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ゼミナール 活動報告
人間科学部 人間科学科 平井ゼミナール
人間科学部人間科学科人間社会コースのゼミである平井ゼミは、「地理学的考察の方法と実践」を大きなテーマとして活動しています。地理学には暗記科目というイメージがあるかもしれませんが、実際には、フィールドに出かけ、自分自身が観察し、聴き、味わい、地域の方々と会話する中で、自らの体験として地域を理解することを目指しています。そのため通常のゼミ活動は、現実の地域を対象として、密接に関わりながら学びを深めてきました。しかし2020年、世の中が新型コロナ感染症の影響を受け遠隔授業を強いられる中で、ゼミ活動も大きな問題に直面しました。出かけてはいけない、集まってはいけない、という事態はフィールドでの実際の経験を教材として学ぶ本ゼミナールにとって、大きな壁となりました。そのような中で、ゼミでは地球全体での自然環境の理解から身近な地域における人々の暮らしまで、様々な地域スケールで発生する事象を理解するために、専門書や論文の読解を中心として、なんとか地域の姿を理解しようと努めてきました。以下は、そのような活動を学生さんの経験としてまとめたものです。(教員:平井誠) 【ゼミⅡ】今年はコロナ禍により「巡検」という現地調査実習を行うことができず、対面での授業も実施できませんでした。そのため地理学で大切なフィールドワークが行えず、ゼミのメンバーとの親密度も深めることが出来なかったので、とても残念な年となってしまいました。やはり、実際の風景を見て調査してみたかったです…。そんな状況下でも、論文精読を通した個人の関心の発見や調査方法、論文構成といった調査・資料制作スキルの習得を中心に、例年より早く卒論制作の準備に取りかかりました。個々人が調べただけでなく、メンバー間でお互いに調べたことを共有することで、新たな知識・関心や、より良い発表方法、自分では気づけない課題点が得られたのでとても良かったと思います。今出来ることとして、自分の学びたい土台をしっかり固めていくと共に、来年度はもっと実りのある学びが出来ることを祈っています。また、毎年学年を超えての飲み会を開催していますが、今年はオンラインで実施しました。普段話せない他学年や、コロナ禍でなかなか会えない同学年との良い交流の機会となり、非常に楽しい時間を過ごせました。(
3年・佐々木和己)
【卒業研究①】私はゼミ選びの時から卒業研究のテーマと対象地域は決まっていたため、新型コロナウイルスの影響を受けながらも、なんとかやり切りたいと考えていました。インタビュー調査の依頼は断られることはなかったものの、電話調査1件、Zoomでのインタビュー
2件と、対面でのインタビュー調査
2件の
協力を得ることができました。調査当日は感染の危険性を考えて公共交通機関を利用せず、千葉から仙台市まで車で
1人で向かいました。
私の研究テーマが、コンテンツツーリズムの一種である「聖地巡礼」だったということもありアニメ作品の聖地を訪れる必要があったため、車で行ったことは非常に動きやすかったです(聖地が市内で分散していたり駅から遠かったりしたため)。今までのゼミでのインタビュー調査の経験からアイスブレイクが重要であることを学んだため、今回の調査では本題に入る前に新型コロナウイルスに絡めた話で慎重にアイスブレイクを行ないました。そのおかげか本題でも深い話まで聞くことができました。仙台市は観光地ということもあり比較的インタビュー調査は受け入れていただける感じはありま
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● ゼミナール活動報告
したが、地域によっては関東から来た人間を受け入れてくれなかったりフィールドワークが思うようにできなかったりする可能性があるかもしれません。来年以降もこのような状況が続くかもしれませんが参考にしていただけたら幸いです。(
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年・山田昴史)
【卒業研究②】卒業研究を進めるにあたり、インタビュー調査とフィールドワークを実施しました。コロナ禍という状況の中で、インタビュー調査ではまず対面が可能かどうかをインタビュー先に聞き、可能な場合は調査対象地域の周辺でなるべく人と会わずに
1週間程度過ごした後、対面でのインタビュー
を実施しました。対面が断られた場合はZOOMを利用してオンライン上やメールでのやりとりによってインタビューを進めました。フィールドワークは基本的には一人で行い、予め歩くルートや撮影場所を決めておくなど、手短に済むように実施しました。上記の調査は
6月から
8月にかけ
て行ったので、第一次感染拡大が終息した後ということもあり、比較的外には出やすい環境でした。また、地元を題材にした研究内容なので、見ず知らずの地域の調査を進めるよりは調査がやりやすかったと思います。(
4年・石川義己)
新潟県糸魚川市のまちなみ
大火で焼失した町並みの復興に当たり、地元の人々は雁木作りの 建物を再建し、伝統的な景観を維持している。