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seitetsu purosesu ni okeru sekitan no kodo riyo gijutsu ni kansuru kenkyu

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製鉄プロセスにおける石炭の高度利用技術

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関する研究

996年2月

有山達郎

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第1章製鉄プロセスの現状と課題 1 1 1 1 2 1 製鉄プロセスの課題 1 1 目 1高炉の原理と特徴……… 2今後のコークス需給、環境動向から見た現行プロセスの課題……… 高炉への微粉炭多量吹き込み技術……… − 2 1 微粉炭吹き込み技術の変遷……… 1.2.2徴粉炭多量吹き込みの特徴と課題…… 3 1 1 1 溶融還元法 3.1溶融還元法の意義 3.2予備還元流動層の役割と開発課題 1.4本論文の目的と概要 第2章微粉炭単一粒子の燃焼挙動解析………  2.1実験装置および実験方法……… ︲ ︲  1  1 CUN Q乙 2 3 Q乙 CUN 4 2 2 Q乙 2実験方法……… 単一粒子の基本的な燃焼挙動… 炭種に影響に関する実験結果………… 3.1炭種変更時の粒子温度と燃焼率変化 3.2直接観察による燃焼挙動……・ 酸素濃度の影響に関する実験結果……… 4.1酸素濃度の粒子温度、燃焼率への影響 4.2直接観察による酸素濃度の影響 2.5単一粒子の燃焼機構に関する考察……… 2.6結論 1 3 り乙 3 − 2 3 3 3 3 4 3 − 4 3 2 4 3 1 1 1 2 3 3 5 8 8  9 10 3 1 3 1 3 1 5 1 16 17 7 1 9 1 20 0 2 22 nj 2 5 2 7 2 8 n / ` 0 Qり 0 3 −3 4 3 5 3 5 nj 37 0 4 第3章高炉羽目部における微粉炭燃焼挙動と吹き込みランスの影響 実験装置および観察方法 微粉炭の燃焼機構 3.5結論……… 直接観察による微粉炭燃焼挙動 高速度写真による燃焼場の直接観察 2.2ランスの燃焼挙動へ及ぼす影響… 燃焼率、温度変化測定結果 微粉炭の燃焼機構と燃焼性評価に関する考察 ランス配置と燃焼性評価…………

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第4 章高炉下部充填層における松林の移動速度に関する解析 4.1実験装置および実験方法 4.1』実験装置……… I 4 2 4 4 4 ︻a 第 3 4 2実験方法 実験結果……… 考察……… 結論……… 3 4 3 4 3 4 45 6 4 0 5 53 章粉鉄鉱石の流動化および還元特性に基づく予備還元流動層の基本設計…56 5バ流動化・還元特性に基づく操業条件の検討 I I  一  ・5 5 I流動化特性 2還元反応速度から見た操業条件の検討 2 5 5 5 5 5 流動層設計条件の検討 CUN CUN 1実プロセスを想定した小型熱間流動層設備 N CyD 小型熱間流動層の実験結果 微粒系の分級と循環を考慮した運転条件の検討 4分散板設計条件の検討 5.3結論 第6章大型予備還元流動層における粉鉄鉱石の流動化および粉化挙動 6.1福山溶融還元設備における予備還元流動層 1 1 6 2 1 6 設備概要 操業方法 6 2流動化特性 3 cj︶ 粉化分級挙動 3 3  1  1 6 6 3 3  I  IQ Q 1分級特性 2粉化挙動 3飛び出し速度による分級速度……・ 4粉化分級による予測計算モデル 6.4結論 第7章大型予備還元流動層に − 7 2 7 3 7 おける粉鉄鉱石の還元挙動および微粒循環特性… 予備還元流動層設備および操業条件 一貫系での予備還元流動層の操業 還元特性 1 2  I  IcQ Cy︶  l  l7 7 ソ こべ 3 3 7 7 ュレーションモデルによる還元特性……… 一貫操業による還元特性 微粒系の還元に対する循環の効果 4循環操作と集塵効率 7.4.1ダストロス量とサイクロン分級性能の検討…… β h U 5 po 5 QU 5 0 6 0 6 1 6 3 6 5 6 7 6 1 7 0 1 7 71 4 7 4 7 77 77 n5 7 2 8 83 5 8 7 8 7 8 n6 8 0 9 0 9 2 9 3 9 4 9 4 9

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2 4 7 4 7 5 71 結 QU ら研 サイクロンの捕集モデル………97 微粒循環と集塵効率………99 100 第8章総括………102

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第1章製鉄プロセスの現状と課題

 本章では、近年の製鉄プロセスを取り巻く環境の変化を概説し、将来の環境問題、エネ ルギー有効利用の観点からの今後の課題、目指すべき方向について記し、本論文の意義、 目的を明確にする。 1 I 製鉄プロセスの課題 −一一一一 1.1.1高炉の原理と特徴  現在、世界の粗鋼年間生産量7億トンの6割は高炉法に依存している。 日本においても高 炉法が主流であり、一貫製鉄所の鉄源供給を行う製鉄工程は原料炭から冶金用コークスを 製造するコークス炉、鉄鉱石から高炉での還元溶融に適した塊成鉱を製造する焼結機、そ してコークスを熱源、および還元剤として溶銑製造を担う高炉から構成されている。また 高炉法は、長年にわたるプロセスの改善を経て技術的に極めて完成度が高く、大量生産に 向き、経済的にも優れた方法である。この製鉄工程の要となる高炉に注目すると、その内 部は基本的にはFlg.1.1に示すことができる。炉頂から予め処理された鉄鉱石とコークスが 投入され、降下とともに下方から上昇する 還元ガスによって、徐々に予熱、還元され る。また下部の羽目からは熱風炉により約 1000°C以上に予熱された熱風(Hot Blast) が約200m/sの高流速で炉内に吹き込まれ、 レースウエイ(Race Way)を形成し内部の コークスを燃焼さ廿、炉内に熱を供給する とともに還元ガスを発生させる。この還元 ガスは向流式の固気熱交換により、炉頂か らの排出時には約150°Cとなり、炉内で熱は 極めて有効に利用される。また、降下した 鉄鉱石は1200°Cを越えると、軟化、溶融を HotBlast .(llh●●lv● Zin● Fig.1.1高炉内部現象の模式図 1

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10年未満10-15年15-20年20-25年25-30年30年1U上        炉 令 Fig.I.2日本のコークス炉の炉令分布 2 開始し、融着帯(Cohasive Zone)を経て液状となって滴下する。よって、高炉上部は固気 充填層、下部は固気液の3相が共存する充填層と見なすことができる。この充填層の中で、 コークスは極めて重要な役割を果たす。すなわち、高炉の内部全体にわたってコークス層 が主要な充填物となり、上部では鉄鉱石層を支え、下方から上昇するガスの通路を作り、 予熱、還元を円滑に進める。また、鉄鉱石層が軟化、融着した融着帯においても、強度、 形状を維持しながら、ガスの上昇通路を確保する役目を持つ。さらに、鉄鉱石が溶銑、ス

ラグとなり滴下した後は、コークス充填層(Coke Packlng Bed)がニれらの融体を滞留さ

せることなく円滑に炉床部へと導く。このように、高炉内の機能を十分に発揮する上でコ ークスの役割は重大であり、その性質としては硬く、強度のある冶金用コークスが不可欠 である。現在では、日産1万トンを越える大型高炉も出現しているが、これらの条件を備 えたコークスが、その操業を保証しているといっても過言ではない。 I.1.2今後のコークス需給、環境動向から見た現行プロセスの問題  前節で述べたように高炉法は冶金用コークスの供給を前提に成り立っている。 しかし、 そのコークスの主原料となる原料炭は一般炭に比べ、価格が高価であり、また産地が限定 されているため、将来にわたる安定確保の観点から不安がないとは言えない。また、ここ で日本の主要製鉄所の稼動時期に注目すると、その多くは1970年前後の高度経済成長期に 建設されたものである。すなわち、現在、稼動中のコークス炉はかなりの時間経過を経て いる。 Fig.1.2には日本の高炉メーカー、コークス製造メーカーにおいて稼働中のコークス 炉の炉令を示すが、実際に20年を経過した炉が大半を占める。よって、炉命が35年前後と いわれるコークス炉の多くは21世 紀始めに、その炉寿命を迎える。 Fig.1.3は、現存するコークス炉に よる将来のコークス供給量を示す。 ね 回 15 2002年には前述の理由で供給量が 吸  10       4べ 需要を下回り、2005年以降はコー       5 クスの供給量は急減することにな る。新たなコークス炉の建設を行 うとしても、コークス炉の建設に は多大な費用を要する。また、近 0

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年、地球環境問題の観点からも鉄鋼プロセスにおいて、環境保全対策の強化が叫ばれ、製 鉄工程では、発塵、発煙の問題を伴うコークス炉の操業にはなお一層の公害対策強化が必 要となっているため、単純なリプレースでは今後の社会要請に応えることはできない。  このような背景から、製鉄行程において一一般炭の直接利用を進めていくことが極めて重 要となる。その有効な手段として、現行高炉を前提にしたものとして吹き込み量200kg tを 越える高炉への微粉炭多量吹き込み、全くコークスに依存しない方法として溶融還元法が 挙げられる。 Fig.1.3には、徴粉炭多量吹き込み、すなわち吹き込み量が平均で200kg/tに 達した場合、および溶融還元法が15%溶銑製造に用いられた場合のコークス需要も示してい る。本図から明かなように、一般炭を直接利用できるこれらの技術の採用により、溶銑製 造におけるコークス需要を軽減できる。また早期に、これらの技術を確立することにより、 既存のコークス炉の生産負荷を軽減し、炉命延長を図ることも可能である。全体として、 高価な原料炭使用割合を減少させる でもない。よっ て、今後、鉄鋼 プロセスの製鉄 行程において一 般炭を有効に使 用していくこと は、今後の鉄鋼 業の存続にも影 響し、経済性の みならず、地球 環境問題の点か らも意義が深い。 9。0‘×︶e︶loa lo lunoujv 0 5 0 5 0 5 0 5 05 4 4 3 3 2 2 1 1 5 ことができ、溶銑コスト削減につながることは言うま 2000 2005 2010 2015 2020       Year Fig.1.3現存するコークス炉によるコークス供給量と需要の関係      (粗鋼生産量1億トン/年) 1.2高炉への徴粉炭多量吹き込み技術 1.2.1微粉炭吹き込み技術の変遷  高炉への微粉炭吹き込みはFig.1.4に示すように、炉頂から投入されるコークスを部分的 に代替するために羽口先から徴粉炭を直接、送り込み燃焼させる方法である。そのため、 3

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Steam Coal 1 Grlndin9 Coklng Coal Blast Furnace Ore Fig.1.4高炉への微粉炭吹き込み 充填層を形成するコークスに起因する様 々な制約が減じ、一般炭をそのまま利用 できる。よって、炭種の拡大を図れるだ けでなく、コークス乾留工程の所要エネ ルギーを軽減できるなど、経済効果も大 きい。本技術は新しいものではなく、基 本的には19世紀半ばに欧州で試みられて いる1)-3) 。 しかし、徴粉炭を安定して送 り込む技術の欠如、また微粉炭燃焼の理 解が不十分であったため、失敗に終わっ ている。その後、完成した技術として商 用化したのは1960年から1966年にかけて米国のNational Stee14) ̄7へおよびARMC08)-ll) においてである。この時には、Petrocarb、Babcock&Wilcoxなどエンジリニアリング会社 による石炭粉砕、微粉炭輸送技術の改善がこれらの工業化に大きく貢献している。特にAR MCOでは、燃焼ボイラーと同様な-74μm以下80%程度の微粉炭粒度を用いて安定操業を達成 し、以降の微粉炭吹き込み技術の基盤となっている。ただし、当時としては、羽目から吹 き込む燃料として重油、あるいは天然ガスの方が輸送設備が簡素で、技術的にも容易であ り、微粉炭吹き込みはあくまでも産炭地に近い製鉄所など、特定の地域でしか普及してい ない。 (︲)j81oJaqEコz ‘(l/631)eleJ 10d 200 1 1 50 00 50 0

口 PCI rate(Max・) o PCIrate(Mean) △ Number of PCI BF 〃

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│ …・き・・・. │ ¨¨6¨¨ 1 ``¨6¨¨ 1 ¨¨£ 84 86 88 90 92 94       Year Flg.1.5 日本における微粉炭吹き込み量の推移、吹き込み      高炉基数 4  その後、1973年、゛1979 年の二度にわたるオイル ショックを経て、鉄鋼業 においても石炭エネルギ ーが注目され、微粉炭吹 き込み技術が注目される ようになった。日本では 1981年に開始した新日鎌 大分が最初である12)-13) O Fig.I.5に1985年以降の鉄 鋼各社における微粉炭吹

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(l/651) elej IC)d 220 200 180 160 140 120 100 927 93 /1 Fig.1.6神戸製鋼所に -o- Kobe 3BF (1845m3) →−Kakogawa l BF (4550m3) 7   94   7   95   7     11         111 Year おける微粉炭吹き込み量の推移 き込み量の推移、および設 備を備えた高炉の基数を示 す。現在では稼動高炉30基 のうち27本の高炉で採用さ れている。このように現在 では、ほとんどの高炉で微 粉炭吹き込みは実施され、 その吹き込み量も増加して いる。また、これらの傾向 は世界共通である。 しかし、個別の高炉での 吹き込み量に注目すると、200kg/tを越える多量吹き込み操業は完全には達成されていない。 コークス需給の関係で特に本技術を優先開発している神戸製鋼の高炉に注目すると 近年 の吹き込み量の推移はFig.1.6のようになる。本図のように吹き込み量は200kg/t付近で停 滞している。また、新日銀君津でも1993年11月にに tで限界に達し、しかも短期的な操業である“‰こ に多量吹き込みを試みているが 0 2 3kg/ れ以上になると、炉下部の圧力損失が 増加、炉頂から未燃焼のチャーが増加するなど、燃焼に起因する問題を生じている。よっ て、多量吹き込みは合理化、コークス炉の生産負荷緩和など かかわらず、技術的な課題が残されている。 様々なメリットがあるにも I.2.2徴粉炭多量吹き込みの特徴と課題  高炉において、熱風は羽目から2001/S以上の高流速で送り込まれ、羽口先のコークスを 流動化させ、いわゆるレースウェイ空間を形成させる。微粉炭を多量に吹き込むためには、 奥行き約1.5mのレースウェイ内における燃焼空間で最大限、燃焼させる必要がある。 Fig. 1.7にレースウェイ内の微粉炭燃焼の模式図を示す。ランスから吹き込まれた微粉炭はこの 熱風中で急速加熱され、急速熱分解し、揮発分を発生する。そして、瞬時に揮発分か着火 し、燃焼を開始する。この間の加熱速度は104-5°C/sに達する15几以降、揮発分燃焼に続 いて、あるいは一部、並列してチャーの燃焼に移行する。また、ガス組成はFlg.1.7に示し たように、酸素は微粉炭燃焼、および流人するコークス燃焼により急速消費されるため、 レースウェイ奥に行くにしたがって、酸素ポテンシャルが急減する。レースウェイ内の燃 5

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lnjectlc!n lance Hot blast Co●l partlcl● Tuyere ● ○ P『●h●●t  →●・・    D●vo㎞1111at10n Uollljlu@oUo3 slo Raceway Combu●tion ol volat11●●   →       Ch●「oxld●t10n

Gasification of unburnt char        ●      C02+C=2CO Unbumtch●「  ● D18tanc● Fig.1.7高炉に吹き込まれた微粉炭のー焼、ガス化挙動 焼帯滞留時間は10ms以下と極めて短かく 高炉条件における微粉炭燃焼の大きな問題は、 この限られた空間における極めて短い滞留時間内で商い燃焼率を達成する必要がある点で ある。燃焼ボイラーなど、一般の工業装置と燃焼条件が大きく異なる。また Flg.1.8に微 粉炭吹き込み量と酸素過剰率(与えられた酸素量と微粉炭がC02、日20に完全燃焼するに必 要な酸素量との比)との関係を示すが 剰率が1.0を下回り 吹き込み量が160∼180kg/t付近になると 酸素過 燃焼速度論的にも不利となる。酸素富化を増せば、酸素過剰率との関 係は有利になるが、一般の製鉄所では酸素プラントの能力から酸素富化は3∼4%程度まで であり、適用に 限界がある。実際に山口らはホットモデルにより 酸素過剰率を大きく麦 更した実験を行い、Fig.I.9に示すように酸素過剰率が1.0以下になると燃焼率は大きく低 下するとの結果を得ている16≒この実験は既存の吹き込み方法による実験結果であり 多 量吹き込みを目指すためにはランスなど、関連する吹き込み技術の新たな改善の必要性を 同時に 示しているものと思われる。 また、レースウェイ内で燃焼しきれない未燃のチャーは高炉下部において、Fig.1.7に同 時に示したようにソルーションロス反応によりガス化される。これらの未燃のチャーは気 流中に同伴され、高炉下部、すなわち固気充填層内を運動しながら反応消費されるが、こ CU

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の反応量は反応速度だけでなく、固気充填層内における滞留時間の両者から決定される。 前述の燃焼量とソルーションロス反応による消費量を吹き込み量が上回ると、炉外へ未利 用のまま、排出される。よって、200kg/tを越える高炉への微粉炭多量吹き込みを実現させ るためには、高炉条件下における徴粉炭燃焼と消費過程の特性を十分に把握して吹き込み 方法の改善を図るべきであろう。 心  ■ W ○一″s﹂sseoxa uaDAXO 2 , 1 6 4 2 0 8 ︽り 1 1 1 1 0 0 0.4

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50 100  150  PCR(kg/t) 200   250   300 Fig.1.8微粉炭吹き込み量と酸素過剰率の関係 (%)A3uen311je uonsnqujoo 100 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8         Oxygenexcessratio(・) Fig.1.9ホットモデル実験による酸素過剰率と燃焼率の関係16) 7

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1 3溶融還元法 1.3.1溶融還元法の意義  既に述べたように、高炉は優れたプ・セスであるが、向流式の移動層であり、ガスの流 れを確保するために、一定の強度を持つ冶金用コークス、鉄鉱石を焼成した塊成鉱の供給 が前提になり、付帯設備としてコークス炉だけでなく、鉄鉱石を焼成するために焼結機も 必要とする。環境問題などから見直すぺき点も多い。現在、これらの問題を解決した新し い製鉄法が望まれ、その有力な方法として、溶融還元法の研究が活発に進められている17) 18)

.Fig,1.10には日本で進められているDIOS法(Direct lron ore Slelting Process)の

概念図を高炉法と対比して示す。本方法は予備還元流動層と溶融還元炉の組み合わせから なる。流動層に鉄鉱石を直接投入し、予熱と予備的な還元を行い、転炉に類似し強攬拝さ れた鉄浴式溶融還元炉に熱源、および還元剤となる一般炭を同時に投入して最終還元を行 い、銑鉄を製造する。特に溶融還元炉では高温の溶融状態で最終還元が行われるため、反 応速度は非常に早く、生産性が向上し、結果的に設備がコンパクト化できる。また、両者 Coal(cokjng coal) Blast fUrnace process      Coke oven

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Coal(steaj71 coal) ‘“‘!!1:: gilli i` smeltin9 reduction Process 昌ごこご8ce 1  分Expoft gas Cyclone ln-bath smeltin9 reduction fumace     lnert gas for rrφbath

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Fig.1.10 DIOS法による溶融還元プロセスと高炉法の比較

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の炉は高炉とは対称的に完全混合に近い集中系の反応装置であり 制御が容易で スター トアップ、シャットダウンもたやすく、弾力的な運転が可能である。流動層における予備 還元率は溶融還元炉との負荷に関係しているが、溶融還元炉で高2次燃焼率と高着熱効率 を実現させ、予備還元率を20∼25%程度として全体系を構成するのが炭材消費量から見て 最も有利であるとされている19≒ 1.3.2予備還元流動層の役割と開発課題  日本の鉄鋼業はその鉄源を豪州、南米など海外に依存しており、その輸入鉱石は、-8mm の粉鉄鉱石、15mm程度の塊鉄鉱石、微粉原料を焼成したペレットに大別される。現在の量 比としては、粉鉄鉱石が70%を占めるが、長期的な原料需給から見た場合でも、安定して人 手できるのも粉鉄鉱石であるとされている。よって、溶融還元法の主要原料としてはこの 粉鉄鉱石が対象となる。その性状は産地によって異なるが粒度範囲はほぼ-8Hであり、調 和平均径として0.15∼0.30mm、見かけ密度は約5.0kg/cm3である。このような特性を持つ粉 鉄鉱石を予熱、還元処理する反応装置としては、シャフト炉は通気性の点で明らかに不適 と考えられ、キルンも熱利用の点では問題を有する。原理的には流動層が最も適す。この ような理由から溶融還元法は流動層と溶融還元炉から構成されるが、同時に流動層に対す る要求課題も派生させている。  流動層は化学、石油プロセスで古くから多用され、関連する研究も非常に多い。近年、 ボイラー用としても流動層燃焼が採用されつつある。製鉄の分野でも、以前より直接還元 の方法として開発が実施され20D 21) 、工業的な成功例としてはFIOR法がある22≒基本的な 設計技術は完成されているが、以下のような本プロセス固有の課題を有する。  溶融還元法における流動層の役割としては、常温で装人される粉鉄鉱石を溶融還元炉か ら発生する高温の還元ガスで予熱、予備還元することにある。処理温度は鉄鉱石特有のス ティキングの防止、反応速度の確保の点から800°Cが現実的である。前述したよう1 こ必要な 予備還元率は20∼25%であり、高還元率達成のための多段化は不必要で、設備構成は簡素と なるが、溶融還元炉との一貫系で還元負荷を絶えず分担しながら運転するため、流動層で は所定の還元率を絶えず保証しなければならない。第2の大きな問題は前述の粉鉄鉱石の 性状にある。一般の流動層は微粉系、あるいは粒度範囲の挟い原料を対象にしているが、 粉鉄鉱石は数mmの祖粒を含み、かつ数0.1mm以下の微粒を約20%程度含む広範囲粒度の密度 の大きい原料系である。すなわち、均一な流動化が得にくい原料が処理対象であり、適正 9

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な操作条件を見いだす必要がある。第3に、溶融還元法から発生したガスは付着性のミス トを含む高含塵ガスであり、この非常にダーティーなガスを流動化ガスとして用いる点て ある。付着性ダストにより流動層分散板の孔の閉塞を招く可能性があり、これらの点を配

慮した設計が必要となる。Flame Smel tingの予備還元の研究を行ったJohnsonらは、高温の

溶融炉からのガスを流動化ガスとして用いると分散板が閉塞し、閉塞を避けた噴流層に近 いガス導入部にすると固気接触が不良になったとの報告をしている23≒ボイラー燃焼で用 いられている循環流動層を用い、分散板構造を簡単化して、これらの点を解決しようとす る試みもある24)-26≒しかし、鉄鉱石を対象にした高速循環流動層自身が基本的に開発途 上であり、また圧力損失、圧力変動など懸念される事象もあり、根本的な解決にはならな い。  以上のように溶融還元法を実現する上で、予備還元流動層に由来する課題も多く、その 特性に合った設計と運転技術の確立が必要と思われる。 1.4本論文の目的と概要  本論文では、今後の資源、環境問題を鑑み、製鉄プロセスにおける一般炭の直接使用を 目的とし、第一に現行の高炉プロセスを対象に、高炉で必要とされるコークスを一般炭に 置換できる技術として高炉への微粉炭多量吹き込み技術を取り上げ、その根幹となる徴粉 炭多量燃焼技術についての研究成果を第2、3、4章で述べる。第2章では、微粉炭の基礎燃 焼挙動を明らかにするために単一粒子の燃焼を直接観察した結果について述べる。第3章で は多量吹き込みを実施する上で重要なランスの設計指針を得るために行った燃焼実験結果、 その結果に基づく微粉炭の燃焼挙動についての新しい知見、ランスの改善効果について報 告する。第4章では、高炉内の未燃のチャーの消費速度を求めるのに必要な高炉下部におけ る未燃チャーの滞留時間について解析した結果を述べる。第二に、全面的に一般炭を利用 でき、コークスから抜本的に脱却できる新プロセスとして期待される溶融還元法の実現の ために重要な意義を持つ予備還元流動層の開発に関する研究成果を第5、6、7章で述べる。 第5章では、予備還元流動層の基本設計条件についての検討結果を述べる。第6、7章では、 その結果に基づいて設計され、実際に溶融還元炉との一貫系で運転したパイロット規模の 予備還元流動層の操業結果とその特性解析、次スケールアップについての考え方を述べる。 最後に第8章では全体を総括する。 10

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19)H.Tanabe,K,Takahash1,T.Ariyama.T.Kitagawa.A.0zekl and M.Yamaga:lronmaklng

 Conference Proc‥(1989).p.89 20)近藤真一:鉄と鋼,60(1974),p.1542

21)T.F.Reed,J.C.Agarial and E.8.Shioley:J.of Metals.12(1960),p.317 22)R.・ Whlpp and H. A.Kulberg:Proc.lronlaking Conference.,44(1985),p.287

)T

Johnson and J.Davidson:J,lron Steel lnst.,(1964),May,p.406

24)国友和也、鈴木悟、林洋一、江頭達彦、山本哲朗:化学工学協会第53会年会要旨集(198

 9)、p.436

25)K.Kunitomo、S.Suzukl、Y.Hayashi、T.Egashira and T.Yamamoto:lronmaklng Conference

 Proc..(1989)、p.55

一 一

(17)

26)佐藤和彦、板谷宏、田口整司:鉄と鋼 78(1992),p.1266

(18)

第2章 微粉炭単一粒子の燃焼挙動解析

 第1章で述べたように、近年、高炉への微粉炭吹き込みは製鉄工程でのコスト低減、原 料炭から一般炭への転換促進、およびコークス炉の寿命対策などの観点から近年、積極的 に推進されている。多量吹き込みも積極的に試みられ、吹き込み量が200kg/tに近い多量吹 き込みも達成されつつある1)z) 。しかし、炉頂ダストの増大など微粉炭燃焼の限界に関わ る問題も顕在化しつつあり3)、今後の研究課題も多い。微粉炭の燃焼挙動についてはホッ トモデルによる炉外燃焼実験、数式シミュレーションなどによりo5)、巨視的な燃焼挙動 の解明は進んでいるが、今後、さらに多量吹き込みなどを目指す上で、高温場における微 粉炭燃焼の基礎的な理解に基づいた理論構築が必要と思われる。このような観点から、本 章では微粉炭燃焼を解析する上で基礎となる微粉炭単一粒子の燃焼挙動に着目した。既に 沈ら6)、屈ら7)により単一粒子の燃焼挙動の観察が、室温下の条件でレーザー光加熱の手 法によってなされているが、周囲の温度条件が高炉とは異なる。本章では層流炉により高 炉の熱風温度とほぽ同じ温度条件の雰囲気に微粉炭粒子を落下させ、高炉への微粉炭吹き 込みに近い急速加熱場における燃焼挙動を高速度カメラによって直接観察した結果につい て述べる。特に、酸素濃度、炭種の影響による単一粒子の燃焼機構の変化について論じる。 2.1実験装置および実験方法 2.1.1実験装置  Flg.2.1に実験装置を示す。電気加熱式の層流炉であり、上方から予熱器を経由して炉内 にガスを供給する。同時に微粉炭粒子を上部のフィーダーより微小量ずつ連続的に切り出 し、水冷された供給管を経て、炉内に落下させる。そして所定の位置に設置された水冷の 粒子採取管により下方から燃焼過程の微粉炭粒子は吸引される。ここで、燃焼粒子を採取 後、ただちに燃焼が停止するように水冷粒子採取管先端からN2を供給し、微粉炭粒子とと もに吸引し、下流部に設けたフィルターで回収した。層流炉内部のガス通過部内径はφ10 0Hである。粒子供鉛管と採取管の距離(L)は100∼500mmと変更可能である。なお、層流 炉による実験はBadziochら8)による徴粉炭の急速熱分解実験以来、数多く行われているが、 3 1

(19)

lmage analizer L Gas O2+N2 → 一 一 100∼  500 mm am!血LI辿旦    ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮’ W ・鴻が     I Partlcle samplin9 Feeder Electric heater  Temperature  1100∼1300℃ 2400 mm Cross section 100 mm Exhaust → Sampling box Fig.2.1実験に用いた層流炉

Laminar flow furnace

High speed camera

−・一一 SHica glllss SIlica  9lass .4」

High speed pyrometer

・0.5ms ・SI ’0.85 /1.0μm Recorder Fig. 2.2微粉炭燃焼の直接観察と粒子温度測定方法 14

(20)

ニの実験炉の特徴は高さ方向にガラススリットを設け、両面の石英ガラスを通して、燃焼 過程の微粉炭粒子の直接観察を可能にした点にある。両面に石英ガラスを設けたのは直接 観察および2色温度計による粒子温度測定時に、背面の熱幅射の影響を避けるためである。 またヒータを高さ方向に3分割して、独立して温度制御を行い、炉内が軸方向で等温(土 5°Cの範囲)になるようにした。 2.1.2実験方法  前述の方法で微粉炭粒子を連続的に上方から炉内に落下させた。その際の測定、観察の 手法をFig.2.2に示す。まず、高速応答の2色温度計(応答時間0.5ms、測定波長0.85、1. 0μm)の受光部を所定の位置に約10秒間固定して、燃焼中の微粉炭粒子の温度を測定した。 この際、複数の粒子通過時の温度出力を記録計で捉え、その応答のピーク値の平均値をそ の位置における代表測定値とした。次に16H高速度カメラにより燃焼粒子を撮影し、現像 後のフィルム上の画像を光学的に拡大して燃焼中の同一の単一粒子の燃焼画像を求めた。 また同一の光学系で1200∼2200°Cの黒体炉の撮影を行い、両者の輝度の比較により撮影さ れた燃焼過程の粒子の温度を推定した。この一連の操作は画像解折櫃を用いて行ったが、 フィルム上の輝度を255等分して、その輝度分布を求めた。 16mm高速度カメラの撮影速度は 5000fpsで、一画面の露光時間は0.02msである。なお、燃焼率は採取した微粉炭粒子の灰分 量を分析し、灰分基準の可燃分消費量として定義して求めた。  実験条件をTable2.1に示す。炉内雰囲気温度は1200°Cとし、ガス流速は4m/sに設定した。 ガス流速は高炉羽目部の条件と異なり低いが、流れの影響を抑制し燃焼挙動観察を容易に するためにこの条件を設定した。また、微粉炭の供給量は粒子毎の干渉を防ぎ単一粒子と しての観察を可能にするため 30g/hと微小にした。粒度は通 常、高炉の微粉炭吹き込みで 用いられているものに近いが、 解析のために予め44∼63μmに 節ったものを用いた。本研究 では、Table2.1に示すような 酸素濃度の条件を設定した。 また微粉炭の炭種は実際に高 Table 2.1実験条件

Temperature

1200℃   /

Gas velocity

4 m/s

Oxygen content

7,15,21,25%

Feed rate

30 g/h

Particlediameter

44^゛63μm

Sampling point

100∼500 mm

15

(21)

炉の微粉炭吹き込みに用い られているA、Cの他に比較 用に低揮発分炭Bの3種を使 用した。Table2.2に各炭種 の工業分析値、元素分析値 を示す。 Table 2.2石炭の工業分析値と元素分析値

Proximate analysis

 (dry base,%) Ultimate analysis(dry base,%)

VM FC Ash C H S N A 33.3 59.3 7.4 76.8 4.7 0.6 1.9 8.7 B 25.8 65.3 8.8 79.3 4.4 0.4 1.9 5.2 C 42.3 54.3 3.4 76.8 5.7 0.4 1.6 12.2 2.2単一粒子の基本的な燃焼挙動  前述のような手法で撮影した単一粒子の連続画像と2色温度計による粒子温度測定結果 をFig.2.3に示す。炭種はA炭で、酸素濃度は15%である。本写真は着火直後を基準とし、以 降の0.6ms、あるいは1.0ms毎の同一粒子の連続写真を示す。本写真は前述のような手法で 画像解析処理されたもので、黄色の部分は1500°C以上、赤色部は1400°C付近の温度域を示 す。この写真からわかるように着火後、粒子の周囲には黄色の高温温度域で表示される火 炎が急速に成長する。微粉炭は高温気流中で急速加熱され、熱分解により生じた揮発分を 粒子周囲に放出し、着火、燃焼を開始するが、粒子表面から離れた位置にその燃焼火炎面 が形成される。その火炎面内では燃料過剰で酸素不足雰囲気になり、炭化水素の熱分解に よるススが発光し、このような輝炎が観察されたと推測される9≒また粒子画像で見る限 り、これら急速加熱場においても粒子の分裂はない。そして着火後、約4ms以上経過すると 徐々に火炎径は減衰する。  次にFig.2.3の右に2色温度計による温度計測値の例を示す。この値は前述の粒子周囲の 火炎の温度を測定しているものと考えられる。ただし、写真観察による粒子の温度推移は 短時間に急変化するが、2色温度計による測定値の動きはやや緩慢である。これは固定さ れた位置で測定された2色温度計の値は複数の重複した粒子温度を測定し、結果的に各粒 子温度推移が平均化されたためによると考えられる。 しかし、2色温度計の測定値は上述 の直接観察に見られる輝炎の生成による粒子周囲の温度変化と傾向は一致する。すなわち、 温度測定値は着火後、揮発分の急速燃焼により急上昇するが、その後、チャーの燃焼域に 移行するとともに雰囲気温度に近くなる。 6 1

(22)

Time(ms)   0 0.6 6 1 2.0 2.6 3.6 4.0 4.6

i・

r ・ ( Distance from  皿- コ ー−●ection `□ ○ ㎜● コ → CoalA(VM 33,3%) Temp.:1200℃ 02 :15% Temperature(℃) 0 ....100 200 300 400  0  0 g︶ ︵ヨヨ︶ 7 1 1200 1400 1500(C 1600

一’  b`一・’ ・ 2.3炭種の影響に関する実験結果        一一一一 −1400℃ -一一1300℃ Fig.2.3単一粒子燃焼の直接観察結果と粒子温度推移 2.3.1炭種変更時の粒子温度と燃焼率変化  炭種を変更した場合の粒子温度変化をFlg.2.4に示す。揮発分の最も高い炭種Cの場合、 供給管より50∼100H付近で最高温度に達している。炭種B使用時には150∼200H付近と揮 発分量によって温度推移が異なる。また、燃焼率変化をFig.2.5に示す。本図からわかるよ うに、燃焼率は揮発分の大きい炭種ほど炉内役人後、速やかに大になり、その後は距離方 向に対しその上昇は緩慢になる。前半の揮発分燃焼時には火炎温度が急上昇し、その放散 熱により微粉炭熱分解が加速されるため、燃焼率が温度の動きに対応して変化していると 推測される。また、燃焼前半の燃焼率上昇の割合は工業分析値の揮発分量より大きい値を

(23)

示しているが、いわゆる急速加熱場の条件による揮発分発生量の増大lo ヤ一燃焼が同時に生じているものと考えられる。 1600 1500 ︵p︶ejnleJadEQト 1400 1300 1200 1 1 00 1000 1 00   80  60  40  20 ︵j︶Aoua!c)!11a uo!lsnqEoo また部分的にチ

り、

( →二]− ●● ■

Coal

Coal

Coal

C (VM (VM (VM 33.3%) 25.8%) 42.3%) i:i●こ、 、... Temp・   02 一 一 1200℃ 21% 100 200 300 500

Distance from injection point (mm)

600 25 50 75 1 00

       Time(ms)

Fig.2.4各炭種の粒子温度推移測定結果

1 25 1 50 Temp・   02 f/ i 畠 ・ ■ − 1200℃ 21%   芦"

 ..・-・-‘゛″"'゛'‘゛" ゛‘゛゛゛ 4 ●ぺ /.葺-・-・-・-・-・-・一世゛゛I ● ・ ● ● ・ ● −c}− Coal -・-・暑-・- Coal −4− Coal ● f ● f l f ● S ● ’ C .,.・‘゛ ‐ (VM (VM (VM 33.3%) 25.8%) 42.3%) 100   200 Distance from

300 400 500

injection point(mm)

600 25    50    75   100        Time(ms) Fig.2.5各炭種の燃焼率変化 8 I 1 25 1 50 JU  D Q B

(24)

VM

△t=lms lmm ぐ500 C H00( 13001t ←

Temp.1200℃

CoalB  CoalA

25.8%  33.3%

02: Fig.2.6各炭種の燃焼挙動直接観察結果 1 2

Coal C

42.3%

2.3.2直接観察による燃焼挙動  各炭種の高速度カメラによる単一粒子の燃焼挙動直接観察結果をFlg、2.6に示す。いずれ の写真もFig.2.3と同様に同一の粒子を対象に着火後の瞬間を基準に以降、lms毎に経時変 化を示したものである。揮発分の高いC炭の場合、粒子温度変化と対応して、着火後、短時 間に火炎は消失し、チャーの燃焼に移行しているのがわかる。また、ここで火炎の大きさ に注目すると、いずれの粒子も着火後、火炎径は成長し、2∼3ms後に最大になっているが、 揮発分の低い微粉炭になる程、火炎径が大きく成長している。例えば、B炭では火炎の直径 19

(25)

は約lmmにまで成長している。ここで火炎経の変化に対し、高温場における徴粉炭粒子の熱 分解に伴う膨張の影響が考えられる。そこで、供給管直後と200mm位置で採取した粒子の粒 度分布をマイクロトラックで測定した。その結果をFig.2.7に示す。本図でわかるようにB 炭が若干、粒度が増大する傾向が認められるものの、特に粒子の膨張などの徴候は見られ ない。また、粒子分裂による大きな粒度変化も生じていない。よって、Flg.2、6の火炎径の 炭種による相違は燃焼粒子の粒度変化ではなく、各炭種による揮発分燃焼の特性によるも のと判断される。 7 − AQuenbejj 0 0 0 0 01a g n N y︲ 0 50 0 0 0 0 4 3 り` 1 ︵z︶Aauanl)aJj 0 CoalB(VM25.8%)L=Omm 1 1 10 10 100 1000 L=200 mm 100 Particle diameter(μm) 1000 50 0 0 0 09 cg N r ︵%︶XQuenbajj 50 0 0 0 0t n N y︲ ︵%)xouanbalj 0 0 E Aouanl)eJj 1 1 10 100 1000 L=200 mm   10   100 Particle diameter(メjm) 1000 7︶AQuanDeJj 50 11 0 0 0 0 0  0 0 0 0 0 4 3 2 1    5 4 3 2 1 0 1 CoaI C(VM42.3%)L= 10 100 Omm 1000 L=200 mm   10   100 Particle diameter (μm) 1000

    L=Distance from injection point Fig. 2.7マイクロトラックによる粒度分布測定結果 2.4酸素濃度の影響に関する実験結果 2.4.1酸素濃度の粒子温度、燃焼率への影響  A炭を用い、酸素濃度を変更して粒子温度変化を測定した結果をFlg.2.8に示す。酸素濃 度が大になるにつれて、最高温度は上昇し、その出現位置も上流側に移る。また、直接観 察結果によると、着火位置も酸素濃度の増加とともに上流側に移行する。特に酸素濃度25 %の場合、移行の度合いが大きいことが認められた。  次に供給管から200、300mm位置において粒子採取を行い、燃焼率測定を行った。 Fig.2. 9に酸素濃度と燃焼率との関係を示す。酸素濃度の増加により全体に燃焼率は上昇する傾向 0 2

(26)

j − 7 7 ‘ が認められる。 -心 -心 で 酸素濃度25%のケースは燃焼率向上の効果やや大きいが の結果のように早期着火の効果も加わったためと推察される。 1600 1500 1400 aJnleJa (luja1 1300 1200 1 1 00 1000 0  0  0  0  0  0  0  08  7  6  5  4  3  2  1       ︵∼︶Aoua!;)!11a uo!1snqEoハ11︶ 直接観察

Oxygen content

    o

25%

6︷

CoalA(VM

33.3%)

Temp.:1200℃

100   200   300   400   500

Distance from injection point (mm)

600 25 50    75   Time(ms) 1 00 1 25 Fig.2.8酸素濃度と粒子温度変化の関係(炭種A) 1 50

CoaIA(VM

33.3%)

Temp.:1200℃

Distance from injection point

△ 200 mm 300 mm 5 1 1 1n

Oxygen

content

20

(%)

Fig.2.9酸素濃度と燃焼率との関係(炭種A) 21 25 30

(27)

CoalA(VM

33.3%)Temp.1200(C

02 △tzlms lmm → ■ ■ ■ ■ − − ﹄ C [ ` . W I

7%

C)七 1400t 1300t

15%

21%  25%

Flg.2.10酸素濃度変更時の単一粒子燃焼挙動変化 4.2直接観察による酸素濃度の影響 高速度カメラによる単一粒子の燃焼挙動直接観察を行った。前述の高速度写真と同様に 着火瞬間を基準に以降、同一粒子のlms毎の経過をFig.2.10に示す。酸素濃度7%の場合は、 Flg.2.8の結果に示す粒子温度が低いため、他の場合のように鮮明な画像が得られなかった が、酸素濃度が15、21、25%と増加するにつれて着火後、速やかに火炎は生成し、成長後、 消失する。15%の場合に火炎が長く持続されているのがわかる。また、その火炎径に注目す ると、画像のやや不鮮明な酸素濃度7%を除き、酸素濃度が15%の場合に最も火炎径は肥大化 する。酸素濃度の増大とともに火炎径は大きく成長せず、相対的に小さいままチャーの燃 焼に移行している。ただし、Fig.2、9の燃焼率麦化からわかるように、この酸素濃度の商い 2 n乙

(28)

条件程、燃焼速度は大きく、 微粉炭の熱分解、それに件う 燃焼の進行が活発である。  次にこれらの火炎の生成径 に注目し、定量的な比較を行 うため、各酸素濃度の条件に おいて火炎が最も成長した場 合の直径を高速度写真から実 測した。各ケースについて20 個の粒子画像についてその直 径を測定した。ただし、酸素 濃度が7%のケースは燃焼温度 60 50 40    0   0   3   2 Aouent)aJj 10 0 0.55 0.65 0.75 0.85 0.95 1.05 1.15 1.25 1.35 1.45 1.55

        

Diameter(mm)

Flg.2.11酸素濃度と火炎径の関係(炭種A)

が低く、明確に火炎が捉えられないため除外した。その測定結果をFig.2.11に示す。正規 化した頻度として示すが、酸素濃度が15%時には1.35mm付近に最大値があるのに対し、21、 25%となるにつれ、それぞれ0.95、0.75㎜と火炎径は縮小する傾向にあることが明らかにな った。 2.5単一粒子の燃焼機構に関する考察        −---−---−−--- 微粉炭燃焼機構と炭種、酸素濃度の関係について次のように考察した。既に述べたよう に、粒子周囲の火炎は微粉炭の急速熱分解により放出された揮発分の燃焼により生成した と考えられるが、この火炎径の大きさが燃焼条件によって異なることに注目した。揮発分 を構成する炭化水素の燃焼速度には酸素分圧が影響する11)。よって燃焼火炎面の位置は揮 発分の燃焼速度と周囲の酸素濃度との関係により決まると予測される。すなわち、熱分解 による揮発分放出速度に比べ、周囲の酸素濃度が低く炭化水素の燃焼速度が小さい場合に は、その消費が遅れ、火炎径は成長し火炎面は粒子表面から離れた距離に位置する。また 酸素濃度が高く炭化水素の燃焼速度が大の場合、火炎面は粒子表面に接近すると考えられ る。この模式図をFig.2.12に示す。すなわち、周囲の酸素濃度によって、本図のように燃 焼火炎面の位置が変化する。  さらにFig.2.12に示すように、火炎面では炭化水素が燃焼消費されることにより燃焼熱 3 2

(29)

Flame Products ・aEa1 パ︶’﹂OQ Coal particle Heat Flame 「 Flame Products ・aEa1 パ︶’﹂OQ

       「

a」Low

oxygen

content

Fig. 2. 12単一粒子燃焼のメカニ Coal particle Heat Flame 「        「 b」High oxygen corlterlt

ズムと酸素濃度の影響 が発生し、Lauらの報告にあるように12)、火炎面が粒子表面に近ければその熱は幅射の効 果により粒子に伝達されやすい(Fig.2.12(b))。よって、酸素濃度が大の場合、燃焼熱が 粒子に活発に伝わり、その熱はさらに微粉炭の熱分解を促進し、結果的に燃焼串を増大さ せる。一方、Flg.2.12(a)のように火炎面が粒子表面から離れた位置にあると、火炎面での 燃焼熱はガス中に放散しやすく、その粒子の燃焼向上には寄与しにくい。また、炭種の影 響に関しては、高揮発分炭Cでは、Table2.1からわかるようにH/C値が高いため、揮発分燃 焼速度自身が大になり し 酸素濃度の大きい場合と同様な効果が生じたと考えられる。ただ 揮発分の放出速度の観点からは合致しない点もあり、急速熱分解時の炭種による揮発 分噴出機構の影響など12)、微視的な他の要因についてもさらに検討を要すると思われる。 また、いずれの場合でも揮発分燃焼の末期では、熱分解速度自身が急速に低下し、チャー の燃焼主体の表面燃焼に近くなるため状況は異なる。 以上の現象は、層流拡散炎の条件における単―粒子の燃焼の観察に基づくものである。 しかし、微粉炭吹き込み高炉の羽目部においても、粒子群を単位とした類似の現象が生じ、 粒子の分散が良好でなく微粉炭の空間個数密度が大きいと、その周囲に酸素不足下の領域 が成長し、燃焼の進行に影響を与えることが推測される。ただし、単一粒子の火炎径の麦 化に見られるように、粒子周囲の酸素濃度によって、その影響度は異なると考えられる。 4 (N

(30)

| | | | i l また 粒子の分散を高めることにより と予測される。 2.6結論    一一 層流炉を用し 粒子群の干渉が減じ 燃焼性の向Lが期待できる 高速度カメラによる単一粒子の燃焼挙動の直接観察を行った結果、次の 結論を得た。 1)微粉炭粒子の着火後、揮発分燃焼とともに粒子周囲に酸素不足の領域からなる輝炎が急 成長する。同時に、粒子温度は大きく変化する。 2)粒子周囲に生成する火炎の径は揮発分量、酸素濃度によって異なる。また、火炎面での 発生熱が微粉炭熱分解の熱供給源となっていると予測され、その生成位置の相違が燃焼率 の変化に大きく影響している。 3)微粉炭の多量吹き込み時のように空間内の粒子個数密度が大きい場合には、粒子周囲の 酸素不足下の領域が干渉し、燃焼速度に影響する可能性がある。 4)微粉炭の吹き込み方法としては、燃焼性の向上を図るために、粒子周囲の酸素濃度を高 く維持すること、粒子間相互の距離を大きく取り粒子群相互の干渉を緩和するような吹き 込み方法を取るべきである。 参考文献 1)柿内一元、松永伸一、坂本愛一郎、松岡裕直、上野浩光、山口一良:材料とプロセス 9 1 ぐ7 94)、p.126 2)北野新治、中矢 尚、山形仁郎、奥田哲央、柴田耕一郎、後藤哲也、伊藤良二、矢場田  武:材料とプロセス、7(1994)、p.124 3)山口一良、松永伸一、上野浩光、柿内一元、天野  p.954 j 4 繁:材料とプロセス、7(1994)

K.yamaguchi,H.Ueno,M.Nalto and K.Ta【lura:ISIJ lnt

5)埜上 6 )沈 洋、三浦隆利、古川 武:鉄と鋼 9 1 ぐ8 7 3 1(1 92)、p.1222 991).p.677 峰満、稲田隆信、山本賢作、岩永祐治:鉄と鋼、80(1994)、p.1 7)屈 明昌、石垣政裕、徳田昌則:材料とプロセス、6(1993) p 8 I 9

8)S.Badzioch and P.G.W.Ha習ksley:lnd.Eng.Chem.Process Des.Develop‥9(1970),p.521

(31)

9)斉藤正浩、定方正毅、佐藤正之、佐賀井武:化学工学論文集、13(1988)、p.451

10)H.Kobayashl、j.B.Howard and A.F.Sarofim: 16th SyⅢp.(lnt.)on Combustion、(1976)  p. 41 1

11)L.D.Sloot and D.T.Pratt:Pulverlzed Coal Combustlon and Gasiflcatlon.(1979)、  p、178[Plenul Press、New-York]

12)C.W.Lau and S.Niksa:Combustlon and Flame、90(1992)、p.45

13)大竹一友:高炉下部における移動現象(充填胴中の気・固・液移動現象部会報告書)、  (1992)、p.5[日本鉄鋼協会・特定基礎研究会 充填胴中の気・固・液移動現象部会]

(32)

| 1 | | | 1 1 1 i

第3章

高炉羽目部における微粉炭燃焼

挙動と吹き込みランスの影響

高炉を対象にした徽粉炭燃焼実験は微粉炭吹き込みの普及とともに、Bortzら 鈴木ら ゛Iによる空筒炉による実験、宮崎ら3帽こよるコークス充填層による実験を始めとして数多 くなされている4)一12) 。これらの研究により 炭種と燃焼率との関係、送風温度、微粉炭 粒度の影響など吹き込み条件を設定する上で必要な基本操業条件は明らかになっている。 例えば、宮崎ら3)によるとレースウェイ内燃焼率は吹き込み量40∼100kg/tの範囲内では7 0%以上確保できるが、最終的な燃焼率には揮発分の影響が大きいなどと報告されている。 ま た、送風温度が1100°C以下になると、燃焼率低下が顕著になる -‰= となどが明らかになっ ている。 Gudenauら8)は送風も含めた持ち込み酸素と石炭中のカーボンとのモル比、O/Cに 特に着目し、この値と燃焼率とは一定に関係にあるとし、炭種選定、酸素富化条件に指標 を提示している。近年に なると 多量吹き込みを意識した研究も増え、例えば山蒜ら13)は コークス充填層の実験をもとに、200kg/t吹き込みの操業条件を探索している。ただし 具 体的な手段にまでは言及していない。田村ら14)15)は燃焼実験により吹き込み限界の示唆 とともに羽目付近に生じる灰分蓄積の問題も指摘している。このように、多くの研究がな されているが、従来の研究は操作条件と結果との巨視的な把握に重点を置き、従来の操業 対象としてきた範囲では有効ではあるが、これまでにない多量吹き込みの方策を見いだす ためには必ずしも十分ではない。  また、微粉炭吹き込みの方策を検討するために数式モデルは有効な手段であるが、精度 の高いモデルを構築するためには微粉炭の燃焼機構自身が明確でなければならない。従来 の微粉炭燃焼のモデル化など16)17) 燃焼挙動に注目すると、基本的にはランスから吹き込 まれた微粉炭は断面内で均一な流れを取っているなど、単純化した考えによるものが多い。 しかしながら羽目からレースウエイ内に至る場は高ガス流速の条件であり、ランスから供 給された微粉炭の挙動は前述の扱いとは異なることが予測される。 今後、微粉炭多量吹き込みを指向する上で、高炉条件下における徴粉炭燃焼の本質的な 挙動を把握して技術改善の方向を見いだす必要があると思われるが 現在では実測例が不 足し、実態に基づいた知見が十分ではない。実炉の羽目後方からの直接観察の事例18)はあ 7 2

(33)

| dl | i l 1 1 1 − ︱ ︱ るが、燃焼過程の十分な解析にまでは至っていい。そこで本章では、高炉燃焼場に近い条 件でランスから吹き込まれた直後の空間部における徽粉炭燃焼に注目し、高速度カメラに よる燃焼場の直接観察を行い、徴粉炭流れ、燃焼過程の解析結果について述べる。さらに 吹き込みランスの配置の影響など、微粉炭吹き込み方法の改善方法についての検討結果を 報告する。 3.1実験装置および観察手法        一一  本実験に用いた装置をFig.3.1に示す。本装置はコークス充填層とブローパイプ部から構 成され、羽口1本のホットモデルである。羽口径はφ65mm、プローパイプ部内径はφ90mm である。また高温熱風はLPGを燃焼させたガスに所定の酸素を混合し、濃度調整してブロー パイプ部に送った。ブローパイプ部の詳細をFig.3.2に示す。ブローパイプ部には吹き込み ランス挿入と粒子サンプリング用の孔が上下方向に300mm間隔で設けられており、今回の実 験では吹き込み直後の空間部における燃焼挙動に注目したため、このブローパイプ部を用 いて燃焼実験を行った。また、微粉炭燃焼の直接観察と2色温度計による温度測定を可能 にするために、Fig.3.2の平面図に示したような観察孔(孔径40mm)を水平方向に150mm、 ないし300mm間隔で設けた。この観察孔は背面の影響を避けるため対称に設けてある。これ らの観察孔を介して、16mm高速度カメラによる燃焼場の直接撮影、2色温度計による温度 測定を行った。 16H高速度カメラの撮影速度は5000fps、各コマの露光時間は2.5μsであ る。撮影現像後のフィルムは画像解析機にかけ画面の明暗度を255分割し、ほぼ同一の光学 系で撮影された黒体炉の撮影結果との参照により燃焼場の輝度温度分布を求めた。2色温 度計は燃焼にともなう瞬間的な温度変動に対応するため高速型(応答時間0.5ms、測定波長 0.85、1.0μm)を用い、測定面での視野径を5mmと絞り、測定温度変動のピーク値の時間平 均値を測定データとして用いた。  主要実験条件をTable3.1に示す。吹き込みランスの条件として、上方から1本で吹き込 んだ場合をシングルランス、上下対称位置の2本で吹き込んだ場合をダブルランスとした。

微粉炭吹き込み量は酸素過剰率(oxygen excess ratio)に換算して1.03、0.78の2水準で

あり、表中に示すように各々、実高炉の微粉炭吹き込み量(PCR)150、200kg/tにほぼ相当す る。なお、以下の説明では後者のkg/tの数字を用いた。キャリアーガスとしてN2を用い、 いずれのランスもランス先端の吹き込み速度は15m/s、固気比は200kg/tの条件で11とした。

(34)

E l l Exhaust Probe

Tuyere diameter : 65 mm

Blow pipe diameter:90

mm

Fig. 3. 1微粉炭燃焼実験ホットモデル

Observation hole

500 mm

 Hi hs eed two-color  rometer [匹召雨痘]

-Hot blast

Omm

Fig.3.2ブローパイプの構造と測定方法

(35)

| i | | | | | 1 Table 3.1ホットモデル実験条件と使用炭種工業分析値 Gas volume Blast temperature

Gas velocity in blow pipe Coal injection rate

oxygen content

oxygen excess ratio PCR Size distribution of PC 350 Nm3/h 1200℃ 82 m/s 48 ,65 kg/h 21% 1.03,0.78 150 ,200 kg/t −74μm,80% 3.2直接観察による徴粉炭燃焼挙動 3.2. 1 高速度写真による燃焼場の直接観察  微粉炭燃焼場の基本特性を観察するために、シングルランスを用い、ランス先端から15 0、300、600、900mm位置の観察孔から16mm高速度カメラによる撮影を行った。その後、既 に述べた画像解析の手法で微粉炭燃焼場の観察、温度解析を行った。微粉炭吹き込み量は 200kg/t相当である。画像処理後の写真をFig.3.3に示す。本写真に撮影されている画像は 微粉炭粒子群の輝炎である。微粉炭粒子の近傍では石炭より放出された炭化水素が熱分解 し、生成したススが火炎中で発光し、輝炎を形成していると考えられる19)20) 。本画像解 析による黄色部の領域は約2000°Cに、赤色部は約1800∼2000°Cの温度領域に相当し、青色 部はバックグラウンドである。よって上記の黄色、赤色部に相当する領域では微粉炭燃焼 域が存在し、その周囲の青色部には、微粉炭は存在しない。  Flg.3.3によると、ランスから150、300mmの位置では微粉炭燃焼輝炎は観察孔のやや上方 に存在し、微粉炭の流れは観察孔内に一様に広がっておらず、空間的に不均一な状態で燃 焼が進行している様子が観察される。またランスから600、900mmの距離になると微粉炭燃 焼域は比較的、観察孔全面に均一に広がっている。すなわち、微粉炭はランスから出た直 後、瞬時に断面方向に広がらず、軸方向の流れにともない徐々に拡散している。 次に高 速度写真の各コマを連続的に見ると、微粉炭燃焼による輝炎の生成に時間変動か観察され た。すなわち、微粉炭は連続体ではなく、断続的に流れていると考えられる。詳細は次節 で述べるが、このような時間変動は周期が極めて微小であるため、微粉炭供給装置の特性 30

(36)

l i | | |

’Single lance

月−

900mm 2000℃ 1800℃ -一一1500℃ Lz 20mm 150mm 300mm 600mm Flg.3.3直接観察によるブローパイプ内微粉炭燃焼状況      (PCR:200kg/t、L:ランスからの距離) ではなく、ランスから空間部に微粉炭が解放される際に生じる微粉炭流れの本質的な現象 と推測される。このように、ランスから吹き込まれた直後の空間部における微粉炭燃焼は、 空間的、時間的に不均一な状態で進行すると判断される。 3.2.2 ランスの燃焼挙動へ及ぼす影響  ランスから吹き込まれた微粉炭の流れは前述の観察の結果のような特性を持つため、微 粉炭燃焼域はその出発点を規定するランス配置の影響を受けると考えられる。そこでラン スを複数化したダブルランスを用い、シングルランスとの比較を行った。観察手法は3.2. 1と同様でランスから300、600、900mm位置において高速度写真撮影を行い、両者の比較を 行った。写真による対比をFlg.3.4に示す。シングルランスでは300∼600mmまで局所的に偏 在した微粉炭流燃焼場を示しているのに対し、ダブルランスでは初期から輝炎が観察孔上 下方向に広がっており、比較的、均一な燃焼場を形成しているのがわかる。  次に、両者のランスにおける連続写真に注目し、時間的な輝度変動の特性を観察した。 ランスから300mmの同一位置で0.2ms毎の写真をFig.3.5に示す。黄色の部分が輝炎高温部を 示すが、シングルランスではその出現が間欠的であるのに対し、ダブルランスでは連続的 に近い。さらにこの現象を明瞭に比較するため、各コマの平均輝度を画像解折櫃で数値化 し、一連の操作における最高値を基準とした相対変化として、輝度の微小時間変動を求め た。ランスから300、600mmの位置における出力結果をFig.3.6に示す。縦軸は相対的な輝度 であり温度に対応する。まずシングルランスの場合、ランスから300mmの位置では相対輝度 の上下変動か激しく、数ms毎にピークが出現している。これらの変動は微粉炭粒子群の間 1 3

(37)

0.8ms Ia 1 Ib く

Sin9le lance

Double

lance

Lz 300mm 600mm 900mm Flg. 3. 4 直接観察によるシングルランスとダブルランスの比較      (PCR: 2COkg/ t、L:ランスからの距離) く

a)Single lance

I b く

Double

lance

time

Oms 0.2ms 0.4ms 0.6ms Fig.3.5高速度カメラによる微粉炭燃焼火炎の変動(ランスからの距離300mm) 32

(38)

欠的な通過に対応していると考えられる。なお、この変動の周波数解析も行ったが、ラン ダムな変動であり特定の周波数は認められなかった。一方、ダブルランスでは同一位置で も比較的輝度の変動か滑らかであり、その平均レベルが高い。よってFig.3.5の写真観察の ように時間的に均一で、より高温の燃焼場が形成されていると判断される。また600mm位置 で比較すると、両者の差異は小さくなり、傾向は類似している。すなわち、ランスから離 れると、乱流場におけるガスの乱れが微粉炭粒子群の時間変動に支配的になり、ランスの 影響は薄れていくものと推測される。  以上の結果より、ランス先端から300∼600mm位置までは、徴粉炭流れの初期条件を決定 するランス構造が以降の微粉炭の断面での均一性に影響する。出発点を複数化したダブル ランスの方が、空間的に均一な燃焼場を作りやすい。さらに本ランスの方が、二つのラン スの吐出流の相互作用により、脈動現象として見られる時間的変動も緩和されやすい傾向 にあると推測される。  なお、シングルランスの場合の輝炎の位置に注目すると、微粉炭の主流がブローパイプ 断面中心にくるようにランスを設定したにもかかわらず、ランスから、150、300mm位置で はいずれも観察孔上方に輝炎が存在している。微粉炭は偏在した燃焼粒子群を形成するた め、断面方向でバルクのガスとに温度差を生じ、浮力の効果でこのような状況が観察され たと考えられる。

        Single lance       Doublessaulq6!Jq lance

aA!lelaU SseulLI l)!Jq eA!1eleU 150 100 50 0 1 50 100 50 1 1 0 0 1 10 20 20 30 30 50 00 50  0 150 1 00 50 0 0 0 0 1 0 1 20 20      Time(ms)      Time(ms) Flg. 3.6微粉炭燃焼火炎の輝度変動(L:ランスからの距離) 3 3 30 30

(39)

3.3 燃焼率、温度変化測定結果 微粉炭流れの特性が燃焼性にも影響すると考えられる 600 4 3 900 1200 0 0 2 徴粉炭燃焼の直接観察結果から そこでサンプリング孔からの粒子採取による燃焼串の測定、観察孔からの高速2色温度計 による燃焼場の温度測定を行い、ランスなど吹き込み条件との対比を見た。なお、粒子・採 取プローブは水冷3重管を用い、燃焼停止のためプローブ先端からN2を吹き込んだ。燃焼 率は、微粉炭中の灰分を基準とした可燃分の消費率として求めた。吹き込み量は150 kg/t相当の2水準である。燃焼率の測定結果をFig.3.7に示す。全体の動きとして、吹き込 み位置から600Hまでの領域で燃焼率は速やかに上昇している。この範囲では輝炎の生成に 見られるように、 される。 2種類の 微粉炭の熱分解にともなう揮発分燃焼が燃焼の主体となっていると推測 ランスの比較では、ダブルランスの場合、シングルランスより燃焼前半 で燃焼率は急上昇し、600mm位置で燃焼率は約60%に達しているのに対し、シングルランス では同一位置で燃焼串は約40%にとどまっている。以降、燃焼率の変化は緩慢であり、チャ −の燃焼域に移行していると考えられる。結果的にこの領域では両者のランスの燃焼率は 平行した動きになっている。また両者のランスともに吹き込み量の影響は明確ではない。 全体として、300㎜付近で揮発分燃焼の領域でランスの影響が現れているのがわかる。  高速2色温度計による測定結果をFig.3.8に示す。本測定結果はFig.3.3の写真から観察 されるような輝炎の温度を示していると考えられる。すなわち、バルクのガス温度ではな 7︶Aoua!;)!11a uo!lsnqEOQ 1 00 60 40 20 300

Distance from lance (mm)

(40)

凋 I ・ − - − w 十 | ぺ p W eJnleJadEQ﹂’ 2400 2200 2000 1800 1600 Blast temp.: 1200℃

Double lance

………Single lance

o PCR : 200 kg/t ムPCR : 150 kg/t  0      300     600     900       Distance fromlance(mm) Flg.3.8高速2色温度計による温度測定結果 1200 く、粒子群近傍の火炎帯の温度と考えられる。微粉炭吹き込み量の影響はやはり明確では ないが、ダブルランスの場合、ランスから300n]m位置で瞬時に約2100°Cの最高温度に達して いるのに対し、シングルランスではピーク位置が600mmの位置と温度上昇が遅い。以降は、 両者ともにバルクのガスに、熱を与えることにより温度は徐々に低下している2o。  よって、ランス先端から300∼600mm付近までの領域では、Fig.3.3-5の高速度写真で観察 されたような微粉炭流れの空間的、時間的な均一性の差異が燃焼性の大きな支配要因とな っていると考えられる。 3.4微粉炭の燃焼機構と燃焼性評価に関する考察 3.4] 微粉炭の燃焼機構  以上の結果から微粉炭の燃焼機構を次のように考察した。、ランスから吹き込まれた微粉 炭流れと酸素消費の関係は模式的にFig.3.9のように表せる。シングルランスの場合、徴粉 炭は流れとともに徐々に断面方向に拡散する。よって、Fig.3.9(b)のように局所的に微粉 炭濃度が高くなる。微粉炭が急速熱分解し、揮発分の燃焼が開始すると、微粉炭粒子近傍 の酸素は急速に消費される22)23‰粒子群の周囲から酸素が供給されるが、ブ・−パイプ および羽口内においてガスは拘束された空間での一方向流れであり、断面方向での酸素の 拡散効果には限界があると考えられる。そこでシングルランスのように局所的に微粉炭相 35

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