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冒頭発言 - 日本国際問題研究所

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Academic year: 2023

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(1)

世界各国、特にアジアから、多くの皆様方がお出ましをいただきました。おはよう ございます。日本国際問題研究所主催のこのシンポジウム、まさに時宜を得たもの だと、そのように思っております。まずは、この国問研、ペンシルヴァニア大学の 世界のシンクタンクの調査によりますと、アジアでナンバーワンだと、大変高い評 価をいただいております。その高い評価の表れの一つが、まさに時宜を得た企画が できるということにもつながっていると思っておりまして、心から敬意と感謝を申 し上げたいと思っております。

実は、昨日、東ティモールから、ラモス・ホルタ大統領が来られました。夕食会の 中でオバマ大統領、アメリカもヴィジョンを持った政治家が誕生したと、ようやく 日本にもヴィジョンを持った政権が誕生したことを大変うれしく思うと、そのよう にお話をくださいました。どうも日本では、ヴィジョンはメディアには評価をいた だいてはおりませんが、私はヴィジョンがなき具体的政策が国を大変危険な状況に 導いてしまっているのだと思っております。今、大事なことは、世界に通用するヴ ィジョンというものを、日本としても高く掲げること、ここに尽きるのではないか とさえ思っております。

国内の政治で申し上げれば、新しい政権の一番大きな特徴は、国と地方というもの を同格にするということでございます。今まではややもすると、国が上にあり、地 方政府がその下位にあったと、そのような状況でございましたが、そのことがこの 国を厳しくしたと、そのように思っております。私はさらにその先を進めて、政府 と

NPOとが同格になる、そのぐらいの社会に変えていきたいと、それを「新しい公

共」という形で作り上げてまいりたいと思っております。この国を、「公」を開く、

冒頭発言

Hatoyama Yukio

* 本稿は、2010年3月

17日に日本国際問題研究所が主催した公開シンポジウム「東アジ

ア共同体の構築を目指して」(外務省後援)における、鳩山由紀夫内閣総理大臣による 冒頭発言の記録です。

内閣総理大臣

(2)

民に大きく開く、そのようにすることによって、世界においても、日本という国が、

内政でも大きく変わっていくぞと、その思いを理解をしていただけるのではないか と思います。

もう一つ、やはり旧政権と大きく違うのは、東アジア共同体を積極的に構想するこ とでございます。言葉で東アジア共同体を述べることは簡単だと思います。しかし、

それを現実の舞台の中で、スピード感を持って構想を進めていくということは、そ れほどたやすい話ではありません。今でも、各役所との間の軋轢というものが、東 アジア共同体を構想するに当たっても、一つの障害になっている部分もございます。

日本を世界に向けて開くということを、特にアジアの一国として、日本をもっとも っと開国をさせるということを、今、東アジア共同体を構想することによって、実 現していくことが急務だと思っております。

その東アジア共同体を構築することを目指すシンポジウムを、ぜひ皆様方のお力で 成功に導いていただいて、その皆様方のご提言を政府にも積極的に採用してまいり たいと思いますので、どうぞ今日一日、新たな日本を形作る、その意欲を皆様方に お持ちをいただけば、大変ありがたく存じます。

私の考える東アジア共同体、その前提をいくつか申し上げたいと思います。その一 つは、日本はやはり日米の同盟というものが軸になります。その日米の同盟、日米 安保というものが軸にあるからこそ、アジアの国々もある意味で安心して経済的な 発展を遂げることができてきましたし、これからも安心して協力をする体制を作り 上げていくことができると考えております。その日米同盟というものを、これから も日本としては大切にしていくことをまず申し上げておきます。

そして、長期的なヴィジョンの中で、東アジア共同体というものは、むしろ極めて 柔軟性を持った発想が望まれるということでございます。東アジア共同体には、ど の国が入り、どの国は入らない、こんな排他的な考え方は捨て去るべきだと思いま す。いやむしろ、今ある存在、例えば

ASEAN

あるいは

ASEAN

3、あるいは

ASEAN

+6、それぞれの役割が大変大きなものがあるかと思っておりますし、APEC もございます。東アジアの首脳会議もございますし、さらには日本と中国、韓国と の間の首脳会議も定期的に開かれるようになりました。それぞれのさまざまな組織 というものをうまく連携をさせて、つなげていくということが求められておるわけ でありまして、テーマによって多くの国々に参加を求めたり、あるいはむしろ少数 の国々の協力関係からスタートするべきものも、さまざまあろうかと思っておりま す。このような柔軟性、あるいは透明性、開放性、こういったものが東アジア共同 体を眺めていくときに必要なアイデアではないか、そのように私は思っております。

(3)

そして、新政権として「いのち」を大切にしたい。アジアの国々の「いのち」を結 び合わせていきたい。これが原点になければならないと思っています。二度と、こ の地域においては戦争を行わない。その発想を強く主張するためにも、国が違って も、民族が違っても、お互いに一つ一つの「いのち」というものは大切だと。だか ら、結び合っていかなければならない。だから、連携強化をしていこうではないか、

この発想を大切にしていくことが何よりも肝要だと思っております。

具体的にいくつか、東アジア共同体を構想する際に必要なテーマを申し上げてまい ります。その一つは言うまでもありません。経済的な連携の強化でございます。こ れは、日本は今日まで必ずしも経済的な連携、すなわち

FTAとか、EPAというもの

を戦略性を持って考えてきたとは思えません。むしろ、この国とは

EPA、FTA

をや っても、あまり国内的に問題がなさそうだ。そういうところから先にスタートしよ う、このような戦略性のない発想でスタートしてきたと思います。むしろこれから は、例えば環境問題だとどういう地域と

EPA

を組むべきか、このような議論から、

EPA

をどのような地域と積極的に行うかを決めていくべきであります。確かに、農 業などさまざまな国内的な懸念というものが、まだ消えているわけではありません が、私たちはその一つ一つの懸念は必ず将来、お互いの国にとって

Win-Winの環境

を作り上げていくことができるという確信の中で、消し去ることができると考えて おります。

いま一つは、環境問題でございます。必ずしもコペンハーゲンでの合意、それは成 功に終わったと申し上げるべきではありません。ただ、この悔しさをばねに、メキ シコで行われる

COP16は、法的な文章にまで高めていく必要があります。その際に、

アメリカはもちろん、中国、インド、日本、韓国、インドネシア、あるいはオース トラリア、シンガポール、こういった地域が、国々が協力をして、まずはアジアに おいて、あるいはアジア太平洋の国々が、お互いの合意というものを見いだしてい くことが肝要だと思います。それぞれの地域において、これから新興、伸びていく 国もあるし、成熟した国もある。それぞれ環境問題に大きな違いがあると思います。

しかし、あまりにもその国の主権ばかり主張していては、結果として地球を惨めな 状況に導いてしまいかねません。ここはむしろ国としての我を捨てて、将来に対す るヴィジョンというものを明確に示していく中で、協力関係を、特に今日お集まり の国々の協力関係の中で見いだしていくことが、何より求められているのではない かと思います。

さらに、「いのち」を大切にするという意味では、私は「友愛の海」というものを提 唱しております。特に中国との間では、東シナ海の間でさまざまな問題の火種がな いわけではありません。しかし、かつて

EU

が石炭と鉄鋼の共同体を構想することに

(4)

よって、お互いに今まで敵対し合っていたフランスとドイツの国民が協力をするこ とによって、同じ汗をかくことによって、二度と戦争のない時代を作り上げていく ことができた。そして

EU

まで導いてきた、そのことを考えたときに、むしろ東シナ 海を「友愛の海」、二度といさかいの起こらない海に仕立て上げる、協力を作り上げ る大きな地域とするべきだと、私は考えております。

もう一つ申し上げれば、「友愛ボート」という構想を考えておりまして、災害対策の ために、日本の自衛隊もアメリカとも協力をして、パシフィック・パートナーシッ プ、その発想の中に組み入れさせていただくなり、あるいは日本独自の発想を持つ ことによって、官と民、NPOと自衛隊などが協力をして、世界の防災、災害が起き たときの救助のための役割を大いに果たすべきではないか、そのように感じている ところでございます。

また、教育問題、私は日中韓の首脳会議の中で提唱いたしました。お互いに言葉が 違うけれども、大学の単位の互換性などをもっと高める工夫をするべきではないか と、考えていこうではないかという発想になっております。スピード感が求められ ることは言うまでもありませんが、大学間同士で日本と、中国と、韓国の人々が同 じものを学びながら、歴史というものを共有をしていく作業というものは、今、大 変求められているのではないかとさえ思うのでございます。

このようなことを行いながら、私は東アジア共同体を、中国、韓国、日本、私ども はその地域をまず中心としながら、さらに必要な大きなアジア太平洋の地域まで、

しっかりと視野に置いた形の中で広げていくことが、今、構想として求められてい ると改めて申し上げたいと思います。

ただ、大事なことは、日本という国、そのような構想を持っても、なかなか遅々と して動かないではないかと。「開かれた国益」という言葉をあえて使わせていただき たいと思いますが、日本という国がどうもまだ鎖国的な意識を持っている、一人一 人の気持ちの中に、そのようなものがあるとすれば、その心の壁を今こそ取り除く ことが大事な発想だと、原点だと思っております。

例えば、フィリピンや、あるいはタイ、あるいはインドネシアから、日本のお年寄 りの方々のために、介護の従事をしたい、あるいは看護師になりたい、そういう 方々がたくさんおられるかもしれません。でも、そういう方々が、日本語の難しさ の中で学ぶことができない。だから資格は取れない。だから、日本のおじいちゃん、

おばあちゃんを助けようと思っても助けることができない。こんなばかなことが、

現実に起きている壁でございます。

(5)

今、私たちはもっと世界に向けて、堂々と国を開く覚悟を持たなければならないと 思います。東アジア共同体をいくら構想しても、日本の国民の心が閉じてしまって いれば、決して成就できない大きな目標となりかねないのでございます。今大事な ことは、その心の壁を取り除くために、新しい政権が起こされたと。国民の皆様方 がそのような意識になっていただくこと。特に、厚生労働省、あるいは文部科学省、

さまざまな役所の中にあるセクショナリズムをはじめとする障壁というものを取り 除くことが、何より肝要ではないかと申し上げたいのでございます。

10

分間のあいさつという割に、長い話を申し上げてしまいましたことを心からお詫 びを申し上げながら、私にとりまして、東アジア共同体を皆様方と共に構想するこ とを大変な喜びといたしておりましただけに、長いお話になってしまったことを、

改めて心からお詫びを申し上げますが、どうぞ今日お集まりいただいた皆様方が積 極的に東アジア共同体を構想していただきながら、どこにその利点があるか、どこ にまだ欠点があるか、何を乗り越えていかなければならないのか、大いにご議論を いただく素晴らしい場となればと、そのことを念じつつお祝いに代えた、若干の私 の持論の展開とさせていただきました。

ご清聴くださいました皆様方に、心から感謝を申し上げます。シンポジウムの成功 を心からお祈り申し上げます。おめでとうございます。ありがとうございました。

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