• Tidak ada hasil yang ditemukan

国民総所得と生活の豊かさ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

Membagikan "国民総所得と生活の豊かさ"

Copied!
4
0
0

Teks penuh

(1)

マクロ経済学初級I 神谷傳造 平成10年5月17日 1

国民総所得と生活の豊かさ

国民総所得の定義から,国民一人当り国民総所得の大きさは国民の生活の豊かさを表している ように思われる.この考えは大体において正しいのであるが,いくつか注意しなければならない 問題がある.一つは物価変動の問題であり,そのほか,経済学における「生産」の定義から生じ る問題がある.以下,国民総所得の主要な決定因である国内総生産について考える.

1 物価変動の問題

国内総生産は,最終生産物に含まれるさまざまな生産物をそれぞれの市場価格で評価した価値 額の合計である.市場価格は貨幣を単位として表示されるので,貨幣の購買力が変化すれば,実 物としての生産物の種類や量にまったく変化がなくても,国内総生産は見かけ上変化することに なる.したがって,実物としての総生産の動きを見るためには,このような貨幣の購買力の変化 の影響を取り除く工夫が必要になる.国内総生産の「不変価格表示」がその一つである.これは,

あらかじめ基準となる年を定めて,その年の価格で年々の生産物を評価してその総価値額を示す 方法である.このようにすると,価格の変化のみで生じた総生産の動きを取り除くことが出来る.

不変価格表示の国内総生産を実質国内総生産という.これに対して,その年々の価格で評価した 国内総生産を名目国内総生産という.以下では,物価指数,数量指数の考え方から「不変価格表 示の国内総生産」の意味を考える.

2 物価指数

物価指数は貨幣の購買力の変化を示す指標である.貨幣の購買力が下がれば価格は上がり,貨 幣の購買力が上がれば価格は下がる.ところで,さまざまな生産物の価格の動きを見ると,それ はまちまちであり,すべての価格が同じ率で変動することはまれである.つまり貨幣の購買力の 変化は,どの生産物を対象として考えるかによって異なるのである.たとえば,コメに対する貨 幣の購買力の変化,自動車に対する貨幣の購買力の変化等々である.物価指数は,対象とする生 産物によって異なる貨幣の購買力の変化を,平均化し総合して表す指標である.

物価指数の算出法にはさまざまのものがあるが,最もよく用いられるものとしてラスパイレス

Laspeyres型とパーシェPaasche 型とがある.経済全体を二つの生産部門に分けて,基準年およ

び比較年の価格および数量がつぎのようであるとしよう.

生産部門I 生産部門II 価格 数量 価格 数量 基準年 p01 q10 p02 q20 比較年 p11 q11 p12 q21

そうすると,ラスパイレス型物価指数,パーシェ型物価指数の算式はそれぞれつぎのようになる.

ラスパイレス型: PL= p11q01+p12q20 p01q01+p02q20 パーシェ型: PP = p11q11+p12q21

p01q11+p02q21

(2)

マクロ経済学初級I 神谷傳造 平成10年5月17日 2

これは,生産物1 の価格指数p11=p01 と生産物2 の価格指数p12=p02 の加重平均であることが分 かる.実際,ラスパイレスの算式を書きなおすと

PL= p01q10 p01q01+p02q20

p11

p01 + p02q20 p01q01+p02q20

p12 p02 そこで

w1= p01q10

p01q10+p02q20; w2 = p02q02 p01q01+p02q02 とすると,ラスパイレス物価指数は

PL=w1p11

p01 +w2p12 p02

となる.ここでw1+w2 = 1であるから,ラスパイレス物価指数は,生産物 1 と生産物2 の価 格指数を,基準年の総生産額に占めるそれぞれの生産額の割合w1,w2 で加重した加重平均であ る.同様に,パーシェ物価指数は

PP = p01q11 p01q11+p02q12

p11

p01 + p02q12 p01q11+p02q12

p12 p02

のように書きなおされるから,生産物1 と生産物2の価格指数を,基準年の価格で評価した比較 年の総生産額に占めるそれぞれの生産額の割合

v1= p01q11

p01q11+p02q21; v2 = p02q21

p01q11+p02q21; v1+v2 = 1 で加重した加重平均

PP =v1p11

p01 +v2p12 p02 であることが分かる.

3 数量指数

物価指数に対応して数量指数が考えられる.貨幣の購買力の変化がどの生産物を対象とするか によって異なるように,時間の経過の中で生じる数量の変化も生産物によって異なる.物価指数 がさまざまな価格変化を平均化して表すのと同じように,数量指数は,異なる生産物の数量の変 化を平均化して表す指標である.物価指数に対応して,数量指数にもラスパイレス型とパーシェ 型がある.再び2生産部門の例を用いると,ラスパイレス型数量指数,パーシェ型数量指数の算 式はそれぞれつぎのようになる.

ラスパイレス型: QL= p01q11+p02q21 p01q10+p02q20 パーシェ型: QP = p11q11+p12q21

p11q01+p12q20

物価指数と同じように,これらの数量指数は,生産物ごとの数量変化指数,q11=q01 とq12=q02,の 加重平均として表される.実際,物価指数の場合と同様の計算をとおして以下の結果が得られる.

QL=w1q11

q01 +w2q21

q20; w1 = p01q10

p01q10+p02q02; w2 = p02q02 p01q01+p02q20

(3)

マクロ経済学初級I 神谷傳造 平成10年5月17日 3

QP =u1q11

q01 +u2q12

q02; u1 = p11q01

p11q01+p12q02; u2 = p12q02 p11q01+p12q20

ラスパイレス数量指数の算式の加重w1,w2 は,ラスパイレス物価指数の加重とまったく同じで ある.それに対してパーシェ数量指数の算式の加重 u1,u2 は,比較年の価格で評価した基準年 の総生産額に占めるそれぞれの生産額の割合となっている.これをパーシェ物価指数の加重v1, v2 と比較すると,価格,数量と基準年,比較年の関係が反対になっていることが分かる.

4 実質国内総生産

記号を以下のように定め,名目総生産と実質総生産の関係を考えよう.

名目総生産 実質総生産 基準年 Y0 X0 比較年 Y1 X1

再び2生産部門の例を用いて示すと,比較年の「不変価格表示の総生産」は X1 =p01q11+p02q21

のようになる.このように算定した総生産の動きは,その年々の市場価格で生産物を評価して算定 した名目総生産とは異なり,貨幣の購買力の変化を含まない,経済の実物面の動きを表している.

不変価格表示の総生産は,物価指数,数量指数とどのような関係があるであろうか.つぎにそ の問題を考えて見よう.まず簡単な計算から,不変価格表示の総生産は,名目総生産をパーシェ 型物価指数を用いて補正した実質総生産であることが分かる.実際

p01q11+p02q21= p11q11+p12q12 êp1

1q11+p12q21 p01q11+p02q21

ë したがって X1= Y1 PP

さらに数量指数との関係を見ると,基準年についてはX0 =Y0 =p01q01+p02q20 であることから p01q11+p02q12 = p01q11+p02q12

p01q10+p02q02

êp01q01+p02q02ë したがって X1=QLX0

となる.要するに不変価格表示の総生産の動きは,基準年の総生産を基準として,ラスパイレス 型数量指数の動きを示している.

名目総生産をラスパイレス型物価指数で補正した実質総生産を考えることもできる.簡単な計 算から,そのような実質総生産の動きは,基準年の名目総生産を基準として,パーシェ型数量指 数の動きを示すものであることが確かめられる.実際

PL= p11q01+p12q20 p01q01+p02q20 であることから,

X1 = Y1

PL = p11q11+p12q12 p11q10+p12q02

êp00q00+p02q02ë したがって X1 =QPX0

要するに,名目値をパーシェ物価指数で補正して実質値を作とその実質値の比はラスパイレス数 量指数となり,名目値をラスパイレス物価指数で補正して実質値を作るとその実質値の比はパー シェ数量指数となる.このような関係を,価格と数量の双対関係dual relation という.

(4)

マクロ経済学初級I 神谷傳造 平成10年5月17日 4

以上では,実質国内総生産の概念を理解するために物価指数,数量指数について考えてきた.総 生産の実質値を作るとき,名目値を補正するのに用いる物価指数をGDPデフレーターと呼ぶこ とがある.不変価格表示の実質総生産は,手順としてはデフレーターより先に作られるので,これ に対応するデフレーターをインプリシット・デフレーターと呼ぶこともある.このほかにも,対象 をさまざまに限定してさまざまな物価指数を作ることが出来る.たとえば,消費者物価指数,卸 売物価指数,輸入物価指数などである.GDPデフレーターが,通常,パーシェ型であるのに対し て,消費者物価指数は,通常,ラスパイレス型である.

5 その他の問題

A. 生産物の構成と分配 1. 消費と投資

2. 消費対象の構成と分配 B. 生産の概念

1. 生産の社会性 2. 生産の範囲 C. 経済財と自由財の境界

1. 基本的な定義

2. 市場の欠如から生じる問題 D. その他の問題

1. 国際比較の問題点 2. 経済を超える問題

なお,こうした問題については,マンキューが引用するロバート・ケネディーの演説を読み,こ れに関するマンキューの論評について考えよ.

[Gross Domestic Product] does not allow for the health of our children, the quality of their education, or the joy of their play. It does not include the beauty of our poetry or the strength of our marriages, the intelligence of our public debate or the integrity of our public oécials. It measures neither our courage, nor our wisdom, nor our devotion to our country. It measures everything, in short, except that which makes life worthwhile, and it can tell us everything about America except why we are proud that we are Americans. Robert Kennedy (1968)

参考文献

マンキュー(2001)『経済学II.マクロ編』東京: 東洋経済新報社.第5章.

Referensi

Dokumen terkait

出身・国籍別内訳 人 人 人 人 8人 6人 人 人 人 21人 回数 開講日時 時間数 場所 参加人数 国籍(人数)取組のテーマ 内容 講師等氏名補助者氏名 1 平成27年 2月14日 13:00~ 16:00 3時 間 クリエート浜松 35人 ペルー6人、 ブラジル8 人、日本21 人 外国人が日本で 生活するための日 本語勉強会

(10) 改善点について ○取組3:日本語教育シンポジウム「写真で語る私の歴史~これまでの私とこれからの私~」 (1) 体制整備に向けた取組の目標 (2) 取組内容 (3) 対象者 一般市民 (4) 参加者の総数 513人 出身・国籍別内訳 2人 人 人 人 3人 1人 1人 1人 人 505人 (5) 開催時間数(回数) 6 時間 (全4回)

○取組3:成果報告シンポジウム (4) 参加者の総数 70人 出身・国籍別内訳 人 人 人 人 人 人 人 人 人 10人 (5) 開催時間数(回数) 2時間 (全1回) 回数 開講日時 時間数 場所 参加人数 国籍(人数) 取組のテーマ 内容 講師等氏名補助者氏名 1 平成27年3月 15日 16:30~18:30 2時間 早稲田奉仕園 70人

回数 開講日時 時間数 場所 参加人数国籍(人数) 取組のテーマ 内容 講師等氏名 補助者氏名 1 平成25年 11月15日 9:00~ 12:00 3時 間 研修セン ター 38人 中国(32 人)、日 本人(5 人) 防災、火 事と地震 日本で安全・安心して暮らすた めの防災、火事と地震の基本 知識を学び、日頃の備え及び 意識啓発を促進しました。ま

(10) 目標の達成状況・成果 (11) 改善点について 回数 開講日時時間数 場所 参加人数 国籍(人数) 取組のテーマ 授業概要 講師又は指導者名 補助者名 1平成25年 9月15日 6時 間 群馬大学荒牧 キャンパス 10人 日本7人 ペルー1人 パラグアイ 1人 ブラジル1人 ライフプランの説 明及び地域状況 について 各プランについ て ・

(8) 目標の達成状況・成果 (9) 今後の改善点について (1)体制整備に向けた取組の目標 (2)取組内容 (3)対象者 (4)参加者の総数 9 人(延べ人数ではなく,受講した人数を記載すること。) そのうちの日本語学習者数 人 【出身・国籍別内訳】 1人 0人 0人 0人 4人 1人 1人 1人 0人 0人 (5) 開催時間数(回数)

(9) 今後の改善点について (1)体制整備に向けた取組の目標 (2)取組内容 (3)対象者 (4)参加者の総数 26 人(延べ人数ではなく,受講した人数を記載すること。) そのうちの日本語学習者数 人 【出身・国籍別内訳】 5人 1人 3人 3人 0人 0人 1人 1人 0人 0人 (5) 開催時間数(回数) 60 時間 (全 30 回)

(3) 対象者 地域関係者、日本語教育関係者、都内在住外国人 (4) 参加者の総数 10 人 出身・国籍別内訳 人 人 人 人 人 人 人 人 人 9人 (5) 開催時間数(回数) 2 時間 (全 2 回) 回数 開講日時 時間数 場所 参加人数 国籍(人数) 取組のテーマ 内容 講師等氏名 補助者氏名 1 平成26年9月 9日(火)