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手指衛生の遵守率向上のための取り組み

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Academic year: 2025

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手指衛生の遵守率向上のための取り組み         キーワード:手指衛生 コンプライアンス 観察法       1病棟10階東

吉松祐香 鶴岡恵子 櫻井倫代 松嶋景子 松本麻里 大後知子 松永理子 片山利枝 1.はじめに

 病院感染対策において標準予防策の遵守は重要であり、その中でも手指衛生は簡単に実 施できる感染対策である。手指衛生には流水による手洗いと擦式消毒用アルコール製剤に よるものがあり、手指衛生の十分な効果を得るためには、手洗いや擦式消毒用アルコール 製剤の使用を的確な場面・状況下でタイミングよく適切な方法で実施する必要がある。擦 式消毒用アルコール製剤を配置すること自体が感染対策なのではなく、コンプライアンス を向上させることが最も重要な課題と言える。

 高い手指衛生遵守率を得るためには継続的なアプローチが必要であり、多くの施設で手 指衛生遵守率を向上させるための取り組みがなされている。先行研究ではコンプライアン スの測定方法として観察法を挙げ、感染対策上必要と思われる手指衛生の実施場面でどの

くらいの割合でどの方法を使用して手指衛生をしたかを測定することで具体的、実践的な 指導へつながる1)と述べている。また、一木は手指衛生の実施状況の確認とフィードバッ

クを行った部署ではその他の部署と比べて擦式消毒用アルコール製剤の使用量が著しく増 加した2)と報告している。

 そこで、手指衛生の実施状況を観察法により確認し、結果をもとに介入する事で手指衛 生遵守率の向上につながるのではないかと考えた。

H.目的

 手指衛生遵守率の向上のためには、観察法による調査とその結果をもとにした介入が有 効である事を明らかにする。

㎜ 方法

1.対象者:A病院B病棟看護師27名

2.調査期間:平成23年6月〜平成23年10月 3.方法:

 1)手指衛生遵守率の調査を実施する前に、統一した調査が行えるよう調査方法について   研究メンバーに説明する。

2)A病院感染制御室で使用されている手指衛生ラウンドチェックシートを用いて、研究  メンバーが日勤帯に60分間B病棟看護師を観察し手指衛生必要数、手指衛生実施数  を調査し、手指衛生必要数から手指衛生実施数の割合で手指衛生遵守率を算出する。

手指衛生遵守率(%)= 手指衛生実施数 手指衛生必要数 ×100

(2)

 3)2)の調査結果をもとに以下の介入を行う。

  ・B病棟看護師に資料を用いて調査結果を報告する。

  ・B病棟看護i師に再度正しい手指衛生の方法を指導する。

  ・擦式消毒用アルコール製剤を持ち運べるようワゴンにホルダーを設置する。

 4)介入1ヶ月後に2)と同じ方法で手指衛生遵守率の調査を行い、t検定を用いて介入前   後の手指衛生遵守率を比較、検討する。

4.倫理的配慮:

 本研究はヘルシンキ宣言(2008年ソウル修正)および「臨床研究に関する倫理指針」を遵 守して実施する。

 本研究は病棟看護師に実施するため、病棟会で研究の概要および利益・不利益、有害事 象が生じることはない事を説明し同意を得た。

IV.結果・考察

 手指衛生ラウンドチェックシートに基づき、手指衛生遵守率を手指衛生の方法と手指衛 生のタイミングの二項目で評価を行った。

 手指衛生の方法では、【擦式消毒用アルコール製剤は適切な量で消毒できている】、【擦 式消毒用アルコール製剤は正しい方法で消毒できている】、【石けんと流水での手洗いが正

しい方法で行えている】、の三項目で評価を行った。

 手指衛生の方法での全体の遵守率は、介入前52.7%、介入後64.0%であった(図1)。

 介入前は、特に【擦式消毒用アルコール製剤は適切な量で消毒できている】56.0%、【擦 式消毒用アルコール製剤は正しい方法で消毒できている】43.2%と遵守率が低い傾向にあっ た。介入後【擦式消毒用アルコール製剤は適切な量で消毒できている】64.0%、【擦式消毒 用アルコール製剤は正しい方法で消毒できている】61.0%であった。

擦式消毒用アルコール製剤は適切な量で消       毒できている

擦式消毒用アルコール製剤は正しい方法で      消毒できている

石鹸と流水での手洗いが正しい方法で行え        ている

手指衛生遵守率(%)

 40   60

(3)

 手指衛生のタイミングでは、【患者に触れる前後】、【清潔操作(手袋着用〉の前】、【血液・

体液・分泌物・排泄物・粘膜・創傷との接触後】、【高頻度接触面に触れた後】、【手袋をは ずした後】、の五項目で評価を行った。

 手指衛生のタイミングでの全体の遵守率は、介入前48.8%、介入後70.2%であった(図2>。

 介入前は、特に【清潔操作(手袋着用)の前】41.7%、【手袋をはずした後】31,0%と遵守 率が低い傾向にあった。介入後、【清潔操作(手袋着用)の前】は73.0%、【手袋をはずした 後】は58.1%であった。

患者に触れる前後

清潔操作(手袋着用)の前

血液、体液、分泌物、排泄物、粘膜、創傷       との接触後

ロ介入前

■介入後

高頻度接触面に触れた後

手袋をはずした後

全体

手指衛生遵守率(%)

図2.手指衛生遵守率〈手指衛生のタイミング〉

 介入前と介入後を比較するとすべての項目で手指衛生遵守率は向上しており、手指衛生 の実施状況の把握とフィードバックにより具体的な改善点を示したことで手指衛生遵守率 の向上がみられたと考えられるが、t検定で有意差がみられるまでには至らなかった。

 また、参考として、B病棟における擦式消毒用アルコール製剤の使用量をみると、介入 前の調査を行った5月は13290ml、介入後の調査を行った8月は15340mlであり、8月の使 用量は5月の使用量の1.15倍であった(図3)。観察法による【擦式消毒用アルコール製剤 は適切な量で消毒できている】の介入後の手指衛生遵守率は、介入前の1,14倍であり(図 4)、擦式消毒用アルコール製剤の使用量の増加率と観察法による手指衛生遵守率の増加率 はほぼ一致している。このことから、手指衛生遵守率の改善が擦式消毒用アルコール製剤 の使用量に反映しているといえる。

(4)

 18000  16000  14000 使12000

量10000

  8000

1 6000

  4000

  2000    0

介入前(5月) 介入後(8月)

1.2

1.15

1。1

  増 1.05加   率

1

0.95 0.9

巨コ使用量一●一増加率

図3.擦式消毒用アルコール製剤の使用量と増加率

 100   90   80

指70 衛60

遵50

  40 玉3°

  20   10   0

1.14

介入前(5月) 介入後(8月)

1.2

1.15

L1

1.05加

1

0.95

0。9

一手指衛生遵守率 →一増加率 図4.手指衛生遵守率と増加率

 行動変容を起こし習慣化するためには知識、技術、動機付けの三つの要因が必要である といわれている。手指衛生や標準予防策についての教育やポスターの掲示により、知識と

(5)

V.結論

 高い手指衛生遵守率を維持するためには、観察法による具体的な手指衛生の実施状況の 把握とそれに基づいた介入は効果的であり、継続した観察と結果のフィードバックや介入

を行っていく必要がある。

引用文献

 1)渡邉都貴子:手指衛生を徹底させる,INFECTION CONTROL,18(3),40−43,2007.

 2)一木薫:手指衛生のコンプライアンスを改善するためのチェックポイント,INFECTION

  CONTROL, 16(1),50−54, 2007.

参考文献

 ・藤田烈:手指衛生に関する最新情報一各種文献から見る手指衛生一,INFECT10N CONTROL,

  17(5),22−26, 2008.

 ・Wilawan Picheansathian, Alan Pearson, Prakin Suchaxaya:The effectiveness of   a promotion programme on hand hygiene compliance and nosocomial infections in   a neonatal intensive care unit, Internationai Joural of Nursing Practice,

  14,315−321, 2008.

 ・印田宏子:手洗い・手指衛生のコンプライアンス改善の具体策一リンクナースによる   手指衛生の遵守率向上への取り組み一,INFECTION CONTROL,15(12),34−40,2006.

 ・脇坂浩:携帯型手指消毒薬の導入と手指衛生教育による手指衛生遵守率への効果,環   境感染誌,24(1),47−52,2007.

 ・坂野昌志,島田泉,青田真理子ら他:蛍光塗料を用いた視覚効果による手指消毒の手  技評価,環境感染誌,25(4),201−205,2010.

 ・神谷亨:手指衛生の啓発活動を組織全体で実施する,1NFECT10N CONTROL,19(6),24−27,

  2010.

 ・Ana M. Novoa, Theresa Pi−Sunyer, MariaSala: Evaluation of hand hygiene adherence   in a tertiary hospital, Am J Infec Control, 35(10),676−683, 2007.

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