Ⅰ
出典 ﹃アメリカ型成功者の物語﹄︵野口悠紀雄︶新潮文庫
漢字の問題以外については︑正答率が低かった設問を中心に講評します︒
問1︻漢字問題︼︵解答番号は1〜
8︶
正答と正答率を示しておきます︒
a 存続 ︵
90%︶
b 次第 ︵
24%︶
c 的中 ︵
93%︶
d 刊行 ︵
34%︶
問2︻事実の記述判定問題︼︵解答番号は9・
10︶
3割以上の受験者が選択肢③を選んでいました︒﹁なんと
13種までを正しく当てた
﹂の傍
線部に筆者の意見が入っています︒
問4︻事実の記述を判定し理由を考える問題︼︵解答番号は
13・
14︶
3割近い受験者が事実の記述と解答していましたが︑文㋑は前文﹁第2は〜いることだ﹂
に対する筆者の解釈を述べたもので︑真偽の判定を客観的に下すことはできません︒問題
一般入試後期日程
国語
二〇一三年度の国語の入試問題は︑公募制推薦・一般入試A日程・B日程・後期日
程に﹁事実の記述﹂に関する問題を2題から3題出題しました︒﹁事実の記述﹂について全
く知識のない受験者であっても︑前提となる知識を受験者全員が理解したうえで解答
できるように配慮して︑﹁事実の記述﹂を日本で初めて紹介した木下是雄氏の説明文を該
当問題の前に掲載しました︒
漢字問題の出題形式を︑二〇一二年度入試から変更しています︒同音の漢字を複数
示し︑その中から正しい漢字を選んで熟語を作る形式にしています︒この出題形式は︑
受験者の語彙力・漢字力を試すことができます︒現代社会では︑ワープロソフトを用
いて文章を書くことが当然となっています︒現代社会に適した出題形式です︒
読解問題は︑一般入試A日程・B日程に各1題出題しました︒論理的な考えを重視
した︑比較的長文を選定しています︒文学的な感性を問う設問は出題しません︒また︑
単なる知識だけに頼る問題や︑文学史についても出題しません︒文章全体を把握しな
いと解けない問題を中心にするようにしています︒
◆二〇一四年度入試以降は︑文章全体を把握したうえで︑論理的な思考力を試す読解
問題を中心とした出題とする予定です︒
となっている文だけでなく︑前後も含めて丁寧に読むことが肝要です︒正答率は
54%で
し
た︒
問6︻空欄補充本文全体の内容把握の問題︼︵解答番号は
16・
17︶
空欄には︑章題にある﹁正確な答え﹂を導き出す姿勢を表す語句が入ります︒選択
肢②﹁詰め込み教育の成果﹂を選んだ受験者が3割以上いましたが︑それでは不十分です︒
本文中に﹁地道に着実にフォロー﹂﹁摑みどころのない難問に〜そのための地道なデータ収
集に向かうという態度につながる﹂とあることがヒントになります︒正答率は
37%
でした︒
Ⅱ
出典 ﹃自然はそんなにヤワじゃない﹄︵花里孝幸︶新潮選書 漢字の問題以外については︑説明が必要と思われる設問のみ解説しておきます︒
問1︻漢字問題︼︵解答番号は
18〜
25︶
正答と正答率を示しておきます︒
a 好転 ︵
78%︶
b 捕食 ︵
82%︶
c 緩慢 ︵
75%︶
d 活性 ︵
41%︶
問3︻事実の記述判定問題︼︵解答番号
28・
29︶
文全体では﹁短い﹂﹁成熟﹂﹁恋﹂などから判断して︑﹁事実の記述﹂ではないと判断できます︒
何をもって﹁虫が恋をして﹂と判断するかについては︑客観的なテストや調査はできません︒
正答率は
56%
でした︒
問5︻事実の記述判定問題︼︵解答番号
32・
33︶
﹁容易にたくさん得ることができる﹂という部分が問題です︒﹁容易﹂というのは作者の判
断です︒文全体を把握し︑一語一語を検討する必要があります︒正答率は
44%
でした︒
Ⅱ
Ⅲ
出典 ﹃昆虫図鑑の功罪﹁ふしぎの博物誌﹂﹄︵沢田佳久︶中公新書 説明が必要と思われる設問のみ解説しておきます︒
問1︻漢字問題︼︵解答番号は
36〜
43︶
正答と正答率を示しておきます︒
a 厳格 ︵
76%︶
b 駆使 ︵
83%︶
c 崩壊 ︵
93%︶
d 普及 ︵
88%︶
問2︻事実の記述判定問題︼︵解答番号は
44︶
新しい形式の問題です︒ⒶからⒺの文はすべて事実の記述ではありません︒Ⓐは﹁編集
者は⁝⁝であろうが﹂が推測であり︑Ⓑは調査して客観的に確かめられることではありま
せん︒Ⓒの﹁あってもいい﹂は筆者の意見であり︑Ⓔは﹁明確に﹂に筆者の意見が入っていま
す︒正答率は低く7%でした︒
問7︻表題をつけさせる問題︼︵解答番号は
53︶
前半は︑先後は問わず昆虫の実物と図鑑の双方を合わせて知ることの意義を述べつつ︑
図鑑の提示する価値観が︑有意義でありながらも興味を失わせる面も持つことも指摘して
います︒後半では︑図鑑の和名が昆虫方言を駆逐する排他性を持つということを︑図鑑の
罪としています︒文中の﹁功罪﹂という語に注意しましょう︒①②は楽しみだけを述べてい
るのではないので誤答︑④⑤はどちらも一般的すぎる表題で︑正答ではありません︒正答
率は
59%
でした︒