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田中(2010)では、生物多様性バンキングと戦 略的環境アセスメント(以下

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2012 年度卒業研究概要

諸外国の戦略的環境影響評価制度における生物多様性オフセットの位置付けに関する研究

田中 章研究室 0931083 小畠 雅史

1.研究の背景と目的

田中(2010)では、生物多様性バンキングと戦 略的環境アセスメント(以下

SEA)を里山保全に

融合させた里山バンキングが提唱された。さらに、

BBOP

の作成した「The Relationship between

Biodiversity and Assessment」

(2009)の中でも

SEA

について言及している。これらのことから本 研究では、 「SEA において生物多様性オフセット を検討することは有用である」と仮説を立てた。

日本では、環境影響評価法の一部を改正する法 律(2011)によって

2013

年から日本版

SEA

と して計画段階環境配慮書(以下配慮書)の手続き が新設される(環境省, 2012) 。配慮書の目的は「重 大な環境影響の回避・低減」であり(上田,佐藤,

上杉,2011)、代償についての配慮があまりされ ないのではないかと考えられる。また、配慮書の 実施時期は「事業の位置、規模又は施設の配置、

構造等の検討段階」とされており、これは

EU

で は事業段階の環境アセスメント(EIA)に該当す る(環境省, 2012) 。

仮説「SEA において生物多様性オフセットを検 討することは有用である」を検証し、日本への

SEA

の導入及び

SEA

において生物多様性オフセ ットを検討することを導入することについて考 察することを目的とした。

2.研究方法と研究期間

諸外国の

SEA

制度における生物多様性オフセ ットの位置付けの比較及び

BBOP

が発表する文

献などの関連文献の調査を行った。研究期間は

2012

4

月から

2013

1

月である。

3.研究結果

3-1.諸外国の SEA 制度における生物多様性オ フセットの位置付け

Barry Sadler

ら(2010)によって示された

SEA

を国内制度化している

42

ヶ国、

1

地域(香港)の 内、36 ヶ国、1 地域(香港)を対象に

SEA

に関 する法制度(香港では条例)における生物多様性 オフセットの位置付けを調査した結果、

32

ヶ国が

SEA

において生物多様性オフセットの検討を義 務付けていることが明らかとなった。想定される 生物多様性オフセット手法を

SEA

段階の環境影 響評価書に記載しなければならないと規定して いる。また、全ての

EU

加盟国は、2001 年に施 行された

SEA

指令に基づき、SEA を国内法化し ている。

SEA

指令は、環境影響評価書の内容とし て、計画・プログラムの実施が環境に与える著し い負の影響を回避(prevent)、低減(reduce)、

できる限りオフセット(as fully as possible offset)

するための想定される手法を記載すべきである としており、

SEA

において生物多様性オフセット の検討を規定している。また、その他

4

ヶ国、1 地域(香港)でも、補償(

restitution)、改善

(remedy)、賠償(respond)、緩和(mitigate)

といった生物多様性オフセットに類似した検討 を義務付けていることが明らかとなった。

表1 諸外国の SEA に関する法制度における生物多様性オフセットの位置付け

地域 国名 SEA に関する法制度名(条項) 生物多様性オフセットの

位置付け

欧州

デンマーク Act on environmental assessment of plans and programs (Annex1 g)) ○ 英国 The Environmental Assessment of Plans and Progtammes Regulations 2004

(SCHEDULE2 7) ○

フィンランド Act on the Assessment of the Effects of Certain Plans and Programmes on the

Environment (Section4 7)) ○

フランス Environmental Code (L.122-6) ○

ドイツ Environmental Impact Assessment Act (14g (2) 6) ○

ポーランド

THE ACT on the Provision of Information on the Environment and its Protection, Public Participation in Environmental Protection and Environmental Impact Assessments (Article51 3) a))

EU 加盟国 SEA directive (ANNEXⅢ 5) ○

アジア 香港(特別行政区) Environmental Impact Assessment (Technical Memorandum Annex11) △

ベトナム Law on Environmental Protection (Article 20 4) △

北米

米国 National Environmental Policy Act (Part 1508 20) ○

カナダ The Environmental Assessment of Plans and Programmes Regulations 2004

(SCHEDULE2 7) ○

アフリカ

ボツワナ Environmental Impact Assessment (PARTⅠ 2) ○

レソト Environment Act (PARTⅤ 21 (5) (f)) △

マラウィ The Environmental Management Act (PartⅤ 25 (1) f) △

タンザニア Environmental Management Act(7 104 (3) (d)) △

オセアニア オーストラリア A Guide to Undertaking Strategic Assessments (p20) ○

ニュージーランド Resource Management Act 1991 (Part3 17) ○

凡例: 「○」:SEA において生物多様性オフセット(offset, compensate)の検討を規定している国

「△」 :SEA において生物多様性オフセットに類似(remedy, respond)した検討を規定している国

(2)

3-2.諸外国における事業段階の環境アセスメ ント(EIA)と SEA におけるミティゲー ションの優先順位の比較

生物多様性バンキングに関する法制度を持つ 国(米国、ドイツ、カナダ)、生物多様性バンキ ングのパイロットプロジェクトを実施している 国(イギリス、フランス) 、EU 指令における事業 段階の環境アセスメント(EIA)と

SEA

のミティ ゲーションの優先順位を比較し結果を表

2

にまと めた。

EIA

であるか

SEA

であるかに関わらず、

EU

加盟国、英国、フランス、ドイツでは代償の前に

「可能であれば」 、 「可能なら」 、 「できる限り」と 修飾がついている。これらの国では、ミティゲー ションを環境影響評価書に記載しなければなら ない情報として規定している。修飾のついていな い米国、カナダは用語の整理としてミティゲーシ ョンを定義し、ミティゲーション手法を環境影響 評価手法に記載しなければらならないと規定し ている。法律レベルでは、

SEA

EIA

と同等に生 物多様性オフセットの検討を要求していること が明らかとなった。

3-3.SEA において生物多様性オフセットを検 討する利点

SEA

において生物多様性オフセットを検討す ることには大きく

3

つの利点があることが明らか となった。すなわち、1.地域全体の生物多様性 オフセットの機会を明確にする手法を提供する こと(BBOP, 2009) 、2.事業段階の環境アセス メ ン ト の 限 界 を 補 完 す る こ と ( 原 科

, 2011

(BBOP, 2011) 、3.BBOP の定める生物多様性 オフセットの原則を達成するために必要である こと(BBOP, 2009) 、である。特筆すべきは、3 つの利点で一貫して

BBOP

が事業段階の環境ア セスメントだけでは、ノーネットロスを達成する

ことは難しいとしている点である。

4.考察と結論

本研究では、世界

32

ヶ国で

SEA

において生物 多様性オフセットの検討を義務付けていること、

その他

4

ヶ国、1 地域(香港)でも、生物多様性 オフセットに類似した検討を義務付けているこ とが明らかとなった。また、法律レベルでは、

SEA

EIA

と同等に生物多様性オフセットの検討を要 求していることが明らかとなった。これらのこと は、仮説「SEA において生物多様性オフセットを 検討することは有用である」を支持していると考 えられる。

日本において生物多様性オフセットによって 生物多様性への負の影響のノーネットロスを達 成するためには、政策・計画・プログラムを対象 とした

SEA

を導入すること、また、SEA におい て生物多様性オフセットを検討することが必要 だと考える。

【引用文献】

上田健二、佐藤大樹、上杉哲郎(2012)配慮書手続き等に関する技術指針の動向と今 後の展望. 環境アセスメント学会 2012 年度研究発表会要旨集,157-161pp.

環境省(2012)環境影響評価法に基づく基本的事項等に関する技術検討委員会報告書.

環境省, 東京都, 17pp.

田中章(2010)里山のオーバーユースとアンダーユース問題を解決する“SATOYAMA バ ンキング”─生物多様性バンキング・戦略的環境アセスメントと里山保全の融合.

p47-51,環境自治体会議,環境自治体白書 2010 年版.生活社,東京都,180pp.

原科幸彦(2011)環境アセスメントとは何か-対応から戦略へ-.岩波書店, 東京都, 224pp.

Business and Biodiversity Offsets Programme (BBOP)(2009)The Relationship between Biodiversity Offsets and Impact Assessment. BBOP, Washingtn, D.C, http://www.forest-trends.org/documents/files/doc_3087.pdf.2012.09.26.

Business and Biodiversity Offsets Programme (BBOP)(2011)Manual for Participants.

http://organismos.chubut.gov.ar/ambiente/files/2012/04/BBOP-Training-Day-26- Oct-2011-Participant-Manual-FINAL.pdf.2012.1.12.

Barry Sadler、Jiri Dusik、Thomas Fischer、Maria Partidario、Rob Verheem、Ralf Aschemann(2010)Handbook of Strategic Environmental Assessment. Routledge, 640p

表 2 諸外国における事業段階の環境アセスメント(EIA)と SEA におけるミティゲーションの優先順位

国 EIA/

SEA EIA/SEA を規定する制度 ミティゲーションの優先順位

EU 加盟国

EIA EIA directive (ANNEXⅢ 5) 回避(prevent)/低減(reduce)/可能であれば代償(where possible offset)

SEA SEA directive (ANNEXⅠ (g)) 回避(prevent)/低減(reduce)/できる限り代償(as fully as possible offset)

英国 EIA

Highway Act.

The Highways (Assessment of Environmental Effects)Regulations 1999

回避(avoid)/低減(reduce)/可能なら代償(if possible offset)

SEA The Environmental Assessment of Plans and Programmes Regulations 2004 (SCHEDULE2 7)

回避(prevent)/低減(reduce)/できる限り代償(as fully as possible offset)

フランス

EIA Environmental Code (L.122-3) 除外(eliminate)/最小化(minimize)/可能なら代償(if possible compensate)

SEA Environmental Code(L.122-6) 低減(reduce)/可能であれば代償(where possible compensate)

ドイツ EIA

Environmental Impact Assessment Act (6 (3) 3)

回避(prevent)/低減(reduce)/できる限り代償(set off as far as possible)

SEA 回避(prevent)/低減(reduce)/できる限り代償(set off as far as

possible)

米国 EIA

National Environmental Policy Act(Part 1508 20) 回避(avoid)/最小化(minimize)/矯正(rectify)/低減(reduce)/

代償(compensate)

SEA

カナダ

EIA Canadian Environmental Assessment Act, 2012 (Section2

2.(1)) 除外(eliminate)/低減(reduce)/管理(control)/補償(restitution)

SEA The Cabinet Directive on the Environmental Assessment of

Policy, Plan and Program Proposals (Appendix A) 除外(eliminate)/低減(reduce)/管理(control)/補償(restitution)

Referensi

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