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岡崎市伊賀川の 2008 年 8 月末豪雨災害調査

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岡崎市伊賀川の 2008 年 8 月末豪雨災害調査

大同工業大学 正会員 鷲見哲也 大同工業大学 横江龍義

1.伊賀川の概要 岡崎市市街地を北から西に回 りこんで流れる伊賀川は,矢作川支川の乙川に合 流する県管理河川であり,管理区間延長 5.2km,

流域面積12km2を持つ小規模河川である(図-1).

2008年8月末豪雨では伊賀川流域で2名が亡くな った.本報告では,資料調査(公表情報,報道),

現地調査(測量等)に基づいて,下流域の災害の 全体像を明らかにすることを目的とする. 2008 年9月29,13,18日に痕跡等目視の調査を,9月 23日,10月8,22日に測量調査を行った.

2.災害の全体像 図-2 に示す中橋から下流の

200m以上の区間には56の家屋が,河岸の内側つまり「河道内に」建 ち(写真-1),家屋の一部が流失して1名が流され亡くなっている.上 下流の底面の幅は10m程度であるが,この区間のうち100m程度の区 間では住宅がせまり,幅 6.5m 程度と狭くなっている.下流では当面 の河川整備(5 年対応)がすすんでいるが,その上流で住宅の立ち退 き(市有地を住民が借りている.市が交渉を担当)が進まなかったこ とから,上流にむけて河川整備は進んでいない.この狭窄部によって 疎通能力が低下したことが,中橋上流で水位を上昇させ,直上流の左 岸において溢水し,床上浸水をもたらし,1 名が亡くなった.中橋か らさらに上流400m 左岸の伊賀町の一部にも越水したが,この地は堤 防と丘陵に囲まれた窪地である.痕跡測量によって,堤防の低 い区間で最大で約 40cm の水深で越水し,氾濫域の最大水深は 約3mにまで達して(写真-2),窪地がほぼ「満杯」となった実 態が明らかになった(図-3,4).

3.縦断水位の特性 図-5は,現地測量と,河川整備計画1)に 基づいて作成した縦断図である.問題の狭窄部下流では河岸高 より2m 低く,上流では河岸まで満杯(一部越水)である.そ して,中橋と上流 400m先の伊賀町での越水の痕跡水位の関係 を見ると,水位差は30cm程度であり,水面勾配は1500分の1 程度とゆるく,流量が 100-200m3/s のオーダーであることを考え ると,川幅約10m強,水深3m強では,明らかに常流となる.つ まり,下流から水位は決まるため,水位は下流からせき上がる形 で上昇し,伊賀町であふれたものと推定した.

下流の狭窄部上流の水位は,漸変流では,流量を 100-200m3/s の間で計算しても,この痕跡水位には達しなかった.中橋の橋げ たに水位痕跡があるが,下流の水位もほぼ同じで,流れの阻害に はなっていない.そこで,この幅の狭窄によって,壁からの抗力

城北町

伊賀八幡宮

中橋

瀧見橋

愛宕橋

伊賀

広瀬小

元能

河道内住宅 100m N 氾濫域

城北町 氾濫

伊賀八幡宮

中橋

瀧見橋

愛宕橋

伊賀

広瀬小

元能

河道内住宅 100m N 氾濫域

氾濫

図-2 伊賀川下流域概要図 図-1 伊賀川上流域と降雨強度分布

写真-1 中橋下流河道内住宅(2008/09/15)

川岸

川岸

写真-2 伊賀町(2008/08/29,白線水位痕跡)

(2)

が効いている,つまり減少する断面に作 用する全水圧が局所的に作用することに よって,漸変流の水面形方程式が成立し ないと考えた.そこで,急変断面の下流 側には限界水深を与え,これに対応する 水頭から上流側水位を求めた.その結果,

水位は漸変流の計算結果よりも高く周辺 にあふれる水位となることがわかった.

当該狭窄部は,流れの阻害の効果をこの ように高めたことが推定された.

4.気象概況と流出流量推定 降雨のメカニズムは,

2000年東海豪雨に類似したものとされているが,観測 によれば気象庁岡崎(美合)で29日2時までの1時間 雨量146.5mmを記録した.愛知県2)によれば200年確 率の時間雨量は 86mm である.レーダー・アメダス解 析雨量(約1km格子)による同時刻までの1時間雨量 を図-1に示すが,上流域では時間100mm程度である.

市内の気象庁・国交省・岡崎市消防本部等の地点雨量 と,その地点でのレーダーアメダス雨量を,前一時間 降雨について比較したところ,図-6 のようになり,

70mm/hrを超える強さでは,解析雨量がやや過少評価

の傾向を示したため,74.65mm/hr超える降雨について は図中の式で補正することとした.流域平均雨量を面 積平均で推定したところ,図-7のようになり,10分間 最大で 131.4mm/hr(時間最大で108.8mm)となった.

これらを,合理式や貯留関数法 3)に当てはめ,伊賀八 幡宮より上流域を自然山地流域として解析を試みたと ころ,ピーク流量は150~200m3/s程度となった.これ は,河川計画(5 年)流量配分の 100m3/s を大きく上 回る.これまでの河道解析ではこの流量が流れきるこ とはできず,かなりの割合の流量が上流域で氾濫・越 水したり,貯留したりしたものと推定される.

参考文献 1)愛知県:乙川流域圏河川整備計画,2007. 2)愛知県:愛知県の確率雨量,平成18年版.

3)国土開発技術センタ:中小河川計画の手引き(案),1999.

図-3伊賀町測量地点

上流100m 堤防 痕跡水位

亡く 方の 痕跡水位

ネール①

道路 道路

ネール② 事後に積んだ土嚢(0.5m)

3.04m

0.43m 0.07m

2.86m +0.30m

下流50m

最低点)

+0.28m

3.05m 伊賀

図-4 伊賀町付近測量結果のまとめ

図-5 縦断図と痕跡(痕跡,パラペット以外は文献1による)

14 16 18 20 22 24 26

1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 2400

下流からの距離(m)

(m+T.P.)

現況河床高 計画河床高 現況右岸堤防高 現況左岸堤防高 計画高水位 計画堤防高 痕跡水位 パラペット

乙川圏域河川整備計画(2007),鷲見調査(2008/9/13)

痕跡水位 河岸より 約2m下

住居 6

痕跡水位

痕跡水位 (誤差あり)

図-6 地点雨量と解析雨量の比較

解析雨量と実測雨量の比較

(2008/8/28 8時~翌日8時までの、30分ごとの前1時間雨量 について、岡崎市内雨量観測点9地点で整理したもの。)

0 20 40 60 80 100 120 140

0 20 40 60 80 100 120 140

実測雨量(時間雨量) (mm/hr)

解析雨量(雨量挿) (mm/hr) 岡崎市消防本部等 国交省岡崎 気象庁岡崎(美合)

解析雨量=実測雨量

気象庁岡崎 2008/8/28 2:00

146.5mm/hr y=0.585+31.0

図-7 流域平均の 10 分雨量の強度の推移

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

6:00 9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00 3:00 6:00 時刻

雨量強度r(mm/hr)

流域平均(無補正)

流域平均(補正)

気象庁岡崎(美合)実測値

8/28 8/29

Referensi

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