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コミュニティ政策学会 第 9 回シンポジウムのご案内

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コミュニティ政策学会  第 9 回シンポジウムのご案内 

 

「コミュニティで公共交通を創出する」 

 

開催日時:2010年3月28日(日)  13 時 30 分〜16 時 30 分  開催場所:大和市コミュニティセンター 

鶴間会館 2 階 集会室        〒242-0004 神奈川県大和市鶴間 2-12-35    TEL  046-276-3736 

 

           お問合せ先 : コミュニティ政策学会事務局  TEL 0565-35-7031  主催:コミュニティ政策学会     

共催:NPO 法人 かながわ福祉移動サービスネットワーク  後援:神奈川県,大和市 

     

【 会場案内 】 

大和市コミュニティセンター 鶴間会館 

〒242-0004  神奈川県大和市鶴間 2-12-35 

   

内  容   

(1) 基調報告      清水 弘子  (NPO 法人 かながわ福祉移動サービスネットワーク) 

      「コミュニティで公共交通を創出する」 

 

(2) 事例報告   司会  伊藤 雅春(コミュニティ政策学会理事) 

         

① 神奈川県大和市「鶴間地区循環バス」 

② 神戸市北区淡河町「淡河町ゾーン・バス」 

      ③ 高知県中山間地域の過疎の生活を支える移動販売事業         

(3) パネルディスカッション 

   

参加費

(資料代として) 500 円    ※ 当日会場にて、徴収させていただきます。 

 

コミュニティ政策学会 

愛知学泉大学コミュニティ政策研究所内 

〒471-8532  愛知県豊田市大池町汐取1      TEL 0565-35-7031  FAX 0565-35-7020      E-mail  a-compol@gakusen.ac.jp   

・駐車場はございませんので、公共交通機関で  お越し下さい。 

・小田急江ノ島線の鶴間駅から徒歩 5 分です。 

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コミュニティ政策学会第9回シンポジウムの記録 

『コミュニティで公共交通を創出する』 

      2009.3.28 

■基調報告   

NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワーク理事長  清水弘子氏

  今ご紹介いただきました、NPO 法人かながわ福祉移動ネットワー クの理事長をしています清水と申 します。まず、かながわ福祉移動 ネットワークは、どのような団体 かということを説明させていただ きます。県内には一人で外出困難 な高齢者や障害を持つ人たちに対 して、外出支援活動をしている団 体が170あり、うちの80団体が参 加しているネットワーク組織です。

私たちがなぜ地域交通に取り組むようになったのかというと、移動サービスの活動を通し まして、移動困難な方は高齢者の方だけなのか、また本当に障害を持った方だけなのかと いうところに疑問を持つようになったからです。実際には、歩ける方でも健常者でも、坂 があってバス停や駅までいけないということで、移動困難な方がいます。こういった課題 にどのように取り組んだら良いかと考えていく中で、神奈川県のボランタリー活動推進基 金21に応募して県との協働事業として、地域交通を作りたい、自分たちの町の足を確保し たいと思っている方と一緒に市民発の地域交通の実現に向けて支援していく活動をしてい ます。実は、一昨日ですけど神奈川県下でかながわNPO映像祭がありまして、西鶴間の試 運行をビデオに納めたものを応募したところ、それが50数団体の中で最優秀賞をいただき ました。最優秀賞を頂いたのは嬉しかったんですけど、それ以上に市民自らが交通を作る ということが新しい取り組みであること、NPOが地域の取り組みのコーディネーターとし て支援をしていくということが認められたのではないかと喜んでます。表彰式終了後、2つ の地域の方が「ぜひ私たちも取り組みたい」と声をかけて下さり、こうした市民の地域交 通への取り組みの必要性が高まっているのではないかと思いました。これは地域交通創出 事業にとって大きな意義です。

元気な人でも、学生でも、通学など交通の手段がない場所は、交通不便地域です。実際 にはこういった交通不便地域はバス事業者や自治体のコミュティバスなどの取り組みで対 処されている場合が多いですが、具体的に話を聞いてみると、どの自治体も財政難で多く

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の補填をしながらバスを走らせ続けることは非常に難しいようです。私たちは、もう一つ のやり方として、地域住民が自ら交通課題に主体的に取り組む活動を支援していこうとし ています。

現在は制度的にバスの撤退がしやすくなっていることや、商業施設が郊外型店舗になっ てきて歩いて行ける所に店舗がなくなっていることで、新たな移動困難者が生まれていて 新たな移動の課題となっています。中田会長からのお話がありましたが、今、町のかたち というのはだんだん変化してきています。マイカーが普及したことで、商業施設が郊外に 広がり、郊外にたくさん新しい住宅街が出来て、最初は駅からのバスの便があったとして も、住民が高齢化し、だんだん人口減になってくる。そして、マイカーの普及がバス利用 を減らす、といったが悪循環を生んできました。地域の店舗も住民が少なくなるとお店自 体が減少して、商店街もシャッター通りになって、旧来の住民は買い物にさえ困る。買い 物さえ出来ない買い物難民などという言葉も聞かれるようになりました。マイカーの普及 というのは、バスの利用を圧迫してきたと言われていますが数字で見ますと1965年頃がバ スの利用のピークで40年間の間で約6割の減少だと言われています。これは実際の数値で す。本来ならバスの利用が減ってきたら営業努力をして、もっと便利にすべきですが、出 来なかった。バスの減便とか値上げとか廃止とかに繋がって新たな移動難民を作ってきた ことが課題の前提にあります。では、今までの交通政策はどうであったかというと、大学 の先生方に伺うところでは、交通事業者が交通を作ってきたと言われています。行政が交 通に関する方針を明確に持っていることは、かつては、まずなかったことです。交通事業 者がこの区間に電車を走らせ、バスを走らせて、この区間は赤字だけれども利益のある区 間の収益で赤字路線を補填するということで交通を作ってきた。交通事業者というのは、

もちろんマイナス路線をたくさん持っていれば、営利企業ですからそれを支えていくこと ができなくなってくるので、採算の取れないバス路線に対して行政の補助が入ってくる。

以前は、バスにはたくさん補助金が入っていると言われていましたが、現在ではそれも少 なくなってきている。また、その補助金が地域ニーズの確保という観点よりも「補助金が あるから走らせる」というバスになってしまったと、バス関係者が話していました。現在 では、補助金が少なくなってきて、交通事業者も採算が合わないためにバス路線を廃止し てしまうとか減便するなど、バスはますます地域住民にとっては使い勝手の悪いものにな ってしまっているのが現状です。

では、そこにどのような交通が誕生したかというと、市町村が運営するコミュニティバ スというのが多く作られるようになりました。成功事例として取り上げられるのは武蔵野 市のムーバスというコミュニティバスです。この地域には路線バスはたくさんありますが、

狭い住宅地を横に結ぶ交通に不便があり、ある時市民が市長に手紙を書き、これがきっか けとなって、バス運行のための実行委員会を発足し、議論の末コミュニティバスを実現し ました。ここは全国の中でも数少ない黒字路線の 1 つです。写真のここに傘があるんです けど、雨の日は無料で傘を貸し出していたり、すごくアットホームな取り組みをしていま

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す。これは武蔵野市がバス事業者と契約をして事業者が運行をしており、市が運行経費を 負担しています。バス事業者にとっては赤字はありません。利用者の運賃が契約より上回 れば市としては黒字になるということです。いろいろな地域でコミバスが運行しています。

ほんの一例ですけど荒川区の場合は、バス事業者が自主運行を行っていますが、中刷り広 告は可愛らしい手書の案内があったり、コミュニティならではのものを作っています。渋 谷のハチ公バスは、ご覧になった方もたくさんあると思いますが、可愛らしい犬の顔にな っています。渋谷は便利な場所と思われていますけど、坂が多く、駅に行く便はあります が施設や住宅を横に結ぶ交通がなく、このバスが運行されています。これも渋谷区がバス 事業者に委託をして運行をしています。市民の要望があって実現していますが、市民が運 行にかかわっているということではありません。

他にも企業が運営しているものもあります。サンクスネイチャーバスというのは自由が 丘をメインとしたコミュニティバスで環境をテーマとしてんぷら油のリサイクル燃料で走 ります。運行では特別なエンジンが必要で経費が多くかかるということを聞いていますけ ど、走らせる会は、地域の企業、お店や個人がサポーターになっていて、運営の資金を出 し合っています。もう 1 つは、丸の内のバスです。これは乗ったことがある方もいると思 いますが、皇居の周りを回っています。このバスのコンセプトは、高いビルを建てた時に 上下の動きというのはエレベータやエスカレータがあるけれども、地域を結ぶ横の動きが 無いので、そこに着目して作られたということです。これは地元の企業が協賛をしていて、

誰でもが無料で利用できます。

次は京都醍醐のバスです。市民が運営をして、運行はバス事業者が行っています。ここ も地下鉄ができたことで今まで運行していたバスがなくなり、横を結ぶ交通が無くなって しまって、病院に行ったり買い物に行ったりすることが不便になりました。高齢化が住む ことで地域の中での足が必要ということで、女性のグループが中心になって、地域に働き 掛けて京都大学の先生方の協力もあってこのバスを作ってきたということを聞いています。

この市民活動は、私たちもお手本にした活動で、運行資金を確保するために地域の企業に いろいろなアプローチをして協賛金をいただいたりしています。地域とのつながりを重要 視しているので、例えばバスの中に地域の小学校や幼稚園の子供たちの絵を展示したり、

イベントの際は、小学校の子供たちがブラスバンド演奏をしたりする地域密着型のコミュ ニティバスです。この事例は多くの路線を持つ大きな取り組みです。

次に自治会を主体とした例をご紹介しますと、一つは横浜市泉区下和泉の E バスという バスがあります。これは観光バスです。観光バスの比較的仕事の少ない時間帯を数時間借 り上げて運行をしています。この地域も地下鉄ができたことによってバスが無くなり、通 勤する人や通学する人が非常に困っていた。駅まで歩いて行くのが困難な住宅街で自治会 を中心とした地域住民がNPOを立ち上げて、観光バスを借り上げ運行しています。

また、川崎市の野川南台の事例は、山の上にある県営住宅の高齢化が進み、坂を下りて 買い物や病院に行くことが非常に困難になったので、自治会の人たちが立ち上がったもの

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です。これは、川崎市が支援をして、9人乗りのワゴン車を貸与して運行がスタートしてい ます。この例では住民が自治会費から拠出をし、住民自らボランティア運行をしています。

運行も運営も市民が行っているということです。始まって1年半が経過しています。

2007年度、神奈川県の市町村に交通に関してアンケートを取らせて頂きした。交通不便 地域があると答えた自治体は、90%以上あり、その中で住民の活動であったり具体的な要 望や陳情がある地域は70%ありました。しかし、その対応は簡単ではなく、「不便なのは分 かっているし、バスの運行をしたいと思うが採算が合わない」「費用をかけても住宅地には 大型のバスが入らず一回に数名しか乗せることができず採算性がない」「要望があっても実 際には乗る人が少ない」というのが現状です。市町村は財政が厳しい中で財源を確保して 交通を作っていくことに対して弱腰になっていています。住民主体で地域交通を作ろうと いう動きが全国的に少しずつ広がってきてはいますが、まだまだ主流とは言えません。住 民主体の運行が短期間で終わってしまうことなく、継続していくために「私たちのバス」

という思いをもって運行するのが次なる課題だと思います。

そこで制度的な課題ですが、2006年度に道路運送法が改正されました。大きな改正のポ イントが2つありまして、1つはかながわ福祉移動ネットに参加する団体のようなNPOに よる福祉有償運送を制度化したということです。今までは例外的に認められたものが、道 路運送法79条に正式に位置づけられました。もう1つはコミュニィバスや乗り合いタクシ ーの普及促進の方針です。ただしここでいうコミュニティバスというのは、市民運営や市 民運行ではなく、バスやタクシー事業者などが、「乗り合い」の許可を取りやすくするとい う普及促進です。

乗り合い自動車というのは、運賃を取って運行するバスのことです。観光バスやタクシ ーというのは、複数の方を乗せてもそれぞれから運賃をもらわず、人数に関係なく一括し て料金を支払います。2006年の規制緩和はこの許可を取りやすくしたものです。これまで タクシーが乗合許可を取るには、分厚い書類を整えて許可を得たということでしたが、地 域で開催される地域公共交通会議でバス事業者やタクシー事業者、行政、市民委員等の委 員が合意した場合、乗合の許可が取りやすくなるという改正がありました。しかし、許可 の取得が簡単になったから事業者はコミュニティバスに対して積極的になったかというと そうではありません。横浜市や川崎市や相模原市は地域交通創出を推進する制度がありま す。交通不便な地域で、住民とバスやタクシー事業者とが一緒に取り組んでいますが、実 験運行はできるけれど、本格運行に移ったというのはほんのわずかで、横浜市では 3 例で す。他の多くの取り組み地域は、実験運行をしたものの本格運行はできず、それは事業者 にとって採算性が低いということです。

事業者の許可を取らないで市民運営や市民運行の地域交通を生みだすことはできます。

そのためにはどのようなことをすればいいかというと無料でないといけない。定額の運賃 をもらってはいけない。事業者が走らせる通常の乗合バスでは運賃が決まっていますが、

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そのような決め方はできないのです。それは、交通事業者ではないからです。白ナンバー で運行することは自家用車と同じ扱いです。しかし、バスは無料では動きません。バス本 体の価格、燃料など、さまざまな問題があります。

無償の考え方として、運賃はとれませんが会費制で運営することは無償の範囲とされて います。例えば自治会費や協賛金などでの運行や、任意の謝金は無償の範囲です。または、

金銭的な価値に換算しにくい謝金、地域通貨や畑の野菜などでもらうのは無償の範囲とい うことが国交省の通達で示されてされています。バスは無償で動きませんが、会費制など で運営すれば地域でのバス運行は可能です。例えば地域で募った会員の会費で運営をする、

地域の協賛金や自治会の会費などは無償の範囲です。企業の協賛金なども同じです。定額 の運賃を取らなければ、市民の手で運行や運営をすることができます。

地域交通のあり方は地域によって違います。地域住民の合意をどうやって作るのか、核 になる地域のリーダーがいるのかなど様々な課題があります。運行するための仲間づくり も課題になってきます。市民の地域交通は行政やバス事業者やタクシー事業者などが作る ものという考えはなかなか変わりません。ワークショップや準備会をする中でも、「なんで 行政が地域住民の足を確保しないのか」という意見が何度も聞かれます。自分たちで作っ ていこうと、または自分たちで作って足りないところは行政が支援をしてくださいという ように思うまでに多くの時間がかかりました。地域住民が自ら地域の足を確保するという 考えは一般的ではありません。コミュニティバスの取り組みは多数ありますが、市民が運 行して市民が運営をすることは非常に少ないことです。

私たちは、さまざまな所でワークショップや学習会などをさせていただいています。行 政の方々と連携をして、市民の力が発揮されるよう支援していきたいと思います。

最後に  神戸のくるくるバスの事例をうかがった時に「コミュニティバスをつくること はコミュニティづくりだった」と話されました。私はコミュニティバスづくりを支援して 行く中で、バスの中での見知らぬ人どうしの会話の様子、自治会の合意を取るためのリー ダーたちの努力。本当にコミュニティづくりだと感じています。

■事例報告1    神奈川県大和市「鶴間地区循環バス」   

鶴間地区循環バス準備会会長  滝沢  誠

皆さんこんにちは。ようこそ大和市にお越しいただきましてありがとうございます。私 は自治会の会長もやっていまして、今回の取り組みについて、だんだんと深みにはまって きまして2年間代表をやらせていただいています。今は準備会ということで3 月までやっ ていますが、4月からは運行委員会ということで実験運行になります。私は滝沢と申します。

また事務局の次長をやっています入沢です。よろしくお願いします。

学会で発表するような内容ではありませんが、泥臭い話をさせていただいきます。ただ いま清水さんからいろいろ事例をお話していただきました。後半の話はまさにその通りだ

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と思いました。大和市の概況については、

先ほど街づくり総務課の内田さんからお 話がありましたが、その中で高齢化率では 65歳以上で18.5%。22万8,850人のうち 65歳以上が 4万2,900 人ほどです。それ で私たちの地域の概況を申しますと、地理 的に言いますと小田急線に沿って、東西南 北に細長い市ですけど、西の方面に位置し ていまして、座間市との境です。いずみの 森という大きな森があります。鶴間駅で降

りられた方もいると思いますが、平均的に言いますと800mから1500mの範囲以内で居住 している地域です。したがって15分から遠いところで30分ぐらい、高齢者の方ですと40 分ぐらい徒歩でかかるかと思います。人口は4,500人で、65歳上は、970人で年々上昇し ています。その中で 7 自治会で今回お互いにバスを運行させようとしています。これは大 小様々ですけど、この自治会員が1600人です。そんな中でこの地域では、未舗装もたくさ んあり、他市から見れば驚かれる方もいますけど 250m ぐらいの未舗装道路を高齢者が歩 いたり、自転車に乗るという大変なことがあります。途中で滑ったり転んだりすることは 日常茶飯事になっています。とりわけ大和市は平たんな場所でして、自転車は非常に多い です。駅の近くにも中々駐輪場が完全に整備されておらず、ひったくりや自転車の盗難は 非常に多くなっています。地域性を簡単に言いますと、公共バスが走っていないというこ と。地域には 3 階建てのマンションが建設されていないということです。つまり古くから 住んでいるから一戸建てが多く、新しくマンションが建てられない関係で若年層が入って こないということです。一戸建てを買うことは今は安くなっていますけど、1800 万から 3000万という状況で、ほとんど共稼ぎで自治会活動にも非常に影響があります。それで緑 地が非常にたくさんあることで環境的にはいいんですけど、私ども自治会も管理が大変で 道路幅も狭くて住宅も密集していて、震災時にどのように対処したらよいかなど多くの課 題を抱えています。

冒頭にいろいろ申し上げましたが、こうした地域性の中で我々のバスといっても10人乗 りのワゴン車タイプですけど、足の確保をどうやっていくかを考えています。さかのぼっ てみますと2年前、20年の3月に地域の高齢者からだんだん腰も足も痛くなったし、いろ いろな場所に行くのにも大変だしなど、様々な声があり、先ほどの清水さんと伊藤先生の ご指導でワークショップを3月、5月、7月に行いまして、当初は何をやるんだろうと冷静 に見学をしていましたけれどもだんだん住民の方の要望が大きくなってきて、我々自治会 も関与をしていかないと前に進まないと私自身が思いました。第 5 回ぐらいから我々も参 加をして、それなりに好き勝手なことはお互いに言えましたけど、現状分析をしながら理 詰めでいかなと進まないということで、いろいろなことをやりながら進めてきました。細

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かい経緯は省かせていただきますけど、お手元の資料の9ページをご覧下さい。9ページの 4にこれまでの活動を抜粋しています。7自治会がありまして、自治会の合意作りが難しく て合意には至っていませんでしたけど、20年の3月に会則を作って発足をしようではない かと、そこから組織的に動き始めました。私が責任者になりましていろいろなスタッフ、

ほとんどが女性ですけど皆さん方の活躍があり今日に至っています。

様々なルートづくりを地域住民の方がたと話し合って作り上げてきています。様々な要 望があって、例えば自分の所を通してほしいなどありましたが、一定の時間内で走らせる ためには、決まったルートを作る必要があると思いました。5月に別の自治会館で経過報告 をしまして、21 年度の 6月と10 月にレンタカーを使いまして試験運行を実施しました。

それと同時に行政から話がありました通り 8 月に大和市に対して協働事業提案を行いまし て、10 月に協働事業として締結をしました。これは本来なら22 年度4月以降の協定なん ですけど、前倒しで行いました。大和市から16万円の助成金を貰い12月に神奈川県から 17万5000円の助成をいただきました。2月に1ヶ月間試行運転をしまして3月にコミュニ ティセンターで最終的な報告会を開催させていただき、4月以降の取り組みについて話して いこうと住民の皆さんに発表していきました。そのようなことで今日まで来ました。いず れにしても協働事業につきましては、たまたま大和市は条例を持っていましたので、各市 民団体から協働事業の申請がある中、私たちも 2 回の審査を受けて選ばれました。いろい ろな経費の話ですけど、あくまでも運行自体は、住民主体で行いバスは自分たちで走らせ ようを合言葉にしています。それも全部ボランティア、運転手もボランティアで考えてい ます。いろいろな資格や健康などについて審査させていただいています。それから運行管 理については事務局にてきめ細かく決定していく必要があると思います。課題は、たくさ んありますけど、地域で支え合うバスを走らせようということがコンセプトになっていま す。

2年間の成果をお話しますと、地域住民の中の関心は様々でして、若い人たちの関心は低 く、必要ないと言われたり、居住している人 7 自治体ありますけど、全部地域が違うので 温度差がありました。移動手段を持っている人に関しては、何をやっているんだろうと冷 たい視線がありました。住民すべてが利用するサービスではないので、これをすべてクリ アすることは不可能です。もう 1 点は平等であるということです。各自治会の合意を取り まとめていくためには、大変なエネルギーや様々な時間や労力を使いました。地道な苦労 がたくさんありました。組織で何かしているんだから任していけばいいんじゃないかとい う他人任せな考えもありました。費用の問題でやはり自治会や個人に大きな負担があるの ではないかという心配は話すたびにあり、自治会は基礎的な運行をささえていく協働負担 金を一時的に出していただいて、個人については任意で出していただくことで理解をいた だいています。いずれにしても継続的に住民の方々と話し合うことで今日まできました。

成果について話しますが、バスの中で見知らぬ人たちとコミュニケーションがあるので はないかと、あるは自治会同士が集まっているんだから一体感も生まれるのではないかと

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市長から感想を貰いました。7自治会で様々な会議がありますが提案事項も受け入れるよう になりました。ボランティアの方も運行の理解が出来てきて、我々が動かすのは、自治会 と市との協働事業ですけど、私たちの手でバスを動かすとか交通不便地域をなくすという 気持ちで住みやすい地域づくりをさせていただいています。いろいろ課題はありますけど、

これからも取り組んでいきたいと思います。

副事務長  入沢  牧子

これから簡単な映像を流します。試運行や様々な流れについての映像です。今言われてい るような自治会の会員を主にして、自治会の会員の方から一世帯10円を集めることを最初 に納得していただくのは、至難でした。また狭い道などを何回も車で走って、いまも試行錯 誤しています。というように屋根に触ったり、いろいろしています。国土交通省の移動サー ビスの資格を得るために講習を受けさせていただきました。これは座学だけを受けさせてい ただいて修了証書を作ってもらい特別にいただきました。運転者の方は、すごく喜んでいま した。今は午前5便、午後5便で1日10便で動かしていますけど、午前一人午後一人で動 かすためには10人必要で、乗員も必要になっています。電話番も必要で3人必要になって います。40分で1回に回るようにしています。3月21日の報告会で副市長が挨拶して協働 から融合をしていかないといけないといっていました。私たちもこれからも働きかけをして いかなければと思っています。自治会の連合会長も自治会の活性化に繋がってくると言って いました。私たちは、これから新しく仕組みを作りだすためにどのようにするかということ に踏み出していると思います。どこまでを私たちが出して、公がどこまで出すのか、どのよ うに協働でやっていくか、新たな取り組みだと思います。これは地域のコミュニケーション を作るという以上に一歩進んだことをするのではないかと思っています。バスの中でもコミ ュニケーションができている。やることはたくさんあるのではないかと思います。毎回自治 会長に集まってもらうのに半年かかりました。そのように提案すること自体大変だとわかり ました。地域のバックアップがすごいので、今後も続くといいと思っています。

■事例報告2    神戸市北区淡河町「淡河町ゾーン・バス」       

兵庫県立福祉のまちづくり研究所  北川博巳

皆さんこんにちは。淡河町ゾーン・バスの取り組みについてご紹介をします。本来なら 朝日新聞に大きく載った NPO 法人上野丘さつき会の相良幸信さんを呼んで話してもらう べきなのですが、本日は淡河にある石峯寺の火祭りという年度の終わりの行事のための送 迎があるのでどうしても行けないということで、私が代理で話に来ました。私は兵庫県立 福祉のまちづくり研究所の北川と申します。私どもの研究所は、兵庫県立総合リハビリス テーションセンターにあり、まちづくり支援からリハビリテーション支援など、高齢者や

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障害者の生活支援に関する研究を行っている機関です。

本日は淡河のゾーン・バスが今こうして走っている経緯について説明したいと思います。

淡河町は政令指定都市である神戸市北区にあります。神戸は有名な都市ですが、淡河地区 は六甲山を超えたところにあります。伊丹空港から空港バスで30分くらいですが、地区内 の公共交通は路線バスしかありませんでした。また、人口が3,350 人で高齢者率が22%で す。2006年に相良さんが神戸市の方達とともに来られて、地域のために何かをしたいとい うことが始まりで、私もその思いを支援できないかと言う所から始まりました。最初にや ったこととして、自治会に協力を打診したのですが、よく分からない交通手段のために、

合意をとることができませんでした。そこで、みんなを納得させる意味でも状況を知るこ と、まずアンケートをしようと言うことになりました。自動車依存が高くて自動車を持っ ていない世帯は淡河では50に満たないということで、自動車がないと生きてはいけないと いうまちであることがわかりました。では、自動車を持っていない人はどうするのかとい うと、バスか徒歩しかなく、バスを走らせれば利用をしてくれるだろうと考えました。と ころで、他の研究でコミュニティバスについて調べているのですが、アンケートをすると8 割くらいの方がコミュニティバスは必要だと言われますが、実際に運行すると利用者はそ の2割程度しかない事例もありますし、そうなるとお金がすごくかかります。相良さんは、

淡河町は高齢者施設や福祉施設が多いまちでもあるので、その施設の保有している車両を 活用したバスができないかと考えました。そして、それを買物や通院手段にならないかと 考えるに至りました。実際に市民運行バスを実施している地区が淡路島や丹波市にあるの で、そこへ見学にも行きました。とくに、淡路島の長沢という地区に自治会が中心になっ て各世帯1万円ずつを出し合って運行しているバスがあることを知り、参考になりました。

私たちの間でも多くの議論を経て、考えをまとめて地区の人に考えを理解してもらう会 合として、ワークショップを開き、地域の人たちへの理解を深めようとしました。しかし、

そこでは色々なことを言われました。例えば運転手はどうするのか、保険はどうするのか など実務的な課題も山積していることが分かりました。正直、ゾーン・バスを実現するに は自治体や住民の理解がかなり必要であることがわかりました。その後、神戸市の地域公 共交通会議や過疎地有償運営協議会など神戸市で行いましたが、事業者の方達も含め、そ こでも色々と言われました。とくに、地区の路線バス会社からは、バスの路線と競合しな いように配慮してくださいと申し出がありましたし、タクシー会社からは淡河地区を超え て帰宅支援のために運行させたら、駅からの送迎でお客が減って困るので、地区内での運 行にしてほしいこと、住民の方達からはゾーン・バスを走らせたら路線バスが減ってしま うのではないかなど話し合われました。これらの意見をもとに、この交通手段のイメージ はタクシーではなくてバスだということでゾーン・バスという名称に決まりました。そし て、過疎地有償運送運営協議会を今一度開催して合意を整えることになるのですが、その 前にやらなければならないこととして、地域の説得を再度その2か月前に行いました。1つ は私が講演に行って高齢社会になり、いつまで自動車が運転できるかという問題提起を行

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ないました。そのあとで住民の皆さまからの意見を聴取したのですが、様々な行事で女性 の方々が困っているという話を聞きましたし、グランドゴルフの送迎もあったほうが良い というご意見も頂戴し、よりニーズにこたえた取り組みをしていこうということになりま した。ゾーン・バスという名前なので、つい定時定路線の運行をイメージするでしょうが、

柔軟にダイヤを決めることとなりました。よって、毎日同じところを行ったり来たりする ような形態ではなく、毎日運行せず地域のイベントに合わせて運行する日を設けました。

また、最終バスに乗った人は自宅に帰れるように送迎することにもしました。運賃につい ては町内だけとし、料金はバスの2分の1という考え方で200円としました。まだ課題も 見えてくるはずだとして、まずは協議を要しない無料運行を試験的に行いました。そのと きに火祭りの送迎、グランドゴルフでの送迎をして相良さんは一人ひとりの手を取って丁 寧に乗降をお手伝いし、利用者の方達には感謝のお言葉も掛けながらやっていました。こ のように様々なトライアルを行って、2回目の過疎地有償運送運営協議会を実施して、合意 が取れて運行できるようになりました。保険の問題だけが残りましたが、その点も解決を して2009年3月に運行を始めました。今も地域の様々な課題を解決しながら運行を続けて います。ちょうど今の時期で運行してから一年が経ったのですが、黒字で運行しています。

施設保有の車両を活用したことでコストが安く抑えられ、地域の方達のカンパでどうにか やっている状態です。神戸市役所の方々には書類作成や事業者の方たちとの調整作業など、

お金の面ではない様々な支援をしていただいたことで運行できるようになったとも感じて います。ただし、今も安全運転のことが課題として残っていて、いつも安全にだけはとに かく気をつけて下さいと言っています。

その後の話に戻りますと現在は月に 500 人以上が利用をしてくれて安定期に入っていま す。ただし、もっと利用者を増やすことも考えなければならないかも知れませんし、質を 上げることも考えないといけません。今は地区の方がゾーン・バスの好意的な俳句なども 書いて頂いていますし、老人ホームで同窓会が出来るようになったとの声もありました。

一方、バスを取り巻く状況として、今は自治体に潤沢な資金がありません。多くのコミ ュニティバスは、運行経費よりも収入が大きく下回っている状況です。一人あたりを運ぶ コストが2000〜3000円かかることも多くあります。また、一日当たりの乗降客が0.4人ぐ らいのバスもあります。こうなるといつ減便や路線撤退になるか分かりません。今回の事 例で分かった最大の成果として、交通手段を走らせることは難しかったのですが、公共交 通手段の代わりの交通手段になりうることもできますし、地域の人たちと対話することに よって作り上げた分、乗ってくれる可能性もあることが示唆されました。とくにクルマを 運転しない・できない人たちにとっては、外出する絶好の手段であり、引きこもりなどを なくすことにも役立てることができるのではないかと思います。つまり、バスを走らせる だけでなく、その先に地域で築き上げてゆくべき何かの姿が見えてくるのではないかと今 回の事例を通じて感じました。以上で終わります。

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■事例報告3    高知県中山間地域の過疎の生活を支える移動販売事業 

日本サービス・流通労働組合連合  向囿英雄

サービス・流通連合の向囿と申します。私のほうは、表題にあります高知県の(株)サ ンプラザと県庁が取り組んでいる事例をご紹介します。時間の関係上すこし省きながらお 話をさせていただきます。私の組織は労働組合です。ボランタリー組織という意味では、

NPOの皆さんと同じだと思いますが、企業の雇用を守ることがミッションです。全国の百 貨店やスーパーなどの労働組合が加盟しており、この辺では、小田急百貨店やユニーなど の企業が加盟組合の企業です。本日参加されている学会の皆様の地域でいいますと、札幌 では丸井今井百貨店やアークスグループ、青森では、三春屋百貨店やさくら野百貨店、長 野ですとまるみつ百貨店、兵庫でしたら関西スーパーなどの従業員が加入する労働組合が 集まった連合傘下の組織でして、小売業を中心とした労働組合でまちづくりを行っていま す。この産業は、第 3 次産業であるサービス産業に属しており、今の不況下ですと売上げ が厳しく店舗閉鎖を余儀なくされる状況もあります。従いまして、地域が元気にならない と我々企業も成り立たないものですから極力労働組合も側面からバックアップをしようじ ゃないかと、「地域の活性化なくして商業の活性化はない」ということでまちづくりに取り 組んでいます。

今回報告させていただくのは、まちづくりの一環として取材をした内容です。その映像 を見てもらい、ご紹介させていただきたいと思います。サービス・流通連合では様々なま ちづくり活動に取り組んでおりますが、この場の趣旨とは違いますので今回そこは、省略 させていただきます。サービス・流通連合では、先ほどのお話にありましたような高齢者 が安心して暮らせる地域を目指し、これからのまちづくりにはコンパクトシティーや買い 物難民対策が重要と考えています。具体的には、商業施設だけではなく、行政や病院など の公共的なインフラと一体となったまちづくりが大切であることなどを国や行政に対して 政策提言しています。そのような提言活動の事例の1つに、今から紹介する高知県の(株)

サンプラザというスーパーの取り組みがあります。スーパーマーケットを中心とした事業 を行うサービス・流通連合の加盟組合の企業です。高知県の疲弊した経済環境の中で、地 元密着型で頑張っている企業です。この企業は、「ハッピーライナー」という移動スーパー 事業を行っています。私は神奈川出身で今年で43歳になりますが、30年以上前には、同じ ようにスーパーの移動販売バスがあったように記憶しています。ただし現在では、移動販 売バスのような事業は採算が合わないなどの理由で会社の事業として行っているところは ほとんど聞きません。ちなみに、高知県は高齢者率が全国で 3 位の県です。また、日本の 国土は約7割が森林と言われていますが、林野面積において高知は8 割を超えているとい われています。高知県は34市町村ありますが、そのうちの27市町村が過疎地と言われて います。最近、高知県はテレビドラマの龍馬伝で脚光を浴びておりますが、他に四万十川 もありますし、ユズが特産の馬路村も有名です。(株)サンプラザでは、そのような高知県

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で15市町村にまたがって移動販売バスを走らせているのです。労働組合でも企業がそのよ うな過疎地域に移動販売バスを走らせているという話を聞いて、そこの委員長にお願いを して私がビデオカメラを持ってどんな事業なのかを取材しました。

≪映像放映≫

時間の関係上省略しながら映像を流しましたが、簡単に言うと昔あったと記憶する移動 販売バスです。しかし現在では、移動販売バスは採算上維持することが難しい事業になっ ています。この場にいる皆様の活動は、まちづくりという視点からのボランティア活動だ と思います。しかし、このような山奥の地域は、そもそもボランティアの方がいないか、

いらっしゃったとしても買い物の環境を用意することなどは困難な場所であります。映像 にあったように高齢の方々が多く、限界集落という言葉がありますが、ほとんどこの辺は 過疎の集落と思われます。(株)サンプラザでは、このような移動販売事業を昔からやって おり今年で25年目です。途中で採算が合わないこともあり存続について社内で議論したそ うです。その当時、一人の移動販売バスの運転手さんが言ったそうです。「教科書にのっち ゅうがぜよ!?やめたらいかんやろ!」と。「ハッピーライナー」が山間地の暮らしを支える 移動スーパーということで、小学校の教科書に掲載されていたのです。この時期から、会 社としてもなんとか続けていくための検討を行うようになったとのことです。

このようなバスをもしやめたら、そこに住んでいる高齢者が買い物できなくなります。

したがって、高知県も以前よりこれらの問題を地域の課題として取り上げており、なんと か中山間地域の方々の暮らしを支える制度を作れないかと取り組んできました。映像の中 にありました通り、いつも来るおばあちゃんが買い物に来ないので心配になった運転手が 見にいったら実際に倒れていたということもありました。高知県では、平成19年から(株)

サンプラザ、民生委員児童委員と 3 者で地域見守り協定を締結しています。県はこのよう な協定を(株)サンプラザ以外の地元企業とも結んでいます。翌年からは(株)サンプラ ザの労働組合や上部団体も参加し、自企業だけの問題ではなく、過疎地域に暮らす高齢者 の暮らしを支えるしくみが大切であることを県や企業と議論してきました。また、労働組 合としては、これらの取り組みが公共性の高い事業であるということをわかってもらおう と組織内外に向けてピーアールしてきたのです。ちょうど時期を同じくして「買い物難民」

という本が出版され、(株)サンプラザの事業をはじめとした全国の様々な取り組みが紹介 されるとともに、新聞に掲載されるなど、高齢者の買い物などの日々の暮らしを中心とし た社会的な問題として取り上げられるようになりました。平成21年、高知県は、「中山間 地域安全安心サポート体制支援事業」をスタートさせました。この制度は、移動販売事業 者が生活物資の提供と併せて、地域の見守り活動を実施する場合、必要な車両の購入を支 援するというしくみです。(株)サンプラザをはじめ地元企業数社がこの制度に応募し補助 を受けられるようになりました。国も買い物難民を課題に据えた研究を始めました。この ような移動販売事業が、物を売ることに加え、中山間地の住民に役立つ機能を付加するこ とで暮らしやすい地域となるよう、引き続き行政や企業とともに労働組合も一緒に地域づ

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くりを行っていきたいと考えています。

■全体ディスカッション  司会

残りの時間が 4時 25 分までですので、30分ぐらいしかないですがここで全部出ている 質問をご紹介して議論をしていこうと思います。まず最初に鶴間地区の関係で、自治会内 で理解を得るために苦労されたと思いますが、具体的にどのような取り組みをされたのか を教えてください。また自治会内の若い方に関心を持ってもらうための工夫はありますか という一倉さんからのご質問です。

乗合バス運行準備会会長(滝沢)

まず最初の質問ですが、単一の自治会ではなく 7自治会で取り組みを始めました。私の南鶴間自 治会で約700世帯で、他は350とか370と、私 どもの自治会が大きかったもので、地理的に一番 駅から遠い場所に点在している自治会から、私の 所の状況を話していきました。一番近場のある自 治会では、最初のころは必要性を感じていないと 会長の方から話がありました。当初は関心が少な

かった自治体も含めて、7自治会でこの事業の取り組みについてやはり一致団結という気持 ちになりませんといけません。地域差があったとしても同じ気持ちになろうではないかと こいうことで、我々として各自治会長さんに働きかけつづけた結果、最初集会に参加をし なかった自治会も徐々に参加をしてくれました。毎月定例会を第 3 金曜日の夜に行うよう になり、取り組みを続けていきました。難しいことは分かりますけど、我々の気持ちを伝 えるために自治会の集会あるいは役員会に出向いてお話をさせてもらっています。その中 で各自治会の声を聞きながら我々の気持ちを徐々に伝えて、それを繰り返しながら今日に 至ったということです。

乗合バス運行準備会副事務局長(入澤)

補足をさせていただくと、夜の自治会の役員会に出向いたり、自治会ごとに小グループ で話し合われています。これからも行っていきます。車の利用者に対しても運行日につい て説明する機会を設けてほしいというお話をしています。若い人に関しては、小さい子供 を連れている人が利用者します。その人たちの口コミですでにかなりの人が利用をしてい ると思います。幼稚園の送迎のバスのない方は使用をしているし、荷物がたくさんある時 に子供を連れて帰りに乗る方や使い勝手に合わせて利用者層は広がっていると思います。

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司会

清水さんは自治会の定例会議などにすべて参加をしているのですか

NPO法人かながわ福祉移動ネットワーク(清水)

はい。出席しています。最初のときは、各自治会も温度差があったと思います。核にな る自治会に出向いたことが大きかったことと、自治会のリーダーの方が出来ないかもしれ ないけど、出来ない理由を作るのではなくてとにかく一度やってみようと言ったのが大き かったのではないかと思います。会長さんも最初はしり込みをしていましたが、やはりこ の 2 年の間で滝沢さんが一番の理解者になったと思いますし、様々な方々へ自分の思って いる気持を伝えたことが大きかったのではないかと思います。乗らない方にどう説明をし ていったかというと、私も乗せてもらったときに、「私はまだ自転車にも乗れるのよ」とか

「自動車を運転できるのよ」などという声はありました。しかしみんなが参加しないと動 かないという声があって、「私は応援するわ」という声がありまして、軸になったメンバー が声かけをしたことによって動き始めたことはすごく良いことだと思いました。

司会

北川さんはちょっと地域が違いますけど、先ほどの報告の中で相良さんがずいぶん苦労 をされていると言っていましたが、何かご質問等はありませんか。

北川

私たちの経験の中でもそうですけど、ある所ですと非常に好意的にやろうやろうと言っ ていてある所まで行くとやらなくなり、例えばお金の話になったり車輌をどうするのかな どがあり、淡河町は大反対されていたんです。わかってくるとゾーンバスを守る会を結成 したりして、これからみんなで守っていくんですとなる場合もある。今回の場合ですと、

どちらかというと前者なのか、または後者あるいは中立なのか、そのあたりを教えていた だくとありがたいです。

滝沢

その質問に対して、私自身も伊藤先生による3月、5月、7月のワークショップから始め たんですけど、一回目は、冷めた気持ちもあったりして、皆さんの所に集まり具合とかい ろいろな話を聞きながら各自治会長にも呼び掛けたり、各役員にも声かけてワークショッ プに入ろうではないかというところから始まりました。この組織としてバスを動かそうと なると、住民の一つのまとまりをだけでは動かないと個人的に思いました。そんなことで 私の所の自治会館でやった時に参加しながら、私自身が組織をそれなりに作ったわけです。

いずれにしも説得するというよりは、我々の手で行うという気持ちで、きれいごとでは なくて話し合いました。住民からは本当に走るのと聞かれたり、赤字になったりしたら誰

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が負担するのかなど毎回議論になりました。役員で補てんをしようではないかという話も あり、やっとまとまってきたというお話です。

入澤

補足ですが、行政とのかかわりは、伊藤先生を中心としたワークショップの時に清水さ んと先生の方から市の方もそこに参加してくださいと呼びかけられた時が一番強かったと 思います。後は協働事業になった所で私たちのバックとなって信用を与えてもらいました。

個人で行いたいから取り組んでいますというのとは違って、その役割は大きかったと思い ます。

清水

同じ気持ちです。最初大和市は積極的に取り組んでくれました。準備会のたびに必ず最 初の頃は、市の職員が市の運営するバスを走らせることができないことを毎回答えていた だきました。財政的なことなどきちんと説明をしていただいたし、決して住民より前に出 て話をするわけではないし、後ろから信頼を作ってくれて、住民が主体的に行っているこ とを応援してくれる姿勢は良いなと思いました。

司会

先に質問を進めますけど、滝沢さんに質問ですが、自治会が中心の担い手になることに 納得された大きな理由はなんでしたか、という質問です。

滝沢

今のご質問ですけど、先ほどお話をさせていただきましたが、2年間の活動はこれで終わ りではなくて、これから始まる事業でして、今までの取り組みはあくまでも準備段階のお 話です。準備段階では、地域で走らせようとする気持ちを結集することで、その結果は 3 月11日の住民総会で私がお話をさせていただきました。今のお話ですけど、自治会のこと ですけれども発表会で申し上げたように、様々な過去の生い立ちとか、自治会員の階層の 違いの問題ですとか、地域性の問題ですとか、あるいは取り組んでいる活動の違いの問題 とか、自治会によって様々なやり方の違いがあったわけです。その中で、このバスを走ら せるために、それぞれの自治会からの協力金など一定の基礎を支えるためにある程度のお 金が必要なので何回もお願いに行きました。様々な会議を繰り返しながらお互いの人間関 係を構築していく中でこのような結果になった。表面的な話だけでは、解決できなかった と思います。

司会

入澤さんにお願いをします。バスの広報はどうしているのですか。または住民はすべて

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自治会に加入をしているのですか。という質問です。

入澤

今の地域には直接かかわりは無いんですけど、80%以上の世帯が自治会に加入をしてい まして、平均的には、70%ぐらいと聞いていますけど割と高いと思います。自治会長は、

地域の代表者であり、おばさんが困っていると動かないといけないので動いています。広 報のやり方としては、15 日に定例会議に出す広報を作っています。それからポスターとタ ウンニュースに載せてもらったりしていますが口コミが一番大きいと思います。

司会

定例広報は回覧板ですか。

入澤

全戸配布で行っています。

司会

その費用はどうしているのですか。

入澤

紙代は準備会もちで印刷は市で行っています。

司会

他に鶴間の件でご質問はありませんか。

横浜市港北区で行っているコミバス市民の会(入江)

滝澤さんにご質問ですが、町内会・自治会の活動はたくさん課題があるのではないかと 思います。私たちの地域でも高齢者の問題、防犯の問題、子育ての問題、保健の問題、そ れから防災訓練など町内会の活動は多くて大変で、町内会の役員を受けてしまうとコミバ ス市民の会はやっていけないと思います。自治会として新しいことを始めるということは どのように判断するのかを教えてください

滝澤

私の自治会も今言われた通り、来週の 3 日に定期総会がありましてその準備も私がすべ てやっていまして、忙しさの中でもいろいろ計画を立てて行えば何とかなるもので、この 件を受けたのは、最初に申し上げた通り住民の声に押されて組織を作る時に私が手を上げ ないと誰もやらないという感じだったので決意をもってやりました。あっちもこっちも自

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分の自治会だけではなく、様々なことを行ってきました。現役以上に頑張っています。こ れらを、やりがいを持ってやっています。

司会

次の質問に移りたいと思いますが、淡河町の質問に移ります。淡河町のゾーンバスは運 送法の何条に当たりますか。また市の支援は今後も受けずに運行を行うことができるので すか。

北川

道路運送法でいいますと基本的に過疎地有償法で会員は登録制で、NPOが運行するとい うことで普通でしたら79条になっていますが、乗合運行の場合ですと4条になるのかと思 います。市町村の運行運送または過疎地有償運送や福祉有償運送などがありますが、協議 すると様々なトラブルが発生することが多くて、これからの流れは交通基本法についての 問題があります。その意味では、移動という意味に対してどのような権利が発生するかと いう問題です。道路運送法の問題だけではないと思います。それから市は、支援はしたい けど出来ない状態です。様々な問題があり、出来ないわけですけど、別の支援を行ってい ます。

清水

いま北川先生がお話したとおり、交通基本法の改正問題は、来年の秋の国会に提出をし たいということで進んでいるようです。いろいろな関連法案や予算の問題でどんな形にな るかわかりませんが、法律が制定された時にどのような形になるかが大きなポイントにな ると思います。行政は本当に財政がないので、市民が公共交通を作っていくことに関して は、前向きに取り込んでいると思います。

NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワーク(河崎)

清水さんが説明してくれましたが、来年の 1月 に交通基本法が提出される予定です。最低限の移 動の確保をしていきたいということですが、行政 側としてはお金がないので、民主党政権も交通と いう所はマニフェストに書いていないためにどこ までやってくれるのかが難しいと思われます。首 相が言っているように地域交通を作るためのやり 方を考えなければならないと思います。

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司会

ハッピーライナーへの質問で、バスが巡回する市町村からは支援や何らかのかかわりが あるのですか。移動販売事業に関して、行政側の支援として地域に残っている商店に対し ての支援などはありますか。地域主体を想定することは難しいですか。

向囿

まず一つ目ですけど、市のかかわりについては 2 つ目の質問が近いと理解してよろしい でしょうか。県も市町村の行政単位での補助金を検討したそうですが、移動販売は市町村 をまたぐため県が補助金制度を作りました。但し県が各市町村に対して、この仕組みが必 要がどうかを確認を取ったそうです。1つでも必要がないと言われた時は県としては支援出 来ないという結論になってしまいますが、市町村の理解もあり制度ができたと伺っており ます。次に地域との協力ができないかという質問ですが、私も詳細はわかりませんが、中 山間地の農業などの一次産業が疲弊しているので、都市部と農村をつなぐ連携をとれない のかなど様々な事業の広がりも期待できるのではないかと考えています。そうした意味で はローソンさんなどの取り組みも参考になりますね。

北川

食材を中心におこなっているようですが、日用生活用品を移動販売で扱っている事例も あります。違う所で買い物をしたいという気持ちもあると思うのですが、別のものを販売 する移動販売車はありますか。

向囿

服のニーズはわかりませんが、お酒のニーズはあるのではないかとも聞いています。高 知県ではお酒の消費量が全国的にも高く、おじいちゃんやおばあちゃんはお酒を買いたい んですけど移動販売ではできないそうです。私が個人的に考えていることですが、頭痛薬 などの薬のニーズもあるのではないかと思います。いずれしても色々な商品を選ぶという ことに楽しみがあるのではないかとも思います。

コミュニティ政策学会(山崎)

実は 3 点目の質問をさせていただいたのは私でして、先ほど清水さんの最後のお話の中で コミュニティづくりについて、伊藤先生からもお話がありましたが、中山間地域で大野先 生が限界集落という言葉を作られたように、どのようにしてコミュニティづくりをしたら よいのかが問われていると思います。ハッピーライナーの取り組みで映像にあった23か所 も回ることはすごいことであり大変なことで、集落のほうで皆さんの要望をまとめてやれ ば、事業者との協働もできるのではないかと思いました。そのことで集落の力を強くさせ るのではないかと思います。

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向囿

ご提案ありがとうございます。

三木市(西山)

三木市の西山と申します。本来なら三木市長の薮本が会員で参加する予定でしたが、公 務で参加できませんでした。今日のテーマで、コミュニティバスや移動販売などは三木市 でも取り組んでいることです。バスについては、有償運送を行っているということで交通 関係部署が聞きに行ったりしています。兵庫県の丹波市でも事例があるようです。僕らも 地域に入り、10 地域でバスの意見交換会を行って、その中でやはりどれだけ公共交通に困 っているのか、実際にどれだけ使用するのかなどを聞いています。一番困っているのはバ ス停までが遠いので送ってほしいということですので、無償で運んでいます。現在は公民 館を中心に巡回をしているところです。初期投資として車両は高齢者仕様にしまして、そ のバスは公用車として対応をしています。過疎地の商店も大型のスーパーの進出で倒産し てしまうケースがあります。移動販売車を支援して、地域を回ってもらって移動販売をし てもらうことを考えています。22 年度から始めようと思っています。生鮮食品などはもう けが少ないので冷蔵庫などの改造費の補助もしています。

コミュニティ政策学会(井岡)

私の地域では、今お話しのあったように、バス停まで遠いということでどう足を確保す るのかという問題があります。高齢者向けのバスを使用して巡回をしています。先日、住 民懇談会が行われてまして、自治会と社会福祉法人と意見交換をしました。病院などの運 送についてのサービスも行っています。簡単なのは、社会福祉法人に声をかけてやる方法 があるかと思います。

司会

今回はコミュニティ政策学会として、コミュニティバスという今までとは若干違うテー マを設定しましたが、地域で今何が起きているかということを共有することが出来たので はないかと思います。今日はどうもありがとうございました。

Referensi

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赤い魚と子供 小川未明 川かわの中なかに、 魚さかながすんでいました。 春はるになると、いろいろの花はなが川かわのほとりに咲さ きました。木き が、枝えだを 川かわの上うえに拡ひろげていましたから、こずえに咲さ いた、真紅まっか な花はなや、またう す 紅くれないの花はなは、その 美うつくしい 姿すがたを水みずの 面おもてに映うつしたのであります。