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化学と生物 Vol. 52, No. 8, 2014

巻頭言

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再考「農芸化学」

横田明穂

奈良先端科学技術大学院大学先端科学研究推進センター

2013年度で大学教授の職を辞すのを機 会に,この47年間にわたって自分の専門 分野だった「農芸化学」という学問あるい は研究分野を再考してみたい.

「農芸化学」との出会いは,農芸化学科 に入学したときだった.生物学にいくばく かの思い入れがあった自分にとって,有機 化学や無機化学の学修後に生物化学,微生 物化学,食品化学さらには栄養化学など,

種々な角度から生物学あるいは生物由来の 化学物質の詳細を学んだことは,その後の 進路選択に大いに役立った.特に,光合成 で合成されたデンプンやそのほかの主要栄 養源がヒトのエネルギーになっていく仕組 みの理解は,私を植物光合成に強くいざ なった.まだ光合成の全体像を学べる日本 語の専門書がないその頃,学科や学部図書 室で購読されていた , 

,生物化

学ジャーナルなどは大いに役立った.光合 成の全体像が理解できるようになればなる ほど,光合成のCO2固定反応からデンプ ンが合成される機構に興味をもち,さらに はその分野に身を投じることで社会に役立 ちたいと考えるようになり,現在に至って いる.では,この「農芸化学」はどのよう な目的で設置されたのだろうか.

英・独・仏では,17世紀から18世紀に かけて,産業革命についで農業革命が起 こった.英国では急増する人口に対応する ため,農業革命を技術的に支える科学とし て「agricultural chemistry」 が 勃 興 し,

1840年頃に全国の多くの大学に「agricul- tural chemistry」が設置された.日本にお いても,農業を支える農学の開設が日本の 食料確保に重要と考え,誕生間もない明治 政府は農学,獣医学,農芸化学などの学科 設立を目指し,英国の王立農学校から農芸 化学教師エドワルド・キンチを招いた.

1878年には駒場農学校が開校し,国民の 生活を豊かにする事業として大いに期待さ

れたようである.ここでの農芸化学は,キ ンチの恩師が著した実験書から考えるに,

分析化学,土壌化学,肥料学,食品化学,

植物化学,動物化学などだった.導入に先 立っての政府内での議論の中で,agricul- tural chemistryに当てて農業化学ではな く「農芸化学」を使った知恵者は,一体誰 だったのだろうか.

食料生産を支える科学として「農芸化 学」に身を投じた研究者は数多くいるに違 いない.同様な志をもって1889年に東京 農林学校に入学した鈴木梅太郎先生もその お一人で,「桑の萎縮病に関する研究」で 農学博士を取得し,「植物生理化學」も上 梓している.その後オリザリンの発見など で世界のビタミン学の巨匠になるととも に,今日の「農芸化学」の原型を創出し た.戦後日本が高度成長期を経てバブル期 を終える過程で,「農芸化学」は世界の生 物学の発展を追うように,その研究分野に 生物化学,細胞生物学,さらには分子生物 学を巧みに取り入れてきた.これには理学 系生物学への接近も期待されていたように 感じた.1994年頃からは国の大学院重点 化に呼応して「農芸化学」を「応用生命科 学」や「応用生物化学」に始まり,そのほ かの多くの関連学科へと衣替えした.しか し,この衣替えが終了したころから,全国 の旧農芸化学分野の研究室から,いわゆる トップ御三家ジャーナルへの掲載論文や ゴードン会議への招待講演者が継続的に生 み出されている.「農芸化学」分野の研究 者が新融合領域に果敢に攻め込んできたた めだろう.果たして,明治の先駆者が果敢 に創造したこの分野名を学科名として取り 戻すことは可能だろうか.自分が目指して きた研究は明治の開拓者と同じ方向だった たし,ほかの分野の方々から専門分野を聞 かれると,やはり「農芸化学」と言ってし まう.そんなことを考える今日この頃であ る.

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化学と生物 Vol. 52, No. 8, 2014 横田 明穂(Akiho YOKOTA)   

<略歴>1977年大阪府立大学大学院農学 研究科農芸化学専攻単位取得中退/1978 年同大学農学部助手/1993年講師,助教 授を経て,8月に(財)地球環境産業技術 研究機構主席研究員/1996年奈良先端科 学技術大学院大学バイオサイエンス研究 科教授/2014年定年退職後、同大学名誉 教授ならびに先端科学技術研究推進セン ター特任教授<研究テーマと抱負>現在 の研究テーマ「植物機能の強化と高度利 用」.過去40年来明らかにしてきた植物機 能を横田流に社会還元したい<趣味>植 物知らずの植物科学者だったが,庭木の 世話の楽しさをwifeに学んでいる

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