 貿 易 自 由化 .●
一
⇒ 中国で輸 出増加、日本で輪入増加 H_. ⇒ 中国で輸入増加、 日本で輸出増加 EDENに よ る 産 業 連 関 分 析 (基本 取 引表)(cot・SO2発 生 表) 57 … 室 一一
龜鍛
「廴 丿P 今 輸 出 ・輸入額 の新規設 定 ぐ 亅レ↓工
生 産 誘 発 額 (貿易 自由化) 生 産 誘 発 額 (BAUD 竺∼L丿乏 「く_7 LCO ゴSO2 誘 発 発 生 量 (賀易 自由化) 1蟲 監
(BAU)-〒
■ 「一
↓
中国の 貿易 自由化 に よる 境負荷 の定 量的評 出 所)筆 者 に よ り作 図。 【表3-1】 輸 出 ・輸 入 を 増 加 さ:せる 部 門 口養料品 一
繊維工業
縫製品 ・皮革
航空輸送
飲食業
入 口
紙ヌルプ同 品
鉄鋼業
非鉄金属
輸送用機械機器
電気機械
・通信
3.2分 析 の モ デ ル 次 に 、 本 分 析 の 分 析 モ デ ル の概 略 を 説 明 す る。 ま ず 、 前 述 の 通 り、 中 国 に と っ て 相 対的 に安 価 な 財 が 比 較 優 位 を 持 っ と考 え 、 選 択 した5部 門 の 輸 出 量 を そ れ ぞ れ50%増 加 させ る 。 一 方 、 相 対 的 に 高 価 な 財 は 中 国 で は な く 日本 に 比 較 優 位 が あ る と し、 中 国 に お け る 輸 入 量 が 増 え る と考 え る。 この 際 、 貿 易 収 支 に変 化 は な い と想 定 す る た め 、 総 輸 入 量 が 総 輸 出 量 に 均 等 し、 さ ら に輸 入 を 増 や した6部 門 の 輸 入 増 加 率 が 一 律 と な る よ うに モ デ ル を 設 定 す る。以 上 の 設 定 を も と に 、 レオ ン チ ェ フ オ ー プ ンモ デ ル に よ り生 産 誘 発 額 、そ してSO2 発 生 量 、CO2発 生 量 を定 量 的 に推 計 し、 中 国 の 貿 易 自由 化 が 環 境 に 与 え る影 響 を 把 握 す る。 以 上 の 分 析 モ デ ル を 式 で 表 記 す る と以 下 の よ うに な る。 ま ず 、 日本 と 中 国 そ れ ぞ れ に つ い て 、 以 下 の バ ラ ン ス 式 が 成 立 す る。 X` A`x`+Fd'+E'一M`(1=C, J) 【式3-1】 ま た 、 生 産 誘 発 額 は 、 Xf一(1-A')一1(Fd'+E'_M`) 【式3-2】 A:投 入 係 数 行 列 Fd:国 内 最 終 需 要 ベ ク トル E:輸 出 列 ベ ク トル M:輸 入 列 ベ ク トル X:国 内 生 産 額 行 列 で 求 め られ る。 こ こ で 、 両 国 の 生 産 量 、 輸 出 量 、 輸 入 量 を 変 化 させ る と 、 バ ラ ン ス 式 は 以 下 の よ うに な る。 △x' A`△z`+△E`一 △Mi ま た 、 両 国 のSO2発 生 量 は 以 下 の よ うに 求 め られ る。 S`=s'X' Sr:生 産 単 位 あ た りSO2発 生 量 の 対 角 行 列 よ っ て 、 生 産 量 の 変 化 に よ るSO2発 生 量 の 変 化 量 は 以 下 の 式 で 求 め られ る 。 △3'=s'△ κ' 【式3-3】 【式3-4】 【式3-5】 次 に 、 両 国 の 輸 出 入 額 の 決 定 仕 方 を考 え る 。 中 国 は 、 相 対 的 に 安 価 な5財 の 輸 出 を5 割 増 加 させ る。 よ っ て 、 中 国 の 輸 出 増 加 分 は 、
△EC=αΣEf
【
式蚓
n=1 で 示 さ れ る 。 た だ し 、a-0.5で あ る 。 一 方 、 中 国 の 輸 入 は 、 輸 出 増 加 額 に 見 合 う 分 の み 、先 に 選 択 した6部 門 の 輸 入 を増 加 させ る。 た だ し、 各 部 門 の 輸 出 増 加 比 率 が一 律 と な る よ う設 定 す る。 よ っ て 、 中 国 で の 輸 入 増 加 分 は 、
△MC訪 ΣMξ
【
式3-7】
n=1 で 示 され る。 輸 出 の 収 支 は 一 定 とな る た め 、 【式3・6】 と 【式3・7】 は 等 し く な る。 以 上 の 結 果 、 中 国 の 生 産 誘 発 額 の 変 化 分 は 以 下 の よ うに計 算 され る。 △κc=(1_.4c)一1(△Ec_Mc) 【式3-8】 一 方 、 前 述 の 通 り、 中 国 と 日本 の2国 しか 存 在 しな い と仮 定 して い る た め 、 日本 は 、 中 国 の 輸 出 増 分 に 対 応 す る 部 門 の 輸 入 分 が 増 加 し、 逆 に 、 中 国 の 輸 入 増 分 に 対 応 す る 部 門 の 輸 出 分 が 増 加 す る 。 よ っ1(、 日本 の 生 産 誘 発 額 変 化 分 は 、 △κ 」=(1一 一A')一1(△E」 一M') 【式3-9】 と表 記 で き る。 ま た 、 こ の 際 、 日本 の輸 出 増 加 分 は 中 国 の 輸 入 増 加 分 に 等 し く、 一 方 、 日 本 の 輸 入 増 加 分 は 、 中 国 の 輸 出 増 加 分 に 等 しい た め 、 △E」=ム ルfC 【式3-10】 △Mノ=△EC 【式3-11】 が 成 り立 っ て い る。 ま た 、 日本 のSO2発 生 量 変 化 分(∠ ∫」)は 、 ∠8」=5勹 κ」 【式3-12】 と表 記 で き る。 ま た 、 同 様 の 方 法 でCO2発 生 量 に 関 して も求 め られ る。 以 上 よ り、 中 国 の 貿 易 自 由 化 に よ り 日本 と中 国 に お い て 変 化 す るSO2とCO2発 生 量 を 求 め る こ とが 可 能 とな る 。 4. 中 国 の 貿 易 自 由 化 が 両 国 の 経 済 ・環 境 に 与 え る 影 響 本 章 で は 、 中 国 の 貿 易 自 由化 が 中 国 と 日本 の 経 済 や 環 境 に 与 え る 影 響 を 前 章 の モ デ ル 式 に基 づ い て 分 析 す る 。 ま ず 、第1節 に お い て 、1985年 と1995年 の 両 国 の 貿 易 構 造 の 特 徴 を 明 ら か に し 、 つ づ く、 第2節 で 、1995年 を対 象 と した 中 国 と 日本 の 両 国 に 与 え る 影 響 を 生 産 、 そ してCO2・SO2発 生 量 に 関 して 明 らか に す る。 最 後 に 、 第3節 に お い て 、 生 産 と SO2発 生 量 に 関 す る 「1995年 版 分 析 」 と 「1985年 版 分 析 」 との 比 較 を 行 い 、 同様 の シ ミ ュ レー シ ョン を想 定 した 場 合 の2時 点 に お け る相 違 点 を把 握 す る こ とで 、 中 国 を 事 例 と した 場 合 の 「貿 易 と環 境 」 の 定 量 的 な 評 価 や 、 両 国 の 構 造 変 化 を 明 らか に す る。4.1 中 国 と 日本 の 貿 易 構 造 の 特 徴(1985年 、1995年) 1985年 と1995年 の 中 国 と 日本 の 輸 出 入 構 造 の 特 徴 を把 握 す る。 【表4-1】 は 、両 年 に お け る 中 国 の 輸 出 額 、輸 入 額 の 上 位5部 門 を 、 同 様 に 、 【表4-2】 は 、 日本 の 輸 出 額 、 輸 入 額 の 上 位5部 門 を一 覧 に した も の で あ る。 【表4-1】1985年 と1995年 に お け る 中 国 の輸 出 入 額 上 位5部 門 85中 国輸 出 85中 国 輸 入 1
繊維工業
6374 15.44%機械工業
10138 21.57% 2 縫 製 品 ・皮 革 5266 12.75%化学製品
5302 11.28% 3農林業
4666 11.30%鉄鋼業
4234 9.01% 4機械工業
4093 9.91 電 子 ・通 信 機 器 3641 7.75% 5食料品
3741 9.06%農林業
3440 7.32% 95中 国 輸 出 95中 国 輸 入 1 縫 製 品 ・皮 革 31959 22.00%機械工業
29189 21.04% 2 電 子 ・通 信 機 器 13250 9.12% 電 子 ・通 信機 器 13178 9.50% 3機械工業
12228 8.42%繊維工業
9858 7.10% 4繊維工業
10139 b.98%化学製品
9318 5.72% 5 紙 パ ・同製 品 7513 5.17% ゴ ム ・プ ラ ス チ ッ ク製 品 8239 5.94% 注)表 は 、 増 加 量(100万 ドル)と 増 加 量 に 占 め る シ ェ ア(%)を 表 記 し て い る 。出 所)1985年:篠 崎 他(1997)を 再 集 計 。1995年:EDEN Data Baseよ り筆 者 計 算 。
【表4-2】1985年 と1995年 に お け る 日本 の 輸 出 入 額 上 位5部 門 85日 本 輸 出 85日 本輸 入 1
輸送用機械機器
77152 23.47%金属鉱業
72863 29.19% 2 電 子 ・通信 機 器 52529 15.98%農林業
21783 8.73% 3機械工業
44388 13.50%食料品
16539 6.63% 4その他輸送
21480 6.53%1石油製品
16217 6.50% 5鉄鋼業
21046 6.40%1非鉄金属
13256 5.31% 95日 本 輸 出 95日 本 輸 入 1 電 子 ・通信 機 器 122560 24,63%食料品
50709 10.91% 2輸送用機械機器
97128 19.52% 電 子 ・通信 機 器 47678 10.26% 3機械工業
65920 13.25% 原 油 ・天 然 ガ ス 45271 9.74% 4商業
32955 6.62% 縫製 品 ・皮 革 31994 6.88% 5その他輸送
30466 6.12%飲食業
27510 5.92% 一 注)表 は 、 増 加 量(100万 ドル)と 増 加 量 に 占 め る シ ェ ア(%)を 表 記 し て い る 。出 所)1985年:篠 崎 他(1997)を 再 集 計 。1995年:EDEN Data Baseよ り筆 者 計 算 。
1985年 の 中 国 の 輸 出 は 、「繊 維 工 業 」「縫 製 品 ・皮 革 」「農 林 業 」が 上 位 輸 出 品 目で あ り、
鋼 業 」 「電 子 ・通 信 機 器 」 な どの 重 化 学 工 業 が 上 位 で あ り、 全 輸 入 の約50%を 占 め て い る。 「農 林 業 」 は 輸 入 の シ ェ ア と輸 出 の シ ェ ア の 双 方 上 位 に お い て 来 て い る とい う特 徴 を持 つ 。 一 方、1995年 に な る と、中 国 の 輸 出 は 、1985年 で は も っ と も輸 出 額 の 多 か っ た 「繊 維 工 業 」 の シ ェ ア が 下 が り、 逆 に 、 「縫 製 品 ・皮 革 」 が 全 輸 出 の約22%を 占 め 、 も っ と も輸 出 額 の 多 い 部 門 と な っ た 。 「電 子 ・通 信 機 器 」 「機 械 工 業 」 が 輸 出 の 上 位 部 門 と な っ た 点 が 特 徴 で あ る 。 ま た 、1995年 の 輸 入 は 、 「機 械 工 業 」 の 輸 入 が も っ と も多 い 点 は1985年 と同 様 で あ る が 、 「農 林 業 」 の 輸 入 が 減 り、 逆 に 、 「繊 維 工 業 」 や 「ゴ ム ・プ ラ ス チ ッ ク 製 品 」 が 輸 入 の 上 位 に 来 た 点 が 特 徴 で あ る。1995年 で は 、 「電 子 ・通 信 機 器 」 「繊 維 工 業 」 「機 械 工 業 」 の3 部 門 は 輸 出 と同 時 に 輸 入 も 多 い 部 門 と な っ て い る 点 が 特 徴 で あ る。 同 様 に 、 日本 に つ い て み る と、1985年 の 輸 出 は 、 「輸 送 用 機 械 機 器 」 「電 子 ・通 信 機 器 」 「機 械 工 業 」 が 輸 出 の 上 位 部 門 と な っ て お り、 これ ら3部 門 で 全 輸 出 の 約53%を 占 め て い る 。 ま た 、 日本 は 、 輸 出 の 上 位 部 門 が 重 工 業 で あ る 点 が 特 徴 とい え る。1985年 の 輸 入 は 、 「金 属 工 業 」 「農 林 業 」 「食 料 品 」 が 上 位3部 門 とな っ て い る。 日本 は 天 然 資 源 や 農 作 物 、 軽 工 業 の 輸 入 が 多 い 点 が 特 徴 とい え る。 一 方 、1995年 をみ る と、 日本 の 輸 出 上 位 部 門名 に は1985年 と比 較 して 大 き な 変 更 は み られ な い。 前 述 の 輸 出 上 位3部 門 の シ ェ ア が約57%に 増 加 す る と と もに 、 「商 業 」 の シ ェ ア が 増 え た 点 が 特 徴 で あ る。1995年 の 輸 入 は 、 「食 料 品 」 が も っ と も輸 入 額 の 多 い 部 門 とな り、 「原 油 ・天 然 ガ ス 」 「飲 食 業 」 が 輸 入 の 上 位 部 門 と な っ た。 「電 子 ・通 信 機 器 亅 は1995年 で は輸 出 も輸 入 も シ ェ ア が 多 い 部 門 とな っ て い る。 以 上 よ り、 中 国 の 輸 出 は1985年 で は 、 「繊 維 工 業 」 や 「縫 製 品 ・皮 革 」 そ して 「農 林 業 」な どの 第1次 産 品 や 軽 工 業 が 主 力 輸 出 品 で あ っ た が 、1995年 に な る と 、「縫 製 品 ・皮 革 」 に 加 え 、 「電 子 ・通 信 機 器 」 や 「機 械 工 業 」 な ど の 重 工 業 の 輸 出 品 が 増 加 した とい え る。 ま た 、 中 国 の 輸 入 は 、 「機 械 工 業 」 や 「電 子 ・通 信 機 器 」 な どの 重 工 業 の 輸 入 シ ェ ア が 多 い 点 が 特 徴 で あ る。 日本 の 輸 出 は1985年 か ら1995年 に か け て 大 き な 変 化 は み られ ず 、 「電 子 ・ 通 信 機 器 」 「輸 送 用 機 械 機 器 」 「機 械 工 業 」 で の 輸 出 が 主 力 と な っ て い る 。 一 方 、 日本 の 輸 入 は 、天 然 資 源 の 輸 入 や 「食 料 品 」 「縫 製 品 ・皮 革 」な どの 軽 工 業 の 輸 入 が 多 い 点 が み られ 、 こ の 傾 向 は 両 年 に 共 通 の 特 徴 と い え る。 ま た 、 両 国 の2時 点 に お け る 貿 易 収 支 を み る と、 中 国 は 、1985年 は 約57億 ドル の 貿 易 赤 字 で あ る が 、1995年 に は約65億 ドル の 黒 字 に 転 じて い る。__..方、 日本 は 両 年 と も黒 宇 で あ り、1985年 は 約791億 ドル の 貿 易 黒 字 を 計 上 して い た が 、1995年 に は 約327億 ドル の 黒
字 と な っ た。 部 門 別 に み て い く と、 まず 、1985年 の 中 国 は 、 「機 械 工 業 」 「鉄 鋼 業 」 「輸 送 用 機 械 機 器 」 「電 子 ・通 信 機 器 」 「電 気 機 械 」 な ど の 重 工 業 に お い て 、 そ れ ぞ れ 約60億 ドル か ら約12億 ドル の 赤 字 が 大 き く影 響 し、 結 果 と して1985年 の 中 国 は 貿 易 赤 字 と な っ て い る とい え る。 一一方 、前 述 で 輸 出 の 主 要 部 門 と して あ げ られ た 「繊維 工 業 」 「縫 製 品 ・皮 革 」 「農 林 業 「食 料 品 」 が そ れ ぞ れ 約40億 ドル か ら約15億 ドル の 黒 字 とな っ て い る。 ま た 、1995 年 に な る と、 「農 林 業 」 「金 属 鉱 業 」 「石 油 製 品 」 「ゴ ム ・プ ラ ス チ ッ ク製 品 」 「非 鉄 金 属 」 な どの 部 門 が 黒 宇 か ら赤 字 へ 転 じ、 さ ら に 「化 学 製 品 」 が 大 幅 な 赤 字 とな る が 、 逆 に 、 輸 入 が 増 加 した 「電 子 ・通 信 機 器 」 が 赤 字 か ら黒 字 へ 、 ま た 、1985年 で 赤 字 で あ っ た 「輸 送 用 機 械 機 器 」 「電 気 機 械 」 な ど の 赤 字 額 が 減 少 し、 さ ら に 、 「縫 製 品 ・皮 革 」 が 大 幅 な 黒 宇 と な っ た こ とか ら、結 果 と して 、1995年 の 中 国 は 貿 易 黒 字 国 と な っ た 。 ま た 、 日本 の1985年 は 、 「金 属 工 業 」 「農 林 業 」 「原 油 天 然 ガ ス 」 「食 料 品 」 「石 油 製 品 」 「非 鉄 金 属 」 な ど の 輸 入 が 多 い 部 門 が 、 そ れ ぞ れ 、 約728億 ドル か ら約100億 ドル の 非 常 に 大 き な 赤 字 とな っ て い る 4.2 中 国 の 自由 貿 易 が もた らす 影 響(1995年) 中 国 の 労 働 集 約 財 の 輸 出 を 増 や し、 労 働 節 約 財 の 輸 入 を 増 加 させ る 中 国 の 貿 易 自 由 化
導 入 を 想 定 し、EDEN data Baseを 用 い た 産 業 連 関分 析 よ り、 中 国 と 日本 の 両 国 の 経 済 ・環
境 に 直 接 ・間 接 的 に 与 え る影 響 を 定 量 的 に 測 る分 析 を行 っ た 。 【表4。3】 は 、 中 国 、 日本 、 そ して 両 国 合 計 の 生 産 額 、CO2発 生 量 、 SO2発 生 量 に 関 す る 結 果 を一 覧 に した も の で あ る 。 【表4・3】 「1995年 版 分 析 」 の 結 果 1995中 国 1995日 本 1995中 国 ・日本 変化 量 変化 率(%) 変化量1変 化率(%) 変化量 変 化 率(%) 1 生 産 誘 発 額(100万 ドル) CO2誘 発 発 生 額(1000t) SO2誘 発 発 生 額(t) 633 -42557 -335429 0.034 -1 .545 -1 .471 ?626 2990 31176 0.075 0.250 0.398 8259 -39568 -304253 0.069 -1.002 -0.993
出 所)EDEN Data Baseよ り計 算 。
ま ず 経 済 に 与 え る 影 響 を み る と 、 生 産 は 、 中 国 で6億3千 万 ドル(0.03%)増 加 し、 日 本 で も76億2千 万 ドル(0.07%)の 増 加 と な っ た 。 次 に 、 環 境 に 与 え る 影 響 を み る と 、CO2 発 生 量 は 中 国 で は4250万t。CO2(一1.54%)減 少 した の に 対 し 、 日 本 で は290万t・CO2(0.24%)の
増 加 と な っ た 。 同 様 に 、SO2発 生 量 は 中 国 で は33万5千t(一1.47%)の 減 少 に 対 し、 日本 で は
3万1千t(0.39%)の 増 加 とな っ た 。 中 国 と 日本 の 両 国 合 計 を 見 る と、 生 産 で は82億5千 万
ドル(o.os%)の 増 加 、 CO2で は3950万t-CO2(一1.00%)の 減 少 、 SO2で も30万4千t(一 〇.99%)の
減 少 で あ る。 両 国 と も 生 産 は 増 加 す る が 、CO2やSO2発 生 量 は 中 国 で は 減 少 し、 日本 で は 増 加 す る。 しか し、 両 国 合 計 で み る と 中 国 の 発 生 の減 少 量 が 日本 の 増 加 量 を 上 回 る た め 、 両 国 合 計 のCO2発 生 量 やSO2発 生 量 は 減 少 とな る。 ま た 、 発 生 量 の 減 少 率 は 生 産 の 増 加 率 よ り も絶 対 額 で は 大 き い 。 よ っ て 、 両 国 に 与 え る 影 響 を マ ク ロ で み る と、 中 国 の 貿 易 自 由化 は 両 国 に 生 産 の 増 加 を も た らす 一 方 、 環 境 負 荷 軽 減 の 方 向 に 寄 与 し、 環 境 改 善 の 傾 向 が 予 想 され る と結 論 で き る。 以 上 は マ ク ロ 経 済 全 体 に与 え る結 果 で あ っ た が 、 次 は 部 門 別 に み て い く こ とで そ の 要 因 を探 る。 【表4・4】1995年 生 産 増 加 の 主 要 部 門 1995中 国 1995日 本 1995中 国 ・日本 -∩乙 3 4 繊維工業 縫製品 ・皮革 農林業 食料品 18710 18399 7196 4929 34.63% 34.05% 13.32% 9.12% 電子 ・通信機器 鉄鋼業 輸送用機 械機器 非鉄金属 1SS26 11073 7132 4737 31.67% 22.59% 14.55% 9.66% 繊 維工業 農 林業 鉄銅 業 文化 ・教育 ・科学研 究 9781 5802 19$4 1584 44.14% 26.18% 8.95% 7.15% 注)表 は 、 増 加 量(ioO万 ドル)と 増 加 量 に 占 め る シ ェア〈%)を表 記 して い る。一 『
出 所)EDEN Data Baseに よ り 計 算 。
【表4。5】1995年 生 産 減 少 の 主 要 部 門 1995中 国 1995日 本 1995中 国 ・日本 -∩乙 亀 」 4 電 子 ・通信機器 鉄鋼 業 非鉄金属 輸送用機械機器 一16469 -9089 -6696 -5662 30.84% 17.02% 12.54% 10.60% 縫製品 ・皮革 繊維 工業 食料品 化学製品 一20492 -8929 -4470 -2680 49.50%縫 製 品 ・皮 革 21.57%非 鉄 金 属 10.80%機 械 工 業 6.47%商 業 一2093 -1959 -1580 -1058 17.73% 16.59% 13.38% 8.96% 注)表 は 、 減 少 量(100万 ドル)と 減 少 量 に 占 め る シ ェ ア(%)を 表 記 して い る 。
出 所)EDEN Data Baseに よ り計 算 。
【表4-4】 は 、 中 国 の 貿 易 自 由化 を想 定 した 際 に 、 生 産 増 加 量 が 多 い 上 位4部 門 を 、 同 様 に 【表4-5】 は 、 減 少 量 が 多 い 上 位4部 門 を 中 国 、 日本 、 そ して 両 国 合 計 に 関 して 一 覧 に した も の で あ る。 ま ず 、 中 国 自身 に お い て は 、 労 働 集 約 財 で あ り輸 出 増 加 と な っ た 「繊 維 工 業 」 「縫 製 品 ・皮 革 」 「食 料 品 亅 で の 生 産 増 加 が 大 き い 。 特 に 、 「繊 維 工 業 」 と 「縫 製 品 ・ 皮 革 」 は増 加 量 の そ れ ぞ れ 約34%以 上 を 占 め 、 直 接 ・間 接 に 誘 発 され る生 産 量 が 非 常 に 多 い 部 門 とい え る。 「食 料 品 」 は 間 接 波 及 効 果 の た め 生 産 が 増 加 した 部 門 で あ る。 ま た 、 生 産
増 加 と な っ た 部 門 数 は 全43部 門 の う ち11部 門 の み で あ り、中 国 自身 の 貿 易 自 由化 に よ り直 接 ・間 接 に 生 産 誘 発 効 果 を 受 け る 部 門 は 非 常 に 限 定 され て い る と い え る。 一 方 、 輸 入 増 加 と な っ た6部 門 の うち 、 「電 子 ・通 信 機 器 」 「鉄 鋼 業 」 「非 鉄 金 属 」 「輸 送 用 機 械 機 器 」 の4 部 門 で の 生 産 減 少 量 が 多 く 、これ ら4部 門 で 生 産 減 少 量 の約70%以 上 を 占 め て い る。特 に 、 「電 子 ・通 信 機 器 」 で の 生 産 減 少 量 が 多 く、 減 少 量 の 約30%以 上 を 占 め て い る。 日本 は、 輸 出 増 加 とな っ た 「電 子 ・通 信 機 器 」 「鉄 鋼 業 」 「輸 送 用 機 械 機 器 」 「非 鉄 金 属 」 で の 生 産 増 加 が 顕 著 で 、 これ ら4部 門 で 増 加 量 の 約78%以 上 を 占 め て い る 。 特 に 、 中 国 で は 生 産 が減 少 と な っ た 「電 子 ・通 信 機 器 」 に お い て 日本 で の 生 産 増 加 が 顕 著 で あ る。 一 方 、 輸 入 増 加 と な っ た 「縫 製 品 ・皮 革 」 「繊 維 工 業 」 「食 料 品 」 で の 生 産 が 減 少 して い る。 ま た 、 「化 学 製 品 」 は 間 接 波 及 効 果 が 影 響 し、 生 産 が 減 少 した 部 門 で あ る 。 中 国 の 貿 易 自 由 化 に よ り、 日 本 で 生 産 が 増 加 す る部 門 数 は24部 門 で あ り、 中 国 よ りは 日本 の 方 が 生 産 誘 発 効 果 を 受 け る 部 門 数 が 多 い とい え る。 次 に 、 中 国 と 日本 を合 計 した 場 合 をみ る と 、 「繊 維 工 業 」 「農 林 業 」 「鉄 鋼 業 」 「文 化 ・ 教 育 ・科 学 研 究 」 が 生 産 増 加 の 多 い 部 門 で あ り、 逆 に 、 「縫 製 品 ・皮 革 」 「非 鉄 金 属 」 「機 械 工 業 」 「商 業 」 が 減 少 量 の上 位 部 門 とな って い る。 中 国 で 輸 出 増 加 とな っ た 「繊 維 工 業 」 は 中 国 で の 生 産 増 加 が 大 き く影 響 し、 両 国 合 計 で は 増 加 、 逆 に 「縫 製 品 ・皮 革 」 は 中 国 で の 生 産 増 加 以 上 に 直 接 ・間 接 的 に も た ら され る 日本 で の 生 産 減 少 が 多 か っ た た め 、 両 国 合 計 で み る と 、 生 産 は 減 少 とな っ て い る 。 ま た 、 中 国 で 輸 入 増 加 と な っ た 「鉄 鋼 業 」 は 、 日本 で の 直 接 ・間 接 的 に もた ら され る生 産 増 分 が 中 国 で の 生 産 減 少 分 を 上 回 り、 両 国 合 計 で は 生 産 の 増 加 と な り、 一 方 、 「非 鉄 金 属 」 は 中 国 で の 生 産 減 少 分 が 大 き く影 響 し 、 両 国 合 計 で は 生 産 の 減 少 と な っ て い る。 ま た 、 「農 林 業 」 「文 化 ・教 育 ・科 学 研 究 」 は 間 接 的 に 両 国 へ の 生 産 波 及 効 果 を もた ら され る部 門 で あ る。 特 に 、 「農 林 業 」 は 中 国 で の 生 産 増 分 が 、 「文 化 ・教 育 ・科 学 研 究 」 で は 日本 の 生 産 増 分 が 大 き く影 響 し、 結 果 と して 両 国 合 計 で は 生 産 増 加 と な っ て い る。 一 方 、 「機 械 工 業 」 や 「商 業 」 は 間 接 的 に 生 産 の 減 少 を もた ら され る部 門 で あ る。両 部 門 と も 中 国 で の 生 産 減 少 が 影 響 し、両 国 合 計 で は 生 産 が 減 少 と な っ て い る。 ま た 、 部 門 別 の 特 徴 を み る と、 両 国 と も に 生 産 が 増 加 した の は 「機 械 工 業 」 「文 化 ・教 育 ・科 学 研 究 」 の2つ の み で あ り、 これ らは 間 接 的 な 影 響 を受 け生 産 増 加 とな っ た 部 門 で あ る。 一 方 、 両 国 と も生 産 が 減 少 した の は 、 「原 油 ・天 然 ガ ス 」 「印 刷 ・文 化 教 育 用 品 」 「石 油 製 品 」 「そ の 他 製 造 業 」 「道 路 輸 送 」 「そ の 他 輸 送 」 「通 信 」 「商 業 」 「公 共 事 業 ・民 間 サ ー
ビ ス 」 「金 融 ・保 険 」 で あ る。 ま た 、 中 国 で 生 産 が 増 加 し 日本 で は 減 少 した 部 門 は 、 輸 出増 加 とな っ た5部 門 の 他 に 、間 接 的 な 影 響 を 受 け 、中 国 の み で 生 産 増 加 と な っ た 「農 林 業 」「漁 業 」 「化 学 製 品 」 「医 薬 品 」 で あ る。 一 方 、 日本 で は 生 産 が 増 加 した が 中 国 で は 減 少 した 部 門 は 、 中 国 で の 輸 入 増 加 と な っ た6部 門 の 他 に 、 「金 属 鉱 業 」 等 の 鉱 業 、 「セ メ ン ト」 「機 械 工 業 」 等 の 重 工 業 が 多 い 点 が 特 徴 で あ る 。 次 に 、 環 境 面 で の影 響 を 部 門 別 に み て い く。 【表4-6】1995年CQ2発 生 増 加 の 主 要 部 門 1995中 国 1995β 本 1995中 国 ・日本 1 繊維工業 11747 40.79% 鉄鋼 業 3755 bO.56% 繊維 工業 11393 44.26% 2 化学製品 6969 24.20% コ ー ク ス ・石 炭 製 晶 ・ガ ス 600 9.67% 化学製 品 6663 25.88% 3 縫 製 品 ・皮 革 2531 8.79% 電 力 ・熱 供 給 540 8.71% 農林業 2273 8.83% 4 食料品 2379 8.26% 紙 パ ・同 製 品 493 7.95% 食料 品 2221 8.63% 5 航空輸送 2338 8.12% 非鉄金属 411 6.63% 縫 製 品 ・皮 革 1695 6.59% 注)表 は 、 増 加 量(1000t)と 増 加 量 に 占 め る シ ェ ア(%)を 表 記 し て い る 。 出 所)EDEN Data Baseに よ り計 算 。
【表4-711995年 CO2発 生 減 少 の 主 要 部 門 1995中 国 1995日 本 1995中 国 ・日 本 1
鉄鋼業
一22766 31.91%航空輸送
一1313 40.88% 電 力 ・熱供 給 一21186 32.44% 2 電力 ・熱 供 給 一21726 30.45% 縫 製 品 ・皮革 一836 26.03%鉄鋼業
一19011 29.11% 3非鉄金属
一6768 9.48%繊維工業
一354 11.03%非鉄金属
一6357 9.73% 4 その他 窯 業 土石 一4991 6.99%化学製品
一306 9.53%その他窯業土石
一4946 7.57% 注)表 は 、 減 少 量(10001.)と 減 少 量 に 占 め る シ ェ ア(%)を 表 記 して い る 。 出 所)EDEN Data Baseに よ り 計 算 。【表4・61は 、 中 国 の 貿 易 自 由 化 を 想 定 した 際 に 、CO2発 生 の 増 加 量 が 多 い 上 位5部 門 を 、 同 様 に 【表4。7】 は 、CO2発 生 の 減 少 量 が 多 い 上 位4部 門 を 中 国 、 日本 、 そ して 両 国 合 計 に 関 して 一 覧 に した も の で あ る。 中 国 は 、 自身 の 貿 易 自 由 化 に よ り輸 出 増 とな り、 直 接 ・ 間 接 的 な 生 産 が誘 発 され た 「繊 維 工 業 」 「縫 製 品 ・皮 革 」 「食 料 品 」 「航 空 輸 送 」 や 、 間 接 的 な 生 産 波 及 効 果 を 受 け 生 産 増 加 とな っ た 「化 学 工 業 」 で のCO2発 生 量 増 加 が 顕 著 で あ る。 特 に 、 「繊 維 工 業 」 「化 学 工 業 」 の 上 位2部 門 でCO2発 生 増 加 量 の 約65%を 占 め て い る点 が 特 徴 で あ る 。 一 方 、 輸 入 増 加 で 直 接 ・間 接 的 に 生 み 出 され る 生 産 が 減 少 した 「鉄 鋼 業 」 や 「非 鉄 金 属 」 で は 発 生 が 減 少 し、 ま た 間 接 的 な 波 及 の影 響 を 受 け生 産 が 減 少 と な っ た 「電 力 ・熱 供 給 」 で も 「鉄 鋼 業 」 と同 じ規 模 の 発 生 の 減 少 が み られ る。 さ ら に 間 接 的 な 影 響 を 受 け 生 産 が 減 少 と な っ た 「そ の 他 窯 業 土 石 」 で は 、 発 生 係 数 が 高 い こ とが 影 響 し、 主 要 な 発 生 の 減 少 部 門 に な っ て い る。 日本 は 、 輸 出 が 増 加 し生 産 増 加 とな っ た 「鉄 鋼 業 」 「紙 パ ・
同 製 品 」 「非 鉄 金 属 」 や 間 接 的 な影 響 を受 け て 生 産 増 加 とな っ た 「コー ク ス ・石 炭 製 品 ・ガ ス 」 や 「電 力 ・熱 供 給 」 で の 発 生 の 増 加 が 顕 著 で あ る。 特 に 「鉄 鋼 業 」 に よ る も の が 発 生 増 加 の約55%を 占 め 、 非 常 に 多 い の が 特 徴 で あ る。 一 方 、 日本 で の発 生 減 少 を み る と 、 輸 入 増 加 に よ り生 産 が 減 少 した 「航 空 輸 送 」 「縫 製 品 ・皮 革 」 「繊 維 工 業 」 の 減 少 ジ ェ ア が も っ と も多 い の が 特 徴 で 、 さ らに 、 間 接 的 な 影 響 を受 け 生 産 が 増 加 し た 「化 学 製 品 」 で の発 生 が 減 少 して い る。 以 上 を 中 国 と 日本 の 合 計 で み る と、CO2発 生 量 は 、 中 国 に お い て 輸 出 増 加 に よ る 直 接 ・間 接 的 な 生 産 波 及 効 果 に よ る 生 産 増 加 が 大 き く影 響 した 「繊 維 工 業 」 で の 増 加 量 が も っ と も 多 く、 「食 料 品 」 や 「縫 製 品 ・皮 革 」 で の 増 加 も 多 い 。 ま た 「化 学 製 品 」 や 「農 林 業 」 で の 増 加 量 も 多 く、 これ らは 、 特 に 中 国 に お い て 間 接 的 な 波 及 効 果 に よ る 生 産 量 の 増 加 が 大 き く影 響 レ 発 生 量 が 大 き く増 加 した 部 門 と考 え られ る。 一 方 、 両 国 合 計 で み る と、CO2発 生 量 の 減 少 は 「電 力 ・熱 供 給 」 「鉄 鋼 業 」 が 多 い 。 「電 力 ・熱 供 給 」 は 、 日本 で は 間 接 的 な 波 及 の 影 響 を 受 け 、 生 産 が 増 加 した が 、 中 国 自身 で の 生 産 減 少 分 が 大 き く影 響 し、結 果 と して 発 生 量 の減 少 に つ な が っ た 部 門 で あ る。 同様 に 「鉄 鋼 業 」 は 、 日本 で は 輸 出 増 加 に と も な う生 産 の 増 加 が 影 響 し、 発 生 量 が も っ と も増 加 した 部 門 で あ る が 、 中 国 で の 輸 入 増 加 に と も な う生 産 の 減 少 に よ る 発 生 量 の 減 少 が 大 き く影 響 し、 両 国 合 計 で は 発 生 量 が 減 少 とな っ た 部 門 と考 え られ る。 【表4-8】1995年 SO2発 生 増 加 の 主 要 部 門 1995中 国 1995日 本 1995中 国 ・ 日本 -《∠ り 」 」 弓 繊維工 業 化学製 品 食料 品 縫製 品 ・皮革 114587 51002 27658 24233 46.64'% 20.76% 11.26% 9.86% 鉄 銅 業 電 力 ・熱 供 給 紙 パ ・同 製 品 コー・クス 石 炭 製 品 ・ガ ス 20055 5278 4541 4209 55.47% 14.60% 1256% 11.64% 繊 維工業 化学 製品 食料 品 縫製 品 ・皮 革 113621 50074 27313 22129 47.16% 20.79% 11.34% 9.19% 一 注)表 は 、 増 加 量(1000t)と 増 加 量 に 占 め る シ ェ ア(%)を 表 記 し て い る 。 出 所)EDEN Data Baseに よ り計 算 。
【表4。gl l995年 SO2発 生 減 少 の 主 要 部 門 1995中 国 馳 1995日 本 一 1995中 国 ・日本 -∩∠ 兮 」 4 電力 ・熱 供給 鉄鋼 業 その他 窯業土石 非鉄金属 一160188 -159107 -69802 -55688 27.57% 27.38% 12.01 9.58% 縫製品 ・皮革 繊維工業 化学製品 食料品 一2104 -966 -928 -344 42.25% 19.40% 18.64% 6.91 電力 ・熱供給 鉄鋼業. その他窯業 土石 非鉄金属 一154909 -139052 -69687 -S4S12 39.69ー10 35.63% 17.86% 13.97% 注)表 は 、 減 少 量(1000t)と 減 少 量 に 占 め る シ ェ ア(%)を 表 記 し て い る。
出 所)EDEN Data. Baseに よ り計 算 。
SO2発 生 の 増 加 量 が 多 い 上 位4部 門 を 、 同 様 に 【表4-9】 は 、 SO2発 生 の 減 少 量 が 多 い 上位 4部 門 を 中 国 、 日本 、 そ して 両 国 合 計 に 関 して 一 覧 に した も の で あ る。 中 国 自身 の 貿 易 自 由 化 に よ り中 国 で も っ と もSO2発 生 量 が 増 加 す る の は 、 輸 出 増 加 に と も な い 生 産 が 増 加 し た 「繊 維 工 業 」 や 「食 料 品 」、 そ して 間 接 的 な 生 産 波 及 効 果 を う け た 「化 学 製 品 」 な どの 部 門 で あ る。 特 に 「繊 維 工 業 」 は 発 生 増 加 量 の うち約46%を 占 め 、 発 生 量 増 加 が 非 常 に 多 い 部 門 で あ る 。 一 方 、 中 国 に お い て 間 接 的 な 影 響 を受 け 生 産 が 減 少 した 「電 力 ・熱 供 給 」 「そ の 他 窯 業 土 石 」 や 輸 入 増 加 に よ る生 産 減 の た め に発 生 量 が 減 少 した 「鉄 鋼 業 」 「非 鉄 金 属 」 で の 発 生 減 少 量 が 多 い 。 日本 で は 、輸 出 増 に と も な い 生 産 が 増 加 した 「鉄 鋼 業 」 や 「紙 パ ・ 同 製 品 」 で の発 生 が 多 く、 ま た 、 生 産 自体 が 増 加 し た 「電 力 ・熱 供 給 」 「コ ー ク ス 」 で の 発 生 増 加 が 多 い 。 一 方 、 輸 入 が 増 加 し生 産 が 減 少 した 「縫 製 品 ・皮 革 」 「繊 維 工 業 」 「食 料 品 」 の3部 門 で 発 生 減 少 の 約69%を 占 め る。 ま た 、 間 接 的 な 影 響 を 受 け 中 国 で は 生 産 増 加 と な っ た が 日本 で は 減 少 とな っ た 「化 学 製 品 」 で の 発 生 減 少 も多 い 。 以 上 を 中 国 と 日本 の 合 計 でSO2発 生 量 み る と、 増 加 、 減 少 と も に 、 中 国 の発 生 量 の 増 減 が 影 響 し、 「繊 維 工 業 」 「化 学 製 品 」 「食 料 品 」 「縫 製 品 ・皮 革 」 で 増 加 し、 逆 に 、 「電 力 ・熱 供 給 」 「鉄 鋼 業 」 「そ の 他 窯 業 土 石 」 「非 鉄 金 属 」 で減 少 して い る。 4.3 中 国 の 自 由 貿 易 が もた らす 影 響(1985年 と1995年 の 比 較) 次 に 、 「1985年 版 分 析 」 と 「1995年 版 分 析 」 の 結 果 の 比 較 を行 う21。【表4-10】 は 、 生 産 誘 発 額 とSO2発 生 量 に 関 して 、2時 点 の 変 化 を 中 国 、 日本 、 そ して 両 国 合 計 に つ い て 一 覧 に した もの で あ る。 【表4。10】 「1985年 版 分 析 」 と 「1995年 版 分 析 」 の 結 果 」 中国 日本 中 国 ・日本 85年195年 85年lg5年 85年lg5年 生 産 誘 発 額 SO2誘 発 発 生 額 SO2誘 発 発 生変 化 率(%) 一739 -564333 -2 .921 633 -335429 -1.471 2729 25781 0.738 7626 31176 0.398 1990 -538552 -2.361 8259 -304253 -0.993 単 位)100万 ドル 、t
出 所)1985年 値 は 篠 崎 他(1997)p.14よ ワ抜 粋 。1995年 はEDEN Data Baseよ り 計 算 。
中国の労働集約財 の輸出 を増や し、一方 、労働節約財の輸入を増やす貿易 自由化を想
2且前 述 の とお り、 「1985年 版 分 析 」 と 「1995年版 分 析 」 は 使 用 デ ー タ概 念 に若 干 の 違 い が み られ るた め 、 こ こで はSO, 発 生 量 の結 果 の み を 対 象 とす る。 そ の 際 、 両 者 の 比 較 が 可 能 な よ うに 、 「1985年 版 分析 亅 の 結 果 を 発 生 量 に換 算 し、再 計 算 を行 っ た もの を利 用 してい る。 両 分 析 の 相 違 点 に つ い て は 付 録2に 掲載 した。定 し両 国 に もた らす 影 響 を み て い く。 まず 、 生 産 誘 発 額 を み る と、1985年 で は 、 中 国 で7.3 億 ドル の 減 少 、 一 方 、 日本 で は27.2億 ドル の 増 加 が み られ 、 同 様 に1995年 で は 、 中 国 で は 6.3億 ドル(0.03%)の 増 加 、 日本 で は76.2億 ドル(0.07%)の 増 加 が み られ る 。想 定 で は 、 輸 出 入 バ ラ ン ス に は 変 化 が 起 き な い 、つ ま り国 内 総 支 出(GDE)規 模 が 不 変 に も 関 わ らず 、 1985年 の 中 国 で の 生 産 が 減 少 して い る。 こ れ は 、 付 加 価 値 率 の 低 い 部 門 に つ い て 輸 入 代 替 が 生 じて い る か ら と考 え られ て い る22。しか し、1995年 で は 増 加 分 の 絶 対 額 は少 な い が 、FTA 後 の 中 国 の 生 産 額 は 日本 と同 様 に増 加 して い る。 よ っ て 、1985年 か ら1995年 に か け て の 中 国 の 経 済 構 造 が 日本 並 み に 付 加 価 値 の よ り高 い もの を 生 産 す る構 造 へ と 変 化 しつ つ あ る こ と を 意 味 して い る と考 え られ る。 ま た 、 中 国 と 日本 の 両 国 合 計 で み る と、 生 産 は 、1985年 で は19.9億 ドル の 増 加 、1995 年 で も82.5億 ドル(0.06%)の 増 加 で あ り、中 国 の 自 由 化 は 両 国 を1つ の 地 域 とみ た 場 合 に 、 生 産 拡 大 効 果 を も た らす と い え る。 ま た 、 規 模 で み た そ の 効 果 の 度 合 い は 、 中 国 自身 よ り も 日本 の 方 が 大 き く、1985年 よ りも1995年 の 方 が 高 い と い え る。 次 に 、SO2発 生 量 を み る と 、1985年 で は 、 中 国 は56.4万 トン(・2.92%)の 減 少 に 対 し、 日本 は2.5万 トン(0.73%) の 増 加 を み せ て い る 。 同様 に1995年 で は 、 中 国 は335万 トン(・1.47%) .の 減 少 に対 し、 日 本 は3.1万 トン(0.39%)の 増 加 とな っ て い る。 両 年 と も、 中 国 の 貿 易 自 由 化 は 中 国 自身 の 発 生 量 を軽 減 させ る 方 向 に 寄 与 し、 逆 に 、 日本 に は 増 加 させ て い る 。 た だ し、1985年 の方 が1995年 よ りも 中 国 に お け るSO2発 生 量 が 多 く、ま た 、減 少 率 で み て も1985年 の 方 が1995 年 よ り も減 少 の 度 合 い が 大 き く、1985年 か ら1995年 に か け て 中 国 の 貿 易 自 由 化 が も た らす 環 境 負 荷 の 変 化 は 小 さ く な っ て い る とい え る。 ま た 、1995年 で は 中 国 の 生 産 が 増 加 に な っ て い る こ とか ら 、 中 国 の 生 産 単 位 あ た り発 生 量 の 程 度 が減 少 し、 環 壌 負 荷 が 低 い 製 品 の 生 産 が 増 加 し た 等 の 要 因 が 予 想 され る 。 一 方 、 日本 は1995年 の 方 が1985年 よ り も発 生 の増 加 量 は 多 い が 、増 加 率 で み る と 、1995年 の 方 が 低 い 。 つ ま り、生 産 量 の 増 加 に と も な いSO2 の 発 生 量 も増 加 して い る が 、 そ の 変 化 率 は1985年 に 比 べ て 低 い の は 、 中 国 と同 様 に 生 産 単 位 あ た りの 発 生 量 の 低 い 生 産 構 造 へ の 変 化 と技 術 進 歩 に よ る も の と考 え られ る。 ま た 、 中 国 と 日本 の 両 国 合 計 で み る と 、SO2発 生 量 は 、53.8万 トン(一2.36%)の 減 少 、 同 様 に1995年 で も30.4万 トン(一〇.99%)の 減 少 で あ る。 よ っ て 、 中 国 自身 で は 発 生 量 の 減 少 、 日本 で は 発 生 量 の 増 加 傾 向 が み られ る が 、 中 国 と 日本 を1つ の 地 域 と見 た 場 合 、 中 国 22篠 崎 他(1997a)p .23参 照 。
の貿 易 自 由化 は 、 環 境 負 荷 を 軽 減 す る 方 向 に 寄 与 す る とい え る。 た だ し、 減 少 量 や 減 少 率 は と も に1985年 の 方 が1995年 よ りも 高 く、 よ っ て 、 中 国 の 貿 易 自 由 化 が 両 国 の 環 境 に も た らす 影 響 力 は1995年 の 方 が 限 定 的 とい え る。 っ ま り、1985年 か ら10年 間 に か け て 中 国 の 産 業 構 造 が 日本 に 類 似 した 資 本 集 約 的 産 業 へ の 転 換 が 起 こ り、 そ の 結 果 、1985年 と比 べ て 比 較 的 に 限 定 的 な 影 響 に と ど ま る と考 え られ る。 次 に 、要 因 を 探 る た め 、 部 門別 に み て い く。 【表4-11]と 【表4。12】 は 、1985年 と1995 年 の 生 産 誘 発 額 の 増 加 額 上 位 部 門 と減 少 額 上 位 部 門 を 中 国 、 日本 、 そ して 中 国 と 日本 合 計 に 関 して 一 覧 に した も の で あ る。 【表4-11】 生 産 誘 発 の 増加 シ ェ ア の上 位 部 門(1985年 と1995年) 1985中 国 1985日 本 1985中 国 ・日本 1 繊維 工業 42.38% 鉄鋼業 34.04% 鉄鋼業 37.39% 2 縫 製 品 ・皮 革 18.82% 電 子 ・通 信 機 器 18.04% 農林業 30.56% 3 農 林業 17.45% 輸送用機械機器 14.76% 繊維工業 8.47% 4 食 料品 15.87% 電気機械 8.40% 輸送用機械機器 6.58% 5 化学 製品 2.26% 非鉄金属 7.50% 道路貨物 2.80% 1 1995中 国 1995日 本 1995中 国 ・日本 1 i 繊維 工業 34.63% 電子 ・通 信 機 器 31.67% 繊維 工業 44.14% 2 縫 製 品 ・皮 革 34.45% 鉄鋼業 22.59% 農林業 26.18% 3 農 林業 13.32% 輸送用機械機器 14.55% 鉄鋼業 8.95% 4 食 料品 9.12% 非鉄金属 9.66% 文 化 ・教 育 ・科 学 研 究 7.15% 5 化 学製品 5.14% 電気機械 7.78% 輸送用機械機器 6.63% 「
出 所)1985年 値 は 篠 崎 他(1997)を 再 計 算 し直 した も の 、1995年 はEDEN Data Baseよ り計 算 。
【表4・12】 生 産 誘 発 の 減 少 シ ェ ア の 上 位 部 門(1985年 と1995年) 1985中 国 1985日 本 1985中 国 ・日 本 1 鉄鋼 業 一 24.01% 繊維工業 19.52% 電子 ・通信 機器 17.45% z 電 子 ・通 信 機 器 22.66% 縫 製 品 ・皮 革 17.73% 化 学製 品 15.90% 3 輸 送用機械機器 13.55% 食料品 7.50% 商業 7.74% 4 電 気機 械 9.65% 農林業 5.98% ゴム ・プ ラス チ ッ ク製 品 6.91% 5 非 鉄金属 728% 化学製 品 5.98% 石 油製 品 5.71% 1995中 国 1995日 本 1995中 国 ・日 本 1 電 子 ・通 信 機 器 30.84% 縫 製 品 ・皮 革 49.50% 縫 製 品 ・皮 革 15.06% 2 鉄鋼 業 17.02% 繊維 工業 21.57% 非 鉄金属 14.09% 3 非 鉄金属 12.54% 食料品 10.80% 機械 工業 11.37% 4 輸 送用機械機器 10.60% 化学製品 6.47% 商業 7.61% 5 電 気機械 7.34% 農林業 3.37% 電 子 ・通 信 機 器 6.78%
出 所)1985年 値 は 篠 崎 他(1997)を 再 計 算 し 直 した も の 、1995年 はEDEN Data Baseよ り 計 算 。
ま ず 、 中 国 の 生 産 に 関 して み る と、1985年 と1995年 で は 生 産 増 加 額 の 上 位 部 門 名 に 大
年 で は 増 加 額 の う ち約42%を 占 め て い た 「繊 維 工 業 」 が 、1995年 で は 約34%へ 低 下 し、 逆 に 「縫 製 品 ・皮 革 」 が 「繊 維 工 業Jに 匹 敵 す る 増 加 量 に な っ て い る 点 が 特 徴 で あ る。 そ の 他 に 、上 位5部 門 をみ る と、 「農 林 業 」 「食 料 品 」の 増 加 シ ェ ア は 減 少 して い る の に 対 し、 「化 学 製 品 」は シ ェ ア を伸 ば して い る。 ま た 、減 少 部 門 を み る と、1985年 で は 「鉄 鋼 業 」 「電 子 ・ 通 信 機 器 」 「輸 送 用 機 器 」 の 上 位3部 門 で減 少 量 の 約80%を 占 め て い た が 、1995年 で は 「鉄 鋼 業 」 が シ ェ ア を減 ら し、 「電 子 ・通 信 機 器 」 「鉄 鋼 業 」 「非 鉄 金 属 」 の 順 と な っ た。 つ づ い て 、 日本 の 生 産 に 関 して み る と、1985年 で は 「鉄 鋼 業 」 「電 子 ・通 信 機 器 」 の 順 に 増 加 額 が 多 か っ た が 、1995年 で は 「鉄 鋼 業 」 の シ ェ ア が 減 少 し、 「電 子 ・通 信 機 器 」 「鉄 鋼 業 」 の順 とな っ た 。 ま た 、1985年 で は 「繊 維 工 業 」 は 減 少 額 の 約73%を 独 占 して い た が 、1995年 で は 大 き く シ ェ ア が 低 下 、 逆 に 「縫 製 品 ・皮 革 」 が 減 少 額 の約 半 分 を 占 め る とい う結 果 で あ る。 ま た 、 増 加 す る 部 門 数 を比 較 す る と、 中 国 は1985年 で は12部 門 の み 、1995年 で も11 部 門 の み で あ る が 、 日本 は1985年 で は28部 門 、1995年 で は24部 門 で あ る。 よ っ て 、 中国 の 貿 易 自 由 化 に よ り生 産 増 加 の 効 果 を受 け る 部 門 数 は 、 両 年 と も 中 国 の 方 が 限 定 的 で あ り、 逆 に 、 日本 の 方 が 多 種 多 様 な 部 門 に お い て 拡 大 効 果 を 受 け る と い え る。 よ っ て 、 中 国 は 国 内 で の 部 門 間 の 相 互 依 存 関 係 が 日本 よ りは 比 較 的 に 弱 い構 造 を も っ て い る と い え る 。 以 上 を 中 国 と 日本 の 合 計 で み る と 、1985年 は 日本 で の 鉄 鋼 業 の 生 産 の 増 加 が 大 き く影 響 し、 増 加 額 の 約38%を 占 め 、 つ づ い て 、 「農 林 業 」 「繊 維 工 業 」 の 順 に 多 か っ た が 、1995 年 で は 、 中 国 の 「繊 維 工 業 」 の 生 産 増 加 が 大 き く影 響 し、 「繊 維 工 業 」 「農 林 業 」 「鉄 鋼 業 」 の 順 と な っ た 。 ま た 、1985年 で は 、 中 国 に お け る 間 接 的 な 波 及 効 果 に よ る 「農 林 業 」、 同 様 に1995年 で は 日本 に お け る 間 接 的 な効 果 に よ る 「文 化 ・教 育 ・科 学 研 究 」 が 上 位 部 門 とな る点 が 特 徴 で あ る。 一 方 、生 産 の 減 少 額 を み る と、1985年 で は 中 国 の 減 少 が 影 響 し 「電 子 ・ 通 信 機 器 」 が も っ と も減 少 額 の 多 い 部 門 、 つ づ い て 日本 で の 生 産 減 少 が 影 響 し た 「化 学 製 品 」 が 上 位 で あ っ た が 、1995年 に は 、 日本 で の 生 産 減 が 影 響 し、 「縫 製 品 ・皮 革 」 が も っ と も減 少 量 の 多 い 部 門 と な っ て い る 。
【表4-13】SO2発 生 の 増 加 シ ェ ア の 上 位 部 門(1985年 と1995年) 1985中 国 1985日 本 1985中 国 ・ 日本 1 繊維工業 49.09% 鉄鋼 業 72.70% 繊維 工業 47.29% z 食料品 17.23% 紙 パ ・同製 品 9.33% 食料 品 17.65% 3 化学製 品 11.79% 電 力 ・熱供 給 6.22% 化学製 品 11.40% 4 農林業 10.33% 非鉄 金属 4.83% 農林業 10.90% 5 縫 製 品 ・皮 革 9.19% その他 輸送 2.80% 縫 製 品 ・皮 革 9.45% 1995中 国 1995日 本 1995中 国 ・ 日本 1 繊維工業 46.64% 鉄鋼 業 55.47% 繊維 工業 47.16% 2 化学製 品 20.76% 電 力 ・熱供 給 14.60% 化学製 品 20.79% 3 食料品 11.26% 紙 パ ・同製 品 12.56% 食料 品 11.34% 4 縫 製 品 ・皮 革 9.86% コ ー・ク ス 石 炭 製 品 ・ガ ス 11.64% 縫 製 品 ・皮 革 9.19% 5 農林業 8.80% 非鉄金属 3.25% 農林 業 8.92%
出 所)1985年 値 は 篠 崎 他(1997)を 再 計 算 し直 し た も の 、1995年 はEDEN Data Baseよ り 計 算 。
【表4。14】SO2堯 生 の 減 少 シ ェ ア の 上 位 部 門(1985年 と1995年) 1985中 国 1985日 本 1985中 国 ・ 日本 1 電 力 ・熱 供 給 28.63% 繊維 工業 64.64% 電 力 ・熱 供 給 29.76% 2 鉄鋼 業 26.60% 化学製品 14.99'/0鉄鋼業 24.10% 3 非鉄金 属 19.05% 食 料品 9.05% 非鉄金属 19.76% 4 その他 窯業土石 4.91% 縫 製 品 ・皮 革 4.41% そ の他窯業土 石 5.14% 5 紙 パ ・同 製 品 4.29% 漁業 4.02% 紙 パ ・同製 品 4.02% 1995中 国 1995日 本 1995中 国 ・ 日本 1 電 力 ・熱 供 給 27.57% 縫 製 品 ・皮 革 42.25% 電 力 ・熱 供 給 39.69% 2 鉄鋼 業 27.38% 繊維工業 19.40% 鉄鋼業 35.63% 3 その他 窯業土石 12.01% 化学製品 18.64% そ の他窯業 土石 17.86% 4 非鉄金属 9.58% 食料品 6.91 非鉄金属 13.97% S 紙 パ ・同 製 品 6.68% 漁業 5.18% 紙 パ ・同製 品 8.78%
出 所)1985年 値 は 篠 崎 他(1997)を 再 計 算 し直 した も の 、1995年 はEDEN Data Baseよ り計 算 。
つ づ い て 、 【表4-13】 はSO2発 生 量 の 上 位 部 門 、 【表4。14】 はSO2発 生 量 の 減 少 部 門 を 中 国 、 日本 、 そ して 中 国 と 日本 合 計 に 関 して_.,..覧に した も の で あ る。 ま ず 、1985年 の 中国 は 、 「繊 維 工 業 」 「食 料 品 」 「化 学 製 品 」 に よ る発 生 の 増 加 が 多 く、1995年 で は 「化 学 製 品 」 の 増 加 が 顕 著 で あ り、 「繊 維 工 業 」 「化 学 製 品 」 「食 料 品 」 の順 にSO2発 生 量 の 増 加 が 多 い 。 「化 学 製 品 」 は 間 接 的 な 波 及 効 果 を受 け 、 中 国 自身 で の 生 産 が 増 加 す る 部 門 で あ り、 発 生 係 数 が 高 い こ と も影 響 し、 発 生 量 の 増 加 が 大 き く な っ て い る と い え る。 ま た 、 発 生 の 減 少 部 門 を み る と、 両 年 と も 「電 力 ・熱 供 給 」 「鉄 鋼 業 」 に よ る も の が 減 少 量 の 約54%以 上 を 占 め 、 も っ と も 多 く な っ て い る。 両 部 門 の減 少 量 に 占 め る シ ェ ア は1985年 と1995年 で 大 き な 変 化 は み られ な い 。 一 方 、 日本 の発 生 増加 部 門 は 、1985年 で は 「鉄 鋼 業 」 が 増 加 量 の約 70%以 上 を 独 占 して い た が 、1995年 で は シ ェ ア を減 ら し、 逆 に 、 「電 力 ・熱 供 給 」 「紙 パ ・