工学院大学建築学部卒業論文梗概集 阿部研究室
2014年度
コンクリートの強度に及ぼす構成材料の分布の影響に関する検討
DB-11202
中村剛久
1. はじめに
コンクリート部材の中の強度は、一般的に上部が 小さく、下部が大きいとされている。理由として、
上部は密度の小さい水が上昇して水セメント比が大 きくなり、下部には骨材が沈降することが考えられ る。また、締固め時に再振動を行った場合には、骨 材下面にブリーディングによって生じる空隙や空気 泡の減少によっても強度が増加すると考えられる。
このようにコンクリートの強度に は「粗骨材の量の 分布」「水セメント比の分布」「空隙の分布」が起因 していると考えられるが、それぞれがどのような割 合で影響しているのかは不明である。もし影響割合 を把握できれば、施工による強度の低減を抑えるこ とができる。本 研究では 各種分布を関数に持つ 3 元 1 次方程式を 作成し、強 度の低減を抑える施工方法 を提案する。
2. 既往の試 験体に よる検討 2.1 研究 対象の 概要
夏季( 2012 年 8 月 7 日)に作製された模擬試験体 について検討 した。この 試験体は基礎の立ち上がり 部分を模したも のである( 図1)。基礎の再振 動の有 効性を比較する ため、直 径 50mm のバイブレータで 再振動したもの・ 再振動 しないもの・直径 25mm の バイブレータで 再振動し ないものをそれぞれ 2 体 ず つ作製し、材齢 2 日で 脱 型後、圧縮強度、動弾性係 数、超音波伝播 速度、密 度を測定した。
2.2 使用 材料と 調合
試験体に用い た使用材料 と計画調合表を表1と表 2に示す。
2.3 諸性 状の試 験方法
試験体の諸性状 の試験方 法を表3に示す。
2.4 構成 材料の 分布の測定方法
試験体は 1 年以上室内 に 常温保存されていたが、
本研究では諸 性状の試験 から構成材料の分布の測定 の間に、各種分布は変化 しなかったと仮定した。ま た、水セメント比については、その値によって変化 するとされている明度L*値を測定することにした 1) 。 試 験 体 の 構 成 材 料 の分 布 の 測 定 方 法 を表 4 に示 す。
表 1 使用材料
表 2 計画調合表
呼 び 強 度
ス ラン プ
(c m)
空 気 量
(%)
水 セメ ン ト比
(%)
細 骨 材 率
(%)
単 位 水 量 (kg/ m3)
絶 対 容 積
(L/m3) 質 量 (k g/m3) 化 学 混 和 剤 の 使 用 量
(kg/m3) 単 位 粗 骨 材 か
さ容 積
( m3/ m3) セ
メロン ト
細 骨 材
粗 骨 材
セ メロン ト
細 骨 材
粗 骨 3 材
0
12 4.5 51.
1 46.
5
174 1 08
3 13
3 60
3 41
8 26
9 58
4.31 0.60
18 47.
1
187 1 16
3 07
3 45
3 66
8 10
9 18
4.63 0.58
表 3 諸性状の試 験方法
性 状 (測 定 項 目 ) 測 定 方 法
圧 縮 強 度 JISA1107
動 弾 性 係 数 JISA1127
超 音 波 伝 播 速 度 CTM-15(飽 和 増 幅 方 式 、対 称 法 )
密 度 2 日 で脱 型 、研 磨 後
表 4 試験体の構 成材料の分布の測定 方法
構 成 材 料 (測 定 項 目 )
片 面 測 定 時 間
測 定 方 法
粗 骨 材 量 (粗 骨 材 面 積 率 ( % ) を 測 定 )
1
図 1 - A 部 の 断 面 に マ ス キ ン グ シ ー ト ( ト リ コ ン マ ス キ ン グ SP フ ィ ル ム 1 0 4 2 5 0 m m × 10M ) を 貼 り 、 そ の 上 か ら 粗 骨 材 に マ ジ ッ ク
(STA BIL O OHPen u n ive r s a l ) で 塗 る ( 付 録 図 1)。
0.2 画 像 解 析 装 置 LU ZEX- AP ( 株 式 会 社 ニ レ コ ) ( 付 録 図 1 ) を 用 い て 試 験 体 上 、 中 、 下 の粗 骨 材 の 面 積 率 を 算 出 。
水 セメ ン ト 比 (L* を 測
定 ) 理 由
表 面 の状 態 により得 られる色 が異 なる為 、表 面 を指 で触 って平 滑 が確 認 できるほ ど研 磨 する 必 要 があ る。
0.2 試 験 体 の マス キ ン グ シ ート を はが し 表 面 を 研 磨 す る。
理 由
試 験 体 か ら 離 れ た カ メ ラ に よ り 測 定 を 行 う 測 定 機 械 で は 、 光 に よ る 誤 差 が 生 じ る こ と を 考 え 、 レ ン ズ に よ る 歪 み も な く、 均 一 な 測 定 を 期 待 で き る ス キ ャ ナ に て 画 像 を 取 得 。
0.2
ビ ジ ネ ス プ リ ン タ で 表 面 を ス キ ャ ン す る 。 解 像 度 は 350 dpi 、 1200dpi 、 2400dpi、7200dpi を 比 較 し、 ス キャ ン 時 間 、 精 度 を 考 慮 し て 1200 dpi を 選 択 。 後 に 本 来 の 色 に 補 正 を 行 う た め 、 グ レ ー カ ー ド を 一 緒 に 写 し こ む 。 機 械 に よ る 色 の 補 正 が 行 わ れ な い よ う に プ ロ フ ァ イ ル は 指 定 し な い 。 保 存 形 式 は 画 像 の 圧 縮 がな い TIFF 形 式 を 選 択 。
0.2
画 像 処 理 ソフト PhotoshopCS6 を用 いて、グレーカードを基 準 に色 補 正 を行 う²)。 図 1の赤 枠 (800×1500 )に 切 り 取 る。 解 像 度 の 変 更 が 行 わ れ ない よう P NG 形 式 で 保 存 する。
理 由
オ ー プン ソ ース の プロ グ ラ ム 言 語 であ る Proces sin g に よ り画 像 解 析 を行 う こと で、 原 因 不 明 な 誤 差 を 減 ら す。 ア ルゴ リズ ム は HS B 表 色 系 で セメ ン トペ ー ストと 骨 材 を 分 け て 測 定 で きる 色 の 範 囲 を 決 定 、 取 得 さ れ た HS B 値 を 、人 の 目 の 色 の 光 を感 じる 3 刺 激 値 であ る X YX 表 色 系 に 変 換 、 X YZ 値 を 人 の 心 理 や 物 理 的 感 覚 に 近 い Lab 表 色 系 に変 換 。 な お 1 2 0 0 dpi の画 像 に P r o c e ss in g に より 作 成 し た プログ ラム に より 適 当 に 設 け た HS B 値 の 範 囲 に 当 て は ま る ピ ク セ ル に 色 を つ け 、 そ の 後 目 視 で セ メ ン ト ペ ー ス ト 部 分 と 骨 材 部 分 を 分 け ら れ る こと を 確 認 し、 色 の 範 囲 は 決 定 し た ( 色 相 H:10 ~50、 彩 度 S:0 ~30、 明 度 B:50~80)。 図 4に 色 を 塗 る 前 後 の 画 像 を 示 す。
0.1 図 2 の赤 枠 内 のマ ト リクス 部 分 の L* 値 を 測 定
気 泡 4.5 AS TM C457 -71( 直 線 法 ) に 準 じ て 図 2 の 赤 四 角 内 を (150mm*15 本
=2250mm)測 定 種 類 粒 の 大 き さ
の 範 囲
粗 粒 率 お よ び 実 積 率
絶 乾 密 度(g/
㎤)
吸 水 率 (%)
骨 材 混 合 比 %(質 量) 細 骨 材 石 灰
砕 砂
5mm以 下 2.85 2.63 1.11 40
陸 砂 1. 2mm 1.6 2.52 3.09 20
砕 砂 5mm以 下 3 2.62 1.24 40
粗 骨 材 砕 石 20~5mm 60 2.64 0.58 50
砕 石 20~5mm 60 2.66 0.61 50
練 混 ぜ 水
上 澄 水 混 和 剤 AE減 水 剤 セ メ ン ト
普 通 ポ ル ト ラ ン ド セ メ ン ト
3. 測定結果と考察
諸性状の測定結果 3) と構成材料の分布の測定結果 を表5に示す。また、諸性状と各種分布の関係を図 2に示す。
3.1 各種分布 3.1.1 粗骨材面積率
計画調合表より、粗骨材の絶対容積はスランプ1 2cm・ 1 8cm でそ れぞれ36%・34.5%で あ るが、面積率の平均は31.4%・33.7%と逆 転している。しかしながら、切断面によって、高さ 方向の面積率上下関係が変わることを考えると、切 断位置による誤差であると考えられる。図3より、
粗骨材の沈降から推定されるとおり面積率は下部ほ ど高く、粘性から推測されるとおり その上下方向 の 差はスランプが小さい程少なく、分布が均一になる ことが分かる。また図3中の1-1と2-1、3-
1と4-2を比較すると、再振動を行うことで、不 均一になることが分かる。これは再振動により粗骨 材の沈降と圧密沈下が進行したためと考えられる。
3.1.2 空気量
目標空気量はス ランプ1 2 cm 、18 cm ともに4 . 5%であったが、測 定値の 平均は5.0%、5.1%
である。直径2 5 mm の バイブレータにより振動 を かけた3-2 と6-1の 試験体は他と比べ、細かい 気泡(50μm~100 μm)の数 が2倍以上であ るため、3
-2と6-1を 除いて空 気量を平均すると、3.8%
と4.2%と なった。こ こから直径の細いバイブレ ータの方が気 泡数が増え ることが考えられ、強度の 低下の一つの 要因となる と考えられる。1-1と3
-2の気泡数 の比較を図 4に示す。気泡は振動によ り上部に移動 するため上 部ほど空気量は多くなって いる。上部の 密度低減 に影 響していると考えられる。
図 1 模擬 試 験体 図 2 4 - 2( 左
4週
/右 13週 )
表 5 諸性 状と構成材料の 分布の測定結果
構 成 材 料 の 分 布 諸 性 状
スラ
ンプ 材 齢 名 面 積 率 空 気 量 L * 圧 縮 強 度 動 弾 性 係 数
超 音 波 伝 播 速 度 密 度
12 4
1-1-1 24.3 5.1 69.6 44.5 38.0 4.61 2.39
1-1-2 36.6 2.9 69.7 46.1 41.5 4.72 2.42
1-1-3 42.5 2.6 69.6 46.4 42.8 4.81 2.42
13
1-1-4 22.5 5.1 69.8 44.6 37.5 4.69 2.37
1-1-5 34.6 2.9 70.1 46.3 41.2 4.78 2.40
1-1-6 33.0 2.6 70.0 48.7 42.7 4.92 2.43
4
2-1-1 27.3 4.0 70.3 30.2 38.2 4.59 2.37
2-1-2 35.7 3.2 70.4 39.9 38.4 4.70 2.38
2-1-3 32.9 4.9 69.6 41.5 38.2 4.67 2.37
13
2-1-4 26.1 4.0 70.0 41.3 39.3 4.67 2.36
2-1-5 33.9 3.2 69.9 43.8 40.1 4.46 2.38
2-1-6 30.6 4.9 69.5 44.7 39.9 4.51 2.37
4
3-1-1 24.0 8.7 69.8 34.0 35.6 4.56 2.30
3-1-2 31.2 7.5 69.7 37.4 35.9 4.63 2.31
3-1-3 33.7 6.8 69.4 38.4 35.7 4.57 2.30
13
3-1-4 24.6 8.7 70.4 40.6 35.2 4.48 2.28
3-1-5 37.1 7.5 70.3 41.5 36.6 4.57 2.30
3-1-6 35.0 6.8 69.9 44.3 37.2 4.58 2.31
18 4
4-2-1 17.6 3.0 70.2 37.0 35.8 4.55 2.33
4-2-2 35.0 3.0 70.2 41.0 40.7 4.72 2.41
4-2-3 38.5 4.4 69.6 41.0 40.3 4.75 2.42
13
4-2-4 22.4 3.0 70.0 43.5 34.8 4.49 2.31
4-2-5 38.6 3.0 70.0 48.2 40.0 4.81 2.39
4-2-6 47.9 4.4 69.5 48.9 42.2 4.86 2.41
4
5-2-1 30.8 4.5 70.5 34.6 35.8 4.40 2.33
5-2-2 41.4 4.7 70.3 34.0 36.4 4.57 2.34
5-2-3 49.0 5.3 69.8 36.0 37.6 4.43 2.36
13
5-2-4 19.9 4.5 69.9 37.1 35.8 4.66 2.33
5-2-5 33.8 4.7 70.1 40.6 39.2 4.79 2.37
5-2-6 38.8 5.3 69.6 37.4 39.9 4.68 2.38
4
6-1-1 21.3 7.4 70.2 35.0 33.3 4.40 2.30
6-1-2 32.4 7.1 70.2 33.9 35.4 4.41 2.34
6-1-3 34.8 5.9 70.0 37.1 36.1 4.45 2.35
13
6-1-4 27.6 7.4 70.5 38.3 35.2 4.80 2.30
6-1-5 35.4 7.1 70.4 40.1 37.1 5.00 2.33
6-1-6 41.8 5.9 70.0 41.4 36.6 4.83 2.34
図 3 諸 性 状 と 各 種 分 布 の 関 係
mm 160
上
中
下
3.1.3 明 度 L*
L* は、人の目を物差しとして評価した色の心理・物 理指標である Lab 表色系の明度を表す指標である。
白いものほど、 L* は高くなり(最大 100 )、黒いもの ほど L* は低くなる(最小 0 )。 L* は試験体の保存期 間が長かったためか差が殆ど見られない 4)。色のみ で骨材とセメントペーストを分けている為、十分に 分けられていることは確認はした(図5)ものの、
骨 材 の 多 い 下 側 の 試 験 体 ほ ど L*が 濃 く な る こ と が 想定されたが、面積率と L* の 値の相関係数は - 0.
2であった。また、 L* の 大小関係は大きい方から中 下上の順になることが多かった。コンクリートに水 をかけると黒くなることとブリーディングを考える と上部の試験体ほど L* が下がると考えられたが、本 研究では上がっている。圧をかけることで L* の低い コンクリートができること⁴ )を考慮すれば、そ う ならないことも考えられる。セメントペースト量は 計画調合表からスランプ12 cm・18 cm で28.
2%・30.3%である 。これに対して測定したピ クセル数をセメントペースト部とすると、それぞれ 22%、25 %であり、 大部分のセメントペースト は測定されて いるものと 判断される。なお、以上 3 つの構成材料同 士は、面 積率・空気量は r=-0.2 、 面 積率・ L* は r=-0.2 、空 気 量・ L* は r=-0.1 であり、そ れぞれに相関性 は見られ なかった。
4. 影 響割合
構成材料がそ れぞれどの ような割合で強度に影響 しているのか を検討する ため、各分布値を関数に持 つ3元1次方程 式を導く 。
4.1 推定 式の作 成
推定式は以下 のように作 成する。なお、構成材料
ⅰⅱⅲを空気量、 L* 、面 積率として強度を推定した ものを表6に示 す。
①構成材料ⅰと圧縮強度の値から、近似曲線(式
A)を作成。(図6上図)
②実測値と式
Aに構成 材料 ⅰを代入して得られる値
(代入値
A)の差( 差 A) を計算。面積率のみでは説明のつかない分が計算される。
③差
Aと構 成材料ⅱの値か ら、近似曲線(式
B)を作 成 。 面積 率 で説 明 のつ かな い 分 が構 成 材料 ⅱ とど の ような関係にあるか分かる。(図6中図)
④式
Bに構成材料ⅱ を代入 した値(補正値
A)を代入値
Aに足す(推定値
B)。代入値が実測値 に 近 づ く 。表 7 推定式による推定値の実測値との相関係数
図 4 気泡 数比較
図 5 セメ ントペースト部 分と骨材の分離
図 6 推定 式作成の 流れ(上 から4.1①、③、⑥)
表 6 強度 の推定例(ⅰ:空 気量、ⅱL*、 ⅲ面積率)
② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦
代 入 値 A 実 測 値 - 代 入 値
補 正 値 A 推 定 値 B
実 測 値 - 代 入 値
補 正 値 C 推 定 値 C
y=- y=
ⅱ:L* y=-
ⅲ:面 積 率 1. 1441x+46.
3 0. 0688x- 4. 9382x+ 34
5.
22 2. 2419 57
圧 縮 強 空 気 量 を代
入 L*を代 入 面 積 率 を代
1- 1- 入 1
1. 20 1. 05 0. 14 0. 04 1. 10 0. 10 -0. 03 1. 07 1- 1-
2 1. 24 1. 12 0. 12 0. 04 1. 16 0. 08 0. 01 1. 17 1- 1-
3
1. 25 1. 13 0. 12 0. 05 1. 18 0. 07 0. 03 1. 21 1- 1-
4 1. 03 1. 05 -0. 02 0. 02 1. 08 -0. 04 -0. 03 1. 04 1- 1-
5
1. 07 1. 12 -0. 05 -0. 02 1. 10 -0. 03 0. 01 1. 11 1- 1-
6 1. 13 1. 13 0. 00 0. 00 1. 13 -0. 01 0. 00 1. 13 2- 1-
1 0. 81 1. 09 -0. 28 -0. 04 1. 05 -0. 23 -0. 02 1. 03 2- 1-
2
1. 07 1. 11 -0. 04 -0. 06 1. 06 0. 02 0. 01 1. 07
~ 6- 1-
4
1. 00 0. 99 0. 01 -0. 06 0. 93 0. 07 -0. 02 0. 91 6- 1-
5 1. 04 1. 00 0. 05 -0. 05 0. 95 0. 10 0. 01 0. 96 6- 1-
6 1. 08 1. 03 0. 05 0. 00 1. 03 0. 05 0. 03 1. 06
⑤推定値
Bと実測値の差(差
B)を計算。構成材料
ⅰⅱで説明のつかない分が計算される。
⑥差
Bと構成材料ⅲの値から、近似曲線(式
C)を作 成 。 構成 材 料ⅰ ⅱ で説 明の つ か ない 分 が構 成 材料 ⅲ とどのような関係にあるか分かる。(図6下図)
⑦式
Cに構成材料ⅲ値を代入した値(補正値
B)を推定値
Bに足す(推定値
C)。推定値 Bがさらに実測 値に近づく。
以 上 よ り、 本 研究 で は下 の式 に 代 入す る こと で 、 諸 性状を推定する。
y=a×構 成 材 料 ⅰ+b+c×構 成材料 ⅱ+d+e×構 成 材 料ⅲ+f
4.2 推定の結果と考察
構成材料と、推定式による推定値の実測値との相 関係数 r を表7に示す。
4.2.1 4 週のみの推定
相関係数が良いのはⅰ:空気量、ⅱ L* 、ⅲ面積率
( r=0.789 ) ま た は ⅰ : L* 、 ⅱ 空 気 量 、 ⅲ 面 積 率 (r=0.788) 面 積 率 を 構 成 材 料 ⅲ に す る と 相 関係 数 が下 がる(r=0.7893→ 0.7889)。ここから、構成材料ⅰⅱ を
空気量か L*にするのが良いと考えられる
4.2.2 13週のみの推定
相関係数が良い のはⅰ:面積率、ⅱ空気量、ⅲ L*
( r=0.724 ) ま た は ⅰ : 空 気 量 、 ⅱ 面 積 率 、 ⅲ L*
(r=0.724 ) L*を構成材 料 ⅲにするとあまり相関係数 に影響を与え ない。ここ から、構成材料ⅰⅱを空気 量か面積率に するのが良 いと考えられるが、ⅰ:空 気 量 ⅱ : L* ⅲ : 面 積 率 が 3 番 目 に 相 関 が あ る
(r=0.714 )。
4.2.3 4 週と13 週を合わ せた場合の推定
相関係数が良い のはⅰ:空気量、ⅱ L*、ⅲ面積率
( r=0.684 ) ま た は ⅰ : 空 気 量 、 ⅱ 面 積 率 、 ⅲ L*
(r=0.683 )
以上に加え、 測定にかか った時間(表4)を考慮 すれば、ⅰ:空気 量、ⅱ: L* として式を作成する の が望ましいと考 えられ、空気量・ L* の順に強度に関 係のあると考 えられる。 構成材料ⅰで相関係数の低 い場合、推定値 C の相関 が最も悪くなるのは、式か ら想定できる 。つまり構 成材料ⅰには強度と相関性 の高いものを 持ってくる のが望ましい。そこで、こ の方法を用い て他諸性状 の推定式を導出したものを 表8に示す。
5. まとめ
推定式から、空気量を抑え、 L* 値を低減させ、面 積率を上げることで強度を高めることができると分 かった。そこで施工においてはバイブレータによる 振動やスランプの選択に留意することが強度の確保 につながると考えられる。
表 8 諸性 状に対す る推定式 一覧
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謝辞)本研究を進めるに 当たり、毎日 深夜まで貴
重なお話ご指導を頂いた 卒業論文指導 教員の阿部 道
彦教授、プログラム作成 の際にアドバ スを頂いた 石
田航星教授、また、本測 定を実施する に当たり、 協
力して得た工学院大学阿 部研究室セミ ナー生の皆 さ