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TOSHIN TIMES 2022今回、華道の言葉である「お取立て」という言葉 を紹介しました。華道で使うはさみを「花はな鋏ばさみ」とい
います。花鋏と小論文の鉛筆はよく似ています。花鋏は花材を切り取り、作品に整える。鉛筆は 題材を選び、原稿用紙に書く、どちらも「切れ味」が大切です。
「切れ味」で思い出すのが、大学1年で講師生活を始めた頃の予備校講師の先生方。話術とエ ンターテイメント性のある切れ味の鋭い先生方が華やかに活躍をしていた時代。そんな中で 私は講師室で地味に授業の準備や文章の添削をしていました。すると生徒の中でもいわゆる
「真面目系女子」が次第に集まってくるようになったのです。「真面目で一緒にいてもつまらな いって、彼にフラれちゃった。同じ匂いのする先生なら(えっ?)わかってくれるよね」などと 言いながら(笑)。「真面目系女子」たちの、ちっともつまらなくない夢や理想や野望に耳を傾け たのも良い思い出です。
講師特別インタビュー 教壇にいたるマイヒストリー
医学部が求める小論文を書けるよ うにする受講必須の講座
Q 医学部入試の小論文にはどのような対策が必要ですか?
A 現代社会や医療が抱えている問題を認識して、
理解を深める、そのうえで対策を行います。
加えて、医学部入試の小論文には、テーマ型・文章型・ビジュアル型と いった出題パターンがあるので、それらに対応したテーマ別学習も必要 です。医師としての資質、倫理観が試される高度な文章が書けるよう、さ まざまな資料を使いながらの対策を行います。
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講座 紹介
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問題意識 の 乏し い おとなし い 子
私は国立大学の学長から幼稚園教諭まで、さらに警察官僚からいわゆる「ハコヅメ」の巡査まで、教育関係と警察関係ならあらゆる種類あらゆる階層がいる一族の中、神奈川県横浜市に生まれました。西区の海岸一帯がまだ「みなとみらい
21」に生
まれ変わる前で、クロアチアの格闘家ミルコ・クロコップのパンツの柄を 塗装したような石油コンビナートが、光化学スモッグの向こうにいくつも浮かび上がって見えました。 小さい頃の私は一言で言うと「問題意識の乏しいおとなしい子」。うちの一族は大変仲が良く、盆や正月に集まって食事をするのですが、男性は上座、女性は下座。でもそれを気に留めるよりも、みんなで集まる時間を持てることの方が嬉しかったのです。 小学校3年生頃から「石関さん、宿題の作文『久しぶりに親戚に会った時の気持ち』をもっと詳しく書いてみて」「横浜の海の埋め立てが進む原因を別の方向からも書いてみて」と担任の先生に言われることがありました。言われたとおり直して提出すると、やがて朝の全校集会の時に校長先生から「石関さんの文章が作文コンクールに入賞しました」と突如言われて、驚くことが何度かありました。担任の先生が私を「お取立て」してくださったのでした。 そろそろ勉強の話を。中1の金木犀の花が咲く頃、後に生徒会長となり、サッカー部のキャプテンとなる全校一の秀才に初めて恋をしてしまいました。彼と同じ高校に進学しようと決意し、長期計画を立てました。まずは 「苦手科目を克服すること」。評定を「9」から「
10」
にするよりも、「7」から「8」にする方が簡単だからです。今も高1生や高2生の皆さんには苦手科目の克服から始めることをアドバイスしています。
私を目覚めさせた 友人 の 姿
努力が実り、高校生活が始まりました。指導力の高い先生方に囲まれ、友人と切磋琢磨しながら過ごす高校生活は刺激に満ちたものでした。ところが高3の沈丁花の花が咲く頃、友人や親戚が植物状態になったり、医療事故に遭ったりすることが立て続けに起こりました。
見舞いに行くと機械に生かされ、むくんでぶよぶよになっても死ぬことができない姿を目の当たりにし、命とは本人だけでは決められない、そこには法律や社会のルール、大人の事情が複雑に絡み合っていることに気づきました。のんきだった私の中にようやく問題意識らしきものが芽生えました。大学で「命の周囲にあるさまざまなもの」について学びたいと思い、受験勉強を本格的に開始しました。
入試まであまり時間がなかった私が取った方法は「模試を受けること」。通っていた高校が大手予 備校などに校舎を模試会場として貸していたので、日曜日には何かしらの模試が開催されていました。片っ端から受け、弱点を徹底的に潰しました。今でも受験勉強のスタートが遅れた生徒には「模試を受けて実力を客観視し、実戦力をつけること」をアドバイスしています。 大学では医療倫理を専攻しました。小論文「だけ」は成績優秀者になることが何度かあったためか、高校時代に受けていた模試を主催していた予備校から「系列の塾で中学生に国語と作文を教えないか」と誘っていただきました。私にとって二度目の「お取立て」でした。
伝えた い 根拠 の 明確さ 出会 い の 大切さ
当時も今も、文章の書き方を教えるうえで一番大切にしていることは「根拠を書くこと」。小論文の「論」とは「根拠の明確さ」だと思うからです。根拠といっても原因や理由を考えたり、現象の背後にあるものを分析したり、体験や事例を加えたり、とさまざまなアプローチの仕方があります。
そして授業中に生徒に繰り返していることは「出会いを大切にすること」。楽天的な見方かもしれませんが、目の前にある課題や仕事を精一杯こなしていれば、誰かが見ていてくれて、評価してくれるんじゃないかと私は思うのです。
から本当です、たぶん。「お取立て」の連続でした。 れてきた私が言うのですす。私の今までの人生は きて、そして人に生かさチャンスを与えることで いけない」。一人で生きて伸ばし、それを発揮する 「人は一人では生きて子の良いところを見つけ、 葉があります。師匠が弟 界に「お取立て」という言 きてきました。華道の世 多くの人に支えられて生 す。しかし実際は、本当に ことを「一匹狼」と言いま ともないので、人は私の てきました。結婚したこ にも所属せずに仕事をし 私は今までどこの組織
受験小論文界の良心遂に登場!一生ものの 文章力を一から丁寧に教えます。「私は華 道家としての一面も持っていますが、医療 従事者への道も華道同様一種の『修行』。時 に自己と向き合いながら、時に周囲の助け を受けながら、合格への道のりを歩んでい きましょう。栄冠への3点セットは『夢・努 力・笑顔』です。今日の努力が明日の笑顔!
夢に向かって一緒に頑張りましょう!」
第 19 回 石
い し関
ぜ き直
な お子
こ先生
小論文 ﹁ お 取 立 て ﹂ の 連続 今 ま で の 人生 は
人は一人では生きていけない 目の前の出会いを大切に
ここでは、東進の実力講師陣の素顔に迫るエピソードを紹介。
10 代の頃はどんなふうに過ごしていた? 何で教える仕事を選んだの?
どんな授業をしているの? 知られざる講師の一面に迫ります!
小論文にも通じる
「切れ味」 が
大切な花
は な鋏
ば さ み▲石関先生は「人生最大のお取立ては東進の講師になれたこと」と、
この東進での講師紹介写真を見て振り返ります。