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一 C54一 研 究 会 報 告
光 円錐 量 子 化 法 の 有 限密 度 系
への 適 用
福 岡 教育大 物 理 松 崎 昌 之
量子 系の ダイ ナ ミ ク スを解 く方 法は、 グ リーン 関数 法 とハ ミル トニ ア ン対角化 法に 大別 さ れ る。 相対 論 的な場 合には、 後 者 はポ ア ン カ レ 群の
10
個の 生 成子を 求め る こ とに 拡 張 され る。 これ ら の生成子の うち 、 量子 化 条 件を与え る 3 次 元 超 曲面 を 不 変 に 保つ よ う な変 換を与え る もの をヰ ネ マ テ ィ カ ル 、 そ うで ない もの を ダイ ナ ミ カ ル と呼ぶ。 通 常 用い られ る同 時 刻 量 子 化 法で は キ ネ マ テ ィ カ ル生成 子は運 動 量 戸、 角運 動 量
b
各 3 個の 計 6 個、 ダイ ナ ミ カ ル 生 成 子は ハ ミル トニ ア ンpo
及 び ロ ー レ ン ツ ・ブース トKi
3
個の 計 4 個で ある。 一方、 座 標 xOl1,2,3の 代わ りに X士 =(
xO ± X3) /
V僖= XT 及び xl ・2を採用 し、 量子 化 条 件を x + =
0
面で 与え る光 円 錐量子化 法 で は 、” 運動 量”P
+,1・2、” 角 運 動量”
L3
、E1
≡( Kl
+L2 ) / v
至、E2
i≡( K2
−Ll ) /
v!互に ブース トK3
を加えて 計7
個が+ ネマ テ ィ カル に 、
・ ハ ミル トニ ア ン・・
P
−、・ ブース ト・
F
’E( Kl
_L2 ) 1 西
、F2
1(
κ2+L
’) / 面
の3
個が ダイ ナ ミカル に な る
[ 1
,2]
。 こ こ で 、 光 円錐 座 標で は時空 座 標 を一 次 結 合 した た めに生 成子の 意 味が変わっ て い る こ と を 明 示 する た め に”
”を用い た。 光円錐座標に移 る こ
とに よ っ て キ ネ マ テ ィ カ ル生成子 が一っ 増え る こ との メ リッ トは、 時空
1
+ 1 次 元の 世界 を考え て み れ ば 明 らか で ある。1
+ 1 次元で は ポ ア ン カ レ生成 子は 3 個に なる。 同 時 刻 法で は
P3
が キ ネ マ テ ィ カル 、Pt
とK3
が ダイ ナ ミ カ ル に 、 光 円錐 法で はP
+ と κ3が キ ネ マ テ ィ カ ル 、P
一の み が ダイ ナ ミカ ル となる。 ロ ー レ ン ツ ・ブ ース ト が キ ネ マ テ ィ カ ル 、 すなわ ち相互作用を 含ま ない とい うこ とは 、 ブース トして も束 縛系 の内部 構造が 変わ ら ない
こ とを意味 す る の で あ る
[ 3 ]
。加えて 、光円錐 座 標で は ア イ ン シ ュ タ イン関 係 式は
2p
+p
− =M2
+( pl ) 1
+( p2 )
2とな るの で 、 観 測さ れ る!’ エ ネ ル ギー”
p
”>0
粒 子 (反 粒 子を含む)は運 動 量p
+ >0
しか 持て な い。 こ の こ と は真空 か らの 対 生成が禁止さ れ る こ と を 意 味 す る1。 すな わ ち物理 的 真空 はフ ォ ッ ク の真 空 と なる の で 、 粒 子数で 空 間を切 断 して”ハ ミル トニ ア ン ”
P
一を 対 角 化 する とい うタ ム ・ダン コ フ近 似が有 効に な る。 特に摂動 論が使えな い 強結 合 系で は その 威 力を発 揮す る こ と が期 待 さ れ る。
一 方、 光 円錐 量 子 化 法で は三っ の 空 間 座 標を非対称に 扱 うの で 、
● 回 転 対 称 性 を破 っ て い る 、
● 縦 (x−
)、 横 (xl ’2
)方向の 次 数 勘 定が異な る こ と に由 来 して 、 繰 り込み処 方が 確 立 し て い ない 、
とい う問 題が残 っ て い る。 光 円 錐上の 場の 理論の大 目標は 、 3 + 1 次元で の 繰 り 込 み 処方
を確立 し、
p
+ =0
モ ー ドと関 係 して い る と予想 さ れ てい るカ ラーの閉 じ込 め機 構を明 ら1p+ = Oのモ ー ドが存在すれば真空の構造は複雑になるの で、それ が 光 円 錐 量子化法で の真空の相転移
に関係して いる と予想されてい るが、こ こ で は考えない。
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「原 子核ハ ドロ ン束縛 系に おける相 対論 的多体 論の展 開」 一
C55
一か にす る こ とに よ っ て 、 (現象 論 的に大 成 功 して い る)構 成 クォ ーク模 型を基 礎づ け る こ とで あ り、 そ れに 向けて種々 の ラ グラ ン ジア ン の 束縛状態解が調べ ら れて い る が 、 そ れ ら
はすべ て 物質密度=
O
で の もの で あ る。 そ こ で 、 こ こ で は、 横方 向が存在せ ず、 超 繰 り 込み可 能で 、 かっ 、
Coleman
の 定理[ 4 ]
に よ り相 転 移 (自発 的 対称 性の 破れ) も ない1
+1
次 元に話を限 定 して 、有 限 密度 核 子 ・中間 子 系の ひな 型 に光 円 錐 量子 化法 を適用 す るこ と
を 試 み る。
1
+1
次元 の核 子をCb
:(
ψR,ψ
L)
T、ス カ ラー申 間 子をσ と書 く と ラ グラ ン ジア ン は・一
ψ ( ior
”e
.−M )
ψ・1 (
…a
。a − m ・σ・)
一・伽 (
・一 +,一) ( 1 )
で与え ら れる 。 これ か ら運 動 方 程 式
(
∂μ∂μ+m2)
σ = −9ψψ
,( i
・yP
∂μ 一M
−9
σ)
ψ=0
を得 る。 核 子に 対す る方 程 式を射 影 する と
〉「
2i
∂− gbL 一( M
+9
・)
ψR =o
,t5i
∂+ψR −( M
+9
σ)
ψL =0
( 2 )
( 3 )
( 4)
( 5 )
を得 るが、
( 4 )
は” 時 間” 微 分∂+を含ま ない の で 、 ψLは ダイ ナ ミ カ ル な 自由度で は な く、( 4)
は拘 束 条 件で あ る こと が わ か る。 こ の拘 束条 件を用い て” ハ ミル トニ ア ン ” 密 度 (エネ ル ギ ー運 動 量テ ン ソル の +一成 分)か らψLを 消 去す る と
T
+『一毒 { 嚇 まψ・ + ・齲 ( ま
・ + ・ま )
ψ・ +92ipk
・ま
・ψ・}
・lm2
σ2 ジ (
・)
を得る 。 こ こ で
ま
は” 空 間” 微 分の逆 演算、 すな わ ち積 分を表 すの で 、 こ の 表 式 中のg2
項 は、 図 1 の よ う な” 瞬 間 的” 4 点 ヴ ァ ーテ ッ ク ス を与え る。
対 象と して ガ 方 向に 無 限に 広がっ た核 物 質を考える の で 、
P
− =∫
dx
−T
+『中の核 子 場、 中間 子 場 を、 量 子化 条 件を 与 え る x+ =0
でψ・
(
x−)
一掘
゜° 、藩 [ b ( k・)
・一’k+x −・ dt ( k
・)
・’k’・’]
, (・)
)
・
(
・一)
一 ・ ・ 〉 +f
。°Q2111 .[
・(
・・)
・一・k+x− ・ ・t( k
・)
・・k’・“] (
・)
と 平面 波 展 開す る。 こ こ で 積 分記号は コ ーシ ーの 主値 積分を意 味す る。 またく σ 〉は 核 子 密 度が 有 限で あ る た めに 存在す る平均 場で ある。
( 7 )
、( 8 )
式 に よ っ てP
一は核 子 及 び中 問 子の生 成 ・消 滅 演 算 子で表 されるの で 、 状 態を粒 子 数で切 断 して ア イ ン シ ュ タ イ ン ・シュレーデ ィ ンガ ー方 程 式
M2
P
”lxb
>篇炉 1 ψ
・( 9 )
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一
C56
一 研 究 会 報 告を行 列 対 角 化 法に よ っ て解 くヒとに よ り物理量が求め られ る。
物 質 密度=
0
の1
+1
次 元 湯川相互作 用 系に っ い て は文 献[ 5 ]
で詳 し く 調べ ら れて いる が 、 そ こ で は反フ ェ ル ミ オ ン を 無視 して い る た め に対生成が な くボ ソ ン は 裸の ま まで 、
フ ェ ル ミ オ ン をF 、 ボソ ン を B と略 記 する と、 1F セ ク タ ーに つ い て は.(1F )+ (1F −
1B
) + (1F
−2B
) を模 型 空 間 と し て フ ェ ル ミ オ ン の物理的 質 量を、2F
セ ク タ ーにっ い て は (
2F
)+ (2F
−1B
)の 空間で束 縛 状態及び 連続 状態 の質量 ス ペ ク トル及 び 波 動 関数 を 求 め る枠 組み を与え て い る。 一方、 本 研 究 会 で よ く 認 識 さ れ て い る よ うに 、 核 子 と中 間子を対 等に取 り扱 うべ きで あ るとい う 観 点 か らは 、 中 間子が 核 子一反 核 子 及 び粒 子一空 孔の 衣を着て い る効果 も同時に 考 慮 しな けれ ば な らな い 。 例え ば OF セ ク ターにっ
い て (1 申 間 子 )+ (
N
−N
)+ (p −h
)とい う 空 間でP
一を対 角 化すれ ば 、 リ ン グ ・ダ イヤ グラ ムが 無 限次まで入 るこ とに な る。 その 際、 光 円 錐 で の運 動 学 に よ り、 反 核 子 運 動 量
の積 分 範 囲 が有 限に と ど ま る とい うメ リッ トが あ る。 核 子 (lF )セ クターと中間子 (
O
F )セ ク ターを 結 合 させ て 解 けば シ ュ ウ ィ ン ガ ー ・ダイ ソ ン 法 に対 応 す る と予 想 して い る
が ぐ二 重 勘 定 の 問 題 等、 具体 的計 算方 法 につ い て は検 討 中で あ る。
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X’
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FIG
.1
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