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ソウル市チョンゲチョン復元事業に伴う環境アセスメントの

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Academic year: 2025

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2007 年度卒業研究概要   

ソウル市チョンゲチョン復元事業に伴う環境アセスメントの

 

有効性についての研究 

 

田中  章研究室  0431061  金  幇源      1.研究の背景と目的 

  日本(行政指導 1972 年、自治体 1977 年)と韓 国(行政指導 1981 年、自治体 2001 年)で 1990 年代に両国の環境アセスメントの法制化が行わ れ、法律として位置づけられた。現在、日本は環 境省(約 1,100 人)、韓国は環境部(約 1,700 人)

という機関が国の環境政策に関っている。 

両国は自国の特徴を持つ環境アセスメントを 運営させ、様々な対象事業を設定し、対象事業の 枠を拡張させながら、独自の環境アセスメントを 実施してきた。 

  韓国では 2003 年 7 月にチョンゲチョン復元事 業が始まり、復元事業に対しての環境アセスメン トが行われた。ソウル市の都心の中央にある高架 道路を撤去し、河川に復元する事は世界でも類を 見ない事業である。日本ではこのような活動はア セス対象事業にならない。それは問題であり、だ からこそ韓国の事例を勉強する意味がある。 

  本研究はチョンゲチョン復元事業を通じて実 際にどのように環境アセスメント制度が絡んで きたのか、そして韓国の環境アセスメント制度が チョンゲチョン復元事業に対し、どれほど貢献で きたのかを明らかにする事を目的とした。 

2.研究方法 

  本研究はチョンゲチョン復元事業での環境ア セス制度の有効性を把握するため、実際の現地調 査や文献調査及びインターネット調査を行った。 

 

3.研究結果 

3−1.チョンゲチョン復元事業基本計画段階    チョンゲチョン復元事業は 2003 年 2 月に基本 計画が樹立され、市関係者と市民団体の討論や基

本計画の発表が市民公聴会において行われた。そ して、ソウル市は復元事業を円満に推進するため に都市計画関連法を検討し、推進法案を決め、ソ ウル市環境影響評価及び河川法関連手続きを実 施した(表

1)。

  そして、ソウル市は都市計画上の道路であり、

対象事業としては規模が小さかったため、事業開 始当初は対象外であったチョンゲチョンの復元 事業を環境アセスメントの対象河川事業として 積極的に位置づけた。

   

表1  チョンゲチョン復元事業の国やソウル市の環境影響評価及び河川 法の経緯 

日時  環境影響評価  河川法関連手続き 

2002.10  事前環境性検討着手    2003.3  事前環境性検討書提出    2003.5  環境影響評価着手    2003.5.24〜

6.12 

環境影響評価  作成計画

書供覧・公告   

2003.5.26  都市管理計画変更決定   

2003.6.3    ソウル市地方河川管理

委員会審議  2003.6.10  事前環境性検討協議完了   

2003.6.25〜

10.9    審議指摘事項補完及び

河川台帳作成  2003.7.18 

〜8.16  環境影響評価書供覧・公告    2003.9.17  ソウル市環境影響評価審

議委員会開催   

2003.10.15    河川指定 

2003.10.17  環境影響評価協議完了   

2003.10.30    河川整備基本計画告示 出典:チョンゲチョン復元事業白書(2006)より金が作成 

 

その結果、国の事前環境性検討制度やソウル市 の環境影響評価を通じ、ソウル市民はチョンゲチ ョン復元事業がどれほど環境に配慮した事業で あるのかを理解し、同時に市民の間で環境をテー マにしたコミュニケーションが可能になった。 

  そして、国家的な規模でありながらも、ソウル 市民の絶対的な支持を受けた事により、チョンゲ チョン復元事業は無事完了した。

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3−2.チョンゲチョン復元事業設計段階    チョンゲチョン復元事業は工事が行われる前 に各工区の設計業者が事前調査として関連計画 調査、各種現状調査、測量・地盤調査などを行い、

関連資料を収集・作成した。そして、項目別に調 査方案を作成し、調査を実行しながらその成果や 成果を設計に反映した。

チョンゲチョン復元事業は都市的、都市と自然 の融合的、自然的である三つのイメージを設計す るため、対象区間全体を 3 つの工区に分け、現地 調査や分析を行った。特に生態学的な配慮に重点 を置いた第 3 工区では国の事前環境性検討だけで はなく、設計業者による事前環境性調査も動植物

調査や水質、大気質、土壌などの調査が行われた。         

調査によると復元前に生殖していた動植物の 多様性は非常に少なく、公害のある大都市でも簡 単に見られる生物だけが確認された(表 2)。つま り、生態系のない地域であることは確かであった。

その後、国の事前環境性検討やソウル市の環境影 響評価を通じ、ソウル市民はチョンゲチョンの現 状を認識し、生態環境復元を期待するようになっ た。復元後、チョンゲチョンでは動植物が約 400 種類の生物たちが調査により観察され、生態河川 としての回復が確認された。そして、復元された チョンゲチョン全体でソウル市民の目で生態環 境の再生を実感することができ、ソウル市民のア ンケート調査でもチョンゲチョン復元事業の一 番の成果として、生態環境の回復が挙げられた。 

 

表2  チョンゲチョン復元事業第3工区事前環境性検討  動植物調査結果 

生態系  種類  調査結果  備考 

哺乳類  猫、ネズミ  都市化で哺乳類生息不適合 鳥類  コウライバト、 

ツバメなど 

カルガモ、スズメ、カササ ギなど 

  陸上  生態系 

  植物象 

オナモミ、ヨモ ギ、ヒメムカシ ヨモギなど 

帰化植物:ナガバギシギシ、

ヒユナ、イヌビユ、ヒメグ ンバイナズナなど  魚類  フナ、タカハヤ

など   

付 着 藻

類  緑藻類など   

水系  生態系 

無脊椎

動物  ヒルなど  節足動物が全体 70%以上  分析 

結果 

自然性の喪失が多い地域  人間の干渉が多い地域 

出典:チョンゲチョン復元事業事前検討性調査より金が作成 

 

3−3.チョンゲチョン復元事業のソウル市環境 影響評価 

ソウル市条例による環境影響評価は復元事業

の開始から工事完了までを調査期間とし、動植物、

大気質、地表水、騒音・振動、悪臭の項目は事後 環境影響調査として復元後 2 年間まで行う。 

調査項目は環境に影響を及ぼすと予想される 項目に対して環境測定を実施し、現状測定項目以 外に自然環境変化の有無の把握のため、地形・地 質、動植物、廃棄物、土壌、悪臭項目を追加し、

環境影響調査を実施した。 

  ソウル市条例による環境影響評価は工事前、復 元事業の対象になる全地域に対しての事前調査 を実施し、その結果をソウル市民に公開した。そ して、復元中だけではなく、復元後にも環境に対 して事後影響評価を 2 年間持続的に実施する事に より、より多くのソウル市民から復元事業に対し ての理解や期待を得ることができた。そして、

2007 年には事後環境評価としての生態調査が行 われ、復元後 2 年間で陸上と水中を含む生物たち がおよそ 400 種類まで増殖した事が確認された。 

その結果、チョンゲチョン復元事業は単純な復 元事業ではなく、韓国を環境先進国として成長さ せた事業として国民に強い印象を与えた。 

 

4.結論及び考察 

  5000 万人弱の韓国は、1 億人以上の日本より、

環境関連国家公務員の職員数が多いことからも、

韓国は日本と比較して環境に力を注いでいると いうことがわかる。さらに現在、韓国は環境アセ スメント制度の改編や国民の関心度の向上で国 レベルの積極的な取り組みが行われてきている。 

本研究ではソウル市の環境影響評価供覧・公告 及び市民公聴会の開催が、チョンゲチョン復元事 業の促進に大きく貢献した事例から、韓国の環境 アセスメント制度の実効性を明らかにした。 

  ソウル市は李明博市長の強いリーダーシップ を基に、積極的な環境に対してのアプローチやソ ウル市民とのコンタクトを通し、チョンゲチョン 復元事業を成功に導いた。その成功には国の事前 環境性検討制度やソウル市条例による環境影響 評価の役割が大きく、環境アセスメント制度が復 元事業の成功につながるキーポイントになった。 

【主要引用文献】 

ソウル特別市(2006)チョンゲチョン復元事業白書.602-612.

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