32
インド日清フーズは、ヌードルやその他さまざま な家庭用フーズを製造している。インドにおける同 社の主力ブランドは「Top Ramen」で、インスタン トヌードル市場で約20%のシェアを獲得している。
インド日清フーズの生産工場はデリー近郊とバンガ ロールにあるが、製品の生産にあたっては親会社の 技術を活用している。
2005年12月期の同社の売上高は861万ドルであっ た。2002年−2005年にかけての年平均成長率が 31%と売上高は順調に伸びている。
成功の要因
インスタント食品市場への早期参入
インド日清フーズは、インドのインスタント食品 市場における草分け的存在であり、1991年に他社に 先駆けてカップヌードルの販売を開始した。これが 有利に作用し、競合企業からリードを奪う形となっ ている。
特定の顧客ベースに焦点を絞る
インド日清フーズは、新製品の開発に対して常に
会社概要
日清食品株式会社(Nissin Food Products Co., Ltd.; 以下「日清食品」と表記)は、現在も会長とし て会社を率いている安藤百福によって1958年に設立 された。同社は8カ国で約25カ所の生産拠点を擁し、
世界中の市場に向けて商品を供給している。
同社は革新的な新製品を絶えず世に送り出してい る。1958年には世界初のインスタントラーメンを、
1971年にはカップヌードルを発売した。以来、日清 食品は、カップヌードル市場のリーダー的存在であ り続け、販売累計は200億食を超える。 2005年3月 期末における同社の売上高は29億5,000万ドルであ った。
日清食品は常に品質に対して最大限の努力を続け てきている。同社の生産工場は35カ所のすべてで ISO 9001の認証を取得している。また2005年には、
16カ所の生産工場で環境管理システムに関する規格 であるISO 14001の認証を取得した。
インドにおける日清食品
日清食品は1988年にインドに進出し、ブルックボ ンド・インディア(後にヒンドスタン・リーバと合 併)との合弁でインド日清フーズ(Indo Nissin Foods Ltd.)を設立した。しかし、1998年に日清食 品とヒンドスタン・リーバとの提携契約が解消さ れ、ヒンドスタン・リーバは合弁会社から資本を引 き上げた。ヒンドスタン・リーバは、インド日清フ ーズの製品販売も中止したため、同社は独自に製品 の販売活動を行っていくことを決定した。また、製 品の流通についてはマリコ・インダストリーズ
(Marico Industries)を通じて展開することを決定した。
日清食品
インド日清食品の売上高(百万ドル):2002年− 2004年
出所:ISI Emerging Markets 5.02
6.70 7.05
8.61
2002 2003 2004 2005
0 2 4 6 8 10
売上高(百万ドル)
インド日清フーズ
33
革新的であり続けている。インドでも特定の消費者セグメントを対象にした革新的な新商品を提供して きた。同社は、ヌードルをビタミンやカルシウムを 含んだ健康食品として販促を進めた。また、若者を ターゲットにした新しいカップヌードルも導入した。
地元の味覚に合わせた製品
インド日清フーズは、自社製品を地元の人達の味 覚に合わせてすばやくアレンジすることを得意とし ている。同社は地元の人々の味の好み、伝統的な調 理法、食習慣などを調査することに特に重点を置い ている。この戦略は非常に功を奏し、国内での売上 増につながった。材料、品質、価格についても細か いところまで配慮している。
今後の計画
インドでは、現在の経済成長を背景に、中産階級 の収入が上昇し、購買力も高まる傾向にある。この ことは、インスタントヌードルのような加工食品へ の需要の増加にもつながると考えられる。インド日 清フーズでは、この将来性の高い市場でより大きな シェアの獲得を目指している。
今後、同社は一部の商品の価格を下げてより多く の消費者を取り込んでいく計画だ。また、独自の販 売ネットワークと、マーケティング・パートナーで あるマリコ・インダストリーズとのさらなる提携を 図る。その他の取り組みとしては、新製品投入によ る販売力強化、販促キャンペーンの実施、生産シス テムの再編によるコスト削減などが挙げられる。