• Tidak ada hasil yang ditemukan

化学療法のための化合物を 開発する合成戦略 - J-Stage

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2023

Membagikan "化学療法のための化合物を 開発する合成戦略 - J-Stage"

Copied!
9
0
0

Teks penuh

(1)

化学療法のための生物活性化合物を効率的に得る試みは,天 然物の全合成とともに発展してきた.最近の報告でも,これ ま で 臨 床 に 用 い ら れ て き た 抗 生 物 質 の う ち 実 に65% が 天 然 物 由 来 と の こ と で あ る(1).し か し,こ こ20年 の 間 に そ の 取 り組み方法も多様性を帯びてきた.本稿では,歴史のページ をめくりつつ,現在ホットと思われる取り組みを取り上げ,

さらに個人的に興味をもっているハイブリッド戦略について 紹介したい.

コンビケム(図

1

1994年に 誌が創刊され(現在は Cell Press社により刊行)

,生物のしくみを生物活性化

合物を用いて解明する化学者の試みがケミカルジェネ ティクスとして紹介された.ちょうど,mTORのヒト 免疫系における役割がrapamycinやFK506を用いて分 子レベルで明らかになったこともあり,医薬品のリード 化合物としての生物活性化合物を得る効率的なシステム はどのようにしたら構築できるかが関心を集めていたた

め,多数の化合物を与える合成化学的技術とそのスク リーニング方法の開発が世界中の化学者によって研究さ れた.1990年代はいわゆるコンビナトリアルケミスト リー(コンビケム)による取り組みが盛んに研究され た.たとえばSchreiberらは1998年,シキミ酸を出発原 料とし,多数のビルディング・ブロック(BB)を6段 階の反応により縮合させる戦略により218万個の二環性 骨格化合物からなるライブラリー1の構築を報告してい る(2)

.また,Nicolaouらは2000年,独自性の高いSeリ

ンカーを用いる固相合成法によってベンゾピラン骨格を 有する1万個を超える化合物のライブラリー2の構築を 報告している(3)

.1999年にはACSより

(現 在 は

)が創刊され,多数の類縁体化合物を含む化合物ラ イブラリーに対し大いなる期待が寄せられたが,研究が 進むにつれ,ケミカルバイオロジー研究に有用な化合物 の発見のためには,置換基の多様性だけでは不十分であ るという課題点も明らかにされた.

一方,深瀬・楠本らは1998年,天然糖脂質の脂質部 分に構造多様性をもたせた類縁体3を液相にて少数合成 し,構造活性相関における重要な知見を得ている(4)

.天

Synthetic Strategies toward Bioactive Compounds for Chemotherapy: 

From Natural Products to Hybrid Strategy

Masato OIKAWA, Yuichi ISHIKAWA, 横浜市立大学大学院生命 ナノシステム科学研究科

化学療法のための化合物を  開発する合成戦略

天然物からハイブリッド戦略へ

及川雅人,石川裕一

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

【解説】

(2)

然糖脂質というprivileged structureをモチーフとした 研究ではあったが,質の高い化合物ライブラリーを得る ためには置換基の多様性よりむしろ主骨格が重要である ことを示唆するものであり,こうした例は多く報告され た.

DOS(多様性指向型合成)(図

2

5

21世紀に入り,コンビケムで見いだされた課題に取り 組む動きが活発化した.Schreiberらは一つの骨格から 一つの反応条件により多様な骨格を創出する戦略の検 討を始めた.反応の方向性を制御するため,出発化合物 に含まれる置換基に工夫を行い,これを多様性指向型合 図1コンビケムによる化合物ライブラリー構築(1990年代)

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

有機合成 いまむかし

後輩1 :  先輩,次の実験で○○反応をやることになっ て…文献検索って図書館まで行って調べなく ちゃいけないんですか?

先輩 : その必要はないよ! 最近はさまざまな文献 のデータベースが整備されているからネット 上で簡単に検索ができるよ

後輩1 : わかりました,探してみます!

…カタカタカタ…

先輩 : どう? ほしい論文は見つかった?

後輩1 : はい,この論文では反応に使う溶媒を蒸留し ているみたいなんです…蒸留装置ってどう やって組み立てればいいんですか?

先輩 : 蒸留装置? 昔は自分で組み立てて毎回蒸留 していたみたいだけれど,今はそんなものは 使わないよ

後輩1 : 本当ですか?

先輩 : あの脱水溶媒装置は,コックを開けば脱水溶 媒が出てくるよ

後輩1 : そうなんですか! 便利ですね

先輩 : 昔に比べて便利になったのは,脱水溶媒装置 だけじゃないんだよ

後輩1 : 例えばどんなものがあるんですか?

先輩 : やっぱり自動精製装置かな 後輩1 : どう変わったんですか?

先輩 : 今は精製に必要な量のシリカゲルがすでに充 填されたカラム管を使っているけれど,昔は

必要な量を計算して充填するところまです べて手作業でやらなければいけなかったんだ 後輩1 : それは時間と手間がかかりますね…

ガシャン!!

後輩2 : ああ〜っ!

先生 : どうした? 大丈夫か?

後輩2 : ガラスのメスシリンダーを落としてしまって…

先生 : 私が学生の頃と違って今はプラスチック製の ものがあるから,そっちを使ったほうがよ かったかもね

後輩2 : そういえば,そうですね…次から気をつけま す

先生 : 今はいろいろと便利になったからなあ…

後輩1 : あっ,さっきまでその話をしていたんです が,先生,昔よりも便利になったものって何 がありますか?

先生 : そうだなあ…NMRは特に便利になったと思 うよ.昔は夜遅くまで順番を待って試料を自 分でセットしていたけれど,今はホルダーに セットしておけば自動で順番に測定してくれ るよね

後輩2 : そんなに大変だったんですね

先生 : 構造解析もいまはソフトウェアで化合物の構 造を描けば,簡単に立体的に見ることができ るけど,昔は実際に分子模型を組み立てなけ ればいけなかったんだよ.大きな分子を作る ときは苦労したよ

後輩2 : 便利な時代になったんですね

後輩1 : こうした技術によって,これからの化学は もっと発展していくんですね!

コ ラ ム

(3)

成(diversity-oriented synthesis; DOS)と名づけた(5)

2003年に発表された概念を図2に示す(6)

.二つの骨格が

一つの骨格から同一反応条件で発生するが,ここでは置 換基はアクセサリーではなく,反応の方向性を制御する ために活用されていることに注意してほしい.実践例に は同時期の報告(図3)を見るとよい(7, 8)

.反応の方向

性を制御する

σ

エレメントを増やすことによって,より 多い6つの骨格が一つの反応条件下にて創出される.さ らに2009年には80個を超える骨格を創出する技術が Nelsonらによって報告された(9)(図4)

彼らはBBに propagatingあるいはcappingと名づけた性質を求め,

それぞれを一つずつ含む基質に対しメタセシス反応を 行っている.この技術はその後Schreiberによってbuild- couple-pair(BCP) strategyとして紹介された(10)

一方で,天然物の生合成にヒントを得た骨格多様性獲 得の試みも2013年に大栗らによって報告された(11)(図 5)

.ポリエン化合物が起こす[4+2]付加環化反応の向

きを置換基によって制御して,3種の天然物骨格に導く ことに成功している.また,ヒドリド移動に次ぐ環化反 応により2種の四環性骨格も得た.

図2多様性指向型合成(DOS)の概念(2003年,Schreiberら)

図3DOSの実践例(20032004年,Schreiberら)

図480個を超える骨格を与えるDOS2009年,Nelsonら)

図5生合成類似の多様合成(2013年,大栗ら)

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(4)

DTS(多様性指向型の天然物合成)(図

6

生物活性天然物の化学合成でより優れた化合物を得る 戦略は2004年,Danishefskyらによってdiverted total  synthesis(DTS)と名づけられた(12)

.特に天然物自体

の誘導体化では決して得られることのない化合物ライブ ラリーを与える点で,DTSは優れていると彼らは主張 している.実際,彼らはDTSにより,細胞転移阻害能 を有するmigrastatinよりも高活性な簡略化類縁体を得 ることに成功した.

BIOS(生物活性支援型の多様合成)(図

7

天然物ライブラリーから新規の活性化合物をスクリー ニングし,ヒット化合物の骨格を分解しつつ合成化学的 展開を図ってより優れた化合物の開発につなげる戦略は Waldmannによってbiology-oriented synthesis(BIOS)

と名づけられた(13)

.彼らはターゲットをホスファター

ゼに固定し,阻害アッセイでヒットしたヨヒンビン/レ セルピンをもとに,structural classification of natural  products(SCONP)と名づけた解析で構造活性相関

(SAR)に関する情報を得て,より強力かつ選択性の高 い阻害剤の開発に成功した.

DOS from natural products(天然物からの多様 合成)(図

8

10

天然物を出発化合物として多様な骨格に導こうとする 試みも報告されている.2013年,Hergenrotherらはジ ベレリン酸を例にとって3〜5段階の反応で複数の骨格 多様化合物群へと導く戦略(ring-distortion strategy)

を報告した(14)(図8)

.彼らによれば,入手が容易で,

かつ骨格改変を可能にするオルソゴナルな官能基を有す る天然物であればこの戦略への適用が可能であり,ほか にアドレノステロンやキニーネについても骨格多様性獲 得を実現している.フムレンを出発化合物とする同様な 試みは菊池らによっても最近報告された(15)(図9)

.彼

らはフムレンエポキシドに対する渡環反応/メタセシス 反応によって骨格多様な32化合物を導き,その中に carnitine palmitoyltransferase 1(CPT-1)を発現促進 する化合物を見いだしている.

天然物の粗抽出物に対し反応を行ってより多様性を高 める手法も2014年に菊池らによって提案されている(16)

(図10)

.彼らはテルペン類を含む植物由来のメタノー

ル抽出物に対し,エポキシ化と結合開裂反応を施し,7 つのセスキテルペン様化合物を得ることに成功してい る.

ケミカルスペース

複数の化合物を含むライブラリーの構造多様性はケミ カルスペースによって表現される(17)

.物理的特徴(た

とえば疎水性 Log  )や構造的特徴(たとえば 3

図8天然物からの多様合成(2013年,Hergenrotherら)

図7生物活性支援型多様合成(2006年,Waldmannら)

図6多様性指向型天然物合成(2004年,Danishefskyら)

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(5)

素の割合F 3)といった化合物の性質がそのライブラ リーにおいて広範囲にわたっているかを評価するもの で,一般的には任意の主成分分析データを3軸にプロッ トして三次元空間における広がりを評価する.現在,ラ イブラリーが広いケミカルスペースを占めるためには骨 格多様性の獲得が鍵を握っていると考えられているが,

それは1990年代のコンビケム研究で明らかにされた成 果であった.この考えのなかで天然物ライブラリーはケ ミカルスペースが広いと評価されていることから,上述 したような,天然物(もしくはprivileged structure)

をモチーフとした,あるいはそれを出発化合物とした,

さらなる骨格多様性の獲得が試みられるのは自然な流れ と言える.また,別のアプローチとして活性化合物のハ イブリッド戦略も未踏ケミカルスペース探索のために研 究されており,以下にそれを紹介したい.

生物活性化合物のハイブリッド戦略

ハイブリッド化合物は,キメラとかダブルドラッグな ど複数の呼び名がある.ほとんどの場合,2つの活性化 合物を含むが,それらの生物機能は同じ場合と異なる場 合とがある.いずれの場合においてもハイブリッド戦略 では親化合物とは全く異なる物理的性質が生み出され,

ハイブリッド化合物ライブラリーでは未踏のケミカルス

ペースの探索が可能になる.また,ハイブリッド化する ことによって,薬剤耐性の菌/株/ウイルスに対応でき ることもメリットの一つとされている.本稿では抗結核 薬,抗がん剤,抗HIVウイルス剤,抗マラリア剤につ いて順に紹介する.

抗結核薬(図

11

結核菌など抗酸菌に対する活性化合物探索において,

2011年,Deganiらは化学療法で用いられているetham- butolの部分構造と,古くから知られているケイ皮酸を アミド縮合させた化合物の構造活性相関を評価し,

5.1 

μ

Mで活性を示す化合物4を見いだした(18)

.Etham-

butol由来の部分をリンカーとみなし,さまざまなジア ミン/トリアミンを評価した点が興味深い.DNAジャ イレースを標的にした阻害剤のハイブリッド5は結核菌 やスメグマ菌に対し良好な抗菌活性を示した(19)

化学療法で用いられているthioridazineとthiadiazole とのハイブリッド6では,良好なレベルの抗菌活性を示 したと報告されている(20)

.Thioridiazineの本来の抗菌

活性に対し,thiadiazole上の芳香環が活性の強さを調整 図9天然物からの多様合成(2016年,菊池ら)

図10天然物からの多様合成(2014年,菊池ら)

図11ハイブリッド抗結核薬

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(6)

していることが示された.

既存の抗生物質に対して別のファーマコフォア(phar- macophore)をハイブリッドさせる戦略も報告された.

抗菌活性が知られる三環性スピロ骨格Aに対し,さま ざまな薬剤においてファーマコフォアとして見られる thiochromaneをスピロ縮環させた化合物群は良好な抗 菌活性を示し,そのなかから上述のethambutolよりも 強力な7が見いだされた(21)

.リンカーによらないハイブ

リッド戦略として興味深い.

抗がん剤(図

12

13

最初に複数の機能性モチーフを含む抗腫瘍性化合物ブ レオマイシンについて紹介する.ブレオマイシンは DNA結合性のチアゾール部,細胞膜通過のための糖質 部,鉄原子結合性のピリミジン部からなり,DNAを強 力に切断する(22)

.抗腫瘍性化合物の開発においては,

このように複数の作用を示すハイブリッドが多く研究さ れている.

DNAのマイナーグルーブに可逆的に作用するdista- mycinと,DNAアルキル化剤DC-81のハイブリッド8

図13ハイブリッド抗がん剤 図12ハイブリッド抗がん剤

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(7)

では,両者を超える抗腫瘍活性化合物が2007年に見い だされた(23)

ミトコンドリアのcomplex Iを阻害するアセトゲニン 天然物とtebufenpyradのハイブリッドでは,親化合物 のソラニンよりも80倍強力な抗腫瘍活性化合物9が 2008年に開発されている(24)

Patersonらは2010年,微小管を安定化する3つの天 然物(タキソール,discodermolide, dictyostatin)のハ イブリッドの評価を行い,dictyostatinのマクロ環がタ キソールの縮環部と同様な相互作用を示すこと,しかし ながらタキソールの側鎖のない10のほうが高活性であ ることなどを明らかにした(25)

.微小管重合を阻害する

ansamitocin P-3と葉酸のハイブリッド11は,強力な抗 腫瘍活性を示す前者化合物の作用を,葉酸受容体が過剰 発現しているがん細胞だけに限定することができる(26)

葉酸とのハイブリッド戦略はほかの類縁体でも報告があ り,一般性がある(27)

.その一方で,ansamitocin/gel-

danamycinハイブリッド12は異なる分子標的に作用し て抗腫瘍活性を示す可能性が示唆されている(28)

.アク

チンを脱重合させてがん細胞の増殖を抑制させる2つの 天然物(aplyronine A/mycalolide B)のハイブリッド 13では,親化合物をしのぐ脱重合活性化合物が木越ら により2012年に見いだされた(29)

.2013年,不破らは細

胞 増 殖 抑 制 性 のaspergillide A/neopeltolideを ハ イ ブ リッド化し,その三次元構造と活性の相関関係について 考察している(ジアステレオマーライブラリー14(30)

アスピリン/酸化窒素のハイブリッド抗腫瘍活性化合 物15では,親化合物のいずれでもなくリンカーが活性 を示した,という特殊な例もあり(2007年)(31)

,リン

カーの選択も重要である.

HIVウイルス剤(図

12

14

2003年にGambariらによって示された例では,dista- mycinと,アルキル化によって不可逆的に作用する DC-81とのハイブリッド8が,いずれの親化合物とも異 なるメカニズムでHIVの長い末端反復(LTR)による 転 写 を 阻 害 す る こ と が 示 さ れ た(32)(図12)

ま た,

Fossyらは2007年,逆転写酵素阻害剤とインテグラー ゼ阻害剤をリンカーでハイブリッドして抗HIV活性化

合物16として開発し,それが親化合物のいずれよりも

高活性であることを示した(33)(図14)

.HIVプロテアー

ゼの光分解にフラーレンとグルコースのハイブリッド 17が設計/使用された例もある(34)

.Diarylpyrimidine

とJanssen社のetravirineのハイブリッド18では1.8 nM のEC50値をもつ抗HIV-1薬が見いだされている(2010 年)(35)

.この研究を行ったChenらはその後etravirine/

elvitegravirハイブリッド19(EC50

=0.28  μ

M)(36)

,およ

びetravirine/VRX-480773ハ イ ブ リ ッ ド20(EC50

0.24 

μ

M)(37)などの成果を上げており,etravirineはハイブ リッド戦略のモチーフとして有用と考えているようであ る.その一方で,抗マラリア剤dihydroartemisininと抗 HIV薬のazidothymidine(AZT)とのハイブリッド(38)

あるいはトリアジン系R106168とキナゾリン系の抗HIV 薬ハイブリッドなど,選択性の変化やシナジー効果は認 められなかったという失敗例もある(39)

.最近の成功例

では,oleanolic acid/AZTハイブリッド21がAZTより も優れた抗HIV活性を示した(EC50

=0.010  μ

M)(40)

図14ハイブリッド抗HIVウイルス剤

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(8)

抗マラリア剤(図

15

ハイブリッド戦略が化学療法に大きなインパクトを与 えた例としては2種の抗マラリア剤(アルテミシニンと クロロキン)を最初に挙げることができる(41)(化合物 22

.これらは寄生虫のライフサイクルにおいて異なる

時期に作用するだけでなくそのメカニズムも異なる特徴 があり,構造最適化を経てPA1103-SAR116242(23)が 開発された(42)

.アルテミシニンとキニーネをエステル

縮合させた例もある.2007年,Walshらはこのハイブ リッド化合物24がそれら単独あるいは混合物のいずれ よりも高活性であることを報告した(43)

.クロロキンと

トランスポーター阻害imipramineのハイブリッド25の 成功例もある(44)

おわりに

今回,このテーマの原稿を作るにあたってはいくつか の優れた成果に触れることができた.そのなかでも天然 物生合成で共通中間体となるような化合物を起点とする 人工化学合成や,リンカーによらないハイブリッド戦略 は未踏のケミカルスペースを探索するのに有用であろ う.私たちもそう考えてハイブリッド戦略を進めている が,今回は紙面の関係で割愛した.以上のような取り組 みやDOSはさらなる発展が見込めるが,有機合成化学 者の知恵だけではケミカルスペースを探索しきれないと も私たちは感じている.生物活性化合物を求める研究者 のさまざまなリクエストや示唆などがこの取り組みの発 展には欠かせないと思う.

文献

  1)  D. J. Newman & G. M. Cragg:  , 75, 311 (2012).

  2)  D. S. Tan, M. A. Foley, M. D. Shair & S. L. Schreiber: 

120, 8565 (1998).

  3)  K. C. Nicolaou, J. A. Pfefferkorn, A. J. Roecker, G. Q. Cao,  S.  Barluenga  &  H.  J.  Mitchell:  , 122,  9939 (2000).

  4)  K. Fukase, Y. Fukase, M. Oikawa, W.-C. Liu, Y. Suda & 

S. Kusumoto:  , 54, 4033 (1998).

  5)  S. L. Schreiber:  , 287, 1964 (2000).

  6)  J. K. Sello, P. R. Andreana, D. Lee & S. L. Schreiber: 

5, 4125 (2003).

  7)  M.  D.  Burke,  E.  M.  Berger  &  S.  L.  Schreiber:  ,  302, 613 (2003).

  8)  M.  D.  Burke,  E.  M.  Berger  &  S.  L.  Schreiber: 

126, 14095 (2004).

  9)  D. Morton, S. Leach, C. Cordier, S. Warriner & A. Nelson: 

48, 104 (2009).

10)  S. L. Schreiber:  , 457, 153 (2009).

11)  H. Mizoguchi, H. Oikawa & H. Oguri:  , 6, 57  (2014).

12)  J.  T.  Njardarson,  C.  Gaul,  D.  Shan,  X.-Y.  Huang  &  S.  J. 

Danishefsky:  , 126, 1038 (2004).

13)  A.  Nören-Müller,  I.  Reis-Corrêa  Jr.,  H.  Prinz,  C.  Rosen- baum, K. Saxena, H. J. Schwalbe, D. Vestweber, G. Cag- na, S. Schunk, O. Schwarz  : 

103, 10606 (2006).

14)  R.  W.  Huigens  III,  K.  C.  Morrison,  R.  W.  Hicklin,  T.  A. 

Flood Jr., M. F. Richter & P. J. Hergenrother:  ,  5, 195 (2013).

15)  H. Kikuchi, T. Nishimura, E. Kwon, J. Kawai & Y. Oshi- ma:  , 22, 15819 (2016).

16)  H. Kikuchi, K. Sakurai & Y. Oshima:  , 16, 1916  (2014).

17)  C. M. Dobson:  , 432, 824 (2004).

18)  M. D. Kakwani, P. Suryavanshi, M. Ray, M. G. R. Rajan,  S.  Majee,  A.  Samad,  P.  Devarajan  &  M.  S.  Degani: 

21, 1997 (2011).

19)  V.  U.  Jeankumar,  J.  Renuka,  P.  Santosh,  V.  Soni,  J.  P. 

Sridevi,  P.  Suryadevara,  P.  Yogeeswari  &  D.  Sriram: 

70, 143 (2013).

20)  J.  Ramprasad,  N.  Nayak  &  U.  Dalimba: 

図15ハイブリッド抗マラリア剤

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

(9)

106, 75 (2015).

21)  C. Bharkavi, S. V. Kumar, M. A. Ali, H. Osman, S. Muthu- subramanian  &  S.  Perumal:  , 24,  5873 (2016).

22)  B. Meunier:  , 41, 69 (2008).

23)  P. G. Baraldi, D. Preti, F. Fruttarolo, M. A. Tabrizi & R. 

Romagnoli:  , 15, 17 (2007).

24)  N.  Kojima,  T.  Fushimi,  N.  Maezaki,  T.  Tanaka  &  T. 

Yamori:  , 18, 1637 (2008).

25)  I.  Paterson,  G.  J.  Naylor,  T.  Fujita,  E.  Guzmán  &  A.  E. 

Wright:  , 46, 261 (2010).

26)  F. Taft, K. Harmrolfs, I. Nickeleit, A. Heutling, M. Kiene,  N. Malek, F. Sasse & A. Kirschning:  , 18,  880 (2012).

27)  C. A. Ladino, R. V. J. Chari, L. A. Bourret, N. L. Kedersha 

& V. S. Goldmacher:  , 73, 859 (1997).

28)  G. Jurjens & A. Kirschning:  , 16, 3000 (2014).

29)  K.  Kobayashi,  Y.  Fujii,  Y.  Hirayama,  S.  Kobayashi,  I. 

Hayakawa & H. Kigoshi:  , 14, 1290 (2012).

30)  H.  Fuwa,  K.  Noto,  M.  Kawakami  &  M.  Sasaki: 

42, 1020 (2013).

31)  N. Hulsman, J. P. Medema, C. Bos, A. Jongejan, R. Leurs,  M. J. Smit, I. J. P. de Esch, D. Richel & M. Wijtmans: 

50, 2424 (2007).

32)  M. Borgatti, C. Rutigliano, N. Bianchi, C. Mischiati, P. G. 

Baraldi, R. Romagnoli & R. Gambari:  , 60,  173 (2003).

33)  C. Fossey, N. T. Huynh, A. H. Vu, A. Vidu, I. Zarafu, D. 

Laduree, S. Schmidt, G. Laumond & A. M. Aubertin: 

22, 608 (2007).

34)  S. Tanimoto, S. Sakai, E. Kudo, S. Okada, S. Matsumura,  D. Takahashi & K. Toshima:  , 7, 911 (2012).

35)  Z. S. Zeng, Q. Q. He, Y. H. Liang, X. Q. Feng, F. E. Chen,  E.  De  Clercq,  J.  Balzarini  &  C.  Pannecouque: 

18, 5039 (2010).

36)  T. Q. Mao, Q. Q. He, Z. Y. Wan, W. X. Chen, F. E. Chen,  G.  F.  Tang,  E.  De  Clercq,  D.  Daelemans  &  C.  Pan- necouque:  , 23, 3860 (2015).

37)  Z. Y. Wan, Y. Tao, Y. F. Wang, T. Q. Mao, H. Yin, F. E. 

Chen, H. R. Piao, E. De Clercq, D. Daelemans & C. Pan- necouque:  , 23, 4248 (2015).

38)  M. N. Aminake, A. Mahajan, V. Kumar, R. Hans, L. Wi- esner, D. Taylor, C. de Kock, A. Grobler, P. J. Smith, M. 

Kirschner  :  , 20, 5277 (2012).

39)  R.  P.  Modh,  E.  De  Clercq,  C.  Pannecouque  &  K.  H. 

Chikhalia:  , 29, 100 (2014).

40)  A. T. T. Dang, C. T. Pham, T. A. Le, H. H. Truong, H. T. 

T.  Vu,  A.  T.  Soldatenkov  &  T.  V.  Nguyen: 

25, 96 (2015).

41)  O. Dechy-Cabaret, F. Benoit-Vical, A. Robert & B. Meunier: 

1, 281 (2000).

42)  F. Coslédan, L. Fraisse, A. Pellet, F. Guillou, B. Mordmül- ler, P. G. Kremsner, A. Moreno, D. Mazier, J.-P. Maffrand 

&  B.  Meunier:  , 105,  17579  (2008).

43)  J. J. Walsh, D. Coughlan, N. Heneghan, C. Gaynor & A. 

Bell:  , 17, 3599 (2007).

44)  S. J. Burgess, A. Selzer, J. X. Kelly, M. J. Smilkstein, M. 

K. Riscoe & D. H. Peyton:  , 49, 5623 (2006).

プロフィール

及川 雅人(Masato OIKAWA)

<略歴>1988年北海道大学理学部化学科 卒業/1994年同大学大学院農学研究科農 芸化学専攻博士後期課程単位取得退学,農 学博士/同年大阪大学理学部化学科助手/

2001年文部科学省在外研究員(ハーバー ド大学)/2003年東北大学大学院生命科学 研究科助教授/2009年横浜市立大学准教 授/2010年 同 教 授,現 在 に 至 る<研 究 テーマと抱負>天然物多様合成とケミカル バイオロジー<趣味>ワイン,ピアノ,百 名 城 め ぐ り<研 究 室 ホ ー ム ペ ー ジ>

http://oiklab.sci.yokohama-cu.ac.jp/

石川 裕一(Yuichi ISHIKAWA)

<略歴>1999年慶應義塾大学理工学部化 学科卒業/2002年同大学理工学部化学科 助手(有期)/2004年同大学大学院理工学 研究科博士課程修了/2005年ライプツィ ヒ大学(ドイツ)博士研究員/2007年慶 應義塾大学理工学部化学科助教/2011年 横浜市立大学国際総合科学部助教/2014 年同准教授,現在に至る<研究テーマと抱 負>特異な生物活性を有する天然有機化合 物の合成<趣味>読書,料理

Copyright © 2017 公益社団法人日本農芸化学会 DOI: 10.1271/kagakutoseibutsu.55.468

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

Referensi

Dokumen terkait

もって契約者保護をはかるというものである。これに対して、新しい制度設計理念は、自由 化によって生じる効率性と利便性を保険契約者に還元するというものである。保険業法の改 正とその後の「自由化」は、もはや「水の流れの方向」が元に戻ることがないということを 決定的に示すものである。 しかしながら、「水の流れの方向」が定まっていても、谷川から支流となり大河となるま

1 次の文章を読んで問いに答えなさい。 「和を重んじ、争うことのないようにしなさい」。これは、憲法十七条の有名な最初の条文で、和の精 神を説いています。これに 象 徴しょうちょうされるように、日本では話し合いで物事を解決することを求める伝統 があったといわれています。