高校入試模擬テスト 第6回
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⑴ 化学電池は,物質のもつ化学エネルギーを,化学変化によって 電気エネルギーに変換する装置である。⑵ 電離のようすを表す式を書くときは,左辺が化学式,右辺がイ オン式になる。イオン式は,陽イオンと陰イオンの電荷の総和が 0になるようにする。塩化水素(
HCl
)は水溶液中で水素イオン (H+)と塩化物イオン(Cl-)にわかれるので,これらを式に表す とHCl→H
++Cl-となる。主なイオン式を用いた式を書けるよ うにしておこう(資料1)。⑶ 2種類の金属のうちイオンになりやすい亜鉛が電極に電子 を渡して亜鉛イオン(Zn2+)に変化し,水溶液中に溶け出す。
このとき,亜鉛原子がはなした電子は亜鉛板から銅板へ導線 中をbの向きに移動し,銅板で水溶液中の水素イオン(H+)に 渡る。電子を受け取った水素イオンは水素原子(H)になり,
2つ結びついて水素分子(H2)になって気体の水素が発生す る。電子の移動する向きと電流の向きは反対になるので,電 流の向きはaである(資料2)。
⑷ 塩酸(塩化水素)を電気分解したとき,陰極(電極A)で発生す る気体Xは水素,陽極(電極B)で発生する気体Yは塩素である
〔2HCl→H2+Cl2〕。この化学反応式からもわかるように,発 生する気体の体積比は水素:塩素=1:1だが,塩素は水に溶け やすいため,水素に比べて集まる気体の体積は少なくなる。電気 分解する物質と,発生する物質の電極を覚えておこう(資料3)。
⑸ リトマス紙を使って酸性,アルカリ性の性質を示すイオンの 動きを調べる実験である。酸性の性質を示す陽イオンの水素イ オンは陰極側に引かれるので,図4の青色リトマス紙の左側(陰 極側)が赤色に変化する。なお,アルカリ性の性質を示す陰イオ ンの水酸化物イオンは陽極側に引かれるので,リトマス紙を赤色 にかえて,うすい塩酸のかわりにうすい水酸化ナトリウム水溶液 をしみこませた糸を中央に置くと,赤色リトマス紙の右側(陽極 側)が青色に変化する。
2 ⑴
示準化石は,限られた時代に広い地域に生息した生物の化石で ある。主な示準化石を覚えておこう(資料4)。超 ナ ビ
スーパー
資料3 電気分解すると発生する物質
電気分解する物質 陽極 陰極
水 酸素 水素
塩化水素 塩素 水素 塩化銅 塩素 銅
資料4 主な示準化石
資料1 主なイオン式を用いた式
塩酸の電離 HCl→H++Cl- 塩化銅の電離 CuCl2→Cu2++2Cl- 水酸化ナトリウ
ムの電離 NaOH→Na++OH- 中和 H++OH-→H2O
資料2 化学電池の仕組み
古生代 (5億 4200 万年前~
2億 5100 万年前)
サンヨウチュウ,
フズリナ 中生代
(2億 5100 万年前~
6500 万年前)
アンモナイト,
恐竜 新生代
(6500 万年前~現代)
ビカリア,
ナウマンゾウ 電子が移動する向き
銅板
( +極 )
亜鉛板
( +極 )
塩酸
水素発生
Zn Cl⁻ Cl⁻ Zn
H H H
H H ⁻
⁻
⁻ ⁻
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⑵ れき(直径2mm 以上),砂(直径 0.06mm から2mm),泥(直径 0.06mm 以下)は粒の大きさで区別する。
⑶ 土地(海水面)の変化を考えるときは,堆積する粒の大きさがどの ように変化しているかに着目する。地層は下にいくほど古いので,
この地層では堆積する粒の大きさが次第に小さくなっていったこ とがわかる。河口から海底に土砂の粒が堆積するとき,大きい粒ほ どはやく沈むため河口近くに堆積し,小さい粒ほど遠くまで運ばれ るため沖に堆積する。以上のことから,図1の地層が堆積した土地 は河口から遠ざかっていったことがわかる。地層の重なり方から海 水面の変化を考えられるようにしておこう(資料 5)。
⑷⑸ 鉱物には,有色鉱物と無色鉱物がある。主な鉱物とその特徴を 覚えておこう(資料 6)。
⑹ 地点Aと地点Bの火山灰の層(aとg)は同じ時期に堆積したの で,最初に地点Aでd,c…の順に堆積し,火山灰の堆積後に地点 Bでf,eの順に堆積したと考えられる。火山灰の層の高さをそろ えた図で考えると,地層の新旧を見分けやすい(資料 7)。
3 ⑴
筋肉は関節をまたいで2つの骨についている。筋肉と骨がこのよ うな構造になっていることで,筋肉aが縮み筋肉bがゆるむとうで は曲がり,筋肉aがゆるみ筋肉bが縮むとうではのびる。⑵ アのこうさいは,明るさによってひとみの大きさを変え,レンズ に入る光の量を調節する。イの毛様体は,レンズのふくらみを変え る筋肉,ウのレンズは,毛様体によってふくらみが変わることで,
網膜上にピントの合った像をつくる。エの網膜は,光の刺激を受け とる細胞がある。オの神経は,受け取った刺激を脳に伝える。
超 ナ ビ
スーパー
資料5 地層の重なり方と海水面の関係 例えば,下かられき,砂,泥の順に重なって いる地層で考える。れきは河口付近,砂は浅 い海,泥は深い海に堆積するので,この地層 が堆積した場所は,河口付近→浅い海→深 い海の順に変化し,海水面が上昇していっ たと考えられる。
れきの層 砂の層
泥の層 深い海で 堆積した 浅い海で 堆積した 河口付近で 古 堆積した
新
海 水 面 上 昇
資料 6 主な鉱物とその特徴
鉱物名 色 特徴
セキエイ 無色~
白色 不規則に割れる チョウ石 白色~
灰色
決まった方向に割れ る
クロウ
ンモ 黒色 決まった方向にうす くはがれる カクセン
石
暗緑色~
黒色 長い柱状 キ石 緑褐色~
暗緑色 短い柱状 カンラン
石
黄緑色~
緑褐色 ガラス状の小さい粒
資料7 火山灰の層の高さをそろえた柱状図
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⑶ ア,イ,ウは刺激に対して無意識に起こる反応(反射)である。こ れに対し,エでは,自転車の運転中,前にネコが飛び出してきたこ とをヒトの目が確認し,その刺激は脳へ伝わる。次に,脳からの命 令の信号がせきずい,運動神経,筋肉の順に伝わり,急ブレーキを かけるという反応が起こる。なお,反射が起こるとき,感覚器官が 受け取った刺激の信号は,感覚神経,せきずいの順に伝わり,せき ずいで命令の信号に変えられて,運動神経,筋肉の順に伝わって反 応が起こる(資料8)。
4
⑴ 〔仕事(J)=加える力(N)×力の向きに動いた距離(m)〕で求 める。200gの物体にはたらく重力は200100=2(N)で,これを 0.5 mの高さまで持ち上げるので,仕事の大きさは2×0.5=1(J) となる。⑵ 動滑車を使うとひもを引く力は動滑車に加わる力(この場合 は動滑車の質量を考えないのでおもりにはたらく重力)の半分 になる(資料9)。したがって,2(N)÷2=1(N)となる。
⑶⑷ 斜面や動滑車を使って物体を持ち上げても,定滑車を使っ て持ち上げても,物体が同じ高さまで持ち上げられるときの仕 事の大きさは変わらない。これを仕事の原理という。この仕事の 原理より,図1~図3で仕事の大きさは変わらないことがわかる ので,図3での仕事の大きさは1Jである。したがって,⑶では 0.5Nの力で1Jの仕事をしたことになるので,おもりを斜面に 沿って動かした距離は
1÷0.5=2(m)となる。
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1N 1N
200gの おもり
2N
日常でよく使う「仕事」という 言葉にはさまざまな意味がある。
荷物を持ったり,運転をしたり,
料理をしたり…。ところが理科の 仕事では,意味を限定し,物体に 力を加え,その力の向きに物体が 動いたときだけ,仕事をしたこと にしている。だから,重い物を持 って 10 ㎞歩いても,150 ㎞/hの 剛速球を受け止めても理科の仕事 は0Jになる。実際に,このこと を理解しているかを問うために,
答えが0Jになる問題が入試で出 題されたこともある。問題で設定 されている状況をしっかり理解す ることが大切だ。
脳
感覚神経
運動神経
※青色が脳で状況を判断してからの 反応経路
赤色が反射の反応経路
資料8 信号の伝わり方
理科の「仕事」とは 資料9 動滑車にはたらく力