• Tidak ada hasil yang ditemukan

handotai chippu sekiso kozo no saiteki sekkei ni kansuru kenkyu

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

Membagikan "handotai chippu sekiso kozo no saiteki sekkei ni kansuru kenkyu"

Copied!
133
0
0

Teks penuh

(1)い稲田大学審査. 町慧1四kyh づ監ご之⑩. 孚緑化チッ│プ. 揖. 計 設 址. V-・.“・j-. 完. に回す│る. ……?・11 ■=㎜− y心−:こj. 士9日b年3月. 1−−−. /’W −㎜. -㎜’−’■ dJ㎜. 一一. ノ●。. ■㎜− tソ. ノ`心. 学位論文(博士).

(2) -、. 半導体チップ積層構造の F二l 弐. 適設計に関する研究. 平成7年3月. 保. 川. 彰. 夫.

(3) j. j ■■. ■. ■㎜■㎜㎜㎜㎜■㎜. ■㎜. 目汐こ. 第1章. 4. 1.1 I.2. 研究の背景・・. 1. 研究の対象・・ 3. 4. 1. 1.5 第2章. ・一一. ・一一. ・・・. ・・・・・・・・・. ・・・・・・・・・. 本研究の目的・. ・・・・・. 本論文の構成・. ・・. 一一. 一一‘. ・・・. ・一一・4. ・・・. ・・・. ・・・・・一一 ・・・. ・・・・・・・. ・・・. ・・・. 構造上の特徴・. ・・・・・・. 2. .2. 設計項目・・・. ・・・. 2. 3. 2. 4. ・・・. ・・・. ・,・. ・・・. ・・・. ・・. ・・・・・・12. ・・・・. ・一一. ・・. ・・・・・・12. ・・・・・・15. ・一一. ・・・. ・・・,・・ ・・一一. ・・・・6. 一一. ・15. ・.....17. ・一一. ・・・17. 本家のまとめ・・・・・・・・・・・,・・・・・・・・・・・・・20. ・・・・・・. 解析対象構造モデル・・・・・・・. 3. 1. 1. 3. ・・・. 熱サイクルにおける挙動の概観一一. 積層構造の熱応力解析・. 3.1. ・・・. ・・・・6. ・・・. 半導体チップ積層構造の特徴と設計項目・・・・・・・・. .I. 3. ・. ・・・. ・・・・・・. 従来の研究・・. 9 -・. 第3章. ・・・・・・. 2. 1. 2. 多接合層積層板モデル・. ・. ・・ ・・・. ・. ・. ・. ・・・・・・. ・・・・一一 ・,. ・. ・. ・. ・・・・・・21. ・・・・・. ・21. .,........ 2. 1. −接合層積層はりモデル・・・・一一,・・・・......23. 基礎式の誘導・. ・・・・・・・・・. ・・・・・・・・・. ・・・・・・25. 3. 2. 1. 接合層ひずみ分布を支配する方程式・・・・・・・・・・・・25. 3. 2. 2. 被接合部材の変形計算式・・・・・。,・・,. 3. 2. 3. 多接合層の影響の補正・・・. 3. 2. .4. 3. 3. ・・,・・・30. ・・・・・・・・・. 積層板の3次元変形影響の補正・・・・・・・・・・・・・・34. 弾性解析・・・・・・・・・一一・. ・・・・・・・・・・・・・・・36. 3. 3. 1. 弾性解析解・・・・・・・・. 3. 3. 2. ひずみ分布の特徴と分布を支配するパラメータ. 3. 3. 3. 解析解とFEMによる結果との比較・・・・・・・・・一一・41. 3. 4. ・・・・・,31. ・・・・・・・・・. ・・・・・・36 36. 弾塑性クリープ解析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49. 3. 4. 1. 提案手法・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 3. 4. 2. クリープを考慮した見かけの降伏応力の式・・・・・・・・・50. L. ・・・. ・・・49.

(4) j. -. 3. 4. 3. 3. 4. 4. 3. 4. 5. 3. 4. 6. 3. 5. −. 実験結果との比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57 弾塑性クリープを考慮したひずみ支配パラメータ. 1. こ〕. ︻b. 3. 6. 第4章. 解析解と増分理論に基づく結果との比較・・・・・・・・・・56. 提案解析解の適用範囲・・・・・・・・・・・. 3. 3. 弾塑性クリープ解析解・・・・・・・・・・・・・・・・・・54. ・. 58. ・・・. ・・・・・・60. モデル構造と実装置構造の差に関する検討・・・. 2. 解析上の仮定に革づく適用限界・・・・・・・・・・・・・・61. 本章のま. 64. はんだ層の熱疲労劣化シミュレーション. 4. 65. 1. 劣化挙動解析手法‘’‘’`‘゜’・・・・・・・・・・・・・・・65. 4. 1. 1. 4. 1. 4. 1. き裂進展モデル・. 2. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. ・. 3. き裂進展挙動予測図・・・・. ・・・・・・・・・. ・‘・. 1.. 4. 熱抵抗計算モデル・・・・・. 4. .. 1.. 5. 劣化シミュレーションプログラム・. 4. 2. 実験による検証・・・・・・・・・・・・・,・・・・・・・・,・74. 4. 3. き裂進展挙動に関する考察・・・・・・・・・・・・・・・,・一一78. 4. 提案手法の適用範囲・・・・・・・・・・・,・・・・・・・・・,79. 4. 5. 第5章 5. ・. ........ ・・・・・・・・・ ・. ・. ・. ・・・. ・. ・. ・. ・・・70 ・・・71 ・. ・. ・. ・. ・. ・72. 本章のま. 8. 積層構造の最適設計・・・・・・・・・・・・・・・・・・,・・..82 1. 最適化手法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82 5. 1. 5. 1. 5. 1. 5. 1. 5. 65. 68. .. 4. ・. き裂進展挙動支配パラメータ. 4. 5. ・・・・・・60. 2. 1. 2. 3. 4. 基本的考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82. 提案手順・・・・・・・・・. 一一一一・. 最適化プログラム・一一一一. ・・・. ・. 一一・. 一一一一一一. ・・・. ・・・. ・一一85. 一一・87. 提案手法の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88. 最適設計例・・. ・・・・・・・・・. ・・・・・・・・・. 一一・. ・・・89. 5. 2. 1. 評価特性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89. 5. 2. 2. 最適化計算プロセスと計算結果・・・・・・・・・・・・・・91. 3. 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99. 2. 1.

(5) I ●-. ■㎜. ■㎜. ・−■■㎜■■■㎜㎜. W ̄. 5. 3. 1. 5. 3. 2. 設計事例に関する考察一一・. ・・・・一一. ・・・. 設計手法に関する考察・・・・・・・・・・‘・. 5.4. 実製品への適用・・・・・・. 5.5. 本章のまとめ・. ・・・. 一一101. ・・・. ・・・. ・・・・・・. ・・・・・104. ・・・・・・・・・. ・・・. ・・・・・・. ・・・・・1. 第6章. 結論・・・・一一. 謝辞・. ・・・・・・一一・. 参考文献・・・・・・・・. ・・・・・‘99. ・・・. ・・・・・・・・・・・・・・・. ・・・・・・・・・. ・・・. ・・・. ・・・. ・・・. ・・1. 05 06. ・・・・・・・・・・・・・・108 ・・・・・・・・・. ・・一一・1. 10. 本論文に関連した著者の発表論文・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・114 その他の発表論文・・・・・・・・・・. ・・・. ・・・・・・・・・. ・・・. ・・117. 付録A. 用語、略語、記号の説明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121. 付録B. 95Pb−5Snはんだの応力−ひずみ挙動の測定・・・・・・一一1. 23. 付録C. 積層構造の増分理論に基づく解析と実験による検証・一一. 25. 付録D. ファジイ最適設計問題の定式化・・・・・・. 付録E. 多接合層積層板のひずみと変位と応力の計算式・・・・・. ・・・・・・. ・・・. ・・1. ・・・・・127 ・・・. ・. ・1. 28.

(6) メ. -. 笥X. 1. 1. l. j聡. 戸外a兪. 研究の背景. 超LSIを初めとする半導体装置の進歩が現代社会に大きなインパクトを与えつつある ことは、よく知られている。この半導体装置において、信頼性の確保が強い社会的な要請 となっている。あらゆる分野に半導体装置が使用されるエレクトロニクス化社会において は、半導体装置の故障は、情報の遮断や紛失による社会混乱を引き起こしたり、各種機械 機器のコントロールを失わせることにより、場合によっては、人命を危機に陥れることも 考えられるためである。 半導体装置の儲.頼性上の問題にも、種々のものがあるが、その中でも特に熱応力の関連. した構造設計上の問題が、装置の品質を左右する重要な問題. として注目されている。この. 背景として、次の3点が挙げられる。. (1)半導体装置構造は、図1.1に一例を示すように、基本的に線膨張係数の異なる材 料を組み合わせた構造を有していること[1]。 (2)回路の高密度化による発熱密度の増加により、装置が熱的に厳しい条件で使われる ようになってきたこと[2]。 (3)半導体装置の応用分野の拡大による装置の多様化にともない、短い開発期間で装置 を開発する必要がでてきたこと[3]。 前記(1)(2)の結果として、大きな熱応力が発生し、構造各部の破壊(例えば、図 1.2に示すような接合はんだ層の疲労き裂)が生じる場合がある。また、破壊にまで至 らない場合でも、応力が電気特性変動の原因となることもある。こうした問題を解決し、 前記(3)の早期開発を達成するため、半導体装置構造設計法の確立が強く望まれてい た。 半導体装置で用いられる構造の中にも様々なものがある[3∼6]が、本論文ではその 対象を半導体チップ積層構造に絞ることとする。これは、半導体チップ積層構造は、半導 体の電気的機能を発揮する心臓部である半導体チップについて、これを保持し、またこの チップで発生した熱を放散する機能を有する重要な部分であり、すべての半導体装置に必 須の構造であることによる。 半導体チップ積層構造設計法を確立する上で特に重要な課題は、第1に異種材料積層構. 4.

(7) j. -. sy回こぷ. 脂 樹 Ni. 6 一. 10. 20. 30×10. 線膨張係数゜C-1. 図1.1. はんだ. 半考体装置の中に見られる積層構造のー例. Si. CU. CU. ●. 4. ● ぞ. 図1.2. 熱サイクルによリチップ接合はんだ層に生じたき裂の例(SiチップをCu基. 板にはんだ接合したものに、温度変化幅90℃の熱サイクルを4000回加えた). 5. −.

(8) ‥. j ・一一. ・一一‥‥一一一一一一. -. 造の熱応力とひずみの解析法の開発であり、第2にこれを基にした積層構造中のはんだ接 合層の疲労寿命予測法の開発であり、第3に多様な設計特性を総合的に評価できる構造最 適化手法の開発である。半導体チップ積層構造設計においては、前記はんだ層寿命の他に、 電気特性、放熱、強度、小型化、生産性、コストに関連した、さまざまな要因が関連して くるためである。. 1.2. 研究の対象. 前節の研究の背景を基に、本研究では、半導体チップ積層構造について高信頼度構造を 設計するための基本技術となる、次の3項目を対象として研究を行なうこととする。 (1)異種材料積層構造の熱応力解析法 (2)はんだ接台層の熱疲労寿命予測法 (3)牟導体チップ積層構造の最適設計法. 1.3. 従来の研究. 1951年のショックレイの拡散型トランジスタの発明[7]によって、半導体技術の 今日に到る目覚ましい進歩のスタートが切って落された。それ以来現在までに、半導体特 性、製造プロセス技術については、膨大な研究が蓄積されてきた。これに比較すると、半 導体装置の構造強度設計についての研究は、従来あまり多いものではなかった。しかし、 この問題の重要性に対する認識の高まりとともに、最近この分野における研究発表数の急 激な増加が見られる。 ここでは、本研究の対象とする半導体チップ積層構造設計に関連する従来の研究につい て、前節で示した3項目に分けて説明する。. (1)熱応力解析法 熱応力解析に関連する研究は、解析解を用いたものと有限要素法を用いたものに大別で きる。 まず、解析解を用いた研究について述べる。積層構造の熱応力解析の解析的手法に関す る初期の研究としては、Timoshenkoが1925年に発表したパイメタルの解析[8]があ る。これは、二つの異なる材料を剛接した構造の梁理論による解析である。これにより、. 6.

(9) ..J. -. 半導体チップと基板を硬い材料で接合した構造に温度変化が加わった場合の半導体チップ. 中央部の垂直応力を求めることができる。しかし、. 一般の半導体装置では、接合材料とし. てはんだのように柔らかい材料を用いることにより. 、チップと基板の熱膨張差を接合層の. せん断変形として吸収する構造をとる場合が多く. こうした構造を検討するためには、接. 合層の変形を考慮した解析が不可欠である。 接合層の変形を考慮した解析は、TaylorとYuan[9]が. ―接合層構造について行い. 1962年に発表した。この解析は、草本的には、外力が加わる場合の重ね継手の解析 (Volkersen[10]によって1938年に提案され、1944年にGolandとReissner[ 11]によって発展させられた)を熱応力の問題に発展させたものであった。このー接合 層構造解析を基にした、多数の接合層を有する構造への拡張は、ChenとNelson[12]に よって1979年に発表された。その後、Suhir[13]、PaoとEise目e[14]および Yalada[15]は た. 同様な手法に. これらの研究により. しかし. よる解析を被接合部材のそり等を考慮したものに拡張し. 半導体チップ接合層の応力解析が. これらの解析では、. 弾性範囲では可能となった. 接合層の塑性変形およびクリープ変形挙動が考慮されていな. かった。半導体チップ積層構造に一般に用いられているはんだ材は塑性変形およびクリー プ変形を生じやすい材料であるため、弾性範囲の解析だけでは、設計上十分役立つもので はなかった。積層構造の解析という観点からは、尾田と阿部[16]が応力と変形の解析 解を提案し、プリント基板などに適用したが、これも半導体チップ積層構造の解析に適し たものではなかった。 次に、有限要素法を用いた研究について述べる。有限要素法は、汎用的な応力解析手法 として精力的な研究が進められ[17]. これを基に各種汎用プログラム[18]も開発. されてきた。こうした汎用プログラムを、電子装置に適用する試みも、近年盛んになって きており、主としてICパッケージ樹脂封止構造およびパッケージや抵抗部品を配線基板 へ接続するはんだ部が解析され、樹脂と半導体チップの間の界面の応力分布の性質[19 20]や、接合はんだの非線形特性によって生じる複雑なひずみ変化挙動[21]などが 解明されてきている。半導体チップ積層構造についても、温度変化にともなうひずみ変化 挙動の計算例が発表された[22]。このような研究で、有限要素法は、対象構造の形状 だけでなく材料特性の非線形挙動も考慮に入れた、現実に近い解析を可能とする非常に有 効な手法であることがわかった。. 7. .rr.

(10) ■㎜. -. しかし. 設計という観点からは. 材料非線形性を適切に考慮した解析解が望まれる。. の理由としては、次のことが挙げられる。ひとつには. チップ積層構造のように薄い層を. 有する構造の応力とひずみを十分な精度で計算するのに有限要素法を使うと. い要素分割が必要となり. = 心. 非常に細か. 多大な計算時間がかかる場合がある。特に. プ挙動のような非線形な挙動を考慮するためには. 塑性挙動やクリー. ―つの応力値を求めるのに、多数の綬. り返し計算が要る。さらに応力による破壊や特性変化のような問題の生じない適切な構造. を求めるためには. 試行計算を何度も繰り返す. 7●. とになるため、計算時間の短縮が重要な. 心. 課題となる。 さらi. 解析解が重要になる理由として. 次の. = 心. とを強調しておきたい。すなわち、−. 般の有限要素法による計算が、ある特定の寸法の構造についてのポイントデータしか与え ないのに対して、解析解は、その構造形式の変形や応力、ひずみの一般的な性質について の洞察を与え 以上のように. 設計上有用な知見を与えるものである チップ積層構造設計上望まれる、接合層の非線形挙動を考慮した解析解. は、まだ発表されていなかった. (2)熱疲労寿命予測法 半導体チップ積層構造の熱疲労破壊に関する研究としては、. 1970年にLangら[22]. が、その破壊が積層構造中のはんだ層の熱疲労破壊によるものであることを明らかにし その寿命について試験結果を基に簡単な実験式を導いた。. しかし. 重要な各種要因が考慮されておらず、構造設計に 構造設計に. 9一 心. の式では構造設計上. 十分役立つものではなかった。. 役立つ寿命予測法としては、次に述べるような破壊過程における各種要因を. 考慮したものでなければならない。まず、. 環境の温度変化または半導体チップの発熱によ. る温度の上昇と下降の繰り返しが加わると. 、積層構造の各構成材料の線膨張係数の差によ. リ. はんだ層に応力が繰り返し加わる。この応力の繰り返しにより 労き裂が発生し. これが中央に向かって進展してゆく。. はんだ層の端部に疲 このき裂進展に. 体チップで発生した熱が逃げにくくなるということ(熱抵抗の増加)が生じ 度がある程度以上増加するとチップの電気的特性が発揮できなくなリ. になる。 こうした寿命を予測するためには. 8−. ともなって. 半導. チップの温 故障が生じる. 天 心. と.

(11) -. (a)はんだに生じるひずみの解析技術 (b)はんだのき裂発生および進展寿命の解析技術 (c)き裂の進展にともなう熱抵抗増加の解析技術 が必要である。 上記(a)から(c)の各過程を総合した寿命予測技術を確立する 目的の一つであるが. ことが、本研究の主. これを行った従来の研究は見当らない。次に. これを構成する各技. 術(a)から(c)について考える。(a)のひずみ解析技術についてはすでに前項(I) で述べた。上記(c)の熱抵抗解析については、従来の熱伝導解析技術[23]を用いて 解析できると考えられるが、これを実際にき裂を有する積層構造に適用した例は、見当ら ない。残りの(b)、すなわち、はんだの疲労寿命解析技術について、以下に述べる。 はんだの疲労寿命についての研究は、試験片を用いた研究と実際の半導体装置の中のは んだ部についての研究に分けられる. 試験片を用いた研究は、さらに素材試験片によるも. のと接合試験片によるものに分けられる。 素材試験片の疲労寿命については、Coobms[24]が1972年に円筒試験片のねじり による疲労試験結果を発表した。Rathoreら[25]は1973年に板状試験片の曲げ疲 労試験結果を発表した。また、種田ら[26]も円筒試験片のねじり疲労試験結果を発表 している。一方、接合試験片の疲労寿命については、Wild[27]が1974年に、 Solomon[28]が1986年に. 両者共重ね継手を用いた疲労試験結果を発表した。こ. れらの研究は、素材試験片においても、接合試験片においても. いずれもはんだの疲労寿. 命とひずみ範囲の関係がCoffin-Mansonの式[29]で表わされるこ. とを. 明らかにして. いる。. 次に. 半導体装置中のはんだ接合部の熱疲労寿命1,. な電極と配線基板とを接続するCCB(Controlled んだ接合部について. こ関しては、半導体チップ表面の微細 COIlapse. Bonding)と呼ばれるは. Norrisら[30]およびLinら[31]が1969から1970年. に寿命予測式を提案した。また. 半導体部品電極と配線基板の電極接続はんだ部について. は、Engelmaier[32]が1983年に寿命予測式を提案した。また北野[33]は表面 実装型ICパッケージの配線基板とのはんだ接続部の寿命予測法を提案している。これら の寿命予測式は、Coffin-Mansonの式を基本として、この式に温度変化によってはんだ部 に生じるひずみ範囲の計算値を当てはめて寿命予測を行っている点では同じであり、疲労. 9.

(12) ・. 7. ■ =・. ■■ ■. ■■. ㎜. ■㎜. -. き裂の進展については考慮されていなかった。 しかし、全寿命をき裂発生寿命とき裂進展寿命に分けて考えると、チップ積層構追申の はんだ層においては、き裂進展寿命の方が長く[3]、これをどう評価するかが重要な問 題となる。 このき裂進展を考慮した解析法としては、HaradaとSatoh[34]がCCB接続につい て1990年に発表した方法がある。しかしこの方法では、初期のき裂のない状態での最 大ひずみのみを用いて評価しており、き裂の進展にともなうはんだ層内部のひずみの再分 布の影響は考慮されておらず、半導体チップ積層構追申のはんだ層のように、き裂の進展 とともにひずみが変化していくような場今に、一般的に適用できるものではなかった。 また、1992単には、Lauら[35]がCCB接続部について、FEMで計算した応 力拡大係数範囲△Kを用いた解析を発表しているが、き裂進展挙動を評価するためには、 各種き裂寸法のFEMモデルを作成計算する手間が必要であり、より簡便な方法が望まれ ていた。また、小規模降伏を仮定した△Kを、大規模陥伏を生じることが普通である接合 はんだ層に適用することの妥当性に関する問題もあった。また、Paoら[36]はクリ ープにおける破壊力学パラメータC. を用いた評価を試みているが、まだ設計に容易に適. 用できるものではなかった。 このように、チップ積層構造設計に適用できるような、はんだ層中のき裂の進展を考慮 した寿命予測手法は、まだ発表されていなかった。. (3)半導体チップ積層構造の最適設計法 半導体チップ積層構造の設計法についての研究としては、Taylorら[9]が1962年 に、半導体チップ自身の破壊について、チップの寸法との関係を論じた論文を発表した。 また、Langら[39]は1970年に、はんだ層の疲労寿命について、実験式を基にした 統計的設計法について発表した。また、放熱については、半導体装置の放熱設計に関する 研究をまとめたものが発表されている[40]。しかし、チップ積層構造設計上重要な各 種特性を総合的に評価して、構造として最適なものを探索する最適設計法については、従 来の研究は存在しない。 半導体装置の構造設計を支援するシステムに関しては、表面実装基板の熱伝導・応力解 析のためのシステム[41]、接合・接着構造の応力解析および強度評価のためのシステ. 10.

(13) -- − −- − … … … -. ム[42]. プリント基板/MCM(Multi. 43]が発表されている。 出力データ処理により. Chip − −. Module)の熱解析のためのシステム[. これらのシステムは、構造設計の基礎となる熱 設計者の解析作業の負担を軽減している。しかし. 造設計に必要な各種設計特性計算機能を持つものではなく 一方. 一般的な最適設計手法としては、. 法が提案され. 応力計算の入 チップ積層構. 最適化の機能もなかった。 W 心. れまでに. 種々の数理計画法[44]用いた手. 各種設計問題に有効に活用されてきた[45]。しかし. こうした数理計. 画法を適用するためには、目的関数と制約条件のすべてを完全に計算できるようにしてお く必要があった。半導体装置におけるように多様な特性に関する目的や制約を考慮しなけ ればならない設計においては、これは困難である。このような状況においても適用できる 可能性のある柔軟な手法として、近年、エキスパートシステム[46 ルネットワーク[48]. 定性的推論[49]. た手法が開発されてきている. 47]. −. 中でもファジイ理論を用いた最適化理論は、柔軟でかつ定. 52]。. ファジイ最適化理論の構造設計問題への応用は、Wang[53]によって 発表された。その後、Rao[54]. 1985年に. KoyamaとKamiya[55]も構造最適化問題への適用. 例を発表している。さらに. 構造最適化問題におけるファジイ理論の各種展開が、山川. [56]によってまとめられた。. 天 心. のような研究により. 目的関数と制約条件の設定に. けるあいまいさ考慮して、最適構造を求めるための計算手法が明らかにされた。. 鈴木[57]は. ューフ. あるいはファジイ理論[50]を応用し. 量的な結果を与えてくれる理論として、大きな可能性を持っている[51. を用いて. -. 具体的な翼構造の設計において. した最適構造を求めるなどの成果をあげた。ただし. お = 心. の手法. 強度と制御性の両者を考慮. これらの研究でも、. 設計上考慮すべ. き全ての特性が計算に入っていることが前提となっていた。半導体装置設計のように多様. な特性の関連する設計に 域(満足領域)を計算し 盧して. おいては、計算可能な特性について目標および制約を満足する領 この領域の中から設計者が、計算に入っていないファクタも考. 最終的な設計点を選択するのが、実用的である。. このような満足領域を求める手法としては、吉村ら[58]が. 試行計算を行う設計点. の位置をファジイ理論を用いて制御し、. 満足領域の境界をたどる. 率的に計算する手法を提案した。さらに. 彼らは、この手法を核融合炉の第一壁設計の問題. に適用し、その有効性を示した。ただし に設計特性と設計変数が多い問題には. W 心. とにより、その形を効. この手法は、半導体チップ積層構造設計のよう. 適用が困難であった。. 11.

(14) が. -. 以上のように、チップ積層構造設計について、これに必要な各種設計特性を総合的に考 慮した最適設計を可能とする手法は、まだ発表されていなかった。. 1.4. 本研究の目的. 本研究の目的は、前節で述べた従来の研究の問題点を解決し、半導体チップ積層構造の 熱応力解析と疲労寿命予測を基にした最適設計法を確立することであり、具体的には次の 通りである。 (1)積層構造熱応力解析において、チップ接合はんだ層の特徴である著しい非線形挙動 を考慮し、かつ設計上有用な簡便な解を求めるとともに、その妥当性を吟味する。 (2)接合層劣化寿命予測において、き裂進展にともなう接合層内部のひずみの再分布と 熱抵抗増加を考慮し、チップ接台はんだ層に特有のき裂進展劣化挙動を再現できる寿命予 測モデルを提案し、その妥当性を検証する。 (3)積層構造設計法において、チップ積層構造設計に必要な各種設計特性を総合的に考 慮した最適設計を、フアジイ理論を応用することにより可能とする手法を提案し、設計用 プログラムを開発するとともに、これを高い信頼性を有する製品の開発に役立てる。. 1.5. 本論文の構成. 本研究の概要を図1.3に示す。まず第2章では、半導体チップ積層構造について、そ の構造上の特徴、設計項目、熱サイクルにおける挙動の概観を行い、(1)放熱、(2) 熱変形、(3)部品強度、(4)接合層寿命、(5)電気特性の5つの設計特性の解析技 術、およびそれらを総合的に考慮した最適設計技術が必要となってきていることを示す。 第3章では、上記各設計特性の計算の基礎となる熱応力解析手法について述べる。まず、 チップ積層構造の特徴である接合層の著しい非線形挙動を考慮した応力及びひずみを簡便 に計算できる解析解を、はり理論を基に接合層を弾完全塑性体として近似することにより 導く。またチップ接合材として用いられるはんだ材(95Pb−5Sn)について、応力 −ひずみ挙動の測定結果を基に、見かけの降伏応力を用いることにより、時間に依存する クリープ変形の影響を考慮できることを示す。さらに、接合層が多層ある場合の影響を、 接合層による被接合部材の見かけの伸び剛性の低下として考慮する手法を示す。そして、 ひずみの実測と3次元有限要素法解析を行い、提案解がこれらの結果と実用的なパラメー. 12.

(15) 一一一一. -. 第2章 半導体チップ積層構造の特徴と設計項目. ↓. ↓. 第3章 積層構造の熱応力解析 非線形解析 [多層構造解析 乙. 第4章 はんだ層の劣化寿命 予測法. →. ↓. ↓. ↓. 第5章. ファジイ理論 応用設計法. 図1.3. 半導体チップ積層 構造の最適設計. 本論文の構成. 夕範囲で一致することを示し、提案解の設計上の有用性を確認する。 第4章では、チップ積層構造はんだ接合層の熱疲労劣化挙動解析について示す。故障は、 はんだ層の熱疲労き裂の進展により接合面積が減少し、チップで発生した熱がはんだ層を 通じて基板へ逃げにくくなり、チップの温度が上昇して、半導体チップがその機能を発揮 できなくなることにより生じる。そこで、まず、き裂進展にともなうひずみ再分布を考慮 した疲労被害の蓄積により、微小領域が順次破壊してゆくモデルを提案する。そして、こ のモデルと前記応力解析と熱抵抗解析を組み合わせることにより、チップ積層構造特有の 劣化挙動のシミュレーションを可能とする。また、劣化挙動の実測を行い、本シミュレー ション結果と実測値がよく一致することを示す。さらに、本モデルを基に各種設計パラメ ータを変化させた計算を行い、. 劣化寿命設計を行う上で重要な基本パラメータを解明す. る。 第5章では、チップ積層構造の最適設計法について述べる。はじめに設計上の要求を整 理する。すなわち、チップ積層構造設計においては、前記劣化寿命や放熱特性を始めとす る多様な設計特性を考慮する必要がある。さらに、近年、各特性の要求レベルの高度化に ともない、これらを総合的に満足する構造を求めることが困難になってきている点と、最 近の開発期間短縮化と相まって、多様な特性要求を総合的に満足する構造を効率的に求め ることのできる有効な手法の開発が強く望まれるようになってきている点を指摘する。. 13.

(16) j. -. しかる後|. 設計目標を満足する設計変数範囲を求める広義の最適設計手法として、フ. ァジイ理論を基に(1)メンバーシップ関数設定と(2)設計手順とに、新たな工夫を加 えた効率的な手法を提案する。上記(1)としては、メンバーシップ関数を、必要レベル と充分レベルの二つの目標レベルから簡便にかつ統一的に設定する手法を示す。上記(2) としては、重要設計特性の絞り込み、重要設計変数の絞り込み、目標満足範囲の絞り込み を順に行うことにより、複雑な問題を効率的に解く手法を示す。これらの絞り込みは、前 ヨ︱ ーロ. 己メンパ. シップ関数を、各特性を満足する度合い(満足度)を表わすものとして. することにより可能とする 組みきわせる. 7 心. 次に. 活用. 本手法を、前記劣化寿命解析を初めとする各種解析と. とにより開発したプログラムについて述べる. 本プログラムを用いて. 体的な半導体チップ積層構造の設計計算を行った事例を通じて、前記5つの設計特性のす べてに知念的に優れた構造寸法を見出せる 本手法. により. 心. とを明らかにし. 提案手法の有効性を示す。. 従来は多大な労力を必要としていた半導体チップ積層構造設計作業の大幅. な効率化を可能とし. 各種半導体製品の開発に大きく貢献していることをも示す。. 第6章では、それまでの各章で得られた本研究の主要な成果をまとめて結論とする. 14. 具.

(17) -. m. 2. ]i収. 半導体チッブ積層構造の特徴 七言曼言十J万口[コ. 本章では、後述の諸解析や設計の対象を明確にするために、半導体チップ積層構造の特 徴と設計項目と熱サイクルにおける挙動について、概観する。. 2.1. 構造上の特徴. 半導体装置には、超LSIのメモリやマイコン、モジュールやパワーデバイス、半導体 センサなど多様な種類がある[59]。これらの各種半導体装置のすべてに不可欠なのが、 半導体チップ積層構造である。 半導体チップ積層構造の特徴は、異種材料板を接合層を介して接合した構造をとること である。ただし、半導体チップ積層構造には、装置によって様々なタイプがある。代表的 なタイプを図2.1に示すが、いずれも異種材料仮積層構造をとっている。 積層構造タイプのなかの、モジュールタイプ構造の材料組み合わせの例を図1.1に示 した。モジュールは、複数のチップを一つのパッケージの中に組み込んで、一つのまとま った機能を発揮する装置である。心臓部であるSiチップの下には、緩衝用のFe−Ni 板を介して、配線のためのCuを配置し、これらの下には、絶縁のためのアルミナを置き、 さらに下には、放熱を良くするためのCuを置いている。これらの板を、はんだやAu− Siなどの接合材で接合する。チップの上は、樹脂で覆って外界から保護している。さら に装置によっては、その他様々な材料(W、Mo、ガラスなど)を多層に積層した構造を 採用している。 Siチップの表面を細かく見ると、トランジスタや抵抗などの各種素子が形成され、こ れらを多数組み合わせて電気回路が形成されている。. この回路を動作させると、ジュール. 熱が発生する[60]。この自己発熱に加えて、まわりの環境からの影響として、半導体 装置は、製造時および使用時に複雑な温度履歴を受けることになる。 半導体チップ積層構造体の構成材料は、図1.1に示すように、それぞれ線膨張係数が 大きく異なるため、これらを組み合わせた構造体に温度変化が加わると、熱変形や熱応力 が生じることになる。. 15. ・ 一一.

(18) 一一一一. -. 接合層. 半導体チップ 基板 りa. ぐ. 基本タイプ構造. 半導体チップ 一絶縁板  ̄ ̄ト金属基板. 接合層 j. ぐ. 絶縁タイプ構造 ケTス. 充填樹JI. ヒ. 半導体チップ. 熱拡敷板. 接合. 配線金属 配線基板 中開板 ベース り. ぐ. C. モジュールタイプ構造. 1. 図2. 半導体チップ積層構造タイプ. j6.

(19) y. 一一一一一一-. -. 2. 2. 設計項目. 前述のような半導体チップ積層構造の設計を行う上で、次の5つの設計項目について 総合的検討を行うことが重要である。 (1)放熱特性の向上. チップで発生した熱を逃しやすい構造とし、温度上昇を小さ. くすること。 (2)熱変形の低減. 製造時や保存時、使用時の温度変化(環境温度変化とチップ発. 熱による温度変化がある)によって生じるゆがみ(熱変形)を小さくすること。. (3)部品強度の向上. 熱応力によって、構造体中のSiやセラミクス、ガラスなど. の各種材料に、破壊が生じないようにすること。 (4)接合層寿命の向h. :. 使用時の温度変化の繰り返しにより、各材料聞の接合層に. き裂が生じ、装置が故障するまでの寿命(温度サイクル寿命)が長い構造とすること。 (5)電気特性の安定化. :. チップ上の素子の応力による電気特性変動を小さくするこ. と。 上記設計項目(2)から(5)の評価のための基礎となる熱応力解析については、次の 3章で述べる。(1)から(5)の中でも特に重要な(4)の問題については、そのシミ ュレーション手法について4章で述べる。また、(1)から(5)の設計項目を総合する ための設計手法については、5章で述べる。. 2.. 3. 熟サイクルにおける挙動の概観. 前記(2)から(5)の評価のためには、接合層の弾塑性クリープ挙動を考慮すること が重要となる場合が多い。このことを、最も基本的な構造であるSiチップーはんだ−C u基板の3つの部品の組み合わせ構造を例に取って、図2.2を用いて説明する。図では、 変形の過程をわかりやすくするため、チップと基板の最初の大きさを同一としている。 最初に、3つの部品を重ね、温度を上げ、はんだを溶かして、チップと基板を接合する (図中の①→②)。Cuの熱膨張係数はSiより大きいので、Cu基板がチップよりよけ いに伸びた状態で、両者は接合される。 接合後常温まで温度を下げると、基板が元の長さに収縮するのに引きずられて、チップ は元の長さより短く圧縮される(②→③)。このとき、チップと基板は、はんだ層を介し て互いに力を及ぼしあっており、チップには圧縮応力が生じ、基板には引張応力が生じ、. 17.

(20) j. ■㎜■■㎜㎜. -. −温言. !. i二二二二二こド'゛. |. んだ. i︱︱. 初期. ︱−−. O. 昇温 高温て 熱膨張した状態で はんだ溶融. 2. 昌 3. 降温直後ぐ. ○. 常温て放置 長時間放置後. 4. |. 昌. 昇. 竪 温. `日 /lm. 5 il. ひ 40●. 6. i. 高温7放置. 高温放置後. ∠. iOを. A. 子水石. ソこ てこい・D. 慟. IlsJ. F・︲“刊、←. 3. 温度汐. 図2.2チップと基板の接合構造に生じる熱変形 と熱応力の変化(温度変化や時間経過と ともに複雑に変化する応力が,チップの き裂や電気特性のドリフトなどの原因と なる). 一. 18. −.

(21) ■■■■㎜㎜. -. 全体としては釣り合っている。さらに常温で長時間放置すると、はんだ層のずれ変形が徐 々に進行するクリープ挙動によって、チップは徐々に元の長さに戻り、チップの圧縮応力 も小さくなる(③→④)。 次に、再び温度を上げると、チップは基板の熱膨張に引きずられて、今度は自由に熱膨 張した場台よりも引き伸ばされ、引張応力が生じる(④→⑤)。温度上昇の初期では、チ ップの応力は、温度変化に比例して増加する弾性挙動を示す。しかし、ある温度に達する と飽和傾向を示し、さらに温度を上げると応力が逆に減少するようになる。これは、チッ プを接きしているはんだの降伏応力がが温度上昇とともに低下し、低い応力で塑性変形が 生じるようになり、チップ七草吸の熱膨張差がはんだ層のずれ変形として吸収されやすく なるためである。 次に、高温で保持すると、はんだのクリープ挙動により、チップの長さは徐々に自由に 膨張した場きの長さに近づき、チップの引張応力は小さくなる(⑤→⑥)。この状態から 温度を下げると、再びチップに圧縮応力が生じる(⑥→③)。さらに温度の上昇、下降 (温度サイクル)を繰り返すと、この過程(③→④→⑤→⑥→③)が繰り返される。 熱変形が生じやすいのは②→③および⑧→③の過程で、熱変形が大きくなるのは3の段 階である。このときの反りが問題になる場合が多い。 チップのき裂の原因となる応力としては、多くの場合④→⑤の過程でチップに生じる最 大引っ張り応力が重要になる。Siなどの半導体材料は脆性材料であり、引っ張り応力に 弱いためである。 温度サイクル寿命(接合層にき裂が生じるまでの温度サイクルの繰り返し数)を決める 主な因子は、温度サイクル(③→④→⑤→⑥→③)により接合層に生じる局所的な変形の の変化幅(ひずみ範囲)である。 電気特性変化は、③→④→⑤→⑥→③の過程でチップにかかる応力の変化が原因となる ことがある。その結果、温度サイクルによる特性値のシフトや長時間放置による特性値の ドリフトが起こる。. L9.

(22) j. -. 2. 4. 本章のまとめ. 本章では、異なる線膨張係数を持つ板を積層した半導体チップ積層構造を設計する上で、 (1)放熱特性の向上(2)熱変形の低減(3)部品強度の向上(4)接合層寿命の向上 (5)電気特性の安定化を図ることが必要であり、このためには、熱サイクルにおける接 合層の弾塑性クリープ挙動を考慮した解析が重要であることを説明した。. 20.

(23) 一一. − -. m. 3. 三昧. 積層構造の熱応力解析. 本章では、積層構造が温度サイクルを受けたときのひずみの解析解について検討する。 まず解析対象構造について3.1節で説明する。次に、この構造モデルの基礎式について、 3.2節で述べる。そして、この基礎式を用いた弾性範囲での解析について3.3節で、 弾塑性クリープ挙動を考慮した解析について3.4節で述べる。また、3.5節で提案解 析解の適用範囲について考察し、3.6節で本章で得られた結果をまとめる。. 3.1. 解析対象構造モデル. 本節では、本章で解析の対象とする構造モデルについて説明する。 モデル化の前提としては、前章で述べたようなチップ積層構造の特徴が挙げられる。主 要な特徴は、次の2点である。 (1)半導体チップに生じる熱応力を小さくするため、接合材には、通常はんだなどの非 常にやわらかい材料用い、被接台部材間の熱膨張差を主として接合層のせん断変形として 吸収している。 (2)半導体チップを熱拡散板や絶縁板などの各種中間部材を介して基板に接合した多層 構造をとる場合が多い。 上記特徴(1)の結果として、接合層のせん断ひずみを評価することが、構造設計上の 最も重要なポイントのひとつとなる。また上記特徴(2)の結果として、接合層のひずみ は、各構成部材と各接合層の寸法と材料により複雑に変化する。 本章で、解析の対象とする構造モデルの関係を、図3.1に示す。すなわち、まず、実 際の装置構造を、多接合層積層板構造としてモデル化する。さらに、これを、一接合層積 層はリ構造としてモデル化して解くこととする。このモデル化の妥当性については、後で 述べる。 この多接合層積層板モデルと一接合層積層はリモデルについて、以下に説明する。. 3.1.. 1. 多接合層積層板モデル. 多接合層積層板モデルは、n枚の弾性体の板を弾塑性クリープ挙動を示すn−1枚の接 合層で接合した図3.2に示すような構造である。構造の最下面にxy面を取り、これに. 21.

(24) ■■■■㎜㎜. -. ↓. ↑. ↓. T. 多接合層積層板モデル. 図3. 1. 解析モデルの構成. y→. 一−. 板. ノク /. | |. 永. /. 1 1. 「C 」. 一. XZ. ○. ○.  ̄L1 考. ?. /くみII 板j(EiJi,αi). ダ板i( Hi II吋. -. 接合層i(βi). レ゛゛. 4. 1二二コ二二二ニ. 一.板n. 二に. Zs, Zi -−-X. ○. 図3. 2. 多接合層積層板モデル. 22.

(25) j. -. 垂直にz軸を取る。板の上下面と接合面は、すべて矩形であり、その辺の方向は、x軸方 向又はy軸方向に一致しているものとする。また構造はxz面とyz面に関して対称であ るとする。 上からi番目の板の縦弾性係数をEいポアソン比を1べ、線膨張係数をα、、厚さをHI、 x軸方向の長さをL。、y軸方向の長さをL。i、中立面のz座標をz、とする。一方、上 からi番目の接合層のボイド面積率をβj、厚さをh、、x軸方向の長さを忍。、y軸方向 の長さを£。、中央面のz座標をzsiとする。. 3.1.. 2. −接合層積層はり構造モデル. 前記積層板構造の問題は3次元変形の問題となるが、これをまず、yz面内の変形とz x面内の変形の2つの2次元変形問題の解を組み合わせたものとして近似する。ここで、 積層板の問題を積層はりの問題として近似することとする。さらに、この積層はりの問題 において、図3.3に示すように、一つの接合層に着目し、この接合層のみが弾塑性クリ ープ挙動を示し、他の接合層はその上下面にずれがまったく生じないとしたー接合層積層 はリモデルを考える。このずれ変形のまったく生じない接合を、今後、剛接と呼ぶことに する。. Z︲・s︲II. ///////////////ノ/. /////////////////. 匹. 剛接. に4---- ̄‘. 問題とする 接合層. へ. 剛接 →X. マ. 図3.3. 一接合層積層はリ構造. 23.

(26) j. 温度∂ ∂ タo. 時間t. 図S. この. 温度変化パターン. 接鳶層稽層はりモデルでは、問題とする接合層は、上からm番目とm十1番目の. 部材(はり)の間にあるとする。記号の簡単化のため、. = 心. β. 厚さh。をh. の接合層のボイド面積率β。を. x軸方向の長さぷ。。を4≒、y軸方向の長さぶ。。をj。. 中央面のz座. 標zs。をzsと表わすこととする。この接合層の上の複数のはリ(上から1∼m番目のは リ)は互いに剛接されているものとする。接合層の下の複数のはリ(上からm十1∼n番 目のはリ)についても同様に剛接されているとする。すべてのはりの長さ(yz面内変形 解析モデルではy方向長さ. zx面内変形解析モデルではx方向長さ)は. (yz面モデルではj、、: zx面モデルでは£。)と等しいか. 接合層の長さ より大きいとする。. こうしたモデル化による誤差の補正法とその妥当性については、. このような構造に図3 る接合層については、 温度をθ. 後で述べる。. 4に示すような温度サイクルが加わる場合を考える W 心. の層の温度変化範囲を△θ. 問題とす. 温度変化過程における任意の時刻の. 応力Oとなる温度をθ。とする。また. 各はりについては. △θ. θ. θOI. を同様にして定義する。 ここで. 応力Oとなる温度θ。は. 図3. 4では初期温度として示してある。しかし. 実際の評価においては、前章で説明した応力変化挙動の図2 サイクルの各段階で変化する. 7・ 心. とを考慮する. 過程②−③でははんだの凝固時②の温度であるが. ことに. 2からわかるように なる。例えば、図2. 2のはんだ付け. 昇温過程に移り変わる時点で変化し. 曲線①−⑤と横軸の交点の温度となる。また. 降温過程に. 曲線⑥−③と横軸の交点の温度となる。これにより なる。. 24. 温度. 移り変わる段階でまた変化し. 残留応力の影響が考慮されることに.

(27) j ■㎜. 3.2. 基礎式の誘導. 本節では、積層構造の変形に関する基礎式について検討する。ここでは、接合層のせん 断応力rとせん断ひずみyの関係が、次のように任意の関数形の式で表されるときに一般 的に成立する基礎式を導く。 r=r(y). (1). まず、3.2.1項では、前述の積層はりモデル構造について、接合層のひずみを支配 する方程式を求める。また、3.2.2項では、被接合部材の変形計算式を導く。また、 はり近似によって生じる誤差の補正法については、3.2.3項と3.2.4項で述べる。. 3.. 2. 図3. ,3のような構造の各部材の温度変化(θ,−θ。,)による変形の問題は,. 図 3.. 1. 接合層ひずみ分布を支配する方程式. 5のように,端部に等価な静的荷重Pi P. =Bjαi(θi−θ。,). (i=I. 図3.5. MUN. n). (2). 温度変化に等価な荷重. BUDU MUN. FUN. 接合層 FLN. MLN. MLN BL. 図3.6. DL. 組み合わせはりによる評価. 25.

(28) l-. が加わった場合の問題として、解析できる[61]。ここに、B、はi番目の部材の伸び 剛性である。 接合層の上側全体を一つの組み合わせはりとして評価すれば、図3.6に示す等価な引 っ張り荷重Fus、等価な曲げモーメントMUN、. 等価な伸び剛性Bu、等価な曲げ剛性Du、. 断面の図心のz座標z。、図心の接合層からの距離eむを、次式を用いて、求めることがで きる[62]。 B. 一 一. ΣB. (3). z=y=ΣB,Zi/Bu. (4). e l.=ZU.−Zs. (5). D:..I. ==Σ[DI十(z,−zJ. B,). (6). F:.・N=ΣP,. (7). M,,=ΣPI(z,−zJ. (8). ここに、z、はi番目のはりの図心軸のz座標、zJま問題とする接合層のz座標、D、 はi番目のはりの曲げ剛性である。また、Σは問題とする接合層の上側の部材についての 加算を示す。 接合層の下側全体についても、同様にして、Fぃ、、M、s、B、、D、、z、、e。を求める ことができる。 ただしここで、部材の幅の関係する量(F、M、B、D)は、以下の式では簡単化のた めに、接合層の帖□にで割った値を用いることとする。すなわち、 Bj=EIHILy,/忿. Dj=EiHi. (9). L。,/(12忍,). (10). さて、接合層に生じるせん断ひずみyは、せん断ひずみの定義から、次式のようになる。 UI.一UU y. -. (11). -. h ここに、Utは接合層の下面のx方向変位、Uuは接合層の上面のx方向変位、hは接合 層の厚さである。 このとき、dU。/dxは、接合層の上側の組み合わせはりの下面のひずみsu、であり、 はりの理論から、次式が成立する。. 26.

(29) dU. F 一 一. ε. eU. 一. (. 一. dx. B. 1. 2). ρ. IJ. 同様にして、接台層の下側の組み台わせはりの上面のひずみいエについて、次式が成立 する。 dU. F 一. ε. el. +. 一. 一. .. d. 1.1. 一. x. BI.. (13). ρ. ここに、F。・とF。は、それぞれ接合層のh側と下側の組み合わせはりの断面に加わる引 っ張り力である。ρは、熱変形によるはりのそりの曲車半径であり、接合層の上の部分に ついても下の部分についても等しいとした。 一方、図3、7のモーメントのつりあいから、. M:.N. 十Mlj、−e1FI.s十e. 、。IF?。;N+e l. F:− el;F1;−MI−Mlj=0. (14). ここで、MI.jとM、は、それぞれ接合層の上側と下側の組み合わせはりの断面に加わる曲 げモーメントであり、はりの理論から、次式が成立する。 1 M. 一. D. 一. E・. (15). ρ. 1. M,.=D. (16) ρ. 式(14)(15)(16)より. 1 ρ. MI.s十Mu・s− e1Fls十euFus十e1Ft一 一 一. elJFu. 一. (. D;j十DE. X. ///. MU/. か十. /. ー、. / / / / /. ///. MUN へ. ノ. FUN. eU. 一一一φ一一∼一一. ///. l l. /. Ec+ 昿. 図3.7. / / / / / /. ///. 断面の右側の力のつりあい. 27. −. へ ノ MI,a. eL. 17).

(30) ==ld. cyx. ﹄LL二回□三一. FU←. -FU+∂FU. (1−β)討x (1−β)だx. -FL+δFL. FL←. 9り. 図. 8. 5xの部分のx方向の力のつりあい. 式(・II)C12j(13)(1 dy. l. 71. ぐ只川. d. より. UI.. (. ). 一 一一・ 一. d. 1 h. 一 一. 1 h. dx. F −﹄. 一. dx. F. e. eじ. r. 一. h. X. (. ). +. ). B. ρ. Fu. ]. -. B. F. (. MI.、十MI・x. -. ρ. e1Fいi十euFus十ehF1−. euFu. [. 十. B. B. Du十DE (. 1. 8. 方、図3.8のx方向の釣り合いから. 一. ∂F lj ==−(1−β)・77 δF、.= MLNls (. い. (e1十e. 1. ・ δX. (19). (1−β)・r・δx. MuNゝ. e1、FLN、. (20) e 1.1ゝ F u。がxについて一定であることを考慮して、式(18j. 1)(12)より、次式がもとまる。. 2. d. 1. 1−β. y 一. [ 一. h. (eE十eu). +. 一. dx. 1. BI.. ]. + Bu. 7. (21). Du十D1. 次に、境界条件について検討する。 まず、構造の対称性から x°O. で. y=0. (22). 28. ). ].

(31) .=皿-. 一方、x. 一 -. 4に/2で、Fu. FUN、. 一 一. F. F、.sとなるから、これらを(18)式に代入し. 一 一. て、 x=4仁い/2. で. dy. 1. F. MI.x十Mu・s. FI.;s・. 1,s [ 一. dx. 1. B I,. (e l.十eい). 十. 一. B. D ,・十D. となる。 結局、式(l)の形が定まれぱ、式(22)式(23)の条件で式(21)を解いて、 接合層のせん断ひずみyが求まる。式(1)の具体的な形を与えて、yの式を求めること は、後の3.3節、3.4節で行う。. 29. (23).

(32) .=㎜-. 3. 2. 被接合部材の変形計算式. 2. ここでは、せん断ひずみyが求まったとしたときに、これから被接合部材(はり)の変. 形を計算する式を導く。 FuJよ熱変形を考えるときの仮想的な荷重であり、上側組み合わせはりに実際に加わる 軸力はFu− Fぃ、となる。これをFとすれば、図3.7の力のつりあいから F=Fu−FuJ=−(FE−. Fぃi). (24). となる。上式を式(17)に代入すれば、曲率は1/ρは、 1/ρ=[(M。十M。)−[e、。十eい. F]/(D、十Du). (25). また、たわみ角φは、上式を積分して、 φ=[(M。十Mぃい. x−(e、十eい. 了Fdx)/(D、十DJ. (26). また、式(12)に式(24)(25)を代入すれば、 dU. F I,s十F. e. [(M。十M。いー[e、十eい. F]. 一 一. dx. B 1・. 一 一. D :.十Du. S. ・。十Su・. F. − −. Fus/BI;− eu ・ (MI.x十Mus)/(D、十Du). (27). -・. 天. EUO. -. 心. 心. S. l.=1/Bu十eu・(et十etj/(DI.十Du). (28) (29). 式 (27)を積分して U. =εむo・x十Su・. j^Fdx. (30). 同様にして、 U1=E1.・ x−SI.・jFdx y 心. (31). こに、ε1o=Fls/B1十elグ(Mぃ、十MuJ/(D1十Dい S1=1/B1十e1・(e. l.十eu)/(DI.十Du). (32) (33). 式(11)に式(30)(31)を代入して、 h. y. 一 一. £1o・x−S1・∫Fdx−Eu。・x−Su・jFdx =h・・y。・ξ−(S1十Su)・jFdx. ∼ 心. (34). こに、ξは無次元化座標であり、次式で定義される。 =. f. x/(忿。/2) ま た. (35). y。は接合層のせん断剛性がOのときの最大せん断ひずみであり、次式で表され. る。. 30.

(33) / ■㎜. -. yoニ(ごLo’. 忍x/(2h). £u。). (36). 式(34)から t. ただし. 一. 了Fdx=h. (T。. 接合端部の外(ξ>1)ではF. 上式におけるyを拡張して. ). y)/(S1十S. (37). 0だから. 一 一. ヂFdxは一定となる。そこで. 次のように定義する。 ≦1 ぐ. 接き端部のせん断ひずみ十y。 (31)は. のとき). (38). 4. y={. 式(30). ∼. ぐ. 接台層のせん断ひずみ U. -. (. ξ>Iのとき). (39). ヒ側部材の下面と下側部材の上面に関する式なので、. y -. れらを. 任意のz座喋における式に拡張すれば、 (. z). 一 一. じ,(‘z). −・. -. 一 一. Et=。(Z). X十S. (zl. ε1.!(z). X−S. (z)・∫Fdx. ・jFdx. (40) (41). − -. ε. Z). ○. -. FuN./BI,−(z. Z). (MI.、十Myい. /(D. :.十Dい. (42). (. E. ZJ. U. SJ(Z). S. (. 一 一. 一 -. z). -. F,.s/B,+(z−z 1/Bu・十(z. -. j. (Mlx十M1、x)/(D1十DJ. z)・(e. 1/Bエ.十(Z−zE). (42’. 1.十eJ/(D1十DJ (e1十e. )/(D. ). (43). I.十Dい. (43’. ). となる 結局. せん所ひずみyがわかれば、式(37)からfFdxがわかり. れば、式(26). 3.. 2.. 3. (40). (41)から. 、rFdxがわか. 直ちに被接台部材の変形が求まることになる。. 多接合層の影響の補正. 一接合層積層はリモデルでは、問題とするーつの接合層のみがせん断変形を生じ. 、他の. 接合層は剛とした。実際の多層積層構造では、他の接合層でもせん断変形を生じ よって. 問題とする接合層自体のひずみも影響を受ける. 接合部材の伸び剛性の低下として取り入れる. 天 心. 算することにより求まるとする。こ. 9・ 心. の影響を被. とを考える。 2. I項の式において. 次式で求められる見かけの伸び剛性Balを用いて計 の考え方の妥当性については、後でFEM解との比較. で検討する。. 31. 11. すなわち、問題とする接合層のひずみは、前述の3. 被接合部材の伸び剛性Biの代りに、. ことが考えられる。. これに. 番目の.

(34) 1. │願│●●II■II………ljjソ………:1………ゾノ不……プ………宍. -. W−−. C。j・C。。 {. Ba. 一 一. B. C。。. B,. C。。. (i≦m−1のとき)(44) (i=m又はm十1のとき)(45). Cm. Cs. s−2. l−】・B. i. (i≧m十2のとき)(46). ここに、C・・ jは、m番目の接合層(問題とする接合層)のひずみを計算する上で、j 番目の接合層があることにより、m番目の接合層から見てj番目の接合層より外側にある 被接合部材の伸び剛性が、見かけ上低下する割合(伸び剛性低下係数)を示す。 例えば、問題とする接合層の上下にそれぞれ3つの被接合部材が接合されている場合は、 それぞれの部材の伸び剛性は、図3.9に示すようになるとする。 このC。jの計算式を以下に求める。 式(11)よりm番目の接合層のひずみを支配するのは、m番目の接合層の端部に生じ るx方向の変位である。この変位に及ぼすj番目の接合層の影響を考える。j番目の接合 層のひずみが7jのときm番目の接合層の端部に生じるx方向変位U。jは、j<mのとき、. 伸び剛性. せん断ひずみ /尽. /γ3 ヤ , III・. Cij: 接合層iに対する 接合層jの影響を 表わすパラメータ. |. C31C32BI C32B2. B3 B4 C34 B5 C35C34B6. 図3.9. 多接合層の影響の考慮. 32. −一問題とする接合層. 1●ツゾj':ii,1=iミ1 i=.

(35) J -. 式(41)(37)より U。j. −. =£LOj(Z)‘xs Sい「zJ. ・h」・「y白・ξ」(x。)−yj(x。))/(Slj十S. uj)(47). -. こに、XJよm番目の接合層の端部のx座標で£−/2となる。仁(x。)は座標x。. 心. におけるj番目の接合層に関する無次元化座標でぶ。。/り≒jとなる。yj(x。)は、座標 XJニおけるj番目の接合層のせん断ひずみである。zJよm番目の接合層のz座標、 Sぃ(zいはj番目の接合層に関して、式(43’)で定義した量の座標zJこおける値 である。 上式で、j番目の接合層が剛(yj=O)になり、j番目の接合層の上の組合せはりの やわさSぃがS、Jjに変化した場合の変位をURmj Ua。。==EE。j ・ X。−S. I.j(Z。)・h. とすれば、 (y。-,・e,(x。))/(Sい十Suい) (斗8). となる。 ここで、し≒。、がU。バこ等しくなるようなS。。を求める。式(47)と式(48)の右 辺が等しいと置くと、 (yっパξ、(x。)−y」(x。))/(Sい十Suj) =(y。J. ・ ξj(X。))/(Sい十Suaj). (49). 故に、 SURj. =(Sい十S. このSURj. uj)/「1−y」(X。)/「y。J・. ξ」(X。)))−Sい(50). の値をとるためのC。Jの値は、式(29)よりもとまる。すなわち. S ullj =1/(C。jBuJ)十e. uj・(eい十e. uj)/(Dい十DuJ). (51). から C。. =1/[BuJ(Suaj−eu,・「eい十eu」)/(Dい十DuJ)] =1/「Bu」{Sugj一(Suj−1 /Buj)}] =1/「1十Bu」{SuEj− Su,}] =1/[I十Buj{(Sい十Suj)/(l−yJ(x。)/(y。パ仁(x。))) −S. -. =1/[1十BujSj(X。)] 7一 心. 天 心. Su」}]. (j<mのとき)(52). に. 33.

(36) -=。●● 匹. Sj. CX。). 一 一. (Sい十S。j)/{y。}・ξj(x。)/yj(x。)−1}. (53). となる。. 同様にして、j>mのときについては、 C。Jこl/「1十B、jS」(X。)]. (j>mのとき)(54). となる。 結局、yjがわかれば、式(52)(54)を用いてC。」が求まり、C。jから式(44) (46)を用いてB。が計算され、このBgiを3.2、1項の式のBiの代わりに用い る. ことにより、より正確なy。が求まることになる。このためには、最初にyJを推定する. 必要がある。この最初の推定値としては、j番目の接合層以外の接合層を剛と仮定した計 算により求めることとする。. 3.2.. 4. 積層板の3次元変形影響の補正. ここでは、積層はりモデルの解を基に、積層板の3次元的な変形によって生じる応力分 布を、近似的に求める方法を検討する。 i番目の板において、フックの法則から次式が成り立つ。 £。=(1/Ej)に7.−l/l(7.−1ノ、(7.). (55). 剛接された積層板の熱応力においては、 (ハ=0. (56). C7y−(7x. (57). となる[61]。板が剛接されていない場合にも、板のほとんどの部分で近似的にこの式 が成り立つとすれば、式(56)(57)を式(55)に代入して、 E。=び。/Ea, 7・ 心. 7・ 心. に. (58). Eli=E,/(1−1,・,). (59). この式(58)から、前述の積層はりの式において縦弾性係数Eiのかわりに式(59) で定義される見かけの縦弾性係数E。を使うことにより、積層板のx方向のひずみs。を 求めることができると考えられる。y方向のひずみε、についても、同様な考え方で求め ることができる。ε。とε。が求まれば、xとy方向の応力(JX万と(7.は次式により求まる。. 34. −.

(37) ●・i・SI胃●・●IW・!. 皿. --一大. J. J. ジ. l. び. 石x−α. (θl−θ。1). び. 2. 一 一. (56)に加え. (60) I. 1ノ. p. 1. 上式は、式(55). J. L. J. L. E. Ey−α. (θj−θ。i). 温度変化による自由膨張の影響を考慮したもので. ある。. この考え方の妥当性については. 後で3次元FEM解との比較で検討する。. 35.

(38) 7`1’11●:……………7”:……=i………雫●●!゛‘I : ”. I・. -. -. ・東. ミ. ”. ’・’ ・’. 」. -. 3.3. 弾性解析. 本節では、弾性範囲での解析解を3.3.1項で求め、これを基に、積層構造のひずみ 分布の特徴と分布を支配するパラメータについて、3.3.2項で検討する。また、3. 3.3項では、解析解と3次元FEM解との比較を行い、はりモデルの妥当性について検 討する。. 3.3.1. 弾性解析解. 本節では、弾性乾囲での解析を行うので、次式を用いる 7'=Gy. (61). ここに、Gは問題とする接台層の嘆弾性係数である。. 上式を前節で求めた基礎式(21)と組み合わせ、境界条件の式(22)と(23)の もとで解くと、接合層のせん断ひずみyは次式のようになる。 y=y.−。・sinh(λξ)/sinh(λ). (O≦ξ≦1). (62). ここに、ξは無次元化座標であり、その定義式は前節で示した。λは接合層と被接合部 材の剛性に関する無次元化パラメータ、y。。。。は最大せん断ひずみであり、それぞれ次式 で表される。 2. 2. (1−β)G ん. =√[. {. h y・一lz. 1. 1. 十. − B. B1.. (e1十eu). 1. X ]. }. +. Du十Dt. =y。・tanh(λ)/λ. (64). ここに、y。はせん断剛性がOとした場合の最大せん断ひずみであり、その定義式は前 節で示した。 被接合部材の変形も、この接合層のひずみ分布から、前節の式を用いて、直ちに求めら れる。. 3.. 3.. 2. (63). 4. ひずみ分布の特徴と分布を支配するパラメータ. まず、最も基本的な場合として、図3.10に示すような線膨張係数の異なる二つのは りを、一つの接合層で接合した構造に一様な温度変化が加わった場合について考える。 前節で導いた式を用いて計算した結果を図3.11から図3.15に示す。図3.11. 36.

(39) 」. -. ト心=昏 1H Hh. 1 2 ee. 一. 2. 一. γmax. 脳a;. Wmax 図3. は. 10. 基本構造. 被接合部材に生じる垂直応力の水平方向の分布である。図より. 大となること. 示すパ. ラメ. -. タである。したがって. の応力が大きくなる 飽和する。. −・. その最大値は、λが大きくなると大きくなる. 定義した無次元のパラメータであり. 7・ 心. 7・ 心. 心. の応力は中央で最. とがわかる。λは. 前節で. 被接合部材に対して接合層がどれだけ剛であるかを 心. の図は、接合層の剛性が大きくなると. とを示している。ただし. の飽和俊ぴ。は. = ら. 被接合部材. λがある程度以上大きくなると. 部材が剛に接合されている場合の応力であり. 応力は Tiloshenko. のバイメタルの理論[8]による応力に等しくなる。 次に、図3 こと つになる. 12より. 接合層に生じるせん断ひずみは、中央で0. λが小のときは直線分布に近く. λが大きくなるとともに端部付近のみに生じるよ 13に. ことがわかるにの端部に生じる最大ひずみは、図3. 減少とともに増加し. 端部で最大となる. λ=Oのときに上限となる。. 37. 天 心. 示すように、λの. の上限値y。の定義式は式(36).

(40) J. -. 1. 1. O. 0. no. λ. -. ∼. b. R佃迦喇eな垢如測価. 0.6. 0.4 n/・. 0.2. 0.4. 0.6. 0.8. 1.0. 無次元化座標4 図3. 1. 1. 被接合部材に生じる応力分布. 1. 詣E汐ヘ. ーk. βnV り/・. 必でrだ恥一、ぺか. 0.4. 0.2. 0.4. 0.6. 無次元化座標4 図3. 1. 2. 接合層のひずみ分布. 38. −. 0.8. 1.0.

(41) S「. J -. 必軸心胞、マ、・y`︰畷. )(euJej. β1.0. 5. 図3.13. 接合層の最大せん断ひずみに及ぼすλの影響. で示した。この式は、図3.10のような基本構造では、次式のように簡単化できる。 忿。∩に−aに)(θ−θ。) yo二. (65). 2h = 心. こに、忍Jよ接合層の長さ、αむとα、.は接合層の上と下の部材の線膨張係数であリ. θは温度、θ。は応力およびひずみがOの初期温度、hは接合層の厚さである。 一方、構造に生じるたわみの最大値w。‥は、前節の式を基に図3.10の構造の場合 について整理すると、次のように表される。 一. XVmlx. 一. wo・. f. (66). f2. ここに、w。はたわみの上限値、flは被接合部材の剛性の影響によるたわみの減少率を 表すファクタ、f2は接合層の剛性をの影響を表すファクタであり、それぞれ次式のよう になる。. 39. 0. n/﹄. 5 10 15 接合層の剛性に関する定数λ.

Referensi

Dokumen terkait

Tekhnik pemasaran diberikan dengan maksud agar supaya para peserta latihan dapat memilih dan menetapkan metode pemasaran yang bagaimana yang dapat digunakan sesuai dengan

peran yang sangat penting dalam penerjemahan karena bahasa sumber sering kali mempunyai struktur yang berbeda dari struktur bahasa sasaran. Dengan menggunakan transposisi,

Lebih besarnya input dari pada output yang dihasilkan nantinya akan menyebabkan diseconomis of scale dan berdampak negatif terhadap masa depan perkembangan home

Kerangka Berfikir Peneliti Komunikator Pengurus/ Anggota Hijabee Media Supporting Media online Event Morkshop Pengajian Komunikan Pengurus/ Anggota Hijabee Noise Komunitas

Hasil penelitian ini adalah sistem pendukung keputusan yang dapat digunakan untuk mencari spare part motor pada Bengkel Pratama Motor dari kategori, merk dan jenis

1. Anggota tim tester tidak harus dari seseorang yang memiliki kemampuan teknis di bidang pemrograman. Kesalahan dari perangkat lunak ataupun bug seringkali ditemukan oleh komponen

Menangani pengoptimalan Sumberdaya Manusia dan Organisasi berperan pula dalam segala hal yang berkaitan dengan pembinaan member baru SEG UNPAD mulai dari persiapan masuknya

Program kerja bidang ini diarahkan pada meningkatnya sumber daya manusia yang semakin baik pada koperasi kita, terciptanya integrasi IT pada seluruh anggota AMKI