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hansha kosoku denshi kaisetsuho ni yoru kagobutsu handotai hyomen no kozo kaiseki oyobi hakumaku seicho doteki katei no hyoka

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(1)

l,I・稲田大学審査学位論文(博士)

反肘高遮言子回折快

y− ` 心ぶ

蒜鮮UT守 ??一応ンこ

成長動的過程の司祭

」 /´ -`心 S1 1︶ 爪 ご ︵ ご ︶ 1 一  -一 ♂ ● −㎜ − 一一 』Ξ. −一一 ノ= − y ︶  'fi lコ ノjW き・ひ包 M-・二‘ 回心−  X. こX

(2)

  反射高速電子回折法による

化合物半導体表面の構造解析および

  薄膜成長動的過程の評価

  早稲田犬学大学院理工学研究料

資源及び材料工学専攻・薄膜材料学研究

犬 竹 晃 浩

1996年3月

(3)

第1章 序論

 1-1.はじめに

1-2.本研究の目的

1-3.本論文の概要

第1章の参考文献

第2章 反射高速電子回折法

 2-1.はじめに

 2-2.RHEEDの基本原理

  2-2-1.二次元結晶からの回折

  2-2-2.バルク結晶表面での回折

 2-3.RHEEDの動力学回折理論

  2-3-1.動力学的回折理論の必要性

2-3-2.1chimiyaの方法  (a)基本方程式  (b)muユti-slice法  (c)吸収の効果  (d)適正な結晶の厚さとスライス数 2-3-3.構造解析の実際   (a)一波条件   (b)構造解析の手順 2-4.RHEED強度振動 目 I 1 2 3 ″ ︲ D 6 6 8  8 10 4 1 14 Lr︺0 1  1 Q  O 1  り乙 C09 CON 24 4  7 2  ︵ソ`

(4)

 2-4-1.運動学的(一回散乱)近似  2↓2.動力学的(多重散乱)近似  2-4-3.ステップエッジでの散漫散乱 第2章の参考文献

第3章 RHEED

rockingcurveを用いた

       lnSb{1川表面の構造解析

3-1.はじめに 3-2.実験方法  3-2-1.実験装置  3-2-2.実験方法 3-3.結果と考察 3-3-1.Si(111)-(7×7)表面からのrocking cul‘ve 3-3-2,1nSb{1n}A,B清浄表面 3-3-3.1nSb{1n}A,B表面の構造解析  (a)lnSb(n1)A-(2×2)  (b)lnSb(n1)B・(2×2)

3-4 結論

第3章の参考文献

只︶  0 COyD O  Qり 3  Qリ ″’0 ﹃︰﹄ 7  7 R g c'y'3 39 40 40 2  4 4  4 44 49 CX︶ Q LO  Q

第4章 lnSb{n1}表面上におけるESn薄膜の動的成長過程 61

4-1.はじめに

4-2.実験方法

4-3.結果と考察

1  2 C  Q 62

(5)

4-3-1.Sn成長の動的過程に及ぼす基板表面原子配列の影響 4-3-2.Snノ7lnSb(111)B系におけるSb表面偏析 4-3-3.Snの成長形態とRHEED強度振動のメカニズム 4-3-4.Sn成長の律速段階

4-4

.

結論

第4章の参考文献

第5章 結論

謝辞

研究業績

り`  7 4]p 4  0  4  ″`り 7  只︶ Q︰︶ 只︶ 87

(6)

一 一 ・ ・ − − . . 一 一 一 一 一 一 一 一 .   - .

1章 序論

弟j 膠 ノ荊泄 レ1.はじめに   望みの特性を持った材料を原子レベルで制御しながら作製しようとする試みが手に届くところ にきている。それを可能にしたのは、分子線エピタキシー法(molecular beam epitaxy; M:BE)や有 機金属気相成長法(metal organic chemical vapor deposition;MOCVD)などに代表される結晶成長 法である。さらに、ごく最近では、例えば走査トンネル顕微鏡法を利用して原子一個一個を自在に 操つるアトムテクノロジーといったものまでが、夢物語から、徐々にではあるが現実のものへと向 かいつつある。   薄膜成長は、吸着、拡散、核形成といった基板表面上での様々な過程とともに進行する。した がって、薄膜成長の素過程を原子レペルで追跡、制御するためには、まず、対象となる基板物質の 表面を、構造、組成、電子状態といったあらゆる角度から、weU-denned(素性が明らか)なもの とすることが必要である。よく知られているように、表面では、表面垂直方向への結合が切断され ているため、しばしば、その内部(バルク)がそのまま露出したもの(理想表面)とは異なる構造 が現れる。表面再配列はその典型的な例であり、ほとんどの半導体表面上で起こることが知られて いる。このように再配列を起こした表面上での吸着原子の振る舞いは、当然、理想表面上でのそれ とは異なることが予測される。実際、基板表面上での吸着過程は、基板表面の原子配列に強く支配 されて進むということには疑問をはさむ余地がない。しかしながら、吸着、拡散、核形成といった 薄膜成長の一連の過程に及ぼす基板表面原子配列の影響についての研究は、これまでほとんど現象 論の域を出ていない。これは、Si(1n)-(7×7)やlnSb{111}A、B-(2×2)に代表される一部の物質表面 を除いては、その再配列構造が明らかにされていないということと大いに関係している。

  表面原子配列を決定する手法としては、低速電子回折法(1ow-energy eleetron d迢raction; LEED)が長く主流であった。これまでに提唱された表面構造モデルの多くは、LEEDの実験結果に 基づくものである。例えば、1991年までに研究の対象とされた表面系が約600ある内、LEEDが用 いられたものの数は、半数以上の324にも達する[1]。透過電子顕微鏡法(transmission electron

microseopy;TEM)と同時に発展を遂げてきた透過電子回折法(transmlssion electron dぜ£raction;

(7)

._._..−     k 第1章 序論 TED)も、最近、表面構造解析に対してきわめて有用であることが認識されつつある。この手法の場 合、高速電子の試料表面層のみでの散乱を考慮すればよいため、LEEDとは異なり、回折強度をX線 と同様な運動学的回折理論(一回散乱近似)に基づいて取り扱うことが可能であることが大きな特徴 となっている。 Takayanagiらは、この手法を用いて、Si(111)-(7×7)表面に対してDAS((hmer-adatom-stackingfau.Lt)モデルを提唱し[2]、大きな注目を集めた。

  上記電子回折法の仲間である反射高速電子回折法(renection high・energy electron d迢raction; RHEED)は、歴史的には、これら二つの手法とほぽ同時期に誕生したにも関わらず、独自の発展を 遂げてきた。この手法はMBEと組み合わせて使用することが容易であることから、MBE成長の" その場"観察に適しており、現在では、ほとんどのMBE装置にはRHEEDが装備されているのが普 通である。薄膜成長過程の観察手法としてのRHEEDにはいくつもの利点かおるが、中でも、 Harrisらによって1981年に発見されたRHEED強度振動法[3]はその最大のものであろう。これは、 薄膜が層状に成長する際に、その1原子層堆積の過程でRKEED強度が振動するというものである [4]。そのメカニズムには未だ不明な点が多いものの、この現象を利用することによって、MBE成 長過程を一原子層レペルで制御することが可能となった。現在では、この振動法による評価は各種 半導体超格子の作製に際し欠かせないものとなっている[5、6]。   一方、表面構造解析手法としてのRHEEDは、LEEDやTEDと比べた場合、それらの後塵を拝 しているとの感は否めない。にもかかわらず、RHEEDは、表面垂直方向の原子配列にきわめて敏 感であることから、最近では、表面垂直方向の原子座標に関する情報を得るための手法として積極 的に利用されるようになってきている[7-9]。RKEEDを用いてのこの種の強度解析とRHEED強度 振動法の組み合わせは、薄膜成長のダイナミクスに対する理解をより深いものにできると考える。

1-2.本研究の目的

  本研究では、(i)動力学的回折理論に基づいたRHEEDの強度解析によって表面垂直方向の原子 座標を決定し、(ii)その座標の確定した表面上での薄膜成長過程をRHEED強度振動法を用いて動的 に観察することにより、基板表面の原子配列が薄膜成長に及ぼす具体的な影響を明らかにすること を目的とする。基板物質としては、化合物半導体の一つであるlnSbの{1n}A、B-(2×2)表面を取り 2

(8)

弟y前堺冶 。ヒげる。lnSbやGaΛsに代表されるHI-V族化合物半導体の{111}表面には、III族原子によって終端さ れた(111)A[缶とV族原子によって終端された(111)B面があり、このような表面は極性表面といわれ ている。これら極性表面では、基板温度、表面組成に依存して様々な再配列構造の出現することが 知られている。その中で、bSb(n1)A-(2×2)、B、(2×2)表面に対しては、それぞれ、全反射x線回折 法とTEDの実験結果に基づいて、ln-vacancy buckling構造((1n)A面)[10]および、Sb-trimer構造 ((1n)B面)[n]が提唱されており、現在、広く認められている。しかし、その表面垂直方向に関す る原子座標は未だ決定されていない。そこで、著者は、RHEEDカベ?れに関する高い精度での情報 を与えることに着目し、RHEEDのrockir嘔curveの解析を通して、当該物質の表面垂直方向の原子 座標を決定することとした。このことは、今後、これらの基板表面上での異種原子の吸着状態を種々 の計算機シミュレーション法を用いて電子論的に評価する場合、そのモデル設定をより適切なもの にするのに大いに役立つ。   次に、表面垂直方向の原子座標を含めて素性の明らかとなったlnSb{1n}A、B-(2×2)表面上で のa-Sn薄膜の成長過程をRHEED強度振動法とオージエ電子分光法を用いて評価する。 kSb{n1}A、B-(2×2)表面の構造解析を通して得られたRHEED強度の定量的評価に関する知見に基 づいてRHEED強度振動プロファイルを解析できるという点が、本研究の大きな特色となっている。 なお、成長物質としてESnを選んだ理由は、lnSbとα、Snが、それぞれ、閃亜鉛鉱型構造とダイヤ モンド型構造という類似の結晶構造を持ち、さらに、両者の格子整合性は、ヘテロ系においては例 外的に、きわめて良好である(格子不整合∼0.17%)という点にある。

1-3.本論文の概要

  本論文は、第1章 序論、第2章 反射高速電子回折法、第3章 RHEED roeking cujrveを用 いたkSb{n1}表面の構造解析、第4章 lnSb{n1}表面上におけるこESn薄膜の動的成長過程、第 5章 結論、の各章から構成されている。第2章以下、順を追って概要を述べる。   第2章では、本研究で中心的な解析手法として用いたRHEEDについて、第3章および第4章 での解析にそれぞれ中心的な役割を果たしているRHEEDの構造解析法(2-3節)とRHEED強度振動 法(2-4即に重点を置いて述べた。特に、2-3節では、RHEEDにおける動力学的回折理論の必要性お 3

(9)

       ■ ㎜ ■ ■ ㎜ ■   ■ ㎜       . . _   − 第丿章ノ異誕 よび、本研究で用いたlchimiyaの方法(multi、slice法)[12]について詳しく説明した。   第3章では、RHEEDを用いて、kSb{n1}A、B-(2×2)表面の構造解析を行った。本研究では、 電子線の入射方位を晶帯軸方向から数度ずらすことにより、表面垂直方向の原子座標に関する情報 のみを抽出した(この条件を一波条件という[7D。構造解析の結果、lnSb(111)A表面においては、 最表面のln原子層が、理想表面のそれと比べて約0.8Å程度バルク側へ変位していることが明らかと なった。この変位の割合は、GaAs(111)A-(2×2)のGa-vacaney buckling構造[13]のそれとほぽ同程 度である。一方、kSb(n1)B表面においては、(i)Sb-trimerがhSb(1n)B基板から約2.0Åの高さ に位置すること、(ii)Sb-trimerの直下の原子が表面垂直方向に関して大きく変位していること(約 1.2Å)が判った。このような一波条件下でのRHEED強度解析は、本研究ではじめて化合物半導体表 面の原子配列の決定に用いられたものである。   第4章では、原子配列の確定したlnSb{111}A、B-(2×2)表面上でのa、Snの成長過程をRHEED 強度振動法を用いて動的に観察した。バルクのBragg反射を強く励起しない視斜角(222 on、Brag9条 件)で電子線を入射した場合、以下に示すように、Sn成長腹鼓表面の幾何学構造に及ぼす基板表面原 子配列の具体的な影響が明らかとなった:(a)lnSb(111)A上の場合、Snは、その成長初期に基板の

ln-vacancy buckling構造の -vacancyサイトに優先的に吸着することによって表面をより平坦化し、 その後、二原子層(BL)周期で層状に成長した。(b)lnSb(111)B上のSnは、Snの謹厚が6原子層以下 のときには単原子層(ML)周期で、それ以上ではBL周期で、表面における幾何学構造の変化を繰り 返した。この認L周期の変化は、lnSb(1n)B基板から成長腹最表面へ偏析したSbが表面活性剤 (surfactant)として働き、Snの表面拡散を抑制したために起こったものである。一方、入射電子線 がバルクのBrag9条件(333 on-Bragg)を満たす場合には、両系に共通して、BL周期のRHEED強度 振動プロファイルが観察された。 333反射がバルクの結晶格子からのものであるので、このプロファ イルは、Snの格子形成が、基板表面の原子配列には依存せず、常にBL単位で起こることを示して いる。このように、RHEED強度振動プロファイルが、(i)薄膜成長過程に及ぼす基板表面原子配列 の具体的な影響、および、(ii)薄膜の格子形成過程に関する情報を含むとの解釈は、本研究ではじめ て与えられたものである。   第5章では、以上唇章の総括を行った。 4

(10)

第工章の参考文献

[11吉森昭夫、垣谷公徳、物理学最前線31「固体表面の再構成」(共立出版1993)、

第丿章 序論

「2」K.Takayanagi,Y. Tanishiro,M. Takahashi, and S. Takahashi,J.vac.Sci.Technol.A3

  1502(1985). [3]J.J.Harris,B.A.Joyce,and P. J.Dobson,Sur£Sci.103,L90(1981);Sur£Sci.108,L444   (1981).

[4]J.H.Neave,B.A.Joyce,P.J.Dobson,and N.Norton,Appl.Phys.A31,1(1983).

[5]T.SakaTnoto,H.Funabashi,K.0hta,T.Nakagawa,N.J.Kawai,and

T. Kojima,Jpn.J.

  Appl.Phys.23,L657(1984).

[6]K.Sakamoto,T.Sakamoto,S.Nagao,G.Hashiguchi,K.K11niyoshj,and Y.Bando,Jpn.J.

  Appl.Phys.26,L666(1986).

[7]A.lchiTniya.Sur£Sci.192,L893(1987).

[8]T,Hanada,H.Daimon。and

S.lno,Phys.Rev.B51,13320(1995).

【9】J.M.MCCoy,U.Korte,P.A.Maksym,and

G. Meyer-Ehmsen,Phys.Rev.B48,4721(1993).

[10]J.Bohr,R.Feidenhans'1,M.Nielsen,M.Toney,R.L.Joh:nson,and l.K.Robinson,Phys.

  Rev.Lett.54,1275(1985).

[11]T.Nakada and T. 0saka,Phys.Rev.Lett.67,2834(1991).

[12]A.lchimiya,Jpn.J.Appl.Phys.22,176(1983);24,1365(1985).

【13】S.Y.Tong,G.xu,andW. N.Mei,Phys.Rev.Lett.52,1693(1984).

(11)

--_

第2章 反射高速電子回折法

蕭ご聶反射高速電子回折法

 2-1.はじめに

  反射高速電子回折法(renection high-energy electron(hfrraction; RHEED)は、数10 kevのエネ  ルギーを持つ電子線を、試料表面にO∼8°程度の小さい視射角で入射させて、固体表面の構造を評  価する手法である。一般に、電子の持つエネルギーが大きくなるにつれ、その固体内での平均自由 `行程は大きくなる(例えば、加速電圧20kvの場合、電子の平均自由行程は数100Å程度となる)。  しかしながら、RHEEDの場合、電子線の視射角が非常に小さく、電子線の侵入深さが小さいため、  表面数原子層からの情報を抽出することができる。図2・1に示すように、固体表面によって反射され  た電子は、蛍光スクリーン上にパターンを形成する。このパターンの強度、形状等を解析すること  により、表面の原子配列、形態、結晶性などに関する情報を得ることができる。   RHEEDに相当する実験は、1928年にNishikawaとKikuchiによって初めて試みられた[1]。そ

 の前年には、Davissonと(krmerによって、低速電子回折法(1ow、energy electron d追raction;  LEED)によるNi(1n)表面の観察が試みられている[2]。このように、表面評価法という共通点をも  つ、この二つの電子回折法はほぽ時を同じくして誕生している。しかしながら、表面構造の研究に  対して本格的にRHEEDが用いられるようになったのは、LEEDに大きく遅れ、1970年代以降であっ  た。この時期のRHEEDによる表面研究としては、Cho[3]によるGaAs(001)表面、Menadue[4]に  よるSi(111)表面の観察が挙げられる。その後、lno[5]によるSi(1n)表面およびその上での吸着構造  の観察を契機として、表面研究におけるRHEEDの有用性が広く認識されるに至った。2-2節では、  このような表面評価法としてのRHEEDの基本原理について概説する。   作目、RHEEDは表面の平坦性や結晶性の評価はもとより、表面構造の解析、薄膜成長の原子  レベルでの動的観察に欠かせない手法となっている。特に、本論文との関連から、次節以降では、  RHEEDによる表面構造解析法(2・3節)と薄膜成長の動的過程の評価法(RHEED強度振動法(2-4節)  )について詳説する。   RHEEDを用いて表面の構造解析を行うためには、回折強度を動力学的回折理論に基づいて解 釈することが必要とされる。2、3節では、RHEEDにおける動力学的回折理論の必要性を述べた後に、 6

(12)

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shadow cdgc

incident bcam

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ヽj C ぐ 置ぷ聶反射高速電子回折法 00

`−ヽヽ1

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二万

edge

SCreen 図2-1:RHEEDの概念図;(a)立体図、(b)側面図、(c)正面図。 7

(13)

- 。 蕭乞章 反射高速電子回折法 その強度解析に最も広く用いられている方法の一つであるlchimiyaの方法(multi-shce法)[6]につい て詳説する。   一力、薄膜成長過程の動的観察が行えるという点は、RHEEDのもつ最も優れた特徴であると いっても過言ではない。図2-1から明らかなように、RHEEDにおいては、試料表面近傍に広い空間 領域を確保できるため、分子線エピタキシー(molecular beam epitaxy; MBE)装置を容易に取り付 けることができる。その結果、成長を阻害することなく、MBE成長の過程を実時間で観察すること が可能となる。この利点を活用した最も古い研究としては、先に挙げた、ChoによるGaAs(001)表 面の研究[3]が挙げられる。しかしながら、MBE成長の過程を評価する手法としてのRHでEEDの地 位を確立さ廿たのは、1981年にHarrisらによって発見されたRHEED強度振動であろう[7]。これに より、MBE成長過程を一原子層レベルで動的に観察することが可能となり、そのメカニズムに対す る理解が一層深まることとなった。 2-4節では、これまでになされてきた多くの実験および計算結果 をもとに、RHEED強度振動のメカニズムについて述べる。 2-2.RHEEDの基本原理 2-2-1.二次元結晶からの回折   前節で述べたように、RHEEDは非常に表面敏感な構造評価手法である。 したがって、その基 本原理を理解するためには、まず、結晶の表面層からの回折を二次元結晶からのそれとして取り扱 うことが大麦便利である。図2、2は二次元結晶における散乱波の光路差を示す。波長λの波力りの間 隔で平行に並んだ原子列に垂直に、視射角らで入射し、θで出射したとすると、その行路差がλの 整数倍になる条件(二次元Brag9条件)は、        どcosθo ̄jcosO−nλ である。 1/λ’kヽnZd 一肌つとすると、(2、1)式は、 んcosθo  ̄だcosO ゛ Bn (2・1) (2-2) となる。この条件は、波数ベクトルkを用いると図2-3のように描くことができる。入射波koの視 射角らを変化させると、反射波の波数ベクトルk。の先端は常にベクトルBに垂直な線上を移動す る。つまり、回折条件はこの直線上で常に満足されることになる。この直線が二次元結晶格子に対 8

(14)

皿-、_、 ; I ` 第2章 反射高速電子回折法

図2

-

2:二次元結晶における散乱波の行路差。

reciprocal lattice rods

l  kcos∂n  ド

/

rod

    \

kn

/

Bn

、、

 kcos∂o

\△ナフ。

Ewald sPhcre

図2-3:入射波、散乱波の方向と逆格子ロッド。

  回申の円はEwald球に対応する半径kの球である。

(15)

-.借ご径反射度通電子回折法 する逆格子ロッドである。波数ベクトルの始点を中心に半径んの球、つまりEwald諒を描くと、こ れと逆格子ロッドとの交点が回折波の方向を示す。n=oの場合、回折波は鏡面反射となり、その時 の逆格子ロッドを00ロッドという。 2-2-2.バルク結晶表面での回折   2-2-1項では、二次元結晶からの回折を取り扱ったが、現実の結晶表面においては、この二次元 結晶の下に二次元のバルク結晶が接続している。そのため、実際のRHEED強度を評価するために は、そのバルク結晶からの回折をも考慮する ー順がある。   真空中から結晶中に電子線が入射すると、結晶の内部ポテンシャルにより電子は加速される。 この場合、図2-4に示すように電子線は屈折効果を受ける(屈折率や1)。遂に、電子線が結晶中か ら真空へ向かう場合には、zj<1となるため、結晶の内表面で全反射を受ける場合もある。 Bragg反射 が内表面で全反射を受ける場合は表面波励起の条件が満たされたことに相当する[8]。真空中の電子 の運動エネルギーを£(ev)、結晶の平均内部ポテンシャルを恥(V)とし、相対論補正を無視すると、 結晶内部での電子の波数は、

Åご

JズjJヅミド=√Fミリヲデ(Å勺

 それぞれ、ブランク定数、電・

   べ⊇ドレ入勺

(2・3) となる。ここで、(z7、、eは、それぞれ、ブランク定数、電子の質量、素電荷である。一方、真空 中での電子線の波長Kは、        瓦=、/⊇二(八万      (2-4) となる.電子線の入射角をχo、屈折角をχとすると、屈折率zlは、Sne11の法則より、       sinχ(1 1 月= =−  K (2・5) (2-6) (2-7) SH1χ となる。したがって、(2-3)式、(2-4)式より、屈折率は、 づTyTEjテフ である。RHEEDの場合、とは数kev以上であり、EI/oは一般に数10 ev であるから、削ま近似的に、 μ−1十 公 2石 と表すことができる。この第二項は、数10 kevの人射エネルギーに対しては、10'3以下と非常に小 さくなる。しかしながら、RHEEDの場合、その効果は出射角が非常に小さくなるシャドーエッジ 10

(16)

-vacuunTI

rc仙ごctcd

 bcam

incident

 beam

kinetic energy E

菓2蒙£紺瀋逓震子醒孤些        ‥−

crysta1

vacuum leve1 Z 1 へ rnean lnner

Potential vo

一 一

∇二千

periodic potential

図2-4:内部ポテンシャルによる電子線の屈折。

11

(17)
(18)

f j r −  ̄ F ` ' - 「 」 四 i d j/  a ぐ

Ewald sphere

1sperslon sphere

00-rod

-X_ 1  X  1  1  j  Z / ̄ / 0 -IIII I I j − ︱ 一 0 -0 - - -  / / 1 1 X   X   / / X   ゝ 0 − / j − 2 / N 、 一1  0

j巾

第y章 反射高速電子回折法

00

01

02

図2-5:真空中の電子の分散球と結晶中のEwald球。

 瓦cosθo=んcosθ の関係を幾何学的に示す。

13

(19)

− . - . − 第2章 反射感通 ̄電子回折法 2-3.RHEEDの動力学回折理論 2-3-1.動力学的回折理論の必要性   X線、電子線、中性子線の結晶による回折の理論として最も広い応用を持つのは運動学的回折 理論である。この理論では、結晶内に入射する波動が、そのまま変化なく進行するものとし、結晶 の各部分がこの様な入射波を受けて作り出す散乱波の振幅を単純に合成することによって、結晶全 体からの散乱波の振幅並びに強度が計算される。つまり、この理論は、入射波が結晶の各部分で一 回だけしか散乱されないという近似(一回散乱近似)に基づいている。これは、粒子の衝突理論に おけるBorn近似に相当する扱いである。しかし、実際には、結晶の各部分からの散乱波は、それら どうし、あるいは入射波との干渉により複雑な波動を形成する。そのため、結晶の各部分に入射す る波はもともとの入射波とは異なったものとなる。これは多重散乱の積み上げの結果と考えて良い。 この効果を取り入れるためにはより高度な近似が必要となるが、それらを取り扱う理論をすべて含 めて動力学的回折理論という。   運動学的回折理論は最も初歩的な理論であるにも係わらず、先に述べたように、最も応用範囲 が広い。特にX線回折においては、大きさが約1μm以下の小結晶については、まず運動学的近似が 成り立つと考えて良い。一方、電子線に関して言えば、運動学的回折理論が適用できる結晶の大き さは数10Å以下であり、Pbのように原子番号の大きい場合は原子1個でさえ適用が難しい。これは、 例えば、100 ev∼100 kevの電子の散乱断面積が1∼10'4Å2であるのに対し、X線では10^8Å2程度 であることによっている。したがって、電子線に関しては、ほとんどすべての結晶試料に対して、 動力学的回折理論を用いなくてはならない。   一ロに動力学的回折理論といっても多種多様なものが提唱されており、回折がBraggケースか Laueケースであるか、また、高速電子であるか低速電子であるかといった状況に応じて、適用すべ き方法は異なる。RHEEDの場合、Betheの理論[9]を基本として、その理論が発展してきた。現在 ではヽMaksymとBeebyの方法[10]およびlchimiyaの方法[6]が主流となっている。   これらいずれの方法においても、結晶を表面に平行な層に分ける。各層内で原子は二次元的に 周期配列しているため、二次元の逆格子ベクトルを使ってFourier級数へ展開できる。ポテンシャル のFourier係数は構造モデルから算出されるもので、深さ方向の距離のみの関数となっている。次に、 14

(20)

− W 7 S w ・ g i w 〃 1 ト   (2-13) ド(r)、別ま入射 (2-14) (2-15) (2-16) (2・17)       ■㎜ | −   |     ・ ・ ・ j ・ - = - ・ = ・ ・ . k .忿2雅亙鳶溶迦震ヂ屈折痘 構造モデルのポテンシャルを使ってSchr6dinger方程式を解き、各層での回折波毎の透過係数と反 射係数を求める。最後にそれらを順次掛け合わせることにより、結晶表面からの反射係数を求める。 MaksymとBeebyは各層の厚さを積分きざみとした数値積分により、lch-imiyaは各層の固有値問題 としてSchr6血nger方程式を解いている。このように、この二つの方法は本質的には同じものであ り、実際にSi(001)表面に対してほとんど同じ計算結果が得られることが判っている[11]。以下では 本研究で用いるlchimiyaの方法を詳説する。 2-3-2.1chimiyaの方法[6け2-14] (a)基本方程式   結晶ポテンシャルド(r)中の電子に対するSchr6dinger方程式は       (∇2+Kly(r)+び(r)ψ(r)−0 で与えられる。ここで、剌r)は位置rにおける一電子波動関数、び(r)はび(r)− が得られる。 ヽ -心 -心 で dl 一 画   じ(r)−ΣmU。(z)exP(fB。'り 則:r)=ΣG(z)exPj(K。,+B。)'O 2 Tら(z戸ぺら(幻+Σら_。(z)ら(z)−0

r卜が

ド ら

(K (71十 B。)2 ‘゛jΓ,にフ。(z)’iて。(z) 15 2心 -力 電子の真空中における波数である。また、・、ε、方は、通常の物理定数である。結晶が表面平行方 向には周期的であると考えれば、び(r)、剌r)は表面平行方向にFourier展開でき、 と表される。ここで、r、、KJまそれぞれ、rの表面平行成分および入射波の波数ベクトルの表面平 行成分である。また、B。はm番目の逆格子ロッドに垂直な、逆空間の原点からのベクトル(逆格子 ゜ッドベクトル)である。また、Fourier係数c。は波動関数ψ(r)の表面垂直成分に相当する。(2・14) 式と(2-15)式を(2-13)式に代人すると、 であり、らは、m番目のロッドの回折波の波数ベクトルの表面垂直方向成分である。(2、16)式を解 くために、ら(z)項を以下のように書き換える

(21)

(2-18)。 (2-19) (2-20) (2,21) (2-22) (2-26) j − と

ら(z)+らら(ぬ+jΣ

が得られる。この式は行列形式で、 と書くことができる。 d − と ⊆ラがヂ亘(rよ)+ら(z))=o Ψ(z)−jA(z)Ψ(z) ここで甲(z)は縦ベクトルであり、        (甲(z))。=‰(z)        (Ψ(z))。.y=ら(z) の要素を持つ。また、行列A(z)の要素は msN (/匝))。一一(峠)辿。。y一昔ご (A(z))。。心−べA(z))。、、y-一半 十Fδ  ZηZアyl 第2章 反射高速電子回折法       m、nsN となるQ 6.1はクロネッカの(5である。(2・20)式がRHEEDに対する基本方程式となる。 (b)multi-shce法   次に、図2・6に示すように、結晶を表面に平行な厚さ△zのスライスに分割する。それぞれのス ライス中ではポテンシャルはz方向へ平均化され、j番目のスライスのFourier係数は       ‰(zヅ)づ言≒‰(zμ         (2°23) で与えられる。これに対応して、(2・20)式の行列A(z)は、j番目のスライスに対して       ハド士斤AG)&       (2-24) となりヽその中ではz方向に依存しない。ここで、z-z川の面における波をΨ(zy_1)、z-z戸こおける 波をΨ(zy)として、j番目のスライスについて(2-20)式を解くと、       Ψ(杓)=exP(jA戸z)Ψ(z四)       (2-25) となる。したがって、電子線が入射する結晶の表面(z-zo)と底面(z-z。)における波をそれぞれΨ(zo) およびΨ(z。)とし、また全スライス数をMとすれば、      M Ψ(ら)=F ̄lexT)(fA怖z)Ψ(zo)      ド1 となる。RHEEDの場合、求めたいのは表面における波動関数なので、(2、26)式を 16

(22)

● − W I F . I ・ ・ ` ゛ ふ

Ψ

ぐ ZO

j 第2章 反射高速電子回折法

ZO

−Z

Z2

Zj-1

Zj

Ze

Ψ

Ψ

xI/  1  Z ぐ ぐ、

z()

j  lJ O Ψ

ぐ平

Ψ

ぐ zjべ) z,)

'゛、

● ●

゛゛へ

・ ●

図2

-

6:表面に平行なスライスに

/

/

/

/

/

-/

分割された結晶と波動関数Ψ膳)。

17

(23)

』 . L ・ − . . . _ 一 一 一 一       k       甲(zo戸PΨ(ら) のように書き直した方が使利である。ここで、変換行列Pは        Af        PづlexP(-fA岫z) である。 .箇j.収反W磨透震子屁折助 (2-27) (2-28) このとき、指数の中に行列が含まれていると取り扱いが面倒であるため、Ayの固有値y(zy)を 用いて Pゾ'c即( ̄池戸2戸Qソ{e`P( ̄jy(フノ‘)A2)}Qプ (2・29) と書き直す。ここで、変換行列Pyは、       Ψ(z川)=PyΨ(zj)       (2-30) を満たす。また、Qバよ、Aソの直交変換行列である。周)(べy(ら・)Az)は直交行列であり、ら、(zj)を A/のn番目の固有値とすると、(/1(z))。=-い(z))。J、。Jより、       ({e゛P( ̄汀(杓)A2)D。。゜e卯Oら賜)匈)       (2-31)       ({e即O汀(句)△z)凪.y、、y−exP(0≒(z/)Az)、nsN である.Aゾのl1番目および11十N番目の固有値に対応する固有ベクトルの要素をそれぞれr。(zノ・)およ びら、(zj)とすると、Qソの行列要素は、 (Qy)、゛(Qy)m4N、nやN゛てsJJzj) (Qy)。、。、y−(Qy)m4Njl=pMnl(zソ) m、nsN (2-32) である。   (2・27)式中のΨ(zo)およびΨ(z。)は、結晶の表面と裏面での境界条件から求めることができる。 結晶の表面側(zszo)では、波動関数ψ(r)の表面垂直成分C。(z)は入射波と反射波の和で表され、 ら(z)−φoδo。exP(jり戸7仙exP(づrlz) ZSZO (2-33) で与えられる。ここで、Φoは入射波の振幅、&はm番目の反射波の振幅である。一方、結晶の裏 面側(zとら)では透過波のみとなるため、        ら(z)=八exPGらz)       (2べ34)       (zとzo) が得られる。ここで、瓦はm次の反射に対する透過波の振幅である。(2-18)式と(2-33)式から、境界 条件は、表面においては        秘(zo戸21 ̄jソo。exPGrレo)         (2、35)        へ(zo)=ZF、ぷパXP(づrこzo) となり、裏面においては 18

(24)

一 一 j T O C 第:?章 反射高速竃子回折法 (2-36) (2-37) (2-38) (2-41) (2-42) (2-43) (2-44) 1 1

-

、、

-       ≒(ら)=2‰私exPG私心)        戸。(ら戸0 となる。(2-20)式、(2-35)式、(2、36)式より、Ψ(ZO)および4J(z。)の行列要素は、       (甲(zo))。(φo)ご2FoΦ♂o。exl)(iFドo)       (ツ(zo))。JJ(R)。−2ら凡伺)(-fQzo)        miiN (Ψ(ら))。・(T)。=2に私呵)(肌ゐ) (・甲(恥))。バョ(O)。、−0        msN であることが判る。   さて、RHEEDにおいて最終的に求めたいのは反射波の振幅几、であるから、結晶の表面側 (zszo)での波動関数Ψ(zo)を求めればよく、これは、犬−Ψ(り)とすれば。        薦(-Ψ(zo))一月%(-71Ψ(zl))      (2-39) となる。次に、結晶の底面から順次波動関数を計算することとする。結晶の底面でのスライス、つ まりM番目のスライスでの伝達行列をPgとすると、M番目のスライスの上面、すなわちM-1番目の スライスの下面(z-zg_1)における波動関数Ψg_1は、結晶裏面(M番目のスライスの下側、すなわち z=≒呻ら))における波動関数ΨA、とPgによって。       犬、-1'梅゛%=4Ψ(zいールΨ(ら)       (2-40) で表される。この式はPyの部分行列4.(句)を用いるとヽ C a M−1 /‰ -1

C (IM ら

C G と書くことができる。ここで、恥_1およびβE1万は列ベクトルΨtlの要素である。(2-40)式より、 ゜Af-1とβ1,_1の間には        /‰_1-921(zM)9n(zg) ̄1ag-1 の関係かおることが判る。 M-1番目のスライスについても同様に計算すると、 ( M一Z β好一2

)ヽ1

ぐ aM-1 βg_1 ぐ ー 911(Zg_1)912(ZM-1) ・721(zg_1)qzzl(zl,_1))( となり,(2-41)式,(2-42)式より,       ゜A,-2'(911(zg_1)+912(仙_1知21(zA,),7j(ZM))ら,_1       sjM_2ajW_1       陥_2−(,721(zA,_1)+922(4_1),721(ZM)61(ZA,))Qg_1       s&−2aM-1 19

(25)

-、-・ βA,_2−召A,_2/IJ_2aA,−2 が得られる。こうして、J番目のスライスについては、        不一1°(侑1(勺)十悟2(ら)巧/1/)ay°為-1不        μ四'(921(zy)+㈲2(句)司/ぐ)aj ゛Bj-laj となる。同様に1番目のスライスについて記述すると、z=zoにおいては、        φげ叫ド(gn(八戸哨2(zl)凧凩 ̄1)馬゛jo馬        R°βoづg21(zl戸匙2(zl)β1/ぐ)“1°尽)c゛1 となる。これより、Rは、       R'柘/ぐΦo で与えられる。このRを用いて、m次の反射波の振幅几jま、        心=(Γo/ら)(R仙 で与えられる。以上のRHEED強度計算のアルゴリズムを図2-7に示す。 弟j?双及 ̄j釘盾逝盾子回折怠 (2-45) (246) (2-47) (2-48) (2-49) (c)吸収の効果   電子線の吸収の効果は、現象論的に虚ポテンシャルd/'(r)を導入することによって取り扱うこ とができる[151。 multi-slice法においては、虚ポテンシャルもまた、実ポテンシャルと同様に各ス ライス中でz方向に関して平均化される_ iVI(r)は、一般に、結晶ポテンシャルに比べてその絶対値 が小さいので、振動として取り扱うことができる。この場合、(2、22)式中のに(z)はに(z)+jに(z) となり、また、(2、31)式中の行列Ayの固有値ら(zj)に虚数項祚誠り・)が加わる。この摂動項は、j番目 のスライスにおけるド'(r)のn番目のFoujrier係数司弟)を用いると、 と表される。 とすれば、固有値は y;(Zj・)-ΣΣ心(Zj)哨_。(ZJ・)C。(り) か(zヱ=回 臼 j‘ )2+心(zJ) 匹(糾)' 十Z (2-50) (2-51) (2-52) で与えられる。 一 心 ヽ ・ 心 で、ぐ ぺ(zj)4゛べ(り)4+y?(zj)2      2

回(zプ+べ≒)4づ2(zプ

     1      2 (zブ)はAブ非振動系の固有値である。第一次近似で、ら(zj)の虚数部 20

(26)

-_・ 1 1

第2章 反射高速電子回折法 i す │ │ ・ ・ .

入力データの読み込み

晶構造データの

-十

入射電子線のパラメータ

各スライス毎

原子散乱因子の計算

虚ポテンシャルの計算

//41

牙列要素の生成

生成した行列の対角化

吸収係数の計算

各原子胴中の変換行列PIの

Pムのprod'Jcts

Poの

-- I 一 一

十算

十算

-RHEED強度の計算

図2-7:RHEED強度計算プログラムのアルゴリズム。

21

(27)

-。 笛2章 反射高速電子回折法 lm(ら(zj))は1/Foに比例するため、視射角が小さい場合に吸収の効果が大きいことになる。 (d)適正な結品の厚さとスライス数   multi-slice法によるRHEED強度の計算のためには、結晶の厚さとスライスの厚さを適切な値 に設定する必要かおる。このうち、特に重要なのがスライスの厚さの設定である。スライスの厚さ を小さくすれば計算の精度は高くなるが、それとともに計算時間も増加することになる。したがっ て、不必要にスライスの厚さを小さくすることは実用的ではない。   本方法では、各スライス内では、ポテンシャルは厚さ方向に平均化されて一定であるため、z 方向に対して階段状になっている。このポテンシャルをz方向に関してFoujrier展開すると、その Fo回ier係数に(こ)は、 となる。ここで に(こ戸 て比 玲-いいxp(-2πj&)dz (2-53)        脳・づプブー計回(2)゜       (2'54) である。回(z)は、実際の(階段状ではない)ポテンシャルの二次元Fourier係数であり、そのz方 向に関するFourier係数回(こ)と        回(z)づ二ば(ご)cxP(匹こz毎       (2-55) で関係づけられる。(2-54)式と(2・55)式を(2-53)式に代入することにより、        ぐご)づこづルル[1-・p(2ご△j)]       ×レexP(レ27zに△z)]       (2、56) となる。いま、zo=Oとすれば、 yy e゛p(2,7Z収'-こ)zふ1こI y e゛cp{2減(こj-こ)zj ・ = f exp(2贋忙−こそ1/Az)}jAz] =δ{こj-こー(7・/ AZ)}/AZ (2-57) ただし,,・−,・・い1,0,1,・・・,+こ・・であり,δ(こ)は,Diracのデルタ関数である。したがって,(2・56) 式は, 22

(28)

一 レ言言戸づOjl尚墟Az)/(ズAz)2 ×

菌2草 反射高通電子回折法 (2-58) となる。ここで、、l・Oに対し、ば(こ戸げ(こ+( 「Az))とすれば、(2-58)式は、 となる。ご=2、y-2 sjjl ∂ - λ     レこ(こ押回(こ)函2(墟△z)/(ズ△z)2       バぐ(ご)exPレ(πμz)2/3] と置き換えると、     ‰0)才六OcxP(引火Az)2/3] となる。これを、Debye-WaUer因子exP(一斑2)と比較すると、 (ニ冰Az)2 - <<瓦2 (2-59)      (2-60) であれば、Azの厚さ でスライスした影響は熱振動に隠れて無視できることになる。そこで、この条件を (2ぶ△z)2/3・  勺 y 上 10 − (2・61) とすれば、        △z・、/こでi77/2π       (2-62) となる。この式は、熱振動の振幅JT啄/計に非常に近いため、スライスの厚さAzを近似的に、熱 振動の振幅にとることができる。 2-3-2.構造解析の実際   回折法による表面の構造解析は、逆格子ロッドの強度分布を測定し、それを計算結果と比較す ることによって行われる。LEEDによる構造解析の場合、電子線の加速胤圧(V)を制御することによ りEwal山求と逆格子ロッドとの交点の位置を様列こ変化させ、その各点におけるLEED強度(刀を加 速電圧(V)に対してプロットすることにより逆格子ロッドの強度分布(7-vcurve)を知ることができる。 一方RHEEDの場合、入射電子線の方位角を固定した状態で、その視射角に対してRHEED強度をプ ロットすることにより、LEEDの場合と同様に逆格子ロッドの強度分布を得ることができる。この

強度分布曲線のことをrocking cu-rveという。バルクのX線回折の場合にはrocking curveは試料の結 晶性の評価に用いられるが、RHEEDのrocking curveは非常に小さい電子線視斜角(∼6°以下)の条 件下で測定されるため、主に最表面の原子配列を反映したものとなる。以下では、roeking curveに よるRHEEDの構造解析の一連の手順を簡単に説明する。

(29)

-。 第y章 反射高速電子㈲折法 (a)一波条件   実際に、RHEEDを用いて横道解析を行う場合、一波条件での測定から始めるのが賢明である。 図2-8(a)に示すように、結晶をある特定の結晶学的方位から眺めた場合には表面平行方向に周期性 かおるため、RHEED強度には、表面垂直方向だけでなく表面平行方向に関する周期性に起因する 勤力学的効果が現れることになる。これに対し、電子線の入射方位を晶帯軸方向からずらした場合( 図2-8Cb))には、原子層を散乱体が一様に分布した面として取り扱うことができ、結果として RHEED強度には表面平行方向の周期性が反映されなくなる。この条件を一波条件といい、この場 合のrocking cufveを解析すると、未知の表面構造の表面垂直方向の原子座標に関する情報のみが抽 出できることになる。この場合、強度計算に取り込むべき回折波の数が一つであってもよい近似と なり得る[12、14]。一方、図2-8(a)の場合には、RHEED強度を正確に計算するためには多くの回折 波を取り込まなくてはならない。取り込む回折波が多いほど計算結果の信頼度は高まることが予測 できるが、その場合には、必然的に計算時間も膨大なものとなる。したがって、実際の解析におい ては、一波条件下での解析によって表面垂直方向の原子座標を求め、その後、多波条件下での解析 により表面平行方向の原子座標を求めるという方法が効果的となる。 (b)構造解析の手順   図2-9は、実際の構造解析のプロセスを示す。まず、適当な構造モデルに基づいてrocking curveを計算する。本研究で用いるRHEED強度計算プログラムにおいては、原子散乱因子八幻は次 式で与えられる。 ここで バフh− sinθ 一λ ハ巾LjexP(一昭2)cxP(一瓦2) (2-63)

、副まDebyeパラメータであり、哨と柘の値は、Doyle and Turnerの表[16に

与えられている。ポテンシャルド(r)のFourier成分F(s)は、fいを用いて、 ド(s)= が -2心リzΩ Σ/(s)exp(4πs‘「」) (2,64) で与えられる。ここでヽΩとrバま、それぞれ、原子の体積とj番目の原子の位置を示す。ポテンシャ

ルのO次のFou:rier成分F(O)は結晶の平均内部ポテンシャルに相当する。 Doyle and Turnerの表中の 数値は単原子に対して与えられているが、結晶中においては、化学結合などの効果により、各原子

(30)

。■-。、 -‘i2 1 1 L ja ぐ ぐ

b)7.5

f  o

f from [112]

25 羞2鳶,反 ̄射高速電子賊哲生│

図2-8:ダイヤモンド型構造の{111}表面における電子線入射方向への

      一      一

   原子配列の投影図;(a)μ12]方位、(bH1121方位から7.5°ずらした場合。

(31)

-。

構造を仮定

蕭2翠反 ̄射高遠雷子回折法       

-一致

 Doyle&Tumerのtableを用いて

rocking curveを計算(一波条件)

実験結果と比較

rag9反射の位置)

不一致

不一致

平均内部ポテンシャルを補正

再度rocking curveの計算

実験結果と比較(強度)

一致

図2-9:RHEEDによる構造解析の手順。

26 ○a r 弓

(32)

-,.− 第2章 反射高速電子回折法 位置でのポテンシャルは胆原子のそれとは異なる。これを補正するために、まず、一波条件のもと で測定されたrocking curveにおけるBraggピークの位置を測定する。次に、その位置と(2・12)式か ら、真の内部ポテンシャルを見積もる。この値とF(O)を一致させるように、ド(O)の値に一定の補正 項を加えればよい。このとき、原子散乱因子の補正は(2-63)式中のα1の値を調節することによって

行われる。このようなポテンシャルの補正を行った後に得られた計算focking curve とrocking cu。rve

の測定結果とを比較し、一致の良くないときには構造モデルを修正し、再度計算を行う。この手順 を実験結果と計算結果の一致が良くなるまで繰り返す。    -一方、虚ポテンシャルy'(r)は、Radi[17]およびlchimiy削18jの式を用いることにより求める ことができる。本研究で用いたlchimjyaの式118]によれば、ド㈲)のFou-rier成分に(s)は、 ド争)=レパXP050/戸り。パxp(-2zy)JGjN (2-65) で与えられる。ここで、らと吋mは、それぞれ電子の散乱と熱散漫散乱に対する平均虚ポテンシャ ルであり、Gは結晶構造因子、ぎは単位胞中に含まれる原子数である。実際の構造解析においては、 りと町mは実験結果と計算結果をフィッティングさせるためのパラメータとして用いられることが 多い。この場合、平均虚ポテンシャルの値リ、りに7m)は、主にrocking cujrve中のビーク幅に影響 することが知られている。その値としては実ポテンシャルの0.1∼0.2倍程度の範囲のものがよく川 いられる。

2-4.RHEED強度振動

 1981年に、Harrisらは、GaAs(001)のホモエピタキシャル成長中に、RHEED強度が周期的に振 動することを見いだした[7]。その振動周期は、ちょうどGaAs(001)の一分子層の成長に対応してい た。しかしながら、彼らは、その現象をdopantとして用いたSn原子の表面偏析過程の反映と解釈し ていたため、当時はあまり注目されなかった。その後、より詳細な研究により、この現象がMミBE成 長における二次元核形成に伴う本質的な現象であることが明らかとなった[19、20]。この現象は、発 見当初は、もっぱらGaAs(001)のホモエピタキシャル成長の観察に用いられていたが、現在では、 Si[21-23]、Ge[23、24]などのrv族半導体や、多くの金属/金属系においても起こることが明らかとなっ てきている。 27 1 、 │

(33)

j 〃− 采Σ脈 反対高速竃子回折法   これまでに、RHEED強度振動を説明するための数多くのモデルが提唱されてきている。しか しながら、どのモデルが最も正確に実験結果を再現できるのか、未だに統一的な見解がないのが現 状である。これは、現実の表面が理想的な表面とは異なり、ステップやキンクに代表される多くの 欠陥を持つために、これをモデル化することが難しいということに起因している。さらに、 RHEED強度自体を定量的に評価することがきわめて困難であったということにも、その原因の一 端はあろう。しかしながら、以下に示すモデルは、定性的であるにしても、いくつかの実験結果を 説明することができる代表的なものである。 2-4-1.運動学的レ・回散乱)近似[25、26]   一回散乱近似法は、電子線が最上層の原子面のみで弾性散乱されるとする方法で、直感的には 理解しやすい。図2-10に示すように、互いに隣り合った上下の原子面において電子線が反射される 場合に、それぞれの面で反射された電子線の位相が、逆位相になるように入射角度を選ぶと (ofBrag9条件)、表面にステップが存在する場合には反射強度は弱くなり、表面が平坦性を回復す ると反射強度は回復するため、二次元核形成による層状成長が起こる場合には、反射電子線強度は 一層の成長のたびに振動することになる。   ここで注意しなくてはならないのは、このような電子線の干渉が議論できるのは、電子線の可 干渉領域内(RHEEDの場合は1000Å以下)に限られるという点である。 したがって、これ以上大 きなテラスは電子線にとって平坦とみなされ、それ以下のサイズのテラスのみが振動の発現に寄与 する。   この近似はomBrag9条件でのみ成立するため、RHEED強度はきわめて弱くしか観測されない。 そのため、実際の実験においては、散漫散乱成分(後述)からの分離が難しく、厳密に鏡面反射点の 強度のみを評価することが困難となる。その一方で、RHEED強度を運動学的近似のもとに計算で きるので、その定量的な評価がきわめて容易であるという利点もある。実際に、Lentら[25]や Ghalsasら[26]は、簡単な薄膜成長モデルから予測されるRHEED振動のシミュレーションを行って いる。 28

(34)

-incident

beam

第ジ章 反対高速電子回折法

diffracted

beam

図2-10:一回散乱近似に基づくRHEED振動の解釈の複式図。

  ステップの上下における散乱波が互いに逆位相となって打ち消し合っている。

  口O〕 or[nO] − ヽ に ○ 1 こ哨山一ト詞ZJトZ]

☆よ

犬八岑ド’

Σく田moo C ) 02  1  1 1.0

e d C しI 20 上上 、_ THETA(DEG) ♭ a 4.0 5.0

図2-n:(a)A1(001)ステップ表面モデル、(b)(a)に対する動力学計算により得られた

  rocking curve。(a)におけるNr)は7に固定。(b)中のa∼fは、(a)中における

  n、=1∼6に相当。(文献[28]より書き直して掲載)

29

(35)

j  _ 弟2.澗 反W/宿運宸ヂ屈折肪       一一 2-4-2.勣力学的(多重散乱)近似   前節で述べたように、X線に比べて電子線は物質との相互作用が強いため、特殊な場合を除い て一回散乱近似は成立廿ず、多重散乱を考慮しなくてはならない。例えば、ドの視射角で電子線を 人射させた場合、最上層の原子面では、電子は数10∼100個の原子を串刺しにすることになるため、 個々の原子との間での散乱を議論する必要がある。このような多重散乱の原理に基づく近似法は、 一回散乱近イ以法に比べて取り扱いが複雑であるが、より正確に実験系を再現できるものと考えられ る。   Kawamu-raとMaksymは、多重散乱理論に基づいて、RHEED強度振動の理論計算を行ってい る[27長彼らは、図2、n(a)に示すような7原子周期のステップを持つÅ1(001)表面からの鏡面反射点 のロッキングカーブを計算した(図2-11(b))。図2-11(b)から明らかなように、n、=1∼6へと成長が進 むにつれて、ロッキングカーブの形状は複雑に変化する。その中でも、θ=4.0°のピークは最も荒 れた表面の時(no=3)に極小となるのに対し、0ぺ。7°のピークはそれと逆位相になることが最も特 徴的な点として挙げられる。このような逆位相の振動は実際の系においてもしばしば観察されるが、 前述の一回散乱近似では説明することができない。同様の結果は、lchi面yaによるGaAs(001)ステッ プ表面に対する計算からも得られている[28]。一方、この方法における最大の欠点は、RHEED強 度の計算が大規模となるため、大きなモデルを仮定しての計算には膨大な時間と計算費がかかるこ と、すなわち、現実の系に対応したモデルを設定して計算を行なうことが困難であることであった。 しかしながら、最近のコンピュータの性能の向上と価格の低下に伴い、その欠点も解消されてきて おり[29]、今後の発展が大変期待されている。  2-4-3.ステップエッジでの散漫散乱   Dobsonらは[301、電子の散乱は主に表面のステップエッジで起こるため、成長中のステップエッ ジの増減に伴って鏡面反射強度の振動が起こり、その強度プロファイルの中には散漫散乱に基づく 情報も含まれることかあると報告している。図2-12(a)に示すように、成長前の表面は原子レペルで 平坦と考えられるため、鏡面反射強度は大きい。しかし第一層目の成長中には、二次元核形成に伴っ て表面におけるステップエッジ密度は増加する。そのため、入射電子はステップエッジで散乱され、 30

(36)

●-、. -incident beam ぐ

a)OML

b)0.5 ML

01ML

specular beam

ノハ

diffuse scattering

ペジ

﹁几

﹁几

沢2聶反一瀋逮震ヂ屁折必        一

film thickness

hickness

mm

thickness

図2

-

12:ステップエッジでの散漫散乱を考慮したRHEED振動の原理。

31

(37)

- ・ 笛2童 反射高速電子回折法 結果として鏡面反射強度は低下する(図2-12(b))。さらに成長が進行し、第一刮目が完成すると表面 は再びフラットになり、鏡面反射強度は回復する(図2-12(c))。一方、鏡面反射点以外にも散漫散乱 強度も振動現象を示す。散漫散乱は、原子の熱振動や短距離秩序状態にある凝集体からの散漫に件っ て生じることはよく知られている。この散漫散乱は、電子線がステップ等で散乱されるときにも生 じ、その強度は表面が最もフラットになった時に極小値を、最もラフな時(ステップエッジ密度が 般も高いとき)に極大値をとることが判っている。このタイプの散漫散乱は、off≒Brag9条件の場合 にステップ密度に依存して(密度の高いとき)観測できることかあり、その位相は鏡面反射強度の 振動のそれとは位相が180°ずれている。   阪漫散乱強度を定量的に見積ることは現時点では難しく、以上の解釈は定性的なものでしかな い。しかしながら、走査トンネル顕微鏡法による実験結果[31]やモンテカルロ法によるシミュレー ションの結果[32]から、RFLEEDにおける鏡面反射、散漫散乱のいずれも、その発現は表面でのス テップ密度の増減と一対一対応していることは間違いない。 32

(38)

-  _

第2章の参考文献

第2章 反射高速電子回折法

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(40)

■       ㎜

≒ギっ-7t puFFnrnrbing。1rneふ雨いたlaSbUln表面の構造解析

第3章 RHEED

rocking curveを用いた

      lnSb{1n}表面の構造解析

3-1.はじめに   固体の表面では表面垂直方向への結合が切断されているため、しばしば、バルクがそのまま露 出したものとは異なった構造が現れる。これは、定性的には、表面自由エネルギーを低下させるよ うに表面の原子が変位するために起こるといえる。特に、共有統合性の強い結晶の表面においては 切断された結合手(danghng bond)が高いエネルギーを持つので、それを安定化させるための原子変 位は顕著なものとなる。このとき、原子変位後の表面の並進対称性がバルクのそれとは異なる場合 を表面再配列(surface reconstruction)という。   表面再配列はほとんどの半導体表面で起こることが知られており、結晶構造、原子種、面方位 などに依存して様々な表面再配列構造の出現することが報告されている。特に、GaAsに代表される 化合物半導体の表面は、基板温度、表面組奴等に依存して様々な再配列構造を呈することが知られ ている。しかしながら、それらの再配列構造の原子配列が確定された例は決して多くはない。例外 的に、m、V族化合物半導体のGaAsおよびlnSb{1n}表面のA-(2×2)、B-(2×2)構造に対しては、そ

れぞれ、III族原子のvacancy buckling モデル[1、2]、V族原子のtrimerモデル(図3-1Cb))[3、4]といっ た構造モデルが提唱されており、現在、広く受け入れられている。なかでも、低速電子回折法

(1ow-energy electron d迢raction; LEED)による構造解析に基づいてGaAs(1n)A-(2×2)に対して提

唱されたGa、vacancy bucklingモデル[1]は、その他の多くの実験および理論計算の結果を矛盾無く

説明することができる数少ない構造モデルのひとつである[5-7]。一方、lnSb{n1}A、B-(2×2)に対 しては、表面平行方向での原子位置は決定されているものの[2、41、その表面垂直方向への原子座標 についての情報はまだ得られていない。

  本章では、反射高速電子回折法(reflection high-energy electron djfraction; RHEED)を用いて、 lnSb(1n)A-(2×2)、B-(2×2)の表面垂直方向の原子座標を決定する。当該表面の構造解析に

RKEEDを用いる理由を以下に述べる。(i)第2章で詳説したように、RHEEDの電子線の入射方位 を基板表面の晶帯軸から数度ずらした場合には、RHEEDの鏡面反射強度には表面垂直方向の原子

(41)

-。

図3

jryト宍 gHRRn rn4ing。1rueぷ用いた誂S厨11n表面の構造解析

a)vacancy

buckling l‘11ode1

Ga(ln)-vacancyサイト

0  1sUayer Ga(ln)

0 2nd

layer As(Sb)

b)trimer mode1

As(Sb)-trimer

chemisorbed As(Sb)

1st layer As(Sb)

0  2nd

layer Ga(ln)

1: III-V族化合物半導体の{111}A、B表面の原子配列。

(a)III族-vacancy buckling構造、(♭)V族-trimer構造

36

(42)

㎜-.、 第3 { 4 こ ki.rtgcurue平  座標に関する情報のみが反映される。この場合、その佐波計算には逆格子の00-ロッド(鏡面反射)の みを取り込めばよいことが判っている(この条件を一波条件という)[8]。一般に、回折強度の計算 に要する時間は、計算に用いる波(巡格子ロッドjの数の2∼3乗に比例するためt9八今回対象として いる系のように表面平行方向に関する原子座標が与えられている場合には、一波条件下での RHEED強度解析は、計算時間を大幅に減らすことが出来るという点で大麦有効である。さらに、 吊)RHEEDにおいては試料表面上に広い空間領域を確保できるため、化合物半導体の清浄表面の作

製に不可欠とされる分子線エビタキシー法(molecular beam epitaxy; MBE)などの薄膜成長手法と

併用することが容易となる。そのため、清浄表面の作製とその構造解析を、同一装置内で、しかも、 ほとんど時間を経ずに行うことが出来、通常この2つのプロセスの間で起こりやすい試料表面の汚染 などの表面性状の変化を最小限に抑えることができる。 3-2.実験方法 3-2-1.実験装置   実験はRHEED装置(エイコーエンジニアリング製、MB-1000)およびオージエ電子分光(Auger electron spectroscopy; AES)装置(ULVAC-P狂I製、10-115)を備えたMBE槽内で行った。装置全体

の概略図を図3-2に示す。この装置の排気系は、主排気ポンプとして、磁気浮上型ターボ分子ポンプ (荏原製作所製、ET-300、排気速度:310 Z/s)、イオンポンプ(ANELVA製、PIC・110 1P、排気速度: 140 1/s)およびチタンサプリメーションポンプ(AN'ELVA製、956-7015、排気速度:400 1/s)を、補 助ポンプとしてロータリーポンプ(アルカテル製、2012A、排気速度:260 1/min)を用いた。ロータ リーポンプとターボ分子ポンプの間には、ロータリーポンプからの油の逆拡散を防ぐためにフォア ライントラップを設けてあり、実験を完全なオイルフリーの状態で行うことが可能となっている。 また、チタンサブリメーションポンプの周囲および蒸着源近傍と真空槽内壁には、クライオポンプ 的な役割を果たす液体窒素シュラウドが設けてある。

  この装置の到達真空度と試料加熱中の真空度は、それぞれ、3×10'1o Torrと7×10'l° Torrであ

る。真空度の測定にはBayard-Alpert(BA)ゲージ(ANELVA製、MIG-921)と四重極質量分析計 CULVAC-PH:I、MSQ-400)を用いた。

(43)

-. -箇コ首 RHEEDroc厄似cur回をノ月いた s回n幻表面の構道騨折        -一一

(1)電子銃、(2)フィラメント、(3)アノード、(4)収束レンズ、(5)偏向レンズ、

(6)基板ホルダー、(7)液体窒素シュラウド、(8)シャッター、(9)蛍光板、

(10)エネルギー分析管、(n)Sn蒸着源、(12)ln蒸着源、(13)Sb蒸着源。

(14)水晶振動子膜厚計、(15)マニピュレーター、(16)ゲートバルブ、

(17)ターボ分子ポンプ、(18)チタンサブリメーションポンプ、

(19)バイトンバルブ、(20)イオンポンプ、(21)フォアライントラッブ、

(22)補助バルブ、(23)ロータリーポンプ

図3-2: MBE/RHEED/AES装置の概略図。

38

(44)

--、 力口む RμK吋い、、rhi.ngcurueぷ用いた S厨IH}表面の構道漸折   試料ホルダーはMo製であり、これは加熱機構を備えた5軸のマニピュレーターに装着される。 ニのマニピュレーターを操作することにより、RHEED、AES測定に際し電子線の試料への入射角 度を所定値に設定できる。試料の加熱はマニピュレーターに装備されているヒーターを用いて行う。 基板温度の測定にはホルダーに収り付けられたクロメルーアルメル熱竃対を用い、その校疋はlnSb の融点(525°C)を基準として行った。   MBEシステムは、ln、Sb、およびSnの蒸若原と膜厚モニターで構成される。lnとSnの蒸着源 には、タングステンワイヤーを円総状に巻いたものにアルミナをコーティングしたバスケットタイ プのものを用いた。 Sbの蒸着原には、ボロンナイトライド製のKnudsenセル(オリフィス径=0.5 mm)を用いた。各々の蒸着源に挿入する物質の純度は、hとSbが99.999%、Snが99.9999%である。

蒸着中の膜厚および蒸着速度の測定には水晶振動子膜厚計(quartz crystaloscmator; QCO、

ULVAC製、CRTM・1000)を用いた。 3-2-2.実験方法   基板試料には住友電気工業製のlnSb単結晶{n1}A、Bウエハを使用した。 5mmx10mm程度の サイズに試料を切り出した後、トリクロロエチレンとエチルアルコールの温浴中で、それぞれ3度づ つ脱脂洗浄を行う。その後、乳酸と硝酸の10:1混合溶液中で20∼30分の聞化学研磨を行うことによ り、基板表面上に存在する金属、酸化物、炭化物などの不純物を除去する。   試料を超高真空中に導入した後、まず、基板を460°Cで加熱清浄化を行う。これによって、大 気中での化学研磨では除去しきれなかった表面の酸化物層を除去することができる。その際、hに 比͡;てその蒸気圧が高いSbが優先鋭離するので、これを袖うためSb4の分子線を9.0×1 ・ atoms/cm2sの強度で入射した。次に、より結晶性および平坦性の高い表面を得るために基板温度を 約300°Cに設定して、lnSbのホモエピタキシャル成長を施す。このときのln1とSb4の分子線強度は、 それぞれ、9.0×1012 atoms/cm2 sおよび1.4×1013 a七〇ms/cm2sであった。この一連の手順により、 望みの化学量論組成を有する、清浄かつ平坦なlnSb{1n}A、B-(2×2)表面を得ることができる。   RHEEDの加速電圧は、5∼30kevの間で任意に設定できる。本実験では、RHEED rocking cufveは、10 kevで加速された電子の鏡面反射点(スポットサイズは約80μm)から測定された。測定 39

Referensi

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