• Tidak ada hasil yang ditemukan

% Óæï»t 93' ü«+wa^

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

Membagikan "% Óæï»t 93' ü«+wa^"

Copied!
5
0
0

Teks penuh

(1)

京都大学大学院工学研究科材料工学専攻助教

  第 364 回京都科学者クラブ例会(令和 2 年 10 月 3 日)講演

月例卓話

3D プリンタによる XRF 分光器の製作

田 中 亮 平 

1. 小型分光器製作における 3D プリンタの 利用

その場計測が必要とされる分析には携帯可能な 分析装置が必要であり,ハンドヘルド型をはじめ とした分析装置の小型化が進んでいる.蛍光 X 線 分 析(X-ray fluorescence, XRF) で い え ば,

2000 年代に液体窒素冷却の不要な半導体検出器 を用いたハンドヘルド型 XRF が登場し,2010 年 以降は数ワットの低出力 X 線管を用いて XRF 分 光器を自作する動きも盛んになってきた.誰でも 短時間に測定可能な小型分析装置が安価に入手・

利用できるようになった一方で,分析精度・感度 の悪化は一考すべき課題である.その中で近年,

3D プリンタを分析装置の製作に援用することで,

従来装置と遜色ない精度を有し短時間で測定可能 な小型分析装置開発が行われている.ワシントン 大学の Seidler らのグループは,最大出力 50 ワッ トの空冷式低出力 X 線源を用いた X 線吸収分光 装置や波長分散型高分解能蛍光 X 線分析装置を 開発し,2 次元検出器として CMOS カメラを用 いたケミカルシフト測定のできる蛍光 X 線分光 器や,EXAFS を短時間で測定できる分光器を市 販している 1,2).これらの装置のデバイスホルダに は 3D プリンタにより製作された樹脂製の部品が 用いられている.3D プリンタで用いる入力デー タは数値制御による機械加工で用いられるデータ と同形式の 3D CAD(Computer-Aided-Data)デー タであり,今まで機械加工で行っていた装置製作 を 3D プリンタによる簡便な方式にそのまま置換 することができる.従来の金属加工に加え 3D プ リンタを用いて装置製作過程における幾何学的配 置の検討や試作を行うことで,トライアルアンド

エラーの回数を増やすことができ,分析装置の迅 速な開発につながると考えられる.このように分 析装置開発に 3D プリンタを援用することは,

laboratory-made の装置であっても充分な精度・

感度を有する小型分析装置開発の一助になり得る.

本稿では,当グループにおいて 3D プリンタを用 いて試作を行なってきた分光器3-5)のうち 3 次元 偏光光学系蛍光 X 線分析装置や散乱 X 線の偏光 度測定装置の製作条件や測定結果をもとに,3D プリンタによる分光器製作について得られた知見 を報告する.

2.3D プリンタでの装置製作

3D プリンタを用いて,3 次元偏光光学系 XRF 装置,X 線偏光度測定装置の試作を行った.3D プリンタは 3DP-20(HICTOP)を用いた.図 1 に使用した 3D プリンタを示す.この 3D プリン タは熱溶解積層方式であり,熱可塑性樹脂のフィ

図 1.3D プリンタ

(2)

ラメントを熱して溶解し,1 層ずつ塗り重ねてい く.企業・法人向けの大型 3D プリンタと比較す ると安価であり数万円程度で購入できる.フィラ メントには主にポリ乳酸(PLA)樹脂やアクリ ロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂が 用いられる.PLA の融点は 180‒230℃,ABS の 融点は 230‒260℃であり,ABS 樹脂を用いる場 合はフィラメント射出ノズルをより高温に保持す る 必 要 が あ る. 図 2 に 示 す 3 次 元 偏 光 光 学 系 XRF 装置のサイズは 20 cm × 20 cm × 20 cm で あり,要した時間は 14 時間であった.当グルー プでは 2017 年前半にマシニングセンタで数値制 御加工によりアクリル製分光器(RES-Lab.)を 試作した 6).そのときと同じ 3D-CAD データを基 に,液体試料でも測定可能なように X 線を試料 下面から照射できるよう設計変更を施し,Fig.2 の樹脂製分光器を製作した.フィラメントを下か ら積み上げていく積層方式の 3D プリンタでは,

凹凸や空洞など印刷する部品の形状に応じて印刷 方向などの条件を考慮して製作する必要がある.

そういった場合であっても,形状に合わせ部品を 分割製作し,後から組み合わせることも容易であ る.次に散乱 X 線の偏光度測定装置を図 3,4 に 示す.図 3 は 30 度ごとに検出角度を変更可能な 検出器ホルダであり,図 4 のように検出器と X 線管を配置し,各ホルダの凹凸の組み合わせを変 えることで散乱 X 線の検出角度の調整を行うこ

とができる.樹脂製部品からの散乱 X 線を防ぐ ため,フィラメントの充填密度を変更し空洞にな るように設計した.このように従来の金属機械加 工では困難と考えられる部品設計を,3D プリン タを用いて簡便に行うことができる.

3.偏光光学系蛍光 X 線分析への応用

偏光光学系蛍光 X 線分析は,直線偏光した線 源由来の X 線を励起光として用い,試料から発 生する蛍光 X 線を入射 X 線方向と直交する方向 から検出し,線源由来のバックグラウンド低減さ せることで高感度な分析が可能となる分析方法で ある(図 5).土壌,河川水などの環境試料や食 品中の微量有害元素分析などの場面で用いられ,

また,鋼材リサイクルに伴う添加元素の循環濃縮 の程度が微量の段階から事前に評価するなど,工 業分析・金属材料分析などへの応用も考えられる.

X 線は屈折率がほぼ 1 であり,ブリュースター 角が 45 度となるため,X 線の入射方向に対し 90 度方向に回折・散乱を生じさせることで偏光 X 図 3. 3Dプリンタで製作したホルダ.(左)3D-CADデー

タ(右)製作したホルダ

図 2.3 次元偏光光学系 XRF 装置

図 4. 図 3 のホルダに検出器・X 線管を配置した偏光 度測定装置

(3)

線を生成できる.また発生原理上偏光性を有する 放射光を利用することもできる.回折現象を用い た方法 7,8)では,入射 X 線波長に合わせた分光結 晶を用いて 45 度 Bragg 回折を起こすことで高偏 光度の X 線を生成できるため高感度分析が可能 である.しかし,回折条件を満たす波長を有する X 線のみが偏光するため特定の元素しか励起でき ず,未知試料分析には不向きである.他方,X 線 の散乱現象を用いる方法 9,10)は,偏光子に金属板 などを用い,散乱された X 線を励起光として用 いる.この場合,偏光 X 線は白色光であり未知 試料分析向きだが,偏光度は回折を用いた方法に 比して劣る.当グループでは,弾性散乱断面積に 対して Compton 散乱断面積の割合が大きい軽元

素からなる材料を偏光素子として用いた場合,そ の散乱線が全エネルギー帯で高偏光度を持つこと を図 3,4 の 3D プリンタ製簡易分光装置を用い る こ と で 実 証 した 6). 散 乱 X 線 の 偏 光 度 p は

II90°

I+I90°で評価した.ここで, 90°検出器と直 線偏光 X 線の偏光方向のなす角が 0°,90°のとき の 散 乱 X 線 の 強 度 で あ る.X 線 管 は ULTRALIGHTMAGNUM(ロジウムターゲット,

最大出力 4 ワット,MOXTEK)を用いた.測定 には SDD 検出器(RES-Lab.)を用いた.図 6 は ホウ素板と鉛板を偏光素子として用いた場合の散 乱 X 線のスペクトルである.ホウ素板を用いた とき,90°に比べて大きく減少していること がわかる.また,ホウ素版を用いた場合,Rh Kα 線はほとんどコンプトン散乱されることもわかる.

図 7 に種々の偏光素子を用いた場合の Rh Kα線 と Rh KαCompton 線の強度比と散乱 X 線の偏光 度を示す.Compton 線の割合が大きいほど偏光 度も高くなり,軽元素で構成される偏光素子を用 いた場合の方が高い偏光度の X 線を生成するこ とがわかる.偏光実験では大型放射光施設などの 利用が考えられるが,3D プリンタを用いて製作 した装置であっても X 線偏光度を測定すること が実験室系においても十分に可能である.

図 6.散乱 X 線のスペクトル(左)ホウ素板(右)鉛板 図 5.偏光光学系

(4)

4.まとめ

偏光光学系 XRF など種々の分光装置の試作に 3D プリンタを応用し,分析機器開発における 3D プリンタの応用可能性について実際の X 線偏光 度測定を通してみてきた.高精度が要求される部 分に対しては金属加工した部品を用いる必要があ るが,X 線管や検出器を固定するためのホルダ,

本格的な設計の検討を行うためのプロトタイプの 製作に 3D プリンタを活用することは有用である と考えられる.また金属部品から生じる妨害ピー クを低減するための樹脂製部品を,3D プリンタ を用いて制作することも可能である.従来の数値 制御による機械加工と 3D プリンタの入力データ が共通であることから,測定目的や対象に応じて 機械加工による金属部品と 3D プリンタによる高 分子樹脂部品を組み合わせることで,従来装置の 精度・感度を保ちつつ,携帯型分析装置のより簡 便な開発が可能になると考えられる.

謝辞

空洞を有する部品作製時の分割印刷方法など 3D プリンタを用いた設計方法・方針に関して指 導をいただきました(地独)京都市産業技術研究 所の竹浪祐介氏に感謝申し上げます.

参考文献

1) W. M. Holden, O. R. Hoidn, A. S. Ditter, G. T. 

Seidler, J. Kas, J. L. Stein, B. M. Cossairt, S. 

A. Kozimor, J. Guo, Y. Ye, M. A. Marcus,  and  S.  Fakra:  A  compact  dispersive  refocusing  Rowland  circle  X-ray  emission  spectrometer  for  laboratory,  synchrotron,  and XFEL applications, 

88, 073904 (2017).

2) D. R. Mortensen and G. T. Seidler: Robust  optic alignment in a tilt-free implementation  of the Rowland circle spectrometer, 

 215, 8 (2017).

3)T.  Sugino,  R.  Tanaka,  and  J.  Kawai:  3D  printed  compact  XRF  spectrometer,  (submitted to 

4) 杉野智裕,田中亮平,河合潤:小型偏光 X 線励起による鋼材の XRF 測定,X 線分析の 進歩 49.

5) 田中亮平,森崎聡志,山下大輔,山本大地,

堤麻央,杉野智裕,河合潤,“3D プリンタに よる分光器の試作 ,X 線分析の進歩 49,

53‒61(2018).

6) R.  Tanaka,  T.  Sugino,  N.  Shimura,  and  J. 

Kawai: 3D-Polalized XRF Spectrometer with  図 7.種々の偏光素子を用いた場合の Rh Kα-Compton 線 / RhKα線強度比と散乱 X 線偏光度

(5)

a 50 kV and 4 W X-Ray Tube,  , 22 (2018) 128.

7) K. P. Champion, R. N. Whittem: Utilization  of Increased Sensitivity of X-ray Fluorescence  Spectrometry  due  to  Polarization  of  the  Background  Radiation,  ,  199  (1963),  1082.

8) H.  Aiginger,  P.  Wobrauschek,  C.  Brauner: 

Energy-Dispersive  Fluorescence  Analysis  using  Bragg-Reflected  Polarized  X-Rays,  , 120 (1974), 

541.

9) J.  C.  Young,  R.  A.  Vane,  J.  P.  Lenehan: 

Background  reduction  by  polarization  in  energy  dispersive  X-ray  spectrometry,  Western Regional Meeting of the American  Chemical Society (1973).

10) T. G. Dzubey, B. V. Jarrett, J. M. Jaklevic: 

Background reduction in X-ray fluorescence  spectra  using  polarization, 

, 115 (1973), 297.

Referensi

Dokumen terkait

評価は低い。/M18 メーカー 人事 退職 ・失ったモノは、あまりない。年功で遅れたくらい。価値としては、MBA

10, 2013 光合成生物の仕組みとその光応答戦略 光を見て光を食べる 光合成と聞くと,光を浴びた緑葉が水分解に伴い酸素 を発生し,二酸化炭素から炭水化物を合成する過程を想 起するだろうが,光合成はもっと多様である.酸素を発 生しない,緑色でない,あるいは,水を分解しない光合 成生物も存在する.なかでも,最初にできた光合成は酸

融合タンパク質も作成した.精製した各融合タンパク質 の発光スペクトルから,Venus由来の発光値(530 nm) とRLuc由来の発光値の比(530/480 nm比)を求めるこ とで,最大のFRET効率をもつ融合タンパク質を選び 出した.さらに,RLuc自体の発光量を改善するために, エラー誘発PCR法によりRLucに対してランダムなアミ

螺旋3D印刷 螺旋 3D 印刷によって 1 個ずつことなる製品の design を 連続的に生成するための方法を考 した.ここでは 的 な方法を説明し,それを螺旋 3D 印刷に適用したより 的な方法を す. .1 シングルトン連続生産 の の 法 言での たように,design を連続的に生成するにはコ ンピュータによって design

るという特徴をもっている.対象に単一の刺激を与え, 単一の刺激を観察する通常の蛍光計測に比べ,多刺激・ 多応答という特徴をもつ蛍光指紋には以下のような利点 がある. (1)対象成分について,電子励起や蛍光放出が起こりに くい(蛍光強度が弱い)波長条件も含めた膨大な 情報が得られる. (2)食品のように多数の成分が混在している試料につい

光合成誘導反応 図2は光合成誘導反応の一例として,木本の光合成モ デル植物でもあるポプラの葉を弱光条件下 (20 μmol m−2 s−1) に 約1時 間 以 上 お い て か ら,光 強 度 を800 μmol m−2 s−1 まで上昇させた後の光合成速度の時間変 化を示している.このケースでは,光強度が上がってか ら2,

ロボットアームで奪取せよ!!」AMデザイン部和田研究室 「未発見!?3Dプリンタを用いた作品展」宍戸研究室「まるで 魔法?!さわらずに動かす未来のUFOキャッチャー」を出展し、 2日目は、武市研究室「銀ナノ粒子導電ペンでLチカ」上條 研究室「暗闇で光るオリジナルカラフル手形を作ろう!」教育 研究技術支援センター「暗闇で光る!スライム」を出展しました。 実施予定

近年、日本を訪れる外国人観光客が増えてい る。また、それに比例するように日光に訪れる 外国人の数も毎年右肩上がりに増えている。平 成 28年の栃木県産業労働観光部観光交流課の調 査によると栃木県を訪れた外国人観光客数は初 めて 20万人を超えた 21万人となり、そのうち約 半分の9.1万人が日光市を訪れている。