• Tidak ada hasil yang ditemukan

Wagakuni no shukuhaku sangyō ni okeru rebenyū manejimento no jittai chōsa

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

Membagikan "Wagakuni no shukuhaku sangyō ni okeru rebenyū manejimento no jittai chōsa"

Copied!
33
0
0

Teks penuh

(1)Title Sub Title Author Publisher Publication year Jtitle Abstract Notes Genre URL. Powered by TCPDF (www.tcpdf.org). わが国の宿泊産業におけるレベニュー・マネジメントの実態調査 東, 智博(Higashi, Tomohiro) 木村, 太一( Kimura, Taichi) 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 2018. Thesis or Dissertation http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=KO40003001-00002018 -3466.

(2) 慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程. 学位論文. (. 2018. 年度). 論文題名. わが国の宿泊産業におけるレベニュー・マネジメントの実態調査. 主査. 木村 太一. 副査. 太田 康広. 副査. 余田 拓郎. 氏. 名. 東 智博. -1-.

(3) 論 文 要 旨. 所属ゼミ. 木村太一 研究会. 氏名. 東. 智博. (論文題名). わが国の宿泊産業におけるレベニュー・マネジメントの実態調査 (内容の要旨) 近年、国内におけるビジネスホテルおよびシティホテルでは、過去のアンケート調査による研究 により、レベニュー・マネジメントという手法が一般化してきていることが明らかとなっている。 しかし、実際にどのような形で組織内で運用されているのかといったミクロな視点での研究はい まだなされていないのが現状である。このことを踏まえて、本研究では国内のビジネスホテルお よびシティホテルのレベニュー・マネジメントの運用の実態調査をすることを目的に、インタビ ュー調査を行った。その結果、価格変動の方法や組織内におけるレベニュー・マネージャーの所 属部署、レベニュー・マネージャーの業績評価指標、価格の決定権限、価格の決定プロセスとい った様々な特徴が明らかとなった。. -2-.

(4) 目次 1. はじめに 1-1 本研究の目的 1-2 レベニュー・マネジメントの概要 1-3 レベニュー・マネジメントが適合する業界 1-4 ホテルのレベニュー・マネジメントの普及要因 1-5 ホテルのレベニュー・マネジメントの業績尺度について 2. 調査方法 3. インタビュー結果 3-1 レベニュー・マネジメントの取り組み状況 3-1-1 レベニュー・マネジメントの導入状況 3-1-2 レベニュー・マネジメント導入の経緯 3-1-3 客室価格のコントロール手法 3-1-4 客室の販売ルートに占める OTA とリアルエージェントの割合の変化 3-2 レベニュー・マネジメントの主体 3-2-1 組織内でレベニュー・マネジメントを担う部署 3-2-2 ホテル全体及びレベニュー・マネージャーの業績評価指標(KPI)について 3-2-3 価格の決定プロセス 3-2-4 レベニュー・マネージャーの価格の決定権限 3-3 レベニュー・マネジメントの現状での評価および課題 5.おわりに 参考文献. -3-.

(5) 1 はじめに 1-1 本研究の目的 近年米国を中心に、ホテルなどの宿泊産業でレベニュー・マネジメント1という手法が 一般化してきている。レベニュー・マネジメントとは時期によって変化する需要に応じて製 品・サービスの販売価格を変動させることを通じて、収益の最大化を図ることを目的とする 手法である。近年この手法は日本のホテルでも広く紹介され、急速に浸透していったことで 知られている。レベニュー・マネジメントの研究は欧米ではさかんになされてきた。例えば (Cross, 1997) 、(Bartz, 2007)、(Ng, 2008)、(Huefner, 2011)などが挙げられる。しかし、 日本のホテルにおける、レベニュー・マネジメントの現状については限定的な調査にとどま っており、必ずしもその実態は明確ではない。 日本国内のホテルのレベニュー・マネジメントの実態研究には、青木・植竹(2009, 2016) 、 植竹・青木(2011) 、青木・植竹・佐々木(2018)が挙げられる。青木・植竹(2009, 2016) および植竹・青木(2011)は北海道や沖縄といった、レベニュー・マネジメントが普及過程 にある地域のリゾートホテルに焦点を当てたものである。青木・植竹(2009)は 2009 年 1 月に質問票調査を行い、両地域において一定の割合でレベニュー・マネジメントが実施され ていることを明らかにした。また、両地域では繁閑格差が売上金額において経営に深刻な影 響を及ぼしているということに加え、繁忙期には客室単価、閑散期には稼働率を重視する傾 向があることも明らかとした。これに続いて、植竹・青木(2011)は 2010 年 7 月に実施し た質問票調査に基づき、ネット直販比率が北海道では 10~15%と回答したホテルが一番多 かったのに対して、沖縄では 0~5%と回答したホテルが一番多かったこと、商品プラン策定 の際には顧客セグメントが最も重視され、商品プランの価格設定に際しては競合他社の価 格や自社の売り上げ目標よりも自社の需要予測が大いに参考にされること、口コミサイト と自社ホームページがインターネットを利用した広報活動として重視されていることなど を明らかにした。青木・植竹(2016)はこれまでの研究に続いてさらに追跡研究を行った。 2015 年 9 月に実施した質問票調査に基づき、通年のネット直販比率が北海道と沖縄の両地 域ともに 30~50%と回答したホテルが最も多かったこと、レベニュー・マネジメントの手法. 1. レベニュー・マネジメントは業界や研究者によって様々な定義がなされているが、本論文では、概念を最も広い範囲. で捉えており、かつ代表的なものとして多くの論文でも引用されている、クロス(1998)の「適正な製品を、適正な顧 客に、適正な時期に、適正な価格で販売すること」(p.176)というものを用いることとする。. -4-.

(6) としてはエクセルなどを用いて、重要予測を行いコントロールしていると回答したホテル が最も多かったこと、またレベニュー・マネージャーは全ての客室価格の決定について権限 を有していると回答したホテルが最も多かったことなどを明らかにした。これらの研究は、 北海道や沖縄といった、航空機の利用を伴う、直前需要があまり見込めない地域であっても、 レベニュー・マネジメントが急速に浸透していることを明らかにした。 また、リゾートホテルにとどまらず、日本国内のシティホテル、ビジネスホテル、日本旅 館も含めた宿泊施設のレベニュー・マネジメントの実態調査を行った研究としては、青木・ 植竹・佐々木(2018)が挙げられる。国内の 100 室以上の客室を保有する宿泊施設に対す る質問票調査を行い、以下のことを明らかにした。第 1 に、ネット直販の比率がおおむね 4 割を超えていること。第 2 に、近年では OTA の普及によりレベニュー・マネージャーの権 限は拡大してきているが、特に規模が大きい宿泊施設、また売上全体に占める客室売上の比 率が高いビジネスホテルやリゾートホテルにその傾向が見えること。第 3 に、収益管理の 方針については、価格やプランの開け閉めについては他社の状況よりも自社の需要動向に 基づいて意思決定がなされる傾向が強く、価格の一貫性も重視されていた。また、需要予測 に関しても計画の策定と事後的な差異分析との両方が重視されていたが、事後的な統制の 方が重要度がより高いという傾向がみられたこと。第 4 に、レピュテーションが重視され ており、販売促進のツールとして強く意識されていたものの、レピュテーションのスコアを 価格決定に関連付けることはまだ発展途上であるのが現状であるということ。第 5 に、多 くの宿泊施設において、新規顧客の獲得から既存顧客の維持といったことを目的としたポ イント・プログラムが導入されていた。ただし、その目的は売り上げの増大であり、販促コ ストの削減についてはあまり重視されていないことも明らかとなった。 以上の様に、日本の宿泊施設のレベニュー・マネジメントについてマクロな視点からの研 究はある程度の積み重ねがなされてきたが、実際にどのような形で組織内で運用されてい るのかといったミクロな視点での研究はいまだなされていないのが現状である。このこと を踏まえて、本研究の目的はインタビューを通して国内のビジネスホテルおよびシティホ テルのレベニュー・マネジメントの運用の実態調査をすることにある。具体的には組織内に おいてどの部署がレベニュー・マネジメントを担っているのかということ、またレベニュ ー・マネージャーの価格の決定権限や価格の決定プロセスについてより詳細に明らかにし ていくこととする。また、レベニュー・マネジメントの今後の課題についてのインタビュー も交えた上で、ホテルのレベニュー・マネジメントの今後の展望について考察することが本 研究の目的である。 -5-.

(7) 1-2 レベニュー・マネジメントの概要 まず本論文でのテーマの中心的な概念であるレベニュー・マネジメントの概要および、誕 生の経緯、そしてその効果について言及しておくこととする。 レベニュー・マネジメントは業界や研究者によって様々な定義がなされているが、本論文 では、概念を最も広い範囲で捉えており、かつ代表的なものとして多くの論文でも引用され ている、クロス(1998)の「適正な製品を、適正な顧客に、適正な時期に、適正な価格で販 売すること」 (p.176)というものを用いることとする。この考えに基づいて収益を最大化す ることがレベニュー・マネジメントの目的となる。 青木、植竹(2009)によると、レベニュー・マネジメントは 1985 年にアメリカン航空が、 格安航空会社に対抗して初めて採用した手法であると言われている。当時アメリカの航空 産業では 1978 年以降の規制緩和により、ピープル・エキスプレス航空に代表される、従来 よりも大幅な低価格でサービスを提供する航空会社が出現していた。同社は次第に規模を 拡大していき、ついには高収益路線にも参入し、大手航空会社を脅かす存在にまで成長を遂 げることとなった。このような状況に危機感を感じたアメリカン航空は、1985 年にスーパ ーセイバー料金2を初めて導入し、同一便の座席に異なる運賃の設定を行った。すなわち、 従来は同一便の座席には一律の料金を設定していたのであるが、このことを機に、限られた 座席については、ピープル・エキスプレス航空と同額もしくはそれ以下の料金を設定したの である。この戦略によりピープル・エクスプレス航空は価格優位性を失い、結果的に 1986 年には経営破綻という結末を迎えることとなった。 では具体的にどのような手順をとることによって、レベニュー・マネジメントは実現され るのであろうか。桑原・池田・宮下(2013)によると、まず全体のマーケットを購買行動が 類似したいくつかのミクロ・マーケットに細分化し、ミクロ・マーケットレベルでの消費者 行動を予測し、需要に応じた製品の最適価格を提供するための戦略が必要であるとのこと である。図表 1 はマーケット全体をミクロ・マーケットに細分化し、それぞれに最適な価格 を提示することにより、収益の最大化を図ることができることを示している。. 2. 自社の座席予約システムをを利用し、フライトの 3 週間前までに予約を入れた場合に限定して適用された、限定割引. 運賃。 (酒井、武田、2014). -6-.

(8) 図表1 ミクロ・マーケットの増収可能性. 筆者作成. 図表 1 によると、マーケットを単一のものと捉え、一律で 5 万円で販売した場合はある 一定の収益を上げることはできるが、5 万円以上であっても購入したかもしれない顧客の収 益を逃すという形での機会損失が発生することに加え、5 万円以下であったら購入したかも しれない顧客の潜在需要を逃すことにもつながってしまいかねない。しかし、マーケットを 細分化し、ミクロ・マーケットを認識することによって、それぞれのミクロ・マーケットの ニーズに合致した商品・価格を提示することができるため、マーケット全体から得られる収 益が最大化されるのである。桑原・池田・宮下(2013,p.89)はこのことを踏まえて、 「RM(引 用者注:レベニュー・マネジメント)の基本概念は、マーケットを構成する顧客の嗜好と購 買行動を予測し(=ミクロ・マーケットを捉える) 、商品・価格戦略を最適化することであ る」と説明している。. 1-3 レベニュー・マネジメントが適合する業界 前節で述べたように、レベニュー・マネジメントはもともと航空産業に起源があるといわ れているが、この手法は様々な業界に応用が可能であるとされている。片岡(2017)による と、実際に航空産業で導入されて以降、他の業界にも次から次へと導入されていき、現在は 鉄道、船舶(これらは旅客と貨物どちらにも適用) 、映画館運営、スタジアム運営、また近 年ではゴルフ場や電気通信会社、病院などにも適用事例があるという。 では、レベニュー・マネジメントが適合する業界にはどのような特徴があるのであろうか。 -7-.

(9) このことについて Huefner(2011,pp.10-12)は業界ないし会社がレベニュー・マネジメント の技術を利用するための特性を示した。それが以下の 5 つのものである。 ① 商品の供給量(キャパシティ)が比較的固定的である。 ② 商品は事前に予約販売されることが多く、ある時点を過ぎると価値がなくなる(事前購 入性、消滅性) 。 ③ 固定費の割合が比較的高く、変動費の割合が低いコスト構造である。 ④ 需要の季節変動(需要の変動性)がある。 ⑤ ある程度の需要予測が可能である。 本研究の対象となるホテルも上記の条件に当てはまると言われている。ではここでホテ ルがなぜレベニュー・マネジメントに適合する業界であるのか上記の条件に照らし合わせ て以下に整理していくこととする。. ① 商品の供給量(キャパシティ)が比較的固定的である。 ホテルは施設内にあらかじめ一定数の客室数を確保しており、その供給量を需要の変動 によって変化させることはできない。つまりキャパシティが有形固定資産に依存している ため、供給量の短期的な変化は困難である。. ② 商品は事前に予約販売されることが多く、ある時点を過ぎると価値がなくなる (事前購入性、消滅性) 。 旅客航空機は空席があっても、定時にそのまま離陸しなければならず、空席の分は消費さ れず、その分は機会損失となってしまう。同様に、ホテルも一日単位で考えると、その日に 空室があったとしてもその空室を別の日に持ち越して販売することができないという特徴 がある。このようにホテルは未利用キャパシティを将来の利用に備えて棚卸をするという ことができないのである。つまり、全キャパシティが利用の有無にかかわらず、時間の経過 とともに消失してしまうため、このことは収益獲得機会が永久に失われてしまうことを意 味する(片岡、2017) 。. -8-.

(10) ③ 固定費の割合が比較的高く、変動費の割合が低いコスト構造である。 コスト構造に占める固定費の割合が高いことは、コスト・マネジメント以上にレベニュー マネジメントによって収益の拡大が利益の増加に大きく貢献することを意味する。桑原・ 池田・宮下(2013)はレベニュー・マネジメントは主に大規模設備を伴うサービス業に適合 すると述べているが、それはまさにこの理由によるものである。図表 2 は日本全国に多く のシティホテルを展開する藤田観光と ANA ホールディングスの比例縮尺図を示したもの であるが、これを確認してみてもホテルが航空産業と同様に、装置産業であるということを 確認することができる。. 図表2 ANA ホールディング株式会社と藤田観光株式会社の比例縮尺財務諸表. 藤田観光株式会社. ANAホールディングス株式会社 125. 2.5. 2. 流動資産. 100. 流動負債. 流動負債. 75. 1.5 固定負債. 兆円. 十億円. 0.5 無形固定資産. 固定負債 50. 1 有形固定資産. 0. 流動資産. 有形固定資産. 25. 純資産. 投資・その他. 0. 無形固定資産 投資・その他. 純資産. 2017年12月期. 2017年3月期. 健全どんぶり会計β版、ANA ホールディングス株式会社と藤田観光の比例縮尺財務諸表 (https://donburi.accountant/notebook/?display=500&mode=edit)より筆者作成. -9-.

(11) ④ 需要の季節変動(需要の変動性)がある。 ホテルが時期によって需要が大きく変動するというのは分かりやすいものであろう。例 えば、あるイベントが近くで開催されるということであれば、その近隣に位置するホテルの 需要は大幅に増加するであろうし、季節によっては観光客の増加が見込まれる時期という のもあるであろう。また、ビジネスホテルであれば平日の客室稼働率は高いものの、週末の 客室稼働率は低いかもしれない。そのため、こういった状況に対してはレベニューマネジメ ントによる適当な販売価格の設定により、空いている時間帯に顧客を引き込むことを通じ て、需要を平準化することが効果的である。. ⑤ ある程度の需要予測が可能である。 前述のようにホテルは季節や開催されるイベントの日程、また近隣のホテルの林立状況 などによりおおまかに需要を事前に予測することが可能である。さらに過去のデータの蓄 積も近年では進んでいるため、今後その需要予測の精度はより高まっていくと考えられる。. 1-4 ホテルのレベニュー・マネジメントの普及要因 前節で述べたように、ホテルもレベニュー・マネジメントが適合する業界であると言われ ており、近年では多くのホテルで導入されている技術である。ホテルのレベニューマ ネジメントの導入を促進した大きな要因として、販売ルートの変化を挙げることができる。 すなわち従来の有店舗の旅行代理店を通じた販売から、楽天トラベル3やじゃらん4やエクス ペディア5といった、インターネット上の旅行代理店である OTA(Online Travel Agent)6 を通じた販売に重点が変化してきたことにより、ホテルにとって自社による直接販売の余 地が生まれたことが大きな要因であるということである。 従来の有店舗の旅行代理店での販売と異なり、OTA を通じた販売の特徴としては、販売 手数料の低さ、リードタイムの短さに加えて、ネット上で販売する商品の価格やプランを 変更可能であるという点が挙げられる(青木、2013) 。消費者はこれらの OTA を通じて有. 3. https://travel.rakuten.co.jp/. 4. https://www.jalan.net/. 5. https://www.expedia.co.jp/. 6. インターネットだけで取引を行う旅行代理店のことを指す。実店舗で営業を行っている旅行会社のオンライン上での 販売は OTA には含まれない。(JTB 総合研究所). - 10 -.

(12) 店舗の旅行代理店を通さずに航空券や宿泊施設を比較検討しながら購入することができる ようになったため、ホテルとしても OTA を通じた販売戦略に舵を切ることとなったので ある(青木、植竹、佐々木、2018)。 青木(2013)によると、OTA が普及する前は、ホテルは旅行代理店にパッケージとして 客室をまとめて販売していたが、その場合の各施設の収益管理は、それぞれの旅行代理店に 対してどの程度の客室を割り当てるかという点が問題であったという。また、いったん交渉 で価格が決まると、その変更も容易ではなかったため、需要に応じた価格のコントロールと いうのはホテルにとっては困難であった。しかし、OTA を通じた予約販売が普及すること により、ホテル側が常に価格をコントロールすることを通じて、その都度ターゲットとする 顧客層のニーズに合った価格戦略を行うことが可能となったのである。. 1-5 ホテルのレベニュー・マネジメントの業績尺度について レベニュー・マネジメントの目的は、収益の最大化を通じて、ホテルの利益の最大化を図 ることである。では、ホテルの収益というのは実際どのような業績指標を用いて測るのであ ろうか。一般的にホテル業界では RevPAR(Revenue per Available rooms)という尺度が用 いられていると言われている(植竹、青木、2009) 。RevPAR とは ADR(Average Daily Room Rate:客室一室あたり平均室料)に客室稼働率(販売された客室数を利用可能な客室数で除 したもの)を乗じた数値である。. ホテルにおいては販売可能な客室数が限られている。このような場合には、収益を上げる ためには客室単価を上げるかもしくは客室稼働率を上げればよいことになる。しかし、平均 客室販売単価と客室稼働率はトレードオフの関係にある。すなわち、客室単価をあげれば稼 - 11 -.

(13) 働率は下がるであろうし、反対に稼働率を上げようと思えば客室単価を下げるという方法 がとられるということである。 そこで上記の式に基づく RevPAR を業績指標とすることで、 両者を同時に追求し、収益の最大化を図ることができるということがこの指標を用いる一 番の理由である(青木、植竹、佐々木 2018) 。ただし日本のホテルの多くは客室売上よりも、 宴会やレストランといった付帯収益の売上の方が上回っているため、RevPAR はホテルの 収益の一部にすぎないという見方もできる。しかし、このような付帯収益はホテルの本業で ある客室の状況を大いに反映しているという前提があるがゆえに、ホテル全体で重視され ている指標だと考えられている(植竹、青木、2009) 。. - 12 -.

(14) 2 調査方法 本研究では、ホテルにおけるレベニュー・マネジメントの運用における実態調査が目的で あるため、都内にある 2 つのシティホテルの施設内の担当者に加え、国内の複数拠点にシ ティホテルを展開する 4 つの企業の本社内の担当者に対して、レベニュー・マネジメント の運営の実態についてのインタビューを行った。インタビュー方法は事前にある程度の質 問項目を決めていったが、場合によっては情報提供者の語りに合わせて、自由に聞き取りを 行うという半構造化インタビューの形式を採用することとした。これは研究者がインタビ ュイーを誘導することをせず、インタビュイーの自由な語りを重視することによって、イン タビュー内容にバイアスがかからないようにすることが狙いとしてあった。事前に準備を していた質問項目は主に以下の 3 点である。 1 点目は「レベニュー・マネジメントの取り組み状況」についてである。そもそもレベニ ュー・マネジメントを導入しているかという確認から入り、どのような経緯で導入すること となったのか、また実際にどのような手法を用いて価格設定を行っているのかという質問 を行った。また、客室の販売ルートにおける OTA とリアルエージェントの割合にもどのよ うな変化が生じたのかという点についても質問を行った。 2 点目は「レベニュー・マネジメントの主体」についてである。レベニュー・マネジメン トの運営が実際に組織内でどのように行われているかということを明らかとするためにも、 本研究の中でもとりわけ重要なところである。具体的には、組織内においてどの部署がレベ ニュー・マネジメントを担っているのかということに加え、どのようなプロセスを経て価格 が決定されるのかということについての質問を行った。また、宿泊以外に宴会場やレストラ ンを抱えているような形態のホテルに対しては、客室や宴会場の価格が双方の需要に影響 するのではないかということを鑑みて、レベニュー・マネージャーの価格の決定権限が客室 以外の領域にも及ぶものであるのかという点についても確認を行った。 最後の 3 点目は「レベニュー・マネジメントの現状での評価」についてである。現状のレ ベニュー・マネジメントを鑑みた上で、今後どのような課題があるのかという点について考 えてもらった。 インタビュイーの属性および、インタビューの実施日と実施場所については図表 3 の通 りである。なお、企業名および施設名は承諾を得たところのみ実名を用いている。また、イ ンタビュー内容を踏まえた上で生じた新たな疑問については、後日メールを通じて追加質 問を行った。. - 13 -.

(15) 図表 3 インタビューの概要. - 14 -.

(16) ⒊ インタビュー結果 3-1 レベニュー・マネジメントの取り組み状況 初めにレベニュー・マネジメントの現状での取り組み状況についてのインタビューを行 った。まずレベニュー・マネジメントの導入状況について確認し、導入の経緯、そして具体 的にどのような手法で価格のコントロールを行っているのかということについてそれぞれ のインタビュイーに質問を行い、最後に客室の販売ルートの変化についても確認を行った。. 3-1-1 レベニュー・マネジメントの導入状況 まずインタビューの取り掛かりとして、そもそも客室の価格が時期や時間に応じて変動 しているかどうかという質問をする必要がある。つまり、施設としてそもそもレベニュー・ マネジメントに取り組んでいるかどうかを確認するのがこの質問の意図である。結果とし て、インタビューの対象者全員から自分の担当する施設もしくはグループ全体でレベニュ ー・マネジメントに取り組んでいるという返答を受けた。また、価格を変動する際に、各施 設の近隣の競合の価格の変動について常に把握しつつ行うという回答が全ての対象者から 得られたことから、レベニュー・マネジメントはいまやビジネスホテルやシティホテルにお いて一般的な手法であるということが本インタビューでも確認することができる。. 3-1-2 レベニュー・マネジメント導入の経緯 レベニュー・マネジメントをどのような時期にどのような理由で取り入れるようになっ たのかという質問に対する返答には概ね同様の傾向がみられた。時期に関してはおよそ 10 年前ごろであり、インターネットが一般家庭にも充分普及し、OTA の予約に占める割合が 次第に増加してきたタイミングで本格的に取り入れるようになってきたようである。例え ばこのことについて株式会社 A ホテルのインタビュイーは以下のような説明を行った。. 「やはり最初に航空会社さんがレベニュー・マネジメントというのをはじめられ て、うちも装置産業というか、在庫が限られている産業なので、同じくホテルにも 置き換えようとしたのがきっかけです。私が入社したころも価格変動制というの はあったんですけど、10年前ごろからあったんですけど、レベニュー・マネジメ - 15 -.

(17) ントという言葉を使うようになったのは8年ぐらい前ですね。それまではなんと なく感覚で今日はこれぐらいだろうというのもありましたし、あとはどうしても 昔はリアルエージェントさんが多かったんですけど、だんだん OTA になってきた ことによって、変わったというのがありますね。」 (株式会社 A ホテル). 3-1-3 客室価格のコントロール手法 レベニュー・マネジメントがビジネスホテルやシティホテルで主流となっている中、具体 的にどのような手法や考えに基づいて、価格の変動を行っているのかということについて の質問をそれぞれのインタビュイーに行ってみた。おおよそ全ての特徴としてみられたこ とは主に 3 点あげられる。1 点目はレベニュー・マネジメント・システムのソフトを用いて いるということである。2 点目は各施設の近隣の競合の価格や近隣でのイベント、在庫の状 況に応じて変動を行っていること。3 点目は、システムを導入しているもののあくまで価格 の変動は自動ではなく、人の判断によって行われているということである。 例えば、ホテルラングウッドは 3 年前から新たなソフトを導入し、OTA を中心に周辺施 設の価格や需要動向を見ながら 1 日単位で価格の変動を行っている。また、国内サイトに 関しては半年先までの在庫についてコントロールをし、海外のサイトに関しては 1 年先ま での在庫を出して価格のコントロールを日々行っているとのことである。. 「まあ以前先ほどお話ありましたようにまず X ソフトをいれましたが、3年ほど 前から Y ソフトに変更しました。こちらでまあ一括で OTA そして今リアルエー ジェントもこちらでコントロールできるというのもありますので、今こちらを通 じて周辺の価格をみて、その時の需要動向をみて料金の上げ下げをしている形で すね。ポイントとなるのは最近の傾向では直近での変更ですね、ですから当日でも やはり上げたり下げたりというようなコントロールを日々やっていますね。あと は先の部分では催し物だったり、この辺ですと最近ですと花火大会あとはまあ、お 祭りごとがあったりとかすると先に高く設定したりそういうところは臨機応変に やっていますね。で、基本海外のサイトに関しては1年先まで、そして国内のサイ トですと半年先前の在庫を出してコントロールしていますね。」 (ホテルラングウッド). - 16 -.

(18) また、ホテル事業を多くの事業の 1 つとして展開しており、グループ内で 23 軒の宿泊施 設を抱える株式会社 G 社は、本社が各施設の周辺の競合の価格を調査し、それを各施設に 配信するという手法をとっているという。ただし、最終的な価格の決定権限は各施設に委ね られているというのが特徴である。. 「 (中略)Z ソフトっていうソフトを使って競合価格の調査をして、それは各施設 に、対象施設に本社から配信はしているんですけど、その使い方は支配人によって、 えっと、各施設でやるっていうところがまあ、はい。まあちょっと施設によってパ ターンがいくつかあるというような形です。どうしてもブランドが違ったり、形式 が違ったり、というすごく施設によって差があるので、1 本これでやってますとい うのがなかなかできない運用形態となってます。 」 (株式会社 G 社). 株式会社 A ホテルは東京や大阪、名古屋といった大都市圏は直営という形で、その他の 地方では主にフランチャイズという形で全国にビジネスホテルを展開しているが、価格の 決定は本社が主導するのではなく、基本的に各施設の支配人に委ねられている。ただし、各 地域ごとにおおよそ価格の上限と下限を決めて、その範囲内でのコントロールを任せられ ているという形である。また、都内などの大都市圏になると、非常に狭い範囲の立地に複数 の施設が配置されており、顧客にとってはどの施設に宿泊してもそれほど利便性に差がな いとしても、ホテル名の後に続く立地名によって価格設定は大きく異なるということも明 らかとなった。. 「そうですね、記録をとるようにはなりましたね。それまではなんとなく感覚で今 日はこれぐらいだろうというのもありましたし、あとはどうしても昔はリアルエ ージェントさんが多かったんですけど、だんだん OTA になってきたことによっ て、変わったというのがありますね。 (中略)基本的には在庫ですね。在庫を見て 料金設定するという形です。(中略)一応最高金額と最低金額というのは決めてい ますけど、その範囲以内であれ ば、自由に決めても大丈夫です。 (中略)その幅 が、 、まあ最低が3500円なんですね。上は2万ともうちょっと。 (中略)だいた いの3500円というのはある意味その、、赤字にならない金額っていうか、原価 - 17 -.

(19) っていうかその金額です。まあ稼働によって原価は若干変わってきますけど。(中 略)ただ、名前で全然価格は違っていて、例えば新富町と銀座はほぼほぼ同じエリ アなんですけど、ホテル名に銀座とつくと2000円くらい高く ADR とることが できるんですね。反対に新富町だと駅から右行くか左行くかくらいの違いなのに、 銀座って名前か新富町って名前の違いで2000円くらい金額が違いますね。反 対に2000円新富町で価格を上げると、満室にならないと思いますね。(中略) 一応フランチャイズに関しては、本社でスーパーバイザーっていう人間がいます ので、そのスーパーバイザーがまあいろんな運営ノウハウとか価格設定とか、こう いう金額にしたほうがいいよとかこういうプラン作った方がいいよとかは言いま すけれど、 、話は聞くけど、やるかどうかはまた別の話なので。まあ今はやったほ うがいいとオーナーさんが思ってくださっているんで、やってくださってる部分 はありますけれども。」 (A ホテル). 株式会社京王プラザホテルと株式会社 B ホテルと株式会社 C ホテルの 3 社に関しては、 近隣のイベント情報などにより需要予測を行い価格を変動させていることに加え、近隣の 競合ホテルとも価格を共有し合っているため、それを参考に価格を決めるという形式であ るという特徴が挙げられた。. 「うちは新宿にあるので、新宿の周りでどんなイベントがあるのかということや、 まわりのホテルの単価をみながらコントロールしています。 (中略)あの、何個か 10 ホテルぐらい常に単価のデータを共有しあっているところがありまして、 、新宿 エリアだけでなく 23 区内のホテルでデータを共有しています。 」 (京王プラザホテル). 「そうですね、入ってきている予約と、前年や今まで蓄積したデータと時期をみて 価格を決めています。もちろん競合もエリアの ADR7は常に情報共有していてわか るようになっていますので、そこを反映している形になっています。 」 (株式会社 B ホテル). 7. Average Daily Room Rate の略であり、客室売上を販売された客室数で除した値のことをいう。ADR に客室稼働率を. 乗じた値が、RevPAR となる。. - 18 -.

(20) 「やはり競合他社さんの価格も見ますので、ソフトを使って情報を収集したり、あ とはホテルでも集まりがあるので、ADR の報告をしあったりするので、そこで自 分たちの価格を見直したりしています。また、自分たちのホテルは武道館が近いの で、イベント関係によっても変更があります。」 (株式会社 C ホテル). 3-1-4 客室の販売ルートに占める OTA とリアルエージェントの割合の変化 先に述べたように、レベニュー・マネジメントは客室の販売ルートにおける OTA の割合 の増加によって促されたと考えられている。従来は客室の販売ルートにおける割合がリア ルエージェントが多くを占めていたため、ホテル側の価格変動の自由は制限されていた。し かし、インターネットの普及により OTA の割合が上昇していったため、各ホテルがリアル エージェントを介さず、自由に価格を設定することができるようになったと考えられる。従 って、ここでは実際に各ホテルの販売ルートの変化について確認するために、レベニュー・ マネジメントに取り組んでいる各ホテルに対して OTA の割合の増加傾向について尋ねて みた。具体的な数値の言及を避けつつも、結果としてはやはり予想通り、全てのインタビュ イーから OTA の割合は年々増加しているという返答がみられた。. 「ネットから予約が8割 5 分ぐらいはありますね。 地区によっても違いますけど、 例えば北海道や北陸ですとリアルエージェントに頼っているところもありますけ ど、それこそ都内とかだったらもう 9 割 5 分、OTA+公式サイト、 、というかいわ ゆるネットでの予約になります。」(株式会社 A ホテル). 「これはちょっとお答えできません、すみません。ただ OTA の割合が増えていっ ているということは事実です。」 (株式 B ホテル). 「具体的な数字は述べられませんが、OTA がどんどん増えてきているということ は言えますね。 」 (株式会社 C ホテル). また、グリーンハウス社によると近年の海外観光客の増加に伴って、OTA の中でも海外 の OTA の割合の増加傾向もみられるという。. - 19 -.

(21) 「 (中略)京都の方で OTA はだいたい 60%、エージェントが 33,4%。でこれ特徴 的なのが、この 60 の中で海外 OTA がまあ 44%ぐらいで海外 OTA が中心になっ てる感じですね。 (中略) 」 (株式会社 G 社). 3-2 レベニュー・マネジメントの主体 続いてはレベニュー・マネジメントを実際に施設内のどの部署が担っているのかという 点についての項目である。レベニュー・マネージャーがどこの部署に所属しているのかとい う質問と捉えてもよいであろう。施設によって宿泊部全体のトップが責任をもつケース、宿 泊部の中のさらに小さな部署が担うケース、また、宿泊部とは全く別のレベニュー・マネジ メント部という部署を設けて責任を持たせているケースがあることを想定していた。レベ ニュー・マネジメントを担わせる部署の違いはどのような意図によるものなのか、またその 権限の範囲まで質問に交えることにより、レベニュー・マネジメントの運用について組織的 な観点から考察することが本項目の目的である。. 3-2-1 組織内でレベニュー・マネジメントを担う部署 レベニュー・マネジメントを実際に実行する部署が施設内のどの部署なのかという質問 に対しては様々な回答があった。ホテルの事業形態によって大きく影響される部分でもあ るが、大きく分けると 4 つに分けることができた。1 点目はホテルの支配人が担当するケー ス。2 点目はホテル内の宿泊部の長が担当するケース。3 点目が宿泊部の中の宿泊予約担当 部署の長が担当するケース。4 点目は宿泊部の中にあるレベニュー・マネジメント部という レベニュー・マネジメントに特化した業務を行う独立した専門の部署の長が担当するケー スである。 1 点目のホテルの支配人がレベニュー・マネージャーを担当すると回答をしたのは株式会 社 A ホテルである。A ホテルは日本全国に展開しているが、1つ 1 つの施設はそれほど大 規模ではなく、宿泊に特化したサービスを提供するビジネスホテルを運営している。従って、 ホテルの支配人が宿泊サービス全体に責任をもっているということとなる。 2 点目のホテル内の宿泊部の長がレベニュー・マネージャーを担当すると回答したのはホ テルラングウッドである。アパホテルとは異なり、この企業が展開するホテルは宿泊以外に - 20 -.

(22) も料飲やウェディングといった様々なサービスを展開する大規模なシティホテルであり、 複数の部の中の一つである宿泊部のトップがレベニュー・マネジメントを担っているとい う形である。 3 点目の宿泊部の中の宿泊予約担当部署の長がレベニュー・マネージャーを担当すると回 答したのは株式会社 B ホテルと株式会社 C ホテルである。これらの企業が展開するホテル も 2 点目と同様に、宿泊部以外に様々なサービスを提供する比較的大規模な施設として運 営されているシティホテルである。2 点目との違いは宿泊部全体の長がレベニュー・マネー ジャーを務めるのではなく、宿泊部宿泊予約担当課という、宿泊部の中にあるさらに小さな 部署の長がレベニュー・マネージャーを務めているという点である。 4 点目の宿泊部の中にあるレベニュー・マネジメント部の長がレベニュー・マネージャー を務めていると回答したのは株式会社京王プラザホテルである。特徴としてはこの部署の 長がホテルの支配人も兼務しているという点である。すなわちそれだけレベニュー・マネジ メントの重要性を鑑みており、支配人が客室価格の決定に大きな権限を有しているという こととなる。 以上のことを踏まえて、レベニュー・マネージャーの所在と業績評価指標(KPI)につい て表したのが図表 4 である(KPI については次節にて記載) 。なお組織図については各ホテ ルの組織図を忠実に再現したものではなく、ホテルの一般的な部署のみを抜粋した簡略的 なものを用いている。. 図表 4 各ホテルの組織内におけるレベニュー・マネージャーの所在および 支配人とレベニュー・マネージャーの KPI. ケース1 支配人がレベニュー・マネージャーを兼務しているケース (株式会社 A ホテル). 支配人 (レベニュー・マネージャー) KPI:GOP. 宿泊部. - 21 -.

(23) ケース2 宿泊部長がレベニュー・マネージャーであるケース (ホテルラングウッド). 支配人 KPI : GOP. 宿泊部 (レベニュー・マネージャー). 料飲部. 営業部. KPI : GOP. 3 宿泊部の中にあるさらに小さな部署の長がレベニュー・マネージャーであるケース. (株式会社 B ホテル、株式会社 C ホテル). 支配人 KPI:GOP. 宿泊部 料飲部 KPI:GOP. 宿泊予約担当 (レベニュー・マネージャー) KPI : RevPAR. - 22 -. 営業部.

(24) ケース4 宿泊部の中のレベニュー・マネジメントのみに特化した業務を行う 部署の長(支配人が兼務)がレベニュー・マネージャーであるケース (京王プラザホテル) 支配人 (宿泊部門長およびレベニュー・マネージャーを兼務) KPI:GOP. 宿泊部 料飲部. 営業部. KPI : GOP. レベニュー・マネジメント部 (支配人がレベニュー・マネージャーを兼務) KPI : RevPAR. 3-2-2. ホテル全体及びレベニュー・マネージャーの業績評価指標(KPI)について. 各ホテルの支配人および、レベニュー・マネージャーの KPI については図表 4 に示して ある通りである。まずホテルの支配人の業績評価指標についてであるが、各施設の支配人は 最終的には GOP(Gross Operating Profit)という業績評価指標を用いて評価されるという点 はどのインタビュイーにも共通して得られた回答である。長谷川(2013)によると、GOP はホテル統一会計で利用される会計上の数値であり、ホテルの各部門およびホテル全体の 業績評価指標としても利用される項目であるとのことである。概念としては日本企業で一 般的に用いられている会計基準 JGAAP における、営業利益に類似したものである。違いと しては、賃借料・資産税・保険料・支払利息・減価償却費を含む資本経費を固定費として営 業費用から分離独立したものとして扱っているという点である。すなわち、GOP は減価償 却費など、支配人がコントロール不可能なコストの影響を受けることがないため、ホテル事 業の本当の実力を判断する上で、重要な指標である。 また、 (田中 2015)によると GOP はホテルの支配人の最終的な業績評価指標であるが、 一般的にホテルではユニフォームシステム8を導入しているため、宿泊部や料飲部といった. 8. ホテルの部門別管理会計のグローバルスタンダードともなっている、ホテルの統一会計報告様式。その特徴は、ホテ. ルの収益性を確認するために、ホテルの客室部門や料飲部門などの部門別損益計算書および部門別の明細表を作成する. - 23 -.

(25) 各部門ごとで GOP が算出されることもあり、各部門長の業績評価指標としても用いられる ことで知られている。ホテルラングウッドはこのことについて以下のように述べた。. 「うちではユニフォームシステムというか会計システムを導入しています。ユニ フォームシステムですと、各部門別で売り上げと GOP まででるんですね。ですか らまあ、経費も含めてその各部門で、コントロールできますので、そこで各部門長 が GOP まで責任をもってやるというところですね。(中略)まああの先ほどお話 ししたように、ユニフォームシステムで各部門の売り上げと GOP ですね、そこま で出てきますので、それに関して尺度が明確に出てくるということですね。毎月各 部門で GOP の金額、GOP 比率を出していますので、これで全部、業績評価はや っていきます。施設としての最終的な評価は GM が担うことになります。 」 (ホテルラングウッド). 続いて、レベニュー・マネージャーの業績評価指標についてであるが、これについては GOP を用いているところと、RevPAR を用いているところで答えが分かれた。GOP を用 いていると答えたのは株式会社 A ホテルとホテルラングウッドである。株式会社 A ホテル とホテルラングウッドでは支配人および宿泊部長がレベニュー・マネージャーも兼務して いるという形であるため、レベニュー・マネジメントの結果の判断指標としては RevPAR を 重視するものの、最終的な業績評価は部門全体のコストも鑑みた GOP で評価がなされると いうことである。なお、A ホテルに関しては、インタビューをさらに進めるとコスト・マネ ジメントは基本的に本社が一律で管理しているとのことである。ここで疑問に上がるのが、 なぜコスト・マネジメントを本社が担っているにも関わらず、各施設の支配人の業績評価と して、コスト・マネジメントについても間接的に評価される GOP が用いられているのかと いうことである。この点については後日メールで改めて質問してみたところ以下のような 返答があった。. ことにある。 (田中、2015). - 24 -.

(26) 「さて、いただきましたご質問でございますが、お応えできる範囲でご回答させて いただきます。まず、弊社の GOP には修繕維持費や保険料が含まれておりません。 一般的なホテル会計などの GOP の計算式を見ますと修繕維持費は含まれている と思います。修繕維持費は、ホテルの築年数などにも左右されるため、含めた場合 新築ホテルが圧倒的に有利となります。また、支配人の KPI が GOP であること には相違ありませんが、コストの点でほぼ本社が関与しておりますため、売上上昇 分が GOP 改善に大きく寄与するところがございます。人件費、宿泊原価、光熱費、 清掃費等、年々上昇しておりますし、契約の見直しなどは本社が行っております。 販売方法や販売プラン、需要予測とプライシングの点で支配人の力量が見える部 分が多くございます。また、GOP はあくまでも社内間の数値であります。あくま でも支配人同士が切磋琢磨できる内容になります。支配人の努力(力量)によって 数値の変化が出る部分のみが KPI の対象でございます。 」 (株式会社 A ホテル、原文のまま). つまり株式会社 A ホテルの場合、GOP を各施設の支配人の業績評価指標として用いてい るものの、実質的にはコスト・マネジメントの部分は各施設の支配人の評価対象としては加 味されていないとのことである。もしもコストの部分も加味されてしまった場合、施設によ って不公平が生じてしまうため、支配人の純粋な力量として評価するのが難しいというこ とである。すなわち、確かに各施設の支配人の業績評価は GOP で行われるが、実質的に支 配人としての力量が問われるのは売上の部分であり、売上が上昇することが GOP の上昇に もつながるため、そこには矛盾は生じないということであるようである。 一方で RevPAR を業績評価指標としていると答えたのが、株式会社 B ホテルと株式会社 C ホテルと株式会社京王プラザホテルである。これらの共通点は、レベニュー・マネージャ ーを支配人や宿泊部長といった、組織の全体を管理する立場の者ではなく、ある一定の役割 を与えられたより小さな部署の担当者が担っているという点である。例えば、株式会社 B ホ テルの展開するホテルと株式会社 C ホテルの展開するホテルでは宿泊部の中の宿泊予約課 という部署の長がレベニュー・マネージャーを務めている。この部署は客室の予約販売を通 じていかにより高い売上を達成するかということの役割を担っているため、RevPAR が業 績評価指標として用いられているということである。 また、株式会社京王プラザホテルの運営するホテルでは宿泊部の中のレベニュー・マネジ メント部という独立した部署の中にいる、支配人も兼務するトップがレベニュー・マネージ - 25 -.

(27) ャーを務めている。この部署は宿泊部に属すものの、レベニュー・マネジメントに特化した 業務のみを行うため、業績評価も RevPAR でなされるということになる。より具体的には 宿泊部の中にある予算の中に RevPAR や ADR があるため、その部分はこの部署の貢献に よって判断されるとのことである。. 3-2-3 価格の決定プロセス 図表1をみてみると、A ホテルと京王プラザホテル以外は支配人とは別の人物がレベニ ュー・マネージャーを務めている形となる。しかし、支配人すなわちホテル全体としての業 績評価指標が GOP であるのであれば、客室価格の決定はホテル全体の業績に多大なる影響 を及ぼす可能性が高い項目であるため、果たして A ホテルと京王プラザホテル以外のホテ ルのレベニュー・マネージャーが客室価格の最終決定の権限をもっているのかという疑問 が生まれた。すなわち、レベニュー・マネージャーが価格を決めるとはいっても、結局支配 人などのより上の立場の人間に稟議を上げるという形式なのではないかという仮説である。 この点についてもインタビュー後に改めて、メールおよび電話を通じて各インタビュイー に対して質問を行ってみた。 まず株式会社 C ホテルについては、宿泊部予約担当課の中で価格案を一度決定するが、 その後に宿泊部長に稟議を上げるというプロセスを経て、客室価格の最終決定となるとの ことであり、事前に想定していた通りの返答であった。 しかし、ホテルラングウッドと株式会社 B ホテルのインタビュイーからは想定とは異な った説明が得られた。まず、ホテルラングウッドに関しては、レベニュー・マネジメントの 対象となる OTA 経由の販売料金において、毎日競合ホテルの価格や予約状況に応じて客室 価格を迅速に変更することを通じて、最大売上を実現させなければならないため、支配人に 稟議をあげるというプロセスはなく、レベニュー・マネージャーに客室価格の決定権限が全 てもたされているとのことである。. 「OTA(インターネット販売料金)に関しましては、日々、競合ホテルや予約状況 を見ながら、最大売上をめざし即座に料金を決める必要があり、レベニュー・マネ ージャーの判断となります。」(ホテルラングウッド、原文のまま). - 26 -.

(28) 株式会社 B ホテルも同様に、日々の客室価格のコントロールにおいてその都度上の立場 の者に稟議を通している時間はないため、レベニュー・マネージャーに客室価格の決定権限 が全て移譲されているとのことである。 「レベニュー担当は複数人おります。日々のコントロールでは毎度稟議を通して いる時間はありませんので価格決定については権限移譲されています。」 (B ホテル、原文のまま). 3-2-4 レベニュー・マネージャーの価格の決定権限 続いてレベニュー・マネージャーの価格の決定権限の範囲について尋ねてみた。客室の価 格のみであるのか、料飲まで含めた様々なサービスの価格の決定権限までもっているのか ということについての確認が目的である。 回答の結果としては、全てのインタビュイーから客室の料金以外の価格設定には関与し ていないという回答が得られた。ただし、例外もいくつかみられた。まず 1 つ目は団体旅行 の際の食事の料金については宿泊部のレベニュー・マネージャーが客室の料金に加えて、本 来は料飲部が設定する食事の料金の設定まで関与するというケースである。この点につい てホテルラングウッドのインタビュイーは以下のように述べた。. 「まあ基本的に宿泊の商品については宿泊部門ですね。まあ一部かかるのは団体 の修学旅行の夕食とか朝食とかがパッケージに入りますので、その部分だけです ね。まあ全体からみればそんなに大きな金額ではないので、そちらはどちらかとい うと宿泊部門主体で金額は決められていますね。」 (ホテルラングウッド). 例外の 2 点目としては、料飲や宴会の価格の決定権限まではもっていないとしても、そ れらの部署とこれだけの価格にしてほしいとお願いをし、交渉をする機会があるというこ とである。この点について株式会社 C ホテルのインタビュイーは以下のように述べた。. 「えっと宴会の料金を上げることはできないですが、宴会を利用される方が宿泊 も利用されるということであれば、宴会部門から言われるこの料金でやってほし いというのがあるのですが、それはその料金ではできませんというのがあります。 また、宿泊部が宴会部に対して、このお客様の宴会の費用はこのようにお願いしま - 27 -.

(29) すという機会はあります。あとは、例えば夕食付のプランの場合は料飲部と話し合 って価格を決めていくということはありますね。」 (株式会社 C ホテル). 3-3 レベニュー・マネジメントの現状での評価および課題 最後にレベニュー・マネジメントに関する今後の課題についても各質問者にインタビュ ーをしてみたところおおよそ以下のような回答が得られた。 まず全国に宿泊主体のビジネスホテルを展開している株式会社 A ホテルは、都心部など、 自社のホテルが乱立している地域に関しては、個々の施設の支配人にレベニュー・マネジメ ントを一任するのではなく、1 人のレベニュー・マネージャーがその地域の価格設定を担う という形にした方が、より効率性が高まるのではないかということであった。. 「今は支配人に権限があるんですけど、まあこれだけ、 、東京都だけでいったら5 0店舗ほどあるんですけど、まあその50人支配人がいるわけなんですけど、その 50人にやっぱり、教えるとか、同じ認識をもつというのは難しいので、まあ例え ば大阪とか東京とか京都、名古屋とか一点に集中しているようなところですと、一 人のレベニュー・マネージャーみたいなのをつけて、水平展開していった方が、効 率とかもよくなっていくんじゃないのかなっていうそういう動きが出てきていま す。 」 (株式会社 A ホテル). また、いくつか共通の課題として挙げられたのが、レベニュー・マネジメントを担う人材 の確保及び、AI などを用いたより精度の高いソフトの導入であった。. 「今後の改善点というよりはですね、まあ現状ここから結構支配人とかいろんな ホテルに出していますので、まず人材がいないというのがあります。まあ今、 、あ の、 、レベニュー・マネジメントはシステムを使って楽にはなったのですが、どう してもある程度のスキルがないと、毎日毎日の料金の設定も難しいというのと商 品をつくるのも難しいというのがありますね。そうすると、スキルのある人がどん どんでていってしまうということを考えると次に考えられるのは、AI 関係の料金、 レベニュー・マネジメントのできるシステムがあるということですけど、まあ、い くつか大きなチェーン店でやってるのは分かるんですよ。すごい料金が極端にな るので、ああ始めたんだなと。要するに本社で全部色んな所の料金コントロールす - 28 -.

(30) ることになるのでそうするとそういうシステムを取り入れてやってるんだなと分 かりますけど、まだ料金が極端になりすぎてるなと。まだ人為的にやらないといけ ない部分もあります。ですが、やはり今後のことを考えると、IT 関係 AI 関係でも う少し料金設定できるようになると、もっと若い人でも色んなホテルで任せるこ とができるようになるかもしれないので、そういったところが今後の課題ですね。 」 (ホテルラングウッド). 「そうですね、やはり色々ソフトを使ったりはしているのですが、時間を短縮して いったり、作業を効率化していかないといけないというところはあります。で、え っと、実際どういう新しいソフトがあるのかといったところは今調査をしながら やってる部分があります。あとはそれをする人材ですね。人材をどう教育していく のかというところが、 、お陰様でグランバッハ9が増えている中で、どうそれにホテ ルが増えるところについていけるのかというところが課題になります。」 (株式会社 G 社). また、斬新なものとしては客室価格だけでなく他の領域にも変動価格制度を導入すると いうものが挙げられた。京王プラザホテルでは客室価格だけでなく、料飲や宴会といった部 門においても変動価格制を導入するかどうかといったことも検討しているようである。. 「改善点は、よくある話としては、客室だけでなく、レストランなど他の部門にお いても価格変動制を取り入れたほうがいいのではないかという意見は多く出てい ます。 」 (株式会社京王プラザホテル). 9. 株式会社 G 社が運営するホテルの一つ。. - 29 -.

(31) 4 おわりに 本研究では都内を中心に日本全国に複数のホテル事業を展開しているビジネスホテルお よびシティホテルに対して、レベニュー・マネジメントの運用の実態を明らかにするために、 インタビューを行った。本研究の貢献としては、ビジネスホテルやシティホテルのレベニュ ー・マネジメントの運用の実態を明らかにしたことにある。従来の研究により、日本におい てもこれらのホテルでレベニュー・マネジメントが深く浸透しているということは明らか となっていたが、実際にどのような形で運用されているのか、またレベニュー・マネージャ ーの権限について深く追求した研究はまだ見当たらなかった。具体的に従来の研究と比較 して新たに明らかになった点としては、レベニュー・マネージャーの権限が広がっていると いうことが挙げられる。インタビュー先のホテルは都内を中心に日本の各地に複数の施設 を展開しているが、本社が価格設定を主導しているというところは一つもなく、各施設のレ ベニュー・マネージャーに価格の決定権限が委ねられていた。また、レベニュー・マネージ ャーは日々需要動向に応じて迅速に価格のコントロールを行わなければならないため、一 般企業にみられるような、価格の最終決定に際し、より上の立場の者に稟議を通すというプ ロセスも見当たらなかった。つまり、どの部署がレベニュー・マネジメントを担当するかと いうことを問わず、最終の価格の決定権限がレベニュー・マネージャーに委ねられていると いうことである。 なお本研究の限界としては、一般化が困難であることが挙げられる。本研究では限られた サンプルへのインタビューであったため、今後はアンケート調査を通じて、今回明らかにな ったことについての全体的な傾向をつかむ必要性が挙げられる。また、ホテルの経営形態や 施設の所在地といったものによって、レベニュー・マネジメントの運用状況も異なると考え られるため、そこを加味した調査を行う必要もあると考えられる。. 謝辞 本研究に際して、インタビューにご協力いただいた皆様には心より御礼申し上げます。また、 論文執筆の際に様々なご指摘を頂いた木村太一専任講師および、余田拓郎教授、太田康広教 授にも深く感謝致します。. - 30 -.

(32) ―参考文献―. 青木章通(2013) 「ホテル業におけるレベニュー・マネジメントの実証分析」 會計、184(4) 、42-56. 青木章通、植竹朋文、佐々木郁子(2018)「日本の宿泊施設の収益管理に関する実態調査: 質問票調査に基づく研究」 専修経営学論集 No105, 7-22, 2018. 植竹朋文、青木章通(2009) 「リゾートホテルにおけるレベニュー・マネジメントの実態 調査:質問票に基づく分析」 専修大学経営研究所報(179),1-32. 植竹朋文、青木章通(2011) 「自社販売余地の少ないリゾートホテルにおける収益管理: インタビュー調査に基づく検討」 専修マネジメントジャーナル, 1(1-2),115-129. 植竹朋文、青木章通(2016) 「航空機の利用を伴うエリアの宿泊業界における収益管理手 法の変遷:沖縄及び北海道のホテルに対する質問調査票に基づく検討」 専修マネジメントジャーナル, 6(1),15-26. 片岡洋人(2017) 「レベニュー・マネジメントとビジネスモデルの多様化」産業経理 Vol.77, No.1, 79-89, 2017. ロバート・G・クロス(1998) 「儲からない時代に利益を生み出す RM(収益管理)のすべ て」日本実業出版社. 桑原永尚、池田論司、宮下ゆかり(2013) 「サービス産業におけるレベニュー・マネジ メントについて~収益を最大化する手法とは~」 三菱総合研究所所報 No.56 ,86-101. 酒井光雄、武田雅之(2014) 「全史×成功事例で読む『マーケティング』大全」 かんき出版. - 31 -.

(33) 田中耕太郎(2015) 「ユニフォームシステムの改訂(第 11 版)とホテル経理実務に与える 影響」 、 『情報センサー』2015 年 3 月号、EY 新日本有限責任監査法人. 長谷川恵一(2013) 「宿泊施設の統一会計報告様式」にもとづいた管理会計情報の利用可能 性」早稲田商学 第 434 号 2013 年 1 月. Bartz, C (2007) Risk-Averse Capacity Control in Revenue Management, Springer Cross, R.G.(1997). Revenue Management : Hand-core tactics for market domination, New York :. Broadway Books. Huefner,RJ.(2011) Revenue Management : A Path to Increase Profits, Business Expert Press.. Ng, I C.L (2008) The pricing and Revenue Management of Services-A strategic approach, Routledge.. OTA とは・観光用語集-JTB 総合研究所: https://www.tourism.jp/tourism-database/glossary/ota/ (2018 年 12 月 28 日 22:30 最終閲覧). - 32 -.

(34)

Referensi

Dokumen terkait

1) Serangan Iskemik Transien (Transient ischemic attack, TIA), terkadang disebut stroke kecil karena periode iskemik singkat, terlokalisasi dan secara klinis kembali

bahwa untuk menyikapi perkembangan dinamika kondisi faktual di tingkat Desa dalam rangka menjamin hak masyarakat untuk memperoleh kesempatan yang sama

Setelah Indonesia memproklamasikan kemerdekaannya pada tanggal 17 Agustus 1945, para pemimpin Indonesia sangat menyadari pentingnya untuk melakukan perubahan secara mendasar

Kholifah (2010) memfokuskan penelitiannya pada pemilihan teknik yang diaplikasikan subtitler dalam menerjemahkan subtitle film MMNB dan penilaian kualitas terjemahannya

Langkah strategis utama kebijakan moneter pada periode ini adalah pengkonsentrasian pada satu tujuan yaitu mencapai dan menjaga kestabilan nilai Rupiah, baik kestabilan terhadap

Oleh karena itu pada perencanaan pelaksanaan program/kegiatan tahun 2019, perlu dilakukan mendasar terhadap program-program yang akan dilaksanakan dan substansi

Salah satu contoh adalah fungsi media pembelajaran dari sistem saraf pada manusia berdasarkan andorid adalah sebuah program aplikasi yang berfungsi untuk

Menangani pengoptimalan Sumberdaya Manusia dan Organisasi berperan pula dalam segala hal yang berkaitan dengan pembinaan member baru SEG UNPAD mulai dari persiapan masuknya